艦隊これくしょん──Over The Horizon 作:謎のks
このお話は作者の艦これ二次創作小説三作品のクロスオーバーとなります、なるだけ該当作品を見なくても分かるようにしますが、作者の作品を思わず見たくなるように全身全霊尽くして行きたいと思います!
そのやる気によってお話が長くなったので前後編に分けています、ご注意を。
作品の概要として、今まで作者が出して来た艦隊これくしょんの二次創作小説作品群のキャラクターを一同勢ぞろいさせようと(作者が)奮起する、所謂ス〇ロボ的クロスオーバーです! ん? 正月? 馬鹿めヤツは死んだわ(全員初対面ということでお願いします)…!
因みに作者は元ネタ作品は…
果たしてどのような作品になっていくのか? 先ずはプロローグを見て行って下さい──どうぞ!
三世界の提督と艦娘──顔合わせだよ! 全員集合!! ①
──???
冷え湿った空気にシンと静まり返った、仄暗い暗闇が広がる空間。
石造りの大部屋の背後には、広いガラス張りに隔てられた──魚群が泳ぐ姿が複数見られる──水中の外観が見えた。海の底なのだろうか?
そんな不気味な室内の真中に置かれた、これ又石造りの大机。そこを囲うように蠢くナニかの頭上に差し込まれる照光が一筋──白光の下に映し出されたのは人影。悪意をフードの下に隠す男が居た。
「──揃ったか? では会議を始めよう」
暗闇の中光に照らされた全身を白いローブで覆っている一人の男は、喉を震わせる重い声色で告げる。ローブの男の言葉を受け石机を囲んだ「影」が僅かに動く。影は三体、どうやらローブの男の指示を受けて動いている何モノかたちのようだ。闇の中の三人は言われて「定時報告」を始める。
「──ポイント793、以上ありまセン。イレギュラーの介入もありまセン、多少の抵抗はありマスが問題はないでショウ」
「──ポイント931、イレギュラー介入ありだ。だが
「──…ポイント496、イレギュラー介入あり。
数字の意味は現時点では不明だが、抵抗や壊滅に侵略…という物騒なワードから穏やかな状況ではないことが察せられる。
男たちの報告を聞き終えたリーダーと思われるローブの男は、何処か満足そうに言葉を零す。
「ふむ、793は
リーダー格の男の
「フハハハハ! 貴方が適当な指揮ばかりしてるから反撃を許してるんじゃアないデスかぁ~~?」
「フンッ! 大方物量で攻めれば圧し沈められると思ったのだろう? 何とも浅はかよなぁ! ハァッハッハッハ!!」
「…そうだな、君たちのような
「何ィ~?」
「フン…」
「止しなさい、彼の言うとおりではある。そんな彼だからこそ私は
リーダー格の男が場を纏めると、男たちは──何処か険悪な雰囲気を出しながら──静かに引き下がった。496の男も黙って頭を下げて買い言葉への謝意を表す。
一枚岩ではないことが窺える男たち、彼らは何が目的で、何を為そうとしているのか。現時点で不明瞭。
そんな中──リーダー格の男は独り言ちに喋り始める。
「残り三つ…この「多元世界」を侵略せしめれば、我が願望は漸く成就する! ふふふふ…では諸君、各自の健闘を祈ろう。各々の目的のため──存分に世界を
