現代戦争における魔法少女の戦略的価値   作:無能メンヘラ

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投稿が遅れてしまい申し訳ありません。


混沌

米国国防総省"新シリア連邦における米日合同部隊とロシア軍の武力衝突について"

 

新シリア連邦アレッポ近郊において、同地域で作戦行動中であった米海兵隊を主力とする米日合同部隊が、流出した核弾頭の回収任務を遂行していたロシア軍部隊と交戦状態に入った。

戦闘は数時間にわたり断続的に発生し、双方に重大な人的および物的損害が生じたと評価される。

 

現時点の分析では、両軍はそれぞれ独立した情報・指揮系統の下で作戦を実施しており、相互に相手部隊の存在を事前に把握していなかった可能性が高い。

交戦発生の要因としては、日本の陸上自衛隊部隊による威嚇射撃が事態を急速に悪化させた可能性が高いと見られている。

 

本事案は、作戦地域における情報共有の欠如と指揮統制上の問題が、意図せぬ大規模衝突へと発展した事例である。

 


 

『こちら自衛隊。前方に敵性武装勢力を確認――威嚇射撃を行う』

 

 次の瞬間、乾いた炸裂音が一発、夜気を切り裂いた。

 89式小銃から放たれた弾丸は、ロシア軍装甲車の側面装甲をかすめ、鈍い金属音を残す。

 

 それは偶発的な発砲だった。

 だが――戦争を始める理由としては、あまりにも十分すぎた。

 

 ロシア軍側の通信網に、即座に「攻撃を受けた」という誤認が走る。

 誤認は判断を歪め、判断は引き金へと直結する。

 

 数秒後、ロシア軍部隊は反撃を開始した。

 

 AK-74の連射音が重なり、PKM軽機関銃が低く唸るような咆哮を上げる。

 曳光弾が夜空を裂き、地面と瓦礫を叩きつけるように跳ね回った。

 

『マズいぞ! 撃たれてる!! 』

 

 無線は悲鳴と怒声で埋め尽くされる。

 誰が撃ったのか、誰が敵なのか――確認する余裕は、すでに失われていた。

 

 米海兵隊、自衛隊、ロシア軍。

 本来なら決して交戦するはずのない部隊が、同一の戦場に存在しているという異常事態。

 

 だが、その事実を理解できている者は、ほとんどいなかった。

 

『おい、待て! アイツら――ロシア軍だ! 撃ち返すな!! 』

 

『撃たれてるんだぞ! 黙ってやられる気か、撃ち返せ! 』

 

 命令と命令が衝突する。

 制止の声は、銃声にかき消される。

 

 誰かが引き金を引き、誰かが倒れ、誰かがそれを見てさらに引き金を引く。

 理性よりも先に、恐怖と訓練が体を動かしていた。

 

 こうして、誰の意図でもなく、誰の大義でもなく――。

 

 新シリア連邦の地で、大国同士の戦争が始まった。

 

 砂埃が視界を覆い、夜の闇と混ざり合って世界を灰色に塗り潰していた。

 耳鳴りが止まらない。銃声と爆音が連続し、方向感覚はとうに失われている。

 

「伏せろ! 伏せろ! 」

 

 誰の声かも分からない怒鳴り声が飛ぶ。

 自衛隊員は瓦礫の陰に身を滑り込ませ、反射的に89式を構えた。

 

 前方では装甲車のシルエットが炎に照らされている。

 味方か、敵か――そんな判断を下すための時間は、もう存在しなかった。

 

 弾着の衝撃が地面を揺らす。

 コンクリート片が跳ね、粉塵が喉を焼く。

 

『こちら第2小隊、ロシア語の無線を確認! 敵はロシア軍だ! 』

 

 その報告が届いた瞬間、別の無線が割り込む。

 

『関係ない! 撃たれてる以上、交戦を継続する! 』

 

 命令系統が崩れていくのが、はっきりと分かった。

 誰もが"正しい判断"をしようとして、結果として誰も全体を見られていない。

 

 AKの連射音が近づく。

 弾丸が瓦礫を砕き、頭上をかすめる。

 

「クソ……なんで、こんなことに……」

 

 引き金を引く指が震える。

 だが、引かなければ次の瞬間には自分が倒れる――そう思わせるには十分な状況だった。

 

 誰かが発砲する。

 それに反応して、さらに銃声が重なる。

 

 戦闘は意思ではなく、慣性で続く。

 

 高度三千メートル。

 夜間監視ポッドのモニターには、赤外線で浮かび上がる無数の熱源が映し出されていた。

 

「……地上が完全に混線している」

 

 米軍の航空管制士が低く呟く。

 味方識別信号(IFF)は、あちこちで断続的に消失していた。

 

 本来、交戦など起こり得ない配置。

 だが現実には、三つの異なる国の部隊が、同一の市街地で銃火を交えている。

 

『ロシア軍装甲部隊、北側から前進中』

 

『地上の米海兵隊が航空支援を要請しているが……目標識別ができない』

 

