ARMORED CORE6:Re.life in Kivotos   作:トリミングチキン

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薄氷の天才

エイミの案内に従い、入り組んだ通路を進んでいく。

しばらく経つと光が漏れている一室にたどり着いた。

 

彼女が扉を開ける。

 

その部屋はモニターやコンピューター、その他電子機器が多く置かれていた。

秘密基地といった様子だ。

 

「部長にお客さんだよ」

 

エイミの掛け声に返事をするようにどこかから何かの駆動音が耳に入り込んできた。

奥から人影が向かってくる。

 

「物珍しいものを背負っていますね」

 

その人影は新雪の様に白い長髪をなびかせ、車いすに乗っている少女だった。

 

「そろそろ来る頃だとは思っていましたが、エイミと一緒なのは想定外でした」

 

「はじめまして。あなたがレイヴンでよろしいでしょうか」

 

不自由な脚、白い髪、特徴からすると俺が探していた人物と相違ないだろう。

しかし、所属はヴェリタスだったはずだ。それにミレニアムにそんな名前の部活はなかった。

 

「全知の明星ヒマリ。知己を得て光栄だ」

 

「えぇそうでしょう。何といっても私はキヴォトスのあらゆる情報を観測できる天才美少女ハッカーですから」

 

エイミの瞼が半分程落ち、冷ややかな視線を向けている。

 

「あーあ、また部長が調子乗っちゃった」

 

「何を言いますか。調子に乗っているのではなく、事実を述べているにすぎません」

 

ヒマリは改めてこちらを向く。

 

「私もあなたの噂は聞いていますよ。一ヶ月もかからず裏社会でその名を轟かし、戦闘力は一人で各学園の治安維持組織の一個中隊に匹敵するとか」

 

ほんの少し口元をほころばせていった。

 

「それとも、烏羽イツキさんとお呼びした方がよいでしょうか?」

 

アビドスの身分まで割れている。

想定内ではあるが、彼女の実力は本物らしい。

 

「……そこまで知っているなら俺の要件もわかるだろ」

 

エイミが突然、会話に割り込んできた。

 

「ちょっと待って。あまり話についていけてないんだけど」

 

エイミは困り顔をしている。

てっきり把握していると思っていたのだが。

 

「ヒマリ部長、彼女には教えていないんだな。俺達を探らせていたというのに」

 

「そうですね。エイミには悪いことをしてしまいました。説明、お願いできますか?」

 

近くにあったの椅子を手繰り寄せ、座り込む。

今回のいきさつを思い出しながら語る。

 

「1週間ほど前の話だろうか。いつものように依頼をこなしていた時」

 

「砂漠には似つかわしくない飛行物が視界の端に映った。破壊して調べてみたら極めて超高性能なドローンだったのさ」

 

「ここまでの技術力を持つ組織はミレニアムくらいだろ。そう考え、ここまで調べに来たというわけ」

 

「つまり部長がストーカーしてたってこと?」

 

「…その言い方は語弊があると思いますが、まあいいでしょう」

 

軽く咳ばらいをし、話の方向を修正する。

 

「改めて目的を聞かせてもらおうか」

 

「いいでしょう。ただし他言無用でお願いできますか」

 

首を縦に振ると、ヒマリはつづけた。

 

「私たち特異現象捜査部はキヴォトスの特異現象を調べるための部活です。本来は普通の生徒を調べることなどないのですが…」

 

「あなたの使用していたロボット。あれはキヴォトスにはない技術でした」

 

おそらくLCのことだろう。チャティの線もあるがあれくらいのロボはキヴォトスでもよくいる。

 

「それに加え、身元を調べても一切の情報が出てこなかった。出身から年齢に至るまで」

 

「……もしかしたら、私たちの追っている()()()()と関連があると思い個人的に調べていました」

 

その話だとこちらと敵対する理由はなく、俺達を調べる必要性も薄い。

止めろと言えば済む話だが、ここまでやってただで帰るわけにはいかない。

 

「…そうか。ならば、俺達からの要求は二つ」

 

席を立ち、胸元のコキュレットに手をかける。

 

「まず一つ、もう俺達を探らないこと」

 

「二つ目は俺達にもそっちの情報を共有してもらう」

 

「…一つ目は構いませんが、二つ目はこちらも許容できません」

 

「一応、理由は聞こう」

 

「私たちの情報はミレニアムにとっても重要なもの。それを好き勝手使われるのは受け入れられません」

 

ヒマリの頭部に狙いを定める。

 

「ここまで手間をかけたんだ、収穫ゼロでは納得できない」

 

「私を撃てば満足なのですか」

 

「そもそも、お前が俺をこれ以上調べない保証がない。体に穴開けるくらいはしておくべきだと思わないか」

 

側頭部に固い何かが押し当てられるよな痛み。

エイミが俺の頭に狙いを定めている。

 

「勝てると思うなら、引き金を引くといい」

 

ヒマリは一切の動揺も見せず淡々としている。

 

「……エイミ、撃ってはいけません」

 

不服そうな表情をしながら銃を下ろした。

 

「随分素直だな。条件を飲む気になったのか?」

 

「いいえ。ですが、あなたと事を構えるつもりはありませんから」

 

暴力で揺らぐような人間ではないようだ。

 

「エイミは実力者だ、それに援軍ならいくらでも呼べる。勝算はあるはずだ。なぜ銃を握らない」

 

「……確かにこの場は勝てるでしょう。ですが、学園全体の被害やあなたに恨まれるデメリットが大きすぎます」

 

「俺が躊躇なくお前を撃ち抜いてたらどうするつもりだった」

 

「好ましくはありませんが、私の怪我だけで済むなら構いません」

 

