僕のヒーローアカデミア:紅き月の狂宴   作:Dr.Sin

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今話から、また1つアンケートを実施致します。前回と同じくストーリー展開に関わるものですが、職場体験ほど話に大きな影響を与えるものでは無く、期限も特に定めていないので、気楽にご回答いただけると嬉しいです。



第4幕:オフモード

 

「みんなっ……合宿の土産話、楽しみに、してるっ……」

「まだわかんないよ!どんでん返しがあるかもしれないよ!」

「よせ緑谷、それ口にしたら無くなるパターンだ……」

 

期末試験明け、最初の登校日。芦戸殿を初めとした4人……要するに実技試験を突破できなかった者たちは、陰鬱な雰囲気を纏っていた。

 

「試験が赤点取ったら林間合宿行けずに補習地獄、そして俺たちは実技クリアならず……これでまだわからんのなら貴様の成績は猿以下だぁーっ!」

「落ち着け長ぇ。わかんねーのは俺もさ、峰田のおかげでクリアしたけど、寝てただけだ……とにかく、採点基準が明かされてない以上は……」

「同情するならなんかもう色々くれぇぇーーっ!」

 

上鳴殿が、励ましの声をかけた緑谷殿の両目に指を突き立てる。大事にならなければいいのだが……などと思っていると教室の扉が開き、相澤先生が入ってきた。

 

「予鈴が鳴ったら席に着け!おはよう、今回の期末テストだが……残念ながら赤点が出た。従って林間合宿は……全員行きます!」

 

「「「どんでん返しだぁぁぁぁ!!!!」」」

 

相澤先生は、赤点が出た上で林間合宿は全員参加だと宣言する。緑谷殿が言っていたようにどんでん返しが行われたことで、実技不合格の4人が歓喜の声を上げた。

 

「行っていいんすか俺らぁ!」

「ホントにぃ!?」

 

「ああ。赤点者だが……筆記の方はゼロ。実技で切島、上鳴、芦戸、砂藤……あと瀬呂が赤点だ」

 

「いぃっ!?やっぱり……確かにクリアしたら合格とは言ってなかったもんなぁ……」

 

「今回の試験、我々敵側は、生徒に勝ち筋を残しつつどう課題と向き合うかを見るよう動いた。でなければ、課題云々の前に詰むやつばかりだったろうからな……」

 

昨日の試験の後、リカバリーガール殿に鼓膜を治癒してもらってからは体力切れで殆どなにも出来ず、他の皆がどのように試験を戦ったのか知らない。だが相澤先生の言うように、詰みやそれに等しい状況になる組み合わせもあったように思える。

 

「では、赤点の者は林間合宿に参加できないというのは……」

 

「追い込むためさ……そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点取った奴こそ、ここで力をつけてもらわなきゃならん。合理的虚偽ってやつさ」

 

「「「ゴーリテキキョギィーーーっ!!!」」」

 

「またしもやられた……!さすが雄英だ!しかし2度も虚偽を重ねられると、信頼に揺らぎが生じるかと!」

「わはー、水差す飯田くん……」

 

「確かにな、省みるよ……ただ全部嘘って訳じゃない、赤点は赤点だ。お前らには別途に補習時間を設けてる。ぶっちゃけ学校に残っての補修よりキツいからな」

 

考えてみれば当然だ。林間合宿という名を冠してはいるものの、要するにやることは修行なのだから、赤点をとるような者こそその機会は重要になる。

 

 

「……まあ何はともあれ、全員で行けて良かったね」

 

放課後。林間合宿のしおりが配られると、私たちは皆でそれを確認しようという話になり、帰ってしまった一部の者を除いたメンバーでしおりの内容を読んでいた。

 

「一週間の強化合宿か……」

「結構な大荷物になるね」

「俺、水着とか持ってねーよ。色々買わないとな……」

「暗視ゴーグル!」

 

合宿期間の長さもあって、必要な荷物も多い。合宿には水中での活動訓練もあるのか水着が必要で、どうにも一度買い物に行かなければならなそうだ。

 

「あっ、じゃあさ!明日休みだし、テスト明けだしってことで、A組みんなで買い物行こうよ!」

 

渡りに船とはこのことか。1人での買い物はどうしても忘れ物のリスクがあるし、服のセンスはイマイチ分からない。葉隠殿の提案は、まさにうってつけのものだった。

 

「うおー、いい!何気にそういうの初じゃね?」

 

「おい爆豪、お前も来い!」

「行ってたまるかかったりぃ」

 

「轟くんも行かない?」

「休日は見舞いだ」

 

「ノリが悪ぃよ!空気読めよKY野郎ども!」

 

