転生した異世界が主人公が産まれる2000年前だった   作:yumui

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再戦

霧深い朝。魔王討伐隊六人は、盟友やアンジェラの助力を得て、再び魔王城への道を踏み出した。過去の敗北を乗り越えた彼女たちの瞳には、かつてないほど強い光が宿っていた。

 

「行こう、今度こそ!」

 

レイナが剣を揺らし、黄金の刃アムネシアを光らせる。彼女の後ろには、新たに鍛えられた六つの剣と魔導具が揃っていた。

 

かつての敗北をここで塗り替える覚悟を胸に、六人は苔むす道を登る。縫い付けられた修行の証、仲間の笑顔と誇りが背中を押す。

 

先の山場で立ちふさがったのは、白毛の王庭ゲルベスだった。以前、ひとまず引き分けに終わった相手。だが今回は違った――全員の眼差しに戦士としての力が満ちていた。

 

ゲルベスが低く唸る。

 

「ふん……まだお前たちが倒せる程度の力とでも思われたか」

 

ゲルベスの咆哮が宙を揺らす。だが、その瞳に光るのは、以前の侮蔑ではなく、明らかな動揺と驚きだった。

 

「お前たち……以前とは違うな」

 

その言葉に応えるように、レイナ率いる討伐隊は一斉に飛び出した。

 

リアーネが影からの一閃を浴びせ、ゲルベスの注意を引きつける。まるで影の化身のように刃が舞う。それを見たルシアンが氷の刃で足元を凍らせ、その裂け目に炎を叩き込む。カーニャは風のように飛び跳ね、乱舞する爆裂剣術でゲルベスの腕を切り裂く。しかし驚いたのは、ゲルベスが片腕でそれを受け止めたこと。雑ながらも、その力は健在だった。

 

マリアが盾を立てて防御を作り、シャリエラは回復と支援の聖歌を響かせる。そこへ、レイナがアムネシアに光を籠め、集中の一突きを狙う。

 

「来る!」

 

その瞬間、ゲルベスの反撃が始まる。

 

ゲルベスの尾が振り下ろされると、地割れと衝撃波が起こる。リアーネは肩を庇いながら跳躍し、ルシアンは刈り取られそうな足元を氷で支える。マリアは盾を駆使して仲間を守り、カーニャは地走しながら乱撃を加える。

 

しかしゲルベスの猛攻は依然として猛威を振るった。咆哮が響き、怒濤の剣撃と魔力衝撃が畳みかけてくる。シャリエラの歌声が薄れていく中、レイナは一瞬、視界が揺らいだ。

 

「まだだ……!」

 

レイナが己の鼓動と同期させるように剣を握り直す。シャリエラの魔力が再び光を帯び、仲間たちに新たな力を注ぎ込んだ。

 

ゲルベスが膝をつきかけたその瞬間、レイナが龍のような速さで踏み込む。アムネシアの刃が胸元を貫き、蒼白の光が裂けた。魔力と聖光が襲いかかり、ゲルベスの咆哮は引き裂かれた。

 

「……強すぎる」

 

ゲルベスは血に濡れながら呟く。肩を支えにして立ち上がれず、膝をついて倒れていった。

 

その姿勢ではまだ弱者とは言えなかったが、炎のような戦意は消え失せ、動きもしなくなった。

 

六人は息を整えながら、ゲルベスの方を見た。彼が静かに頭を下げ、崩れ落ちるように倒れた。

 

「行こう。魔王城へ」

 

レイナが起き上がる。仲間たちは全員、もう一度使命を胸に歩き出した。シャリエラは静かに祈り、カーニャは勝利の余韻に跳ね、リアーネは影を纏いながら剣を研ぎ、ルシアンは魔導書の頁に手をあてた。マリアは深呼吸し、父の形見のような剣を握りしめた。

 

ゲルベスの倒れた背後には、盟友としていつ戻ってきても構わないというような言葉が残されていた。

 

「強くなったな……ならば、お前たちは行け……魔王のもとへ」

 

その言葉を胸に、魔王討伐隊は再び、黒曜石の城壁を目指して歩を進めた。

 

