病弱な私と聖人な貴方と。   作:カブトムシの相棒

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☆先生の見た目は黒髪で青い瞳をしており、メガネを掛け。青と黒色の眼鏡チェーンを付けている大人です。
白髪で赤い瞳をしている柊雫とは正反対です。



☆重要

・ストーリーは『アビドス3章』を終えて数週間後とします。




では、本編です。


この世界で生きると云う事。

 

■そして、1週間後。

 

 

 

────私が入院してから、1週間の日が流れました。

 

まさか見知らぬ世界に来て早々入院を強いられるとは思いませんでしたが、これも私の不幸体質が呼んだ結果と見る他ないでしょう。

 

ですが、良い事もありました。それは『鳳城 龍太郎』さん事、このキヴォトスに於ける唯一の”先生”である御方の存在です。

 

私の命の恩人であり、初めてのお友達です。私は先生が居なければいきなり死んでいたでしょう。

この方には数え切れない程の恩があります。恐らく一生を懸けても返す事が出来ない、それ程の恩があるんです。命を救われるとは、そういうレベルの話であると、私は考えています。

 

 

私は今、先生と共に病院の出入り口に居ます。

 

 

 

「雫、退院おめでとう。元気に成って良かったよ」

「ありがとう御座います、先生。貴方のお陰です」

「いいや、雫が頑張ったからだよ。そう言って頂けると私も嬉しい。雫の笑顔が見れて、俺は大満足だ」

「もう、またそういう事を言う……ふふっ、でも、本当にありがとう御座います!」

 

 

 

私を見下ろし、朗らかな笑みで私の言葉を聞き、頷く先生。

目が合います。何処までも、どこまでも優しい御方の瞳。

 

先生自身、このキヴォトスに来て未だ1ヶ月の身らしいですが、この喧騒溢れるキヴォトスで頑張って戦地を駆け抜けて、生徒さん達の問題を解決に尽力を果たしています。

 

それは常人では為し得る事は困難な筈です。

だからこそ、その様な輝きを放っているのでしょう。海の様に青く、誰よりも深い愛情を抱え、包み込む温かさを宿した瞳をしているのでしょう。

 

 

 

「タクシーはもう来ているから、早速向かおうか」

「そう、ですね…はい……」

「ん?……もしかして、緊張しているのか?」

「あ、えっと……す、すみません、緊張してます……っ」

「ふっ、まぁ仕方ないよな。これから向かう所が()()()()なんて知れば、な」

 

 

 

はい、私が緊張している理由が……これからタクシーを用いて先生の職場である【シャーレ】に行くからです。

 

 

遡る事、3日前……私は先生にこれからの事を相談致しました。

 

 

 

………。

 

 

 

 

『────退院した後の事か?』

『は、はい……どうすれば良いか、分からなくって……』

 

 

 

お恥ずかしい話、私は私生活を主に病院で過ごしてきました。

子供の頃から、成人した今でも、です。

 

故に、一人で生きる方法は余りよく分かっていないのです。

それも、この知らぬ世界では尚更。

 

その相談事を聞いた先生は、少しの微笑みを見せ、私にこう告げました。

 

 

 

『あぁ、その事なら既に話は通してあるよ』

『あ、そうなのですか…………え?……は、はい?話を通した、ですか?』

『うん。辛い話だが、雫…貴女には今じゃ帰る場所が無い。それにこのキヴォトスには身分の証明が出来無いと一瞬で路上暮らしを強いられる厳しい世界なんだ。これは……認めたくはないが、今を生きる子供達や雫のような女性でも罷り通ってしまう現実なんだ』

『……怖い話です』

『あぁ、本当に……だからね、私は雫にそんな生活を送ってほしくはないんだ。どうせ雫の事だ、これ以上の迷惑は耐えられないとか何とか云って、私のサポート無しで生きる方法を聞こうとした、違うか?』

『……………ナンノ、コト、デヒョ??』

『そんな顔しても誤魔化せないからな』

 

 

 

だって、仕方ないではありませんか……これ以上は受け取れないですもの。

 

そんな私の心を読んだであろう先生が、告げます。

 

 

 

