僕のヒーローアカデミア:紅き月の狂宴   作:Dr.Sin

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三人称視点の戦闘って……難しいね!


第2幕:緑谷と爆豪

雄英高校ヒーロー科では、午前中は英語や数学などの通常授業が行われる。

 

「じゃあ、この英文のうち間違っているのは?」

 

(((普通だ……)))

 

(クソつまんね)

 

(関係詞の場所が違うから、四番!)

 

授業の雰囲気が担当教員によって変わるかと思えばそうでもなく、至って普通の授業。それが終わると昼食の時間になる。雄英の大食堂では、クックヒーロー[ランチラッシュ]を初めとした一流の料理が安価で提供され、多くの生徒が学食を利用している。かく言う私もその1人で……

 

「飯田殿に……緑谷殿と麗日殿か」

 

「厶、君は……」

 

クラスメイトが3人で食事をとっているのを見つけ、親交を深めようと思い話しかける。

 

「ペルヴェーレ・スネージヴィナ。長い名前だ、好きに呼んでくれて構わない。ご一緒しても?」

 

「ああ、構わないとも」

 

「では失礼して……頂きます」

 

「ペルヴェーレさんは何を注文したの?」

 

「レバニラ炒め」

 

「見た目に寄らず結構ガッツリ系……!」

 

「個性に血液を多用する関係上、鉄分が豊富な食事が必要でな……まあ好みもあるが」

 

昼食を終え、午後。ヒーロー科特有の授業……[ヒーロー基礎学]が始まる。

 

「わーたーしーがー……普通にドアから来たァッ!!」

 

「オ、オールマイトだ……!」

 

「すげぇや、本当に先生やってるんだな!」

 

「あれ、シルバーエイジのコスチュームね」

 

現れたのは言わずと知れた日本ナンバーワンのヒーロー、オールマイト。この国で知らぬ者はいない、生ける伝説。

 

「画風違いすぎて鳥肌が……」

 

「私の担当はヒーロー基礎学!ヒーローの素地を作るため、様々な訓練を行う科目だ!単位数も最も多いぞ!」

 

「早速だが、今日はコレ!『戦闘訓練』!」

 

オールマイト先生が何処からか BATTLE と書かれた紙を取り出し、そう宣言する。

 

「戦闘……!」

 

「訓練……!?」

 

「初回から戦闘か……流石雄英、と言うべきか」

 

「そしてそいつに伴ってぇ……コチラ!入学前に送ってもらった個性届と、要望に沿って誂えたコスチューム!着替えたら順次、グラウンドβに集まるんだ!」

 

オールマイト先生が指さした先から、数字が振られた四角いものがせり出てくる。おそらくあの数字は出席番号で、その中にそれぞれのコスチュームが入っているのだろう。その出現にクラス全体が興奮の渦に包まれ、私自身も高揚しているのを感じる。

 

 

《グラウンドβ》

 

「格好から入るのも、大事な事だぜ少年少女!自覚するのだ……今日から自分は、ヒーローなんだと!」

 

私のコスチュームは、灰色のYシャツの上に黒いセーラージャケットを羽織り、下半身は白のハーフパンツと黒のロングブーツ……壁炉の家(ハウス・オブ・ハース)の制服を仕立て直したもの。あの場所あるのは悪い思い出ばかりだが、この制服が戦闘訓練を前提に作られた、見た目に反して非常に動きやすいものであるのもまた確かなのだ。

 

とはいえ制服そのままという訳でもなく、ブーツのヒールと襟の白いリボンは取り外し、代わりに採血機能付きのチョーカーを首元、ルミドゥースベルのブローチを胸元に、そして手には当然ブラディトリガーをそれぞれ装備している。

 

「いいじゃないか皆……カッコイイぜ!さあ始めようか、有精卵共!!」

 

 

「先生、ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うんでしょうか?」

 

「いいや、もう二歩先を行く!(ヴィラン)退治は主に屋外で見られるが、統計で見れば屋内の方が凶悪敵出現率は高いんだ!」

 

「監禁、軟禁、裏商売……このヒーロー飽和社会において、真に賢しい敵は闇に潜む!君らには、敵組とヒーロー組に別れて、2対2の屋内戦を行ってもらう!」

 

「基礎訓練無しに……?」

 

「その基礎を知るための実戦だ!ただし、今度はぶっ壊せばOKなロボじゃないのがミソだ!」

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ブッ飛ばしてもいいんすか?」

「また、相澤先生みたいな除籍とかってあるんですか?」

「別れるとはどのような別れ方をすればよろしいですか!」

「このマントヤバくない?」

 

