ARMORED CORE6:Re.life in Kivotos   作:トリミングチキン

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亡霊

イツキが風のように走り去り、対策委員と先生は置いてけぼりを食らってしまった。

ホシノは彼女が置いていったショットガンを拾い上げる、想定外の重さにバランスを崩してしまった。その横からシロコが静かに近づいてくる。

 

「ホシノ先輩、イツキはなんて言ってたの?」

 

シロコはイツキが走り去る直前ホシノに残していった言葉が気になるのだろう。

 

「うーん、ここに残っててって言われたけど。どうしたんだろうね」

 

ホシノは苦笑しながらイツキが走っていった方角を眺める。

 

(もうちょっと頼ってねって言ったんだけどな…)

 

「さっき無線で話してたアヤネちゃんなら、何か知ってるかもよしれないね」

 

無線で連絡を取ると、アヤネからすぐに声が返ってきた。

 

「アヤネちゃん、イツキちゃんがどこに行ったのかわかる?」

 

『はい、イツキちゃんは今アビドス砂漠へ向かっています』

 

「砂漠…?」

 

ホシノはその言葉に違和感を覚え言葉を漏らした。

 

『砂漠へ逃げて行った便利屋を追いかけていますけど、どうかしたんですか?』

 

(普通逃げるとき砂漠なんか行くかな?)

(遮蔽物もないし人込みにもまぎれられない逃げるだけならそんなところへ行く必要はない気がするけど)

ホシノは少し考えた後、冗談交じりに言った。しかしその表情は普段のおちゃらけた顔とはまた少し違っているようだった。

 

「それならイツキちゃんを迎えに行こうか。あの子水筒とか持ってないだろうしさすがに心配だよ」

 

先生はホシノの提案に応え、ヘリを地面へ降ろす。

 

"なら、このままヘリでイツキを迎えに行こう。みんな、乗って"

 

先生は早急に皆を乗せ、ヘリを飛ばすと彼の瞳にはこちらへ向かってくる()()()が映っていた。

生徒たちが気づく前にアヤネの肩を力強くつかみ、叫んだ。

 

"アヤネ。右に避けて!"

 

先生の指示で反射的に体が動いたアヤネは操縦桿を思い切り倒し。

ヘリは勢いよく横へ回避した。

 

ゴアァンッッッ!!!

 

直後、ナニカがヘリの尾翼とぶつかり、その衝撃で制御を失ったヘリは轟音と振動と共に地面へ向かい急降下する。

 

"何でもいいからつかめるものを掴んで!衝撃に備えて!"

 

その声に応じ、生徒たちは各々衝撃に備え、構えた。

 

ガァァァァン!!

 

墜落というよりもただの落下に近いものであった。生徒たちは衝撃で意識を失ってしまった。

――ただ一人を除いて。

 

地面との接地面は大きく凹み、羽も脚もつぶれ完全に飛べない状態の鉄くずから桃色の髪を携えた少女が這い出てきた。

 

ホシノだ。

 

「み、みんな……!!」

 

血も汗垂らし焦りと恐怖を抱えながら彼女はヘリだったものの装甲を引っぺがした。

そして、目を閉じ傷ついた自らの後輩たちを目にする。

 

大切な後輩。

流れ出る血と傷。

いつか見た確かな死。

 

それらが重なり彼女は膝をつき頬を濡らした。えずきが止まらなかった

 

"大丈夫、みんな生きてるよ"

 

残骸の中から聞こえたその声はひどく穏やかで傷ついたホシノの心に安心感と冷静さを取り戻させた。

シロコとノノミを抱え出てきた先生は落ち着いて袖をまくる。

 

"ホシノ、とりあえず皆を安全な場所に運ぼうか。

――あれのそばに居るのはあまり良くなさそうだ"

 

先生の目線の先には薄い青緑をベースに赤い差し色の入ったACが佇んでいた。

そのACは自らが破壊したビルの残骸を一つ一つ見渡す、探し物でもしてるかのように。

 

先生はノノミとシロコを担ぎながらそのロボットに背を向けた。

ホシノも意図を理解し、アヤネとセリカを背負った。先生はホシノのをちらりと見て確認した。

 

"逃げるよホシノ"

 

そういうなり二人は駆けだした、だが人を二人も背負っている状態だ。

姿勢も安定せず十分な速度が出せなかった。

もし仮にあのACが追いかけて来たなら到底逃げ切れなかっただろう。

 

住宅地を息を切らしながら走った。だが先程の出来事からは考えられないほどあのACは何もせず静かに案山子のように佇んでいた。

二人とも余裕がない中でだったが、ホシノは己の中の疑問を問わずにはいれなかった。

 

「…先生はあのロボットのこと知ってるの?」

 

眉一つ動かさず答えた。

 

"知らないよ。詳しくいことは何もね…"

 

先生がふと振り返ると煙が立ち上り火花が散っていた。

先程まで制止していたACが再度動き出したようだった。

 

先生は立ち止まり背負っていた二人をゆっくり地面へ寝かせ(きびす)を返した。

 

”救急車は呼んだからここで待ってて。ここまで流れ弾が来ることはないだろうけど、もし来たらすぐに逃げてね”

 

ホシノは意識のない後輩たちを寝かせながら、先生の背中を見送った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一機の軽騎兵(LC)が乾いた空を駆ける。