「了解デス、まぁ言われなくてもそのつもりデスが…フハハ、フハハハハハハハ!!」
「ハッ! 良いだろう…その多元世界とやらをものの見事に消し去ってやろう! ハァーーーッハッハッハッハァッ!!」
「──………」
男たちはそれぞれの野望を燃やし、高らかに嗤うのであった…
・・・・・
──一方、そんな彼らを異空より注視するモノたちが居た。
其処は打ち捨てられた古城、明かりの無い洋装の部屋は全体的に朽ち腐った──穴の開いた赤い絨毯、所々剥がれ落ちた壁の塗料、机などのインテリアもボロボロな──内観であった。
元は玉座の間であろう大広間の中央、上空の空間に写し出された「映像」を見上げ観つめる人影たちは顔を顰めながら悪宴を覗いている。
角が生えた肌が灰色の少女がフタリ、大男一人、そして…黒づくめの男一人。黒づくめが状況を端的に纏め始める。
『何百とある多元世界も、その殆どが今やヤツらの掌中に有るか。あと三つ…さて、愈々不味いことになった。ヤツらをこれ以上勢いづかせるのは文字通り
『ナーナー、場所分カッテルンナラ爺ドモヲ直接叩ケバ良イジャン! 何デヤンナイノサ~?』
『オ馬鹿。敵ノ本拠地ニ出向イテ無事デ済ムト思ワナイコトデェス、首魁ノ暗殺トイウナラ話ハ別デスガ』
『ソレソレ! アタシガ上カラ「どかぁ~ん!」ッテスルカラサ! 座標ダケ教エテクレタラ直グヤルゼ!!』
灰色の少女たち…内ヒトリの血気盛んな言葉に対し、もうヒトリが突っ込みを入れるも中々話が進まない。その会話に大男が冷静に反応する。
「Hm、嬢ちゃんの考えも一理あるが…俺たちは多勢に無勢の「
『だろうな。抜け目ない者たちばかりだ、そのぐらいはするだろうさ。
『チェ~。…ジャアドウスンダヨ、イツモミタイニ「いれぎゅらー」呼ブカ?』
『介入シテモコレダケ攻メ入ラレテ、ソノ上デ更ニ援軍ヲ呼ブノハ…ハッキリ言ッテなんせんすデェス! じり貧トイウやつネ!!』
「ん~、しかし他にアレらを止める方法は…なぁ?」
灰色の少女たちと大男が話し合う中、レジスタンスのリーダー格である黒づくめの男は…
『止むを得ん、これ以上の介入は避けたかったが…考えがある』
そう言うと、黒づくめの男は上に向かい手を翳す。すると──空間に彩られた光が
『──…ァ! こいつラハ…!?』
『ォッホゥ! ソウ来マシタカ! デスガ…良イノデェス? 確カ彼ラハ「基本的世界」ノ…?』
『構わん、オレも不本意だが背に腹には代えられん。あの「
「そう言うだろうと思って、世界座標を調べた甲斐があったぜ! しかし…どうやって引き込む? 勝利次元のは「一味違う」感じなんだろ? 敗北次元に送り込んでも爺さんたちに見つかったら…優先的に沈められるぜ」
大男がそう発言すると、黒づくめの男は深いため息を一つ吐いて指でこめかみを揉み始める。
『──フゥ、面倒だが…
「それがBestだろうな? だが──俺たちにすんなり協力するかねぇ、嬢ちゃんたちも居るだろうし」
『試す他あるまい、どの道そんな些末に目を掛ける時点で──その者たちに世界を背負う資格は無い』
黒づくめの男の言葉の意図するものとは? 多元世界とは? この青年少女たちは何を画策しているのか?
──全ては謎のまま、物語は動き始める…!
