エロ星人、ダンジョンのある地球で繁殖する 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
私ことスミレは三國さんに連れられてダンジョンに入り、そこからは散開してスライムを討伐することになった。
ポーチにしまっていたオレンジ色のキューブを取り出し、スイッチを入れて地面に置くと、膨らんでいき、あっという間に掃除機の形になっていった。
「まんまコードの無い掃除機と一緒ね」
生前の私が見た時には掃除機の本体とノズルで両手で持たなくちゃいけなかったが、本体には背負うためのバンドが取り付けられていて、背負ってみることにする。
見た目は掃除機というより除草剤を撒く散布機にも見えなくない。
「よっこいしょっと……ミキ、マユミ……じゃあ私は北側を攻めてみる」
「じゃあ僕は南」
「私は三國さんが東に行ったから西で」
「とりあえず自分の食い扶持分は稼がないと」
「「おー!」」
というわけでそれぞれ分かれてスライム探しに取り掛かる。
このダンジョンは全体的に湿地帯。
木の板で道が作られており、その上を歩いていくと、湿地の中にスライムが漂っている。
「えっと服装変えられるんだっけ……」
私は服の見た目を変えるベルトのボタンをいじると、Tシャツ短パン姿からつなぎ姿に変わった。
靴も長靴になっている。
「よいしょっと」
湿地の中に入ってみると想像以上に深い。
私の身長は154センチだけど、それの腰辺りまで沈んでいく。
ふよふよと浮いているスライムに向かって掃除機のノズルを突き刺して吸引するとジュルジュル音がして数秒後にスライムは消えてしまった。
「え? こんな簡単なやり方で良いのかしら?」
背負っている掃除機の本体の重さが増えた感じはしない。
三國さん曰く四次元になっているから重量は増えないと言われていたが、実際にバランスボールサイズのスライムを吸引してみて重量を感じないは異常に思える。
「これが異星人の超科学ってやつかしら……あ、スライムまた見つけた」
先程と同様にノズルを突き刺し吸引。
数秒後にはスライムが消える。
「よっこいしょっと」
湿地の泥水から通路に這い出るが、腰のボタンを押すと一瞬黒いピチピチスーツに戻り、直ぐに綺麗なつなぎ姿に戻る。
「一瞬で汚れが落とせるんだ……便利な服ね」
泥水に浸かっていた時にも不快感は特に感じず、手で水を触ると少し冷たかったが、浸かっているときは適温にスーツが調整してくれていたっぽい。
そのまま私はスライムを探しては吸引を繰り返していき、1時間。
一度入り口に戻りどれぐらい吸引したのかの確認を行う。
ダンジョンの入り口近くの土地は硬い土台が作られており、その上に円柱状のタンクが何本も建てられていた。
「これ前にも思ったけどどうやって外に運んでいるのかしら」
吸引機を起動し、掃除機から取り出したボトルの口部分を吸引機のノズル部分に突き刺す。
ガソリンスタンドのノズルみたいな感じでトリガーを引くと吸引が始まった。
「おお、メーターがどんどん上がっていく」
直ぐに3桁を超え、4桁に突入する。
2345.5リットルとあと少しで階段になるのにという数値で止まり、金額が表示された。
今日の買取価格は1リットル30.5円で、合計金額7万1537円。
「三國さん、1時間で1万程度稼げるって言っていたけど、7倍稼げているんだけど……」
これにまだ確認してないがスライムの核が1個90円買取なので数千円にはなるだろう。
「これ本気で稼ごうと思ったら数日で階級が上がると思うんだけど」
10級から9級に上がるためには100万稼ぐ必要があるが、このペースで稼げれば1日で50万近く稼げるだろう。
あっという間に9級昇格である。
なんならこの作業しているだけで1年かからず金額で成れる上限の5級に成れてしまう。
「金銭感覚狂いそう……」
こんな楽な作業しているだけでそんじょそこらの仕事より稼げてしまう。
うん、感覚が絶対に狂う。
「とりあえず約束の時間までまだまだあるし、もう少しスライム狩りしますか」
私は再びスライム狩りに戻るのであった。
