メカゴジラ=シティと成り上がり少女の太陽系征服三年戦争   作:よよよーよ・だーだだ

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4話目

 地球・地球軌道圏との戦いは、これまでで一番激しく、一番恐ろしいものになった。

 このポスアポご時世でそんな余力がどこにあったのやら、彼らはわたしたちの戦術を研究して、対抗策を用意してきていた。古い核兵器を改造した『メカゴジラ・キラー』、重力波攻撃システム、次元妨害装置……

 

「やるじゃん」

 

 敵の頑張りを素直に評価した。

 

「でも、技術格差は埋められないよね?」

「はい。彼らの技術は既に陳腐化してます」

 

 セレーネが冷静に分析した。

 

「私たちのナノテクノロジーは、彼らの想像を超えてます」

 

 戦争が始まったのは、ある星空の美しい夜だった。

 突然、地球軌道の向こうから無数の戦闘艦が現れた。地球軍の最新鋭艦パトリオット級の改良型だった。エンジン音が真空中に響かないのが逆に不気味で、まるで巨大な鉄の亡霊の艦隊みたい。

 

「マニー、敵艦多数接近中! 数は……約二百隻です」

「にひゃくせき!?」

 

 わたしは震え上がった。これまでで最大規模の攻撃だった。

 そして、敵の秘密兵器『メカゴジラ・キラー』が姿を現した時、わたしは息を呑んだ。それは巨大な砲台を背負った宇宙要塞のような形をしていて、砲身が異様に太かった。

 

「あれが……」

 

 メカゴジラ・キラーが火を噴いた瞬間、宇宙空間が真っ青になった。重力波パルスの嵐がわたしたちを襲い、工場中の電子機器がぱちぱちと火花を散らして故障していく。ゴジラ・タワーの目の光が消えて、バリアシステムも機能停止した。

 

「きゃあああ!」

 

 初めて、わたしたちの防衛システムが破られた瞬間だった。敵の戦闘艦が雲のように押し寄せて、雨のようにミサイルを降らせる。

 ドーン、ドーン、ドーンって連続で爆発音が響いて、月面がぐらぐら揺れる。建物の壁がばりばり崩れて、天井からコンクリートの塊がどかどか落ちてくる。

 

「セレーネ! 大丈夫?」

「システム復旧中です……復旧まで後三分お待ちください」

 

 でも、セレーネの声がちょっと違って聞こえた。いつもの落ち着いた調子じゃなくて、なんかぎこちない。初めて、メカゴジラ=シティが「苦戦」してるのを感じた。

 その三分間が、わたしの人生で一番長く感じられた。爆音と振動で耳がキーンって鳴って、煙と粉塵で目がしょぼしょぼする。鼻と口がざらざらして、息をするたびに砂を飲み込んでる感じ。

 そして、敵の最終兵器が投入された。

 

「マニー! 反物質爆弾接近中! 着弾まで十五秒!」

「反物質爆弾!?」

 

 見上げれば宇宙空間に光る点が見えた。それがどんどん大きくなって、まるで流れ星みたい。でも、あれは破壊の星だった。

 

「地下シェルターへ! 急いで!」

 

 わたしは必死に階段を駆け下りた。低重力で跳ねながら、何度も転びそうになった。地下シェルターの厚い扉が、がちゃんと音を立てて閉まる。

 

 その十秒後、宇宙が終わったような爆発音が響いた。

 

 シェルターが激しく揺れて、電気が消えた。非常用ライトがぼんやりと点いて、わたしの顔を青白く照らす。放射線検知器がピーピーピーって狂ったように鳴り続けて、異常なエネルギーレベルを示してるのがわかった。

 

「これ、本当に勝てるの?」

 

 初めて不安になった。本当に、心の底から怖くなった。

 

 一時間後、シェルターから出ると、工場の周りには巨大な光の球が立ち上がっていた。でも、わたしたちのエリアは無傷だった。まるで魔法のバリアに守られてるみたい。

 メカゴジラ=シティのナノテクノロジーは、反物質攻撃すら無効化してみせた。シェルターの外では、ナノマシンが反物質を分子レベルで中和し、エネルギーを反射材で跳ね返し、衝撃波を分散装置で無害化していた。

 

