ぼくらハグルマ団!02~究極の一皿~   作:madron

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02 巨人の森

青空の下、カルセド、ロサ、ジルコンの三人は裏山の川辺に集まっていた。

 

カルセドが作戦を指揮し、ジルコンが枝を拾い、ロサが蔦を裂いていた。彼らはその場にある材料を使い、即興の釣り竿を作っているのだ。

 

「よし、完成! これで絶対 釣れるって!」

 

カルセドが自信満々に釣り竿を掲げる。

 

「いや、絶対とは言い切れないでしょ。どっちかっていうと、運だよ、運。」

 

ジルコンは半笑いしながら、川に仕掛けるための小さな罠を組み立てていた。

 

「ま、やってみればいいのよ。本当に釣れるかわからないんだし。」

 

ロサが冷静に言いながら、針金で作った即席の釣り針を枝に固定する。

 

カルセドはその間に地面にしゃがみ、指先で慎重に泥を掘り返す。

 

「お、いたいた! うねうねワーム、発見!」

 

泥の中から、くねくねとうごめく虫が引っ張り出される。

 

羽も無く、細長い体を持ったこの虫は、子供たちの間で『うねうねワーム』と呼ばれる幼虫だ。成長すると羽のある虫になるが、魚の餌になる上に、川の近くですぐ獲れる。

 

ちゃんと正式名称があると聞いたことがあるが、どんな名前だったか忘れてしまった。

 

釣り竿から餌まですべて自前で調達できるこの場所は、ただの遊び場ではなく、小さな冒険の舞台だった。

 

 

 

ジルコンは裏山の小川の浅瀬にしゃがみこみ、何やら手際よく仕掛けを調整していた。彼の手元には、しなやかな枝や細い蔓で編まれた籠のようなものがある。

 

「ほら、これ見ろよ」

 

そう言ってジルコンは、自慢げに仕掛けを持ち上げた。それは筒状の籠で、入口は広いが奥へ進むほど狭くなり、最後は魚が通るにはぎりぎりの隙間しか残されていない。

 

「この中に餌を入れて、流れのゆるいところに沈めておくんだ。魚は餌につられて入るけど、一回入ると戻れねえって仕組みさ。」

 

籠の奥の狭い出口は、外側からはすんなり入れるが、内側からは出にくい角度になっている。魚が逃げようとすればするほど、自分の体を奥の網に押しつけてしまう。

 

「これなら網みたいにずっと張っておく必要もねえし、一回仕掛けたら、あとは待つだけだ。」

 

ジルコンは得意げに腕を組んでニヤリと笑う。しかし、そんな彼にロサが冷静に問いかけた。

 

「で、それ誰がそう言ってたの?」

 

「……え?」

 

ジルコンが一瞬言葉に詰まると、今度はカルセドが首をかしげる。

 

「そんなに自信満々に語るってことは、何かで読んだとか、誰かに教わったとかだよな?」

 

「そ、そりゃそうだけどよ……」

 

「ジルコンが自分で編み出したとも思えないしね。それ、かなりのトライ&エラーの末に出来たものっぽいし」

 

ロサのツッコミにジルコンは少し視線をそらしながら、口をとがらせた。

 

「親父だよ。前に一緒に魚獲りに行ったとき、こういう罠を教えてくれたんだ。漁師がよく使う方法なんだとさ。」

 

「ふーん、ジルコンのお父さんか。」

 

ロサは納得したように頷いたが、カルセドは少し意外そうな顔をしていた。

 

「お前の親父さんって、そんなのも知ってるんだな」

 

「まあな! 親父は何でもできるんだよ」

 

ジルコンは得意げに鼻を鳴らしながら、仕掛けを慎重に水の中へ沈めた。石を重しにして動かないよう固定し、流れに馴染むように草の影に隠す。

 

「よし、あとは魚がかかるのを待つだけだな」

 

「その前に、ちゃんと魚が入る大きさか確認しなさいよ」

 

ロサのツッコミに、ジルコンは「わかってるって!」と苦笑しながら、仕掛けをもう一度確認するのだった。

 

 

 

 

 

しばらくすると、川面に小さな波紋が広がり、魚の気配が見えてきた。

 

「ほら、見てみろよ! あの魚、大きい!」

 

