SIDE スバル
アーラム村へ戻ってきたスバルを迎えたのは、つい数時間前までの騒がしさが嘘のように静まり返った村の風景だった。避難を終えた広場には人影もまばらで、家々の扉は固く閉ざされ、街道に残された轍だけが大勢の人間がここを離れたことを物語っている。スバルはパトラッシュの背から身を乗り出し、必死になって辺りを見渡した。目当ての人物がまだ村に残っている保証はない。むしろ、魔女教徒と疑われて拘束されたばかりの商人が、いつまでもこんな場所に留まっている方がおかしいだろう。それでも、今はそのわずかな可能性に縋るしかなかった。
「オットー! オットー・スーウェン! いるかぁぁぁ!?」
返事はない。スバルは舌打ちすると、広場の奥へパトラッシュを走らせた。すると、倉庫の陰に停められた一台の竜車が目に入る。見覚えのある荷台、その傍らで何やら帳面を眺めている灰色の髪の青年。スバルは思わず顔を輝かせた。
「――オットォォォ!!」
「ひゃあっ!? な、なんですか!?」
突然の絶叫に、青年は飛び上がった。手にしていた帳面を取り落とし、慌てて拾い上げるその姿は、先ほどまで鉄の牙に拘束されていたときと何ら変わらない。スバルはパトラッシュから飛び降りると、そんな彼の両肩を勢いよく掴んだ。
「よかった! まだいた!」
「な、ナツキさん!? ちょっと、いきなり何なんですか! 僕は今、これからの商売について非常に重要な計算をしていたところで――」
「オットー! お前、今すぐ竜車を出せるか!?」
「……はい?」
「王都へ向かった避難民の竜車だ! 今すぐ追いかけたい! 追いつけるか!?」
あまりにも唐突な要求に、オットーは目を白黒させた。事情を理解しようとするように何度か瞬きを繰り返し、それから困り果てた表情で首を傾げる。
「ええと……つまり、先ほど出発された方々の後を追いたいと?」
「そうだ!」
「それは、まあ、不可能ではありませんが……。あちらは相当な人数ですし、出発からも時間が経っています。追いつくには相応の速度が必要になりますし、僕としても商売道具である竜車を無茶に走らせるのは――」
「金なら出す!」
その一言に、オットーの動きがぴたりと止まった。
「……はい?」
「運賃だよ、運賃! 多少高くても構わねえ! だから今すぐ出してくれ!」
「……ちなみに、そのお支払いというのは……?」
「ああ、安心しろ! 金はロズワール・L・メイザース辺境伯が出す!」
「――はい! 喜んで!!」
「切り替え早ぇな、おい!?」
先ほどまでの渋い顔はどこへやら。オットーは満面の笑みを浮かべると、勢いよく竜車へ飛び乗った。その手際は驚くほど素早く、荷台の固定を確認し、手綱を握り、出発の準備を整えていく。
「いやあ、そういうことでしたら最初から仰ってくださいよ! ロズワール辺境伯のお名前が出るのであれば、信用としては十分です! もちろん、後ほど正式な請求書は作成させていただきますが!」
「お前、さっきまで散々渋ってたじゃねえか!」
「商人にとって、確実なお支払いほど心強いものはありませんから!」
「清々しいほど現金な野郎だな!」
「お褒めにあずかり光栄です!」
「褒めてねえよ!」
思わず突っ込みながらも、スバルは胸を撫で下ろした。少なくとも、これで避難隊を追いかける手段は確保できた。パトラッシュも十分に速いが、長距離を走り続けたうえで戦闘までこなしている。これ以上無理をさせるのは避けたいし、何より道中で何かあった場合、オットーの竜車があれば対応の幅も広がる。
「ナツキさん! 準備できましたよ!」
「おう! 頼むぜ、オットー!」
スバルは御者台へ飛び乗った。パトラッシュも竜車の傍らへ並び、主人の顔を見上げる。スバルがその首筋を軽く撫でると、地竜は短く鼻を鳴らした。
「それで、どれほど急ぐ必要があるんです?」
手綱を握ったオットーが尋ねる。その問いに、スバルは一瞬だけ表情を引き締めた。
「……一秒でも早くだ」
先ほどまでの軽口とは明らかに違う声色に、オットーも何かを察したらしい。商人特有の笑みを引っ込め、真剣な表情で前方を見据える。
「……承知しました。少々揺れますが、振り落とされないでくださいよ!」
「望むところだ!」
次の瞬間、地竜が力強く地面を蹴った。竜車は大きく揺れながら加速し、アーラム村を飛び出していく。車輪が街道を叩き、風が頬を打つ。スバルは遠ざかっていく村の景色を一瞥すると、再び前方へ視線を戻した。
目指すは、王都へ向かう避難民の一団。
