モンスターストライク 〜大星痕:グランドクロス〜 作:犬社長
描写に手間取ったら遅くなっちゃった……
もしかしなくても読み難いと思います。ごめんね…
まぁ、それはそれとして4話です。どうゾ↓
「………〈
蒼い瞳を見開いたまま、ネオは震える声で呟く。そして、信じられない、と言わんばかりに首を弱々しく振った。
「…でも、間違いなくノーマンは星と共に眠りに就いた。……私が……眠らせたのに…。」
「──だがコレが現実だ。現にノーマンの一部が発見されている。」
そう言って、アルタイルはノーマンの一部が納められたカプセルを叩いた。それを見ていたニュウは、ふと不思議に思った事を口に出す。
「そう言えば、見つかったノーマンの肉体はコレだけなんですか?他に何か見つかった物等は無いんですか?」
「無い。コレだけだ。」
ニュウの質問にそう答えて、アルタイルはカプセル横に置いてあるモニターを素早くタップする。そして、そこに表示された情報を静かに読み上げた。
「〈壊獣〉の触手は、昨日開拓中だった森の奥地で発見された。体組織の検査結果、コレは〈壊獣〉から千切れて2日ほど経っている事が判明している。〈壊獣〉本体の残骸が無いか周辺1キロを探索したが、触手の持ち主は発見されなかった。
…発見当時、触手が落ちていた周辺には、巨大な何かが戦った様な痕跡が多数確認されていて、恐らくこの触手は戦闘中に千切られた物だろうと推測されている。……戦闘相手は勿論不明だ。」
それを聞いて、ニュウは顎に手を当てて考える仕草をとる。
「巨大な何かと戦闘……。〈暴獣〉と〈壊獣〉が戦った…とかですかね。」
「──と思いたい所だが、生憎〈壊獣〉は人類に対してのみ敵対行動をとる。それはキミ達も知っているだろう。」
「ですよね。」
それは分かっていた事なので、ニュウはあっさり頷いた。しかしそうなると、2日前に〈壊獣〉と交戦した人間が居るという事になる。
〈壊獣〉の復活はとんでもない大事件だ。交戦者が誰であれ、直ぐさま何らかの報告が上がるに違いない。しかし、今までそんな報告は一切無かった。
壊獣は人類のみを敵とする。しかし、2日前に壊獣と戦った人は居ない。───ならば、壊獣は何と戦っていたのだ???
「ますます変な話ですね。」
「あぁ、それが問題なんだ。」
そう言って、アルタイルは溜息を吐いた。
「──上層部に報告は?」
「…
「なるほど。」
ニュウは納得したように頷く。先程廊下ですれ違ったマンガン軍曹と銀中佐は、確かに何も知らされていない様に見えた。もし知っていれば、もっと切羽詰まっていただろうし、ニュウ達──特にネオに対する反応は、全く違った物になっていただろう。
「──軍は壊獣アレルギーだからな。この話が軍部の耳に入れば、どんな事態になるか予想も付かない。街周辺の樹海を無差別爆撃する、等と言い出す可能性すらある。…それで解決する筈も無いのにな。」
アルタイルは再び溜息を吐いた。それから、ネオの方へ顔を向ける。
「ネオくん。──この件を報告した時、〈
「総統と…?」
少し不安げな表情でネオは呟いた。〈
ネオにとってみれば、自分を巡る争いの全ての元凶…と言っても過言では無い存在だ。勿論、〈イースター〉と和解したのは知っているし、今はもう敵では無いのも理解している。しかし、やはり苦手意識は拭えなかった。
「ネオだけを行かせられないです。…僕も行きますよ。アルタイルさん。良いですよね?」
ネオの不安を感じ取ったニュウが、彼女の傍に立ってそう言う。アルタイルは、もちろん、と言うように頷いた。
「構わないさ。総統は最上階で待っている。」
〈世界再建連邦本部・最上階〉
コン コン
……広々とした部屋の中にノックの音が木霊する。
「───入れ。」
部屋の主がそう1言口にすると、両開きの扉が開いて2人の男女──ネオとニュウ──が入ってきた。
(……ここが最上階…?何も無い……。)
部屋に入ったネオは、顔は動かさずに視線を部屋の中へと彷徨わせ、その"何も無さ"に少なからず驚く。
体育館並みの広さを誇る室内には、ただ窓際に木製のデスクと黒いデスクチェアが置いてあるのみで、それ以外には何も無かったのだ。照明は点いていないが、壁の殆どがガラス窓なので暗くは無い。
そして、その窓際に置いてある椅子の上に、1人の軍服らしき服装をした男性が微動だにせず座っていた。
