僕のヒーローアカデミア:紅き月の狂宴   作:Dr.Sin

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とても難産だった……

今回、原作アニメ風のヒーロー紹介を途中に挟んでみました。不要であれば、感想等で教えてください。



第3幕:突入作戦

最初の会議と特別戦闘訓練から2日後。水仙十字会への突入を翌日に控えたマーヴィカヒーロー事務所では、各支部や道警を交えた最後の作戦会議が行われており、私もそこに参加していた。

 

 

「既に皆には送信済みだが、改めて戦力のグループ分けを説明しておく」

 

「まず本部突入班。私を中心に、イファを初めとした事務所本部メンバーの少数精鋭で編成する。アルレッキーノもここに加わってもらうぞ」

「ああ。これで終わりにしよう」

「了解しました」

 

「次に各支部の突入班についてだ。それぞれの支部の規模や立地に合わせて編成する。第1班はヴァレサを中心に、本部からイアンサを加えてライノ衆の部隊を組む。第1班が突入する拠点は特に堅牢だ、その突破力を存分に発揮して欲しい」

「は、はい!」

「よし、気合い入れて行くぞ!」

 

「第2班の突入する支部は山岳地帯に広く研究スペースを建てているため、キィニチを筆頭としたユムカ衆を中心に、上空から戦況を確認できるクク衆を合わせて編成する。チャスカ、君もこちらに」

「了解しました、炎神様」

「任せておきな、マーヴィカ様」

 

「第3班は他支部の中で唯一水上にある拠点に突入するため、コホラ衆が中心となる。ムアラニ、頼んだぞ」

「はい!」

 

「第4班は地下拠点だ。シロネンたちテペトル衆が中心になる。また、索敵のためのイクトミ衆を他班より多く投入する。シトラリ、君も第4班に」

「オッケー、任せて」

「わかったわ、任せてちょうだい」

 

 

「各支部ごとの戦況報告やオペレーティングは本部が行う。作戦開始は明日早朝、勘づかれないよう、全拠点に対し同時に攻撃を仕掛ける!道警の方々は礼状提示の後、制圧完了まで退避を。以上!」

 

 

翌日、突入作戦決行の日。まだ日も上がりきっていない頃、雄英高校から私宛に荷物が届いた。

 

「間に合ったか……赤尖槍(せきせんそう)

 

USJ襲撃の日、敵から奪った武器である赤い槍。警察による検査に回され、その後安全が確認できてからは雄英で保管されていたものだが、私の要望とマーヴィカ殿の口添えでこの作戦中に限り私に貸与されることになった。ちなみに名前は子供たちの命名である。

 

槍術が特別得意というわけでもないのだが、何せこの武器は手に馴染む。同封されていたショルダーケースにしまって背負い、出発の準備を整えて正面玄関に出ると、そこには既にマーヴィカ殿がいた。

 

「すみません、遅れましたか?」

 

「いや、他班に加わるメンバーを見送っていただけだ。準備はできたか?」

 

「はい。槍も含めて、作戦に参加する為の準備は既に終わっています」

 

「それならよし、まもなく他の本部班も集まるだろう」

 

程なくして本部突入班が揃う。マーヴィカ殿、イファ殿のほか、笛吹ヒーロー「リライ」殿、トリケラヒーロー「ピーク」殿、そして私という少数部隊だ。

 

 

「これから本部前まで移動し、道警と合流する。イファは私の後ろに。ピーク、リライとアルレッキーノを乗せられるか?」

 

「オーケー、できるよ。トリケラモード!」

 

“トリケラヒーロー『ピーク』、個性[トリケラトプス]!トリケラトプスに変身することができる!ただし、変身中は人の言葉が喋れなくなるぞ!”

 

「ぐうぅぅぅ……!ぎゃおぉう!(さ、2人とも僕の背中に乗って!)」

 

「アルレッキーノさん、彼の背中に」

 

「分かりました」

 

恐竜の姿になったピーク殿の背中に乗る。同時にマーヴィカ殿とイファ殿が双駆輪に乗り込み、同時に前の方に走り始めた。双駆輪のスピードは初日で知ったが、ピーク殿はそれに追従できるほどのスピードで走っている。

 

それから30分ほど経ち見えてきたのは、壁炉の家に少し似た、ドーム状の建物……事前に写真で見た、水仙十字会本部。すぐに道警の方々と合流し、突入前の最終確認を行う。

 

