Muv-Luv Alternative The story's black side   作:マジラヴ

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今回、ちょっと武ちゃんがやらかします。というか、作者がやらかしました。
理由は簡単。
たけるちゃんが、は○めちゃんになってしまったのです。ネタわかる人いるかな?

後、いつもいつも誤字ばかりですみません。
今回も確認しているんですが、おそらく発見されるでしょう。
皆様には毎度迷惑をかけていて頭も上がりませんが、発見次第ご報告いただけるとありがたいです。
では、本編をお楽しみください。


追記です。
これから2,3日、少し仕事が忙しくなることが予想されます。
なので、更新がその間止んでしまうかもしれません。
こんな拙作を期待してくれている方がおられたら申し訳ありませんが、どうがご理解の程お願いいたします(土下座)


episode2-1 選択と疑念

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『くっ!!ああ、もう!!なんで当たんないのよコノォオオ!!』

 

「・・・・・・」

 

 

苛々した声を隠そうともせず、頭の中まで燃え上がっている事が悠々と想像できるような声で、速瀬の操る不知火がペイント弾を吐き出している。銃口の向いている先は、言わずもがな武の操る不知火だ。

 

 

現在は11月7日。武が207B分隊の4人にアドバイスをしてから1週間と少しの日にちが経過していた。途中、鎧衣美琴が加わり、あの独特な喋り方で挨拶をされ、ついていけなくなってしまったことはお約束であり、変わってしまった武をも驚かす威力を秘めていた。

 

 

それと相まって、XM3についても武とヴァルキリーズのメンバーによってどんどんと進化していった。初めこそ、XM3の操作性の繊細さに驚くヴァルキリーズだったが、慣れてしまえば流石、夕呼直属の特殊部隊。

 

 

武の予測を上回る速さで、そのXM3を使いこなして腕をメキメキと上げていた。今日も今日とて、漸く実機に慣れてきたヴァルキリーズのメンバーと模擬戦をやっているところなのだ。

 

 

そして今、武はヴァルキリーズの突撃前衛長の速瀬を相手に戦闘を続けていた。尤も、続けていたとは言っても、2回目からは速瀬とのタイマンで、それでも今現在までで4回も模擬戦を繰り返しているのだから、疲労の様子を伺わせない武は、誰から見ても流石という他なかった。

 

 

しかし、それもそろそろ限界だ。

 

 

「・・・・・・そろそろ、決着をつけるか」

 

 

自分以外誰もいないコクピットの中、ポツリと呟いた武の一言は嫌に響いて自身の耳に返ってくる。頭の中に浮かんでいる、夕呼からの呼び出しを思い出すに、これが本日最後の模擬戦となるだろう。如何に模擬戦といえど、武としては負けるのは癪だった。

 

 

何せ、撃墜判定を受けるということは、機体にペイント弾の汚れを残してしまう事を意味する。

 

 

となれば、最低限自身の機体の面倒を見なければいけない衛士としては(特にA01はそこらへんが厳しい。主に隊長の主張による)ペイント汚れを落とすのを手伝わなければならなくなる。

 

 

今や迂闊に飛び出せばペイント弾の嵐とかしている攻撃を機体に受ければどうなるか。想像しただけで嫌になる。それも、掃除をするとなれば夕呼との重い話の後になるのだ。それだけは、絶対に死守すべき事案だった。

 

 

ただでさえ険しい表情を更に険しく歪め、武はグッと操縦桿を握る手に力を入れる。物陰に隠れるのも最早飽きた。これで決着を付けると覚悟し、飛び出すタイミングを心の内で数えてカウントする。

 

 

『コソコソ隠れてないで、いい加減出てきたら!?』

 

「(3・・・)」

 

『それとも疲労がたまって動けないの?』

 

「(2・・・)」

 

『だったら終わらせてあげるわ!!』

 

「1ッ!!」

 

 

瞬間、踏み込まれるスロットルペダル。動力に火が入り、加速音が鳴り響き、武の機体が速瀬の視界に映る。それを見てニヤリと獰猛な笑みを浮かべる彼女が、自動照準ではなく手動で狙いを定めてトリガーを思い切り引く。

 

 

自動照準ではなく、速瀬が手動で照準を合わせているのは武の機動が余りに早く捉えるのが困難な為であり、自動照準では遅すぎる為だ。機械の処理に任せていては、狙った時には既に遅すぎる。

 

 

そして、あわや必殺と思われるタイミングの銃撃。常識であればそれで詰みの展開であり、チェックメイト。だが、事武に至っては常識は通用しない。

 

