第3章、最終話です。今話のあと、今後の展開に関わるアンケートがありますので、是非ご回答をお願いします。
「今年度雄英体育祭、1年の全日程が終了!それではこれより、表彰式に移ります!」
会場の外側から花火が上がり、私たち上位4人……ではなく、飯田殿が早退したため3人が立つ表彰台が煙幕の中から現れる。
「3位には爆豪くんともう1人、飯田くんがいるんだけど……ちょっとお家の事情で早退になっちゃったので、ご了承くださいな?」
(メディア意識……)
「飯田ちゃん張り切ってたのに残念ね」
「それではメダル授与よ!今年メダルを贈呈するのはもちろんこの人!」
ミッドナイト先生がそう言うと、聞き覚えのある高笑いが会場の外から近付いてくる。言わずと知れた、No.1ヒーローの声。
「ハーッハッハッハ!私が!メダルを持って「我らがヒーロー!オールマイト!!」」
そんな彼の登場は、間が悪かったのか事前の打ち合わせが足りなかったのか、ミッドナイト先生の宣言と被ってしまい、何ともしまらない雰囲気になってしまった。
「被った……!……それではオールマイト、3位からメダルの授与を」
ミッドナイト先生からメダルを受け取ったオールマイト先生が、3位の爆豪殿から順番にメダルを掛けていく。
「ハッハッハ!爆豪少年、おめでとう!強いなぁ君は!」
「要らねェンだよこんなメダル!!1位じゃなきゃ何の意味もねェ!!!」
「(顔すっげ……)まあまあ、メダルは受け取っとけよ!自分の傷として、決して忘れぬよう!」
「要らねェつってんだろが!!」
「まあまあ……」
「だから要らねェッて!!」
「せいッ!」
銅メダルの受け取りを拒む爆豪殿に対し、オールマイト先生は首ではなく拒絶の言葉を吐き散らすその口の中にメダルの紐を掛けるという荒業でメダルを授与した。……歯と歯の間に挟まってないか、あれ。
「轟少年、おめでとう。はじめ、決勝戦で炎を使おうとしなかったのは、何か理由があるのかな?」
「緑谷戦できっかけをもらって、分からなくなってしまいました……ですが、スネージヴィナに緑谷とは違う発破をかけられて、俺はあなたのようなヒーローになりたかったという事を思い出しました。けどまだ、精算しないといけないことがある」
「うむ……顔が以前と全然違う。深くは聞くまいよ、今の君なら、きっと精算できる」
「……はい」
爆豪殿とは違い、大人しくメダルを掛けられる轟殿。まあ、それが普通なのだが。そしてオールマイトは、私にメダルを渡すために近づいてくる。
「さぁて!ペルヴェーレ少女!1位、おめでとう!」
「ありがとうございます、オールマイト先生」
彼の手によって、私の首に金のメダルが掛けられる。
「実に見事な戦いぶりだった!今後もヒーローとして、その力を高め続けてくれ!……ところで、観客席から聞こえてきた、お父様というのは……?」
「……孤児院の子供たちが、私のことをそう呼んでいるだけです。私は子持ちでも、まして男でもありません」
「ハハ!そうかそうか!では改めて……優勝、おめでとう!」
「さあ!今回の勝者は彼らだった!しかし皆さん!この場の誰にも、ここに立つ可能性はあった!ご覧いただいた通りだ!」
「競い、高め合い、さらに先へと登っていくその姿!次代のヒーローは確実に、その芽を伸ばしている!」
「てな感じで最後に一言!皆さんご唱和ください!せーのッッ!!」
「「「Plus Ult「お疲れ様でした!!!」……」」」
「「「そこはプルスウルトラでしょオールマイト!?!?」」」
「ああいや、疲れてるだろうなと思って……」
……なんとも締まらない有様だが、これにて雄英体育祭は幕を下ろした。そのまま解散……という訳ではなく、1度制服に着替えて教室でHRをしてから終了となる。
「お疲れー。つーことで、明日明後日は休講だ。体育祭を観戦したプロヒーローから指名などもあるだろうが、それはこっちで纏めて休み明けに発表する。ドキドキしながらしっかり休んでおけ」
「「「はい!!」」」
……休みの間はパレ・メルモニアで過ごすとするか。子供たちにメダルを見せてあげたいしな。
そして、2日間パレ・メルモニアで羽を伸ばした後の最初の学校の日。
「やっぱりテレビで中継されると違うねー!超声掛けられたよ来る途中!」
「ああ俺も!」
「私もジロジロ見られて、ちょっと恥ずかしかったー!」
「葉隠さんはいつもじゃ……?」
「俺なんか小学生にいきなりドンマイコールされたぜ……」
「たった一日で注目の的になっちまったな!」
「やっぱ雄英すげーな!」
A組の皆は、学校に向かう途中で通行人から声を掛けられた者が多いようだ。かくいう私も、雄英までの短い道で何人かから声を掛けられはしたが……それよりも気になるのは、飯田殿のことだ。
彼の兄にして尊敬するヒーロー、インゲニウムが保須市で
……しかし、私には彼を止める権利も資格もない。私は復讐を心に決め、それを実行し、それがたまたま罪に問われなかっただけなのだから。
「おはよう」
「「「おはようございます!」」」
前の扉から相澤先生が入ってくると、体育祭の日は全身ぐるぐる巻きだった包帯が取れていた。
「相澤先生、包帯取れたのね。よかったわ」
「婆さんの処置が大袈裟なんだよ……そんなことより、今日のヒーロー情報学はちょっと特別だぞ」
(特別……?小テストか?やめてくれよ……)
(ヒーロー関連の法律やら、ただでさえ苦手なのに……!)