・・・・・
──謎の島
空は昼間のような晴々とした青空が広がる、その下には波の音穏やかなだだっ広い海原が在る。鳥の鳴き声も波を掻き分ける船も居ない神秘的な世界に──ポツンと海に浮かぶ小島が見えた。
島の海岸の岩礁に、釣り糸を垂らす男が一人。
「──釣れんにゃあ、何回やったちボウズかよ。わや…
そう言うと言葉訛りの強い釣りの男はお手製であろう簡易釣竿の糸を引っ張る、垂らした先が戻って来たのて掴むと、釣り糸を確認する。糸の先端には──小石が絡まっていた。
「けんど小石で釣れよったら奇跡よなぁ、ミミズか虫が居ればえいがやけんど、
「──司令かぁ~ん! 偵察隊帰投しましたぁ~~!」
司令官と呼ばれた釣りの男は、呼ばれた方角を見遣る。そこは海上──その上を滑り駆ける少女たちの姿が在った。少女たちは華奢な身体には似つかわしくない重厚な機械又は武装を全身の至る所に着けていた。
「おう吹雪、照月、磯風! 偵察ご苦労さん!!」
少女たちの名前を呼びながら彼女たちの司令塔は岩礁から飛び降りる、砂浜に足を着けて海岸に近づく彼女たちを出迎える。
「どうやった?」
「とりあえず人影らしきものは確認出来ました! それも──艦娘みたいで?」
「そうそ! 遠目からそれっぽい人たちが居たから声かけよーって私言ったんだよ! でもイソちゃんが「止めとけ」って!」
「この特殊な状況下だ、
司令塔の問いかけに吹雪、照月、磯風の順で答える。吹雪は髪を後ろで纏めている真面目な印象の少女、照月は明るいセミロングの茶髪を2本の三つ編みおさげにしている元気が取り柄な少女、磯風は長い黒髪に後ろ髪の一部を手前に流している常にしたり(ドヤ)顔の少女。三ニンとも個性的だが制服を着用している。
詳しく聞いていくと、この小島孤島と同じような島が「三つ」確認出来たようで、その周辺に
艦娘──それは、太平洋戦争と呼ばれる時代にかつて存在した「軍艦」の生まれ変わりとされる。
艦娘はとある脅威と戦う人型の兵器であるとされ、その艦娘たちを指揮し戦うのが──
「そうよにゃあ。オレらぁレイテの作戦成功させて打ち上げしぃよった筈やのに、酒飲んで寝て気ぃ付いたらこんなとこ居ってな」
「ですよね、私も最初は夢かと思ってたんですけど…起きる気配もないし、照月ちゃんと磯風ちゃんも居るし、何か違うなぁ~と?」
どうやら作戦の祝勝会後に眠った直後、この謎の世界に飛ばされて来たようだ。それでもあっけらかんとしている吹雪がおかしかったのか、照月が突っ込んでは後二人がボケを被せていく。
「吹雪ちゃん、そういうとこあるよね~! 肝が据わっているというか~?」
「鈍感やにゃあ?」
「違うぞ、器が広いのだ!」ドヤァ
「磯風ちゃん!? 何でも良いけど…もう、あれでしたら先ほどの人たちとコンタクトを取るのも一つの手かと」
宿毛提督と吹雪たちが雑談交じりに状況打破の案を提示する、すると──照月の装備している高射砲右側の「ロボットのような」見た目のモノが「唸るような低音ボイス」で同調する。
「──それしかぁねーだろうなぁ~? こぉんなだだっ広い海の真ん中でぇ、まさか人に遭えるだけでも僥っ倖っ! ってことだろうぜぃ。先ずは情報交換といこうじゃあねぇかいぃ?」
「
「ふっ、一理ある! 仕方ない…警戒を緩めず接触を試みるか」ドヤァ
宿毛メンバーの意見が纏まり、とりあえず謎の艦娘たちと話を聞いてみることにした。そんな時──
──ズドォン…!
「──…っ!? 今のは砲撃音!
「どうしよ! さっきの艦娘たちかな?! 艦隊戦してる時にお邪魔は話変わるかも…!?」
「さて、どうする司令? 我らはいつでも出撃可能だ!」ドヤァ
宿毛の艦娘たちがざわつく中、宿毛提督は
「うし、向こうも同じこと思いよるやろうき、オレらぁに敵意が無いち見せるチャンスや! 吹雪、照月、磯風! その艦娘らぁが敵さんと交戦しぃよったら、加勢して助けちゃりや!」
「は、はい! 司令官はどうされます? 敵が居るかもなのにお一人には…!」
「大丈夫や吹雪! そこの茂みの中にでも隠れとくわや! オレのことより
「「「──了解!」」」
宿毛提督の号令の下、吹雪たちは敵と交戦中であろう他艦娘の居場所まで全速前進、海の上を駆け抜けて行った──
・・・・・
──一方、もう一つの謎の島では…?