その先にはエミリアがいる。ベアトリスがいる。ヴィルヘルムがいる。そして、スバルが誰よりも頼りにしている、あの傍若無人な騎士がいる。
「……エリス、頼むぜ」
スバルは小さく呟いた。
「俺が行くまで、みんなを守っててくれよ」
だが、その願いを口にした直後だった。
『――アナタ……』
「…………は?」
聞こえた。
耳からではない。頭蓋の内側へ直接爪を立てるような、あまりにも不快な声。つい先ほど、確かに消え去ったはずの声だった。
『アナタ……アナタアナタアナタ……!』
スバルの背筋を冷たいものが走った。恐る恐る振り返る。街道の向こうには、土煙を上げながら遠ざかっていくアーラム村が見えるだけだった。人影などない。追手の姿もない。
しかし。
そのさらに奥、何もないはずの空間に、黒い腕が蠢いていた。
「……嘘、だろ」
一本、二本、三本。無数の腕が地面を掴み、這いずるようにしてこちらへ迫ってくる。腕の付け根には人間の姿などなく、ただ歪な黒い塊が浮かんでいた。それは以前のような肉体を持つペテルギウスではない。かといって、単なる幻覚とも思えなかった。黒い腕が街道の石を掴むたび、実際に土埃が舞い上がっている。
『――アナタさえ……アナタさえいなければぁぁぁ!!』
「うおおおお!? まだいやがったぁぁぁ!!」
「ひゃあっ!? な、なんですか突然!?」
スバルの絶叫に、オットーが危うく手綱を取り落としかけた。
「オットー! 後ろ! 後ろに何か見えるか!?」
「後ろですか!?」
オットーは一瞬だけ振り返り、怪訝そうに眉を寄せた。
「いえ!? 土煙が見えるだけですけど!?」
「だよなぁぁぁ!!」
「何がですかぁぁぁ!?」
スバルは頭を抱えたくなった。見えざる手は、普通の人間には見えない。ユリウスでさえ、ネクトによってスバルの感覚を共有していたからこそ対応できたのだ。ならば、オットーに見えないのも当然だった。
しかし、だからといって安心できるはずもない。
背後では無数の腕が街道を這い、地面を抉りながら距離を詰めてくる。その中心にある黒い塊からは、耳障りな声が途切れることなく響いていた。
『怠惰……怠惰怠惰怠惰! アナタのせいで! アナタのせいで私はぁぁぁ!!』
「……知るかよ」
スバルは歯を食いしばった。
「お前が勝手に惚れて、勝手に振られただけだろうが!」
『――ッ!!』
黒い腕が一斉に持ち上がった。
「オットー! 飛ばせぇぇぇ!!」
「さっきから全速力ですよぉぉぉ!!」
直後、竜車のすぐ後方で轟音が響いた。見えざる手が街道を叩きつけ、土砂が勢いよく舞い上がる。オットーは悲鳴を上げながら手綱を握り締め、地竜は驚いたように鳴き声を上げた。
「な、何ですか今の!? 何か爆発しました!?」
「爆発じゃねえ! いや、似たようなもんだけど!」
「どっちなんですかぁぁぁ!!」
スバルは必死に背後を見据えた。ペテルギウスの残滓は、明らかに以前より不安定だった。無数の腕は伸びるたびに輪郭を崩し、黒い塊も時折、霧のように薄れている。それでも、その執念だけは衰えていない。むしろ、サテラに拒絶されたことで、スバルへの憎悪は一層強まっているようだった。
――なんで消えねえんだよ。
スバルは唇を噛んだ。
ユリウスが肉体を倒した。指先も全て始末した。おまけに、サテラの力を利用して憑依まで追い払った。それなのに、まだ追いかけてくる。もはや何がどうなっているのか、スバルにも理解できなかった。
ただ、一つだけわかることがある。
このままでは、避難隊に追いつく前に竜車が破壊される。
「……くそっ」
スバルは御者台の縁を握り締めた。ここまで来て、こんなところで足止めを食らうわけにはいかない。エミリアたちの竜車には、まだ大量の火魔石が仕込まれているかもしれないのだ。
「オットー! 絶対に止まるな! 何があっても走り続けろ!」
「言われなくても止まりませんよ! 僕だって命は惜しいんですから!」
「上等だ!」
スバルは振り返った。
黒い塊が、すぐそこまで迫っていた。
『――アナタを! アナタだけはぁぁぁ!!』
「……うるせえよ、ペテルギウス」
スバルは低く呟いた。
「お前、まだわかんねえのか?」
黒い腕が伸びる。スバルは身を伏せ、頭上を掠めていく攻撃を避けた。御者台の背後で木材が軋み、オットーが悲鳴を上げる。
それでも、スバルは目を逸らさなかった。
「お前がどんだけ愛してるって叫んでも、あいつはお前を選ばなかったんだよ!」
『――――ッ!!』