『雫、俺は雫の生活が安定するまで最高峰のサポートを施すつもりだ。例え雫がイヤイヤ駄々を捏ねてもな。いいか、これは決定だ』

『こ、子供じゃないんですから、駄々は捏ねないですよ!』

『どうかな、意外と子供っぽい所があるからな~雫は』

『何をー!もう!先生はこの4日間で私の何処を見て子供っぽいと判断したのですか!』

『トマトが嫌いな所。果物類を見ると瞳をキラキラさせている所。テレビで軽い下ネタで笑う所……後は、虫が苦手な所かな?』

『んぐっ………む、虫は苦手な大人はこの世に居ますから!逆になんで先生は虫が大丈夫なのですか!ゴキブリを素手で触って逃がした時は流石に眼が飛び出るかと思いましたよ!でも助けて頂けてありがとう御座います!』

『こう見えても虫や生物は好きな部類だからな。あと他は否定しないのな』

 

 

 

先生はいじわるです。

 

……半分図星なのが悔しいですが。

 

 

 

『本題に戻る。実の所、雫の件は全て俺に任されているんだ。だから────雫には退院した後、体調が良くなりキヴォトスの生活に慣れ全てが安定するまで【シャーレ居住区】で生活を送ってほしいんだ』

『シャーレ居住区……ですか?』

『あぁ。シャーレの建造物は非常に巨大でね、その中には居住区と云う普遍の生活が可能な場所もあるんだ』

『そこに私が……で、ですが』

『待った』

『んっ……』

 

 

 

先生が私の口元に人差し指を立て、静止を促します。

一体なんでか……それは、先生が答えます。

 

 

 

『気にしている気持ちは分かる。だけど、前にも言ったが雫は今は私の管轄だ。だから雫が気に病む必要は全くないんだよ』

『先生……よ、宜しいのですか?本当に……』

『当たり前だ。私は雫のサポートを全力で執行すると決めたのだから、男として、それに対する二言は存在しない。それに、ただ無償と云う訳でもない……雫には、私の仕事を手伝って欲しい』

 

 

 

先生は続けます。

 

 

 

『実の所、私が働く職場は基本的に私単体でね。生徒の子に当番方式で手伝って貰って何とか過ごせている環境なんだ。恥ずかしい話、徹夜なんかもしなきゃいけない感じでね……』

『そ、そうなのですか……っ!先生、是非私をお使いください!お部屋まで借りて頂き、お仕事まで授けて頂ける何て……わ、私、先生のお役に立ちたいです!』

『雫……ありがとう。とても心強い』

『お!お礼を言うのは私ですよ!数え切れない恩を頂いているのに、住む場所にお仕事まで……私、先生にどう感謝すれば良いか……』

『笑顔、声、俺と分け隔てなく会話してくれている時点で既に満足だよ』

『なっ……んっく……か、揶揄わないで下さいよぉ!』

『本音だ、どう受け取るかは雫次第だが、俺は雫を揶揄うなんて少しだけしかしないぞ』

『少しはするんじゃないですかー!』

 

 

 

 

………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────という事があり、私はシャーレに向かっているのです。

 

 

 

「雫……雫?」

「……あ、はい。どうしました?」

「ボーっとしてたが、大丈夫か?もうシャーレに着いたが……」

「え?………え!?あれ!?も、もう着いたのですか!?」

「あぁ。病院からシャーレまで10分ちょっとだから直ぐではあったが、タクシー内で一言も喋らず外を見てボーっとしてて、少し心配だったぞ……体調は大丈夫か?支えは居るか?」

「あ、す、すみません!ちょっと考え事をしてまして……体調は万全です!要らぬ御心配をお掛けしてしまい申し訳御座いません……っ!」

「そうか?いやなに、雫が大丈夫ならそれで良いんだ。じゃあ早速行こうか────」

 

 

 

そうして、私達はタクシーから降り、目の前の大きな建造物の前に立ちます。

 

其処は、私がこれから生活する場所である────シャーレのビルです。

 

何と云えば良いのでしょう……凄まじく大きいです。

私が居た日本ではこの様な建造物はありませんでした。東京に行けばあるのかな?田舎出身なので、都会には少し憧れがあったのですが……まさか、異世界で都会を感じるとは思いませんでした。