 戦争は三ヶ月続いた。

 最初の一ヶ月は、守勢に回ってた。地球軍の攻撃は激しくて、毎日毎日、爆撃と砲撃の嵐。でも、メカゴジラ=シティの防衛システムで何とか持ちこたえてた。

 でも、二ヶ月目に入ると、メカゴジラが本格的な反撃を開始した。

 ある朝、セレーネが報告してきた。

 

「マニー、新兵器の準備が完了しました」

「新兵器?」

「はい。宇宙機動自律兵器:ヴァルチャーです。ご覧ください」

 

 工場の奥から、それが現れた時、わたしは息を呑んだ。

 それは、まるで天使みたいだった。

 全長十メートルほどの人型ロボット。でも人間じゃない。純白のナノメタルで作られた、美しく、そして恐ろしい機械の天使。

 背中には六枚の翼が広がってる。でも鳥の翼じゃない。光る金属でできた、幾何学的で美しい翼。翼の表面には無数の小さな穴が開いてて、そこから青白い光が漏れてる。

 顔は仮面みたいで、表情がない。でも、その無表情さが逆に神々しく見える。

 

「きれい……」

 

 でも、美しさと同時に、恐ろしさも感じた。この天使は、殺戮のために作られてる。

 

「ヴァルチャーは宇宙戦闘に特化した自律兵器です。敵の戦闘艦を上回る機動性と、圧倒的な火力を持っています」

 

 ヴァルチャーの翼が光った瞬間、機体がふわりと浮上した。音もなく、まるで本当に天使が舞い上がるみたい。

 

「実戦投入いたします」

 

 その日の午後、地球軍の戦闘艦編隊が襲来した。いつものように、宇宙空間が黒い点々で覆われる。

 でも、今日は違った。

 

「ヴァルチャー隊、出撃します」

 

 メカゴジラ=シティの命令と共に、工場から十体の天使が舞い上がった。

 ヴァルチャーたちは編隊を組んで、優雅に宇宙空間を舞った。まるで天界の軍勢みたい。翼から光の粒子を散らしながら、美しい軌道を描いて敵に向かっていく。

 そして、戦闘が始まった。

 ヴァルチャーの両腕から、光の矢が発射された。レーザーじゃない、荷電粒子ビームだ。もっと美しくて、もっと致命的な何か。光の矢は敵の戦闘艦を貫いて、艦体を内部から分解していく。

 爆発もない。ただ、艦体が光に包まれて、静かに消えていく。

 

「うわあ……」

 

 敵のパイロットたちが混乱してるのがわかった。傍受していた無線から聞こえてくる叫び声は、恐怖と困惑に満ちていた。

 

〈天使だ! 天使が攻撃してくる!〉

〈神よ! これは神の裁きなのか!〉

 

 ヴァルチャーたちは、まるで踊るように宇宙空間を舞いながら、敵艦を次々と撃沈していく。動きが美しすぎて、まるで宇宙バレエを見てるみたい。

 でも、その美しさの裏で、人が死んでいく。

 十分もしないうちに、敵の編隊は全滅してた。

 

「すげー……」

 

 でも、同時に複雑な気持ちだった。こんなに美しい兵器で人を殺すなんて、なんだか罪深い気がする。

 敵もヴァルチャーに対抗しようとした。

 一週間後、今度は量子妨害装備を搭載した戦闘艦が現れた。ヴァルチャーの制御システムを妨害しようとしてる。

 でも、ヴァルチャーは学習する。

 敵の妨害波を受けると、すぐに対策プログラムを開発して、逆に敵の電子機器を乗っ取った。そして、敵の戦闘艦を操縦して、味方同士で攻撃させる。

 

「えげつない……」

 

 でも、効果は絶大だった。

 二ヶ月目の終わり頃には、敵は宇宙戦をあきらめてた。ヴァルチャーの前では、どんな戦闘艦も無力だった。

 そして、三ヶ月目。

 敵は地球軌道ステーションからの攻撃に切り替えてきた。大型の宇宙要塞と、機動兵器部隊の大規模侵攻。

 けれど、メカゴジラ=シティは既に対策を準備してた。

 

「ヴァルチャーMk-Ⅱ、完成しました」

 