黒い塊が激しく震えた。
「お前がどんだけ勤勉だろうが、どんだけ尽くしたつもりだろうが、そんなもん関係ねえ! あいつはお前を見なかった! それが答えだろうが!」
『違う……違う違う違う違う!!』
耳障りな絶叫が響き渡る。
『私の愛は! 私の勤勉は! 決して間違ってなどいないのデス!!』
「だったら、なんで拒絶されたんだよ!」
その一言が、決定的だった。
黒い塊から無数の腕が噴き出した。先ほどまでとは比較にならないほどの数が、狂ったように街道を叩きつける。地面が砕け、木々が折れ、周囲の景色が土煙に包まれていく。
「ナツキさぁぁぁん!? 何を怒らせたんですかぁぁぁ!?」
「悪い! ちょっと言い過ぎたかもしれねえ!」
「ちょっとどころじゃありませんよぉぉぉ!!」
竜車が激しく揺れた。スバルは御者台へしがみつき、必死に身体を支える。背後では黒い腕が何度も伸び、そのたびに輪郭が崩れていく。まるで自らの存在を削りながら攻撃しているかのようだった。
やがて、その異変は誰の目にも明らかなものとなった。
黒い塊が、薄れていく。
『な……なぜ……?』
ペテルギウスの声が震えた。
『私の……私の愛が……!』
伸ばされた腕の一本が、途中で霧のように崩れた。続いて二本目、三本目。無数に存在していたはずの腕が、次々と形を失っていく。
スバルは目を見開いた。
「……お前」
ペテルギウスはなおも迫ろうとした。しかし、もはやその動きに先ほどまでの勢いはない。サテラに拒絶されたことで生じた亀裂が、最後の暴走によって一気に広がっている。スバルにその仕組みを理解することはできなかったが、目の前で何が起きているのかだけはわかった。
ペテルギウスは、消えようとしていた。
『私は……私は……ただ……』
声が掠れる。
『魔女を……愛して……』
黒い塊が大きく揺らぎ、最後に残った一本の腕がスバルへ向かって伸びた。しかし、その指先が竜車へ届くことはなかった。
風が吹く。
それだけで、腕は霧のように散っていった。
『――ああ……』
か細い声が響いた。
『……サテラ……様……』
そして、何もなくなった。
街道には土煙が残り、砕けた石が転がっている。しかし、あれほど執拗に追いかけてきた黒い腕は、どこにも見当たらなかった。頭の奥へ響いていた不快な声も、完全に途絶えている。
スバルはしばらく背後を見つめ続けた。
「……終わった、のか?」
返事はない。
ただ、風が吹いていた。
「……ったく」
スバルは深く息を吐いた。
「最後の最後まで、気持ち悪ぃ野郎だったぜ」
「……あの、ナツキさん?」
隣から遠慮がちな声がした。振り返ると、オットーが引き攣った笑みを浮かべている。
「一つ、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「……なんだよ」
「僕たちは今、いったい何から逃げていたんでしょう?」
スバルは少しだけ考えた。
「……失恋した変態?」
「意味がわかりませんよ!?」
「奇遇だな。俺もだ」
「奇遇じゃありませんよぉぉぉ!!」
オットーの悲鳴が街道に響く。スバルは思わず笑ってしまった。ほんの少し前まで命の危険に晒されていたというのに、この青年と話していると、どうにも緊張感が長続きしない。
だが、安心している場合ではなかった。
「……よし、オットー。悪いけど、まだ急いでくれ」
「まだですか!? 今の騒ぎで地竜も相当疲れているんですよ!?」
「頼む! 今度こそ、本当に時間がねえんだ!」
スバルの真剣な表情に、オットーは言葉を詰まらせた。しばらく何かを言いたげに口を動かしていたが、やがて諦めたように大きな溜息を吐く。
「……わかりましたよ。ただし、追加料金はいただきますからね!」
「全部ロズワールにつけとけ!」
「はい! 喜んで!」
「だから切り替え早ぇって!」
再び竜車が加速する。スバルは前方へ視線を向け、遠くに続く街道を睨みつけた。
今度こそ、邪魔するものは何もない。
あとは、エリスたちに追いつくだけだった。
◇◇◇
SIDE エリス
王都へ向かう避難隊は、街道を一定の速度で進み続けていた。アーラム村を出発してからしばらく経つが、幸いにも大きな問題は起きていない。村人たちは慣れない移動に疲れを見せ始めていたものの、竜車の列は整然と保たれ、護衛にあたる兵士たちも周囲への警戒を怠っていなかった。
その先頭付近を進む竜車の御者台で、俺は退屈そうに欠伸を噛み殺していた。
「……平和だなぁ」
