成り代わりギルガメッシュは星核ハンター 作:──
ヴィマーナに乗りウルクから星核ハンターの拠点へ帰ってきた一同。
すると、カフカが彼女の自室へ入り、灰色髪の少女を連れて帰ってくる。
「彼女は星。連れてきたばかりだったから今回は連れて行かなかったけれど、私たちの仲間よ。あなたのことはもう彼女に教えてあるわ」
「…ギルガメッシュだ。好きなように呼べ」
そう言うと、星は少し黙った後
「……ギル?うん、しっくりくるね」
「お前──」
その呼び方は、そう言葉を続けようとして、彼の脳裏にこの世界のエルキドゥの言葉が蘇った。
『君は善良な心根を持っているのに、孤独故にそれを知る人が少ない。それはあまりに勿体無い……、君はもっと多くの友を持つべきだよ』
それを思い出した彼は
「……そう呼びたければそう呼べ。ただし、その呼び名は同じ星核ハンターとして、仲間であるからこそ許している。ゆめ忘れるな」
「うん。よろしく、ギル」
「……あぁ」
ギルガメッシュはそう言うと、無言で皿に乗ったロールケーキを取り出した。
どこから?という疑問を抱くより早く、それを星に手渡すと、ギルガメッシュは一番近くにあった椅子に座り動きを止めた。
すると、
「さあギル!いつも通り勝負しよう!」
ゲーム機を握りしめた銀狼がギルガメッシュに迫る。
先程星に許したあだ名を直ぐに使い始めたことには触れず、ギルガメッシュは銀狼からコントローラーを受け取った。
「お得意のチートを使ってすら我に勝てんというのに、未だに挑むとは……、よかろう。今回は賞品を付けるとしようか」
そう言った次の瞬間、三つ目のコントローラーをどこかから取り出してきた星が
「私が勝ったら、あんたの宝物庫の5%をもらう!」
「……5%を渡したところで、管理しきれんだろう?1%にしておけ」
「──言ったね?」
星とギルガメッシュの両者は不敵な笑みを浮かべる。
「……私を空気にしないで欲しい」
主催者であったはずの銀狼を空気にしたまま、勝負が始まった。
今回のゲームはレースゲームと呼ばれるジャンルのゲーム。
三人とも好調なスタートを切り、アイテム運も悪くはない。
一周目は大きな波乱もなく終了して二周目、ここで銀狼が当たり枠のアイテムであるロケットを引き当てた。
「よし、それじゃあ私はこれで──」
「させるか馬鹿者!」
銀狼がアイテムを使おうとした瞬間、ギルガメッシュから妨害アイテムを飛ばされ、続け様に星からも同じアイテムが飛び、さらにNPCが銀狼にぶつかっていく。
「──な、なっ……!」
「ギル、宝物庫はもらうよ!」
「出来るならやってみろ!」
銀狼と大差を付けた二人は、宝物庫の1%を賭けて本気の勝負を繰り広げる。
ギルガメッシュは卓越したプレイヤースキルを見せつけるが、星も勝るとも劣らないプレイヤースキルでそれに対抗する。
三周目終盤、二人の差はほぼゼロに等しく、このままでは引き分けになると思ったその時、ギルガメッシュが加速アイテムを獲得した。
「なっ」
「……ふっ、すまんが貴様に我の宝物庫を開くわけには──」
その時
「……私を空気にした恨み……思い知らせてやる──っ!」
妨害アイテムを持った銀狼がギルガメッシュへと迫る。
「……貴様っ!」
「星、勝利を掴んで!」
「任せて!」
銀狼は妨害アイテムを利用しギルガメッシュの足を止めると、自身の操作するキャラクターを執拗にギルガメッシュの操作キャラクターへぶつけて妨害を続ける。
「──おのれ、おのれおのれおのれ─────!」
しかし、ギルガメッシュも負けじと加速し、銀狼を置き去りにしてゴールテープへと追い上げる。
コンマ数秒の世界の中、勝者は─────
「……ふっ、
ドヤ顔でわざとらしいギルガメッシュの物真似と共に宝物庫を開く星。
ギリギリの勝負の中、ギルガメッシュは負けた。
「……覚えていろよ銀狼。貴様、勝てないからと小癪な妨害を」
「私を空気扱いしたのが悪い」
「……はぁ、まあいい。星、お前に渡した庫を開く鍵は今渡したソレだ。無くすなよ?」
ギルガメッシュが指差したのは星の首にかかった飾り。
紐だけの質素なネックレスには、彼がウルクで見せた鍵のような構造物──王律鍵バヴ=イル──を小さくしたようなストラップが取り付けられている。
これが彼が約束通り星に譲渡した宝物庫の1%へのアクセス権である。
「カフカ!私、ウルクの女王になったよ!」
「あら、凄いじゃない。ギルガメッシュに勝てるなんて、余程の幸運と実力がないと不可能よ」
「……それと、チーターからの妨害もな」
「ふっふっふ……!」
ギルガメッシュの言葉にドヤ顔をして見せた銀狼の頭をギルガメッシュは乱雑に撫で回す。
「わぷっ!?ちょ、ゴメン、悪かった。悪かったから!髪がぐしゃぐしゃになっちゃう──」
ドヤ顔の星と撫で回されながらも、ゲームを遊ぶ仲間がいることが嬉しいのか、少し楽しげな銀狼。
そんな二人とギルガメッシュをカフカは微笑みながら見ている。
それを見て、刃はボソリと一言
「……託児所か、ここは」
『ノーコメント』
隅で静かに観察している二人だった。