Re:ゼロから始める無下限術師の異世界生活   作:Griмм

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皆様の暇つぶしになれば幸いです。感想、評価、誤字報告待ってます。



第三話:交差する運命

 

 

大通り、大勢の人々が闊歩する通称商い通りの中をスバルは歩いていた。

 

 

3回世界を繰り返せば、自ずと周回のパターンも見えてくる。

 

 

俺が救うと誓ったサテラ......先ほどのループで偽名なのが判明したから偽サテラとでも言っておく。

 

 

彼女と会うことができた1回目、3回目のループ共にこの大通りからそう遠くないという手がかり、これを頼りに当て所なく探す。

 

 

「適当にうろついて、商い通りを探し回ってみるか……美少女レーダーに期待して」

 

 

当てが無さすぎて、意味のわからないレーダーを作り出し、「みょんみょん」といいながら両指を立てる。なにか感じるものがあった気がして、引き寄せられるように道を進んでいく。

 

 

次第に周囲の景色に既視感を覚えはじめ、「案外、俺のセンサーの感度も捨てたもんじゃなくね!?」とか思い出して、ふと気付く。

 

 

――大通りを外れて、路地裏に迷い混んでいる。

 

 

「ここって、最初に偽サテラとかと会った場所か……?」

 

 

同じような路地を他にも見たため確証はないが、なんとなくデジャブを感じる。

 

 

考えを巡らせて、ようやく気づく。見覚えのある路地に入ることによる"デメリット"を。

 

 

「もういい加減、見飽きたぜ、トン・チン・カン」

 

 

げんなりして振り返るスバルの正面、路地を塞ぐ毎度の三人が立っていた。

 

 

風貌も服装も人相も全部一緒。その目的も一緒なら装備も一緒だろう、進歩なしだ。同じところで足踏みしてるのだから当たり前だが。

 

 

「偽サテラとフェルトにはなかなか会えねぇってのに」

 

 

「さっきっからブツブツと、何を言ってんだ、あいつ」

 

 

「状況がわかってないんだろ。教えてやったらいいんじゃないか?」

 

 

トンとチンの会話も幾度も聞いてきたものと全く同じで、もしかしてお前らもループしてないかとツッコみたくなる。

が、油断は禁物だ。

与えられた異世界チートが死に戻りという受け身な能力な上、身体能力は平均高校生よりちょっと高いくらい。転移直前まで引きこもっていた身としては、3対1は余裕で"死ねる"。というか3回目の死因はコイツらだし。

 

 

「かといって、交渉手段の荷物を渡して逃げるのも違うしな」

 

 

そう思い、どうにか彼らを避ける方法を考えはじめる。

 

 

話を無視されているのに気づいたトンチンカンはだんだんと顔色が怒りに染まる。

やっぱ奇襲かなぁなどと考えているとき、ふと名案が思い浮かんだ。

 

 

「衛兵さーーーーーーーーん!!!誰かーーーー! 男の人呼んでーーーーーーーー!!!」

 

 

路地裏の静寂を切り裂くような甲高い悲鳴にトンチンカン達が面食らう。この声量なら、おそらく大通りにも届いただろう。いまのスバルに、助けを求めるために声を出すことで傷つくプライドなど、少しもない。

 

 

「てめ……っ。ふざけんなよ!? ここで普通、いきなり大声出すか!?」

 

 

「状況的にこっちの命令きかなきゃ痛い目見る流れだろうが! 要求も聞かずにこれとかやんねーぞ、普通は!」

 

 

「黙れ!! お前らの普通なんざ知るか! そっちは強盗殺人コンプリートしてんじゃねぇか! お前らの相手なんぞしてられっか! こちとら金銀美少女とキャッキャウフフするために命かけてんだよ!」

 

 

まだこの世界でやられていないことまで、思い付いた罵詈雑言を浴びせることでどうにか時間を稼ごうとするが、効果はあまりなさそうだ。

 

 

以前のループで、3人の誰かが衛兵を警戒する発言をしていたのでもしかしたらと思ったが、失敗だったか?

