ARMORED CORE6:Re.life in Kivotos   作:トリミングチキン

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地獄の番人

全身に風圧を浴びながら、エンジニア部に改造されたバイクで高速道路を駆け抜ける。

かつて栄華を誇ったアビドスは未だに異様に発達した交通網だけは残っている。しかし、現在もこれらを積極的に使う者は稀だ。

 

現に電車顔負けの速度で走っていても他の車両は一台も目に映らない。

 

(この速度と重量でこの安定感は凄いな。さすがの実力だ。チャティも、エンジニア部も)

 

(……帰ったら柴崎で昼飯にするか)

 

突如、スマホが鳴りだす。

取り出し画面を確認すると、アヤネから着信のようだ。

 

「もしもし、何か用か?今バイクに乗ってるからハンドルを離したくないんだが……」

 

『今バイクに乗っているんですね!すぐに送った座標まで向かってください!』

 

彼女の声からは隠しきれない焦りが滲んでいる。

 

送られてきた座標は柴崎ラーメンを示していた。

彼女の焦り様も座標も異質だ。

 

嫌な予感が頭をよぎる。

 

「……何があった?」

 

『少し前に便利屋によって柴崎ラーメンが爆発されました!現在、便利屋を捕まえに向かった私達とゲヘナの風紀委員が交戦しています!』

 

「…空崎ヒナはいるのか」

 

『いえ、ですが敵兵数が膨大で押されています』

 

ゲヘナの風紀委員は練度も兵数も大したものだ。だが、それでもヒナ以外に強い連中がいない。

勝てるまではいかなくともアビドスが負けるとは考えにくい。

 

「先生とホシノ先輩がいても押されているのか?」

 

『…その、ホシノ先輩とは連絡がつかなくて』

 

「なるほど、できる限り急ごう。そっちの状況は知りたい。電話には出なくていいから、通話は繋げておいてくれ」

 

『わかりました!』

 

バイクをさらに加速させる。

 

(さて、どうしたものか)

 

風紀委員は辞めたが学生証はまだ生きている。

風紀委員会には面が割れている、今着ているアビドスの制服で出ていけば二重学籍の件がバレるだろう。

できればゲヘナの学籍は残しておきたい。

 

かといってレイヴンの仮面をつけて行けば対策委員は正体に気づくだろう。

 

(仕方がない。おそらくこれが一番丸く収まる方法だ)

 

「少し、寄り道してから行くとするか」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

アビドス校舎近くの大きなスクランブル交差点。

 

アビドスの面々と便利屋。

彼女らとゲヘナ風紀委員会が睨み合っている。

 

(聞こえてくる状況からして、対策委員と便利屋は共闘している。風紀委員会の兵数は少なくとも三個中隊以上)

 

(ヒナの指示にしては強引あまりに過ぎる。だが、これだけの兵数が動いているということは、行政官の独断か…)

 

バイクの速度を速めながら、アヤネとの通話を開く。

 

「みんなに伝えてくれ。俺の恰好を見ても驚かないこと、あとできれば口裏を合わせてくれ。」

 

『えっ!?イツキちゃん!いったい何を…』

 

「説明をしている時間はない!今すぐ頼む」

 

視界の先には対策委員を包囲している風紀委員の部隊がいる。

すぐに通話を切り、姿勢を低く保つ。

 

「そこのバイク!この先は我々ゲヘナ風紀委員会が封鎖している速度を落として停止しろ!!」

 

風紀委員の一人が大声で叫んでいる。

バイクはさらに速度を増していく。

 

風紀委員が急いで銃を構える。

だが、既に止められる速度はとうに超えている。

 

黒い車体が先頭にいた風紀委員にぶつかり、その体は軽々と吹き飛ばされる。

勢いは一切衰えずに後続を巻き込んで突き抜けていく。

 

激しい衝突音が背後へ流れていく。

すぐに銃撃が飛んでくる。

 

一枚目は突破した。

 

だが、二列目の包囲網が目前に迫っている。

飛んでくる弾丸を装甲が弾き、火花を散らす。

車体は揺るがない。

 

先程の光景を目の当たりにした二列目の風紀委員たちは恐れをなし、自然と道を開けた。

 

速度を落とす。

 

うっすらとだが、見覚えのある顔ぶれが見えてきた。

 

対策委員会と先生、さらに便利屋、イオリ、チナツ、行政官。

 

急ブレーキをかけ、彼女たちの中央へ滑り込むようにバイクを止める。

 

振り返ると対策委員たちは呆然としている。

ホシノは居ない。シロコをはじめとしてみんなボロボロだ。

 

「イツキ、その制服は……」

 

シッ

人差し指を唇に当て、シロコの声を遮る。

 

言いたいことは分かるが、ここでは我慢してもらう必要がある。

今の俺はゲヘナ生としてここに立っている。

 

視線を戻す。

風紀委員たちは息を呑んでいる。

 

「……久しぶりだな、イオリ。あとチナツも一緒か」

 

二人は幽霊でも見たような顔をして、一言も発さない。

挨拶も返してくれないのは少し寂しく感じる。

如何なる理由があっても仲間を傷つけ、消息を絶った相手のことをよくは思っていないのだろう。

 

サイドケースからスタンニードルランチャーを取り出す。

 

目の前にはホログラムだが、確かに行政官の姿もある。

 

『あら、誰かと思えばシオンさんではありませんか』

 

「天雨行政官殿。元気そうで何よりだ」

 

『……この場所に飛び込んできたということは私たちに協力していただけるということでしょうか?』

 

