Q.どうして神様転生で、スコアアタックを走らなければならないのか? 作:落陽 幽雪
栄えある中央魔法学校の入学式、新入生代表として答辞を述べる為にステージ立っていたのは輝くような蒼銀の髪を靡かせる、碧眼の少女だった。
「この度は、私たち新入生のために、心の籠った祝辞を頂きありがとうございます。」
空気が変わるのは一瞬だった。
「そして私以外の新入生の皆さーん、負け犬生活ご苦労様ですわ〜!! これから学園生活、私に負けたことを心に刻み、生活してくださいね〜」
一瞬にしてその場の空気が固まった、いや、凍りついたと言っても差し支えないような空気の変わり具合だった。最初に正気に戻ったのは誰だったか、舞台脇に立っていた教員の1人が壇上に上がり、彼女の頭を引っ叩いて壇上から引き摺り下ろしていった。
少ししてからガヤガヤと場が騒がしくなる、これが現代日本だったら大顰蹙ものだが、ここは中世の王国をモチーフとした世界、やらかす奴は年数人出てくる。故に生徒の反応は様々なものだった。
「やりやがった、今入学式だぞ」「今年は入学式かぁ、去年は早くても体育祭だったのにねぇ」「やばい、あんな女の子に負け犬とか呼ばれる新入生羨ましすぎだろ、俺も新入生になれないかな」「今年の首席は活きがいいね、後で生徒会に誘っておいてよ」
何事もなかったかのように粛々と式は進行していく、まるで何も無かったかのように、これが日常茶飯事な学校とか嫌かもしれないが、そういうものである。
実績〈
| 現在配信中です | ○名無し 本当にやったな ○名無し まさか誰も本当に実行するとは思うまい ○名無し でもお嬢のそういうところ好きだよ ○名無し お前お嬢のどんなとこでも好きそう ○名無し ちなみにこのイベントやるとどうなるん? ○名無し 一部キャラクターの敵対値が上がる ○名無し ぐんぐん!ぐんぐん! ○名無し まぁこのイベント起こせる時点でお嬢に勝てるキャラいないんじゃね ○名無し それがそうでもないんだよな ○名無し 入学試験には筆記があったしな ○名無し それに加え推薦組も居るから、フレーバーだけど ○名無し この環境だとフレーバーだとかなんだとか言ってられんのよな | |
| 【破天荒な】TS転生者死にゲースコアアタック【お嬢様】 | ||
入学式から大体一カ月がたった、あれから特に何もなく一カ月が過ぎてしまった、入学式であんな喧嘩売ったのに案外すんなりとクラスの枠に馴染めてしまった。同級生曰く案外珍しい話ではなく、今回は例年より早い程度でありきたりな学校行事らしい、今日も
「シェルラルカ・グッドライズ、居るか!! 私は
その声を聴いた
「決闘か!?」 「あ、決闘の解禁日もう来たのか、なんだかんだ一カ月早かったな」 「
え、これ俺どうすればいいんだ、というか決闘について何も知らないんだけど、おーい神様方々、説明義務あったんじゃないか、何にも聞いてないんだけど。決闘って何? どうすればいいの俺は? 。
名無し お嬢ちゃんと話し聞いてないからぁ、入学式の後に説明されてたはずだぞ
そのタイミングは俺、入学式のスピーチの件で怒られてたから……やれって言ったのお前らだよな!? 俺悪くねえぞ! 。
名無し どうでもいいから取り敢えず、全部お嬢様言葉に変えて
オファックですわっぁ!! 取り敢えず、受ければいいんですわよねぇ!!
名無し うん、それでいい。決闘はよくあるやつって考えてくれればいい、ただご都合主義の結界みたいなものはなくて、下手したら死人が出る。だからお嬢、肆式は使うなよ
それふりってやつですか? トランザムは使うなよ刹那、了解、トランザム!! みたいな。
名無し ふりじゃないからな!!