一応先生も名前的に日本人ではあるのですが、少し話したところ先生と私の居た日本では一般的な常識に中々な差異が発生し、彼と私の居た日本は同じでも『別の世界線』である事に落ち着いたのです。

 

これはまた話します。今は、シャーレの事です。

 

 

 

「わぁぁ……すごい…おおきい……きれい」

「色んな生徒が来る場所だからな、清潔感は意識してるさ」

「それでも凄いですね……埃一つも無い様な気がします」

「ふは、まぁ強ち間違いではないね。私の生徒で腕利きのエンジニア集団が居て、その子達にお掃除ロボットを頂いて今日で3日……それが現れてるのかもしれない」

「お掃除ロボット?……あ!この子達ですか?」

「あぁそうそう。このルンバっぽいロボットが床や壁に窓と云った箇所を掃除してくれるんだ」

「へぇ~可愛いですね!でもこのルンバは私が居た日本でもメジャーな部類でs……わぁ!?あ、脚が生えた!?って……あ、歩いて、行った……?」

「ゴミを捨てに行ったんだろうね。急に足が生えて何処か歩いて行く様は中々シュールだけど、少し可愛いだろう?」

「そうですね……ちょびっと吃驚しましたが、あのテクテク感は妙な可愛さがあって素敵ですね!」

「っ!……ふっ、共感してくれたようで何よりだ」

 

 

 

先生は、とっても優しいです。しつこいようですが、何度でも言わせて下さい。

 

私の問いに、彼は確りと答えてくれます。自分でも思う位には鬱陶しい筈ですのに、彼は嫌な顔一つせず答えてくれます。人とこんなに話したのは数年単位なのもあって質問責めしてしまう私に嫌気が差してしまいますが、彼は異様な察知力で私を慰めてくれます。

 

一応、同い年なのですが……ちょっと年下扱いされてる様で恥ずかしいですね。

 

 

まぁ、こんなそんなで私は先生の後に着いて行きました。

 

少し歩いた先、先生が立ち止まりました。

どうしたのか様子を伺うと、先生が深呼吸をしたあと振り返り、私に問います。

 

 

 

「すぅ~、ふぅー………雫、先に俺……私の仕事場に向かうんだが、少しだけいいか?」

「ん……(話し方が変わった……)────はい!何でもお申し付けください」

「ごめんね、ありがとう。実は何だけど、私は先生と云う立場上かなり特殊でね、こういう風に子供と接する時用に口調を変えてるんだ。ほら、私の素は、その……少し乱暴だろう?雫には普通に接しているんだが、生徒達には少しな………変だとは思うが、生徒の前では雫にもこの口調で話すから、それだけ分かってほしい」

 

 

 

……なんだ、そういう事でしたか。

 

 

 

「えぇ、勿論わかっていますよ。生徒と先生は飽く迄『子供と大人』ですから、口調を変えるのは極自然の事です。それに全く変ではありませんよ!そういった口調もカッコよくて良いと思います!」

「雫……ありがとうね」

「いいえ。あ、でも────二人きりの時は、また素に戻しても良いのですよ?」

「………当たり前だろ。俺は雫にしか素は出さねぇよ」

「あ……は、はい…っ」

「…ッ!ま、待てッ!別に雫の事を軽視している訳じゃないんだ!た、ただ俺、私?俺!俺は!俺はなんだ!?」

「わ、分かってますよ!?えと、えっと!先生は鳳城龍太郎さんですね!?あ、いえ!あいや、いえじゃなくって!?」

「い、一旦落ち着こう!お互いに!」

「は、はい!」

「…………」

「…………」

 

 

 

数秒の間、二名の思考が被る。

 

 

 

”────何をしているん(ですか)だ俺(私)は~~……ッ”

 

 

 

「(らしくねぇぞ俺っ!淑女を前に何て無様だッ……クソ、雫には良い所を見せたいのに、ここ最近はずっと上手くいかねぇ……雫、幻滅したか?)」

「(うぅ……龍さんを前に何て態度を……ポンコツな自分は最悪です……龍さん、私の事どう思ったかな…?)」

 

 

 

23歳。

互いに大人とは言え、恋愛経験は皆無に等しい。

 

先生は頬を少し赤く染め、雫は顔全体が真っ赤に染まり、汗を拭き出して焦燥を露にしている。

 

 

 

「とっ!取り合えず入るか!」

「そ、そう!ですね!え、えへへ……」

 

 

 

いい歳して、何とも恥ずかしい……。

でもそれは先生もですから、まぁ、お互い様…でもあるのです!