「平和なのはいいことかしら」
隣に座るベティーが、呆れたように言う。俺は肩を竦めると、街道の先へ視線を向けた。
「そりゃそうだけどよ。あいつら、ちゃんとやってんのかね」
「スバルたちのことかしら?」
「ああ。まあ、ユリウスもいるし、鉄の牙もいる。そう簡単にやられる連中じゃねえだろうけどな」
俺は軽く笑った。スバルが自分を作戦から外したことについて、特に腹を立てているわけではない。むしろ、自分に頼らず作戦を立て、仲間を集め、行動を起こしたことを評価していた。もちろん、事前に一言くらい相談してくれてもよかったとは思う。しかし、今の自分にはエミリアと村人たちを守るという役割がある。それを放り出してまで、スバルの戦いへ首を突っ込むつもりはなかった。
「エリー」
竜車の中からエミリアが顔を覗かせた。
「スバルたち、大丈夫かな?」
「ん? ああ、大丈夫だろ」
「……本当に?」
「心配すんなって。あいつはしぶといからな。それに、今回は一人じゃねえ」
俺は笑い、親指で後方を示した。
「ユリウスもいるし、リカードのおっさんたちもいる。何より、スバル自身がちゃんと考えて動いてる。だったら、俺たちはあいつらを信じて待ってりゃいいんだよ」
「……うん」
エミリアは小さく頷いた。その表情にはまだ不安が残っていたが、俺の言葉を聞いて少しだけ安心したらしい。
そのときだった。
「――エリス様」
後方からヴィルヘルムの声がした。振り返ると、老剣士が街道の向こうを見据えている。
「どうした、爺さん」
「後方から、こちらへ急接近してくる竜車がございます」
「……竜車?」
俺は眉を上げ、振り返った。
遠くの街道に、小さな土煙が見える。確かに一台の竜車が、こちらへ向かって猛然と走ってきていた。通常の行商人にしては明らかに速度が速く、何か急ぎの用事でもあるのかと思わせる走り方だった。
「……なんだありゃ」
俺が呟いた、その直後。
「――エリスぅぅぅぅぅ!!」
聞き覚えのある声が、街道に響き渡った。
「…………は?」
俺は目を細めた。土煙の向こう、竜車の御者台から身を乗り出している黒髪の少年が見える。その隣では灰色の髪の青年が必死に手綱を握り、何やら叫んでいた。
「……スバル?」
「エリスぅぅぅ!! 止まれぇぇぇ!!」
俺は一瞬だけ呆気に取られ、それから大きな溜息を吐いた。
「……ったく。今度は何だよ、あいつ」
「随分と慌てているみたいかしら」
「見りゃわかる」
俺は立ち上がり、護衛の兵士へ声をかけた。
「おい! 隊列を止めろ! 後ろからうるせえのが来てる!」
号令が伝わり、避難隊の竜車が次々と速度を落としていく。やがて、最後尾から追いついてきた一台の竜車が、激しい音を立てて停車した。
「うおおおお! 止まったぁぁぁ!」
「ナツキさん! 急に飛び降りないでくださいよぉぉぉ!」
オットーの制止も聞かず、スバルは御者台から飛び降りた。そのまま転がるようにして立ち上がり、俺のもとへ駆け寄ってくる。
「エリス! エリスぅぅぅ!」
「うるせえな! 聞こえてるっての!」
俺は顔をしかめた。
「なんだよ、そんな慌てて。ペテルギウスはどうした?」
「倒した! ユリウスと一緒に仕留めた!」
「お、やるじゃねえか!」
俺は素直に笑った。スバルの肩を軽く叩き、満足げに頷く。
「よくやったな、スバル。さすが俺の――」
「それどころじゃねえんだよぉぉぉ!!」
「……あ?」
俺の言葉を遮り、スバルは叫んだ。
「大量の火魔石が! 竜車のどっかに仕込まれてる!!」
その瞬間、俺の表情が変わった。
「…………はぁ?」
数秒の沈黙。
そして。
「お前、そういう大事なことは先に言えよ!」
「悪い! マジで忘れてた!」
「忘れてたで済むか、馬鹿野郎!」
俺は額を押さえた。スバルの言葉が事実なら、今この瞬間にも避難隊は爆発の危険に晒されていることになる。しかも、どの竜車に仕込まれているのかもわからない。相手が魔女教である以上、単なる脅しで済むとは思えなかった。
「……ベティー」
俺が呼ぶと、ベティーはすでに立ち上がっていた。
「わかっているかしら」
「頼むわ」
「まったく、世話の焼ける人間ばかりなのよ」
そう言いながらも、ベティーの表情は真剣だった。
俺は周囲を見渡し、護衛の兵士たちへ声を張り上げる。
「全員聞け! 竜車の積荷に危険物が仕込まれてる可能性がある! 村人を車から降ろして、街道から離れた場所へ避難させろ! 荷物には絶対に触るな!」