「分かりましたわ、その決闘、真の悪役令嬢である、わたくしシェルラルカ・グッドライズが受けて立ちましょう」
あ、やべ、元ネタの方入っちゃった、別に私は悪役令嬢になる必要もないし、流星バカでもないんだ。自分で出来る範囲で進んでいけばいい、生き急ぐ必要はない。
「これより、両者合意のもと、決闘を始めます。アルフレッドさん、シェルラルカさん、双方六節までの事前詠唱が許可されています」
教員立会いのもと、アルフレッドと私が闘技場で向かい合う、魔法使い同士での決闘は基本的に六節までの事前詠唱が許されている。
例えば私が入学試験で詠唱した肆式 グレイプニルは16節の詠唱を必要とする大規模魔法である。まぁそんなもの人に向かってぶっ放すもんではないので決闘用に編んだ魔法を使う事になる。
詠唱を始めたのは、息を合わせたのかのように同時だった。
「 最後通告をここに 汝、我が前に膝をつき 自由を手放すことを赦す 汝の意を我は聞かず 月と陽を追う双狼 我ら獲物を駆る者 」
「 不滅の城を今ここに 我、朽ちることなく 我、滅びることなく 無数の軍勢を今ここに 抗うは白の軍勢 我、戦の指揮を執る者 」
二人が呪文を唱え終えると、教員がカウントダウンを始める。ざわめいていた観客がピタリと静かになる、
「両者構え、3、2、1、開始!! 」
審判の掛け声のかかった瞬間、シェルラルカは走り出す。
「 弐式 スコル・ハティ 」
開号と共に、二匹の
「 陽光の守護者をここに ガーディア・サンライズ 」
無数の鎧を象った、陽光のような熱量を持った兵士が闘技場の半分を埋め尽くすように溢れかえる。恐らく強度はあまりないと考えられるが、脅威なのはその熱量と個体数だ。
だが、サンライズということは
「 汝、月を追うもの 我が身に宿れ アムド・ハティ 」
スコルが、ハティと同化したシェルラルカが兵士を砕いていく、兵士は現状、恐らくオート操作であると推測できる。でなければわざわざ、決闘で闘技場を覆う程の兵士を出す必要はないだろう、大方、本命のための時間稼ぎと言ったところだろうか。
「 不滅の城を今ここに 我、朽ちることなく 我、滅びることなく 無窮の軍勢を今ここに 君臨するは我が兵士 我がここに死線を引く」
っ、来た。案の定時間稼ぎだったのだろう、だが、それを阻止するすべはこちらにはない、兵士の軍勢に割入って戦っているが、終わりが見えない。ほんとにぎゅうぎゅうに詰めたな!? それぞれが熱でできているから敵味方関係なく武器を振ってくるのも厄介だ。
「 円卓の裁定を今一度 我らで囲むは朽ちた円卓 騎士王の剣 湖面に映る 皐月の太陽 貫ける槍 輝かしき聖杯 」
今ので十三節か!? まだ続くとなるとこれじゃ下手したら出力負けするぞ。
「 我が輝かしき騎士よ ラウンズ・サンライズ 」
アルフレッドの前に三体の黄金の鎧に包まれた騎士が現れる、一目見ただけでわかる明らかに出力が高い。大剣、剣、槍か? いや、アルフレッドの腰にも今形成されたであろう西洋剣が吊るされている。
今まで相手をしていた兵士が潮が引くように散らばり、闘技場内を私とアルフレッド達を囲うように配置される。相手は準備万端と言った様子で武器を構えている。
こちらは相性有利とはいえ十四節相手には心許ないとでも思っているのでしょうが、相性の差というのは魔術においてかなり大きな意味を持つ。
「構いませんわ、食い散らかしなさいスコル」
周りを囲んでいる兵士をスコルがドミノでも倒すかのように、ぐしゃぐしゃと食い破っていく。私が目指すのは完全勝利である。
私が相手する必要があるのはアルフレッドと黄金の騎士の四体だけ、余裕とは言わないがこちとら一騎当千を常とする
アルフレッドが我ここにあらんと、武器を構え、声高に叫ぶ。
「入学式でのあの侮言、取り消して頂きたい。我ら
「あら、そう受け取ったの? 別に学科について語ったわけではなくて、あれは私以下の成績しか取れなかった全員への言葉ですわ。」