カルセドが声を上げると、三人は釣り竿や魚とり網、罠を使って夢中で魚を捕らえようとした。

 

 

 

「ぜ、全然釣れない…なんでだ…」

「そりゃジルコンが動き回ってる近くで釣るからでしょ」

「え!? 俺そんなに走り回ってないぜ?」

「魚が逃げるどころか、川ごと揺れてるわよ」

「スマン、もうちょっとあっちで釣ってくるわ」

「待てって、真に受けないでくれぇ~!」

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

少しして。

 

ようやく数匹の魚を捕まえるが、楽しい時間は、突然の異変によって中断された。

 

遠くから、低く響く音が聞こえてきたのだ。

 

「何の音?」

 

ロサが首をかしげる。

 

ズゥン…ズゥゥン…と、大きなもの動いているような音が響くと…

 

「まるで……足音みたいだな。」

 

カルセドがつぶやいた。

 

その一言で、ジルコンもロサも息を飲んだ。

 

 

「巨人の足音だ!」

 

ジルコンが目を丸くする。

 

 

「巨人の足音?」

 

カルセドが聞き返すと、ジルコンは得意げに話し始めた。

 

 

「最近、この森で大きな足音が聞こえるって噂があってさ。駄菓子屋に集まってる連中の間じゃ、『巨人の森』なんて呼ばれてるんだ。」

 

「まさか……本当に巨人なんているわけないでしょ。」

 

ロサがそう言う声には、どこか不自然な震えがあった。カルセドとジルコンは目を合わせる。

 

「巨人なんて、昔話にしか出てこないでしょ?」

 

その問いに、カルセドが肩をすくめる。

 

「ロサのおじいさんだってドワーフだし、エルフだって実際に存在するけどさ。幽霊や巨人なんて、本当に見つかったことは無い…筈だ。」

 

「そ、そうよね!」

 

ロサは笑顔を作ったが、その目はどこかそわそわと落ち着きがない。

 

「ロサ、まさか怖がってるのか?」

 

ジルコンが冗談っぽく言うと、ロサはすぐに反論した。

 

「怖がってなんかないわよ! ただ、可能性の話をしてるだけ!」

 

だが、その言葉は不自然に強かったし、彼女の視線は音のする方向を警戒するように向けられていた。

 

「お、俺だって全然怖くないし!」

 

ジルコンもわざとらしく大きな声で言う。しかしその声は微妙に震えている。

 

大きな声を出すのは、恐怖を隠すためだとカルセドもロサも気づいていた。さっきロサへ冗談ぽく話かけたのもそうなのだろう。

 

気付けばジルコンだけでなく、普段はどんな時でも冷静なロサも、珍しくへっぴり腰になっている。

 

カルセドも、正直怖かった。

 

巨人がいるなんて本当は信じていなかったが、子供たちの間で流行る噂のせいで、どうしても頭の片隅に「もしも」という考えがよぎる。

 

それでも、三人のリーダーとしてここで引き下がるわけにはいかないと、ガタガタ震える足を無理やり前に出し、言った。

 

「と、とにかく正体を確かめよう。俺たちでここまで来たんだから……な?」

 

彼が先頭に立つと、ジルコンが腰を引きながら続く。そして最後にロサが、めったに見せない弱気な様子で後ろを歩いた。三人は慎重に音の発生源へと近づいていく。

 

音の正体を確かめるべく、震えながらも茂みをかき分け、進んでいく。

 

するとそこには、まるで巨人のような「人型の機械」が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全体の高さは3メートルに届かないほどだが、それでも大人の背丈を軽々と超えるその姿は、子供たちにとって圧倒的だった。

 

日ごろ見慣れている父や母の身長をはるかに超えるそのサイズは、三人の子供たちにとってはまさに「巨人」に見えたのだ。

 

白い蒸気を吐きながら、重たそうな足をゆっくりと運ぶその機械の上に、仮面をつけた男の姿を見つけた。

 

「……あれ、あの時の!」

 

カルセドが思わず声を上げた。

 

「そうか、巨人の正体は、あの人の機械鎧だったんだ!」

 

そこに居たのは先日の遺跡での騒動で助けてくれた、仮面の男だったのだ。

 