霧と瘴気が混じる魔族領の冷たい大気の中、六人の魔王討伐隊は戦いを終えたばかりのゲルベスを後に、次なる敵――王庭の双剣士 エイゲルズ の待つ広場へと足を進めた。

かつて二千年前にはハムスターのような姿だったという異形の魔族が、今は鋼の二刀を振るう剣士として立ちはだかる。

 

「ここが終点だ。お前たちの旅も――ここで終わらせてやる」

 

エイゲルズが双剣を構えたその姿には、狂気にも似た誇りが宿っている。

 

 

エイゲルズの目が六人を鋭く見据える。

一瞬の沈黙の後、リアーネが影影から飛び込んで奇襲を仕掛ける。

エイゲルズの反応は流れるようであった。彼は双剣を振るい、リアーネの刃を寸でのところで防いだ。

 

「だが無駄だ!」

 

瞬時に間合いを詰め、エイゲルズは冷酷な反撃を加えてくる。

彼女たちは連携で応戦する間もあったが、その鋭い剣技で後方まで攻撃が届いた。

 

ルシアンが氷の結界を展開し、騎士のように防御陣形を形成する。

シャリエラは祈りの詠唱を始め、癒しと守護の光を仲間に降らせる。

 

レイナはアムネシアを手に踏み込み、真っ向から斬り合いに挑む。

 

 

レイナの剣とエイゲルズの双剣がぶつかると、音もなく衝撃波が空気を震わせた。

エイゲルズはその一瞬、目を見開いた。彼女の剣筋は正確かつ迅速で、アムネシアの一撃を受け止めた。

 

「勇者の剣……圧が違う」

 

その言葉に、周囲の戦士たちの鼓動は高まる。

エイゲルズは双剣を交差させ、背を反転して跳躍。二段斬りを披露し、レイナに強烈な衝撃を与える。

 

レイナは衝撃に耐えながらも踏みとどまり、黒曜石の靴跡が地面に刻まれる。

マリアが間合いを詰めて盾を構え、リアーネの影斬りが背後から絡みつく。

カーニャは爆裂斬で足を狙い、ルシアンの火氷魔法が鋭く飛ぶ。

 

だが、エイゲルズは一瞬の隙を逃さず、双剣を回転させて反撃。四方からの攻撃を縫うように躱しながら、絶対的な強さを示していた。

 

シャリエラが詠唱の声を高め、六人の魂を繋ぐ聖印が空気を揺らす。

エイゲルズの目に、一瞬「興奮」と「畏怖」が浮かんだ。

 

「お前たち……この力は、一体どうやって得たのか?」

 

レイナはアムネシアを握りしめ、答えた。

 

「旅の先で出会ったすべての人の力を借りて。魔王を倒すために、私たちはここまで来たの!」

 

エイゲルズは無言で剣を構え直し、再び襲いかかった。

 

その刃を受け止めた瞬間、レイナの剣から蒼白の光が爆ぜ、双剣の一撃が地を裂く。

並行してリアーネの影斬りが敵の背中を突き、カーニャの爆裂剣が側面を裂く。

ルシアンの魔法が両腕を縛り付け、マリアの盾剣が胸を貫いた。

 

エイゲルズは膝をつき、足元から土煙が立つ。彼女の双剣が瓦礫の上に落ち、遂に静寂が訪れた。

 

六人が剣を構えたまま息を整えていると、エイゲルズは苦しそうに顔を上げた。

 

「しかし……強くなったな……お前たち……魔王に届くかもしれん」

 

その言葉に、警戒と静かな感動が混じる空気が広がる。

 

「私は……もっと強くなる。お前たちがこれほどまでに鍛えられるなら、私も。」

 

彼女はゆっくり双剣を拾い上げ、地に置いた。そして剣を地面に突き立て、敬礼のように跪いた。

 

「剣士エイゲルズ、ここに誓う。もっと強くなる。そのために修行を続けるぞ!」

 

その決意に、六人は深く頷いた。戦士同士の尊敬が、言葉を超えて通じ合った瞬間だった。

 

魔王城を目指し、険しい山道を進む魔王討伐隊――レイナ、シャリエラ、マリア、カーニャ、リアーネ、ルシアンの六人は、断崖に囲まれた峠にたどり着いた。空は鈍い灰色に染まり、風は冷たく、まるでこの先に待つ戦いを予感させるかのようだった。