「こんにちは。
彼に対し、ニュウが短く敬礼する。
軍服を着た男──改め『〈世界再建連邦総統〉アーク』は、一切表情を動かすこと無く頷いた。そして、デスクに肘をついて静かに話し始める。
「──さて……アルタイルから話は聞いただろうが、つい先日〈壊獣〉の一部が樹海で発見された。それについて、ネオに訊きたい。」
そこで一旦言葉を切り、彼は暗い光を宿した目でネオを真っ直ぐ見つめた。その視線には、突き刺す様な警戒心が滲んでいる。…鮮やかな青空をバックに映し出される彼の姿は、まるで影絵の様だった。
「───この壊獣の出現には、君は関わっていないな?」
「関わって無い。」
彼の視線を跳ね除けるように、ネオは短く否定の言葉を口にした。アークは微動だにせぬまま、ネオを静かに見つめ続ける。
「……では1つ尋ねるが、もしも君が〈壊獣〉と〈星の花〉を復活させようと考えた場合、ソレは出来るのか?もし〈星の花〉とまだ君に『繋がり』が有るのなら──」
「──お言葉ですが総統。彼女がそんな事を望んだとでも仰るおつもりですか??」
アークの話を遮るように、ニュウが口を挟んだ。彼がアークを睨む目は鋭く、視線だけで壁に穴を開けそうな程である。
「……『もしも』の話だ。ニュウ。実際に望む望まなかったに関係なく、我は仮定の話をしているだけに過ぎん。……お前は彼女の事になると見境が無くなるな。まぁ…それもお前の意思の現れなのだろう。」
その視線を怯むこと無くアークは受け止め、諭すように口を開く。……終始彼から滲み出る『支配者』の雰囲気に、ネオは何となく彼が"総統"たる所以を知った。
「───私は新人類としての力を全て星へ返還した。もう〈星〉との繋がりは無いに等しい。例えそう願ったとしても、壊獣が蘇る事は無いと思う。……そもそも、そんな事をする理由も必要も、私には無い。」
ネオは確信を──特に最後の言葉に──込めて、ハッキリと言い切る。他ならぬ自分自身が強く願い、掴み取った人類の未来なのだ。それを手放すなんて願う筈も無い。
「そうか。なら構わん。───それを確かめたかっただけだ。この目でな。」
そう言って、アークは静かに片手を上げた。そして、ネオ達が通って来た両開きの扉を指し示す。
「話は以上だ。それぞれの日常に戻りたまえ。…全ては此方で決着を付けよう。」
少し拍子抜けしたネオとニュウは顔を見合わせる。…どうやら、再建連邦としては2人をこれ以上関わらせる気は無いらしい。
確かに、今の自分達に出来る事など限られてはいるが……。
「君達を関わらせる必要はもう何処にもない。用は済んだ。」
そう言い切ると、アークは徐に彼らは背を向けた。室内に差し込む陽光を受け、床に長々と黒い影が伸びる。…その影へニュウは再び短く敬礼をすると、ネオを手招きした。
「……行こうネオ。総統の言う通り、僕達にこれ以上関わる力は無い。話が済んだのなら、それで良いんだ。」
「………わかった。」
ネオはアークを一瞥すると、ニュウの後に続いて歩き出す。その瞬間、不意に踏み出した足がぐらりと揺れた。
「え…?」
バランスを崩しかけた体が、ニュウの手で支えられる。
何が起きたのかと問う間もなく、部屋全体がミシミシと軋みながら揺れ始めた。
「──ゆ…
目を見開き、揺れ動く床の上で踏ん張るネオ。彼女を守るように両腕で庇うニュウが、勢い良く首を振った。
「まさか!──アステールは1枚のプレートの上に位置している…!地震なんて起きる筈───」
「いや。……間違いなく地震だ。」
ニュウの発言を遮り、アークが階下の街並みを見下ろしながら呟く。彼の目には、街全体の大地がうねりながら波打っている様子が、ありありと写し出されていた。
「───じゃあ…これは本当に地震なのか!でも……何で??」
大地の揺れと窓の軋みは益々酷くなる。その内の1枚が、ピシリと音を立てて罅割れたのをネオは見た。
「この建物って…崩れる?」
彼女の問いにニュウは微妙な表情を浮かべる。
「本部は頑丈に作られてる。──でも、耐震免震工事がしてある訳じゃ無い…!ビル全体が崩れなくても、一部は崩落する危険が──」
「…………
「──あるかも………え??」
ニュウの言葉は、またしてもアークに遮られた。しかし今度は、彼は地上を見ていない。彼の目は、遥か空の上へ向けられていたのだ。