彼が機械の操作を止めると、足元に近づいてくる子供たちを見下ろし、静かに声をかけた。

 

「お前たちか。またこんなところで会うとはな。」

 

仮面の男が鎧から降りてカルセドたちの前に立つ。

 

「この間は助けてくれて、ありがとうございました!」

 

カルセドが頭を下げると、ロサもそれに続く。

 

「本当に助かりました。あのままだったら、どうなってたか……。」

 

最後に、ジルコンが力強く頷きながら声を上げた。

 

「ありがとう、おじさん! めちゃくちゃカッコよかったぜ!」

 

仮面の男は少し肩をすくめ、静かに首を振った。

 

「……確かに俺は手を貸したが、お前たちが諦めずに戦ったからこそ、間に合うことができたんだ。」

 

彼は一拍置き、落ち着いた声で続ける。

 

「お前たちは本当によく頑張ったよ。」

 

「…ありがとう…へへ…なんだかくすぐったいな…」

 

「…そういえばさ、おじさんのこと、何て呼べばいいの?」

 

カルセドと仮面の男との会話に割って入るように、ジルコンが首をかしげながら言った。仮面の男は少し考えるそぶりを見せたが、やがて肩をすくめた。

 

「別に、おじさんで構わないさ。」

 

「えぇ……それでいいの?」

 

カルセドが驚いた声を上げると、ロサも少し困ったように言葉を続けた。

 

「普通、何か別の名前を考えたりしない?」

 

仮面の男はくくっと小さく笑い、「じゃあ、お前たちが好きに呼べばいい」と言いながら、手元の機械を見ながらメモを取り始めた。

 

「おじさんってのもなんか味気ないし…じゃあ『仮面さん』でいい?」

 

「いや、それならまだ、おじさんの方が良くね?」

 

「でもなかなかしっくりくる呼び方が…」

 

「『仮面の人』とか…」

 

ロサとジルコンが言い合う声を聞きながら、カルセドは納得いかないように仮面をじっと見つめ、ふと別の疑問を口にした。

 

「じゃあさ、おじさん、なんで仮面なんかしてるの?」

 

「それ、私も気になってた。」

 

「俺も」

 

ロサとジルコンも話を止め、それに続く。

 

「それは…だな…」

 

仮面の男の手が止まり、しばらく沈黙が落ちた。やがて、低く穏やかな声が響く。

 

「……悪い奴らから恨みを買ってるからな。正体を知られると面倒になる。」

 

その言葉に、三人は思わず顔を見合わせる。

 

「恨みって……そんなに悪いやつを相手にしてるの?」

 

ジルコンが慎重に尋ねると、仮面の男は軽く頷いた。

 

「まあ、冒険者稼業を何年も続けてると逆恨みも多くてな…この間の、お前たちが戦った相手とかな。」

 

仮面の奥の表情は読めないが、その声音から、あまり深く聞かれたくない雰囲気が伝わってきた。

 

カルセドたちは、それ以上問い詰めるのはやめておくことにした。

 

「ところでおじさん! この機械、おじさんが動かしてたの?」

 

その時、ジルコンが声を上げる。

「この間のよりも大きいよね?」

 

「そうだ。この間見せた鎧の強化型の試作機なんだが…テストを頼まれてな。」

 

仮面越しの声は穏やかだったが、どこか嬉しさが感じられる。

 

 

 

カルセドたちが興奮気味に「巨人の森」の話を仮面の男に話し、「巨人の正体」に驚きと感動を覚えていると、仮面の男がふと気づいたように問いかけた。

 

「…お前たち、その魚をどうするつもりだ?」

 

「えっと、川で釣ったんだ。これから焼いて食べようと思って……」

 

カルセドが少し不安そうに答える。

 

「ここで、焼いて食べようと思ったんだな?」

 

不安そうにこくりと頷く子供たちをを前に、仮面の男は、少し屈んで子供たちと目線を合わせた。

 

「今の時期は乾燥している。それは知っているな?」

 

「乾燥……?」

 

カルセドが首を傾げたが、ふとその言葉が意味するものを連想し、顔色を変えた。

 

「あっ、火事になる!」

 

「火事が起きたら、どうなるか分かるか?」

 

ジルコンが恐る恐る答えた。

 

「森が……燃える?」

 