「強要することでもあるまい。それで、場所と集合時間はどうする?」

 

「場所は木椰区ショッピングモールでいいでしょ?時間は……」

 

 

 

そして翌日。集合場所に来たのだがどうにも早すぎたようで、私以外にはまだ誰もいなかった。今日の私の服装は、つばの広いポーラーハットと、白いワンピースにルミドゥースベルの首飾りをかけただけのシンプルなもの。

 

「あれ……?そこにいるの、ペルヴィ!?」

 

イヤホンをつけながら皆を待っていると、聞き覚えのある声が聞こえてくる。イヤホンを外して声の方を向くと、特徴的な桃色の体と髪のクラスメイト……芦戸殿が、私に話しかけてきていた。

 

「芦戸殿か。他人のことを言える口ではないが、早かったな」

 

「まあ、色々楽しみで眠り浅くて……ってそんなんじゃなくて!普段と私服で印象違いすぎない!?」

 

「似合わないか?私服はほとんどこんなものだが」

 

「いや、似合ってるけど予想と違うって言うか……なんかこう、パツっとした感じで来ると思ってた!」

 

「……昔の親友が、この手の服を好んでいてな。その影響かもしれん」

 

その後も、続々と集合してくる皆と会う度に服装のことで驚かれる。「誰かと思った」、「イメージと逆」、「帽子デッカ」、「肌の色と服の色が同化しすぎて裸に見えた」などと言った具合に……今日、ついでに普段用の私服も買っていくか。あと峰田殿、貴様は後でシバく。

 

「……てな感じでやって来ました!県内最多店舗数を誇るナウでヤングな最先端!木椰区ショッピングモール!」

 

「個性の差による多様な形態を数でカバーするだけじゃなく、ティーンからシニヨンまで幅広くカバーしているんだ……」ブツブツ……

「幼子が怖がるぞ、止せ」

「オフでも緑谷殿のソレは健在か」

 

我々が訪れたショッピングモールは、先の芦戸殿の発言にもあったように、県内最多店舗……ともすれば、国内でも有数の店数をもった巨大な場所。ちらりと周囲を見るだけでも、多種多様な個性に対応した服や道具が売られているのが目に入る。

 

「おっ!あれ雄英生徒じゃん!?」

「1年!?」

「テレビで見てたぜ!」

「「「体育祭ウェーイ!!」」」

 

「おぉ……!まだ覚えてる人いるんだ!」

「体育祭前に先生の言っていた、オリンピックに比肩するビッグイベントというのは真実のようだな」

 

道行くモールの客に我々の集団が見つけられると、体育祭のことで声を浴びせられた。彼らからしてみれば、オリンピック選手を街中で見かけた感覚なのだろう……ファンサービスという訳でもないが、軽く手を振って対応した。

 

「とりあえず、ウチ大きめのキャリーバッグ買わなきゃ」

「あら、では一緒に回りましょうか」

 

「ピッキング用品と小型ドリルってどこに……」

 

「俺アウトドア系の靴ねーから買いてぇんだけど」

「あ、私も私も!」

「靴は履きなれたものとしおりに書いてッ……いや、しかし、なるほど。用途にあったものを選ぶべきなのか……?」

 

「靴にキャリーケース、オフの服……それに、日焼け止めのスペアもか。買わなければいけないものが多いな。芦戸殿、私服選びのアドバイスをくれないか?」

「オッケー!どういうのがいい?今着てるのとか、学校でのイメージ通りのやつとか!」

「任せる、ただ……この花が合う服だと嬉しい」

 

「みんな目的バラけてっし、時間決めて自由行動すっか!」

「さんせー!」

 

皆がそれぞれここに来た目的を口に出す。それらはどうにもバラバラで、全員で移動して一つ一つ消化していくのは非効率にも程がある。すると切島殿が目的ごとに別れて行動することを提案し、芦戸殿がそれに同意。私含め他の皆も異論は無いようで、提案通りの別れて自由行動という流れになった。

 

「んじゃ3時にここ集合で!」

「「「異議なーし!」」」

 

「行こ、ペルヴィ!」

「よろしく頼む、芦戸殿」

 

 

私の頼みを快く引き受けてくれた彼女と共に、モール内に無数に存在する洋服店を片っ端から見て回る。が、如何せん私は自分がどのような服を着るべきなのか分からず、「これとかどう?」と問われても「それが私に合うなら」としか答えられない。そんな状態では選ぶものも選べず、先に他の必要品を買い揃えることになった。

 

 

「なんでもいいって言っても、方向性くらいは欲しいなー。可愛い系とか、カッコイイ系とか、そういう大まかなのない?」

 