 

 

「おどかしやがって……ほんの少しばかりだが、ビビっちまったじゃねえか」

「ほんの少しだけな!」

「ほんのちょびっとだけだけどな!」

 

 

ほぼ同じタイミングで自身の動揺を否定しながら、獲物を取りだし構える3人、どうやら時間稼ぎもここまでらしい

 

 

「勘弁してくれよ。……痛いのはごめんだ」

 

 

三度の死を経験しても痛みは慣れるものじゃないのだ。痛いものは痛い。また始まる死の舞踏の予感に神経がすり減る錯覚を覚える。

 

 

けれども状況を打破するために、必死に頭を回す。死に戻りの経験を総動員させて、戦闘を組み立てるのだ。

 

 

――よし、いくぞ...三、二、やっぱちょっと待って、三、二……。

 

 

 

「……何やってんの? こんなとこで」

 

 

 

路地裏に、突然割り込んできた声音。それは落ち着いたトーンでありながら、不思議と耳を支配する響きを持っていた。

スバルが声のほうを向き、トンチンカンが振り返る――その先、一人の長身の男が立っていた。

 

 

髪は白と銀を混ぜたような淡い光を帯び、目には黒い布。

その服装はスバルの目には同郷の面影を覚え、トンチンカンには異様に映ったことだろう。黒一色のハイネック、肌や髪の白とは対照的に漆黒に染まった黒装束を身にまとっている。

目を凝らせばところどころに赤黒い汚れがついているのがわかる。

軽薄そうな笑みを浮かべているが──隠しきれない威圧感(プレッシャー)を纏っている。

 

 

「よくないねぇ。三対一で袋叩き? ダサいにもほどがある」

 

 

「な、なんだテメェは……!?」

 

 

風貌的に衛兵でない乱入者に、驚きと困惑で3人ともたじろぐ。

 

 

「てめぇが何者か知らねぇが──!」

 

 

スバルとの問答で堪忍袋の緒が切れていた3人のうち1人が、半ば八つ当たりのように短剣を抜いて男に突進する。

これから起きる光景を想像し、スバルは反射的に目を閉じた。

 

 

だが、想像していたようなグロテスクな音は聞こえず、代わりに不可思議な音が微かに響く。

スバルが目を開けると──

 

 

「......なッ」

 

 

男の手が震えていた。ナイフが黒男の腹前、寸前で止まっている。

見えない壁にでも阻まれたように。

 

 

「え、バリア……?」

 

 

呆然と呟くスバルの前で、黒男は片手を軽く振った。

 

 

「うん、やっぱりニュートラルな無下限は問題ないみたいだね」

 

 

そう言いながら、黒男は一歩踏み込む。

次の瞬間、黒男の体が流れるように動いた。

拳撃、回し蹴り、肘打ち――まるで“教本の見本”のような無駄のない連撃。

 

 

「がっ……!」

 

「ぐぇっ……!」

 

 

そのしなやかな手足からは想像もつかないような威力の打撃が、正確に急所を捉え、トンチンカンたちの意識を一瞬で刈り取っていく。

だが、血が飛ぶほどの暴力ではない。まるで手加減すら計算されたような精密な体術。

 

 

(……強ぇ、っていうか、異常すぎる)

 

 

目隠しの男は、ごろつきが全員倒れ伏したのを見届けて、ゆっくりと背中を向けた。

その肩が、わずかに揺れる。

 

 

「...ふぅ、ちょっとキツいな...。”順転”の打撃も少し不安定だったし」

 

 

ポツリと、吐き捨てるようにこぼすその声は、やや掠れていて、さっきまでの余裕とは違う温度があった。

その様子に、スバルは思わず声をかけていた。

 

 

「……あ、あんた……何者だ?」

 

 

「ん? 僕?」

 

 

黒男は目隠しで隠れた目を向けて、スバルを見た。その隠れているのにこちらの心まで見透かすような視線が、どこまでも底知れなかった。

 

 

言葉と態度は軽い。でも、スバルの背筋には、冷たいものが這っていた。

“死に戻り”の直前。あの“割り込んでくるような違和感”。

 

 

――もしかして、それは……この男?

