ぼくらハグルマ団! 01 ~秘密結社の陰謀~ 作:madron
三人は蒸気ランプの光を頼りに、遺跡の暗い通路を慎重に進んでいた。周囲はひんやりとしており、鉄の匂いが鼻をつく。
「なんか変だぞ…なんだろ、うまく言えないけど…」
ジルコンが小声で呟きながら壁を見上げる。そこには、どう見てもこの遺跡に似つかわしくない金属製のパイプや、無造作に吊るされた蒸気ランプが取り付けられていた。
「こんなの、遺跡のものじゃないよな?」
カルセドが少し興奮気味に指さす。
ロサがランプを持ち上げ、その設置の仕方をじっと見つめると、短く答えた。
「間違いない。誰かが後から付けたんだと思う」
カルセドは振り返り、声を弾ませる。
「父さんが言ってた通りだ! きっとここが、悪い奴らのアジトにしてる場所だよ! ここに逃げ込んだんだ!!」
カルセドの声はどこか弾んでいるが、その奥に微かな緊張も滲んでいる。
逆にジルコンは神経質に周囲を警戒していたが、眉をひそめ呟く。
「でも、今は…誰もいないみたいだな。静かすぎて気味が悪い」
話す二人を置いて、いつの間にか先頭に立っていたロサは二人の会話を背中越しに聞き流しながら、前方に目を凝らしていた。そして一つの広間にたどり着いたとき、ロサは思わず足を止めた。
ランプに力を籠め、魔力と蒸気エンジンの出力を最大に上げる。
するとこのランプの明かりではうっすらとしか見えないが、広間の中央には、複数の機械人形が無造作に転がっていた。
壊れた腕、歯車の抜けた胴体、外れかけた頭…。その光景はまるで捨てられたおもちゃの墓場のようだった。
「うわ、なんだこれ!」
「すごい…でも、全部壊れてるのかな?」
ジルコンが驚き、カルセドは興味津々で足を踏み出しかけるが、ロサが冷静な声で止める。
「ちょっと待って。むやみに近づかないほうがいい」
ロサは蒸気ランプを少し持ち上げると、じっと機械人形の山を見つめた。光がその表面を照らし出す。
「多分…動かないわ。大丈夫、どれも不完全。少なくとも今すぐ襲ってくることはないと思う」
彼女の声には自信があり、二人は少しほっとした様子を見せる。
だがその安心も束の間、三人がさらに奥へ進もうとしたその時、ロサがまたも不意に立ち止まった。
「どうした?」
カルセドが振り返ると、ロサの目は鋭く一点を捉えていた。
「…あれ」
ロサが指さした先、そこには壁際に並ぶ5体の機械人形が座っていた。
それらだけが柱に設置された照明で照らされ、他の壊れたものとは明らかに違う扱いを受けているとわかる。
見れば胴体など、大きく歯車がむき出しになっている部分があるものの、頭も手足も完璧に揃っており、表面はピカピカに磨き上げられている。三人は言葉を失い、目を見張る。
「…あれも、止まってるのかな?」
ジルコンが小声で呟くと、ロサは少し間を置いて答えた。
「わからない。でも…近づいたら確かめられる」
彼女の言葉には慎重な響きがあり、周囲に警戒しながら、ゆっくりとそれらに近づいていった。
そして、機械人形の一つに近づき、頭部や胴体を見る。
「すぐにでも動かせるようにしてある…」
ロサが呟くと、残る二人もゆっくりとその機械人形に近づく。
一つひとつを観察していたとき、カルセドがふと声を上げた。
「これ、他のより傷が多いな。でも…えっ?」
カルセドが指差した人形の胸部には、小さな歯車のマークが刻まれていた。
「これ、ロサのおじいちゃんのじゃないのか?」
それは、ロサの祖父の工房で使われる独特の刻印だった。
カルセドは、ロサの手がかすかに震えていることに気づいた。普段ならすぐに冷静な意見を口にする彼女が、今は何かを言い返すでもなく、ただ黙っている。
目を大きく見開いたまま、じっと刻印を見つめている。
「…そんな…そんなはずない。おじいちゃんは、そんな人じゃない!」