 

 

私達は息を整え、その執務室に入ります。

 

 

そうして、周囲に目を配れば────個性的な女の子が、3名椅子に座って居たのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「────ただいま。”イブキ”、当番の日に待たせてごめんね?大切な用事があってさ……おや?」

「おかえり~先生。そんなに待ってないからいいよ~………ふぅん?」

「大切な用事……ねぇ?」

「聞いてた通りの人……その人がそうな訳?」

「おかえりなさい!先生!それと……こんにちわ?」

「あ、こんにちわ………(わぁ……色んな子が居るなぁ)」

 

 

 

執務室に入って、目に届いたのは『4名の生徒』さんです。

 

一人目は長い桃色の長髪の、オレンジ色と青色のオッドアイが特徴的な生徒さん。

二人目は猫耳があって、二つの尻尾が生えてる和風の生徒さん。

三人目は後頭部に角が生えて腰に一つの小さな羽があって、白髪にセンターが黒色の大人っぽい生徒さん。

四人目は黄色い髪色の、角、尻尾、羽が揃っている可愛い幼子。

 

それぞれが非常に個性的な方々です。キヴォトスに来て生きる為に色々と学びましたが、本当に多種多様な子どもたちが居るのですね~……勉強になります。

 

 

 

「今日は『イブキ』が当番の予定だったけど、皆は遊びに来てくれた感じかな?」

「そう見えるの?だとしたら、相当お気楽な頭してるね、あんた」

「うーん……あんまり子供の前で事を大きくしたい訳じゃないんだけどさー……先生、もうちょっと具体的な説明がほしいかな~?この件に関する、ね」

「まぁまぁ、先ずは落ち着いて?先にこの人と自己紹介からね。柊さん、どうぞ」

「あ、は、はいっ!」

 

 

 

思わぬ所で番が回ってきました。何だか、かなり殺伐とした雰囲気ですが、大丈夫なのでしょうか……先生は普通にしているので、大丈夫だと思いますが。

あの金髪の幼い子はとても癒されますね。

 

ですが今は、私の自己紹介が先ですね!

 

 

 

「み、皆さん初めまして!私は柊雫と申します!えっと、先生と同様キヴォトスの外から来た者です。年齢は23で先生と同い年です。えっと、実は此処シャーレで職員として雇って頂き、働く事に至りました。とは言ってもまだまだ未熟者の身ですので、至らない点は見受けられるかもですが……これから皆さんの御力になりたいと思っております!不束者ですが、どうか宜しくお願い致します!!」

 

 

 

バッと、私が皆さんに向けて全力で一礼を披露します。

少し長々となってしまいましたが、頑張って病院で覚えてきた自己紹介です!

 

少し噛んでしまったのが残念ですが、これで私の事は伝えれたはず……です。

 

 

 

「わぁー!シャーレの新しい職員さんなんだ!綺麗な人~!ねぇねぇ!イブキね、『丹花イブキ』って言うの!」

「は、はい!宜しくお願いします!丹花さん!」

「イブキで良いよ!」

「あ、えと…イブキ、さん」

「えへへ~!うん!これから宜しくね、雫さん!」

 

 

 

テトテトと、小刻みに近づいて来て下さったイブキさんが自己紹介をして、私に握手を求めて下さいました。

 

な、なんて素敵な子ですかっ!笑う表情は正に天使のようでかわいいです!