自らに危機が迫っているというのに、同胞たちの安全を優先するか。

 

(…ラスティもそんな感じだったかな)

 

コキュレットを再びしまい込み、椅子に座る。

 

「条件は譲れないが、一つ提案しよう。それを飲むなら荒事は起こさない」

 

「聞きましょう」

 

「お前たちに人手が必要場合、依頼という形なら本来の依頼料の半分で受けよう」

 

「ただし、依頼に関する情報と俺の質問にはすべて答えてもらう」

 

さっきまで不機嫌だったエイミも普段の表情に戻っている。

 

「だって、部長どうするの。私はいいと思うけど」

 

これなら互いに利がある関係だ。ヒマリも無理に詮索しなくなる、俺もあいつらの情報を下手に利用できない。

ほんの少しの沈黙の後、ヒマリが答えた。

 

「いいでしょう。こちらとしても協力者が欲しいと思っていたころでしたから」

 

「決まりだな」

 

ヒマリは軽くうなずき、エイミも特に異論はなさそうだ。

 

席を立ち、スマホで時間を確認する。

今から帰るには少し遅すぎる。ここらで一夜を明かしてから帰るべきだな。

 

(だが、ミレニアムに知り合いは……あいつらならまだ部室にいるだろうか)

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コンコンコン

 

ミレニアムのとある一室、そこの白い扉をノックする。

近くには『Game Development Department(ゲーム開発部)』と書かれた室内版が貼られている。

 

ノックから数秒経つと扉が開き、ピンクに光るヘッドフォンをつけた少女が出迎えた。

 

「イツキじゃん!こんな時間にどうしたの」

 

正直関係が深くない相手に頼む内容ではない。

こんなことなら近場のホテルでも取っておけばよかった。

 

「……申し訳ないんだが、一晩泊めてくれないか」

 

「うーん、私だけの一存じゃ決められないけど…ちょっと待ってて!」

 

モモイが勢いよく扉を閉め、部屋に戻っていった。

30秒ほど待つとまた出てきた。

 

「いいって!中入っちゃって」

 

「邪魔する」

 

中に入ると部屋の中は明るく、ゲーム機がいくつも起動している。

ミドリがいると思っていたが、中には誰もいない。

 

スタンニードルランチャーを壁に立てかけ、ソファに座り込む。

 

(モモイは誰に確認を取っていたんだろうか)

 

「せっかくだからミドリも呼んでくるね!好きなゲーム機使ってていいから」

 

モモイはそう言い残し、風のように去っていった。

 

「……」

 

前回来た時もそうだったが、手術により強化された五感がずっと違和感を訴えている。

ひたすら息を沈めた誰かがいるような、違和感。

 

部室を見渡すと、一つだけ人が入れそうなサイズのロッカーがある。

そこにはYUZUと書かれた看板が掛けられている。

 

勝手に部屋をあさるような真似は好ましくはないが、赤の他人がいる方が困る。

コキュレットを一丁握り、音を殺しながらロッカーまで距離を詰める。

 

かすかな呼吸音が聞こえる。

 

扉を勢いよく開き、銃を突きつける。

 

中にいたのは、赤髪の小柄な少女だった。

目には涙をため、顔も青ざめている。

 

「すすすす、すみません……」

 

銃を抱きながら身体を振るわせている。

生まれたての小鹿のようだ。

 

「…なんか、ごめんな」

 

扉をゆっくり閉じ、コキュレットもしまい込む。

 

(……銃の整備でもするか)

 

結局出番のなかったスタンニードルランチャーを弄りながら時間を潰す。

 

しばらく経つと、騒がしい足音が響いてきた。

 

「ただいまー!」

 

「お姉ちゃん、もうちょっと落ち着いてよ!」

 

モモイが部室に突撃してきた。

後ろからはミドリがそっと付いてきている。

 

「邪魔してるぞ、ミドリ」

 

「ようこそ、イツキさん。用件はお姉ちゃんから聞いてます」

 

モモイは早速ゲームを起動し、俺にコントローラーを投げ渡した。

 

「ところでユズちゃんに許可は取ったの?」

 

「もちろん!私だってそのあたりはちゃんとしてるよ!」

 

知らない名前が出てきた、他にも部員がいるようだ。

ということはさっきの少女のことだろう。

 

「ユズとは、そこのロッカーの子か?」

 

「…よくわかりましたね!初見でユズちゃんに気づいた人は初めてです」

 

「出られない理由があるんだろ、さっき無理やりロッカーを開けてしまってな。謝っていたと伝えてくれ」

 

「そういうことなら、勿論です」

 

目の前の画面が光り、手元のコントローラーも反応している。

 

「どんなゲームがやりたいとかある?」

 

「…強いて言えば、ロボットが出てくるゲームがしたい」

 

「それならーこれかな!」

 

モモイが取り出したディスクには『アーマー・ハート』と書かれていた。

 

「レトロなロボゲーと言えばこれでしょ!」

 

「もっと初心者向けのにしたら?」

 

「いいや、アクションに関してはこれがベストだって!イツキもこれでいいでしょ!」

 

「モモイの一押しなんだろ、それで行こう」

 

コントローラーを握る。

握り心地は悪くない。ACをこれで動かそうとする奴らもいそうなくらいだ。

 

「始めるか」

 

スタートボタンを押した。




肩武装は出すつもりは無かったのですが、ついワーム砲を出してしまいました。いいですよね、ワーム砲…

感想、評価お待ちしてます。

この作品に1番期待している要素は?

  • ac6らしい戦闘や残酷な描写
  • キャラクターの掛け合いや日常の描写
  • 621の内面描写
  • シリアスなストーリー
  • アクション、バトル中心のストーリー
  • ここにはない
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