エロ星人、ダンジョンのある地球で繁殖する 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
翌日、俺は昨日空から見ていたダンジョンを内包している建物に来ていた。
服装はよく分からなかったのでビジネススーツ。
フライングマシンとバキューム掃除機は圧縮し、キューブ形状にしてポケットの中に入れている。
「中は商業施設と冒険者協会の設備が内包している感じか」
とりあえず冒険者協会の出張所で冒険者になりたい事を説明すると、マイナンバーカードはあるかと聞かれたので、マイナンバーカードを提示した。
「はい、ダンジョンに潜った経験は無いようですので10級の説明を午後1時より第一試聴室にて行いますので、それまでにトイレや昼食を済ませておいてください」
受付の女性にそう言われた。
俺が会話しても問題はなさそうである。
1時まで時間があるので散策と参りましょうか。
商業施設は大型ショッピングモールの様な感じであり、スーパーが中に入っていたり、ダンジョンに潜るために必要な道具が売られていた。
まずはスーパーから向かう。
「普通の食材の中に見たことがない食材が混ざってる……」
野菜コーナーの中にアボカドの横に見たことがないフルーツが数種類売られている。
斑点模様だったり、ギザギザの横線が入っていたり、トゲトゲしていたり……。
「これもダンジョン産の作物なのか? いや、産地は別に書いてあるな……ダンジョンから産出された果物をこっちの世界でも栽培しているのか……商魂逞しいな」
流石日本人というか……食える物なら美味しく食おうと研究する種族的アイデンティティを感じる。
「加工食品コーナーにも見たこと無い食材が並んでるし……」
麺が売られているところでスライムラーメンなる食べ物が売られていた。
商品説明によるとスライムを特殊な加工及び小麦粉などを加えることにより麺を精製し、ラーメンよりも低カロリーかつ弾力のある麺に仕上がっている……とのこと。
パッケージには冷麺やラーメンの代わりにと書かれていて、1種類ではなく複数種類の類似品が売られていたので、人気の商品なのだろう。
魚売り場でも見たことのない魚が1尾売られていたり、肉コーナーでも恐竜の尻尾にしか見えない食材がラップで梱包されて売られていた。
「元の地球とはダンジョンがあることで大きく違うんだな。まぁそれはそれで楽しそうだけど」
俺は商品の違いを楽しみながら別のフロアに移動する。
2階に上がると、ダンジョンに潜る時に必要な道具が売られていた。
服はつなぎみたいな作業着が普通らしく素材もダンジョンで取れる特殊繊維使用と書かれている。
とりあえず右人差し指に取り付けた指輪型スキャナーでデータをスキャンする。
あとはナイフや剣も売られている。
「冒険者って武器はナイフや剣だけなのか?」
俺は疑問に思ったので店主に聞いてみるとそうではないと言われた。
「いや、そうじゃねぇが……メインとなる武器はそれ専門の店がある。ここではあくまで初心者や消耗品を取り扱っているだけだ」
なるほど、確かにナイフには素材剥ぎ取り用と書かれているし、剣は初心者向けと書かれている。
まぁ俺は使う気は無いけどな。
そのままフードコートに向かうと色々な料理が売られていたが、ダンジョンがある場所だからかダンジョンで取れる食材の料理が売られている。
俺が食べたいのは普通の料理なんだが……仕方がないのでスーパーに戻り、惣菜コーナーでおにぎりを購入して食べることにした。
「んん……あぁ……これよこれ。米の甘みに梅干しの酸っぱさ……鮭おにぎりや明太子おにぎりも美味しい!」
そしてフードコートの給水器から水を飲むが
「普通の水だが、宇宙船の色付きの水じゃねぇ。やっぱり普通の水が一番よ」
おにぎりと水で腹を満たした俺はそろそろ1時になるので冒険者協会の講義を受けに行く。
講義の内容は基本的な事で、ダンジョン内での暴力行為や殺人は認められていないこと、発覚したら脳波スキャンの後に刑務所に送られるという。
ダンジョン内での窃盗行為も重罪。
場合によってはダンジョンの出入りを禁止する処置を行うかもしれないと書かれていた。
その他にも禁止事項や注意事項を言われたが、基本的に社会的ルールを守っていれば問題は無い。
あ、銃や弓等の飛び道具は外部へ持ち出す際には使用できないようにロックを職員がかける事もあるとも言われた。
「でねー」
「マジやばくね!」
「でしょ〜」
俺の後ろの席の女の子達が煩かったが注意すること無く、講義は終了。
マイナンバーカードに講義を受けたことを記録してもらい、冒険者カードなる物を発行してもらった。
カードの右上には10級と書かれている。
「ダンジョンの中には先人達が作ったゲートが置かれています。カードの階級によってカードをスキャンすればゲートが開くようになっていますので、無くさないようにお願いします。再発行には500円ほどの金額が発生しますので」
と事務的な職員に言われた。
まぁ危ないから先に進ませない配慮だろう。
ちなみにダンジョンに潜る時にはこの冒険者カードとマイナンバーカードは絶対に持ってくるように言われている。
その2枚のカードが無いと潜れないらしい。
俺はトイレに移動してスーツ姿を変更し、つなぎ姿に変装する。
見た目だけ変わっているので、元はピチピチスーツ。
防御力はほぼ無く、ポケットは両太もも付近と右胸前に即席で付けた物だけなので、実はフライングマシンとバキューム掃除機、あと胸ポケットにしまったカード類以外は入らなかったりする。
そんな軽装備で大丈夫かと心配になりそうであるが、10級の行ける場所は慣れている人だとサンダルでも行けるような場所である。
危険もほぼ無いので安心して進むことができる。
「パパの冒険者カード借りてきちゃった」
「やっば! ミキちゃん悪〜」
「でも10級の場所だとろくに稼ぐことできないじゃん。余裕があったら奥行ってみようよ」
「賛成〜」
講義中、俺の後ろで騒いでいた中学生くらいの女の子3人が初っ端からルール違反しようとしている。
まぁ俺の気にするところでは無いが……印象に残る。
俺はバキューム掃除機を出してダンジョンの入り口に並んでいると、後ろから俺の事を指差して先程の少女達が馬鹿にしてくる。
「うわ、掃除機でダンジョン潜ろうとしてるよ」
「掃除機で何するんだろ……スライムでも吸い込むのかな?」
「スライムなんてビニール袋あれば十分じゃん」
ゲラゲラと俺を馬鹿にしている声が聞こえるので、ここで出すのはミスったなと思ってしまった。
ゲートを管理しているお兄さんは掃除機を担ぐ俺を見ても普通の対応をしてくれた。
そのままダンジョンの中に入っていくと、世界は一変。
先程まで建物の中に居たはずなのに、草原が広がっていた。
「おお……」
俺は美しい光景にゲートの前で立っていると、後ろから先程の少女達が現れて、俺にぶつかった。
「ちょっとおじさん。ゲートの前で立ってたら危ないじゃない! 早く横にどいてよ」
「そうそう」
「危ないですよ!」
こりゃ失敬と、俺は直ぐに横に退くと少女達はダッサと言いながら先に進んでいってしまった。
ゲートの前では給水塔の様な建物が幾つも建てられており、恐らくこの中にスライムの液体が蓄えられているのだろう。
給水塔擬きの横にはタンクローリーが数台並んでおり、今1台が出発した。
一応道が舗装してあり、道をまっすぐ進んでいけば次の階層に行けるのだろう。
遠くを見ると約3キロ先にゲートらしき物が見え、他には湖、ちょっとした林、スライムを倒す冒険者達が見える。
「ふーむ……とりあえずスライム捕まえてみるか」