 

私はしゃがみ込み、イブキさんと握手します。私よりも小さな手で、温かくて守りたくなりますね……恐らく私よりもずっとイブキさんの方がお強いのでしょうが。

 

 

 

「ちゃんと挨拶出来て偉いね、イブキ」

「えへへ~!」

 

 

 

とてもお利口さんのイブキさんに、先生は頭を撫でて微笑みます。

先生は顔が非常に整っているので、イブキさんと並ぶと凄く絵に成りますね。身長差のアンバランスさも癖になりそうです。

 

 

 

「……ふぅん」

「柊雫さんね。初めまして、私は『鬼方カヨコ』……今は行ってないけどゲヘナ学園って所の生徒だよ。宜しくね」

「はい!宜しくお願いします、鬼方さん!」

「うへ~、おじさんはアビドスって高校に通ってる『小鳥遊ホシノ』って言うんだ~。宜しくね~」

「よ、宜しくお願いします!小鳥遊さん」

「………」

「キキョウ、君も挨拶してほしいな」

「……百鬼夜行連合学院所属、百花繚乱の作戦参謀、桐生キキョウ。宜しく」

「よっ!宜しくお願いします!桐生さん」

 

 

 

先生のアシストで無事皆さんと御挨拶が出来ました!よかったー!

 

鬼方カヨコさん、小鳥遊ホシノさん、桐生キキョウさん。

覚えました。この方々を見る感じ、とても優しい子達なのでしょう。

 

イブキさん以外私を見る目が少し怖いのは、恐らく先生を心配為さっているから。

確かに警戒するのは至極当然でしょう、私はいきなり現れ、急にシャーレの職員になった者ですから。

 

皆さんの反応を見るに、先生に対しかなり好意的な想いを抱いてる。そんな風に読み取れます。

同じ女性ですから、少し分かるんです。

 

そんな中、先生が声を上げ告げます。

 

 

 

「皆、少し圧を仕舞って貰おうか。先程の質問だけど、今日の朝方、全SNSシャーレ公式サイトで転載した通り『新人職員が一人増えます』と、一通り伝えるべき事は伝えたと思うんだけど……何か聞きたい事があったら何でも言ってほしいな」

「その事に対して言ってるんじゃないの、私達は」

「それよりもその後に書いてあった事。これ、結構すごい事書いてる自覚あるの?先生」

「おじさんもコレはちょっと気になっちゃうんだよね~……事実なの?」

 

 

 

?……アレ、とは何なのでしょう。

 

私が少しそう思案に暮れると、先生が私の横に並び、告げます。

 

 

 

「アレ、とは……あ、もしかして『同じ居住区で過ごす』事かな?」

「………ふぇ?」

 

 

 

────私の、聞き間違いでしょうか?

 

 

 

「あ、あぁぁ、あの、先生??その、いま、何と?」

「私と柊さんが同じシャーレ居住区で過ごす事ですよ?」

「え……えーーーッッ!?」

 

 

 

は、初耳なのですが!?

な、何故!?何故、私が先生と同じ所に!?

 

……ま、まさか!

 

 

 

────昨日の夕方、病院にて。

 

 

 

『住む所は私と同じ場所でいいか?身体の容態や慣れない場所という事もあるし、近くに私が居た方が良いと思うんだが……嫌なら変えるぞ?』

『いえ!絶対に同じ場所が良いです!だって先生が近くに居ると、すっごく安心できますし!』

『……ふぅぅぅぅ………分かった、そういう形で決めておく』

『ありがとう御座います!』

 

 

 

────そして、現在。

 

 

 

 

 

「き、昨日のっ!もしかしてあの時に言っていた事って!?」

「私と柊さんの『シェアハウス』的なやつですね」

「はへぇ!?」

 

 

 

え、ちょっ!えぇ!?そ、それって、その……良いんですか!?

 

ってか私言ってたし!絶対に同じが良いって言ってますし!うわぁぁぁ!なんて、こと…っ!

