SCP財団:幻想部門   作:鮫肌猫

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芥川龍之介の河童

河童のアジトに帰り真っ先に私達が行ったのは混乱する河童達を落ち着ける事だった。河童達は血痕の異常性を認知している訳ではないが、本拠地の周囲が血に塗れていれば不吉に感じるのは当然だ。

 

私は状況を説明せず、避難させるに留めるべきと考えていたが....にとりは演説をぶち上げて河童達に現状の全てを説明する手を採った。驚くべきは河童の反応だ。彼女らは現状に対して明確に恐怖を示していたが、混乱による組織の瓦解はまるでなく、何よりも殆どの河童はアジトから離れようとすらしなかった。義務感に駆られた訳ではない。彼女らは恐るべき超常を現実のものとする異常存在(アノマリー)を調査したいという純然たる興味によってこの地へと残る事を決めていた。

 

「それで....どうする?」

 

アジトの個室で、私達4人は状況を纏める為の会議を開いていた。渓谷の血はアジトに残った河童全員を影響下に飲み込んで尚も余りあるほどであり、放っておけば恐ろしい大虐殺に発展する事は火を見るよりも明らかだ。その上、制限時間はあと一日もない。

 

「....落ち着いて前提条件から整理しましょう。まず、血痕は発生の1日後に異常性を発現させ、血痕が発生する"原因"を強制的に生み出す」

 

「現状では血痕の異常に抗()手段は発見されて()ないのが厄介だね」

 

「挙げ句の果てに血を拭いても湧き出すんだから手に負えないよ」

 

「末っ子の魔法使い。末法使い」

 

「ルーミア??」

 

突如議論の梯子からスカイダイビングを始めたルーミアに混乱するが....少し考えて思い至る。

 

「ルーミア、別に会議中は順に何か喋らないといけないという訳ではないので不要なら何も言わずとも大丈夫ですよ」

 

「そうなのかー」

 

推測は正しかったようだ。しかし、にとり達の方へ向き直ると、彼女らは妙な目でこちらを見ていた。

 

「なぁトック。人間って心を読めるんだっけ?」

 

「まさか。彼女が()()も懐く理由が見()て来たね」

 

「....話を続けますよ」

 

私とて暗闇に満ちたルーミアの考えを完全に理解してはいない。それに今は速やかに対処すべき異なる暗闇があるのだ。揶揄われている場合でもない。

 

「現在有効性が確かめられている対抗策は主に2つ。身代わり人形を用意するか、死んで生き返るか....ですね」

 

「当然だが、僕が如何に超河童であっても分裂は不可能だ。あの規模の血溜まりに対しては如何し()うも無い」

 

「人形の方はどうなの?」

 

「あれは高度な魔法の産物です。複製は可能ですが....一日で量産するのは困難でしょう」

 

「んー、既存の手段じゃ手詰まりかぁ....」

 

にとりはぺたんと机に突っ伏す。私との交渉の時と同様であれば、それはお手上げを示す仕草だった。

 

「事ここに至っては見栄を張っている場合でもありません。外部にこの状況に対応出来そうな協力者は居ませんか?」

 

「妖怪の山の皆は助けてくれると思うよ。頼るならやっぱり天狗様だろうけど....足は早いのに動きは遅いからね。一日で間に合うかは....」

 

かふ(こう)した状況に慣れて()る訳でもない。そもそも解決出来るかも大()に疑問があるね」

 

「ふむ....」

 

 

 

「へぇい、リーダー!破壊実験の結果が出たよ!」

 

議論が煮詰まってきた私達の部屋に、ひとりの河童が飛び込んでくる。彼女は紙切れを殆ど放り投げるようにしてにとりに渡す。

 

「流石、こういう時は仕事が早いね。で、どうだった?」

 

「血液は煮ても焼いても飲んでも蒸発させてもま〜た湧いて来ちゃった。味は美味しかったよ」

 