ようやく口を開いたロサの声は少し震えていて、その強がるような言葉の奥に、動揺が隠せていないことをカルセドは感じ取った。
ロサの声はかすかに震えていた。しかし、その言葉には、自分を納得させたい気持ちが滲んでいる。
カルセドとジルコンが言葉を失い、互いに顔を見合わせる中、ロサはもう一度歯車の刻印を見つめた。手を伸ばそうとして、途中で止め…口を開いた。
「……もし、本当におじいちゃんが関わってたなら……どうする?」
ロサの声は小さく、三人の間に重い沈黙が落ちた。
しかし、次の瞬間。
「え? ただロサのじーちゃんのとこの歯車を買ってきて組み込んだだけじゃね?」
ジルコンの呆れたような声が、沈黙を破った。
「えっ?」ロサが顔を上げる。
「だってさ、壊れた人形ばっかりだったんだろ? だったら手っ取り早く部品をそろえるために、評判のいい歯車を買っただけじゃねーの? この歯車ってさ、頑丈で使いやすいって有名だろ?」
ジルコンは肩をすくめる。
「……そりゃそうだ! 落ち着けよ、ロサ。犯罪者が足りない道具を現地で買って使ったなんて、歴史上いくらでもある話じゃないか!」
カルセドが笑いながら肩を軽く叩いた。
「注文したか盗んだか知らないけど、お前のおじいちゃんが悪いことに関わってるわけないだろ!」
「そうね…おじいちゃんの仕事がどう使われたかは、私には関係ないはずよね」
ロサは肩から力が抜けるのを感じた。二人の言葉に、安心感があったのだ。
彼女の声は小さく、それでも次第に力を取り戻していく。
「わからないことを悩むより、自分で確かめる方が早い。だって、それが私のやり方だもの」
ロサは一瞬目を閉じ、深呼吸をしてからゆっくりと立ち上がった。そして五体の機械人形のうち一つに近づき、工具を取り出す。
しかし、そこで壊れた機械人形の山に目を向けたロサは、その形状や構造に目を凝らした。腕や胴体に使われている歯車の大きさや配置が、目の前のものとは微妙に異なっている。
「…どうしてだろう? 壊れた人形たちには、工房で作られた部品が使われてないように見える…」
そう呟きながら、ロサは再び目の前の機械人形をじっと見つめた。きらりと光る歯車の刻印。その形状や材質、そして加工精度から、祖父が手掛けたものに間違いないと確信する。
「そうか…この人形は規格が違うんだ。壊れた山の人形に使われてる歯車とは別物…あっちからこっちへの流用は出来ない…」
ロサは一瞬目を閉じて考え込むと、深く息を吸い込んで工具を握り直した。
「…少し手を加えれば、私たちの命令を聞くようにできるかもしれない。この人形を動かせば、何かわかるかも」
そして…ロサは工具を手に取り、機械人形の頭部に慎重に手を伸ばした。
ロサの手は迷いなく動き、一分ほどで機械人形の頭部のカバーを開き内部の動きを確認する。
「頭部以外にはカバーはないのに、頭部だけは表面の装甲がしっかりしてる…ここだけに重要な部分が集まってる時によくある構造ね」
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「本当に出来るのかな…あんな複雑そうな機械、流石に無理なんじゃないか?」
ジルコンの心配そうな声に、カルセドは落ち着いた声で答えた。
「大丈夫さ。ロサは失敗を怖がらないし、今なら何度でもやり直せる。それに…あいつなら、どうにかできるって、俺は信じてる。」
ジルコンは目を丸くした。
「どうにかできるっても…あんな凄そうなの、どうすんだよ?」
「ロサの家は代々機械技師の家系だし、ロサのじいちゃんにも凄く可愛がられて色々教えられてるからな。知ってるだろ、キックボード作ったのもロサのじいちゃんなんだぜ?」
カルセドは笑って続けた。自身の不安を隠し、ジルコンの不安を消すために。
「それに、ロサは機械を怖がらない。壊れてても動かなくても、そこからどう直すか、どう改良するかを考え続けてきた。あいつなら、きっとやれるさ。」