釣られて空を仰ぎ見た2人の目に、青空を奔る極彩色の光の奔流が写り込む。
それは、恰も天の川が地上に堕ちてきたかの如き光の波となり、蒼穹の端から端まで張り巡らされていた。
「
「こんなに鮮明に……まだ朝なのに!」
大地が揺れていることも忘れ、暫し2人は晴天を染め上げる極光を仰ぎ見る。
「───ッ!」
不意に鯨の鳴き声の様な音が聞こえて来て、ネオは思わず自分の耳に触れた。同時に地平の彼方から、光の粒子が星雲の如くドワッと噴き出して天へと昇っていく。
「あれは───」
ニュウとアーク、そしてネオは、瞬時にその正体を理解した。
あの星屑に見える物、それらは全て
「〈星のセラム〉…!!!」
アークは噴き上がる〈星のセラム〉を見上げ、忌々しげに吐き捨てた。
同時にネオは、胸の〈星痕〉が焼ける様に熱く成り始めたのを自覚する。
「あ……くっ…?!」
余りの熱に、胸を押さえながら蹲るネオ。そして、頭の中に鯨の鳴き声の様な音が繰り返し響き始め、視界には激しいノイズが走り出す。
「ネオ!大丈夫?!ネオッ!!!」
「くっ……、こ…声が──」
ニュウの呼び声に混じり、ガンガンと響く咆哮の彼方から、誰かの叫び声が聞こえ始めた。
「ッッ…?!」
叫びはどんどん大きくなり、ネオの頭の中に割れ鐘の如く木霊する。それに耐え切れず、彼女は両耳を塞いだ。……そうしても、何の意味も無いと分かっていたが。
「何……に…ッ…?!」
頭蓋を揺さぶる何者かの絶叫に、ネオは蹲って震えながら問い掛ける。
すると、彼方からの叫びがそれに答えた。
「……と……時?」
この時ネオは、この叫びが星の悲鳴であると、何の理由も無く直感的に悟った。
そして、声は何か伝えるかの様に1つの言葉を絶えず繰り返す。
……………気付くと、大地の揺れは収まっていた。
空を染め上げるオーロラも、発作が収まった様に消え失せていく。
しかし空に浮かぶ〈星のセラム〉は健在で、まるで空全体が宝石を散りばめられたかの如く煌めいていた。
「…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…!!」
ネオは荒い息を吐きながら、床に手をついて何度も喘ぐ。…脳を揺らす叫びも、胸を焼くような熱も全て過ぎ去ったが、それで楽になった訳では無かった。
「ネオ…!──どこか苦しい所は!?痛む所とか無い!?」
震える肩を支えてくれるニュウを安心させるべく、ネオはゆっくりと頭を振る。
「だ…大丈夫。ただ…ちょっと……驚いただけ……」
そう言って彼女が右手を持ち上げた時、ふと彼女の手のひらにノイズが奔った。それは奔る感覚を速めながら青い光を放ち、軈て彼女の手の内に
「うそ………!」
手のひらに現れた『ソレ』を見つめ、蒼い瞳を限界まで見開くネオ。
一部始終を見ていたニュウとアークも、目を見開いてネオの手のひらのキューブを凝視していた。
「……マジか。」
ニュウの呟きの後に、アークが額に手を当てて呻く。
「───〈
……唐突に現れた物は、嘗てネオが手放した筈のモノ。──新人類としての力の象徴──〈セラムキューブ〉だった。
「「「──ッ?!」」」
あ然としていた3人の耳に、何かの咆哮の様な音が聞こえてくる。弾かれるよう空を見上げてみれば、〈星のセラム〉で半ば満たされた空に、漆黒の身体と深紅のライン模様を持つ怪物が飛んでいた。しかも1体では無く、何十…いや、何百体もの黒い怪物が、空を席巻している。
「アレは───」
罅割れた窓から空を見上げて愕然とするニュウの横で、同じ様に空を見上げたアークは半ば投げやり気味に呟いた。
「………〈
その後、嘗て〈星の花〉が咲いていた『禁踏地』に、東西南北の方向へ広がる巨大な
世界規模で発生した謎の大地震は、『禁踏地』に亀裂が入った時に起きたものである事が判明し、〈星のセラム〉と〈壊獣〉もこの亀裂から生まれている事が確認された。
そして『禁踏地』に現れた謎の亀裂は、その『十字架』の様な形からこう呼ばれる事となる。
やっと原作のシーンが始まった…!
でもなんか抗うだの
あと連邦政府(現・再建連邦)の統帥アークは、デスアークがモデルです。デスは敢えて抜いてます。
と言うことで、こっから話をガンガン進めていきたい(願望)なので、宜しく頼みますね。ではまた次回〜