モンスターストライク 〜大星痕:グランドクロス〜   作:犬社長

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描写に手間取ったら遅くなっちゃった……

もしかしなくても読み難いと思います。ごめんね…


まぁ、それはそれとして4話です。どうゾ↓



444〈崩界 終復 砕生〉

 

 

 

 

 

「………〈壊獣(ノーマン)〉が…また……?」

 

 

 

 蒼い瞳を見開いたまま、ネオは震える声で呟く。そして、信じられない、と言わんばかりに首を弱々しく振った。

 

 

「…でも、間違いなくノーマンは星と共に眠りに就いた。……私が……眠らせたのに…。」

 

「──だがコレが現実だ。現にノーマンの一部が発見されている。」

 

 

 そう言って、アルタイルはノーマンの一部が納められたカプセルを叩いた。それを見ていたニュウは、ふと不思議に思った事を口に出す。

 

「そう言えば、見つかったノーマンの肉体はコレだけなんですか?他に何か見つかった物等は無いんですか?」

 

「無い。コレだけだ。」

 

 ニュウの質問にそう答えて、アルタイルはカプセル横に置いてあるモニターを素早くタップする。そして、そこに表示された情報を静かに読み上げた。

 

 

「〈壊獣〉の触手は、昨日開拓中だった森の奥地で発見された。体組織の検査結果、コレは〈壊獣〉から千切れて2日ほど経っている事が判明している。〈壊獣〉本体の残骸が無いか周辺1キロを探索したが、触手の持ち主は発見されなかった。

 …発見当時、触手が落ちていた周辺には、巨大な何かが戦った様な痕跡が多数確認されていて、恐らくこの触手は戦闘中に千切られた物だろうと推測されている。……戦闘相手は勿論不明だ。」

 

 それを聞いて、ニュウは顎に手を当てて考える仕草をとる。

 

「巨大な何かと戦闘……。〈暴獣〉と〈壊獣〉が戦った…とかですかね。」

「──と思いたい所だが、生憎〈壊獣〉は人類に対してのみ敵対行動をとる。それはキミ達も知っているだろう。」

「ですよね。」

 

 それは分かっていた事なので、ニュウはあっさり頷いた。しかしそうなると、2日前に〈壊獣〉と交戦した人間が居るという事になる。

 

 〈壊獣〉の復活はとんでもない大事件だ。交戦者が誰であれ、直ぐさま何らかの報告が上がるに違いない。しかし、今までそんな報告は一切無かった。

 

 

 壊獣は人類のみを敵とする。しかし、2日前に壊獣と戦った人は居ない。───ならば、壊獣は何と戦っていたのだ???

 

 

「ますます変な話ですね。」

「あぁ、それが問題なんだ。」

 

 そう言って、アルタイルは溜息を吐いた。

 

 

「──上層部に報告は?」

 

「…()()と〈イースター〉のトップ、そしてそこに居るアミダくんとハレルヤくんには報告してある。〈スターダスト〉でコレを知っているのは、私とアルビレオ、ミラ、レグルス、そしてデネブさんだけだ。他はまだ誰も、この事を知らない。軍にも告げていない。」

 

「なるほど。」

 

 ニュウは納得したように頷く。先程廊下ですれ違ったマンガン軍曹と銀中佐は、確かに何も知らされていない様に見えた。もし知っていれば、もっと切羽詰まっていただろうし、ニュウ達──特にネオに対する反応は、全く違った物になっていただろう。

 

 

「──軍は壊獣アレルギーだからな。この話が軍部の耳に入れば、どんな事態になるか予想も付かない。街周辺の樹海を無差別爆撃する、等と言い出す可能性すらある。…それで解決する筈も無いのにな。」

 

 アルタイルは再び溜息を吐いた。それから、ネオの方へ顔を向ける。

 

「ネオくん。──この件を報告した時、〈()()〉は君と話がしたいと言っていた。……すまないが、行ってくれないか?」

 

「総統と…?」

 

 少し不安げな表情でネオは呟いた。〈()()〉とは、この〈世界再建連邦〉のトップであり、かつての〈連邦政府〉のリーダーでもある。

 

 ネオにとってみれば、自分を巡る争いの全ての元凶…と言っても過言では無い存在だ。勿論、〈イースター〉と和解したのは知っているし、今はもう敵では無いのも理解している。しかし、やはり苦手意識は拭えなかった。

