僕のヒーローアカデミア:紅き月の狂宴   作:Dr.Sin

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前章みたいなオリジナル話はない方がいいのかもしれない(前話で露骨に増えたお気に入り数を見ながら)



第2幕:期末試験①

 

「うし、授業はここまでにする。期末テストまで残すとこ1週間だが……お前らちゃんと勉強してるだろうな?当然知ってるだろうが、テストは筆記だけではなく演習もある。頭と体を同時に鍛えておけ……以上だ」

 

 

「「まったく勉強してなぁぁぁぁい!!」」

「体育祭やら職場体験やらでまったく勉強してねぇっ……!」←中間20位

 

相澤先生が期末テストまでの残り時間を告げて教室から出ると同時に、上鳴殿と芦戸殿の悲鳴が響き渡る。

 

「確かに、行事続きではあったが……」←中間14位

「中間は入学したてで範囲狭かったし、特に苦労なかったんだけどな……行事が続いたのもあるけど、やっぱ期末は中間と違って……」←中間12位

「演習試験もあるのがツレぇところだよなぁ」←中間9位

 

「「中間9位!?」」

「アンタは同族だと思ってたのにぃ!」←中間19位

「お前みたいなヤツはバカではじめて愛嬌が出るんだろうが……!どこに需要あんだよ!?」

「世界……かな」

 

「芦戸さん上鳴くん!が、頑張ろうよ!やっぱ全員で林間合宿行きたいもん!ね!」←中間4位

「うむ!俺もクラス委員長として皆の奮起を期待している!」←中間2位

「普通に授業受けてりゃ赤点は出ねぇだろ」←中間5位

 

「言葉には気をつけろぉ……!

 

林間合宿に行けるかどうかの瀬戸際になるテストということもあってか、クラスの中でも中間成績が芳しくなかった者たち……というか上鳴殿と芦戸殿から、淀んだ空気が醸し出されている。

 

「お二人共?座学なら私、お力添えできるかもしれません」←中間1位

「「ヤオモモ〜〜ッ!!」」

「演習の方はからっきしでしょうけど……」

 

一方、中間テストで問題が無かった者たちは比較的落ち着いた雰囲気を出しており、特に八百万殿は例の2人に救いの手を差し伸べてまでいる。実技の話が出た途端、2人と同じような空気を纏い始めたのは気になるところだが……

 

「お2人じゃないけど、ウチもいいかな……?二次関数、ちょっと応用躓いちゃってて……」←中間9位

「わりぃ、俺も!八百万、古文わかる……?」←中間17位

「俺もいいかな……?幾つか分からない部分あってさ」←中間8位

「私もいいか?八百万殿……地理と生物が壊滅的でな……」←中間11位

 

「「「お願いっ!!」」」

 

例の2人に続いて、耳郎殿、瀬呂殿、尾白殿が八百万殿に助けを求める。便乗するという訳でもないが、その中に私も入り込んだ。前世との違いが大きい地理と、元来苦手な生物の2つについてだ。

 

「皆さん……!いいですともっ!」

 

「「「やったーっ!」」」

「すまんな、八百万殿」

 

八百万殿は、私たちの頼みを快く引き受けてくれた。感謝してもしきれんな、後日お礼の品を持っていかなければ……

 

「では、週末にでも私の家でお勉強会を催しましょう!」

「マジでーっ!?ヤオモモん家ちょー楽しみ!」

「まあっ、そうなるとお母様に連絡して講堂を空けて頂かないと……!」

((講堂……?))

「皆さん、お紅茶はどこかご贔屓はありまして?」

((お紅茶……!?))

「我が家はいつもハロッズかウエッジウッドなので、ご希望がありましたら用意しますわ!勿論!勉強のことも任せてください!必ずお力になってみせますわ!」

(ナチュラルに生まれの違いを叩きつけられたけど……)

(なんかプリプリしてんのちょー可愛いからどうでもいいや……)

「なんだっけ……?いろはす?でいいよぉ……」

「ハロッズですね!」

「礼の代わりと言ってはなんだが、茶請けは私が用意しよう」

「まあ!気になさらなくてもよろしいのに!」

 

 

「この人徳の差よ」←中間15位

「俺もあるわ!テメェ教え殺したろかッ!!」←中間3位

「あぁ、頼む!」

 

「フフッ、みんな慌てちゃって……今更ジタバタしても始まらないのに」←中間18位

「お前は少しジタバタした方がいいんじゃないか」←中間10位

「それが何かな?……何かな?