 

「うォオオオオオッ!!」

 

 

張り上げる咆哮と共に、繰り出される三次元機動。常であれば躱せない銃撃を、壁を蹴り、ジャンプし、常人であれば理解不可能な複雑な機体制御をもって銃弾の雨を躱しきる。

 

 

その結果、速瀬の撃った銃弾は廃墟同然のビルや、既に機体が通り過ぎたあとの空を切り、遠く離れた場所にペイントを散らすだけ。

 

 

『んなッ!?』

 

 

それを目の前で見せられ、間抜けな声を上げる速瀬。模擬戦の時と同じ。自分には理解不能な機動で振り回され、最早驚愕の声を上げるしかない。

 

 

『って、げぇっ!?』

 

 

そして、タイミングを狙ったかのように訪れる弾切れのタイミング。そして、機体越しに視線が合致する感覚。となればあとは語るべくもない。銃殺刑の執行の如く向けられた、4つの銃口。それが一斉に火を噴き、

 

 

『うぇえええええええええっ!?』

 

 

速瀬の無残な叫び声と、機体がピンク色の液体に染まるのはほぼ同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あああああっ!!私の不知火がっ!!?」

 

「見事に自業自得ですね。速瀬中尉、お掃除ご愁傷様です」

 

「アッハハハハハ!!いやぁ、やっぱ流石だねぇ黒鉄大尉」

 

「笑い事じゃないよ~。私達の機体だって、速瀬中尉程じゃないけど機体がとんでもないことになってるんだからぁ!!」

 

 

実機での模擬戦が終わり、機体から降りて悲鳴と笑い声を上げるヴァルキリーメンバー。見上げる先には、会話に出てきた通り武によって直撃させられたペイント弾が、機体をピンク色に染め上げていた。

 

 

勿論、見るまでもなく速瀬の機体が一番とんでもないことになっているのだが、そこについては誰も深くつっこまない。言えば、ただで済まないことは理解できているからだ。

 

 

今回の模擬戦では、長刀及び短刀の使用を禁止したものだっただけに、必然的に攻撃方法はペイント弾に限られたわけだが、それが戦闘の結果より悲しさを誘発させた。

 

 

遠くで見る武でさえ、やった本人でありながら少しすまなそうな表情を浮かべているほどだった。その被害がどうであるか、推して知るべしだ。幾ら、今回使用したペイント弾が水で落ちやすい性質のものであるとは言え、これを綺麗にするのは徹夜で済むかどうかといったところだ。

 

 

恒例の事に、整備兵達には災難なイベントとなってしまったようだ。そろそろ本当に、武の所に殴り込みが来そうである。先日は、笑いながら冗談込みでの注意があったわけだが、これはそれ以上にマズイだろう。

 

 

とりあえず、その文句を聞くのは後だ。ただでさえ、時間を予定より喰っているのだ。武はそれによって起こるだろう被害を予測し、夕呼の方を優先すべきと判断すると、みちるに一言言ってその場を後にする。

 

 

さっさとドレッシングルームに向かい、シャワーと着替えを済ませると、やや駆け足で夕呼の部屋へ向かった。自動式のドアを駆け足で過ぎ、執務室に入ると不機嫌な顔を隠そうともしない夕呼の姿が目に入る。

 

 

それを見てやはりと思う一方で、文句は甘んじて受けようと覚悟を決めて武は謝罪の言葉を口にした。

 

 

「遅れました。申し訳ありません」

 

「遅いわよ。まぁ、どうせ速瀬辺りが熱くなって模擬戦が長引いたんでしょうから、アンタに言ってもしかたないんだろうけど。まぁいいわ。遅れた分、要件だけをさっさと話すわよ」

 

「はい、お願いします」

 

「昨日の事なんだけど、新たに記憶媒体からデータを抽出できたわ。それによると、どうやら11月11日、つまり今週の日曜ね。佐渡島ハイヴから、BETAが本土に上陸するらしいわ」

 

「・・・忘れてました。そういえば、そんな事があったような記憶が」

 

 

失念していた事に、武はやってしまったと内心頭を痛めた。いや、忘れたというよりは、最早武にとってはその程度のことに一々頓着しなくなったというだけか。

 

 

ハイヴ突入作戦の事や、重大な事柄については覚えているものの、その程度の事は記憶にうもれてしまっていたのだ。

 

 

おまけに、その本土上陸したBETAは被害は出したものの結局全滅に成功した筈だからだ。そしてそれは間違っていない。抽出したデータを夕呼が読み上げると、結果としてはそのようになったという事が聞き取れた。