ジルコンはカルセドの言葉に少し安心したようだったが、それでも心配そうにロサを見つめた。
「でもさ、万が一失敗したら…。」
カルセドは肩をすくめて笑った。
「その時はその時さ。時間が許す限りやり直せばいい。あいつが失敗することなんてほとんどないしな。」
ロサが作業を続ける手を一瞬止めて二人の方を振り返った。
「ちょっと、何コソコソ話してるのよ。手伝わないなら黙って見てて。」
ジルコンは小さく「すみません…」と呟き、カルセドは苦笑いした。
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数十分後、ロサの作業が一段落したようだった。
彼女は最後の配線を繋げ、工具を閉じると大きく息をついた。
「……よし…! これで制御がこちらに渡ったはず。」
ロサは小さく頷き、軽く人形の頭部を叩くように触れる。
「これで動くはず…起動確認、と」
数秒の静寂の後、機械人形の目がわずかに光を帯び、内部から低い機械音が響き出した。そして頭部の隙間から蒸気が一筋吹き上がり、こちらを見るように顔を動かす。
「応答して。あなたを操作している組織について教えて」
ロサの言葉に反応するように、機械人形の頭部でギシギシと歯車が回転し始めた。不安定な音を立てながら、その内部の仕組みが言葉を紡ぎ出す準備をしている。
「…組織名…存在せず…結成…一年前…」
ロサが眉をひそめながら耳を傾ける中、機械人形は途切れがちな声で説明を続けた。
「…人数…少数…遺跡荒らし…機械人形…回収…壊れた人形…現地人…脅迫…修理…成功後…村…皆殺し…」
「な、何を言ってるんだ?」
「ちょっと待って、メモを取る。もう一度、同じ事を言わせてくれ」
ジルコンが息を呑み、カルセドは険しい表情でメモを取り始めた。
「…現在…五体の人形…運用中…勢力拡大…急加速…」
ロサは瞬時に判断し、カルセドの方を向く。
「ごめん、断片的過ぎる…すぐにもっとわかりやすく言わせる改造を…」
「いや…多分だけど、わかったわ。念のため、これが合ってるかも聞いてくれ」
ロサがうなずき機械人形に命令すると、カルセドはメモを取った紙を睨みつける。
・組織名はまだ、ない。あるいはコイツは知らない
機械人形は頷いて肯定する。
・組織は結成してから一年
「肯定」
彼は頷く。
・遺跡を荒らして、古代の遺跡から機械人形を回収
「肯定」
頷く。
「これは機械人形のありそうな遺跡を荒らしまわってたってよりも、多分だけど荒らした遺跡から大量の機械人形を偶然手に入れたって事かな?
それで、次なんだけど…さっきの言葉と、歴史上の犯罪者の行動パターンと合わせて推測すると…」
・壊れた機械人形を、現地人を脅して直させた
また、機械人形は頷く。
「それで修理に成功したら、村は…
………皆殺し」
「「ッ!」」
思わずロサとジルコンの息が止まる。
見れば機械人形は、首を縦に振って肯定した。
「ま、待ってくれ。あとは、五体の人形を使って勢力を拡大してる…ってことか」
震える手で掴んだメモを見ながら、カルセドは息を吐いた。
ロサは慌てたように、さらに質問を投げかける。
「この遺跡で何をしていたの? 何のために活動しているの?」
機械人形は一瞬間を置いてから続ける。
「…遺跡…拠点…機械人形…財宝…発掘品…奪取…新たな計画…襲撃…近隣都市…」
ギチギチ回る歯車の音がやけに大きく聞こえる。
「遺跡は拠点…自分たちの拠点…
機械人形で財宝や発掘品を奪う…
新たな計画で…近隣都市を襲撃する計画だって!? 」
「その近隣都市って、もしかして…」
ジルコンが抑えきれない声で割り込む。
「…冒険者組合…街…壊滅…犯罪世界…名声…」
返答を終えた彼の頭からブシューッと蒸気が噴き出し、三人は顔を見合わせ、言葉を失った。