相手の剣を、槍を躱し、爪で逸らしながら攻撃をさばいていく、恐らくマニュアル操作であろう三体を捌くのは難しく表皮にいくつか傷ができるが致命的な攻撃は貰っていない、今きついのは私より三体を操作しつつ自身も攻撃に加わっているアルフレッドの方だろう。
「尚更許し難い!! それは、それは私たちだけでなく試験に落ちた者達も含まれているのだぞ!! 」
「貴方は、随分と高尚なのね、落ちた人達の為に、怒れるなんて。でも、戦いの中でそんなこと言っていられるかしら、一度負けたらそこまでなのよ、戦場じゃね。」
「ならここでお前に土をつけ、こちら側まで引きずり降ろさせてもらうぞ!! 鎖狼の乙女よ!! 」
彼は高潔なのだろう、少し眩しく感じるが負けてやる義理はない、時間稼ぎは十分だろう。兵士を貪り食らっていたスコルの方を見ると陽光を蓄え、元の大きさの数倍の大きさになっている。
「でもお生憎様、相性の差は覆らなかったようよ? 」
相手の武器を弾くと、一気に距離をとるように後退する。
「もう勝敗は決したみたいなものだから、お土産に私の魔法について教えてあげる。」
「もう勝ったつもりか! 傲慢なお嬢様だな! 」
距離をとったまま、相手の攻撃を牽制するように構えをとる。アルフレッドは三体の騎士を操りながら攻めてくるが、限界が近いのか鼻から血を垂らしていた。
「わたくしの、スコル・ハティは神話になぞらえて太陽光、月光を吸収するようにできてるの、貴方も自身の魔法を組む際に読んだ覚えがあるんじゃなくて? 」
「あぁ、俺の魔法はアーサー王伝説を基に、俺の得意属性である太陽を基にしている。」
「でしたら、私の魔法を見た時点で太陽の属性を抜くべきでしたわね。」
「そこは俺の研鑽不足だ、太陽の属性を組み込むことでギリギリ術式として完成している。」
スコルを移動させ、自身の背後をカバーさせるように陣取らせる。
「この魔法はあれで完成じゃありませんの、見せてあげますわ本当の姿を。」
「なら、詠唱が終わる前に叩くまでだ! 」
アルフレッドが三体の騎士と残った兵士を使い攻めてくる、だが、俺の詠唱の方が早い。
「 太陽を食らうもの 残光を遺さず 全てを喰らえ
スコルが黒き影となり、闘技場内を覆うようにアギトを形成し、喰らいつくす。影で出来た牙が陽光の兵士に触れた瞬間砕けていく、その牙は騎士をも軽くかみ砕き、最後、アルフレッドを影で出来たアギトが拘束した、ここから逆転するのは難しいだろう。
「どうですか? アルフレッドさん、私の魔法の威力は効きましたでしょう? 」
「……あぁ、俺の想像以上だ、完敗だろう、審判、降参だ。」
少し遅れて審判役を行っていた教員がアルフレッドの敗北を、そしてシェルラルカの勝利を宣言する。
「アルフレッドの降参宣言により、この決闘の勝者はシェルラルカ・グッドライズとする! 」
闘技場の観客席から様々な声が聞こえるが、今はそちらに気を向けている必要はないだろう。今はただ、この激戦に応じてくれた戦友への労いの言葉を。
「アルフレッドさん、さすがでしたわ。
「いやはや、入学式であんな啖呵を切ったものだから、どんなものかと思ったら想像以上だった。」
「まぁ、相性差を加味してもよくやった方だと思いますわよ。さて、これから反省会をしますが、もちろん、来ますわよね? 」
そう言って腰をついているアルフレッドに手を差し伸べる。
「ああ、勿論。誘っていただけるなら是非もなしだ、お嬢様。」
「ええ、そうやって喰らいついてくる狼の方がたたきがいがありますわ。」
そう言って手を取った、アルフレッドと共に今日は反省会をして終了となるのだが、その前にやっておかないといけない事を思い出した。
「天上天下天地無双!! 最強の悪役令嬢とは、この私シェルラルカ・グッドライズのことですわ」
そう叫んだ彼女に突っ込んでくれる優しい友人は今は居なかった。
実績〈