砂粒に装甲を傷つけながらも速度を落とさず、ある地点へ向かっていた。

 

使い慣れない機体だ、操縦系の感覚も異なる。

迷いながらも必死に機体を動かした。

 

おぼつかない挙動のまま、先程まで便利屋たちと交戦していた場所が近づいてきた。

――俺の瞳に先ほど飛行していたACの姿がはっきりと映った。

 

よくよく周辺を見渡すと、どうやら到着してから何もしていないらしい。

ビルは崩れ、ヘリだったと思われるものもつぶれている。

しかし、周辺には血も死体も何一つなかった。

 

ただ一機が広い道路で佇んでいる。

 

その状況を確認するなり俺は機体の脚を止めた。

次にすべきことを組み立てるため、落ち着いてACを観察する。

 

各パーツはベイラムの基本フレームである『MELANDER(メランダー)』にカスタムを施した『MELANDER C3(メランダーC3)』。

装甲は薄い青緑色を基調とし、左肩と胸部の一部が赤く塗られている。

 

そしてレッドガンのエンブレム。

 

それは俺がルビコンで殺したイグアスのAC、『HEAD BRINGER(ヘッドブリンガー)』そのものだった。

 

カメラに写っているUIも奴の識別がG5イグアスであると示している。

あの機体は間違いなく、ルビコンで俺が殺したイグアスの機体そのものであった。

 

奴のヘッドパーツは下を向いている。

周りを見渡すでもなく。ただひたすらに地面を見つめている。

 

(パイロットはもう脱出したのか?)

 

そう思い、俺は機体を浮かしながらほんの少しアレに近づけた。

 

瞬間、ヘッドパーツがギュルリと回り、こちらを捉えブースターを吹かし飛び上がる。

 

奴は右肩のミサイルと両手の銃器をばら撒きながらAB(アサルトブースト)で一直線に突っ込んでくる。

 

「クソッ、スキャン範囲に入っていたのか」

 

こちらも飛び上がり高度を合わせる。

 

ヘッドブリンガーは防御主体の引き撃ち機体だ。

しかし、その機体はこちらへ無謀な突撃をかましている。

 

このLCは近距離の武装が積まれていない。ある程度の距離があってこそ火力が生かせる機体だ。

むしろ距離を縮めブースターを吹かせる。

 

最高速度に到達している奴を左手で殴りつける。

勢いを落とし、蹴り落とす。

 

LCの重量が乗せられた蹴りは奴を吹き飛ばしアスファルトへ激突させる。

 

衝撃でスタッガー状態になったACに右手のグレネードと多連装ミサイルで追い打ちをかける。

 

全弾命中したが、爆煙により敵ACを見失ってしまった。

(ACならばターゲットアシストでこう簡単に見失わないのだが)。

少し距離を取り再度グレネードを構える。

 

煙が風に吹かれ姿を現したACは装甲が傷つきAPも回復していない。

リペアキットも無いように見える。

 

(この状況なら奴が何をするより速くグレネードを撃ち、仕留めることができるだろうな…)

 

オープン回線を開く

 

「お前…イグアスじゃないだろ。誰だよ」

 

しばらくの沈黙、互いに少しも動かずほんの少しの時間が過ぎた。

 

「そうかよ」

言い放つとともにグレネードを撃つ。

 

それと同時に奴の背面部、ジェネレーターが青白い光を放った。

AA(アサルトアーマー)だとッ!!」

 

LCに一気に衝撃が溜まり、スタッガーした。

しかし、確かに俺の放ったグレネードはヘッドブリンガーを破壊した。

 

LCは片膝をついて隙だらけだったが、奴の機体はもう動けないほど大破していた。

 

(ヘッドブリンガーにAAは搭載されていなかったが、武装を変えていたのか?ならなぜこの機体で襲撃を…)

 

ヘッドブリンガーの残骸を調べようとレバーを引くが、しかし動かない。

姿勢制御は回復したが駆動系に異常が出てしまった。

 

コックピットのドアを蹴破りそのまま外に飛び出す。

弾痕の残っている道路にあるヘッドブリンガーのコックピットまで駆け寄り、近くに落ちていた何かの部品で装甲を殴り抜き隙間からこじ開ける。

 

しかし中には何も無く、もぬけの殻だった。

中に入り、調べているとまだ椅子は温かく、確かに人が乗っていたことが分かった。

 

掛けられていた一枚の写真と煙草の箱が目についた。タンクトップの大男と金髪の青年、二人がタバコを吸って笑いあっている姿が写っていた。

写真と煙草を懐に入れ、コックピットを出る。

 

「収穫は無しか、AAを逃亡のために使うとはな…ラスティもそんなことしてたっけな」

 

瓦礫の上に座り込み大きく息を吐く。

 

”……イツキ?”

 

振り向けば、汗だくの先生が息を切らしながら俺の名を呼んでいた。




先生のが救急車呼んだと言っていましたが実際はシッテムの箱からアロナちゃんが先生の意図を組んで119番しました。
キヴォトスにアビドスまで来る救急車があるのかはよくわからないですが…まぁ、あるんでしょう。

この作品に1番期待している要素は?

  • ac6らしい戦闘や残酷な描写
  • キャラクターの掛け合いや日常の描写
  • 621の内面描写
  • シリアスなストーリー
  • アクション、バトル中心のストーリー
  • ここにはない
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