ARMORED CORE6:Re.life in Kivotos 作:トリミングチキン
『シオンさん!いつの間に連絡したんですか!?』
アコの騒がしい声が鼓膜に刺さる。
彼女の詰めの甘さには、少々呆れてしまう
「……何もしていないさ。お前の独断で大軍を動かしたんだ。勘づかれるに決まっているだろ」
視線の先には、癖のついた白い髪を揺らし、背丈ほどもある機関銃を携えた少女が歩いてくる。
ゲヘナ風紀委員会委員長、空崎ヒナである。
「全員、銃を下ろして」
その一言で、風紀委員たちは一斉に銃口を下げた。
俺も手振りで対策委員にも銃口を下げるよう伝える。
「相変わらずだな。ヒナ委員長」
「あなたもね」
右後ろに目を向ける。
シロコが一歩前に出ている。
アサルトライフルを強く握る手は震え、額には汗が滲んでいる。
恐怖か、疲労か、もしくは武者震いというものかもしれない。
「…シロコ」
上がりかけたライフルの銃身を片手で押さえる。
「大丈夫だ。問題ない」
シロコは大きく息を吐き出し、静かに後ろへ下がる。
ヒナの方へ視線を戻すと、彼女は僅かに目を見開いていた。
「……あなたは少し変わったかしら」
「どうだろうな」
積もる話もあるが、今はそれどころではない。
「…ご多忙な風紀委員長殿がわざわざ来たんだ。雑談が目的ではないんだろ」
「それもそうね」
ヒナがアコの方へ向き直る。
「アコ、なぜこんなところにいるの?」
『それは!規則違反者たちをを捕まえに……』
ヒナがゆっくりと周囲を見渡す。
「便利屋68のこと?どこにもいないけれど」
つい先程まで後方にいた便利屋たちの姿は、跡形もなく消え去っていた。
(…カヨコの指示だろうか、やはり仕事ができる。これで風紀委員会の正当性は消え去った)
「わかったなら急いで帰……」
ドオォォン!!
瞬間、空中から飛来した何かが着弾し、すさまじい爆風が周囲を薙ぎ払った。
ガードレールがひしゃげ、風紀委員たちが吹き飛ばされていた。
(……ミサイルか?!)
反射的に見上げる。上空には浮遊する鉄の塊がいた。
逆光で正確な姿は分からないが、二対の脚をはやした脚部、極めて重厚なコア、最小限度の性能だけを収めた板のようなヘッドパーツ。
確かな見覚えがあった。
ブースターの炎が消え、その鉄塊が地面に落下する。
着地に衝撃でアスファルトは砕け散り、土煙が舞う。
機体が日の元にさらされた。
(レッドガンのマークに龍と鯉。
「全員!!バラバラに撤退しろ、死ぬぞ!!!」
声を張り上げると同時に、バイクに飛び乗る。
奴の左腕に多事さえられたベイラム製マシンガン、
急いでハンドルを握り込み、発進させながら言い放つ。
「先生!対策委員を連れて校舎まで戻れ!皆は任せた!」
”任された!そっちも気を付けてね”
バイクはさらに加速し、フルスロットルで走り抜く。
先生の声は、一瞬にして聞こえなくなってしまったが、あの大人なら何とかしてくれるだろう。
「…うっ!」
突然、車体に衝撃が加わる。
崩れた体制を直しながら振り返る。
真っ先に俺の瞳に映ったのは、真っ白の髪と禍々しい黒角。
そこにはヒナの姿があった。
バイクへ掴まり、後方を向いて座っている。
目を擦ってみるが、消える様子は一切無い。
風紀委員のごたごたで周囲の車が粗方いなくなっている、直線の道路を駆け抜け、バイクの速度はさらに増していく。
「……ヒナ、手伝ってもらえるんだな」
「当然」
後ろからはG3の愛機、
ある程度の距離はあるが、四脚お得意のホバリングでこの怪物バイクにも食らいついてくる。
(
蛇行しながら弾幕を躱す。これでは速度が上がり切らない。
距離は一切離れない、むしろ徐々に縮まっている。
その上、ルドローでばらまかれた弾丸は車体を削っている。
「奴の右肩と左手のミサイルは追尾してくるが避けやすいから問題ない。このまま逃げ切る」
「この体格差なら、多少速度を落として小道に入れば撒けるんじゃない?」
「いや、ビル程度では時間稼ぎにもならない。それに被害も大き過ぎる」
背中のスタンニードルランチャーをヒナに渡す。
「こいつを使え」
「これは?」
「俺の友人のお手製の銃だ。こいつなら機体制御を乱せる。右手を撃ち続けろ。左肩のパルスシールドにも弾かれないはずだ」
(理屈は分からないがやれるはずだ、スネイルが技研都市で俺にしたように…)
ヒナは自分の機関銃を俺に預け、スタンニードルランチャーを構える。
俺も前後を確認しながらミサイルの弾道を乱しながら、かつヒナが撃ちやすいようにハンドルを切る。
放電音と鈍い発射音が聞こえた。
次の瞬間ルドローの弾幕が止む、これなら被弾なしで行けるはずだ。
ハンドルを握り締め、加速させる。
