「ハァッ……ハァッ……!」
満身創痍のバーダックが、血まみれのドドリアの死を体を見下ろす。
「これで……少しは……マシな顔して……逝けるだろ……トーマ……おめえら……」
壁に手をついて、ようやく立っている状態だ。
(……まだだ。ここでくたばってたまるか)
周囲からサイレンが鳴り響く。
フリーザ軍の艦内は異常を察知し、兵士たちが駆け回っていた。
バーダックは、体を引きずるようにして通路を進む。
(あのとき……フリーザが言ってた。カカロットのポッドとすれ違ったって……)
(あいつは、生きてる。だったら……俺も、生き延びる)
たどり着いた格納庫に、かろうじて使えるポッドが残っていた。
「こいつで……行くぞ」
操作盤に拳を叩きつけると、エンジンが唸りを上げた。
バーダックは深く息を吐いて、シートに腰を沈めた。
「……クソが。結局、こんな手段に頼ることになるとはな」
それでも、顔には悔しさよりも、戦士の眼光が残っている。
(負けたままじゃ終わらねえ。絶対にな)
ポッドが射出され、艦を離れる。
その瞬間、背後でフリーザ軍がざわめき、騒然となっていくのが遠ざかっていく。
バーダックは、血のにじむ拳を握りしめたまま、虚空を睨む。
「……未来も、見えなくなった……終わったのか、あの能力も……」
ーー数時間前ーー 今はなきカナッサ星人から受けた「未来を予知できる幻の拳」はすでに効力を失っていた。
これは未来が変わったからか、あるいは自分の運命はここまでなのか。
安堵とも、虚無ともつかない、そんな心の隙間が広がる。
「……ちょっとだけ……眠らせてもらうぜ……ギネ……ラディッツ……カカロット……」
バーダックは静かに目を閉じた。
………数分後
ポッドの警告音が鳴り、バーダックが目を開ける。
「……もう、ついたのか……?」
窓の向こうに、赤黒く輝く惑星ベジータの姿が見える。
次の瞬間――
ゴォォォォッ!!!
星の中心から、巨大な光が噴き出した。
凄まじい閃光が、宇宙空間を白く染め上げる。
「……っ!!」
目を見開き、拳を強く握る。
爆発が、星を、仲間たちを、すべてを飲み込んだ。
「フリーザ……!」
怒りが胸に突き上がる。
だが、声を荒げることなく、ただ静かに、前を睨み続ける。
(……この命、まだ燃やせる)
(なら……次は、てめえの番だ)
バーダックはポッドの中で、姿勢を正す。
戦士の目をしたまま、誰にも聞こえない声でつぶやいた。
「待ってろよ……カカロット」
ポッドが、静かに宇宙の闇を進んでいく。
その先に待つのは、ただ一つ。
――復讐と、新たな未来。
ーーつづく。
ラディッツどこいったかって? ベジータとかと一緒に生きてると思います