ARMORED CORE6:Re.life in Kivotos 作:トリミングチキン
太陽守を近くに隠し、便利屋の後を追う。
彼女たちの跡を一直線に追っていると4人の後ろ姿が見えてきた。
「えっ!もう追いついたの!?」
「噂どーりだね、アルちゃん。くふふ、今回もお面白いことになってきたね」
「風紀委員たちは撒けたみたいだね。社長これからどうするの?」
「そうね。一旦、情報を整理しましょ。あなたもそれでいいわよね」
「それなら少し先に隠れられる場所があるからそこに行こうか」
撒いたわけでは無いのだが今はいだろう。
アル達について行き、そのまま使われていないであろうビルの中に逃げ込んだ。
中に入ると、アルが転がっている椅子に腰かけた。
「とりあえず。挨拶からしましょうか」
「私たちは便利屋68。金さえもらえれば何でもする非情なアウトローよ」
アルはキメ顔で足を組みながら言った。
「アルちゃんそれ自分で言っちゃうの~?」
白髪の少女がアルに茶々を入れる。
距離感の近さから、会社というより部活に近い体系なのだろう。
「うるさいわよムツキ!こほん、話を戻すわね」
「私が社長の陸八魔アル。それでこっちが室長のムツキ」
「そこに座ってるのが課長のカヨコでそこに、ってこらハルカ、なんでそんな端っこに座ってるの」
拳銃を持っていた白黒の少女。名はカヨコというらしい。
目を合わせると軽く会釈された。
紫髪の壁役の少女は部屋の端っこで膝を抱えて座りながらブツブツと何かつぶやいている。
人数の割には役職がしっかりしている。
組織で動いたことが少ないからわからないが、四人でも指揮系統を明確にするのは良いことなのだろう。
「俺は烏羽シオン、風紀委員をしている」
「それで。さっき噂がどうとか言っていたが…俺は噂になってるのか?」
少し驚いた表情でムツキが答えた。
「え~知らなかったの。とっても強い転校生が来たって噂になってたよ」
「ゲヘナの外でもか?」
「いいやそこまでじゃないけど。というかみんな学校の外のことはあんま興味ないし」
多少ここで暴れていても名がゲヘナの外に響くことはなさそうだ。
キヴォトスの学園は学園というより、国家に近いそんざいのらしい。
ずっと風紀委員に世話になるわけにはいかない、彼女らの様に独立傭兵をするのも有りかもしれない。
今はとにかくこれからのことを決めなければ。
「それで、お前たちを嵌めた相手は誰なんだ?」
「ええ。今回の件で私たちをはめたのは鉱黒鉄器っていう採掘と流通を担う会社よ」
カヨコは呆れながら補足する。
「鉱黒は黒いうわさが多くてね。私達も受けるかどうかは渋ってたんだけど……社長がやりたいっていうから」
「うぅ、悪かったわよ!」
「とりあえず本社にこのまま急襲をかけるわ」
意気揚々に出かけようとするアルを制止する。
「それはだめだ、俺はそいつらの裏でやってる事を暴きに来たんだ。このまま仕掛ければ、隠蔽されるかもしれない」
「少し待って」
そう言うとカヨコはノートパソコンを取り出し。俺に地図を見せてきた。
「これ見て、私たちが呼び出されたところがここ。そして鉱黒が所持してる鉱山がここ」
「そして、私調べだけど風紀委員の大まかな巡回ルートがこれ」
そのルートによると、便利屋が戦った部隊は鉱山の近くを巡回する要諦だったようだ。
「この鉱山を風紀委員の目からそらそうとしてる可能性が高いということか…」
「そう。そして今私たちの捜索のために鉱山付近の警備は手薄になってる。何かあるならもう行動を起こしているはず」
移動時間でここまで考えをまとめてくれるとは、カヨコ課長は随分と優秀なようだ。
何はともあれ、やることは決まった。
「決まりね。このままその鉱山まで突っ走るわよ」
アルがライフルを手にすると、社員たちも立ち上がった。
事務所を飛び出し、路地から路地へ風紀委員の目を避けながら最速で鉱山に向かった。
岩肌が露出した山、どでかいトンネルが一つだけある。
鉱山の入り口には過剰ともいえるほどの見張りがいた。
「鉱山の警備にしては武装も人数もやり過ぎだ。これは当たりだな」
「だがこのままでは中に入れない。どうするアル」
「ええそうね。ムツキ、ハルカ派手に暴れてきなさい」
「オッケー。いくよハルカちゃん!」
「はい。アル様行ってきます」
二人が入り口の正面に立ち、俺達も突入のために移動する。
しばらくするとあり得ない規模の爆発音が耳に飛び込んできた。
二人の元へ中から大量の警備兵が雪崩れ込んできた。
「今ならがら空きだ。行くぞ」
こっそり侵入し、見つかった際は適宜倒しながら奥の方まで行くとコンクリートから岩肌が出てきた。
さらに進んでいくと粉塵が舞ってきた。
そのスペースは大きく広がり、ヘルメットをかぶり、ツルハシを握っている労働者が岩壁を削っている。
金属掘り出されている鉱物は続々とどこかに運ばれていっている。
