爆発の衝撃で、鍋の中のアツアツのスープが、煮込まれていた具材が、宙を舞い辺りに降り注ぐ。
「アチチチッ!」
ジルコンとカルセドがスープや具材を必死で手で払いのける。
バナはアイオライトが庇い、ロサはちゃっかりカルセドを盾にしてスープをよける。
「だから言っただろ、やりすぎだって!」
「もうちょっとで成功だったのに……」
少し落ち着いたところでカルセドが息を切らしながら叫ぶと、ロサは地面に座り込んでガッカリする。
「ちょっとは反省しろよ! 今回はバナもいたんだぞ!」
幸い、全員が十分な距離を取れたため、誰も怪我をすることはなかった。
だがいつものメンバー以外を巻き込みかけたことをカルセドに指摘されたロサは、さらにしょんぼりとうなだれる。
そんなロサに、バナが微笑みかける。
「で、でも……すごく面白かったです。それに、古代技術を応用してここまで作れるなんて、本当にすごいですよ!」
その言葉にロサは少しだけ顔を上げて笑った。
「ありがとう。次はもう少し慎重にやるよ。」
「その時は、もう少し安全な方法でやってくれよ。」
エッシェたちは苦笑しながら肩をすくめた。
ちょうど煮込み用に水を大量に持ってきていたので、すぐに濡れタオルで体にかかったスープはすぐに拭き取ることが出来た。
…ひとしきり落ち着くと、カルセドたちは爆発した鍋に近寄り様子を見る。
周囲には湯気が立ち込め、圧力鍋は完全に使用不能となった。
「………」
ジルコンがカルセドに視線を送る。
「嫌な予感、当たったな…」
「あぁ…」
ロサとバナが夢中で鍋の改造を続けた結果、圧力が限界を超え、鍋は爆発したのだろう。
見れば、やはりいくつかのパイプが内側からの圧力に耐えきれず壊れていた。
「うぅ……失敗かぁ……」
ロサが膝に手をついて肩を落とす。横ではバナが申し訳なさそうに目を伏せていた。
「ごめんなさい、私のせいで……。」
「違う、違う! そんなことないってば!」
ロサはすぐに顔を上げてバナを見た。
「失敗の原因は、私が改造しすぎたせいよ。あなたのアイデア自体はとても良かったもの!」
「でも……」
「それに、こうして改造してみたからこそ、新しい発見もあるでしょ?」
ロサはどこか悔しそうな顔をしながらも、次の挑戦を見据えていた。
バナはその言葉を聞き、少しだけ安堵の表情を浮かべる。
そんな二人をよそに、カルセドたちは鍋の中を覗き込んでいた。
「おい、これ……意外といけるかも?」
ジルコンが慎重に鍋を覗くと、まだ中にかなりの具材が残っていた。爆発の衝撃で蒸気が一気に抜けたものの、蓋と具材のごく一部が飛んだだけで、中の料理は大部分が鍋の中に留まっていたのだ。
試しに一口食べたジルコンが、驚いた顔をする。
「……うまいぞ?」
「えっ?」
カルセドも興味を惹かれ、スプーンですくって口に運ぶ。
「……ほんとだ。ちょっと焦げの香りはするけど、いい感じに煮込まれてる。」
アイオライトも試しに一口食べ、静かに頷いた。
「確かに、十分食べられる。」
鍋そのものはダメになってしまったが、幸い料理そのものが台無しになったわけではなさそうだ。
折角なので人数分の皿に入れ、全員に配って食べることにした。
ロサはスプーンを口に運びながら、悔しそうに唇を尖らせる。
「うぅ……あんなに改造しなければ…もっと完璧だったのに……!」
そんな彼女の前で、バナがスプーンを手に取り、恐る恐る一口。
「……すごくおいしいです! こんな風に料理ができる機械、私ももっと知りたいです!」
その言葉に、ロサの表情がぱっと明るくなる。
「でしょ!? 次こそ成功させるから!」
ロサの目に再びギラリと光が宿り、バナの両手を握る。
カルセドとジルコンは、その様子を見て顔を見合わせた。
「……また、やる気出しちゃったな。」
「次は鍋が爆発しないように頼むぜ……。」
空は青く晴れ渡り、陽の光が彼らを包み込んでいた。
失敗もまた経験のうち——エッシェとアイオライトはそんなことを思いながら、共に鍋の残りを味わい、子供たちを見守った。
後片付けを終え、一息ついた頃——
「そろそろ、大丈夫でしょうか?」
そう声をかけてきたのは、馬車へ戻っていた護衛だった。
彼は額に汗を浮かべ、服は破れ、髪は逆立ち、肩で息をしている。
何があったのか聞くと、先ほどの爆発の衝撃で馬が驚き、飛び跳ね、暴れに暴れ、それをなだめる為に服はボロボロになり、大変苦労したらしい。
「悪いね、お疲れ様。」
アイオライトが声をかけ、彼の分のスープを手渡す。
護衛は小さく息を整えながら、素早く服や髪を整えると軽く頭を下げた。
馬車はすでに整えられ、いつでも出発できる状態だ。バナはそれを見つめ、少しだけ名残惜しそうな表情を浮かべる。
しかし、すぐに何かを決意したように顔を上げ、ロサの方を向いた。
「——あの、もう少しだけ時間をいただけませんか?」
バナの申し出に、一同は彼女の顔を見た。
「ロサさんの工房を見てみたいんです!」
思わぬ提案に、ロサは目を瞬かせた。
「私の工房?」
バナは少し恥ずかしそうにしながらも、続ける。
「さっきの鍋もそうですけど、ロサさんの作るものってすごく面白いです!