ヒナは俺に背中を預けられながら撃ち続けている。
「……このまま撃ち続けてもジリ貧だと思うのだけど」
「いや、問題ない。そろそろだ…」
バックミラーに目を向け、鯉龍のブースターを観察する。
ブースターの炎の出が目に見えて弱くなった。
瞬間、被弾覚悟で速度を上げる。
タイヤを滑らせながら90度にドリフト。
住宅地の中へ飛び込む。
少し速度を落とし、ヒナに彼女の機関銃を返す。
「被害を出したくないから直線の道路を走ってたんじゃなかったの?」
「…俺を追跡できないならあれも無駄な被害を出す気はないはずだ、それなら自由に逃げれる」
目的地をアビドスに設定し、ルートに沿って安全運転で走らせる。
(ヘッドブリンガーは俺が来るまで停止いていた。被害を出したくなかったのだろう。そして鯉龍も追ってこなかった)
(恐らく同じ理由だ。となると、同一人物とみるのが妥当か……)
しばらく走り続け、アビドスの校門が目に入った。
そのまま校舎内にバイクを乗り入れ、下駄箱の陰ににバイクを停める。
バイクから降り、スタンニードルランチャーをバイクのサイドケースに仕舞う。
ヒナは少し眉をひそめていた。
「……下駄箱よりほかに停めやすい場所があったと思うのだけれど」
「バイクが見つかったら俺がここに居ることがばれてしまうからな。ヒナがここから帰っても同様だ。暫くはここに居てくれ」
「それは構わないけど、ここで悠長にしててもいいの?」
「…大丈夫だ。彼がいるからな」
廊下からやや重い足音が近づいてきた。
そちらに視線をやる。
”おかえり二人とも。怪我はない?”
「あぁ、擦り傷程度だ。そっちは?」
”大丈夫。みんな待ってるから早くいってあげて”
「了解した」
先生へ頷き、ヒナの方を向く。
「ヒナ、先生と上の階で待っててくれないか?」
「わかった。また後でね」
ヒナと先生が階段を上っていくのを見届け、いつものように対策委員の教室の前まで行く。
一息つき、扉を思い切り引く。
「イツキちゃん!訳アリって、その制服のことだったんですか!?」
「私の趣味じゃないけど、いいバイクだった。どこで作ってもらったの?」
「風紀委員とどういう関係なの!?あのゲヘナの風紀委員長と顔見知りみたいだったけど…」
「…あのロボットは一体何なんですか。以前の青い機体とも関係があるんですか?」
矢継ぎ早に質問が飛んでくる。
「みんな一旦ストーップ」
ホシノがいつものように少しふざけた様子で止めに入る。
「そんなに質問攻めしちゃ答えられないでしょ、お互い落ち着いて話そうよ」
ホシノの制止で教室は落ち着きを取り戻した。
「ホシノ先輩、戻ってたんだな」
「…うん。ついさっきだけどね。みんな大変だったのに駆け付けられなくてごめんね。でも、それはそれ、これはこれだよ」
俺が席に着くと、ホシノが改めて問いかけた。
「今回のことも、これまでのことも聞かせてもらえる?」
「勿論だ」
一度息を整える。
「だが、この話は内密にしてくれ。それでいいなら話そう」
静寂の中、俺に視線が集中する。
俺は、再び一息ついてから話し始めた。
「……ひとつ昔話をしよう」
「これは、ある独立傭兵の話だ」
G3五花海のACである鯉龍のエンブレムは龍と滝を上る鯉。
かの有名な登竜門に由来するもので、激流を上り切ることができた鯉は点に昇る竜に至れるという、立身出世を意味する言い伝えがあるそうです。
出世といえばペイター君が思いつきますが、詐欺師として成功を目指したあまり、ベイラムの経済圏を蝕む病理となり。チャプター4でも古巣のレッドガンを裏切り、手柄を挙げてヴェスパー上位に昇ろうとしていた。
そんな上を目指し続ける彼の生きざまがこのエンブレムには表れている気がします。
この作品に1番期待している要素は?
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ac6らしい戦闘や残酷な描写
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キャラクターの掛け合いや日常の描写
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621の内面描写
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シリアスなストーリー
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アクション、バトル中心のストーリー
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ここにはない