 

「……気配がする」

レイナが立ち止まり、剣に手をかけた。その瞬間、山の影から一人の男が現れる。

 

漆黒のマントに身を包み、紅い瞳を持つ美しい青年――王庭テルシスだった。

 

「やはり来たか。君たちがここを通るなら、必ず再会すると思っていた」

 

彼の声には、皮肉とも寂しさともつかぬ色が滲んでいた。

 

「テルシス……!」

リアーネが叫ぶ。「なぜ、あなたがここに? もう、王庭には従っていないはずじゃ……」

 

テルシスは小さく微笑んだ。

 

「俺は今、自分の意志でここにいる。すべての罪の重さを、この身で背負うために」

 

「それが……あなたの答え?」

レイナが問う。

 

「そうだ。――だが、行かせるわけにはいかない。魔王の下へと」

 

その言葉を合図に、テルシスのマントが翻ると同時に、彼の手には黒銀の細身剣が現れた。

直後、空気が張り詰め、戦いが始まった。

 

シャリエラがまず動く。青白い魔力が彼女の剣を包み、斜めに斬りかかる。テルシスは軽やかに身をかわし、反撃の一突きを繰り出す。

それをマリアが盾で受け止め、ルシアンが間髪入れずに炎の魔術を撃ち込んだ。

 

「はっ、成長したな」

テルシスは一瞬驚いたように目を見開きながらも、その炎を翻るマントで打ち払うと、リアーネの槍を刃の腹で受け流し、逆にカウンターを叩き込む。

 

カーニャの投げた爆薬が足元で炸裂し、煙が舞い上がる。その隙にレイナがテルシスの背後を取った。

 

「これで……!」

渾身の一撃。剣がテルシスの背に届こうとした、その瞬間。

 

「遅い」

 

背後を取ったはずのレイナに、テルシスが振り返ることなく、肘打ちを食らわせる。

空中に吹き飛ばされたレイナを、マリアがなんとか受け止める。

 

「……強すぎる」

リアーネが歯を噛みしめた。

 

彼の動きは一人とは思えない。流れるような剣さばきと、読み切ったような対応。

誰もが感じていた。彼は本気で自分たちを止めようとしていると――。

 

「テルシス!!」

 

ルシアンが叫んだ。

 

「あなたがなぜ戦っているのか、私は知ってる。リゼットのこと……王庭に人質にされたあの時、あなたは――」

 

「やめろ」

 

テルシスの声が低く響いた。

その目に、かすかな揺らぎが浮かぶ。

 

「それでも……今は戦わなければならないんだ。例え誰に恨まれようとも」

 

「じゃあ、止めてみなさい!!」

再びレイナが立ち上がる。

 

「私は、諦めない。あんたを止める。こんな形で誰かを守ろうとするなんて、間違ってる!」

 

叫びとともに、彼女は突進した。

 

シャリエラ、マリア、リアーネ、カーニャ、ルシアン――全員が連携し、渾身の攻撃を繰り出す。

 

テルシスはそのすべてに応じた。

だが――数分後、彼は膝をついていた。

 

「……見事だ」

 

彼の肩は裂け、左腕はだらりと下がり、口元には血がにじんでいた。

 

「こんなにも……強くなったのか、君たちは……」

 

剣を手放し、テルシスは静かに天を仰いだ。

 

「敗北だ。俺の……完全な敗北だよ」

 

レイナが息を切らせながら、ゆっくりと歩み寄る。

 

「なぜ、あんなに命を賭けて止めようとしたの……?」

 

テルシスは瞳を伏せたまま、ぽつりとつぶやく。

 

「君たちが……もし魔王に勝てず、死んだとしたら、俺はもう……二度と誰も守れないと思ったんだ。だからせめて……」

 

「それは、自分を守るためでしょ」

 

ルシアンの言葉に、テルシスは目を見開いた。

 

「本当に守るっていうのは、そんな風に全部自分で背負って終わりにすることじゃない。誰かを信じて、共に進むことよ。私、あなたに教えてもらったんだから」

 

「……ルシアン」

 

テルシスは薄く笑った。

 

「……俺は、もう戦えない。だが……ありがとう。君たちに……救われた気がする」

 