「ンンー聖徳太子ィッ!!」

 

オールマイトが1拍打って生徒たちを制すると、紙を取り出しそれを読み始めた。

 

「カンペ!?」

 

「いいかい?状況設定は、敵がアジトのどこかに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている。ヒーローは時間内に敵を捕まえるか、核兵器を回収すること。敵は制限時間まで核兵器を守るか、ヒーローを捕まえることが、それぞれの勝利条件!コンビ及び対戦相手はクジ引きだ!」

 

「適当なのですか!?」

 

「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることが多いし、そういうことじゃないかな!」

 

「そうか、先を見据えた計らい……失礼いたしました!」

 

「いいよ、早くやろう!!」

 

こうしてコンビのクジ引きが行われ、私のチームはFとなった。コンビ相手は……

 

「君が私と同じチームFか。初めまして、ペルヴェーレ・スネージヴィナだ。好きに呼んでくれて構わない」

 

「おう。俺は砂藤 力道、よろしくな」

 

コンビとの顔合わせも済んだところで、最初の対戦組み合わせのクジ箱にオールマイト先生が手を突っ込む。

 

「最初の対戦相手は……コイツらだ!」

 

箱の中から取り出されたボールには、それぞれA、Dと記されている。

 

「Aコンビがヒーロー、Dコンビが敵だ!他の者は、モニタールームに向かってくれ!」

 

「「「はい!」」」

 

最初の対戦相手に選ばれた4人を除く生徒たちと共に、モニタールームに向かう……場所は覚えていないが、他の者たちと共に行けば間違いは無いだろう。

 

 

《モニタールーム》

 

「さあ君たちも、考えて見るんだぞ!」

 

モニタールームのカメラは各生徒をトラッキングしている訳ではなく、いくつかの定点カメラが映る仕組みらしい。少しの間は動きが無いかもしれないな、と思っていたが……

 

BAGOOOON!!!!

 

「いきなり奇襲……!」

 

曲がり角から、個性をフルに発揮した爆豪殿がAチームに奇襲を仕掛けた。

 

「爆豪ズッケェ、奇襲なんて男らしくねぇ!」

 

「奇し「卑怯なものか。核弾頭の位置を知っている敵側なら、1人にその位置で護衛させ、もう1人が遊撃手として打って出るのも立派な戦術だ。無論、護衛と遊撃双方が十分な実力を持っているいて、お互いの能力を活かせる組み合わせにするのが前提ではある」

 

赤髪の生徒があげた声に、思わず反論してしまう。壁炉の家時代の教育が頭に染み付いていて、そこから反射的に出てしまった……オールマイト先生が何か言おうとしていたのは、気の所為ということにしておこう……そうでないと私はとんでもない無礼者ということになる。

 

「緑くん、よく避けれたなぁ!」

 

「爆豪が行ったァ!」

 

爆豪殿が緑谷殿に掴みかかる。その刹那、緑谷殿が掴みかかってくる右腕を逆に掴み返し、そのままカウンターで背負い投げした。

 

「ほう……」

 

「アイツ、今のを返せるのか!」

 

その直後、定点カメラでは核弾頭を護衛する飯田殿が地団駄を踏んでいる姿が映る。何かを話していたあたり、コミュニケーションエラーでも起きたのだろうか?

 

「爆豪のやつ何を話してんだ?定点カメラで音声ないとわっかんねーな……」

 

「小型無線でコンビと話してたのさ。持ち物はそれプラス建物の見取り図、そしてこの確保テープ!これを相手に巻き付けた時点で、捕らえた証明となる!」

 

「制限時間は15分で、核の場所はヒーローに知らされないんですよね?」

 

「YES!」

 

「ヒーロー側が圧倒的に不利ですね、これ!?」

 

「ピンチを覆していくのがヒーローさ。それに、相澤先生にも言われただろ、アレだよ……せーの!」

 

「「「Plus Ultra!!」」」

 

「ムッシュ、爆豪が」

 

「ん?」

 

画面に動きがあった。緑谷殿は麗日殿を核の確保に向かわせ、爆豪殿との1体1状況を作り出す。爆豪殿は即座に蹴りかかったが、緑谷殿はそれを受け止め足に確保テープを巻き付けようとし、それに対する反撃も見事に避ける。

 

「すげぇなアイツ!」

 

「個性も使わず渡り合ってる!」

 