 

 

 

「無論、内装は居住区で一番大きいですし部屋は分けますよ。私は男で、貴女は女性ですからね」

「あ、そうなのですか、ありがとう御座います……じゃなくてですね!?え、えっと!どうして同じ空間に!?せ、先生は嫌では無いのですか!?」

「ん?いえ、全く」

「うぇぇ!?なんで!?いきなり、その、同棲的な事をするのですよ!?普通嫌では!?」

「逆に柊さんが嫌だと思ったのですが……改めて聞きますが、柊さんは嫌ではないのですか?」

 

 

 

……それは違うじゃないですか。

 

 

 

「そのですね…全然嫌じゃないんです」

「本当に?」

「本当です!」

「本当の本当に??????」

「ほっ!本当の本当にっ!恥ずかしいので、そんなに確認しないでくださいよー!」

「ふふっ、すみません。おもしろい反応なのでつい」

 

 

 

何ですかソレ!小学生みたいないじわるじゃないですか!

 

 

 

「では決まりですね。では改めまして、これから宜しくお願いします、柊雫さん」

「こ、こういうものなのですかキヴォトスって!?……痺れますねぇ~(適応)」

 

 

 

何て言うか、凄いテンポで先生との同棲が決まりました。

えっと、本当に嫌じゃないですし、何なら、その……初めて人と過ごすので、凄く楽しみでもあるんですよね。えへへ!

 

……あれ?私、なにか非常に大事なナニかを忘れて……。

 

 

 

「────話は終わった?」

「え?……あ、あぁ…っ!」

「随分と見せつけてくれるね~?おじさん吃驚しちゃったよ~」

 

 

 

凍えそうな声を掛けられて、私は意識をハッキリさせます。

 

やらかしてしまいました。当番の皆さんが居る中で、何てはしたない……お恥ずかしいですっ!

 

 

 

「……先生、雫さんはちゃんと理解してなかったみたいだけど?」

「そうみたいだね……一応、病院先では確認はしたんだけど、少し言葉不足だったかな」

「も、申し訳御座いません先生っ……早速不躾を起こしてしまって」

「いえいえ!とんでもない、寧ろ良かったですよ」

「へ?それは、どういう……?」

「────緊張が少し和らいだようですからね。リラックス出来ました?」

 

 

 

先生の言葉に…”はっ!”となります。

 

確かに肩に力が少しだけ抜けた感じがします。

ここに来て、緊張して言葉が上手く紡がず、幼い子に気を遣われる始末でした。

 

先生とお話しする事で……少しだけ、気が抜けたのかもしれません。

 

 

 

「貴女にとって、此処はきっと過ごしやすい場所になるかと思います。今更ですが、御身体は障っておりませんか?」

「先生……ふふふっ!はい、大丈夫です。お薬も頂けましたし」

「そうか……些細な変化でもいいから、優れなかったら直ぐに言ってくださいね。私でも、生徒の子達でも」

「はい、ありがとう御座います!」

 

 

 

先生の、そして生徒さん達の御迷惑にはなりたくない志で此処に居ますが……やがり、無視は出来ないです。

 

私が抱えていた『心臓病』は、後遺症が色濃く残っています。

 

過度な運動やストレスは、余り良くないと診断されました。

もしかしたら再発もあり得る……きっと、早死にするタイプですね、私は。

 

 

 

「雫さん、お身体あまりよくないの?」

「いえ、少し弱いだけですよイブキさん。御心配して頂きありがとう御座います」

「……そうは見えないけど?」

「見るからに病弱だよね。何処が悪いの?あんた」

「あ、えっと……此処が、少しだけ」

 

 

 

鬼方さんと桐生さんにはお見通しの様でした。

きっと小鳥遊さんにも……私は今は自己紹介の立場なので、私の病症を伝えるのも紹介なのでしょう。私は皆さんにお伝えします。

 

 

 

「子供の時からちょっと良くなかったんです。でも、最近ほぼ完治いたしまして!少し後遺症的なのは残りましたが、少しずつ治していっている途中です!」

「そうだったの……ごめんね、問い詰める様な事しちゃって」

「い、いえいえ!どうかお気に為さらないで下さい!私自身、怪しい人物だよなと自覚はしていますので……えへへ」

 

 

 

シャーレの先生の御話はスマホで大体調べました。

 

本当に、凄い殿方なのだと知りました。

 

数々の事件を解決している存在。生徒の皆さんのみならず、一般市民の皆さんにも固い支持を受けている。

 

キヴォトスの英雄なんて呼び名も聞きました。入院していた病院の看護師さんが、先生の事をそう仰っていたのをよく覚えています。

 

 

 

「色々と不審な存在ではありますが、皆さんの御力に成りたい思いはあります!お仕事は見習いになるので力に成れるか不明ですが……お勉強はきっと御教授できる面があるかと思います!」

「………あんたさぁ」

「は…はいっ!」

 

 

 

一通り言い終えると、桐生さんが話しかけて来ます。

 

うぅ……や、やはり、まだ受け入れられないのでしょうか…?