 

「では、6:00丁度に我々が令状を提示します。それと同時に突入してください。制圧完了後は、何かしらの手段でその事を我々に伝達、その後一斉に拘束・逮捕を行います」

 

「よろしく頼む。では―――これより、水仙十字会に対する突入作戦を開始する!目的は、違法薬物【ロシ】、ならびに【原始胎海の水】に関する研究資料や施設を証拠として確保すること、並びに構成員全員の逮捕である!」

 

『こちら事務所本部。各突入班へのオペレーティングおよび情報共有を行います。すでに全班待機中、所定の時間になり次第、作戦を実行します。カウントスタート、30』

 

ケースから槍を取り出して右手に持ち、焼尽体躯の起動準備を整えすぐに発動できるようにする。

 

『カウント20』

「ここで改めて宣言しておこう。―――雄英高校1年A組、ペルヴェーレ・スネージヴィナ、ヒーロー名『召使(アルレッキーノ)』よ。プロヒーロー、マーヴィカの名のもとに、戦闘行動を許可する」

「――了解いたしました」

 

周囲を漂う緊張感がより強くなり、私自身も槍を握る手に強い力が入るのを感じる。

 

『カウント10、9、8……』

 

もう作戦が始まる。USJの時とは違う、こちらから敵に攻め込む戦い。

 

『4、3、2、1……作戦、開始してください』

 

 

「北海道警察だ!違法薬物製造、並びに販売の容疑で、強制捜査を行う!!ヒーローの皆さん、お願いします!!」

 

 

「任せたまえ!行くぞ、諸君!」

 

「おう!」

「ぐわぁお!!」

「承知」

「了解!」

 

開始の合図とマーヴィカ殿の号令によって、作戦が開始される。

 

「ピーク、扉の破壊を!」

「ぐおぅ!(オーケー!)」

 

ピーク殿の突進により、閉ざされていた扉が破壊される。その向こう側はパイプや歯車がむき出しの雑然とした空間が広がっており、さらに奥の方から次々と構成員と思われる者たちが現れてきた。

 

「来るぞ!戦闘準備!」

「雑兵は私にお任せ下さい……【雷鳴荒笛(らいめいこうてき)】」

 

“笛吹ヒーロー『リライ』、個性[魔笛(まてき)]!笛を吹くと、その音色に応じた様々な攻撃ができる!高い音ほど鋭く、低い音ほど重い一撃になるぞ!”

 

リライ殿が笛を吹くと、甲高い音と共に紫の稲妻が走り、現れた敵が次々に倒れ伏していく。

 

「マーヴィカ様はそのまま双駆輪で中枢に!俺とアルレッキーノは研究施設を抑えに行く!ピークとリライはこのまま施設中を撹乱して、少しでも時間を作ってくれ!」

「ああ、頼む!」

「承知した、イファ。行くぞピーク」

「ぐわぉ!(オーケー!)」

 

事前情報として、本部と第2拠点はその内部の大雑把な構造が入ってきている。それに従い、中枢の次に広い施設にアタリをつけ、イファ殿と同時にそこに向かう。そこに近づいていくと同時に、敵達もその姿を表してくる。

 

「俺の武器には弾の制限がある、アルレッキーノ、頼めるか?」

「問題ありません……行きます」

 

ブラディトリガーを引き、一定量の血を手首のリングに溜めると、それを槍に流し込む。そして槍先に集まった血は刃の形へと変化し……鎌となった。

 

USJ(あのとき)と同じだ……この槍は、槍よりも鎌として扱う方がより手に馴染む)

 

「【血技装填】……【飛斬・鎌鼬】」

 

大規模斬撃を1つ飛ばす飛斬・焔鳥と対を成す、無数の斬撃を飛ばす技。斬撃一つ一つの威力はそこまで高くないが、殺傷するほどの威力なく広範囲の敵を無力化できる。

 

「……硬さ自慢が残ったか、あとは俺に任せるんだ。【鎮静薬弾・6連】!」

 

“竜医ヒーロー『イファ』、個性[薬弾]!あらゆる薬を弾丸の形に固めることが出来る!固める前の形は、錠剤・液体・粉末などの種類を問わない!”