兵士たちが一斉に動き始めた。ヴィルヘルムの爺さんも即座に状況を理解し、後方の護衛へ指示を飛ばしていく。エミリアは驚いた様子で目を見開いていたが、すぐに村人たちの誘導へ加わった。
「エリー! 私も手伝う!」
「ああ、頼む! リアは村人を安全な場所へ連れてってくれ!」
「わかった!」
エミリアが駆け出していく。俺はその背中を見送ると、改めてスバルへ向き直った。
「……で? どこに仕込まれてるか、わかんのか?」
「いや……それが、正確には……」
「……お前なぁ」
「だから悪かったって!」
スバルは頭を抱えた。俺は深く溜息を吐き、それから小さく笑った。
「まあ、いい。気づいて戻ってきただけ上等だ」
「……エリス?」
「後は任せろ」
俺はいつものように、不敵な笑みを浮かべた。
「こういう面倒事を片付けるのが、俺の仕事だろ?」
スバルはその言葉に、思わず息を呑んだ。
「……ああ」
スバルは笑った。
「頼むぜ、エリス」
「おう。黙って見てろ」
俺はそう言うと、隣に立つベティーへ視線を向けた。
「ベティー、始めるぞ」
「言われなくてもわかっているかしら」
俺たちは並んで歩き出した。
◇◇◇
街道脇へ避難していく村人たちを横目に、俺はずらりと並んだ竜車を見渡した。突然の避難命令に戸惑う者もいたが、ヴィルヘルムの爺さんが兵士たちをまとめてくれたおかげで、大きな混乱には至っていない。
「……ったく。最後の最後まで面倒なことしてくれるじゃねえか」
「魔女教なんて、そんなものかしら」
隣に立つベティーが呆れたように言った。俺は肩を竦めると、改めてスバルへ視線を向ける。
「で、火魔石だったか。どの竜車にあるか、見当はついてんのか?」
「それが……正確な場所まではわかんねえ。ただ、避難用の荷物に紛れ込ませてたはずなんだ」
「避難用の荷物ねえ……」
俺は顎に手を当てた。村人の私物に一つずつ細工するより、まとめて積み込まれる物資に仕込む方が手っ取り早い。ましてや、魔女教の内通者が村に入り込んでいたというのなら、荷物へ細工する機会はいくらでもあっただろう。
「おい、スバル。積荷の管理をしてた奴を呼んでこい。出発前に誰が何を積んだか確認するぞ」
「お、おう!」
スバルが駆け出す。その背中を見送りながら、俺は隣のベティーへ声をかけた。
「ベティー、魔力の反応を探れるか?」
「当然なのよ。ただし、火魔石そのものは珍しいものじゃないかしら。普通の積荷に混ざっていたら、見分けるのに少し手間がかかるのよ」
「そりゃそうか。まあ、俺も手伝うさ」
「……エリスは、こういうときだけ妙に頼もしいかしら」
「こういうときだけ、は余計だろ」
軽く頭を小突くと、ベティーは不満そうに頬を膨らませた。
ほどなくして、スバルが荷物の管理を任されていた男を連れて戻ってきた。男の話によれば、村人の私物とは別に、食料や毛布などをまとめた木箱が複数の竜車へ積み込まれているらしい。その運搬には商人たちも協力しており、全ての荷物を一人で確認していたわけではないという。
「……その中に、ケイティとかいうのがいたか?」
「はい。確か、積み込みの手配を手伝っていただいたはずですが……」
「ビンゴじゃねえか」
俺は思わず笑った。スバルの話が正しければ、その女は魔女教の内通者だ。そんな奴が手配した荷物となれば、真っ先に疑うべきだろう。
「そいつが関わった荷物はどれだ?」
「後方の三台に積まれた木箱が、そうだったと思います」
「よし。案内しろ」
男の案内で後方へ向かう。周囲の村人はすでに退避を終え、兵士たちが街道への立ち入りを制限していた。ヴィルヘルムの爺さんも近くに立っており、俺たちに気づくと静かに頭を下げた。
「エリス様。村人の避難は完了しております」
「おう、ご苦労さん。爺さんも下がっててくれ」
「しかし、万が一のことがあれば――」
「そんときは俺がどうにかする。剣で爆発を斬れるわけでもねえだろ?」
俺が笑うと、爺さんはわずかに苦笑した。
「……確かに。では、お任せいたします」
「ああ」
俺は軽く手を振り、ベティーとともに荷台へ近づいた。木箱はどれも同じような外見をしている。だが、ベティーが目を閉じて魔力を探り始めると、その表情がわずかに険しくなった。
「……エリス」
「ん?」
「三台目の、一番奥の箱。妙な魔力の流れがあるかしら」
「……当たりか?」
「断言はできないけれど、普通の火魔石とは違うのよ。複数の魔力が、無理やり一つにまとめられているような……」
「なるほどな」