 

 

「で・・・どうする?」

 

「どうする・・・とは?」

 

「決まってるじゃない。この通りなら、BETAが本土を上陸することは確実。何もしなければ、出る被害まで詳しく載ってるけど、私としては見過ごしても構わないと思ってる」

 

「それは・・・データの通りに未来が起こっていると、確認する意味でですか?」

 

「まぁそれもあるわ。でも実際、私はあの記憶媒体の中身の存在に対しては疑っていない。というより、ほぼ十中八九確信してるわ。だから、それについては疑う余地はない。何なら、帝国側にこの事をボカして伝えてもいいと思ってる。けど・・・」

 

 

急に口を噤んで、夕呼はコーヒーを一気に煽った。中身が温かったからか、とても嫌そうな顔をみるとご愁傷様としか言えないが、今はそんな軽口も出ない。武は今、夕呼の言おうとしていることを理解しようと頭を捻らせているからだ。そして、偶然にも思い至る。

 

 

「・・・成る程。先生はこの横浜基地に所属していますが、元々は帝国の大学の学者だった。という事は、帝国にも少なからず繋がりがあると考えられる。そして、帝国と繋がりを持つのなら、できるだけ隠密性に優れた・・・いや、最も優秀な使い役を選んでいても不思議ではない。そうなれば答えは自ずと出てくる」

 

「ふふん、言ってごらんなさい」

 

「帝国情報省の鎧衣左近。彼の人物と繋がりがあるんですね?だが、あの人は帝国側の人間。おまけに頭もキレる。下手に何かアクションを起こそうものなら、勘付かれ、探られ、後々面倒なことになる」

 

「大正解。っていうか何よ?アンタ、アイツの事知ってる・・・ってそうよね。斯衛にいたんだっけ。だったら当然か」

 

 

嫌そうな顔をして、肩を落とす夕呼。彼女は立場上帝国側の人間とはいえ、元々軍人ではない。おまけに、そこまで帝国に対してもいい印象を持っていないようだ。彼女は本来帝国の研究者だというのに、それは一種の皮肉なのだろうか。そんなくだらない事を、一瞬武は考えてしまう。

 

 

だが、そんな下らない事を考えている場合でもない。口で言うほど、鎧衣左近という男は甘くないのだ。キレ者等と言っているが、実際はそれ以上。独特な会話でかき乱されたかと思えば、急に鋭い一言を言って動揺させてくる。しかも、それが天然でやってるのではないかと思われるほど巧妙だから、尚更質が悪い。

 

 

武が聞いた噂では、彼にかかればどんな情報でも手に入れることは容易いとか。

 

 

「とは言え、よくもそんな人物と・・・」

 

「敵の敵は味方・・・とまでは、都合よくいかないんでしょうけどね。実際、使い勝手がいいのは確かだし、いざとなったら使い捨てる覚悟はしてるわよ」

 

「それで都合よく切り捨てられればいいんですがね。俺達衛士とは違った意味で修羅場をくぐり抜けていますから、相当腕が立つのは確かですよ。実際、彼を暗殺するために間諜を送り込んだものの、返り討ちにあったという話も聞いてますし」

 

「なら、牙を向かれないように気を付けるわよ。向こう側にとっても、私の研究で人類救済の目処が立つなら文句ないでしょうし」

 

 

軽い調子で言う夕呼だが、確かに言っていることは筋が通っている。それに、夕呼が消えて困るのは帝国も同じことだろう。彼女を置いて、第4計画を成功させられる人間がいないのも確か。失敗すれば、即最悪の第5計画が立ち上がるのだ。

 

 

みすみす、そんなヘマをして悲劇を起こさせるほど馬鹿ではない。先まで考えると、武もその結論に達したためにそれ以上は言わなかった。故に、考えるべきは11日にどうするかだ。

 

 

最悪の場合、夕呼の言う通り放っておくというのも1つの手だ。否、万全を期すならそれがいいだろう。しかし、気になることも幾つかある。その為、武の中でも直ぐには判断できかねない。そうして、あらゆる考えを浮かべては捨て、浮かべては捨てと繰り返すこと約5分。

 

 

最良とは言わず、苦し紛れでもあるかもしれないが、ギリギリの策を武は思いついた。下げていた表を上げ、表情を引き締めて夕呼を見ると、何か勘付いたのか言ってみなさいと武に進言した。ならばと、武が思いついた策を言うべく口を開いた。

 

 

「この際、帝国側にハッキリと告げてしまってはどうでしょうか?」

 

