魔法科高校の転生者〜暴虐の魔王の力を継ぐもの〜 作:Aibelnik
「……ここは?」
目を開けると、一面の白。
空も地も境界さえない、真っ白な空間が広がっていた。
「なんだここは……どうして、こんなところに……」
混乱する思考をなんとか落ち着かせる。
記憶をたどり――思い出した。
「……そうか、俺……死んだんだ」
学校帰り、トラックに轢かれそうになっていた子どもを庇って、代わりに自分が跳ねられた。
「──は~い、生きるの、お疲れさまでした〜!」
「……は?」
突然、背後から軽快な声が飛んできた。
振り向けば、神々しい光に包まれた男?が、満面の笑みで拍手していた。
「誰だ、あんた……」
「えぇ〜? この状況で分からない? 神様だよ、か☆み☆さ☆ま!
さっき死んじゃったから、わたしが対応しに来たってわけ!」
「……はあ?」
「いや〜〜、君の死に方、最高だったよ!
子どもを庇ってトラックに突っ込むとか、思わず笑っちゃった!」
「……ふざけんなよ」
「ふざけてないってば。むしろリスペクトしてるって! うんうん、君みたいな子、大好き!」
「……」
「さて、茶番はこれくらいにして。そろそろ君の“行き先”を決めよっか!」
「行き先……?」
「うん。君みたいに“自分の意思で他人を救って死んだ人”には、ちょっとした特典がつくの!
選んでいいよ、転生か、天国か!」
「……転生で」
「オーッケー☆ では、次はガチャ〜!」
「ガチャって……あの、ガチャ?」
「そうそう、キミが想像してるアレ!
君の魂の転生先とスキルを決める、重要イベントってやつ!」
神が指をパチンと鳴らすと、上空から重厚な唸りとともに巨大なガチャマシンが降ってきた。
全高5メートルはありそうな鉄塊。その中には、無数の光るカプセルが渦を巻いていた。
「……マジかよ」
「うんマジ。これで当たり引いたら、チートライフ確定!
ハズレだったら……そうね、山奥の村人Cってところかな☆」
「……当てるしかねぇじゃねぇか!」
「ではどうぞっ!レッツ☆スピン!」
しぶしぶレバーを掴み、勢いよく引いた。
ガラガラガラ……カシャンッ!
唸るような音とともに、どす黒く輝くカプセルが一つ、排出された。
「おおおお!? これは……!」
神が身を乗り出し、目を見開く。
「……なんだよ、当たりか?」
「当たりどころじゃないよ!? バランス崩壊級の超大当たりだよ!!」
「……いや、やばいってその響き」
神が慎重にカプセルを開け、中を覗き込む。
そして、呟くようにその内容を読み上げた。
⸺
《暴虐の魔王 アノス・ヴォルディゴードの全能力継承》
《転生先:未来世界・地球──魔法科高校の劣等生》
⸺
「おめでとうございます! 魔王パックまるごとプレゼントです!」
「ちょ、待て待て待て! これ、色々とアウトじゃねぇのか!?」
「だいじょーぶだいじょーぶ。君の魂が壊れないように、力は封印済み♪」
「一応って言ったよな!? “一応”ってなんだよ!」
「ちゃんと時が来たら解除できるようにしてあるからさ♪
──それじゃ、いってらっしゃーい☆」
「ちょ、話はま──」
神がひらりと手を振った瞬間、主人公の身体が淡い光に包まれ、世界がぐるりと回転する。
視界がぐにゃりと歪み、意識が、光の彼方へと吸い込まれていった──
──次に意識が戻り、ゆっくりと目を開ける。
視界に映ったのは、見覚えのない天井だった。
思わず声を漏らす。
「……あ……う……?」
その声は、あまりにも幼く、か細かった。
まるで――赤ん坊のような。
(……まさか、これ……俺の声か……?)
戸惑う思考の中で、身体の感覚もおかしいことに気づく。
小さくて、動かしづらくて、自分のものじゃないような――
そう、俺はもう、人間としての“赤ん坊”に生まれ変わっていたのだ。
(……転生、したのか……)
こうして俺は、新たな世界で、二度目の人生を歩み始めた──