 

イファ殿の小型銃から放たれた弾によって、私の鎌鼬を弾き返した敵達が次々に鎮圧された。地図によれば、もう少し行った先が例の大部屋だが……

 

「ま、そう易々と行けるわけないよな!例のクロックワーク・マシナリーに、手配中の幹部が中枢ではなくこちらに配備されているとは!」

 

「よほど近づかれたくないようですね、2機ともこちらとは」

 

部屋の前に立ち塞がっていたのは、2機のロボットと1人の男。眼鏡をかけ、その見た目の若さには似合わぬ杖をついたその男が、こちらに敵意を向けていることは明らかだった。

 

指名手配敵、「輝石 紫電」。紫色の水晶を体に生やす個性を持ち、水仙十字会の幹部に名を連ねる1人。

 

「マーヴィカヒーロー事務所……我らの拠点に一斉に攻撃を仕掛けるとは……しかし、我らの理想、我らの大義……!」

 

「貴様らに!邪魔させはせんぞ!!」

 

「来るぞ!」

 

「行け、我がマシナリーよ!祖たる歯車侯に報いるために!」

 

男がこちらに杖を向けると同時に、1機のロボットがこちらに向けて弾を乱射し、もう1機が電気を帯びた棒を構えて突っ込んでくる。

 

「【飛斬・鎌鼬】……!」

 

飛来する弾丸のうち、こちらに命中しそうなものを鎌鼬で弾き返す。しかし鎌鼬の威力では突撃してくる方の迎撃はできず、そのまま接敵した。

 

「くっ……イファ殿は幹部の男を!マシナリーは私が抑えます!」

 

イファ殿の個性は、私以上に対人特化だ。個性一辺倒の戦い方はしないというのは分かっているが、それでもロボットの敵は私が担当した方が負荷が少ないだろう。

 

「任せた!行くぞ、【鳥型縦飛行装置(カクーク・ユニット)】!」

 

イファ殿が背中からピンク色の球体を取り出すと、それは瞬時に飛行を始め、彼もそれにぶら下がって飛び始めた。

 

「馬鹿め、銃相手に空を飛ぶなど!マシナリー!」

「やらせるか」

 

ロボットの突撃を受け流し、銃撃型の方に走る。イファ殿にその攻撃が浴びせられるよりも早く血の壁で抑え込むが、同時に近接型からの攻撃も防がなければならない。

 

「【血技装填】、【裂血弾】」

 

後方の近接型に裂血弾を撒いて牽制し、次いで前方の射撃型に鎌を振り下ろす。

 

「浅い……!」

「――――――」

 

「無駄だ!そのマシナリーは歯車侯が作り出した無敵の存在!貴様なんぞに傷つけられはしない!」

 

「なら、先に頭を潰すだけだ!【鎮静薬弾】!」

 

私がロボットを惹き付けている間に敵の男へ接近したイファ殿が、男に攻撃を行う。それに気付いた男が白衣の袖を捲ると、そこには紫色の水晶が生えており、イファ殿の弾はそれに弾かれた。

 

「そう簡単にはいかないか……!」

 

「俺の水晶の頑丈さはマシナリーと同等!そしてぇ……!」

 

男は懐からチャッカマンのようなものを取り出し、腕の水晶に近付ける。

 

(何か仕掛けてくる……!)

「イファ殿!くっ、ブラディチョーカー―――」

 

「もう遅い!マシナリーが動作不良を起こすから使いたくは無かったが……!【過負荷反応(オーバーロード・バスター)】!!」

 

 

BAGOOOOON!!!!!

 

 

男がチャッカマンの炎を腕の水晶に当てた瞬間、炎と電撃が凄まじい勢いで拡散していく。ブラディチョーカーのオートガードは実体を持たない物理現象とも呼べるこの攻撃には作用せず、それとは別に咄嗟で使おうとした分のシールドでイファ殿を守ることは出来たが、私はその攻撃を食らってしまった。

 

「がッ……ぐぅっ……ごほッ……」

 

強烈な熱と電撃にやられ、血を吐く。電撃の影響でロボット2機の動きも鈍くなっているのは不幸中の幸いだが、その隙にあの男は奥の方に走って逃げていく。

 

「っ、アルレッキーノ!」

 

「い゛って、くた゛さい゛……!やつを、にがすわ゛けには……!」

 

「どの道この奥に逃げ場はない!今は君の治療が優先だ!」

 

「大丈゛夫……だ……吐いた゛血も、わ゛たしにとっ゛ては武器にな゛る……!」

 