俺は荷台を覗き込んだ。奥に置かれた木箱は、他の荷物に隠れるように積まれている。外から見える範囲に異常はないが、ベティーがそう言うのなら疑う理由は十分だった。
「……下手に開けるのはやめとくか」
「賢明な判断かしら。仕掛けがあれば、蓋を開けた瞬間に作動する可能性もあるのよ」
「じゃあ、箱ごと運ぶしかねえな」
俺は鞭を腰へ戻し、手をかざした。普段なら力任せに片付けるところだが、今回はそうもいかない。中身が爆発物なら、ちょっとした衝撃が命取りになりかねないからだ。
「――ウルミーニャ」
詠唱とともに、荷台の床を避けるように黒い結晶が伸びていく。陰属性の魔力によって形作られた結晶は、箱を直接締め付けることなく、外側から包み込んでいく。
「ベティー、頼む」
「わかっているかしら」
ベティーが小さな手を掲げる。俺の結晶を覆うように、さらに陰魔法の術式が重なった。周囲のマナが揺れ、箱を取り囲む空間が薄く歪む。
「……いけるか?」
「ゆっくりなら問題ないかしら。ただし、絶対に衝撃を与えないでほしいのよ」
「任せとけ」
俺は慎重に魔力を調整し、結晶に包まれた箱を荷台から持ち上げた。少しずつ、少しずつ。箱は音もなく荷台を離れた。
「……よし。このまま人のいない場所まで運ぶぞ」
◇◇◇
街道から離れた岩場へ箱を運び終えた頃には、俺も少しばかり肩が凝っていた。結晶を地面へ下ろし、改めてベティーへ視線を向ける。
「……さて、どうしたもんかね」
「簡単に壊すわけにはいかないかしら。これだけの魔力が込められているなら、爆発したときの被害も大きいのよ」
「だよなぁ」
俺は腕を組んだ。火魔石そのものを壊すだけなら簡単だ。だが、問題は内部に溜め込まれた魔力である。下手に刺激すれば、俺たちが無事でも周囲に被害が出る可能性がある。
「……ベティー。別の空間へ隔離できるか?」
その問いに、ベティーが目を細めた。
「できなくはないかしら。でも、普通の陰魔法で簡単にできることじゃないのよ」
「お前ならできるだろ?」
「……エリスは本当に、ベティーを何だと思っているのかしら」
「俺の相棒」
「……っ」
ベティーが口を噤んだ。俺は笑い、続ける。
「魔力なら俺のを使え。無理そうなら別の方法を考える。どうだ?」
しばらく沈黙したあと、ベティーは小さく息を吐いた。
「……仕方ないかしら。エリスがそこまで言うなら、やってあげなくもないのよ」
「おう。頼りにしてるぜ」
「……ふん」
俺たちは結晶から距離を取り、術式を組み上げた。ベティーが空間を隔てるための陰魔法を展開し、俺はその維持を補助する。結晶の周囲に幾重もの魔法陣が浮かび、空気が静かに震え始めた。
やがて、箱を包む結晶の輪郭がゆっくりと歪んでいく。
「……エリス、もう少し魔力を」
「おう」
俺は魔力を送り込んだ。ベティーが小さく頷き、術式を完成させる。
次の瞬間、黒い結晶に包まれた木箱は、音もなく姿を消した。
「……ふぅ」
ベティーが息を吐いた。
「成功か?」
「ええ。隔離した空間の中に封じたかしら。少なくとも、こちら側へ影響が及ぶことはないのよ」
「上出来じゃねえか」
俺は笑い、ベティーの頭を撫でた。
「よくやったな、ベティー」
「……子供扱いしないでほしいかしら」
「はいはい」
「二回も返事するんじゃないのよ!」
俺は笑いながら手を離した。ひとまず、最も危険そうな荷物は処理できた。だが、これで全てとは限らない。
「……よし、戻るぞ。残りも調べねえとな」
「……まだやるのかしら?」
「当たり前だろ。もう一個あったらどうすんだよ」
「……本当に、人使いの荒い契約者かしら」
「精霊使いだろ、俺は」
「そういう問題じゃないのよ!」
ベティーの抗議を聞き流しながら、俺は街道へ戻った。
◇◇◇
SIDE スバル
遠くの岩場から戻ってきたエリスとベアトリスの姿を見つけた瞬間、スバルは思わず駆け出していた。二人とも怪我をしている様子はなく、むしろ普段どおりに言い合いをしている。その姿を見ただけで、胸の奥に溜まっていた緊張が少しだけ和らいだ。
「エリス! どうだった!?」
「おう。とりあえず一個は片付けた」
「……一個?」
「ああ。まだ他に仕込まれてる可能性もあるからな。全部調べるぞ」
エリスはあっさりと言った。スバルは思わず苦笑する。あれほど危険な代物を処理した直後だというのに、まるで日常の雑用でも片付けたかのような口振りだった。
「……お前、ほんとすげえな」
「あ?」
「いや、なんでもねえ」