「コードネーム……ヒーロー名の考案だ」
「「「胸膨らむやつ来たァァァァ!!!」」」
「……!」
興奮するクラス一同を、その目だけで制する相澤先生。髪の毛が逆立っているあたり、個性も込めていたようだ。
「というのも……先日話した、プロヒーローからのドラフト指名に関係してくる……指名が本格化するのは経験を積み、即戦力として判断される2、3年から……つまり、今回1年のお前らに来た指名は、将来性に対する興味に近い」
「卒業までに、その興味が削がれたら一方的にキャンセルなんてこともよくある。」
「大人は勝手だ……!」
「頂いた指名が、そのまま自身へのハードルになるんですね!」
「そ。で、その集計結果かこうだ」
黒板に映し出されたA組の指名件数のグラフは、上位3人……私、轟殿、爆豪殿の3人の指名件数が突出していた。
「例年はもっとバラけるんだが……3人に注目が偏った」
「だぁーっ、白黒着いた……」
「見る目ないね☆」
「1位ペルヴェーレ、2位に轟、3位が爆豪って……」
「体育祭の順位まんまだな」
「この結果を踏まえ、指名の有無に関係なく、所謂職場体験ってのに行ってもらう」
「職場体験……」
「ああ、お前らはUSJの時、ひと足早く敵との戦闘を経験してしまったが……プロの活動を実際に体験して、より実りある訓練をしようってこった」
「それでヒーロー名か!」
「俄然楽しみになってきた!」
「まあそのヒーロー名は仮ではあるんだが、テキトーなもんは……」
「付けたら地獄を見ちゃうよ!」
相澤先生の言葉から続くように、前の扉が開かれ他の先生が入ってくる。現れたのは、体育祭で記憶に新しいミッドナイト先生だ。
「学生時代につけたヒーロー名が世に認知され、そのままヒーロー名になってる人多いからね!」
「「ミッドナイト!」」
「ま、そういうことだ……その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうのはできん……」
「将来自分がどうなるのか、名をつけることでイメージが固まりそこに近づいて行く……それが、名は体を表すってことだ。オールマイト、とかな」
ヒーロー名。今の私の姿、名前、力、そして理想。彼女の言葉でヒーローを志したあの時から、名乗ると決めていた名がある。私はそれを渡されたホワイトボードに書き、提出の時間を待つことにした。そして数分後……
「じゃあそろそろ、できた人から発表してね」
(……発表、だと?)
提出ではなく、まさかの発表。一瞬狼狽えていると、その間に男子……青山殿が壇上に上がった。まあ彼の性格からして、そういうのを躊躇うタイプでは無さそうだ。
「いくよ……輝きヒーロー『I can not stop twinkling』!訳して、キラキラが止められないよ☆!」
「「「短文!?」」」
「ここはIをとってcan'tに省略した方が読みやすい!」
「「いいのかよ!」てか、英語かフランス語かどっちかにせい!」
(ツッコミどころが違くないか……?)
初手からこれとは、幸先が不安だが……
「じゃあ次私ね!ヒーロー名、『エイリアンクイーン』!」
「2!?血が強酸性のアレを目指してんの!?やめときな……!」
「ちぇー……」
(((馬鹿野郎!最初に変なの来たせいで、大喜利っぽい空気になったじゃねぇか!)))
2回連続却下。空気感もなにやら変な感じになってしまいタイミングを逃した感が強かったが、この空気を破るように蛙水殿が手を挙げた。
「ケロッ!じゃあ次、私いいかしら?」
「はい梅雨ちゃん!」
「小学生の頃から決めてたの、梅雨入りヒーロー『
「かわいい!親しみやすくていいわ!みんなから愛されるお手本のようなネーミングね!」
(((ありがとうフロッピー!空気が変わった!)))