夜の風が吹いた。

 

テルシスはマリアの手当を受け、しばらくその場に横たわっていた。

やがて彼は魔王討伐隊に背を向け、ふらつきながらも自らの足で歩き出す。

 

「どこへ行くの?」レイナが問うと、テルシスは微かに笑って振り返った。

 

「どこでもいいさ。もう、誰かの命令じゃなく、自分で歩く道だ。――また会おう。いつかきっと」

 

彼の背中が、闇に溶けていった。

 

魔王討伐隊は、その後ろ姿を見送ったあと、再び前を向いた。

 

「さあ、行こう」

レイナが剣の柄を握りしめる。

 

 

魔王城の中庭。

 

――王庭、シャリア。

 

人間の姿でありながら、蛇のような尾を引きずり、紅玉のような瞳に石の呪いを宿す女。

その視線は、見た者を即座に石像へと変える。

 

「また来たのね」

彼女の声は冷たく、空気を凍らせる。

 

「今度こそ、終わらせに来た!」

レイナが剣を構える。

 

かつて彼女は、この女の眼光によって石にされ、一度敗れたのだ。だがもう、同じ過ちは繰り返さない。

仲間たちと共に修行し、成長してきた。その力、ここで証明する――!

 

「ルシアン、お願い!」

「任せて」

 

ルシアンが前に出る。両手を掲げ、複雑な詠唱を紡いだ。

 

「──反転の契約!」

 

その瞬間、六人の身体に光の膜が覆われる。

シャリアの石化の眼光を、魔術によって反射・分散させる対石化結界――

 

「ほう……それで防げると?」

シャリアが小さく笑う。「ならば、試してみなさいな」

 

瞬間、紅い瞳が光った。

 

石化の光線が放たれる――!

 

が、ルシアンの結界がそれを跳ね返し、床や壁が石に変わるだけだった。

 

「……効かない!?」「やった、ルシアン!」

マリアとカーニャが叫ぶ。

 

「時間は短い。今よ、みんな!」

 

「うおおおおおっ!!」

レイナが叫び、突進した。

 

戦闘が始まる。

 

マリアが盾を構えて前線を支え、リアーネが槍でシャリアの死角を突く。

カーニャが投げる閃光弾が空を裂き、ルシアンは支援魔術を繰り返す。

 

シャリエラは静かに一太刀を狙っていた。

 

「小癪な……!」

シャリアの瞳がまた光る。石化の視線が再び放たれるが、ルシアンの結界は崩れない。

 

「これが私たちの答えよ、シャリア」

ルシアンが凛とした声で叫ぶ。

 

「何百の命を石に変えて、あんたは何を手に入れたの!? 今度は、こっちが終わらせる番!」

 

「くだらない」

シャリアが再び視線を放つ。今度は真上から。

 

が、それすらも魔術が弾いた。

 

そして、決定的な隙が生まれる。

 

「今だ、レイナ!!」

 

マリアが叫んだ。

 

「行け、レイナ!」

リアーネも続く。

 

レイナは跳んだ。全身に風の魔術を纏い、一直線に突っ込む。

 

シャリアが目を見開いた瞬間――

 

「これが、私たちの旅の終点だ!!」

 

レイナの剣が、弧を描いた。

一瞬の閃光。空気が裂け、静寂が訪れる。

 

シャリアの身体がゆっくりと傾き、そのまま床に崩れ落ちた。

 

彼女の首は、すでに跳ね飛んでいた。

 

戦いは、終わった。

 

赤い尾が消え、瞳の光も失われ、あの冷たい声ももう聞こえない。

 

「……倒した、のか?」

カーニャがぽつりと呟く。

 

「ええ、完全に……」

シャリエラが答えた。その表情は、どこか安堵と哀しみが入り混じっていた。

 

「これでもう、誰かが石にならずにすむ」

リアーネがそっと瞳を閉じる。

 

「でも……あの人も、きっとどこかで、誰かを守ろうとしてたのかな……」

ルシアンの声は静かだった。

 

レイナは剣を下ろし、ぐっと拳を握る。

 

「シャリア……あなたを許すつもりはない。でも、これで終わり。みんなの旅が、進むための一歩だよ」

 