「つ、つまり、冒険者組合を壊滅させる…」
「待って、組合だけじゃなくって、町ごと壊滅させるって意味じゃないの?」
ガクン、ガクンと連続で首を縦に振る音がする。
「なんだよそれ…犯罪世界とか名声って何だよカルセド!?」
叫ぶジルコンを見て、カルセドは口に手を当て、考える。
「…つまり、冒険者組合のある、僕たちの街を壊滅させて…
犯罪者たちの世界での、名声のを上げるってこと…だ…」
「そんな!? そんなことってある!?」
「そうだよ、おかしいだろ悪いことして有名になりたいとか!」
「でも歴史上、そういう犯罪結社と戦った冒険者の記録は見たことがある…信じたくないけどさ…」
カルセドの無情な返答に、ロサは震える声を押し殺し、さらに問い詰める。
「いつ襲撃を仕掛けるつもりなの?」
「…計画…準備中…近日…開始予定…」
ロサは歯を食いしばり、無意識にこぶしを握り締め立ち上がる。
「時間がない…急いで止めないと!」
機械人形が語った恐ろしい計画を阻止すべく、三人は覚悟を固めた。
「そうだ…ねぇ、これ、全部改造したらどうにかなるんじゃない?」
ロサは機械人形を見上げながら、新しい発明に挑むような輝きに満ちた目で呟いた。その視線は純粋な興味に満ちていたが、カルセドとジルコンの表情は複雑だった。
「それは流石に時間が…いや、いけるのか? でも…」
カルセドがやんわり反論を始めたところで、ジルコンが唐突に口を挟んだ。
「いや、改造なんて無理だろ…どっちかっていうと、壊した方が…」
ジルコンの視線が鋭くなり、ふと目を落とすと遺跡内に転がる拳ほどの石を手に取った。そして突然、意を決したように石を握りしめ、強く言った。
「これで壊す!」
「ちょ、待って!」ロサが慌てて止めようとしたが、間に合わない。
ゴンッ。鈍い音を立てて石が機械人形の頭部に叩きつけられた。
「馬鹿っ! そこは一番頑丈なところだってば!」
ロサが悲鳴に近い声を上げると、ジルコンは即座に言い返す。
「だって、もしこいつらが動き出したら、俺たちじゃ絶対に勝てないだろ! 動く前に壊した方がいいんだよ!」
その言葉にカルセドが一瞬ハッとした。ジルコンの行動は感情的に見えたが、実際には恐怖から出たものだったのだ。
「それでも! 何も考えずに叩いて壊すなんて!」
ロサが叫ぶが、ジルコンは止まらない。何度も石を叩きつけ、ゴンッ、ゴンッと鈍い音が遺跡内に響く。
「やめろってば! もっといい方法が…」
カルセドも慌ててジルコンの腕を掴もうとするが、その時だった。
ゴンッ、ゴンッと石が叩きつけられる音の後、機械人形が大きな音を立てて蒸気を噴き出した。シューッという音とともに、白い蒸気が勢いよく周囲に広がる。
「え…」
「これ、ヤバいんじゃ…?」
「ヤバいわ」
ロサが呟いた次の瞬間、遺跡内に複数の大人の男性の怒鳴り声と足音が響いてきた。
「誰かいるぞ!」
「侵入者だ、すぐに捕まえろ!」
三人はその声を聞き、凍りついた。カルセドが息を詰めて後方を振り返る。
「ロサ、どうする…?」
「とにかく隠れる! いや、逃げ……!」
ロサは目の前を見ると、即座に叫ぶ。
「私たち三人を連れて、逃げなさい!」
「…了解…」
ロサの命令を受けると、機械人形は床を拳で叩き、床に巨大な穴を開けた。 どうやら今立っている床は、穴の上に板を張って作られたものだったようだ。
「何してるんだ!?」
ジルコンが驚くも三人は機械人形に抱えられ、その穴の中へと落ちていく。
穴の中は遺跡内の別の通路に繋がっており、機械人形は走りながら三人を抱え逃げる。
機械人形は一定の距離まで逃げると、丁寧に三人を下ろした。
「なんか、助けられた…?」
カルセドが困惑して言う。
「とにかく先を急ごう! 後ろはこの子に守らせる!」
ロサが機械人形に命じると、それは後方を警戒するように立ち止まった。
