家に帰ると、母親は台所で夕食の準備をしていた。鍋からはいい香りが漂い、カルセドのお腹がぐうと鳴る。
「おかえり、カルセド。今日は図書室?」
「うん! そうそうそれでさ、面白い本見つけたんだ!」
そう言って、「黒魔術入門」をテーブルに置いた。
母親は一瞬その表紙を見て眉をひそめたが、すぐに笑顔になった。
「あぁ、懐かしいわね、それ。私が子どもの頃にもあった本よ」
「え、ほんと? でもこれ、なんか怪しいよ? 呪いとか魔術とか書いてあってさ」
カルセドは本を開き、例の鍋の挿絵を母親に見せた。
「ああ、それね。確かにそんな挿絵あったわ。でも、実際はおまじないみたいなものだったのよ。
私たちが子供の頃は、こういうのをちょっとした遊び感覚でやってたの」
「おまじないか……じゃあ、これは魔術じゃないの?」
「ええ、本物の魔術なんてこんなものじゃないわ。これはただの古い本。でも……面白い絵よね。 何か、よくわからないけど引き込まれるわ」
その言葉に、カルセドの目が輝いた。
「そうそう! これを見てたら、煮込み料理とかやりたくなったんだ!」
母親は笑いながら鍋のふたを開け、中をかき混ぜた。
「ふふっ、いいわね。何か作るならちゃんと鍋を選びなさいね。あと、具材を煮込む順番も大事よ」
「うん、わかった! ありがとう!」
カルセドは本を抱え直し、次のアイデアに向けてワクワクしながら部屋に戻っていった。
翌日、カルセドは「黒魔術入門 ~黒魔術の夜~」を脇に抱え、秘密基地に向かった。
母から、ロサとジルコンはもう来ていると聞いている。
秘密基地に入ると、無線機の前に座っていたロサと、パチンコの玉を磨いていたジルコンに向かって、本を高く掲げながら声を上げる。
「見てくれ! これ、図書室で見つけた『黒魔術入門』って本でさ! 怪しいけど、挿絵が面白くてさ!」
ロサが顔を上げ、ジルコンも興味深そうに手を止めた。カルセドは本を開き、大きな鍋が描かれたページを見せる。
「これを見て思いついたんだ。次は焼くんじゃなくて、煮込み料理を作ってみようって!」
ロサは挿絵を見て眉をひそめた。
「……この鍋、大きすぎない? それに…ちょっと不気味な感じがするけど。」
カルセドは少し困った顔をするが、すぐにジルコンが提案した。
「じゃあ、持てるくらいのサイズでいいんじゃね? 煮込めればいいんだしさ。」
「それならさ、次に遺跡に行くときにやらない?
あそこなら燃えるものもないし、思いっきり火を使えるし…それに、料理に使える機械の実験も出来るかもだし。」
ロサが頷きながら、不穏なことを口にする。
三人はそれぞれの意見を出し合いながら、最終的に「手ごろなサイズの鍋を持っていく」「ちゃんと料理が作れるよう、具材とかは親に聞いたり調べたりする」で意見が一致した。カルセドは黒魔術の本を閉じ、にやりと笑う。
「よし、次は煮込み料理だ! 美味しいのを作ろう!」
そして博覧会が終わり、外出解禁となった週末。
朝早く、カルセドたちはそれぞれの装備を整えて秘密基地に集合した。
鍋や調理道具を確認し、ロサが蒸気ランプの準備を進めている間に、カルセドが自信ありげに声を上げる。
「よし、これで全部そろったな!」
カルセドは適度な大きさの鍋を背負い、ジルコンは火を起こすための道具を背負い、ロサは持ち運びに便利な食材を詰めたバッグを持つことになっている。
食材が入ってるだけにしては大きすぎる気がするが…ロサのことなので、便利な道具や小型機械でも入っているのだろう。カルセドだって探検用の道具が入った鞄を持っているのだし、今更何も言うまい。
「よし、行こう!」
カルセドの掛け声に、三人は元気よく頷く。
遺跡に向かう道中、三人は新たな冒険への期待と、煮込み料理への興味で胸を弾ませていた。
彼らはキックボードに乗り、遺跡の出口だった場所――前回の冒険の最後に脱出してきた場所――を目指した。
遺跡に到着すると、カルセドはランプを片手に持ちながらジルコンと話し始める。
「蒸気ランプの予備の水、ちゃんと入れたよな? 残量もチェック済みか?」
「わざわざ言わなくても、そんなの当たり前だろ?」
「でも、こういうのが冒険者には大事なんだよ!」
カルセドが笑って言うと、ロサも同意する。
「確かに。これから危険な場所に冒険だ! って感じがあるわね」
「それもそうだ! …よし、チェック終わりました、隊長殿!」
「ご苦労、ジルコンくん! これにて準備は万端だな!」
カルセドは胸を張り、ライトを掲げ、先頭に立つ。
「それでは、これより遺跡に入る!」
ビシッと遺跡を指さすと、蒸気ランプに光を灯し、三人は内部へと足を踏み入れていった。
まっすぐな通路では普通の速さで進み、わき道が現れるたびに速度を落として慎重に調べる。
先頭のカルセドが明かりを照らし、ジルコンは手書きの地図を書き足し、ロサがそれを確認しながら進む。