攻防の後、緑谷殿が逃げの手を打った。爆豪殿もそれを追いかけるが、入り組んだビルの地形もあって見失ってしまう。その状況に腹を立てたのか、彼は自身の個性で手のひらに爆発を起こしながら何かを叫んでいる。

 

「なんかすっげーイラついてる、こっわ!」

 

「追いかけっことして見れば、爆豪殿の行動は失策だな」

 

「お、ペルヴェーレ少女!なぜそう思ったのかな?」

 

「何かを叫びながら、爆破の個性で施設内を破壊しつつの捜索……音を出しすぎている。これでは、緑谷殿に自分の位置を教えているようなものだ。彼はその音から遠ざかるように移動するだけで簡単に逃げきれてしまう」

 

「Good!だが、今回の演習ルールで時間切れはヒーロー側の負け!緑谷少年もこのまま逃げ続ける訳にはいかない!」

 

程なくして核を設置した部屋で飯田殿と麗日殿が接敵。それに合わせ、音を出しての捜索を止めた爆豪殿が緑谷殿を発見し、2箇所で1対1の構図になる。前者は膠着状態になっているが、後者は爆豪殿が腕部のコスチュームにあるピンのようなものに指を掛けている。

 

「爆豪少年!ストップだ!殺す気か!?」

 

「何?」

 

オールマイト先生が無線で爆豪殿に静止を呼びかける。殺す気か、という言葉からただならぬ雰囲気を感じたが、彼はその呼び掛けに応じることなくピンを抜いた。

 

瞬間、大規模な爆発が起こり、モニタールームにまでその衝撃が伝わってきた。

 

「授業だぞ、これ!」

 

「少年!緑谷少年!」

 

一方核の部屋でも動きがあり、無線で爆豪殿に呼びかけているのであろう飯田殿の隙をついて、麗日殿が自身を浮かして核への接触を試みる。しかしそこは速度特化個性、飯田殿がタッチの差で核を奪いその距離を突き放した。

 

「この状況でも自身の役目を全うしようとするのは素晴らしい、が……」

 

「先生!止めた方がいいって!爆豪アイツ相当クレイジーだぜ!?殺しちまう!」

 

「爆豪少年!次それ撃ったら、強制終了で君らの負けとする!屋内戦において大規模な攻撃は、守るべき牙城の損壊を招く!ヒーローとしてはもちろん、敵としても愚策だそれは!大幅減点だからな」

 

オールマイト先生が爆豪殿にそう宣告する。それを聞いた直後、彼は爆発の個性を推進力にし相当なスピードで緑谷殿に飛びかかった。

 

「なんだ今の!?」

 

「考えるタイプには見えねぇが……意外と繊細だな」

 

「自分がカウンターされることを読んで、初撃を目くらましに自身の軌道を急速に変化。そのまま背後に回ってもう一撃……か」

 

「慣性を殺しつつ有効打を与えるには、左右の爆破力を微調整しなきゃなりませんしね」

 

「才能マンだ才能マン、あーやだやだ」

 

その後も爆豪殿による猛攻は続き、反撃の暇がない。

 

「リンチだよこれ!テープ巻き付ければ確保したことになるのに……!」

 

「ヒーローの所業に在らず」

 

「緑谷もスゲーと思ったけどよ……戦闘能力において、爆豪は間違いなくセンスの塊だぜ……」

 

「緑谷殿は……逃げの一手か」

 

「男のする事じゃねぇけど……仕方ないぜ。しかし変だよな……なんで個性使わねぇんだ」

 

緑谷殿が壁の方に追い込まれる。そして、何らかのやり取りがあった後で……彼は、訓練中初めて自分から攻めの択を取った。

 

「攻めに転じた……いや、しかし」

 

「ヤバそうだってこれ!先生!!」

 

「くっ……双方中s」

 

オールマイト先生の中止宣言よりも早く、2人がかち合う。また大規模の衝撃が来るかと身構えたが……緑谷殿は正面ではなく、上に向かって個性を纏った攻撃をした。

 

「上に……麗日殿の位置……そういうことか!」

 

緑谷殿が放った一撃によって、天井まで続く大穴が空く。それの穴は麗日殿と飯田殿の間を丁度貫き、事前に身構えていた麗日殿と違って突然の出来事だった飯田殿は動揺によって隙が生まれる。彼女はその隙に瓦礫の中から柱を取り、その他の舞う瓦礫を飯田殿に向けて打ち放った。彼は防御姿勢を取らざるを得ず、再び自身を浮かせた麗日殿によって……核の確保が成された。

 

 

「ヒーロー……ヒーローチーム、WIIINN!!」




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