蛙水殿のファインプレーで、おかしかった空気が正常に戻りつつある。それに続くよう、切島殿が名乗りを上げた。
「じゃあ俺も!剛健ヒーロー、『
「赤の強壮!これはアレね、漢気ヒーロー、クリムゾンライオットのリスペクトね!」
「そっす!だいぶ古いけど、俺の目指すヒーロー像はクリムゾンそのものなんス!」
「憧れの名を背負うってからには、相応の重圧が着いて回るわよ!」
「覚悟の上ッス!」
完全に空気が戻った。この期を逃す手はないと手を挙げる。
「はい、ペルヴェーレさん!」
ホワイトボードを携え、壇上に立つ。そして意を決し、ボードをみんなの前に向けた。
「ずっと前から決めていた。私のヒーロー名は……
「アルレッキーノ……?」
「イタリアの即興喜劇に登場する道化の召使い、その名前です。私の理想、誰も理不尽に大切なものを奪われない世界を作るためなら、社会に仕え、道化にもなろうという覚悟を込めた名前」
実際のところ、少ない記憶の中で覚えていたこの姿の通称がそれであったからという理由なのだが。流石にそれを言うわけにも行かず、事前に考えておいたそれらしい理由を後ろから貼り付けたのである。
「理由もあるし、響きもオシャレでいいわね!」
「ありがとうございます」
その後も、続々とヒーロー名の発表が行われる。
「ヒアヒーロー、『イヤホン=ジャック』!」
「いいわね、次!」
「触手ヒーロー『テンタコル』」
「触手のTENTACLEとタコの文字りね!」
「テーピンヒーロー『セロファン』……」
「わかりやすい!大切!」
「武闘ヒーロー、『テイルマン』!」
「名が体を表してる!」
ヒーロー名考案は、蛙水殿を皮切りにつつがなく進行した。……約1名を除いて。
「『爆殺王』……!」
「そういうはやめといた方がいいわね」
「なんでだよ!!」
(爆豪殿……)
「ヒーロー名、随分スムーズに進んでるじゃない!残ってるのは再考の爆豪くんと、飯田くん、そして緑谷くんね」
飯田殿は、自分の名前をそのまま書いて発表した。……復讐に心を燃やす人間に、それ以外のことを考える余裕などないという事は、実感を持って分かっている。
「緑谷くん、できた?」
「あっ、はい!」
「緑谷……?」
「いいのか、それで?」
「一生呼ばれ続けるかもしんねぇんだぜ?」
「うん。この呼び名、今まで好きじゃ無かった……けど、ある人に意味を変えられて、僕には結構な衝撃で……嬉しかったんだ」
「これが、僕のヒーロー名です!」
緑谷殿のホワイトボードには、『デク』の2文字。彼がそれを決めたのなら、私たちにどうこう言う理由はない。
「『爆殺卿』!!!」
「違う、そうじゃない」
「さて、全員のヒーロー名が決まったところで……話を職場体験に戻す。期間は1週間、指名のあった者は個別にリストを渡すから、その中から自分で選択しろ。指名のなかった者は、あらかじめこちらからオファーした全国の受け入れ可の事務所40件、この中から選んでもらう。それぞれ、活動地域や得意なジャンルが異なる」
「例えば13号なら、対敵より、事故災害など人命救助中心とかね!」
「「「はい!」」」
指名があったヒーロー事務所のリストが手渡される。目が滑りそうなほどの量の指名が来ており、この中から吟味するのは一苦労だ。
「今週末までに提出しろよ」
「あと2日しかねぇの!?」
「効率的に判断しろ、以上だ」
「さて、どうしたものかな……」
リストを広げ、それぞれの活動内容や地域を分類していく。戦闘も救命も、どちらもできるような事務所があればいいのだが……
次回、新章開幕。
アンケートの結果を見て話を書き始めることになるので、次の更新はまた先になります。何卒ご了承ください。
その他に投票された方は、感想欄に希望するキャラクター・ヒーローの名前を書いてください。その感想に対するGood数を投票数として扱います。
アンケートは8/30に集計を行います。それ以降の投票、感想への投稿は集計対象外となりますので、よろしくお願いします。
ペルヴェーレの職場体験先は誰?
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風を詠み空を舞う吟遊詩人
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大剣振るう炎の二輪騎手
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死龍を使役する龍の乙女
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蒼龍宿せし槍術士
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傷を力とする頑健の剣士
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その他