 

 

《食堂》

 

 

「演習試験かぁ……内容不透明で怖いね」

「突飛なことはしないと思うがな……」

「筆記試験は授業範囲内から出るから……まだ何とかなるけど」

「まだ、何とかなるんやな……」←中間13位

「演習試験……ほんと、何するんだろう?」

「1学期でやったことの総合的内容」←中間16位

「とだけしか教えてくれないんだもの、相澤先生」←中間6位

「今までやったことって、戦闘訓練と救助訓練、あとは基礎トレ……」

「案外、先日の救助訓練レースに似たものかもしれんな。敵役を配置して妨害を加え、レースではなく協力体制にする、というような」

「試験勉強に加えて、体力面でも万全に準備しないとッ……!?」

 

「ああごめん、頭大きいから当たってしまった」

「B組の……!えっと……物間くん!よくも!」

 

考え込む緑谷殿の頭に、物間殿がもつトレーがぶつかった。物間殿はあくまで事故のように言うが、傍から見れば当てに行ったのは明らかだ。

 

「君ら、ヒーロー殺しに遭遇したんだってね?」

「っ……」

「体育祭に続いて、注目浴びる要素ばかり増えていくよね、A組って。ただその注目って、決して期待値とかじゃなくて、トラブルを引きつける的なものだよねぇ……あー怖い、いつか君たちが呼ぶトラブルに巻き込まれて、僕らまで被害が及ぶかもしれないなぁ……疫病神に祟られたみたいに!あーこわッ」

 

訳の分からないことを長々と口に出す物間殿の首筋に、横からチョップが叩き込まれる。その一撃は的確に意識を刈り取り、しかも彼が手に持っていたトレイはチョップの打ち手が見事にキャッチしていた。

 

「物間シャレにならん!飯田の件知らないの!?」

「拳藤くん!」

「ごめんなA組、こいつちょっと心がアレなんだよ」

(心が……!? )

「アンタらさ、さっき期末の演習試験、不透明とか言ってたね。入試の時みたいな、実戦演習らしいよ」

「えっ、ホント!?なんで知ってるの!?」

「私先輩に知り合いいるからさ、聞いた。ちょっとズルだけど……」

「いや、ズルじゃないよ。そうだ、きっと前情報の収集も試験の一環に織り込まれてたんだ。そうか、先輩に聞けばよかったんだ!なんで気付かなかったんだ……!」ブツブツ……

 

「馬鹿だな拳藤……せっかくの情報アドバンテージを……!ココこそ憎きA組を出し抜くチャンスでぐはッ」

「憎くはないっつーの」

 

「B組の、姉御的存在なんだな……」

「苦労人体質とも言える」

 

 

 

「「ぃやったあぁぁぁーーーっ!!」」

「ンだよロボなら楽ちんだぜ!」

「ホントホント!」

 

食事を終え、拳藤殿から得た情報をクラス全体に共有すると、上鳴殿と芦戸殿が安堵の声をあげた。

 

「お前らは対人だと、個性の調整大変そうだからな」

「ああ!ロボならブッパで楽勝だぁ!」

「私は溶かして楽勝だぁ!」

「あとは八百万に勉強教えてもらえば、期末はクリアだな!」

「「これで林間合宿バッチリだぁぁ!!」」

 

「人でもロボでもぶっ飛ばすのは同じだろ!何が楽ちんだアホが!」

「アホとはなんだアホとは!」

「うっせーなァ!調整なんて勝手にできるもんだろ!アホだろ!!なァ、デク!」

「っ……」

 

「個性の使い方、ちょっと分かってきたか知らねぇけどよ……テメェはつくづく俺の神経逆撫ですんな……!」

 