 

 

スバルはあまりに唐突な遭遇に思考が停止するが、黒男は質問に答える。

 

 

「僕の名前は五条悟、その服装からして、もしかして君も僕と同じ”境遇”かな?僕の言ってる意味が分かるなら、この世界の情報を共有したい。悪い話じゃないと思うんだけど、どうかな?」

 

 

その言葉を聞いて、スバルは目の前の男、「五条悟」に対して内心思う。

 

 

(ヤバいやつが来た)、と。

 

 

 

 

 

 

石畳の上、ほのかに日差しが照らす路地裏。風に吹かれた空き瓶がカランと鳴った。

 

 

疲れた声を吐きながら、スバルが腰を下ろす。袖が少し破れたジャージを払いながら、彼は気さくに笑ってみせた。

 

 

「さっきは助かった、マジで命の危機フルアクセルだったよ。俺の名前はナツキ・スバル。……さっきの会話とか、名前の漢字からして、やっぱりあんたは……」

 

 

「日本から来た人、って感じ?」

 

 

その問いに目隠しをした男――五条悟は、ふっと口元を緩めた。

 

 

「はは、ご明察。……改めて、僕は五条悟。職業は、そうだね……教師、ってとこかな。この世界では無職だけど」

 

 

「教師、って、こんなバカ強い教師いる!?」

 

 

ジャージを着た少年(多分悠仁たちと同じくらいかな?)、スバルはおそらく呪術を全く知らない一般人だと考え、五条はあえて情報を伏せた。が、さすがに”あのような”力を見せられた後では、せいぜいごまかしにしかならないだろうとも考える。

 

 

スバルのほうも、ツッコミを入れながらも、内心の緊張を解かせないでいた。目の前の男は、同じ日本出身でありながら、不可思議な力でごろつきを制圧していたのだ。

 

 

「スバルくんってのも、やっぱり日本人? 僕の勘、当たってるでしょ?」

 

 

「まぁ、そうなるな。俺は、コンビニに買い物しに行って気づいたらこっちの世界にいて……って、五条さんも同じ?」

 

 

「僕のほうは状況は違うけど、気づいたらこっちの世界に来ていたっていうのは同じだね。連れてこられた方法は同一なのかな?」

 

 

スバルの転移状況を聞きながら、五条は思考を巡らせる。おそらく、スバルが転移前の歪みを感知できなかったのは、一般人だったから。むしろ、スバルのほうが正常で感知できたこちらのほうが異常なのだろうと結論づける。

 

 

五条が一拍おいて話を切り出す。

 

 

「さて、僕とスバル、両者自己紹介も何となく済んだことだし、さっそく本題に入ろう。スバルがこの異世界で知ってる情報を教えてほしい。何せ僕、異世界転移1年生だからさ!」

 

 

そういいながらスバルにあの時のような軽薄な笑みを向けてくる。

 

 

(ただの転移者だったら良かったんだけど...正直、得体が知れなすぎる。目隠し着けてるし、あのバリアみたいな力、俺の”死に戻り”と同じような異世界チートなのか...? それに死に戻りのときの違和感も...でも、これはチャンスかもしれない。今まで偽サテラをどうしても助けられなかったけど、この人の力を借りられれば...よし!)

 

 

「わかりました、俺がいま知っている情報を教えます。でもその代わり、この情報を教えてくれたある”女の子”が大変な事件に巻き込まれそうで、俺はそこから助けたい。だから、交換条件として俺を手伝ってくれませんか⁉」

 

 

底知れない態度、謎の力、死に戻りの違和感。でもそれを押しやってもこのチャンスをものにしたかった。

どんな返答が返ってくるか、怖くて前が見れない。

だが、突然「ふはッ」という笑い声が聞こえ、思わず顔を上げると五条が相変わらず目隠しをしたまま、穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 

「いやぁ、青春だねぇ。ククッ、いいよ、このGT(グレートティーチャー)五条悟に任せなさーい!!」

 

 

そう笑いながら言う姿は、確かに教師の姿を想像させて――

 

 

 

「大丈夫、僕最強だから」

 

 

 

しかし付け足された一言に、やはり五条の異質さを感じた。

 

 

まだ互いの運命がどこへ向かうのかは分からない。

だが、確かに──世界は、動き始めた。

ゼロから始める、”無下限術師”の異世界生活が。

 

 




正直最後のセリフを入れた過ぎて無理やり入れた感が出てる気がする。まだまだだなぁ。

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