仮面の男は頷き、静かに続けた。

 

「そうだ。この森は木が多い。乾燥した時期に火事が起きれば、燃え広がるのはあっという間だ。」

 

ロサがハッとしたように言葉を漏らす。

 

「そんなの……止められない。」

 

「その通りだ。」

 

仮面の男は指で近くの木を指しながら言葉を続けた。

「しかも、ここは時々風が強くなる。今日も風の音が強まることがあっただろう?」

 

その瞬間、木々の間を風がすり抜ける音が響いた。葉が揺れる音とともに、冷たい風が子供たちの頬をかすめる。

 

三人は思わず互いの顔を見合わせ、肩をすぼめた。

 

「だから、今日はやめておけ。」

 

「分かった……」

 

カルセドたちはしゅんとしながら魚を抱え直した。

 

「別に魚を焼くのは悪いことじゃない。今日は家でやった方がいいが、季節や風向きによっては大丈夫な時もある。」

 

仮面の男は最後にそう付け加え、蒸気を吹き出す機械の鎧に再び向き直った。

 

「冒険者の知識というのは、積み重ねればこういうこともわかるようになるんだ。お前たちも、すぐにわかるようになるさ。」

 

「分かった! ありがとう!」

 

カルセドたちは大きく頷き、足早に町への道を駆け戻っていった。

 

 

 

 

「……ふう。念のため、顔を隠しておいてよかったな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰り道、カルセドたちは陽が傾きかけた裏山の小道を歩いていた。森の中から時折、鳥の鳴き声や風が葉を揺らす音が聞こえ、冒険の余韻に浸るにはちょうどよい静けさだった。

 

ふと、木々の間から曲がりくねった道に沿ってゆっくり歩く人影が見えた。

 

近づいてみると、それは裏山の山小屋に住むおばあさんだった。腰を曲げながらも足取りはしっかりとしており、手に持つ杖をリズムよく地面に突きながら散歩しているようだった。

 

「こんにちは!」

 

カルセドが元気よく声をかけると、おばあさんは小さく微笑んで立ち止まった。

 

「おや、カルセドたちじゃないか。今日は裏山で遊んでたのかい?」

 

三人は頷きながら、おばあさんに「巨人の足音」について尋ねた。すると、おばあさんは少し笑って答えた。

 

「あぁ、あれのことかい? 冒険者さんたちが使う機械だろう? 私のところにも事前に話が来てね、何かあっても驚かないようにって。」

 

その言葉を聞いて、三人は思わず顔を見合わせた。

 

「なぁんだ、知ってたんだ……」

 

ジルコンが肩を落としながらぼそりと呟く。

「せっかく教えてあげようと思ったのにね。」

 

ロサも少し残念そうだった。

 

おばあさんは微笑みを浮かべながら、カルセドたちが持っている魚に目を留めた。

 

「ところで、その魚はどうするつもりなんだい?」

 

カルセドが少し誇らしげに胸を張って答える。

 

「家で焼いて食べるんだ! 仮面のおじさん…あ、その機械を使ってたおじさんに、ここで焼くのは火事になるかもしれないからやめとけって言われてさ。」

 

おばあさんは頷きながら感心したように言った。

 

「そうかい、賢明な判断だね。でも、魚を焼く前にやることは知ってるかい?」

 

「やること?」

 

カルセドが首をかしげると、おばあさんは優しく教えてくれた。

 

「魚はね、そのまま焼くんじゃなくて、ちゃんと内臓を取り除かないといけないんだよ。

 

 内臓が残ったままだと苦くなるし、火が通りにくいこともあるからね。

 

 家なら包丁やナイフがあるだろうから、腹を開いてきれいにしてごらん。」

 

三人はそのアドバイスを真剣に聞きながら頷いた。

 

「内臓を取るのか……知らなかった!」

 

ジルコンが感心したように言うと、ロサがすかさず補足した。

 

「言われてみれば、前に読んだ料理の本にもそんなことが書いてあったかも…思い出せなかった…」

 

おばあさんは穏やかに笑いながら彼らを見送る。

 

「しっかり覚えておくんだよ。じゃあ、気をつけて帰るんだよ。」

 

「ありがとう! またね!」

 