 モニター上では、曳光弾の軌跡が蜘蛛の巣のように交差していた。

 どの発砲が誰のものなのか、上空からでも判別は困難だった。

 

 無人偵察機が旋回する。

 AIは冷静に"交戦状態"と判定するが、そこに政治も事情も存在しない。

 

『航空攻撃は不可能だ。誤爆のリスクが高すぎる』

 

 だが、地上からは繰り返し要請が届く。

 

『支援をくれ! このままじゃ持たない!』

 

 上空にいる者たちは、引き金を引かずに済む。

 だが同時に、何もできないという別種の無力感に縛られていた。

 

 レーダーに新たな反応。

 

『……ロシア軍の攻撃ヘリが離陸した』

 

 それは、戦闘が局地的衝突から、完全な戦争状態へ移行したことを意味していた。

 


 

 ロシア軍地上部隊

 

 夜の市街地は、不自然なほど静かだった。

 瓦礫の間を抜ける冷たい風が、焦げた金属の匂いを運んでくる。

 

「警戒を続けろ。核弾頭回収部隊は後方だ」

 

 指揮官の声は落ち着いていた。

 彼らの任務は明確だ。――流出した核弾頭の確保。それ以外の交戦は想定されていない。

 

 暗視装置越しに、市街地の輪郭が浮かび上がる。

 そのときだった。

 

 乾いた銃声が一発。

 

 次の瞬間、装甲車の側面で火花が散った。

 

「被弾した! 」

 

 兵士が叫ぶ。

 装甲は貫通していない。だが、疑いようのない“攻撃”だった。

 

「誰が撃った! 」

 

 返答はない。

 ただ、建物の影から人影が散開するのが見えた。

 

「敵性武装勢力だ。正規軍かは不明! 」

 

 指揮官の判断は速かった。

 この地域で彼らを狙う存在は限られている。

 先に撃った――それだけで十分だった。

 

「全員、反撃準備! 射撃許可!」

 

 AK-74の連射が闇を切り裂く。

 PKMの重い発射音が加わり、空気が震えた。

 

 弾薬箱が空になるたび、兵士が自動的に交換する。

 訓練通りの動き。感情を挟む余地はない。

 

「こちらを正規軍が攻撃してきている可能性あり! 」

 

 無線がざわつく。

 

『識別はできたのか! 』

 

「不可能だ! だが統制された動きだ、民兵ではない! 」

 

 瓦礫の向こうで閃光が走る。

 反撃だ。明らかに訓練された射撃。

 

 その瞬間、誰かが叫んだ。

 

「……星条旗だ! 」

 

 一瞬の沈黙。

 

 だが、すぐに別の声が重なる。

 

「撃たれている事実は変わらない! 」

 

 その言葉が、兵士たちの最後の理性を押し流した。

 

「攻撃継続! 後退するな! 」

 

 引き金が引かれる。

 敵が誰かなど、もはや関係なかった。

 

 上からは支援が来ない。

 だが地上では、撃つか、撃たれるかしか存在しない。

 

 指揮官は歯を食いしばりながら思う。

 

 ――なぜ、ここにアメリカがいる。

 ――なぜ、話し合いではなく、銃声なのか。

 

 だが答えを考える暇はない。

 また新たな銃声が、思考を引き裂いた。

 

 この瞬間、彼らも理解していた。

 

 これは事故ではない。

 そして、もう誰にも止められない戦争だ。




公開可能な情報(アレッポにおける戦力と損害)

戦力
米海兵隊:第26海兵遠征部隊(26th MEU)

約4,200名

地上戦力
• 第2海兵連隊 第1大隊
• LAV-25 装甲偵察車
• M1A1 Abrams(限定展開)
• M777 155mm榴弾砲

航空戦力
• AV-8B ハリアーII
• F/A-18C
• AH-1Z ヴァイパー
• MV-22 オスプレイ

日本国自衛隊:中央即応連隊基幹部隊

約2,300名
• 96式装輪装甲車
• 16式機動戦闘車
• 軽迫撃砲・対戦車ミサイル(01式)
• F-15J(防空)
• E-767 早期警戒管制機
• C-130H 輸送

ロシア陸軍:第58諸兵科連合軍(南部軍管区)

約9,000名

※コーカサス方面から展開
• 第19自動車化狙撃師団
• 第42親衛自動車化狙撃師団
• T-72B3 / T-90A 主力戦車
• BMP-2 / BMP-3 歩兵戦闘車
• BTR-82A 装甲兵員輸送車
• 2S19 ムスタ-S 自走榴弾砲

損害

アメリカ海兵隊
• 戦死:約430名
• 負傷:約1,100名
• 装甲車両喪失:LAV-25 ×12
• 航空機損失:AV-8B ×1(撃墜)

陸上自衛隊
• 戦死:約210名
• 負傷:約620名
• 16式機動戦闘車 ×4 破壊
• 指揮小隊ほぼ壊滅(誤射当事部隊)

ロシア軍
• 戦死:約650名
• 負傷:約1,400名
• T-72B3 ×9 破壊
• BMP/BTR ×18 喪失
• Su-25 ×1 被弾・不時着
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