「──うおあああああああ!! これは”夢”だああああああ!!!」
そう叫びながら砂浜を
そんな若い男を──何やってんだコイツ、という冷ややかな目で──見守る女性3ニン。おそらく艦娘であろうがその内のヒトリ──眼帯を着けた険しい顔立ちに身体にはボロボロの麻のマントを身に着けている──が、いい加減にしろと突っ込むように声を掛ける。
「おい、とにかく一旦落ち着け! 状況を確認するために話を…」
「そう言われてもですね天龍さん僕としても落ち着きたいんですが初任務終えて望月がスパイって分かって加賀さんから事情を明日聞こう~って眠ってたらこおおおんな場所に飛ばされてなんてイミワカンナイでしょ妖精さんも金剛も居ないしどうしたらいいんでしゅか僕はあああ↑↑↑」
「──艦載機発艦! 爆撃開始!!」
──ブゥゥ……ドグォオンッ!!
「いやぁお!? 何故にホワイ!!?」
「貴方が暴走してるからでしょ! ホンっとうに今そういうの止めて、ただでさえ訳分からなくてイライラしているというのに…!」
若い男に向かって弓矢を構えたかと思うと、放った矢から
銀髪の女性の苛立つ姿を見て流石に反省した男は大人しくなると、女性たちのところへ移動する。
「…すんません、頭を冷やそうと思って」
「もっとやり方あるでしょ(正論)」
「もう良い
「天龍さん? 馬鹿って言いたいんすか天龍さん?? ええそうですともこの「色崎拓人」、頭は悪いかもしれませんが艦娘への愛は誰にも負けないですよ!」
誰も聞いていないことをつらつら喋る若い男──拓人の弁解を無視して状況の整理を始めようとする眼帯の女性──天龍。
「さて、俺たちがこの場所に飛ばされてから何日経っているか現状では分からない。潮の満ち引きも昼夜の変わり目も
天龍の話す「魔術」とは、彼女たちが居た世界で当たり前に使われていた技術。
更に彼女たちの世界では「艤装(艦娘が身に着ける兵装)」は魔術によって瞬時に呼び出し素早く着脱可能であった、がこの世界では
「…僕たち、死んじゃったの?」
「それは無いな。仮に死んだとしても俺たちはここに来る前鎮守府に帰還し全員身体を休めていた、
「
「──警戒」
拓人に天龍、翔鶴の話に対しポツリと一言呟くのは──先ほどから沈黙を保っていた少女、重厚な鎧に身を包んだ騎士のような見た目の「綾波」であった。光の無い目に起立の姿勢で動じない立ち姿は、感情のないロボットのようにも映った。
綾波の言葉を聞いてか、思い出したように拓人も呟く。
「綾波も自前の「大斧」無くしちゃったものね、何でだろうね?」
「不明。」
「でしょうねぇ? はぁっ…妖精さんが居てくれたら、適切なアドバイスくれるのになぁ」
「…アレの言うことは今一つ信用出来ん」
「そう言わないであげてよ天龍、確かに言い分は…大分ふわふわしてるけどいざって時には──」
──ズドォン…!
拓人が天龍に対して会話を続けていると──何かが爆発したような轟音が遠くから鳴り響く。
「…え? 砲撃? 爆撃? 良く分からないけどもしかしなくても戦闘中??」
「偵察中に見た妙な艦娘たちか? 一体ダレと…?」
「はぁっ! 次からつぎに分からないことばっかり! …どうするの?」
「命令申請、受諾待機」
艦娘たちが冷静に変わりゆく状況を整理し、そして指示を拓人に仰ぐ。もしかしなくても
「ぅぅう~~~…んよぉーし! もうここは当たって砕けろだぃ!! とにかく様子を見て来て!