すると、追いかけてきた足音がすぐ背後に迫ってくる。
三人は前方をランプで照らし、必死に逃げ続ける。
後ろを振り返ると、黒ずくめの男たちが追いかけてくるのが見えた。
「追ってきてるぞ! どうする?」
カルセドが声を張り上げた。
「そうだジルコン、かんしゃく玉!」
カルセドが指示を飛ばす。
「あ、そっか!」
ジルコンは気づいたようにポケットを探り、親指の先より、少し大きい程度の黒い玉を一気にばらまいた。
しばらく逃げると、次々と パンッ! という爆発音と、男たちの叫び声が聞こえる。
これが、かんしゃく玉…踏んだりして潰すと、中に入った火薬が弾けて大きな音が出る、少しだけ危険な玩具である。
次いで、ロサは無言で鞄を探り、鉛筆より少し太い、棒状の物体を取り出した。カルセドが彼女の様子に気づき、「おい待て、それってまさか…」と頬を引きつらせる。
ジルコンも白目を剥き、「ひっ…」と短い息を飲んだ。
二人はこれに見覚えがあった。 かつて駄菓子屋に売っていたものの、「子供が持つには危険すぎる」という理由で販売停止になったおもちゃ『爆竹』を、ロサが独自に再現・改良した特製の爆竹だった。
かつて三人で「威力テスト」と称してロサ特製の爆竹を空地で爆発させたことがあり、その音と威力は、本当に凄まじかった。
その時は一本だったのだが…
ロサは三本まとめてマッチのように擦り、火をつけた。白い煙が上がり始め、走りながらカウントを始める。5秒ほど経つと煙の色が黄色に変わり、ロサは振り返らずに叫んだ。
「あと五秒したら耳を塞いで! ジルコン、お願い!」
「俺かよぉ!」
ジルコンは泣きそうな声で悲鳴を上げるも、振り返りざまに爆竹を掴むと、「うおおおっ!」と声を上げながら追手たちに向かって思い切り投げつけた。
「3…2…1…今すぐ耳を塞いで!」
ロサが叫ぶと、三人は必死に耳を押さえた。
「命令! 私たち三人を担いで逃げなさい!」
機械人形は指示通りに、耳を押さえた三人を抱え上げ、驚くべき速度で通路を駆け抜ける。
その瞬間、爆竹が炸裂し、遺跡全体に響く轟音が広がった。爆発の音とともに遺跡が揺れ壁や天井から小さな砂が降り、追手たちの叫び声が混じり、後方は一瞬にして混乱に包まれる。
「音でかすぎだろ! 塞いでたのに耳が痛ぇ!」
ジルコンが抱えられながら叫ぶが、ロサは冷静に前方を見据えていた。
耳が正常だったなら、また後ろを見る余裕があったなら、爆竹で目や耳をやられた追手の混乱した声や、煙が徐々に遠ざかったことに気づいただろう。
だが、カルセドたちはそれにそれに気づく余裕などなかった。
三人と機械人形は新たな通路にたどり着き、ようやく一息つくことができた。
ジルコンは荒い息を吐きながら座り込み、ロサは機械人形を見上げながら小さく満足げに頷いた。カルセドは今通ってきた薄暗い通路を見つめ、ひとまず安心だなと大きく息を吐いた。その声には、まだ震えが残っていた。
つづく
※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。
「三丁目の夕日 夕焼けの詩」に着想を得た昭和レトロ要素こそありますが、イベントや世界観の発想など、「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作であることには間違いありません。
この作品はPixivにも投稿しています。
https://www.pixiv.net/novel/series/13031672
また、この作品はChatGPTを用いて文章を書き、修正・加筆を手作業で行っています。
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
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