スバルは笑って首を振った。エリスは不思議そうに眉を寄せたが、それ以上は追及しなかった。
その後、避難隊の全ての竜車が改めて調べられた。積荷の確認にはスバルや兵士たちも協力し、ベアトリスが魔力の反応を探り、エリスが危険物の処理を担当する。幸いにも、他に同様の仕掛けは見つからなかった。
最後の竜車の確認を終えた頃には、太陽が少しずつ西へ傾き始めていた。長い一日だった。白鯨を倒し、魔女教を退け、ペテルギウスを討ち取り、そして避難隊に仕込まれていた爆発物まで処理した。どれ一つ取っても、普通なら一生に一度あるかないかという大事件だ。それが、たった一日のうちに全て起こったのだから、疲れ果てるのも当然だった。
「……終わった、んだよな」
スバルは小さく呟いた。
「何がだ?」
隣から声がした。振り返ると、エリスが腕を組んで立っている。
「……いや、なんつーかさ。色々あったなって」
「そりゃそうだろ。お前、白鯨まで倒してきたんだろ?」
「……まあ、俺一人で倒したわけじゃねえけどな」
「んなこたぁわかってるよ」
エリスは笑った。
「でも、お前がいなきゃ始まらなかったんだろ?」
スバルは言葉を失った。
その言葉は、何の気負いもなく放たれたものだった。エリスにとっては、ただ事実を口にしただけなのだろう。だが、スバルにとっては違った。
何度も死んだ。何度も失敗した。積み上げたものが消え去り、誰にも覚えてもらえないまま、何度もやり直してきた。そんな自分が、ようやく掴み取った勝利。
それを、エリスは当然のように認めてくれる。
「……エリス」
「あ?」
「……ありがとな」
スバルは小さく笑った。
エリスは一瞬だけ不思議そうな顔をしたが、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべた。
「礼を言うのはこっちだろ」
「……へ?」
「リアを守ってくれて、ありがとな」
その言葉に、スバルは目を見開いた。
「……いや、俺は……」
「お前が動いてくれなきゃ、今頃どうなってたかわかんねえ。白鯨を倒して、魔女教を退けて、最後には火魔石まで見つけてくれた。十分すぎる働きだろ」
エリスはスバルの肩を軽く叩いた。
「よくやったな、スバル」
たった、それだけの言葉だった。
だが、スバルの胸の奥で、何かが静かにほどけていく。
王都での出来事が脳裏をよぎる。騎士としての自分を否定されたように感じた、あの日の言葉。エリスの背中があまりにも遠く見えて、追いつこうとするほど惨めになった、あの感覚。
けれど、今は違う。
まだ追いつけたわけではない。剣も振れず、魔法も使えず、騎士としての実力など比べるまでもない。それでも、自分には自分にしかできないことがあった。
そして、それを認めてくれる友人がいる。
「……へへっ」
スバルは俯き、笑った。
「……なんだよ、急に」
「いや……なんでもねえよ」
顔を上げると、エリスが怪訝そうに眉を寄せていた。その表情があまりにもいつもどおりで、スバルは思わず吹き出してしまう。
「……ったく、お前ってほんとズルいよな」
「ああ? 何がだよ」
「そういうとこだよ!」
「意味わかんねえんだけど」
二人は顔を見合わせ、笑った。
やがて、少し離れた場所からエミリアの声が響いた。
「エリー! スバル!」
振り返ると、銀髪の少女がこちらへ駆け寄ってくる。その背後にはベアトリスとパックの姿もあり、ヴィルヘルムが静かにその様子を見守っていた。
「もう大丈夫なの?」
「ああ。全部片付いたぜ」
エリスが答える。
「ほんとに?」
「おう。俺とベティーが調べたんだ。間違いねえよ」
その言葉に、エミリアは安堵したように胸を撫で下ろした。そして、ゆっくりとスバルへ視線を向ける。
「……スバル」
「……エミリアたん」
「ありがとう」
その一言に、スバルは目を瞬かせた。
「スバルが知らせてくれなかったら、私たち、何も知らないままだった。だから……本当にありがとう」
「……いや、俺は……」
スバルは言葉に詰まった。
本当なら、もっと早く気づくべきだった。火魔石のことを忘れていたのは自分の失態だ。胸を張って礼を受け取れるようなことではない。
だが、エミリアはそんなスバルの事情など知らない。ただ、目の前の少年が必死になって自分たちを助けようとしてくれたことを、素直に喜んでいる。
「……どういたしまして」
スバルは小さく笑った。
その隣で、エリスが満足げに頷いている。
やがて、ヴィルヘルムが静かに歩み寄ってきた。