「了解だ。ふぅ…藪蛇にならなければ良いが」
「下手に動かない方が良いと思うけどね…まぁ良いわ、行ってあげる!」
「了承。任務開始」
拓人の命令を機に動き始める天龍、翔鶴、綾波。果たして音のする方角に居るのは敵か、味方か…?
・・・・・
──三つ目の島、近海
──ズドォンッ!
静かな波の音を掻き消す砲撃音、それは「標的」に確実に着弾する──しかし、どういう訳か海の上に棒立ちで居る謎の人物は、砲撃を受けても身体が消し飛ぶどころか傷一つ受けていない様子であった。
そんな様子を見た海の上を滑り駆ける少女たちは、驚きを隠せない表情であるのは明らかである。
「──こちら榛名! 指示通り敵に威嚇艦砲射撃を敢行しましたが…砲弾の着弾位置を正確に把握していたようですが、
自身を榛名と呼ぶ艦娘──巫女のような衣装に身を包んだ、慎ましやかな雰囲気の女性──は、懐から通信機を取り出すと通信の向こう側の人物に戦況を逐次報告し指示を仰ぐ。
『──こちら「エース」、ソイツは巡回中に見掛けたって言う「例の男」で間違いなさそうか?』
榛名に応答するのはエースという、声色から何処か爽やかな青年であった。エースは榛名に問いかけるがそれに答えたのはもうヒトリの艦娘であった。
「──そうじゃろうな、あの黒マントに「仮面」…見間違えはせんわ! というか何じゃあのカッチョ良い恰好! 攻撃してこなんだら友好的に話を聞きたいのじゃが!!」
何処か茶化しながら回答するのは、丈の短いスカートに改造制服を着こなすツインテールの少女「利根」である。技術者の側面がありその腕は一流の「天才」なのだが、反面そういった天才にありがちな「変人気質」を併せ持っているため、対峙する謎の人物に対し何処か興奮気味だ。
「うぅ…何なのぉ? 変な世界に飛ばされたと思ったら、今度は変な人と戦うなんて…ていうか肌青白いし、頭に角みたいなのあるし! やっぱり
少し弱気な印象の赤い着物の艦娘「龍鳳」は、遠目から見た謎の人物の容姿に心当たりがあるようだ。だからか弓を構えていつでも攻撃できるようにして用心を解かないで居る。
──艦娘たちが視線を注ぐ謎の人物は、全身にボロボロの浅黒いマントを羽織り、マントから出している腕の肌は青白く、顔は黒のフェイスマスクに
この「黒づくめの男」は、謎の島を巡回中であった榛名たちを強襲し交戦を始めた。榛名たちは戸惑いながらもそれに応じて戦闘を開始した次第だが…果たして黒づくめの男の狙いとは何なのか?
『──フ』
男はマスクの裏でほくそ笑むと、右腕を前方へ突き出す。すると──右腕の筋肉が異様な速度で膨張収縮を繰り返しながら徐々に形を変えていき…気がつくと右腕だったものは不気味な怪物の頭のような「砲塔」に変貌した…!
『Gyaーーーッ!!』
『──放て!』
──ズドンッ! ボガァンッ!!