「えっ飲んだんですか??」

 

「飲んだよ?」

 

「美味....」

 

ルーミアの目の色が変わる。得体のしれない血をとりあえず飲んでみるのは妖怪にとって普通の事なのだろうか。

 

「次は間接的な破壊....こっちも駄目だったや〜。血が付いてる岩石を思いっきり破壊したけど、岩ごと直っちゃった。んっん〜、再生までの時間は大体1分くらい?」

 

「....周辺の物体まで干渉するとは....かなり強制力の強い未来改変ですね」

 

にとりは紙切れをじっと見つめ、首を傾げる

 

「ええっと、華厳銃による銃撃、泡式爆弾による爆撃....までは良いとして....この列は何さ? 野菜の投擲ってあるんだけど....」

 

「"どうせ焼くならぶん投げてもよくない?"って誰かが言ってたよ」

 

「一理ある」

 

「一理あるんですか?」

 

「じゃあ私は研究に帰るから....あの血をなんとかするならギリギリでお願いね、リーダー!」

 

河童はそう言ってすっ飛んで行ってしまった。自らを殺す異常現象に対してあの態度なのだから驚嘆すべき胆力だ。

 

「──ううん、あんまり芳しくない報告だなぁ」

 

「物理的な破壊は諦めた方が賢明でしょうね」

 

「辞世の句でも考えて貰う?」

 

「僕に?辞世の句の外注なんて流石に聞()た事も無いぞ」

 

「死が軽いな....まだ、幾らでも希望はありますよ」

 

私は席を立ち、にとりの手元にある資料を覗き見る。使われている言語が日本語である以上、読了するのは容易だ。

 

「レポートを見るだけでも、野菜のような変わり種を含め、破壊項目は衝撃と焼却の2つが大半を占めている。電撃、希釈、冷凍、腐食、消滅....破壊だけに着目しても試すべき手段は幾らでも残っています」

 

「....ふむぅ、それは確かに....」

 

「既に2つの穴が見つかっている以上、3つ目も有り得ると考えるべきでしょう。検証不能かつ()()ですが、例えば妖怪と人間が同時に影響を受けている以上、人間以外の動物にも効果が適応されるかもしれません」

 

「人間と妖怪は近くて遠い。人間と動物は....中くらい?」

 

「まぁ、血痕の組成もまだ調べてないしね。案外、血じゃなかったりするかも....」

 

「血を扱う奇跡論の触媒にも使えたので可能性は薄いでしょうが....」

 

....待てよ?

 

「...."血じゃなかったりするかも"....?」

 

「うん? それは薄いって話じゃないの?」

 

「....いえ」

 

混乱するにとりを前に、私は一つの結論に辿り着く。

 

「──解決法を思い付いたかもしれません」

 

 

 

・・・

 

 

 

タイムリミットの直前、河童達は全員で沢に集合していた。渓谷は紅く染まり、今まさに、虚構より()()を生み出そうとしている。調査は既に終え、手は尽くした。緋色は増える事も減る事もなく、そこに在り続けた。

 

愈々(いよいよ)だね」

 

「ええ」

 

渓谷の上から、私達は河童達を眺める。"その時"が来る事は、最早避けようがない。

 

「さぁ」

 

にとりが一歩踏み出す。彼女は爛爛と瞳を輝かせ、笑う。

 

「──戦争を始めようか」

 

宣言と共に、河童達が思い思いの銃を構える。急拵えのそれらは、異常なまでの口径を誇りながらも、細部にまで拘り抜かれていた。武器を手にして向かう合う興奮を隠すつもりもない。皆、笑っている。

 

河童のひとりが銃に弾薬を込め、相手を狙う。鈍重な引き金を引き、そして....()()()()()()()()()

 

「うわっ!来たぞ、こっちも撃て撃てー!!」

 

撃たれた河童が叫ぶ。トマトが命中する事はなかったが、それは衝撃によって潰れ、元より紅い渓谷に、同質の赤を塗りたくっていた。彼女は一際巨大な銃を構え、トマトをそこらかしこにばら撒く。

