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長かったですがこれでクリスマス編は終わりになります。
展開が遅いのでなるべくテンポよく進められるようにしますのでよろしくお願いします。
前話より数分前のこと。
俺は星歌さんに呼ばれたとひとりちゃんから言われて、その場へと向かった。
響木「星歌さん。」
星歌「ん?どした?楽しんでるか?」
響木「はい。ありがとうございます。男が俺1人しかいないのはちょっと気まずいですけどそれ以外を踏まえると楽しいです。」
星歌「はは。良いじゃん。ハーレム最高だろ。」
相変わらずこの人は他人面をして困る。
そもそもここを貸切状態にしたのはあんただというのに。
響木「じゃなくて、何か用があったんじゃ?」
星歌「ん?用?」
響木「え?いやひとりちゃんが…」
星歌「ぼっちちゃん?何の話?」
響木「いや…」
妙だ、と。
仮にも彼女はギタリストで耳の聞こえがいいはずなのに、聞き間違え?が起きたのだろうか?
ただ少しの違和感だったこともあり、俺は考えることをその時、やめてしまった。
星歌「そうだ。ライブ。どうだった?」
響木「それは彼女たちに聞いてあげたほうがいいんじゃ?」
星歌「それは後で聞く。お前の率直な感想を聞きたいんだよ。」
そう言って星歌さんは真剣な表情で俺を見た。
俺から見たものを伝えたとて一素人の意見。さして参考にはならないだろうに。
ここでも少し期待が俺の心にのしかかるようなそんな気がした。
響木「…そうですね。簡潔に言うと完全アウェー、でしたね。」
今までSTARRYといういわば自分たちの得意とするステージから一気に違う箱へと変わる。
それは彼女たちにとっても大きなプレッシャーで、観客にとっても受け入れ難いものへと変貌していた。
それでも
響木「それでも彼女たちは、かっこよかったですーーー。」
そう、俺は確信した。
奏でられた音色の稚拙さも、伝わってくる音の鼓動も
俺は彼女たちに魅入られていた。
星歌「…そっか。」
響木「それだけですか?」
星歌「ちげーよ。安心したんだよ。」
響木「安心?」
星歌「お前の心、ようやく動き始めたな。」
響木「俺、ですか?」
星歌「昔に言ったろ?ずっと見てるって。何も気にかけてるのがお前だけじゃないから。」
私にもお前のこと、気にかけさせてくれ。
そう言って星歌さんは照れ臭そうに耳を真っ赤にして、結束バンドの元へと駆けて行った。
いつも本音は抱え込む人があんな顔で言うとは。
何だか微笑ましくなってしまう。
そう感じながら、俺も彼女たちの元へと戻ったのだった。
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クリスマスパーティーも佳境に入り、お開きにしようと動き始めた矢先だった。
響木「!」
俺の携帯音が鳴った。
相手の名は『廣井きくり』
そういえばクリスマスライブの開催はSICK HACKのはずが当の本人は不在だったことを今、知った。
『あー!やっと出たー!!響木くーーん!!??ねぇねぇ!今、絶対STARRYにいるよね!?そうだよね!?お姉さん何でも分かっちゃうんだぞー!お姉さんも今からそっち行くから絶対待っててよー!というか何で私置いてかれたの!?ねぇねぇ響木く』
響木「」
切った。
急いで切った。
何だか怖くなった。
響木「何で俺の居場所把握してるんだ、この人…」
虹夏「ねぇ、響木くん。相手誰だったの?」
響木「…きくりさん。」
虹夏「…ちっ」
星歌「マジか…」
きくりさんは一体この姉妹に何の嫌がらせをしたらこんなに嫌われるんだろうか。
あの虹夏ちゃんが舌打ち。星歌さんは絶望顔。来て欲しくないオーラが漏れ出てしまっている。
そんな冷ややかな雰囲気になっている中、喜多さんが俺の元に来た。
喜多「…響木先輩?」
響木「どうしたの?」
喜多「一つ伺いたいんですけど、きくりさんとどういう関係なんですか?」
響木「どう…か、なんだろうな…俺を繋ぎ止めてくれる人、なのかな。」
喜多「!それって!それって…特別な人、ってことですか?」
圧がすごかった。
まるで誰にも譲りたくないかのように、前のめりになって問い詰められた。
響木「まぁ言い方を変えれば特別な人、なのかな…」
喜多「…そう、なんですね。」
その瞬間、喜多さんの手元にあったカップからミシッと音が聞こえた。
そんなに力を込めるほどのことがあったのだろうかと思っていたがさして何も問題はないだろう、とそう聞こえぬふりをした。
響木「ま、まぁ…すぐには来れないし、このままお開きして「ぬわー!やっぱりいたー!良かったー!」あぁ…」
1番来て欲しくなかった人No.1の来訪だ。
きくり「私、1人で響木くんのことずっと待ってたんだぞー!熱い夜を過ごそうって言ったじゃん!」
言ってない。何一つ言ってない。
だからひとりちゃんはその冷ややかな目を俺に向けないで。
リョウは虚な目でこっちを見ないで怖い。
喜多さんも笑顔が笑ってないなー怖いよ。
虹夏ちゃんは般若出ちゃってるけど大丈夫そう?天使の異名崩壊するけど大丈夫そう?