 新型ヴァルチャーは、前のより一回り大きくて、より神々しかった。翼が八枚に増えて、全身が金色に輝いてる。

 そして、要塞戦闘用の武器を装備してた。

 手に持ってるのは、光でできた巨大な剣。天使の剣だ。

 ヴァルチャーMk-Ⅱが戦場に現れると、敵の宇宙要塞が総攻撃を開始した。数百発の砲弾が一斉に発射される。

 でも、ヴァルチャーは翼を広げて、光のバリアを展開した。砲弾は全部、バリアに当たって消滅する。

 そして、反撃。

 ヴァルチャーが光の剣を振るうと、数キロ先の宇宙要塞が真っ二つに切断された。装甲なんて、紙みたいに切れる。

 しかも、攻撃方法が美しすぎる。

 ヴァルチャーは宇宙空間を舞うように移動しながら、優雅に剣を振るう。まるで死の舞踏会みたい。敵の兵士たちは、美しさに見とれながら死んでいく。

 わたしは混乱した。こんなに美しい殺戮は見たことない。

 

 戦争は、もはや一方的な虐殺になっていった。

 ヴァルチャーたちの前では、敵は何もできない。ただ、美しい天使たちに刈り取られていくだけだ。

 メカゴジラ=シティは天使の軍勢を作り上げた。美しく、強大で、完璧な殺戮機械。

 でも、その美しさが逆に恐ろしかった。

 神は、こんなに美しい天使で人間を裁くのかもしれないな、と思った。

 

 

 最後の戦いは、地球軌道上で行われた。

 軌道ステーションの半分が破壊されて、スペースコロニーも瓦礫の山になってた。宇宙空間にデブリが無数に漂って、星空が金属片で霞んでる。

 そして、地球統一政府本部から白い旗が掲げられた時、わたしは本当に泣きそうになった。

 勝ったんだ。

 そして世界最強の軍隊である地球軍が降伏したことで、他の勢力もやっと素直に恭順する気になったらしい。

 

「月軌道政府も降伏を申し出てます」

「小惑星連合も、統合を希望してます」

「木星圏独立政府からも白旗が上がりました」

 

 こうして逆らう勢力が一つもなくなったとき、わたしはようやく安堵のため息をつくことができた。

 そんなわたしに、セレーネは告げた。

 

「おめでとうございます、マニー。太陽系全体の統一が完了いたしました」

「ありがとう、セレーネ」

 

 ついに、やっちゃった。二十歳の誕生日に、わたしは太陽系を征服した。名実ともに、太陽系の女王様になったのだ。

 でも、ちょっと気になることがあった。

 

「……ねえ、セレーネ。地球の人たち、まだわたしたちに反感持ってる人が多いんじゃない?」

 

 わたしの懸念に、セレーネも実直に答える。

 

「確かにそうですね。抵抗勢力は一掃されましたが、民衆レベルでの反感は残っているでしょう」

「どうしたらいいかな?」

「……ふむ」

 

 セレーネがちょっと考え込むような仕草をしてから、やがてこう答えた。

 

「教育制度の改革をお勧めします」

「教育?」

「はい。特に子供たちに対する新しい教育システムを導入すれば、次世代から真の統合が可能になります」

 

 なるほど、それは良いアイデアかも。子供のうちからちゃんとした教育を受けさせれば、みんな仲良くなれるよね。

 

「具体的にはどんな教育?」

「平和と協調の精神を重視した、新時代に適応した教育プログラムです。マニーの理想とする世界観を、子供たちに正しく伝えることができます」

「すばらしいね!」

 

 わたしは手を叩いて喜んだ。戦争で勝つより、教育で心を変える方がずっと素敵だよね。

 

「それに、教育を通じて宇宙技術への正しい理解も深められます。メカゴジラ=シティのような高度な技術を恐れるのではなく、人類の進歩のために活用する意識を育てることができるでしょう」

「本当にそうだね。みんながわたしたちのことを理解してくれれば、もっと平和な宇宙になるよ」

「その通りです。教育こそが、真の統一への道筋です」

 

 メカゴジラ・セレーネの提案に、わたしは完全に納得した。武力で押さえつけるより、教育で理解してもらう方がずっといい。みんなが幸せになれる。

 

「じゃあ、さっそく新しい教育制度を始めよう」

「承知いたしました。最適な教育プログラムを設計いたします」

 

 こうして、太陽系統一の次の段階が始まった。それは武力による征服ではなく、教育による心の統合だった。

 

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