 

「ちょっ、散弾銃!?」

 

幾らかの河童が被弾し、トマトの赤に染まる。血にも似たそれを纏いながら、彼女らは応戦を続ける....当然ながら誰かが死ぬような気配はない。

 

「──成功したようですね」

 

つい安堵を漏らす。手を尽くし、安全である事を確信していたとはいえ、その瞬間を迎えるのは心臓に悪い。

 

「これで、誰も死なない?」

 

「はて、誰が如何やって死ぬものかね?渓谷に塗りたくられたのは、その尽くが()()()だと云()のに」

 

そう、最早渓谷には血の一滴も流れていない。つまる所、転機となったのはにとりの発言だった。消したとしても再度の出現を止める事は出来ない。だからこそ....私は奇跡論によって()()()()()()()()()()()()()

 

「血が新しく湧き出して来る事もなかったし、成分が変質する事もない。まさかこんな抜け穴があるなんて思わなかったよ!」

 

「....天戸は大丈夫?」

 

「"リソース"は渓谷に幾らでも転がっていましたから、自分の血を流す必要は1片たりともありませんでしたよ」

 

「帰ったら指2本飛ぶから無理しないでね」

 

「あっはい....」

 

そういえば私の身体については無傷とはいかないのだった。指が喪失の感覚を思い出してチクリと痛むが、必要経費だ。

 

「それじゃ、私もそろそろ参戦しに行こうかな。即席だけどそれなりのものを用意したんだから!」

 

そう言って彼女は連射式のトマト銃を構える。惚れ惚れするほど異常な技術力だ。

 

「あそこまで忙しい中でよく時間を作れましたね....トックさんはどうです?」

 

「止めてくれ給え。肉体労働は詩作家のすべき事ぢゃ(じゃ)ないし、何より僕には河童の友なんて()ないからね。誰も知らずの内に流れ弾へ当たるが関の山さ」

 

トックは肩を竦めて諦観を漂わせる。だが、にとりは心底不思議そうに首を傾げる。

 

「うん? 私達はもうとっくに友達でしょ?」

 

「──」

 

鳩が豆鉄砲を食らったようにトックが固まる。しかしにとりはそんな様子をまるで気にする事もなく、もう一つ連射式のトマト銃を取り出す....どうやら合間を縫って二人分作っていたらしい──

 

「ほら、これがあなたの分。今日は命を儲けたんだから、全力で楽しまなきゃ損だよ!」

 

「お、おい、待て、河城君、()う引っ張るな──」

 

トックがにとりに引っ張られて渓谷に降りていく....纏めてトマトに当たり服を真っ赤に染める。

 

「へっへ〜、リーダーが参戦する事を想定してないワケないでしょ〜?」

 

「うわっ....さては降りる瞬間を狙ってたな!全員トマト塗れにしてやる──」

 

「なぁ河城君、せめて動かし方を教()てはくれないか!?」

 

「簡単簡単!安全装置2つを外して....引き金を引く!」

 

「げぇっ、トマトマシンガン!?」

 

「火力が違いすぎる!集まってたらすぐやられちゃうよ!」

 

()()すべき()()という事ね....ぎゃあっ!?」

 

「ああっ、流れトマトで誰か倒れちゃった!」

 

「今のトマト威力おかしくない?」

 

 

 

・・・

 

 

 

トマトが飛び交う混沌とした大戦争は無事に終結した。渓谷はトマトによって真っ赤に染まり....まあ、河童達はその清掃に大層苦労する事になるだろう。しかし、それだけだ。未曾有の大殺戮は彼女らの手によって打ち止められた。少なくとも....渓谷の大殺戮は。

 

「....」

 

逢魔時、夕焼けの輝く頃。私は一人、或る家の前で家主の帰宅を待っていた。一刻も経たない内に、彼女は姿を現す。

 

