ARMORED CORE6:Re.life in Kivotos   作:トリミングチキン

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621は強化人間なので筋力、五感、耐久、反射神経、柔軟、諸々がパンピーより向上しています。


信頼と裏切り

新たな1日が始まる。

 

ベッドを下りて立ち上がると、今までの痛みはもう感じない

 

初日の傷ももう完治したようだ。

異様な再生力は、強化された身体とヘイローの相乗効果だろう。

 

制服に着替えハリスとZIMMERMAN(ジマーマン)を持って訓練場に向かう

 

訓練場に訪れると一見誰もいないように見えた。

 

タンッタンッ

 

銃声がする。音の鳴る方向へ向かう。

見覚えがあるツインテールの生徒が地面に伏せながら的を撃っている。

 

「げっ、お前か」

 

イオリだ。出会ってすぐボコボコにしてしまったからだろうか。

嫌われてしまったのか、道端で糞でも見たような顔をしている。

 

イオリの隣に伏して銃を構える。

 

「なあ。昨日、委員長と巡回してたんだろ」

 

「そうだが、何だ…」

 

よく考えれば嫌われたのはこの淡白で愛想の悪い話し方も原因かもしれない。

気が付いたころにはこの話し方だったが、誰の影響だろうか。

 

「…委員長の巡回に食らいついていける奴は今の風紀委員会にはいない」

 

「お前は生意気だけど、よくやってると、思う」

 

イオリは淡々と的を撃ち抜きながら話す。

 

「だから……これから、よろしく」

 

随分と素直だ。

 

イグアスみたいに突っかかってくると身構えていたのだが、さすがは治安維持部隊だ。そこらのチンピラと同列に扱うのは失礼というものだろう。

 

それにしても、やはり昨日の仕事は一般的ではなかったようだ。

道理で大変だったわけだ。 

 

「……烏羽シオンだ。こちらこそよろしく」

 

二人で射撃訓練を続けてるうちに徐々に足音も増えてきた。

俺を覗く視線も同様に増えてきた。周囲の様子から推測するに噂話をされているようだ。

 

「イオリ。俺は噂になったりしているのか?」

 

イオリは目を思い切り開き、ため息とともに言った。

 

「知らなかったのか。風紀委員はお前の話で持ち切りだ」

 

「私だって相当強いんだからな。ぽっと出の転入生が倒したら話題になるに決まってるだろ」

 

「温泉開発部100人を5分で倒したって言う噂もあるくらいだ、みんなお前に興味津々だぞ」

 

少し誇張されているが噂とはそういうものだ。

集団になじめないことは仕事に悪影響を及ぼすケースが多い。

 

(何とかするべきだろうな…)

 

立ち上がり視線が十分に集まるのを待ち、大きく息を吸う。

 

「言いたいことがあるなら、俺の所へ来い!文句なら受けてやる!!」

 

率直に、かつ端的に俺の気持ちを放つ。

 

しかし予想に反し周囲は何というか、引いてる。より距離を置かれたような気さえする。

 

イオリが俺の服を掴んで無理やり座らせる。

 

「お前。それで解決すると思ったのか!?」

 

失敗してしまったようだ。

よく考えなくてもさびれた辺境の惑星と平和なこのキヴォトスで同じような生き方がうまくいくはずがなかった。

 

「……すまない。昔から、人と接する機会が少なくてな」

 

イオリは俺がかつて見たことがないほどの呆れ顔をしている。

 

「……ハァ」

 

「そろそろ朝食にするか」

 

俺の手を引きながら、そそくさと食堂に向かった。

もうすぐ朝食の時間らしい。

 

食堂で列に並ぶとイオリは大きくため息をついた。

昨夜も晩飯ををごちそうしてくれた少女に配膳された食事をもってテーブルに着いた。

 

「はぁ~。なんで委員長がお前を気にかけてるか分かった気がするよ」

 

パンを千切りながら疲れた顔をしている。

 

「お前は危なっかしくて、ほっとけない」

 

「それが理由かは疑わしいと思うけどな」

 

正直ヒナが見ず知らずの俺にここまでやってくれるのはさすがにおかしいとは思うが、俺を優遇する理由もないからな。

 

「ところで、今日の予定は知ってるのか?」

 

「いや、聞いていない」

 

「お前にはとりあえず私に同行して一通りの仕事を覚えてもらう」

 

食事を済ませ、イオリと共に校庭まで移動し、他の風紀委員会と合流してゲヘナの校舎を出た。

 

風紀委員は自由にしてもいいが、一応巡回ルートが決まっているらしい。

俺はそういったものは知らされてないがまだできていないのだろうか?