「アレか……前のデクくん、爆豪くんみたいな動きになってた……」

「あぁ、確かに……」

 

「体育祭みてぇな半端な結果は要らねぇ。次の期末なら、個人成績で否が応にも優劣がつく!」

「完膚なきまでに差ァつけて、テメェブチ殺してやる!!轟ィ!テメェもなぁ!!」

 

ひとしきり言いたいことを叫ぶと、爆豪殿は乱雑に扉を閉めて教室を出た。普段から粗雑な所のある彼だが、今日の荒れっぷりは凄まじい。

 

「久々にガチな爆豪だな……」

「焦燥……或いは憎悪」

 

 

《土曜日 保須市》

 

時は少し流れ、土曜日。明日の勉強会に持っていくための茶請けを調達すべく、私は保須に足を運んでいた。

 

(一部は酷い有様だな……ヒーロー殺しと敵連合が起こした惨劇、か……)

 

先週、保須で起きた大規模な敵事件……敵連合の脳無による無差別破壊の爪痕が随所に見られ、奴らの非道を物語っている。不幸中の幸いと言うべきか、私が今日向かおうとしている場所は繁華街から離れた場所にあり、その被害を免れていた。

 

《喫茶 棘薔薇の会》

 

「保須の事件をニュースで見た時は焦りましたが……マスターとこの店が無事で良かった」

 

「あら、心配してくれてたの?」

 

「当たり前です。ここが無くなれば、私だけでなく子供たちや院長も悲しみますから……マスター、ブレンドを1つ。それと、持ち帰り用にマカロンを……30個ほど包んでいただきたいのですが」

 

「オッケー♪」

 

 

 

そして、週末。勉強道具とマカロンを持ち、最寄り駅で皆と集合して八百万殿の家に向かったのだが……

 

「うはぁー……セレブだと思ってたけど、まさかこれ程とは……」

 

事前に聞いた入口のかなり前から鉄柵に囲まれた場所があり、八百万殿の家は何かの学校の近くなのか?と思っていたのだが……まさかその柵が、彼女の家の物だとは。反対側も同じ広さがあるのだとしたら、都心の大型商業施設でも比較にならないほどの敷地面積になる。

 

耳郎殿がインターホンのボタンを押すと、ものすごい速さで八百万殿が出て、瞬く間に門が開く。

 

「みなさんお待ちしておりました!どうぞ中へ!」

 

中に入ると、屋敷の召使い達に案内されて1つの部屋に通される。我々5人と八百万殿、合わせて6人が使う部屋としては埒外の広さで、私も含めて皆多少なりとも緊張している様子だ。

 

「なんか、場違いすぎて緊張してきた……」

「俺も」

 

「なにか?」

 

「「「うぅん、なんでもぉ……」」」

 

素人目でもとんでもない価値だと分かる茶器を台車に載せた八百万殿が現れると、そのほわほわした雰囲気で皆の緊張が一気に解れていく。

 

「八百万殿、先日言っていた茶請け……棘薔薇の会(スピナ・ディ・ロースラ)という喫茶店のマカロンだ。余ったら好きにしてくれていい」

 

「あら、ありがとうございます!では、早速勉強会を始めましょう!」

 

そして始まる勉強会。成績にかなり不安のある上鳴殿と芦戸殿に合わせ、今回のテスト範囲のほぼ最初から復習することになった。中には私が見落としていたり、理解が不十分な所もあったため、テスト前の勉強として非常に有意義な時間を過ごすことができたと思う。

 

 

《数日後……》

 

 

「全員手を止めろ!各列の1番後ろ、答案を集めて持ってこい!」

 

「ありがとうヤオモモーっ!」

「とりあえず全部埋めたぜー!」

 

期末テストのうち、3日間の筆記試験は終了。実技試験はまた別日になる。八百万殿のおかげもあって筆記は難なく乗り切ることができたため、後日改めて礼をしようと思う。

 

そして、実技試験。敵によるUSJ襲撃や一部の者によるヒーロー殺しとの交戦などもあった今年、果たして例年通りの内容なのだろうかという不安が、どうにも頭から離れてくれない。杞憂で済めばいいのだが……

 






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