「……わかった。早く決着を付けて、すぐ治療に戻る!それまで死ぬなよ!【鎮痛薬弾】!」

 

これでいい。元々、ロボットは私が倒すという分担だ。イファ殿のおかげで痛みはマシになったが未だぐらぐらする頭のまま、鎌を支えに立ち上がる。同じ頃ロボット2機も動き始めたが、その動きは最初と比べるとぎこちない。

 

(いまの私で、どこまでやれるか……まあ、これも経験か……)

 

「まずは、射撃型……動きが、鈍いうちに……」

 

鎌を射撃型の銃器が着いている方の腕に振り下ろす。目測がズレたのか、それともロボットが横に動いたのか、鎌の一振りが当たることはなく、鎌を振り下ろして無防備になった私にその銃口が向けられる。

 

「裂血、弾……!」

 

先程吐いた血を操作し、射撃型の足元で爆発させて体勢を崩す。今度こそ、とその腕に鎌を振り、今度はその銃器を切り離すことができた。今度は近接型の相手をしなければならないが……射撃型との交戦中一度も仕掛けてこなかったのはなぜだ?

 

「あの電撃と熱でやられたか……?」

 

例の攻撃の直前、奴はマシナリーが動作不良を起こすと口走っていた。それで行動不能になったのかとも思ったが、そこまで楽な話ではないだろう。後ろに振り返ると、近接型はその動きが正常になっているように見えた。

 

(自己修復……?いや違う、これらが作られた頃はそんな技術力どこにもない……)

 

2機のロボット……クロックワーク・マシナリーは、十字鈴蘭学会の創設メンバーの1人、『歯車侯アラン』が作り出した物だ。過去に1度、マーヴィカヒーロー事務所とは別の事務所が諜報員を潜り込ませた際にそれらの情報が持ち帰られていた。

 

(鎮痛剤で痛みが誤魔化されているうちに勝負を決めなければ……!)

 

向かってくる近接型の剣を鎌の柄で受け止める。更に道中で敵から奪った体力を全て造血に回し、更なる身体強化で近接型を弾き飛ばした。

 

「長期戦は出来ん……一撃で沈める……!」

 

造血した血を全身の傷口から放出し、鎌に集める。鎮痛剤の効果が切れれば私は間違いなく動けなくなるため、そうなる前に決着をつけなければ。

 

「――――――」

「【飛斬・焔鳥】……!」

 

再びこちらに向かってくる近接型に、必殺技の焔鳥を放つ。奴はその剣で焔鳥を受け止めたが少しずつ体勢が崩れていき、やがて押し負けてその胴体は上下に分かたれた。

 

それを見届けると、鎮痛作用が切れるよりも前に私の意識が朦朧とする。先程のダメージか、血の流しすぎか……分からないまま、意識は沈んでしまった。

 

 

《???》

 

 

『私の■で無茶をしすぎだ。逆島 焔との訓練で感覚が壊れたのか?』

 

なんだ、この声は。耳ではなく、頭に直接流れ込んでくるような声。というか、ここは何処だ?深い水の底に居るような感覚……私は水仙十字会のロボットを倒して、それから……

 

『せっかく■を渡したというのに、こんなことになるとは……仕方ない、貴様の■■、その一部を返そう。その■■の使い方、忘れ去られたその一つ……』

 

聞こえてくる声は、一部がモヤがかって聞こえない。いや、認識できないというのが正しいか。

 

『まだ、すべきことは終わっていない。私たちの■■に連なる者、奴が生み出してしまった怨念、それを排除するまでは……』

 

その声が何かを喋り終わると、私の意識は再び朦朧としてくる。そんな中でただ1つ、水の底から浮上するような感覚があり……

 

 

「う゛っ……ゲホッ、ゴホッ……!」

 

「っ、目が覚めたかアルレッキーノ!」

 

「イファ、殿……?」

 

「事前の推察通り、この奥の部屋が研究室だった!既にあの男と研究資料は抑えてある、あとはマーヴィカ様に任せて撤退を―ッ!?」

 

イファ殿がそう言うと同時に、施設全体が大きく揺れる。それと同時に、インカムに緊急の意味を持つアラートと共にひとつの通信が入った。

 

『水仙十字会本部に、正体不明の大型敵発生!現在マーヴィカ様が交戦中!さらに第2、第4支部にも同様の大型敵が発生している模様!』

 

 

……どうやら、ここからが正念場のようだ。





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