 

イオリは普段から部隊を率いているらしい。

 

巡回中ハリスで周りに合わせながらチンピラを片していく。

しばらくするとイオリの無線に緊急の連絡が来た。

 

指名手配犯と別部隊が交戦しているらしい。援軍要請だそうだ。

 

近場らしく、部隊は駆け足になりながらそこまで向かった。

余裕のありそうなイオリに事の詳細を聞く。

 

「相手はどんな奴だ」

 

「便利屋68(シックスティーンエイト)。スナイパーの陸八魔アルをリーダーとした4人組の規則違反者たちだ。普段はゲヘナに居ないし狡猾な奴らなんだが、何故か巡回ルートに棒立ちだったらしい」

 

話してるうちに目標が見えてきた。

 

(普段はゲヘナの外で活動しているなら俺の顔は割れて居ないだろう)

 

(ノーマークのうちに速攻で掛けた方が良いかな)

 

「俺が前線に出る。あっちの部隊の援護に行ってやれ」

 

ジマーマンに持ち替え地面を強く蹴飛ばし、壁役と思われる紫髪の少女まで迫る。

 

「アル様の邪魔をしないでください‼」

 

彼女のショットガンが火花を吹く。こちらも少女の頭に銃撃をする。

両者共に被弾する。

 

「簡単には倒れてくれないな」

 

静かな銃声と共に、俺の額に弾丸が命中する。

 

「ハルカ。一旦下がって。そいつなんか変」

 

白黒の少女がハンドガンで後方から援護射撃してくる。

いいチームだ穴がない。弱点を補いあっている。ほかの風紀委員とも戦っているというのに、ここまで対応できるとはな…

 

「手短に済ませたいんだ。力押しで行かせてもらおう」

 

カードで爆発直前のジャミング弾を大量に生成する。

すぐさまここら一帯は煙で満たされる。

 

強化された視覚を持っている俺とは違い、これで援護はできないだろう。

ジマーマンを握り締め、紫髪の少女を殴りつける。

 

パシュ

 

先ほどの白黒の弾丸だ。目を凝らしながらこちらに狙いを定めている。

だいぶ荒事に慣れている。彼女から倒すことにしようか。

 

身を翻し、弾丸を避けながら近づく。

経験があるからこそ狙いもわかる、引き金を引くタイミングも見えている。

 

白黒の手の甲をショットガンで撃つと、一瞬怯んだ。

その隙にハンドガンを蹴り上げる。

 

ハンドガンが宙を舞った瞬間、ジマーマンを額に押し付ける。

 

そのまま引き金を引く。彼女は地面に倒れた。

 

紫のほうは他二人と合流したようす。

だが一人欠ければ削り切れるはずだ。

 

奴らの方へ駆け出す。

 

「ムツキ!あれ誰なの!?ヒナ以外にあんな強いやつがいたなんて…」

 

「噂になってる転入生じゃな~い」

 

「アル様、煙が晴れてきました!」

 

スナイパーを物陰に置き紫ともう一人が前線に出ているようだ。

中衛がいない。

 

霧が晴れ切らないうちに、忍び足でスナイパーの背後まで忍び寄る。

 

後ろから裏拳で脳天を殴りつける。

スナイパーはすぐさま反応してこちらに銃口を合わせに来たが、この間合いでは当たらない。

 

首根っこをつかみ地面にたたきつける。

意識を失ったようだ。

 

「そこの二人!お前たちのリーダーはもう戦えない。すぐに戦闘を止め、両手を上げろ」

 

アルの首根っこをつかみながら怒鳴りつける。

残った便利屋二人は一瞬こちらを睨みつけ、紫が向かってきたところをイオリが撃ち抜いて倒した。

 

「イオリ。拘束しろ」

 

「命令するな!言われなくてもわかってる」

 

イオリは悪態をつきながら連絡を済ませ、彼女らを拘束する。

リーダーのスナイパーを起こす。

 

「おい。起きろ」

 