 

「ネオだけを行かせられないです。…僕も行きますよ。アルタイルさん。良いですよね?」

 

 ネオの不安を感じ取ったニュウが、彼女の傍に立ってそう言う。アルタイルは、もちろん、と言うように頷いた。

 

 

「構わないさ。総統は最上階で待っている。」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

〈世界再建連邦本部・最上階〉

 

 

 

 

 コン コン

 

 

 

 ……広々とした部屋の中にノックの音が木霊する。

 

 

 

「───入れ。」

 

 

 

 部屋の主がそう1言口にすると、両開きの扉が開いて2人の男女──ネオとニュウ──が入ってきた。

 

 

(……ここが最上階…?何も無い……。)

 

 

 部屋に入ったネオは、顔は動かさずに視線を部屋の中へと彷徨わせ、その"何も無さ"に少なからず驚く。

 

 

 体育館並みの広さを誇る室内には、ただ窓際に木製のデスクと黒いデスクチェアが置いてあるのみで、それ以外には何も無かったのだ。照明は点いていないが、壁の殆どがガラス窓なので暗くは無い。

 

 そして、その窓際に置いてある椅子の上に、1人の軍服らしき服装をした男性が微動だにせず座っていた。

 

 

「こんにちは。()()()()()殿()。」

 

 

 彼に対し、ニュウが短く敬礼する。

 

 

 軍服を着た男──改め『〈世界再建連邦総統〉アーク』は、一切表情を動かすこと無く頷いた。そして、デスクに肘をついて静かに話し始める。

 

 

「──さて……アルタイルから話は聞いただろうが、つい先日〈壊獣〉の一部が樹海で発見された。それについて、ネオに訊きたい。」

 

 

 そこで一旦言葉を切り、彼は暗い光を宿した目でネオを真っ直ぐ見つめた。その視線には、突き刺す様な警戒心が滲んでいる。…鮮やかな青空をバックに映し出される彼の姿は、まるで影絵の様だった。

 

 

 

「───この壊獣の出現には、君は関わっていないな?」

 

「関わって無い。」

 

 

 彼の視線を跳ね除けるように、ネオは短く否定の言葉を口にした。アークは微動だにせぬまま、ネオを静かに見つめ続ける。

 

「……では1つ尋ねるが、もしも君が〈壊獣〉と〈星の花〉を復活させようと考えた場合、ソレは出来るのか?もし〈星の花〉とまだ君に『繋がり』が有るのなら──」

 

「──お言葉ですが総統。彼女がそんな事を望んだとでも仰るおつもりですか??」

 

 アークの話を遮るように、ニュウが口を挟んだ。彼がアークを睨む目は鋭く、視線だけで壁に穴を開けそうな程である。

 

「……『もしも』の話だ。ニュウ。実際に望む望まなかったに関係なく、我は仮定の話をしているだけに過ぎん。……お前は彼女の事になると見境が無くなるな。まぁ…それもお前の意思の現れなのだろう。」

 

 その視線を怯むこと無くアークは受け止め、諭すように口を開く。……終始彼から滲み出る『支配者』の雰囲気に、ネオは何となく彼が"総統"たる所以を知った。

 

 

「───私は新人類としての力を全て星へ返還した。もう〈星〉との繋がりは無いに等しい。例えそう願ったとしても、壊獣が蘇る事は無いと思う。……そもそも、そんな事をする理由も必要も、私には無い。」

 

 

 ネオは確信を──特に最後の言葉に──込めて、ハッキリと言い切る。他ならぬ自分自身が強く願い、掴み取った人類の未来なのだ。それを手放すなんて願う筈も無い。

 

 

「そうか。なら構わん。───それを確かめたかっただけだ。この目でな。」

 

 

 そう言って、アークは静かに片手を上げた。そして、ネオ達が通って来た両開きの扉を指し示す。

 

「話は以上だ。それぞれの日常に戻りたまえ。…全ては此方で決着を付けよう。」

 

 少し拍子抜けしたネオとニュウは顔を見合わせる。…どうやら、再建連邦としては2人をこれ以上関わらせる気は無いらしい。

確かに、今の自分達に出来る事など限られてはいるが……。

 

