エロ星人、ダンジョンのある地球で繁殖する 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
翌日、朝食を食べ終えた俺達は過疎ダンジョンと言われている隣の山にある龍神ダンジョンに向かった。
地名である旧龍神村がダンジョンの名前の由来だとか……。
フライングマシンで飛行すること3分で到着した。
一応装備は持ってきているが、今日は表層である1階層に潜るだけのつもりだ。
過疎っているからスライムが結構湧いていることを期待する。
「……ここ……だよね?」
「そうだな……ここだな」
ダンジョンのある場所には古びた旅館が建てられており、駐車場に数台車が停まっているので、無人……というわけではないだろう。
一応補修されているのか、補修箇所が幾つも見える。
戸を開けて、旅館の中に入ると外とは違い、中は掃除が結構行き届いているように思える。
絨毯が敷かれており、ダンジョンに向かう方は土足のまま、絨毯を進んでくださいと壁に案内を示す紙が張られていた。
とりあえず順路に沿って歩いていくと、やる気の無さそうなお姉さんが椅子に座ってスマホをいじっていた。
「あのすみません」
俺が声をかけると、ビクッとしてお姉さんはこっちを向いて、座り直す。
「ぼ、冒険者の方ですか!」
「はい、4名入れますか?」
「勿論入れます! 宿泊の手続きはしていますか?」
泊まらないとダンジョンに潜れないのかとお姉さんに聞くと、そうではなく、夜に山道を走るのは危険なので、宿泊して朝に帰るのが普通なので……と答えてくれた。
「あ、いや……俺達車で30分程度の山に引っ越してきた者で……このダンジョンをメインに攻略していこうと思いまして」
「ほ、本当ですか! ダンジョンの中について詳しい者を呼びますので少々お待ち下さい!」
お姉さんはドタバタと隣の部屋に駆け込むと、男性職員を連れてきた。
「えー、失礼しました。ここ龍神ダンジョンの管理責任者である竜崎と言います。よろしくお願いします」
糸目で髪をオールバックにし、ビジネススーツを着ているが、スーツ越しにも分かる筋肉質な男が現れた。
「始めまして、隣の山に引っ越してきた三國と言います。こっちはチームメンバーの」
「僕はミキ」
「私はスミレ」
「マユミです」
「失礼ですが……随分とお若いですね……女性の方々」
「こんななりですが、俺含めて18歳超えてます」
「よく間違われます」
「そうそう」
とりあえず誤魔化すが、マイナンバーカードの提示が求められたので応じる。
マイナンバーカードの年齢は確かに18歳を全員超えていた。
「失礼しました」
「いえいえ、そちらもお仕事でしょうに」
竜崎さんによるここのダンジョンの説明が行われる。
まずこのダンジョンには階層毎のゲートが存在せず、異空間同士が繋がってしまっているので、下の階層のモンスターが上の階層に溢れ出る事がよく発生してしまっているらしい。
なので一番表層の1階層でもスライムだけでなくゴブリンが居る事があり、他のダンジョンよりも危険なのだとか。
スライムの液体の買取はやっておらず、核や魔石のみの買取になるらしい。
「過疎ダンジョンなのと、山道が続くのでタンクローリーが通れないんですよ。なのでスライムの液体を運搬する術が無くて……」
「なるほど」
上空から見ていたが、確かに道が細く、タンクローリーは通ることができない。
ただ他の買取とかはふつうにやれるらしい。
「ここの旅館は冒険者用にですか?」
「はい、間引きに来る冒険者の方が宿泊できる場所が無いと困るので、過疎ダンジョンでは宿泊施設と一体化しているダンジョンも珍しくありません。先ほど受付をしていたのはここの旅館の娘さんで」
「篠原みつきと言います。祖父母と両親と一緒に旅館を経営しています」
「あと冒険者協会の職員が僕含めて3名ほど滞在している感じです。冒険者の方が旅館に泊まる場合、割引が利きますので気軽に泊まっていってください」