張り付けたような笑顔で問いかけてくる。

俺が風紀委員を弾き飛ばしてきたという情報も入っているだろうに。

 

「わかりきった質問をするな」

 

カヨコへ視線を向ける。

彼女は意図を察して、話してくれた。

 

「……目的はシャーレの先生らしいよ。私達はおまけ」

 

「だろうな。便利屋の相手にしては戦力が過剰だ」

 

カヨコをはじめとして便利屋はもうボロボロだ。アビドスと風紀委員の連戦なら妥当だろう。

 

ヒナがいない風紀委員会ならどうとでもなるが、他の皆が持たない。

安全に終わらせるしかないか。

 

「ここはお前たちの自治区ではない。許可も取らずに治安維持部隊を送り込むとは、横暴にもほどがある。大人しく帰れ」

 

『ですが、先に風紀委員の業務を妨害してきたのはアビドスですよ』

 

「その前に迫撃砲を放ったのはお前達だ。正当性を主張できる立場ではないと思うが?」

 

アコの笑みは崩れないが、徐々に眉間にしわが寄っていく。

 

『……随分と口達者になりましたね。拾われた恩も返さずに逃げ出した割に』

 

嫌な言い方をしてくれる。事実だから反論の使用もないな。

 

こいつは以前から俺のことをよく思ってなさそうだった。

ゲヘナと敵対するならなおさら許せないんだろう。

 

「それで、帰るのか、残るのか?」

 

『はいそうですか、と大人しく引き下がれるほど私達が温和な組織だとお思いですか』

 

首を軽くひねり、スタンニードルランチャーを構える。

 

「……俺の力は知っているだろ。ヒナのいない風紀委員会(お前達)では相手にならない」

 

風紀委員たちに緊張が走り、ざわめいている。

俺の活躍はこいつらの全員が知るところだ。ましてや仲間の風紀委員をボコボコにした異常者でもある。

 

「それに、行政官。あなたは勘違いしている」

 

『…何のことでしょうか』

 

ポケットからスマホを取り出し、モモトークからある連絡先を開いて彼女に見せる。

 

「今回の件は行政官の独断なんだろ。ヒナ委員長に連絡されたら困るんじゃないのか?」

 

『くっ……!』

 

笑みが剥がれ、目を剥いて睨みつけてくる。

 

「最初から主導権を持ってるのは俺なんだよ」

 

被っていた猫が剥がれ、声を荒げる。

 

『仮にもあなたもゲヘナ生でしょう!なぜそこまでアビドスに肩入れするんですか!!』

 

「大義もなくこんな小さい学園を虐めているゲヘナに味方してやる義理はない」

 

『私たちはあなたを退学処分にしてもいいですよ!!』

 

「退学させるにしても理由をつけられないだろ。この程度の規則違反で退学にしていたらゲヘナ生は半分も残らない。それに、万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)に気付かれれては面倒になると思うが?」

 

行政官は苦虫をかみつぶしたような顔で歯を食いしばっている。

反論したくてもできないんだろう。

 

悔しそうな顔をした行政官を眺めていると、ふと弱弱しい声が聞こえてきた。

 

「お、おい」

 

その声の主はイオリだった。

 

「まだ…生きてたんだな」

 

彼女の声は恨みや嫌悪を抱いてるとは思えないものだった。

どちらかと言えば、罪悪感だろうか…

 

「なんでアビドスなんかにいるんだ?」

 

「こっちの方が性に合っていたからな」

 

「……ゲヘナは嫌だったのか?」

 

「居心地よかったさ。去るのが惜しくなるくらいには」

 

「そうか…」

 

大きく息を吐き、目つきが鋭くなる。

口元も軽く上がっている。

 

「こっちの業務を妨げるなら、お前でも容赦しない!」

 

イオリがライフルの狙いをこちらに定めた。

 

俺も銃口を彼女の額に向ける。

 

互いに引き金を引いた。

 

両者の弾丸は命中し額に突き刺さる。

 

スタンニードルランチャーの弾頭が突き刺さると共に電撃が放出される。

白目を剥き地面に倒れる。

 

スタンニードルランチャーは電子機器の制御すら乱すほどの電撃だ、キヴォトス人と言えども人体では耐えられないだろう。

 

倒れた彼女を担ぎ上げ、チナツに預ける。

 

「しばらくは意識が戻らないと思うが、数時間もすれば起き上がる」

 

「シオンさん………」

 

何か言いたげなチナツから視線を離し、アコの方へ向ける。

 

イオリは風紀委員内ではヒナに次ぐ実力者だ。

そいつがあっけなく倒されたからだろう。風紀委員たちも戦意が揺らいでいる。

 

「天雨行政官。いい加減撤退を命じたらどうだ」

 

一瞬ためらったが、アコは風紀委員全体に回線を繋いだ。

 

『……総員』

 

『目標に攻げk……「アコ」

 

アコの指令を遮るように声が入った。それも肉声だ。

聞き覚えのある声だった。

 

俺達の正面方向の風紀委員たちが徐々に掃けていく。

そこを歩いてくる一人の人物。

ゲヘナの風紀委員長。空崎ヒナの姿がそこにはあった。

 

「どういう状況か、説明してもらえる?」




スタンニードルランチャーっていちいち長いな……

この作品に1番期待している要素は?

  • ac6らしい戦闘や残酷な描写
  • キャラクターの掛け合いや日常の描写
  • 621の内面描写
  • シリアスなストーリー
  • アクション、バトル中心のストーリー
  • ここにはない
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