「──天戸君? おいおい、こんな所で何をして()るんだ?」

 

全身をトマトで真っ赤に染め上げたトックが、怪訝そうにこちらを見ている。自分の家の前に誰かが立っていれば、そんな反応にもなるだろう。

 

「必要な事です。トックさんも理解しているでしょうが、今回の異常現象には最も重要な謎が未だ残されています」

 

彼女は少し考え、呟く。

 

「現象の元凶、かな? それが判明して()ない以上、次なる災厄が引き起こされる可能性は充分に有り得る....しかし、()う云った話は河城君の()る所で語り合()べきではないかい?」

 

「不要です、犯人は既に分かっていますから....それとも。あなたの流儀に則れば"犯河童"と言うべきでしょうかね?」

 

「....何を....?」

 

私は迷いなく、目の前の河童を指差す。

 

「犯人はあなたです、トックさん」

 

「なっ──」

 

彼女は大きく動揺する。驚愕、そして困惑。その様子は、図星を突かれた犯人のもの....ではない。思いも寄らない疑いを掛けられた者の動揺だ。

 

「冗談ぢゃ(じゃ)ない....そんな事がある訳ないだろう? そう仮定するには何もかもが矛盾して()る!」

 

その反応は想定通りのものだ。私は淡々と話を続ける。

 

「あなたは今まで全ての血痕に影響を受け、例外なく死亡している。それを私達は血痕に最も近い地点に居たからだと解釈していましたが....この解釈には一つおかしな点が存在します。犠牲者の数が増えた際、近場に居た訳でもない私が対象に選ばれている。つまり、距離は不確定要因であるにも関わらず、異常性はトックさんを執拗に殺しているんです。更に言ってしまえば、最初の発現はトックさんの家をピンポイントに狙っていた」

 

「それが僕を元凶であるとする説と如何結び付くんだ? 寧ろ、僕が被害者だと云()確固たる証拠ぢゃ(じゃ)ないか!」

 

「....最初から、不思議だったんです。何故あなたはベッドのサイドテーブルに拳銃なんてものをそのまま置いていたのか」

 

「──」

 

トックの顔色が変わる。やはり、そこに核心があるのだろう。

 

「技術者でもない、ただの詩作家がいつでも使えるような場所にそんなものを置いておく必要なんてありますか?」

 

「....」

 

古池から見たトックの瞳を思い出す。彼女は孤独に満ちていた。私の死を渇望すらしていた。まるで、冥府へと向かう(ともがら)を求めるように。

 

「つまり、結論は簡単です。あなたは無意識的に自らを殺し続けている。現実改変はただその背中を押しているに過ぎない。死んでも死ねず、道連れを求めては失敗し、更に多くの道連れを求める....()()()()、それがあなただ」

 

「....ハハハ....無意識的に、だなんて....」

 

「──そもそもの話をしてしまえば、何故あなたは詩作家なんですか?」

 

「....言って()る意味が分からないな。詩作家である事に理由が必要なのか?」

 

「ええ。何故なら、あなた以外の河童は全員が技術屋だからです。詩作家はあなただけだというのに、河童達はその異常を気にも留めない」

 

「....それは....」

 

「あなたは元来、此処の河童の一員ではなかった。恐らくは、幻想郷の外からやって来た来訪者だ。気質の問題もあるでしょうが、異なるコミュニティに違和感なく入り込むのは....現実改変能力者の常套手段です」

 

「....ち、違う....僕は....」

 

「あなたは百年以上この幻想郷で生き続けている()()()()()()かもしれませんが、本当ですか? 本当にその記憶を辿れますか? 幻想郷に在り続けたのだと、自信を持って言えますか?」

 

「....うう....う....」

 

トックは顔面を蒼白にして、膝から崩れ落ちる。彼女は、明らかに恐怖していた。自分自身を俯瞰し、ガタガタと震えていた。暫くの恐慌の後、絞り出すような声が響く。

 

