成り代わりギルガメッシュは星核ハンター   作:──

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第六話

ある日、銀狼はギルガメッシュの元へと足を運んでいた。

理由は単純。彼女には欲しいものがあり、そのための資金が必要だったのだ。

 

「ねぇ、ギルガメッシュ──あれ?」

 

彼はいつものように金色の玉座の上で、片肘を突いて座っている。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)で自在に移動できるそれに、少し便利そうだという感想を抱きながら彼に近づいた銀狼だったが、ギルガメッシュからはいつものような覇気が感じられず、それどころか銀狼の言葉への反応もなかった。

 

「ねぇ、ギルガメッシュ?………ギル?」

 

何度呼んでも返事がない。

心配になった銀狼は、常日頃なら近づかない距離まで彼に近づき、俯いたその顔を覗き込んだ。

すると

 

「……寝てる?」

 

ギルガメッシュは、珍しく片手を肘掛けに置き、もう方の肘掛けには肘をついて頬杖をつき、深い眠りに落ちていた。普段の喧しいくらいに堂々とした姿が嘘のように静かに眠っている。

しかし、その眠りは穏やかではないようで、眉間には皺が寄り、肘掛けに乗せられた手は痛いほど握り込まれている。

静寂の中、彼の唸るような呼吸だけが響く。

しばらくして、彼は唐突に頭を浮かせ、頬杖をついていた手で眉間を揉みほぐしながら──目を開かないまま──凛とした声で言った。

 

「して、シドゥリよ。東側の戦線はどうなった?あの場所はティアマトの侵攻が最も激しい場所だが、我の見立てでは後12時間は安泰なはずだ……シドゥリ?」

 

彼は焦った様子で閉じていた目を見開き、目の前で困惑した表情をする銀狼と目を合わせた。

 

「……寝ぼけていたようだ。今の発言は全て忘れよ」

「もしかして、ティアマトとの戦いの夢を見てたの?」

「忘れろと言ったはずだ」

 

彼の目線は鋭く、いつになく苛立っているように見えた。

 

「……えっと──」

「話すな。金なら後でいくらでも渡してやる。さっさと出ていけ」

 

ギルガメッシュは窓の外の星を眺め、銀狼に背を向けてそう言った。

銀狼は彼の今までにない態度に困惑しながらも、彼の部屋を出た。

その直後

 

「あら、間が悪かったみたいね」

「……カフカ」

「あなたは気が付いていなかったみたいだから言うわね。……彼の本質は、刃ちゃんとそう変わらないわ。その目は未来しか見えないのに、その心は過去に向かって振り返ったままなの」

 

だから、と付け加えながら、彼女は自らのコート内側から酒で満たされた一本の瓶を取り出して言った。

 

「少しだけ、付き合ってくれないかしら?銀狼?」

 

銀狼は渋々、カフカに続いてもう一度ギルガメッシュの部屋に入った。

 

「ハァイ、ギル?」

「馴れ馴れしいな、カフカ」

「嫌だった?……私の持ってきたこれは、必要ないのかしら?」

「──あぁ、不必要だ」

「あら……それじゃあ、私に付き合って飲んでくれないかしら?」

 

カフカは彼の部屋の戸棚から二つのグラスを取りだし、その片方に並々と瓶の中の酒を注いでギルガメッシュへと差し出した。

 

「あなたは刃ちゃんとは違って、私の言霊で落ち着かせてあげられない。だから、これがせめてもの気持ちよ」

「………………ほう、麦酒か。そのセンスは褒めてやろう」

 

ギルガメッシュはそのグラスを受け取ると、一口飲んでそう言った。

 

「じゃあ、そのお酒のお代に…聞かせてもらえないかしら、ウルクの話を」

「……お前たちにとって、聞く価値のない話だ」

「そうね。確かに、私には聞く価値はないかもしれない。……けれど、この子はとっても興味津々みたいよ?」

 

大人同士が酒を飲み始めたと思い、油断していた銀狼は突然話を振られて驚いたが、ウルクに関して気になっていたのは本当だったので素直に頷いた。

 

「……そうか。ならば、語るとしよう。往日のウルクを」

 

彼はそう言うと、グラスに注がれていた麦酒を飲み干した。

そして、在りし日へと思いを馳せ、口を開いた。

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