とカルセドたちは元気よく手を振り、おばあさんと別れて下山を続けた。

 

小さな冒険の余韻と、新しく学んだことを胸に抱きながら、三人の足取りは軽かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魚が炭火で焼かれる間、香ばしい匂いが台所に漂い始めた。カルセドはテーブルの準備をしながら、ふと父に声をかけた。

 

「父さん、最近あんまり外に行かないよね。前は家にいないことの方が多かったのに、どうしたの?」

 

セリルは湯気の立つキッチンを見つめながら、一息ついて答えた。

 

「護衛の仕事が忙しいのは変わらないんだけどな。前に捕まった組織の件で、状況が少し落ち着いたんだ。ほら、あの騒動があったろ?」

 

「ああ、あの遺跡にいた悪い奴らの話?」

 

カルセドの目が輝き、セリルは笑いながら頷いた。

「そうだ。その組織の連中が捕まったことで、依頼も少し減ってな。護衛の人数をたくさん必要とするような危険な案件も今は減ってる。

 

 それに、まだ他に仲間がいるかはっきりしないから、しばらく家を拠点にすることにしたんだ。町の見回りも簡単にできるしな。」

 

「そうなんだ。なんか安心するな」

 

カルセドは安心したように微笑んだが、すぐに顔を曇らせた。

 

「でも、父さんがまた急にいなくなったら寂しいな。やっぱり家にいてくれる方がいいよ」

 

セリルはお茶を置いて、そっとカルセドの頭に手を置いた。

 

「俺も、こうして家でゆっくりできるのは嬉しいよ。だから今は一緒に過ごそう。

 

 それにしても、カルセドが山から魚を取ってきたなんて驚いたな。頼もしいじゃないか」

 

「ふふん、すごいでしょ? ロサとジルコンが手伝ってくれたからだけどね!」

 

カルセドは得意げに言いながら、母と共にテーブルの準備を進めた。

 

夕食を食べながらどうやって魚を取ったのか、ジルコンの父が意外と魚とりの罠に詳しい事など次々に話した。

 

山で再び会った仮面のおじさんについて話すと、父の口元が少しヒクついていた気がするが、気のせいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

その翌日。

 

カルセドは、また図書館に来ていた。

 

窓から差し込む日の光が埃を浮かび上がらせる図書館は、いつ来ても独特のにおいがする。

 

カルセドはそんな静かで、どこか不思議な感じすらする、この空間が気に入った。

 

そして今日もまた何か面白い本がないかと、本棚を丁寧に見て回る。

 

新しい冒険のヒントや、話題にできそうな内容が見つかれば、それだけで一日が楽しくなる。

 

…と、黒ずんだ革の表紙が目に止まった。背表紙には金文字で「黒魔術入門 ~黒魔術の夜~」と書かれている。

 

「黒魔術って……なんだ?」

 

カルセドは小さくつぶやき、本を取り出した。

 

本を手に取ると、表紙は意外にも柔らかく、かすかに甘い香りがする。

 

ページをめくると、黒いインクで書かれた古い文字がぎっしり詰まっている。

 

内容は思った以上に胡散臭かった。「呪いをかける秘薬の作り方」だとか、「霊と話すための儀式」だとか、そんなことばかり。

 

「これ、なんかすごい怪しいけど…」

 

挿絵はぎこちないタッチで描かれており、明らかに作り物の怪しさが漂っている。

 

「でも、ちょっと面白そうだな…」

 

しかし、その挿絵には不思議な魅力があった。

 

特に気になったのは、とあるページに描かれた巨大な鍋だ。巨大な鍋から怪しげな煙が立ちのぼり、中には何かの具材が煮込まれているようだった。

 

まるで煙の中から何かがのぞいているような不気味な絵ではあったが……

 

「これ……料理かな?」

 

カルセドは首をかしげた。魔術というよりも、料理の手順みたいに見える。それに、具材もどこか…あくまで冒険者のサバイバル知識の基準でだが…食べられそうなものばかりだ。

 

「…うん、家で聞いてみるか」

 

 




※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。
イベントや世界観の発想など、「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作であることには間違いありません。

また、この作品はChatGPTを用いて文章を書き、修正・加筆を手作業で行っています。

ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
© 2021 FRONTIERPUB / Arclight, inc.
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