「え?」

 

アルの頬を軽くたたく。どうやら混乱しているようだ。

 

「そう。負けたのね」

 

「お前に聞きたいことがある」

 

「なぜこんなところにいる」

 

イオリの話では普段はゲヘナにはいないはずだ。なぜわざわざ風紀委員のいるゲヘナで戦闘していたのか。

その疑問点について、問いかける。

 

「そうなの!実は嵌められたの!!」

 

声を荒げながら、アルは必死に訴えてくる。

 

「依頼を受けて。そのミーティングでここに来たら風紀委員と鉢合って」

 

「別に騒ぎを起こしに来たわけでもないのに…」

 

彼女の様子からして演技の線は薄いだろう。十中八九こいつらを隠れ蓑にして悪事を働いている奴がいる。

 

そいつらを締めに行きたいところだが、イオリが信じるかは別だ。

まだ会ったばかりだが柔軟な対応ができるタイプではなさそうに見える。犯罪者のいうことを信用することはないだろう。

 

アルに耳打ちする。

 

「そいつを捕らえたい。手伝うなら見逃してやる。乗るか?」

 

アルが小さくうなずく。

 

先程まで目的地を確認していたイオリがこちらに振り返り、声を張って呼びかける。

 

「おいシオン!何ぼーっとしてるんだ。ここはお前以外を置いていくから、もう行くぞ!」

 

これはだいぶリスキーな手段だ。これが便利屋の凝った演技だった場合、犯罪者を見逃すだけで終わってしまう。

 

だが、俺の嗅覚は怪しいと言っている。

 

イオリの方を振り向き、少し離れた位置から話す。

 

「イオリ、便利屋がこんなところにいるのは少し変じゃないか?」

 

「まぁ、そうだな。それがどうした」

 

ジマーマンに弾を込めながら話し続ける。

 

「裏から糸弾いてるやつらがいるとは思えないか?」

 

「言われてみれば確かに」

 

イオリは頷いている。存外、何とかなるかもしれん。

 

「こいつらを見逃がす代わりに、捜査手伝ってもらうのはどうだ?」

 

「は?ダメに決まってるだろ」

 

突然、声も低くなり目つきが鋭くなった。

何とかならなかったか。

 

「……悪いが。俺も、俺なりに仕事を全うしなければならない」

 

便利屋の手錠を連続で打ち抜く。

 

「みんな行くわよ」

 

アルの声で3人は一気に駆け出した。

 

立ち止まる俺の姿を見たアルは一瞬足を止める。

 

「あなたはどうするの!?」

 

「お前らは先に行けあと追いつく」

 

便利屋に狙いを定めたイオリのライフルを撃ち飛ばす。

 

「……どういうつもりだ」

 

イオリは怒りをあらわにしている。

 

あまり遅いと便利屋に追いつけなくなってしまう。

早めに蹴りをつけるしかない。

 

懐に爆発寸前のジャミング弾を大量に生成。

周囲が一気に煙に包まれる。

 

視界を遮れたところで、大豊製の爆弾投射機である、TAI-YANG-SHOU(太陽守)を生成する。

 

「すまないが。ここで倒れてもらおう」

 

彼女らがいたところまで距離を詰め、太陽守で周囲に爆弾をばら撒いた。それと同時に、ジマーマンで人影に連射する。

 

ガンッ

 

後頭部に鈍い痛みが走る。

すぐさまジマーマンを後方に撃ち尽くす。

 

振り返った先にはイオリがいる。

体勢が整いかけていたところにジマーマンを投げつける。

 

さらに三歩踏み込み、拳で顔面を殴り抜く。

倒れたイオリを確認したのち、銃声に寄ってきた風紀委員たちを太陽守でまとめて爆撃する。

 

初見の兵器相手で対応が遅れていたのもあり、スモークが晴れた時、そこに立っている者はいなかった。

 

ジマーマンを拾いあげ、地面に転がっている風紀委員たちをしり目に、便利屋たちの後を追った。

 

組織はやはり性に合わない。

気ままな便利屋が羨ましく思ってしまう。

 

規則を破り、味方を打ち倒した。

もう後戻りはできない、俺の直感を信じて最善を尽くすのみだ。

 

「さて、存在するかもわからない黒幕を懲らしめに行くとしようか」

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