エロ星人、ダンジョンのある地球で繁殖する 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「ふむふむなるほど……」
まずこの地球にはダンジョンと呼ばれる異世界に繋がる空間が70年前に繋がり、そこからモンスターが湧き出して世界全体がパニックに陥った。
それからモンスターを駆逐していくうちにモンスター素材やダンジョンで貴金属が採取できることが分かり、ダンジョンは脅威から一転して資源地帯へと変貌。
ダンジョンの資源地化により国家間の戦争はダンジョンからもたらされる資源により消失。
先進国はよりダンジョン資源を効率的に採取できる方法を模索して需要が増加したダンジョンに民間人に開放するようになり、出稼ぎ労働者からダンジョン専門の学校を卒業した人含めて様々な人物がダンジョンに潜っている。
ダンジョンに潜る人達を冒険者と言うらしいな。
「いつから地球はファンタジー世界になってしまったんやら……」
西暦は2020年。
日本はダンジョンの資源を活用することで好景気を維持し、先進国の1つとして機能している……か。
「俺の前世の没年が2025年だったから一応過去の世界に当たるのか?」
掲示板や動画サイトを漁ってみた結果、ダンジョンでは特殊な訓練を受けた撮影者を除いてダンジョン内での撮影は厳禁。
そのため配信者をしている冒険者はアイドル的な人気があり、それでいて強くて顔が良ければテレビから引っ張りだこ。
まあ民間人にダンジョンは怖い場所ではないと思わせる広告塔としての役割を彼ら彼女らは持たされているのだろう。
「いや~それでも地球は娯楽が沢山あって良いなぁ。ネットに繋げるだけでも歌や音楽、見切れないほどの動画……サイトに飛べば漫画や小説も読み放題。俺の前世とどれぐらい違う作品があるか見比べなければ……」
俺は寝る間も惜しんで丸1日、ネットに張り付いていたが、気がついたら寝落ちしてしまっていた。
「んん……飯にするか」
俺はスイッチを押すとカップの中にドロドロの液体と梱包された固形のキューブがテーブルの上に転送されてきた。
ファビアン星人の最低限のエネルギーを担保する水分とレーションである。
味は悪くはない。
が、同じ味なので飽きてしまっていた。
というかこの食事が苦痛でしか無い。
「地球に来たんだから地球の食事を食いてぇ」
そのためには地球の環境に適合する必要がある。
というより人間の生態データを体内にインプットする必要がある。
「うーん、外見を人間の見た目にすることから始めるか」
俺はイケメンと思われる人間のデータを入力し、入力したデータに基づいて機械を作ってくれるマシーンで、首輪を作った。
俺は完成した首輪を首に付けてスイッチをいれると、ファビアン星人特有のピンク色の肌と額から出ていた2本の触手の様な角は見えなくなり、肌の色は肌色に、黒髪、黒目のザ·日本人と言う風貌に姿が変わった。
「おお、エロゲ主人公みたいな前髪で目を隠した中肉中背のごく普通の日本人になれた……。ただ今の状態は見た目だけ人間に見えるようにしているだけだからな。指紋認証や血液検査とかしたら一発で人間でないことがバレるからな」
まぁとりあえずはこれで良しとするか。
あとは身分証とか人間世界で生きていくのに必要な物を作らねぇとか……。
「ふんふんなるほどなぁ」
ネットで検索をかけてみたらマイナンバーカードをより強化した物がこの世界には存在し、戸籍や保険証だけでなく、電子通貨もカードの中に記録されていることになっているらしい。
俺は国のデータバンクにハッキングを行い、適当な人物の戸籍をでっちあげて、そのデータを丸々今作った偽造マイナンバーカードにぶち込んだ。
「データ化が進んでいるお陰でこういうの楽だわ……」
ということでファビアン星人としての管理番号の39200560と言う番号から取って三國吾郎(みくに ごろう)という名前を付けさせてもらった。
調べたらいるもんだね三國さんって苗字。
とりあえず戸籍も完了。
金もハッキングすれば使い放題ではあるが、今は良いだろう。
「さてと……コル起動」
テーブルの上に置かれていたコルが再起動した。
『システム再起動中……おはようございます』
「ああ、おはよう。緊急ワープにより別星系に着陸した。艦内に故障箇所が無いかと積み荷の内容を確認したい。データをモニターに映してくれ」
『了解、了解!』
艦内のデータが送られてくる。
まず食料は半年は食べても問題ない量が艦内に蓄えられている。
星間航行用輸送船で、大きさは野球場2つ分の広さと同等。
積み荷は他の惑星の基地建設のための資材と機械類。
悪いがこれらは俺が拝借させてもらおう。
エネルギー系統は小型波動炉を積んでいるからほぼ無限。
炉から引っ張ってくればある程度の機械も動くだろう。
「とりあえず作らないといけないのは、地球で移動するための乗り物と肉体改造を行うための装置作製か。ちゃっちゃと作りますか」
俺はとりあえず1人で移動するための空飛ぶセグウェイみたいな乗り物を作製……大きさは軽自動車くらいで、前後左右に反重力装置を搭載。
バリア機能で風を防ぎつつ、高度限界は500メートル。
時速500キロで移動可能で、光学迷彩を組み込むことで人の目には見えないし、高ステルス機能でレーダーにも映らない。
フライトマシンと命名する。
それと肉体改造装置を作製し、人のデータをインプットすれば地球人に近い肉体を得ることができる装置を作製した。
「ふう、これでよしっと。とりあえず人のデータが必要か。東京の繁華街に夜行けば酔っぱらいが転がっているだろ」
俺は今日が金曜日だったこともあり、フライトマシンに乗って東京に向かってみることにするのだった。
「へぇ……やっぱり少し違うな」
東京に降りる前に空から町の様子を眺めてみたが、住宅地の一角に、不自然に大きなビルがあったり、商業施設が建てられていたりした。
恐らく中にダンジョンに繋がる入り口が隠されているのだろう。
「なるほどな……建物で隔離することでダンジョンからモンスターが溢れ出てきても建物を封鎖すればそれ以上被害が出なくて済む様に作られているのか……そして普段は冒険者向けの商材を置くことにより冒険者の装備をこの場で揃えることができると……考えられているなぁ」
俺は建物を透過することのできるゴーグルで中を覗いてみると、よく考えられて作られていることが分かった。
「東京じゃなくても繁華街だったら良いか」
俺は千葉の繁華街に降りると、フライトマシンに取り付けられている縮小ボタンを押す。
するとフライトマシンは折り畳まれていき、あっという間にルービックキューブみたいな四角い塊になっしまった。
俺はそれを地球人に見えるように作ったビジネススーツの中に隠し、夜の繁華街を歩くと、案の定良い倒れているおっちゃんを見つけた。
「大丈夫ですか?」
俺は介抱する素振りを見せながら彼に近づき、髪の毛を採取する。
「あんちゃん何言ってるか分からねぇぞ」
酔っぱらいが言っているが今は発声器官が地球人に適応されてないので、俺は日本語のつもりで喋っても、動物の鳴き声の様に聞こえてしまうのだろう。
肉体改造で声帯もいじらないとな。
とりあえず地球人の遺伝子は採取したので、宇宙船に戻るか。