「君達を関わらせる必要はもう何処にもない。用は済んだ。」

 

 そう言い切ると、アークは徐に彼らは背を向けた。室内に差し込む陽光を受け、床に長々と黒い影が伸びる。…その影へニュウは再び短く敬礼をすると、ネオを手招きした。

 

「……行こうネオ。総統の言う通り、僕達にこれ以上関わる力は無い。話が済んだのなら、それで良いんだ。」

 

「………わかった。」

 

 ネオはアークを一瞥すると、ニュウの後に続いて歩き出す。その瞬間、不意に踏み出した足がぐらりと揺れた。

 

 

「え…?」

 

 

 バランスを崩しかけた体が、ニュウの手で支えられる。

 

 何が起きたのかと問う間もなく、部屋全体がミシミシと軋みながら揺れ始めた。

 

 

「──ゆ…()()()()……!?地震???」

 

 目を見開き、揺れ動く床の上で踏ん張るネオ。彼女を守るように両腕で庇うニュウが、勢い良く首を振った。

 

「まさか!──アステールは1枚のプレートの上に位置している…!地震なんて起きる筈───」

 

「いや。……間違いなく地震だ。」

 

 

 ニュウの発言を遮り、アークが階下の街並みを見下ろしながら呟く。彼の目には、街全体の大地がうねりながら波打っている様子が、ありありと写し出されていた。

 

「───じゃあ…これは本当に地震なのか!でも……何で??」

 

 大地の揺れと窓の軋みは益々酷くなる。その内の1枚が、ピシリと音を立てて罅割れたのをネオは見た。

 

「この建物って…崩れる?」

 

 彼女の問いにニュウは微妙な表情を浮かべる。

 

「本部は頑丈に作られてる。──でも、耐震免震工事がしてある訳じゃ無い…!ビル全体が崩れなくても、一部は崩落する危険が──」

 

「…………()()()。」

 

「──あるかも………え??」

 

 ニュウの言葉は、またしてもアークに遮られた。しかし今度は、彼は地上を見ていない。彼の目は、遥か空の上へ向けられていたのだ。

 

 

 釣られて空を仰ぎ見た2人の目に、青空を奔る極彩色の光の奔流が写り込む。

 

 それは、恰も天の川が地上に堕ちてきたかの如き光の波となり、蒼穹の端から端まで張り巡らされていた。

 

 

()()()()…!?」

「こんなに鮮明に……まだ朝なのに!」

 

 大地が揺れていることも忘れ、暫し2人は晴天を染め上げる極光を仰ぎ見る。

 

 

───ォォォォォオン…!!

 

 

「───ッ!」

 

 

 不意に鯨の鳴き声の様な音が聞こえて来て、ネオは思わず自分の耳に触れた。同時に地平の彼方から、光の粒子が星雲の如くドワッと噴き出して天へと昇っていく。

 

「あれは───」

 

 ニュウとアーク、そしてネオは、瞬時にその正体を理解した。

 

 あの星屑に見える物、それらは全て()()()()()()()()()()()()()()()。そしてそれは即ち、かつて世界を満たしていた『星の瘴気』が、また星の内側より湧き出た事を表している。

 

 

「〈星のセラム〉…!!!」

 

 

 アークは噴き上がる〈星のセラム〉を見上げ、忌々しげに吐き捨てた。

 同時にネオは、胸の〈星痕〉が焼ける様に熱く成り始めたのを自覚する。

 

「あ……くっ…?!」

 

 

キュォォォン…フォォォォオン……!

 

 

 余りの熱に、胸を押さえながら蹲るネオ。そして、頭の中に鯨の鳴き声の様な音が繰り返し響き始め、視界には激しいノイズが走り出す。

 

 

キュィィィン…!キュコォォォォン…!

 

 

「ネオ!大丈夫?!ネオッ!!!」

 

「くっ……、こ…声が──」

 

 ニュウの呼び声に混じり、ガンガンと響く咆哮の彼方から、誰かの叫び声が聞こえ始めた。

 

 

───抗え!!!

 

 

「ッッ…?!」

 

 叫びはどんどん大きくなり、ネオの頭の中に割れ鐘の如く木霊する。それに耐え切れず、彼女は両耳を塞いだ。……そうしても、何の意味も無いと分かっていたが。

 

 

───抗え!!!!