 

 

 

「────細すぎじゃない?」

「……え?」

「あ、ソレ私も思った」

「あーやっぱ皆思うよね~」

「あ、あの……?」

 

 

 

ぞろぞろと、皆さんが私の下へと集います。

え、なんでですか??……ひゃあっ!?

 

 

 

「うわ、腕とか片手で、えっ…ほっそ」

「私と余り身長変わらない筈なのに、お腹周りとか……うわっ、薄すぎない?」

「うへ~……ココ(おっぱい)ココ(お尻)に栄養がいっちゃったんじゃないの~?(セクハラおじさん)」

「あひゅぃ!?あ、あのっ、皆さん…っ……んっ!あぁっ……急に、なにを…?」

「ん?いや、幾ら何でも細すぎるからさ。ちょっと触らせて貰ったけど、これヤバいね」

「ねぇ、先生?キッチン借りるけど良い?良いよね?」

「大丈夫だよ。因みに、柊さんはアレルギーは無いからね」

「え?あ、あの、え…??」

「了解。丁度お昼頃だし、全員分の料理作るから」

「じゃあ私も手伝おうかな」

 

 

 

突如として、皆さんがぞろぞろと動き出します。

 

無論、私は理解が出来ません。

え、なぜ!?急にどうしたのですか!?

 

オロオロとしていると、イブキさんが抱き着いて来ました。

 

 

 

「雫さん!皆がご飯作ってくれるんだってー!うれしいね!」

「え?あ、そうなのですか……御二人には後で御礼をしなくれは…」

「うへ~。何だかおじさんの分まで作ってくれるみたいだし、それまでお昼寝しようかな~……」

 

 

 

小鳥遊さんは眠たそうに、そのままソファーの方に行っちゃいました。

 

確かに、何だかお疲れの御様子でした。少しでも疲れが取れれば良いのですが……。

 

 

 

「ねぇねぇ雫さん!おままごとってした事ある?」

「おままごと、ですか?あるにはありますが……」

「ほんと!?じゃあ、えと……一緒にしない?」

 

 

 

イブキさんの煌びやかな瞳に射貫かれ、心がキュンってなる感覚です。

断る理由はありません。でも……もう一人。

 

 

 

「でしたら、先生も御一緒にしませんか?」

「ん?私も?」

「あ!良いね!先生も一緒におままごとしよー!」

「私も入れてくれるのかい?」

「はいっ!イブキさんと私と先生で!」

 

 

 

そう言うと、先生は……。

 

 

 

「じゃあ、お邪魔させて貰おうかな」

 

 

 

ふっと微笑み、同意して下さいました

 

私達はイブキさんんが御用意していたセットで、共におままごとをしてお昼ご飯を待ちました。

 

久しぶりにしたおままごとは凄く楽しかったです。

 

 

 

……でも。

 

 

 

「(どうして皆さん、急に”敵意”や”重圧”の視線を下ろして下さったのでしょう……?)」

 

 

 

そんな思案をして、私の自己紹介は終わりました。

 

 

 

 







イブキ以外は全員『シャーレに職員!?しかも女!??許せん!!』って感じでした。

だけど思っていた以上に頑張り屋さんで、ちょっとポンコツで、でも儚い雰囲気を放っている、マジの病弱の女性が来た事で普通に狼狽えていたのです。しかも心臓病で、先生と同じ生身の肉体。

想像を絶する恐怖だろうに、頑張って職務をこなすと云う意思が伝わり、認めた。

纏めると『なんやコイツ、普通に良い子で可愛いなぁ』って感じです。

先生の名前

  • 要る(鳳城 龍太郎で良い)
  • 要る(他の名前が良い)
  • 要らない
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