「……服の好みなど、考えたこともなかった。この花が違和感にならなければなんでもいい、などと思っていたからな。その花も、結局は古い親友が好きだったものだ」

 

林間合宿で間違いなく必要になる、丈夫で動きやすい靴……それを選んでいる中で、服選びの事を問われる。私は首元に下げたルミドゥースベルのアクセサリーを弄りながらそう答えると、彼女は私に聞きたいことがある様子でこちらを見ているのに気付く。

 

「……何か聞きたいことがあるのか?」

 

「アレッ、分かっちゃう?」

 

「芦戸殿は腹芸に向かないな。それで、何が聞きたい?特に隠し事はしないが」

 

「んー……聞きたいことは何個かあるけど、今はとりあえず!」

 

芦戸殿の顔が私に近付く。前々から思っていたが、彼女は距離感が近い、特に同性に対して。私の人格の根本……(ペルヴェーレ)を構成する比率で見ればかなり少ないものの、確かに存在する前世の男としての部分が緊張を覚えた。

 

「服とかアクセとか、ペルヴィが時々言ってる古い親友って、どんな人なの!?」

 

「───っ」

 

参ったな、まさかそれを聞かれるとは。隠すことでもないので話すこと自体はやぶさかでは無い。しかし、私と古い親友(クリーヴ)の裏には、あまり公に晒すことでもないような事情がある。ここは……

 

「私がまだ未就学児くらいの頃、よく遊んだ子だ。今の私が着ているような白いフリフリした服とルミドゥースベルという花が大好きな、明るい子だった……っと、この靴は丁度いいな、これにしよう」

 

嘘はつかない、だが全てを話しもしない。これが最善だろう。壁炉の家のことは聞いていて面白いものでは無いし、何よりこの雰囲気で話すことでもない。適当なところで切り上げ、靴をレジに持っていく。

 

「むー、なんか雑に切り上げられた気がする……」

 

「そう言うな、これ以上も以下もない。それより、次はキャリーケースを」

 

キャリーケース、日焼け止め、他にも会話の流れで思い出した小物類など、様々なものを買い揃えたあたりで、用事を終えた耳郎殿や八百万殿、葉隠殿、上鳴殿と遭遇。私が私服で悩んでいることを芦戸殿が話した結果……

 

「ね、今度はこれ着てみてよ!」

「ふむ、今のようなワンピースに青いフリル付きか。悪くは無い」

 

「こちらの服も、大変似合うと思うのですが……!」

「黒いギンガムチェックのシャツにジーンズ……私はいいのだが、アクセサリーとの親和性が不安だな」

 

「これもいいんじゃね?」

「……ホットパンツに、これは……俗に言うアメスクか?上鳴殿、体育祭のチア騒動もそうだが、少し欲望を隠すことを覚えた方がいい。峰田殿と同列に扱われたくはないだろう?」

 

「これとかどう?」

「白のシャツに黒のロングスカート。ふむ、アクセサリーとも合っていると思うが、皆はどう思う?」

 

私は、着せ替え人形と化した。それぞれが私に合いそうな服を持ってきて、それを試着するという流れ。若干1名、定期的に欲望に走る者がいるが……ラインを超えるまでは厳しく言うことも無かろう。それよりも、皆の時間を私のために使わせているのが申し訳ないという気持ちが強い。

 

ふと時計を見ると、切島殿が決めた集合時間まであまり余裕が無い。選んでもらった服のうち、皆が私に似合っていると判断したものをレジに持っていこうと、カゴを持ち上げるのと同時に私の携帯が震えた。他の皆も同じようで、一斉に携帯を取り出している。私もそれに倣い携帯を開くと、A組のグループチャットに、麗日殿からの通知があった。

 

『デクくんが死柄木 弔と接触。警察には通報済み、デクくんは無事だけど、死柄木は逃げた』

 

……なんという事だ。死柄木と言えば、記憶に新しいUSJ襲撃事件の主犯であり、敵連合の首魁。その敵と緑谷殿が接触したと?彼が無事なのは良いのだが、私の頭には幾つもの疑問が浮かんでくる。奴の目的は?なぜここに?接触相手として緑谷殿を選んだ理由は?

 

これらの問いに答える者がいるはずもなく、ショッピングモールは一時閉鎖され、奴と直接接触した緑谷殿は事情聴取のため警察署に連行。当然買い物は続行できず、警察の方々から帰宅するよう指示もあり、我々は混乱の中解散した。

 

 





前話にて、久しぶりに感想を頂きました!最初の頃はどうすればいいのか分からず放置してしまいましたが、これからはしっかり返信させていただきたいと思っているので、何かあればお気軽にどうぞ!

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