 

 

───抗え!!!!!

 

 

 

「何……に…ッ…?!」

 

 

 頭蓋を揺さぶる何者かの絶叫に、ネオは蹲って震えながら問い掛ける。

 すると、彼方からの叫びがそれに答えた。

 

 

──(とき)が来る!!

 

──(とき)が来る!!

 

───来てしまった!!

 

 

「……と……時?」

 

 

 この時ネオは、この叫びが星の悲鳴であると、何の理由も無く直感的に悟った。

 そして、声は何か伝えるかの様に1つの言葉を絶えず繰り返す。

 

収穫(ハーヴェスト)…!

 

回収(ハーヴェスト)…!

 

強奪(ハーヴェスト)…!

 

 

 

抗え!!!その為に、お前達に託したのだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……………気付くと、大地の揺れは収まっていた。

 

 空を染め上げるオーロラも、発作が収まった様に消え失せていく。

 

 しかし空に浮かぶ〈星のセラム〉は健在で、まるで空全体が宝石を散りばめられたかの如く煌めいていた。

 

 

「…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!!」

 

 

 ネオは荒い息を吐きながら、床に手をついて何度も喘ぐ。…脳を揺らす叫びも、胸を焼くような熱も全て過ぎ去ったが、それで楽になった訳では無かった。

 

「ネオ…!──どこか苦しい所は!?痛む所とか無い!?」

 

 震える肩を支えてくれるニュウを安心させるべく、ネオはゆっくりと頭を振る。

 

「だ…大丈夫。ただ…ちょっと……驚いただけ……」

 

 そう言って彼女が右手を持ち上げた時、ふと彼女の手のひらにノイズが奔った。それは奔る感覚を速めながら青い光を放ち、軈て彼女の手の内に()()()()()()()()()を出現させる。

 

 

「うそ………!」

 

 

 手のひらに現れた『ソレ』を見つめ、蒼い瞳を限界まで見開くネオ。

 一部始終を見ていたニュウとアークも、目を見開いてネオの手のひらのキューブを凝視していた。

 

 

「……マジか。」

 

 

 ニュウの呟きの後に、アークが額に手を当てて呻く。

 

 

「───〈星筐体(セラムキューブ)〉………!」

 

 

 ……唐突に現れた物は、嘗てネオが手放した筈のモノ。──新人類としての力の象徴──〈セラムキューブ〉だった。

 

 

 

「──フォオオォオォオンッ…!!」

 

 

 

「「「──ッ?!」」」

 

 

 あ然としていた3人の耳に、何かの咆哮の様な音が聞こえてくる。弾かれるよう空を見上げてみれば、〈星のセラム〉で半ば満たされた空に、漆黒の身体と深紅のライン模様を持つ怪物が飛んでいた。しかも1体では無く、何十…いや、何百体もの黒い怪物が、空を席巻している。

 

 

「アレは───」

 

 

 罅割れた窓から空を見上げて愕然とするニュウの横で、同じ様に空を見上げたアークは半ば投げやり気味に呟いた。

 

 

「………〈壊獣(ノーマン)〉か。世界は、どうやら半年前に巻き戻った様だな………。」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 その後、嘗て〈星の花〉が咲いていた『禁踏地』に、東西南北の方向へ広がる巨大な()()()()()()が生まれているのが発見され、更にそこには無数の〈壊獣〉の群れと、大量の小さな〈星の花〉らしき物が咲き乱れているのが確認される。

 

 

 世界規模で発生した謎の大地震は、『禁踏地』に亀裂が入った時に起きたものである事が判明し、〈星のセラム〉と〈壊獣〉もこの亀裂から生まれている事が確認された。

 

 

 そして『禁踏地』に現れた謎の亀裂は、その『十字架』の様な形からこう呼ばれる事となる。

 

 

 

 

 

大星痕(グランドクロス)〉──と。

 

 

 

 

 








やっと原作のシーンが始まった…!

でもなんか抗うだの収穫(ハーヴェスト)だの原作に無い事言ってますけどねぇ?!

あと連邦政府(現・再建連邦)の統帥アークは、デスアークがモデルです。デスは敢えて抜いてます。

と言うことで、こっから話をガンガン進めていきたい(願望)なので、宜しく頼みますね。ではまた次回〜
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