12時少し前、私はダンジョンの入り口前に少し早く戻っていた。
するとミキとマユミもスライムの液体の換金を終えたのか集まっていた。
「ミキ、マユミ早いね」
「スミレ、これやばいでしょ! 錬金術過ぎる!」
「こんだけ稼げるのはやばい」
2人と再会して早々、2人は換金金額に大興奮している。
スマホにカードの残金が提示されるが、私が約22万、マユミが約20万、ミキは約23万も稼いでいた。
「これヤバくね」
「マジヤバい」
「狂ってる金額でしょ……」
マユミの前世の家族(名前や顔は思い出せないが)が冒険者だったことや冒険者になるにあたってどれぐらい稼げるのか覚えている限り、10級は1日働いてで5000円から8000円前後稼げれば良い方と記憶していた。
スライム倒して一攫千金はまずあり得ない。
日給50万クラスとなれば1億円を優に超える年収になる。
年収1億稼ぐ冒険者は5級以上……いや、4級の平均クラスになってくる。
こんなに稼げるの冒険者以外だとスポーツ選手か大きな会社の役員レベルだろう。
まず普通じゃない。
この認識は私達3人ズレて無い。
「よぉお前ら換金終わったか」
私達が盛り上がっていると三國さんがやって来たので、稼げた金額を報告すると、凄え稼いだなと呟いていた。
「とりあえず金はある程度纏まった金額が欲しい」
「何に使うんです?」
「宇宙船を隠せる土地が欲しい。今の場所も人気が無いだけで国有地か私有地か分からない場所に違法駐車しているみたいなもんだからな」
「なるほど」
となると結構な金額が必要になるだろう。
三國さんは稼ぎの半分は土地買うまでは徴収すると言われたが、私達もこんな金額持っていても使い切ることができない。
正直言って生前まで中学生だ。
万札1枚でも大喜びしていたくらいなのにそれの数十倍が転がり込んできて困惑の方が強い。
私達は一度ダンジョンから出るとフードコートに向かった。
ダンジョンの出入り口近くに銭湯とコインランドリーがあるのを見て、よく考えられて施設を作っているなと私は感心してしまった。
湿地のフィールドで汚れた衣類はコインランドリーに、体の方は銭湯で綺麗に洗い流して心身共にさっぱりという流れだろう。
「クンクン」
「何やってるんだ?」
「三國さん、私泥臭く無いよね? 見た目は綺麗になっているけど」
「大丈夫だ。スーツが汚れを洗浄してくれるから基本体は綺麗に保たれる。臭いもしないはずだ」
「本当に万能スーツだね」
フードコートに移動した私達は適当に食事を注文していく。
私は普通にカレーにしてしまった。
大金を稼いでも高いメニューを注文できないところが私らしい……。
ミキはラーメン、マユミはペッパーライスを注文。
三國さんは味噌ラーメン大盛り、チャーハン唐揚げセット、トッピング全盛りという富豪メニューを注文。
これが……大人か。
注文したメニューが届き、それぞれ食べ始めるが、三國さんのメニューがテーブル1つを占拠している。
狭いので別の席で私達は食べるが、三國さん号泣しながら食べている。
後で聞いたが地球の料理が滅茶苦茶美味しかった事に感動していたらしい。
まぁ宇宙船で食べたあのよくわからない味のレーションを毎日食べていたら地球の料理は美味しくて仕方がないだろう。
私もカレーを食べるが、良かった記憶通りの味のカレーだ。
生き返った時に味覚が変わっていたらどうしようと思ったけど杞憂だったっぽい。
「ミキ、マユミどうしたの?」
2人はあっという間に料理を食べ終えると空になった器を覗いていた。
「「物足りない」」
「え? 普通の量食べていたよね? ミキなんか生前私よりも少食だったじゃん」
「そうなんだけど……僕まだまだ全然入る」
「私もおかわりできそう」
2人は別の料理を注文しに行き、席を立った。
すると三國さんが
「スミレは3人の中で一番人間の性質を保っているが、ミキとマユミはモンスターの成分が入っているから食事の必要量とかも変わってきてもおかしくないだろう」
とのこと。
2人は大盛りのカレーを食べ始めて、私はその量を見て少し胸焼けするのだった。