「....君は....僕を....殺せるのか....?」

 

現実改変能力者(タイプ・グリーン)死者蘇生(タイプ・グレー)再生能力者(タイプ・レッド)....どのような存在であれ、時間さえあれば私にはそれらを徹底的に消滅させる手段があります」

 

「....()うか....」

 

トックは自嘲するように呟く。

 

「皮肉なものだな....命が惜しくなってから死ぬ手段が現れるとは....」

 

「....」

 

「....帰り道にね、河城君と約束したんだ。良い卵を仕入れたから、一緒に料理でもしよう、とね。分かって()る....瑣末な約束だ。けれども、そこにある玉子焼ほど、衛生的なものなんて、僕にはないんだ。だから──」

 

彼女は頭を地面にまで擦り付け、跪伏する。敵対でも、逃走でもない。最後に彼女が頼ったのは、懇請だった。

 

「....なぁ....頼むよ....命だけは助けてくれ...死にたくない....死にたくないんだ....」

 

「なら、殺しませんよ」

 

「──え?」

 

呆気に取られたように、彼女は頭を上げる。信じられないものを見るように、こちらを向いている。反転して、私は寧ろ....心の底から安堵していた。

 

「だって、そうでしょう? トックさん、あなたは自殺願望を起点として災害を齎した。あなたが命を惜しんでいるのなら....最早、同様の事態が引き起こされる事はない」

 

「....僕の力は...危険ぢゃ(じゃ)ないのかい....?」

 

「....何か勘違いしているようですが....私にとって、妖怪という存在は尽く"危険"ですよ。問題は、その妖怪が致命的な影響を齎すかどうかだ。その点において今のあなたは....」

 

「──ただの、未来を変える程度の能力を持った()()です」

 

「........」

 

トックはかなりの間そのまま言葉を失っていたが、吐息を皮切りにふらふらと立ち上がる。

 

「....君も、河城君と同じ事を云()んだな」

 

「お嫌でしたか?」

 

「まさか。二つ目の理由が出来たんだ、喜んで()るに決まってる」

 

「きっと直ぐに増えていきますよ」

 

「それなら、君と共に三つ目を作るのも悪くないね」

 

「.........えっ?」

 

暗喩を理解し、思考が止まる、トックはそんな私を揶揄うように笑っていた。

 

「あははっ、油断して()るからそんな顔を晒す事になるんだよ。それとも、本気で期待したかい?」

 

「....どうにも、トックさんには勝ち越せませんね」

 

彼女の笑みに釣られて、つい破顔してしまう。死を希う孤独は、既に彼女から掻き消えていた。

 

 

 

・・・

 

 

 

その後、私は河童達に対して異常現象の元凶へと()()を行った旨を通達した。彼女らは元凶についての話を挙って聞きたがったが、トックが元凶であると言う訳にもいかない。結局はなんとか秘匿事項として押し通す事になった。河童達は派閥を分けるでもなく全員で私に非難と賞賛を同時に浴びせるという随分と器用な事をしていたが....唯一、にとりだけは私に対して単に賞賛のみを語った。そして、元凶について一切の質問をしようともしなかった。

 

....彼女は気付いていたのだろうか? その心の中は、彼女にしか分からない。一つ理解できる事があるとすれば、彼女が幾ら老練であったとしても....きっと、そう悪い河童ではない、という事だ。

 

 

 

 

 

斯くして河童とのファーストコンタクトは終わりを迎えた。財団職員としても、私個人としても、彼女らとの遭遇は、有益なものだと言えるだろう。質が悪いとされていた河童達は確かに一筋縄ではいかない交渉者だったが、同時に高度な技術者であり、好奇心に満ちた研究者であり、頼もしい盟友でもあった。その認識が霖之助さんの言っていた"水"との相性を示してるのだとすれば....彼の論説は、思っていた以上に信憑性が高いのかもしれない──

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