魔王城の玉座の間は静寂に包まれていた。

高くそびえる黒曜の柱、闇を吸い込むような天蓋、そしてその奥――

 

重々しい足音と共に、黒い鎧の男が姿を現す。

 

魔王・アルヴィス。

その瞳は虚無を映し、その剣は闇を斬る。

一度は彼に敗れ、牢に囚われた魔王討伐隊。だが今、彼らは修行と旅の果てに再びここへ立った。

 

「来たか……。愚かな者たちよ。再び絶望を教えてやろう」

 

レイナが一歩前に出る。

「前とは違う。今度こそ、終わらせに来た!」

 

「ほう……その眼差し、死を恐れていないな」

アルヴィスが微かに口角を上げる。

 

そして、闇が渦巻く。

 

魔王の剣が抜かれると同時に、玉座の間が闇に包まれた。

 

「構えろ!!」

シャリエラが叫ぶ。

 

マリアが盾を前に出し、ルシアンが光の結界を展開する。

リアーネが風を纏って跳躍し、カーニャが爆弾を準備する。

六人の呼吸が一つになる――!

 

「――始めよう。全力で来い。そうでなければ、お前たちはこの場で朽ちる!」

 

戦いの号砲が鳴り響いた。

 

第一撃。

アルヴィスの剣が振るわれた瞬間、広間の空間が裂け、重力そのものが歪んだ。

 

「ぐっ――ッ!!」

マリアが盾を構えるが、吹き飛ばされて壁に叩きつけられる。

 

「くっ、マリアッ!」

リアーネが駆け寄ろうとするが、アルヴィスの魔術が空間をねじ曲げる。

 

「逃さぬ」

彼の指先が光る。漆黒の魔法陣が床から浮かび上がる。

 

「《深淵降臨》!」

 

地面から現れた黒い手がルシアンとカーニャを捕らえようとするが、ルシアンが詠唱する。

 

「《ルーン・キャンセル》!」

 

反魔法の陣が炸裂し、黒い手は霧散する。

 

「ナイスよルシアン!」カーニャが爆弾を投げる。

 

爆発と同時にシャリエラが現れ、剣を振るった。

「一閃!」

 

だが、アルヴィスは後方へ滑るように避け、逆に剣を振るい、彼女の腕をかすめた。

 

「速い……でも、まだいける!」

 

戦いは熾烈を極めた。

 

ルシアンが光と風の魔術で援護し、マリアが再び前線に戻り敵の剣を受け止める。

リアーネの槍が闇を切り裂き、カーニャの爆弾が足止めを行い、シャリエラが影のように斬撃を与える。

 

そして――

 

「私が、止めを刺す!!」

レイナが渾身の力で叫び、剣を構えた。

 

「来い……“剣を継ぐ者”よ」

アルヴィスもまた、構える。

 

その瞬間、すべての時間が止まったかのように、空間が静まった。

 

レイナの足が床を蹴る。風のように走り、火のように燃える。

 

「アムネシアよ……私に、力を!!」

彼女の剣が紅く輝く。

 

「これが、あたしたちの旅の答えだ――!!」

 

アルヴィスの剣とレイナの剣が、交錯した。

 

閃光。咆哮。大地を裂くような衝撃――

 

そして。

 

「……ばかな……なぜ、ここまでの力が……!」

膝をつく魔王。黒い鎧が崩れ、内側から紅い血が流れ落ちる。

 

レイナの剣が、彼の胸を深々と貫いていた。

 

「それは――」

レイナが答える。「あたし達が、一人じゃなかったから」

 

シャリエラ、マリア、カーニャ、リアーネ、ルシアン。

そして、この旅で出会ったすべての仲間たちの力と心が、彼女をここへ導いたのだ。

 

アルヴィスは微かに目を細めた。

 

闇の王は静かに、崩れ落ちた。

 

玉座の間に静寂が戻る。

 

黒い雲が晴れ、魔王城の高窓から光が差し込む。

 

「……終わった、のか……」

リアーネが呟く。

 

「いいえ、始まるのよ」

シャリエラが微笑む。

 

「これからが、本当の……」

 

レイナは剣をゆっくりと鞘に収めた。

 

「帰ろう、みんな。あたしたちの旅は、まだ終わっちゃいない」

 

 

 

 

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