よく聞くと何やら叫んでいる奴がいる。
「おめぇら!!!ここが稼ぎ時だ掘って運んで売りまくれ‼」
どうやら当たりらしい。
「…あの鉱物を売ってるのかしら?」
「このまま行き先を探るぞ」
掘られている銀白色の鉱物の行き先を辿っていく。
鉱物の行方をたどると、鉱山の裏側に出たようだ。
そこからトラックに運びこまれている。
あのトラックの行き先が目当ての場所だろう。
騒ぎのせいだろうか、トラックにはまだ余裕があると言うのに発進しそうだ。
「アルとカヨコは二人を呼びに行け。俺は近くの乗り物をかっさらってくる」
アルたちが二人を呼びに向かい、この場には俺一人しかいない。
実際鍵もかかっていない乗り物なんて都合よくあるわけ無い。だが、俺にはこのカードがある。
ACでは駄目だもっと安いそしてキヴォトスでも目立たない乗り物。
そういえばルビコンで解放戦線あたりが使用していたハーフトラックがあったな。
AC相手ではぶつかっただけで爆発していたが、ここはキヴォトスだ。さすがに大丈夫だろう。
記憶のそれは対空砲を装備していたが、無い方が好ましい。
目をつぶり、カードを握りながらそっと思い浮かべる。
目の前には確かに記憶にあったそれが造られていた。
高さはそれほどでもない。戦車が道路を走っているキヴォトスなら普通の装甲車ということにできるだろう。
しかし、これで俺の貯金はほぼなくなってしまったかもしれないな。
アルたちが戻ってきたようだ。ハーフトラックに乗り込み声をかける。
「早くしろこの騒ぎだ風紀委員もすぐに集まってくるぞ」
「なんなのこの車両!こんなの落ちてたの⁉」
アルは驚いていたがそんな時間はない。乗車を急かし、乗り込み次第車をかっ飛ばしてトラックを追いかける。
意外と感覚で動かせる。
「これ。キヴォトスでは見たことない車両だけど、自分で作ったの?」
「……詳細は言えない。想像にお任せしよう」
ルビコンのものについてはぼかしたほうがいいだろう。
既にこの世に存在しないものも多い。
追っているトラックが山奥に入っていった。。
「あれは…煙?」
山の中に入ると奥から煙が噴き出している。規模からして、工場があるようだ。
こんな流通の終わり切っているところにわざわざ立てる理由は犯罪以外にないだろう。
「便利屋。行くぞ、この工場を制圧する」
「えぇ。私達を陥れたこと後悔させてやるわ!」
車を森の中に停める。
すぐ先にはこじんまりとした、研究所のような工場が見える。
見張りは相当な数だ。
森から飛び出し、扉までまっすぐ走る。
扉の前にいる警備二人にはジマーマンを撃ちつけ押し通る。
銃声によって他の警備も集まってきた。
アベレージは大したことないが、兵数が多すぎる。このままでは時間を稼がれて証拠を押さえられない。
「便利屋!足止めを頼む!」
「えぇっ!ちよっと──」
返答も聞かずに駆け出し工場内へ侵入する。中に兵はいない。
目についた白衣を着た科学者らしきロボの首をつかみ銃を突きつける。
「お前らは何者だ。ここで何をしている。3秒以内に答えろ」
「わわわ、私たちはカイザーサイエンスというものです。秘密裏に新設されたカイザーの子会社で兵器類の研究と量産をしています…!」
「雷帝の残した研究の再現などをしています……」
キヴォトスに詳しくない俺ではカイザーも雷帝とやらもよくわからないが、真っ黒なのは間違いないだろう。
「兵器の実物とデータは?」
「データはあのUSBとパソコンの中に。風紀委員の目を避けていたので資材が届いたのは今日が初めてで実物はまだありません……」
ゴッ
頭を殴って気絶させUSBを回収する。
口上の中を端から端まで駆けまわった。
他にも中にいる人間は見つかり次第、片っ端から撃ち抜き気絶させる。
一通り倒しえたところで便利屋の元まで向かう。
急いで外に出ると、銃声は一切鳴っていなかった。
そして、地面には警備が転がっている。
「これは驚いた。まさか全員片づけてしまうとは」
息を切らしながら、アルは地面に腰を下ろした。
「はぁはぁ、それで中はどうだったの?」
「なにやら違法な兵器を開発していた。中のやつらは全員拘束してある」
カヨコがふいに問いかけてくる。
「…その兵器っていうのは?」
「よくわからないが、雷帝の研究の再現だとか何だか」
突然カヨコの顔が歪んだ。
「……そんなことしてたんだね」
支給品の腕時計で時間を確認する。
「そろそろ来る頃かな」
「何か来るの?」
アルが不思議そうな顔をして問いかけてきた。
すぐに道路から大勢の戦車や制服を着た生徒たちが現れた。
風紀委員会だ。
大所帯でとこちらへ向かってきた。
その中には、ヒナもいる。
「……どう言う状況か、説明してもらえる?」
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