星歌「チッ…なんで来たんだよ。」
きくり「えーなんか先輩辛辣ー。もちろん結束バンドとSIDEROSのメンバーにお疲れーって言いに来たのと」
きくり「響木くんを攫いに!」
星歌「させねぇからな!!」
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虹夏「さて!気を取り直して〜!店長への誕生日プレゼントお渡しタイムに入りま〜す!」
星歌「別にそこまでしてくれなくてもいいのに…でもありがとな…」
きくり「ちょ…せんぱ…爽やかな顔して決めないで…ギブ、ギブ…」
そうしてきくりさんが星歌さんより温かなプレゼント(店長直々秘伝のヘッドロック)を送られながら最後の一幕、星歌さんへの誕生日プレゼント会が始まった。
(比較的)穏やかな雰囲気で喜多さんが誕生日プレゼントを渡している時にだった。
リョウ「ねぇ。響木にぃ。」
響木「うわ…どうした?」
リョウ「助けてほしい。」
何だか穏やかでは終わりにはならなそうだった。
それでリョウに連れられて、俺は外に来たわけなのだけれど
響木「俺はなんで雪だるまを作らされてるんだ?」
リョウ「口を動かさないで手を動かして。」
響木「いやなんでだよ…」
そんな強制労働を強いられているわけなのは意外なもので。
数分前のことだったーーーーーー
ーーーーーー「誕生日プレゼント用意するの忘れた?」
リョウ「声大きい。」
盛り上がっているところ、リョウに呼ばれて抜け出したものの言われたことはなんと星歌さんへのプレゼントの話だった。
どうやらいつもながらではあるもののお金がとてもとても用意ができず、誕生日プレゼントを考えている余裕がなかったらしい。
響木「はぁ…もう何年も祝ってるんじゃないの?」
リョウ「それはなんとか切り抜けてきた。今年もいけるかと思ったけれどまさかこんな催しが行われるなんて…」
ほろりと涙が一粒。
他責にするな。他責に。
リョウ「それで私は考えた。雪だるまを作ろうと。」
響木「んー…それはなんで?」
リョウ「何を渡すかじゃない。大事なのは気持ちだよ。」
響木(だからって雪だるまはないんじゃないか?ーーーーーー
それが今に至る経緯だ。
なんにせよ。今は雪だるまを作ることに集中だと悴んだ手で作っていると
リョウ「寒い?」
響木「何を当たり前のことを。」
リョウ「そっか。ならさ。」
と後ろから声がすると思えば温かな人肌が俺の体を包み込んだ。
その体は上着などに何重だろうと彼女が女であることをまるで思い知らされるかのようだった。
響木「…急に甘えてくるな。」
リョウ「お堅いこと言わないでよ。」
響木「雪だるまが作れん。」
リョウ「…今は私に集中して。暖を取りたいんでしょ。」
そう言って彼女はまた力を込めた。
まるで俺を離さないようにするためのように。
リョウ「私の音、どうだった?」
響木「…良かったよ。少しずつリョウらしさが感じる。」
リョウ「ぼっちよりも私の音、聴いたんだ。」
響木「どう言う意味?」
リョウ「言ってたじゃん。響木にぃ。覚えてないの?バカなの?」
“会場の中にいるから俺を見つけてね。ひとりちゃんの音、聴いてるから。“
なんて臭い言葉だろう。
今振り返って恥ずかしさが込み上げてくるもののどうやらリョウはそれを気にしていたみたいだった。
まるでそれは以前に見せた妖艶な女性の姿ではなく、まるで嫉妬する乙女のようでそんな姿が
どうしようもなく。可愛いと思えてしまった。
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「わ、わ、私は歌をプレゼントします!!」
耐えきれないムードの中、私は口走ってしまった。
すっかり忘れていた店長さんへのプレゼント。
何か策がないか、頼りにしていた響木くんはどこにもいない。
だから私はテンパった。もうどうしようもなく。
ただ一つ違和感が過ぎった。
どうせ同じだろうと高を括っていたリョウさんもいなかった
虹夏「ぼ、ぼっちちゃん…歌は流石に…」
喜多「ひとりちゃん…本当に痛いわ…」
何だか哀れみな目を向けられている上に弾こうと思った矢先、弦が切れて私は断念を余儀なくされた。
そんなお通夜ムードが流れそうな中だった。
リョウ「遅れた!プレゼントです!」
星歌「うぉ!なんだ!?」
そこにいたのは雪だるま。
言ってしまうとあまり出来栄えはよろしくない。
そう。まるで私の最悪のプレゼントのように…
リョウ「私が作りました!可愛がってね!」
響木「違うだろ。俺が作ったんだろ。」
前言撤回だ。
素晴らしい出来栄えのプレゼントに変わった。
星歌「…まぁ響木が作ってくれたんなら。」
リョウ「え。私からなのに。」
星歌「うっせぇ。クズベーシスト。」
いいな。店長さん。
なんでもいい。私ももし天変地異が起きるくらいな出来事があるなら響木くんから何か欲しい。
なんなら私を支援してほしい。
そう思っていると先ほどまで感じた違和感が強まった。
ひとり「ね、ねぇ…響木くん。」
響木「ん?どうしたのひとりちゃん?」
ひとり「て、店長さんのプレゼントって響木くんも用意はしたの…?」
響木「俺…はまぁ…リョウとの共同プレゼントってことで。」
ひとり「…え?」
私の中で何かが崩れる音がした。
その顔はまるでちょっと恥ずかしそうででも何だか嬉しそうで。
まるで、まるで…
多分その言葉を聞き耳立てていた人は他にもいただろう。
それこそ、虹夏ちゃんや喜多さん、大槻さんもお姉さんも。
別に何かを一緒に作るかはさして問題じゃない。
ただ。ただ問題なのは。
彼にそんな表情をさせたことが1番の問題なのだ。
そんな更なる絶望に打ちひしがれていた最中、リョウさんの顔は妖艶な表情で、あたりを見下しているようだった。