「エリス様。今後の行程について、ご相談がございます」
「ん? ああ、そうだな」
エリスは腕を組み、街道に並ぶ竜車へ視線を向けた。
「魔女教の連中は片付いたんだろ、スバル?」
「ああ。ペテルギウスも、指先も全部だ。鉄の牙が残党の確認をしてくれてる」
「なら、もう王都まで逃げる必要もねえな」
その言葉に、スバルは目を瞬かせた。
「……あ、そうか」
「そうか、じゃねえよ。お前が倒したんだろうが」
エリスは呆れたように笑い、ヴィルヘルムへ向き直った。
「爺さん。村の安全が確認できたら、避難民をアーラム村へ戻そう。連中だって、できることなら自分の家に帰りてえだろ」
「承知いたしました。ただし、魔女教の残党が潜んでいる可能性もございます。帰還にあたっては、先行して村の安全を確認する必要があるでしょう」
「だな。兵士を何人か先行させてくれ。スバル、鉄の牙にも連絡を頼めるか?」
「おう! 任せとけ!」
スバルが力強く頷く。
こうして、王都へ向かっていた避難隊は、進路を変更することになった。先行した兵士たちがアーラム村周辺の安全を確認し、魔女教の残党がいないことを確かめたうえで、村人たちを帰還させる。
突然の知らせに村人たちは驚いたが、魔女教が討伐されたと聞くと、次第に安堵の声が広がっていった。中には涙を流す者もおり、互いに抱き合って喜ぶ姿も見られた。
もっとも、これで全員が帰ってくるわけではない。ラムとともに聖域へ向かった村人たちは、まだその地に留まっている。彼らの安否については、今後改めて確認する必要があるだろう。
◇◇◇
アーラム村へ戻った頃には、太陽が西の空へ大きく傾いていた。
先行していた兵士たちの報告どおり、村に魔女教徒の姿はなく、家々にも大きな被害は見られなかった。村人たちはそれぞれの家へ戻り、久しぶりの我が家を確かめるように扉を開けていく。ほんの数時間前には恐怖に怯えながら村を離れた人々が、今は安堵の表情で帰ってきている。
その光景を見つめながら、スバルは静かに息を吐いた。
「……よかったな」
「ああ」
隣に立つエリスが頷く。
「これで、ひとまず一件落着ってところか」
「……だな」
スバルは笑った。
白鯨討伐から始まり、魔女教との戦い、ペテルギウスの討伐、そして火魔石の処理。あまりにも多くの出来事が重なった一日だった。だが、こうして村人たちが無事に帰ってくる姿を見ていると、その全てに意味があったのだと思える。
「……さて」
エリスが軽く伸びをした。
「俺たちも戻るか」
「……戻る?」
「ああ。リアも疲れてるだろうし、ベティーも今日は結構魔力使ったからな。さっさと帰って休ませてやりてえ」
「……そっか」
スバルは小さく頷いた。
ロズワール邸。
何度も訪れ、何度も失い、何度も帰ることを願った場所。
今度こそ、あそこへ帰れる。
「……俺も、一緒に帰っていいか?」
その問いに、エリスは怪訝そうな顔をした。
「……は?」
「いや、その……」
「何言ってんだ、お前」
エリスは呆れたように笑った。
「お前の帰る場所も、あそこだろうが」
スバルは目を見開いた。
あまりにも当然のように告げられた言葉。その声音には、疑問も迷いもなかった。まるで、そんなことをわざわざ確認する方がおかしいとでも言いたげだった。
「……そっか」
スバルは俯き、小さく笑った。
「……そうだよな」
「ああ。ほら、行くぞ」
エリスはそう言うと、先に歩き出した。
その背中を見つめながら、スバルはゆっくりと息を吐く。
王都での出来事が、ふと脳裏をよぎった。
あの日、自分はエリスと喧嘩をしたと思っていた。騎士としての自分を否定され、友人としての関係まで壊れてしまったのではないかと、勝手に思い込んでいた。
けれど、エリスは違った。
あいつは最初から、何も変わっていなかったのだ。
自分が勝手に距離を置き、勝手に劣等感を抱き、勝手に遠ざかっていただけだった。
「……ほんと、敵わねえな」
スバルは苦笑した。
そのとき、少し離れた場所からエミリアの声が響いた。
「スバル!」
振り返ると、エミリアがこちらへ駆け寄ってくる。その後ろでは、ベアトリスがエリスの袖を掴み、何やら文句を言っていた。
「一緒に帰ろう?」
エミリアが微笑む。
スバルは一瞬だけ言葉を失い、それから大きく頷いた。
「……おう!」
「その前に王都の方が近ぇからそこで休憩入れたらだな」
「…は?なんだったんだよ今の会話は!?」
笑い声が響く。ようやく長い長い戦いが終わったんだ