それに……エーメスくんを見せてもらう約束も、まだ果たしていませんから。」
その言葉を聞いて、ロサの顔がパッと明るくなった。
「そういえば、そうだった!」
ロサはニヤリと笑い、胸を張る。
「いいよ! 工房ならそこまで離れてないし、馬車を使えばすぐだよ。私たちがキックボードで先導するからね!」
「えっ、キックボードで? …あの、キックボードって片足で乗って地面を蹴って遊ぶあれですよね!?」
バナが驚いたように目を瞬かせる。
「そう! …そういえば、他の街では自転車での移動の方が普通なんだっけ?
でも、うちの町ではこれが普通なの!
なにしろ、キックボードは私のおじいちゃんが作ったんだからね!!」
ロサが得意げに胸を張る。
「とりあえず、俺たちは準備するから。ちょっと待ってて。」
カルセドが言うと、三人は手早く荷物をまとめ、すぐにキックボードに乗りこんだ。
ロサがキックボードを蹴り出し、勢いよく前へ進む。
「じゃ、私たちが先導するから、馬車はついてきてね!」
カルセドとジルコンもそれに続き、三人は颯爽と馬車の前を駆け抜けていく。
バナは、その姿を目を丸くして見つめていたが——
「……あんな速さで進むのですね。」
感嘆の声を漏らしながら、興味深そうにその様子を見守っていた。
カルセド、ジルコン、ロサの三人は、キックボードに乗り、馬車を先導するように町の外れへと向かった。
馬車の中で揺られながら、バナは時折、窓の外の三人を眺めていた。舗装されていない道をものともせず、スイスイと軽やかに進んでいく彼らの姿に、バナは驚きと興味を隠せなかった。
「……本当に、彼らにはキックボードが当たり前なんですね。」
「そうだな…ロサの家が関わっているからな。」
アイオライトが窓の外を眺めつつ、静かに答えた。
「新聞で彼らの活躍が載った時に、軽く書いてありましたが……彼女の両親は、この町でキックボードを製造・販売する工房を営んでおり、さらにその親こそが、キックボードの開発者であるヴィクトル様なのだとか。なんでも、工房内で少し長めの距離を移動する為に、台車に片足を乗せて移動したときに思いついたとされていますね。」
「そうなのですか…ヴィクトル様は、確かかなり有名な技師でしたよね? 蒸気スクーターも彼が作ったとか…」
「はい。十年以上前にヒットした小説『冒険者セリルの物語』では、主人公セリルに蒸気スクーターをヴィクトル様本人が渡すシーンもありますね。」
バナが思い出すように呟くと、アイオライトも話を返す。
「ただ、まぁ……あまりにも…孫娘であるロサ様のことが好きすぎる…と有名な方でもありますね。」
と、ここでエッシェが言葉を選ぶように会話に参加する。
「以前は偏屈な職人といった感じだったらしいのですが…その…孫娘と一緒にいる時間を増やしたいがために、前の工房からわざわざここに移ってきたと聞いています。」
「……ふふっ、それは素敵ですね。」
バナは小さく微笑むと、再びキックボードを駆る三人を見つめた。
やがて、一行は目的地である工房へと到着した。
※ この作品は、アークライト様のアナログゲーム「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作です。
イベントや世界観の発想など、「のびのびTRPG スチームパンク」の二次創作であることには間違いありません。
また、この作品はChatGPTを用いて文章を書き、修正・加筆を手作業で行っています。
ゲーム名:のびのびTRPG
ゲームデザイン:今野隼史
発売元:株式会社アークライト
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