「帝国に?それはどう言った意図で?」

 

「俺個人としては、正直この件は放っておいても良いと思います。ですが、先の事を考えれば戦力は減らさないに越したことは無い筈です。ですから、この一件を限定してBETAの動きを察知できたとハッタリをかますんです」

 

「・・・成る程。あらかじめこちらから明言しておく事で、実際に起こった際に戦闘による被害を減らし、向こうに恩を売っておくというわけね。そして、肝心の理由を聞かれた際には、それが元々横浜基地を目指していた事から、ここに残っているBETA施設とオルタネイティヴ4の研究の成果のおかげですと答えればいい。今回の進行が終われば、当分は佐渡ヶ島からもBETAは来ないでしょうし、その間に・・・」

 

「先生の言う、オルタネイティヴ4が成功すれば佐渡ヶ島ハイヴを落とせば良い。先生の事だから、実際計画の成果が上がった際にはテストか何かをする予定なんでしょう?例えば、その有効性を示す為にハイヴの攻略作戦のような何かを。そしてそれをするなら、ここから最も近く日本にとっても邪魔な佐渡ヶ島が有力候補地点だ」

 

「おっどろいたわね。まさかそこまで推測できたなんて!!伊達に修羅場はくぐってないってわけ?それとも、元から勘が殺人的に良いとかかしら?」

 

 

おどけていう夕呼だが、決して巫山戯ているわけではなかった。寧ろ逆だ。本気で、武の鋭さには驚いている。そしてそれは、逆に武にも言える事だった。何故か知らないが、ふとそんな風に考えられてしまったのだ。否、そうとしか考えられなくなったというわけか。

 

 

だが、詳しく聞かれない以上それはそれで黙っている。今はそれを気にしている場合でもない。まだ、武には疑問としていることが残っているのだから。それを理解しているからだろうか。夕呼が特につっこまないのは。何れにせよ、話の腰が折れないうちに考えは話しておくに限る。

 

 

「しかし、帝国もそう言われただけでは信じないでしょう。だから、あらかじめ夕呼先生の口からA01部隊を派遣することを明言しておくんです。それと同時に、そのA01が新OSのXM3を搭載した機体であるということを。そうする事で、実際に俺達XM3を搭載した機体の機動を確認させ、向こうから是非にXM3をよこせと言ってくるように仕向ける。勿論、XM3がオルタネイティヴ4の研究の一環だという事実も忘れずに」

 

「結果的に、私達オルタネイティヴ4の成果が出ているのをハッタリではないと見せられる上に、帝国に幾つか貸しを作れる。おまけに、オルタネイティヴ5支持者を牽制して、上手くいけばあっちがボロを出して仕留めることも可能になるかもしれない」

 

 

そこまで言って黙り込む夕呼。と言っても、結果は決まりきっているようなものだ。ここまで利点を示しておいて、反応しない夕呼ではない。おまけに、夕呼が好みそうな腹黒い作戦だ。これが成功すれば、美味しい特典が幾つも付いてくる。つまり。

 

 

「フフフッ、いいじゃない。そういう策略は大好きよ、黒鉄。認めてあげるわ、貴方のその作戦を、そして有能さを」

 

「ありがとうございます」

 

「それじゃあ、早速準備に取り掛かりましょうか・・・って何よ?私が褒めてあげているのに、そんな辛気臭い顔して」

 

「・・・・・・いえ」

 

 

夕呼の言葉に、武は直ぐには答えられなかった。それというのも、まだ不安が残っているというのと、先程から感じている妙な感覚だった。自身が知るはずのない、というより自分には覚えがないのに何故か知識として浮かんでくる情報。

 

 

そしてそれを、何の違和感もなく捌いて作戦に組み込んでしまう自分の考え。考えれば考えるほど、奇妙だった。何より、そこまで不可解に思っていながら、浮かんでくる知識を、信じて疑わずにいられる自分の心が信じられない。

 

 

夕呼は計画の目処は立っていると言っているが、それだって今考えてみれば確証について武は得ていない。

 

 

「・・・・・・まだ疑ってるのかしら?」

 

「・・・正直に言えば」

 

 

何をとは言わないし、言わせない。そんな事は、言わなくても両者理解しているのだから。夕呼と武はそのままじっと、お互いの目を睨み合いながら硬直状態となるが、やがて降参とでも言うように夕呼が両手を挙げた。それには武も、若干ながら驚きを見せる。

 

 