旅館の説明は以上らしい。
スライムの液体が売れないなら俺達の場合別のダンジョンに売りに行けば良いので特に問題は無い。
それより職員の竜崎さんがとにかく間引きしてくださいと言われたので、早速ダンジョンに潜って間引きをすることにするのだった。
「……想像していたよりもカオスだな」
「何がゴブリンいるかも知れませんだ……滅茶苦茶いっぱいいるじゃん」
「ゴブリンとスライムがうじゃうじゃいる……」
はい、ダンジョンに入るとゴブリンとスライムがうじゃうじゃいました……。
どれくらいか……他のダンジョンがスライム1に対して、このダンジョンはスライム10にゴブリン5くらいいる。
平原のダンジョンなのに、数が多くてコミケの人集りくらいの密度がある。
「とりあえず足場がほぼ無いから上空に避難しようか」
フライングマシンを起動して、上空に移動する。
その状態で武器を取り出して銃を連射し始める。
スミレのバトルスーツのバックパックから大型機関銃を取り出し、コードを伸ばして、全員で機関銃を持ち、制圧射撃を開始する。
「撃て撃て! 動くの全部撃て!」
俺の掛け声にミキやマユミも反応
「Foo! 気持ちいい!」
「トリガーバッピーになりそう!」
フライングマシンを連結して、広い足場を作り、斜め下に打ち下ろしていく。
次第に動く個体が減ってきたので、地上に降りて、横一列になり射撃を開始。
1時間もすると動くモンスターは居なくなり、穴だらけになったゴブリンや液体に変わって地面に核が落ちている状態のスライムと亡骸が大量であった。
「とりあえずバキューム掃除機で回収できるだけ回収しよう。新機能で死体吸い込んだら魔石だけ分別するモード作ったからゴブリンの死体もドンドン吸い込んでいこう」
それぞれ武器を仕舞って、バキューム掃除機で死体や核、魔石を回収していく。
2時間ほどダンジョンのあちこちを走り回ると、ようやく1階層は綺麗になり、新しく湧いてきたスライムが跳ね回れるようになっていた。
「ねー三國さん」
「ん、どうしたミキ」
俺はミキに呼ばれて向かうと、あそこ見てと指差された。
そこにはゴブリンの死体を食べるスライムの姿が見られた。
「スライムがゴブリンの死体を食べてるんだけど……食べたスライムなんか1回り大きくなってない?」
「確かにそうだな……死体を食べる習性がスライムにはあるのか……となると今日みたいにゴブリンが溢れかえっていたら、回収しなくてもスライムが勝手に処分してくれる感じか?」
「まぁそれやると僕達の稼ぎがなくなっちゃいますけど」
「確かにそれもそうだな……とりあえずちょっと実験してみるか」
俺は大きめのスライムを見つけると、そのスライムに、回収し魔石を抜き取ったゴブリンの死体をバキューム掃除機から出して食べさせてみた。
するとゴブリンの死体を食べ始めてドンドン大きくなっていく。
ゴブリンの死体を20体食べさせると、それ以上は大きくならなくなったが、体積は1000リットル規模まで大きくなり、気球サイズまででかくなった。
「はい回収」
俺はそれをバキューム掃除機で吸い込んでいき、スライムの核を回収すると、元々親指サイズだったスライムの核が拳サイズまで大きくなっており、ゴブリンの魔石よりも品質が良さそうであった。
「ほぼーん……スライムに死体食わせると核の品質が上がるのか」
「ネットでも見なかった情報ですね」
「売れるのか? これ?」
「持ち帰って換金してみます?」
「うーん、ちょっと実験に使いたいからキープしておこう」
とりあえず今回はキープを選択する。
そうこうしていると他のメンバーも集まってきて、奥の階層に向かうか話し合う。
「今マユミ達の冒険者ランクが8級だよな?」
「うん、この前上がった」
「俺はまだ9級だし、とりあえず次の階層まで進んでみるか……奥の階層も間引きしないといけない感じかもしれないし」
「確かに……」
こうして俺達は次の階層に向かうのだった。