ある程度進んだところでカルセドとジルコンが交代し、順調に地図の情報が増えていった。
しばらく歩いていると、ジルコンが地面に何かが落ちているのを見つける。
「おい、これ……」
拾い上げてみると、それは前回ジルコンが失くしたトランシーバーだった。
「こんなところにあったのか…」
「こないだの場所に近づいてきたな…それにしても、調査隊はなんでこれを拾わなかったんだろう?」
ここには冒険者の調査隊も入ったはずなのだが、ジルコンのトランシーバーはそのまま放置されていた。
三人は立ち止まって理由を推測すると、恐らく機械人形や武器の隠し場所を調べることを優先していたためだろう、と三人は推測した。
気を取り直して進むと、パンッという音が足元からした。
「うわっ!」
ジルコンが慌てて後ずさるが、下をよく見ると、潰れたかんしゃく玉が見つかった。
今の音の正体は、あの時、逃げる際中にジルコンがばらまいたかんしゃく玉だったのだ。
「よくもまぁ、調査隊に踏みつぶされずに残ってたな…」
「今、結構壁際だったでしょ? たまたま隅っこに追いやられたのが残ってたのね。」
「それにしても…へへ…本当に、こないだの場所に結構近づいてきたんだな…」
興奮を隠しもせず、それも地図に書き込み、三人はさらに奥へと足を進めた。
薄暗い通路の先で、三人は足を止める。そこにあったのは、分かれ道でも抜け道でもなく、ただの壁。
「行き止まりか……」
カルセドがため息混じりに呟く。
ジルコンが周囲を見渡しながら、ふと頭上を指さした。
「じゃあ、この上があの時の……?」
「うん。エーメスくんが開けてくれた穴ね。」
ロサが小さく頷く。
「多分、本来は逃走用の隠し通路として使う予定の穴だったんじゃないかしら? どう思う、カルセド?」
「だと思う。このあたりだけ、明らかに後から付けたっぽい鉄の支えが、壁についてるから…だから、エーメスくんが簡単に穴をあけられたんだ。」
明かりは壁を照らしてくれるが、けれど、上を見上げても真っ暗で何も見えない。
「でも、上に穴が開いてるかわからないぜ。真っ暗だ。」
ジルコンが目を凝らしてみても、天井は黒い影のようなものしか映らない。
「冒険者組合が上から調べるときに、板で穴をふさいだって聞いたわ。
ここには梯子もあったと聞いたんだけど…それも外しちゃったみたいね」
ロサの言葉に、カルセドが振り返る。
「そっか、調査とかあるし、もし落ちたら大変だからな…」
「…じゃ、しゃーないか。」
ジルコンは肩をすくめ、未練がましく上を見上げたが、すぐに踵を返した。
「引き返そうぜ。」
「そうね。」
ロサも同意し、カルセドもそれに続こうとした——その時だった。
——バキッ!!
鋭い音が響いた。まるで、大きな何かが折れたような音。
「何だ!?」
三人は驚いて顔を上げる。
闇に覆われた天井のどこかで、何かが崩れる気配がした——次の瞬間!
「ひいぃ~っ!!」
突然の悲鳴。か細く、震えた声。
「うわっ!?」
暗闇から何かが落ちてくる。いや、誰かが落ちてくる!
ジルコンは咄嗟に背負っていた鞄を掴み、前へ放り投げた。
ボフッ!
落下してきた少女は、ちょうどジルコンの鞄の上に落ちた。
だが——
「きゃっ……!」
勢いを完全に殺しきれず、少女の体がバウンドする。
「ひゃっ……!」
そのまま床に尻餅をついた。
「い、痛たたっ……」
少女は眉をひそめ、小さく肩を震わせながらおそるおそる顔を上げる。
三人は息をのんだ。
まさか、人が降ってくるなんて——。
「だ、大丈夫か? ジルコン、ナイスだったな…」
「は、はは…咄嗟に投げちゃったけど、よかった…」
少女はオドオドと周りを見ると、自分が鞄のおかげで助かったことにようやく気付いた。
「あ…ありがとうございます…し、死んじゃうかと思いました…」
少女は顔を上げ、お礼の言葉を口にする。
落下の恐怖と衝撃で 真っ青な顔になり、肩を小さく震わせながら、荒い息を吐きながら。
その目には、まだ怯えが残っていた。
その顔を見てカルセドたちがあっけにとられていると、続けて上から二人の男女が飛び降りてきた。
※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。
イベントや世界観の発想など、「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作であることには間違いありません。
また、この作品はChatGPTを用いて文章を書き、修正・加筆を手作業で行っています。
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
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