当然だ。どのような時だろうと、香月夕呼が自分から負けを認めると言う等、正直、天地がひっくり返ってもありえないことだと思っていたのだから。それは、彼女を知る人間なら誰でも思う事なのではないだろうかと、そう思えるほどに。

 

 

しかし夕呼は言ってみせた。それも、笑みさえ浮かべて。一体何が彼女をそうさせたのか、武はそんな考えてもしょうもない事を考えようとして、目を伏せてその考えを消し去る。そんな事、考えたとしてもBETAの行動くらい読めないのだから仕方ないのだ。

 

 

夕呼も、武がしょうもない事を考えているのは雰囲気で悟ったのだろう。わざとらしくため息をつくと、話の続きを口にする。

 

 

「あなたが心配している計画の事だけど、私にしかわからない事がデータを抽出するたびに出てくるのよ。香月夕呼にしかわからないであろう、その事実が」

 

「先生にしか・・・理解できない」

 

「そうよ。だから、他人に話したところでどうにもならないし、どうしようもない事。でも、私にとっては重要な意味を持つものが、ね。だから、アンタは安心して自分のやるべきことをしっかりやりなさい。前にも言ったけど、下らない事で足元すくわれるなんえ冗談じゃないんだから。それとも、天才である私の言うことが信用できないかしら?」

 

「・・・了解」

 

 

夕呼のその言葉と態度に、今度こそ武はしっかりと頷いて敬礼を決めた。今回ばかりは、武の敬礼の意味も察したのか夕呼は特に文句は言わなかった。その表情に、生意気とも自信家とも取れる笑みを浮かべ用は済んだとばかりに、武を部屋から退室させる。

 

 

そうして静かになった部屋で一人、夕呼は椅子に深く腰掛け大きなため息をつく。

 

 

「この私に不安を覚えるだなんて、生意気なガキだこと」

 

 

フフッと、小さな笑みを浮かべる夕呼。脳裏をよぎるのは、武の言った言葉に自信満々に答える自身の姿。武に言った事は決して嘘偽りではない。

 

 

しかし、確かに僅かな不安を自身で覚えていたのも事実。それを指摘されたのは、天才たる自身の言動が僅かにでも不安を感じさせてしまったからなのか。

 

 

「全く、ままならないわね」

 

 

夕呼はそうして、パソコンの横の付属機器に接続された、記憶媒体に視線をやった。機械は機械であり、自身の意思で何かを発することはない。

 

 

なのに、その記憶媒体が一瞬何かの返事を返したと思われたのは、彼女の気のせいか錯覚だったのか。

 

 

何れにせよ、科学者らしくない事を思ってしまった夕呼は、自嘲の笑みを浮かべると、忙しくなるこれからのことを考えて、期待に胸を躍らせたのだった。




今回、たけるちゃん名探偵になる!!の回でしたね。
背後から、バーローという声、じっちゃんの名にかけてという声が聞こえてきそうです。
それを考えると、ちょっとギャグっぽくなっちゃったかな?と心配する作者です。

それと補足説明です。
武ちゃんのポジションについてのことなんですが、この作品ではポジションを限定させうようにはしないようにしたいと、そう考えております。
彼の本来のポジションは、皆様もよく知る突撃前衛ですが、その他の能力も恐らく高いことは想像できます。なので、主に戦闘では突撃前衛を担当することにはなりますが、場合によってはその他のポジションを担当することになるかもしれません。

というのも、TDAでの武ちゃんの活躍と練度を見た限り、ヴァルキリーズメンバーと無理に組ませてしまうと、武との実力の差が違いすぎて、連携にかえって穴が空きかねないと判断したからです。

これはあくまで作者の想像です。想像ですが、現実でも余りに能力が高い人と組んで下手に支援をしようとすると、返って能力の高い人の仕事を阻害してしまう事があると思います。
私が経験する社会人としての経験でも、そういう場面は何回かございました。

加えて、マブラヴ世界はただでさえ過酷な戦場です。そのような中、下手な援護は致命的な展開になり得ることが私としては想像できるんですよ。
尤も、突出しすぎて孤立してしまえば、幾ら彼といえど死ぬことは想像に難くないでしょう。

何だか長くなってわかりにくくなってしまいましたが、今後BETA戦において武のポジションはその都度明確にしていきたいと思います。


これは生意気な発想、及び浅慮な考えと思わざるを得ないといった考えを持つ方は多くおられますでしょう。特に、オルタを深く愛する方々には湧いて当然の疑問だとも言えます。

ですが、そこについては今後文章と説明でカバーしていきたいと思いますので、深いご理解の程お願い申し上げます。





長文、失礼いたしました。

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