黒づくめの男が命令を下すと、砲塔から爆炎と共に生物的に脈打つ砲弾が発射された。榛名たちは自分たちに向けられた砲弾の軌道を予測し、そこから素早く移動することで難を逃れた。
「あっぶないのぉ!」
「やる気満々だよぉ! も、もう艦載機発艦しちゃっていいエース君!?」
『待って龍美ちゃん! …その男は必要以上の攻撃はしていないよね、砲撃のタイミングも避ける余裕を与えてからやってるみたいだし?』
「はい! 榛名もそう思います! …ということは」
『ああ、
「えぇ!? じゃあどうすれば良いのぉ!!?」
「うぅむ、せめて人数が居れば話が変わるのだがの…?」
『期待したいのは、俺たちの他に居たっていう艦娘たちの支援なんだけど…どんな人たちなのかも分かってないし、向こうも警戒して近づいて来ないだろうし、望み薄かな? っぁあ…こんなことなら、早い段階でコンタクト取るんだった。俺のミスだ…皆ごめん!』
「謝るでないエースよ、吾輩も同じ立場ならそうして居る。こんな右も左も分からん世界で、手を取り合い助け合おう! などと此方のご都合主義が通るとは限らんしの」
エースは艦娘たちを導く司令塔として、謎の世界での立ち回りが後手になってしまったことを恥じる。利根もそれを踏まえてエースの嘆きを諫めた。
黒づくめの男は敵意こそ薄いものの、榛名たちをいつでも水底へ送れるとまるで豪語するように悠然と海の上に立っていた。下手に攻撃すれば何が返ってくるか分からない、かといってこの場を見逃してくれるとは限らない。八方塞がりとなったエースと艦娘たち、万事休すか…?
──ズドンッ!
エースが次の一手を考える最中──通信の向こうから空間に響く音が木霊する、何事かとエースは艦娘たちに尋ねる。
『皆大丈夫か!? 例の男が攻撃して来たのか!!?』
「違います! これは──援軍です! 他の艦娘さんたちが来て下さいました!!」
通信に応答する榛名は喜びに笑顔を咲かせる、その視線の先には──海面を裂きながら此方に駆けてくる艦娘たちが、黒づくめの男に対し威嚇艦砲射撃をする場面が映った…!
「宿毛泊地駆逐隊、旗艦吹雪です! 助けに参りました!!」
「同じく照月…って、味方は榛名さんっぽいヒトたちで良いとして、敵はあの如何にもなヒトで良いんだよね? 黒マントに仮面の??」
「だろうな、肌の色が灰色のようだから深海棲艦なのかもな。うむ…というわけで私は磯風、助太刀させてもらおう!」ドヤァ
宿毛泊地駆逐隊は意気軒昂に名乗りを上げる、そして砲塔の照準を謎の黒づくめの男に向け警戒する。
──そして、宿毛泊地駆逐隊とは別の方角から、榛名たちを支援する為に現れたであろう艦娘部隊が現着する。眼帯の娘に長い銀髪の女性、そして鎧を身に付ける少女騎士。天龍たちである。
「やっているな、どうやらあの男が敵らしい。では…やるか!」
「戦意が高くて何よりだけど、気をつけてよね! まだ本当に敵味方が判別出来た訳じゃないんだから!」
「ふふ! 分かっているが…こんな乱戦は久しぶりだからな。イノチの綱渡りの感覚が肌に染み付いて、どうしても血が滾ってしまう…!」
「酔狂。」
「それが傭兵だ! 何とでも言え!! さぁ…始めるぞ!」
謎の世界に呼ばれた全ての艦娘たちが、遂にこの場に相見える。
吹雪、照月、磯風、天龍、綾波、翔鶴、榛名、利根、龍鳳。九隻の艦娘たちは今、共通の敵を退けるため力を合わせる。
それがどんな都合の良い展開だとしても、極限の状況下においては矢張り「団結」は何よりもの力を持っている。提督や艦娘たちはそれをココロの奥底で理解し、だからこそ何の憂いもなく協力し合えるのかもしれない。
『──…っ! ありがとう…皆ありがとう!』
エースは自分たちの危機に差し出された救いの手に、万感の想いを込めて言葉を紡いだ。出自や思想が違えども──生きとしいけるモノは、皆一丸となることが出来るのだと、魂から感じ取り感無量となったのだ。
『──揃ッタカ。思ッテイタヨリ早カッタナ?』
そうボソリと口を吐く黒づくめの男は、砲塔に変化した右腕を前方に構えたまま左手をマントの中から出す。そして親指の第一関節辺りに中指を持って来ると──
──パチンッ!
指同士を滑らし小気味良い音を響かせる、すると──世界は暗転する。
後編(②)は今日の正午に投稿予定!