下の階のウルトラマン   作:鳩胸な鴨

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没の理由…「ウルトラマンがデキ婚?神秘性がなくなる!」とチェレーザがキレたため。なお本編


IFという名の没案 「もしルミナスとベリアルがデキ婚してたら」

「ベリアル。デキちゃった」

「………………は???」

 

数ある並行世界の中の一つにて。

ウルトラウーマンルミナスの言葉に、ありし日のウルトラマンベリアルが呆然と口を開く。

心当たりはある。が、まさか本当にそうなるとは思っていなかった。

ベリアルは現実が受け入れ難いのか、恐る恐るルミナスへと問いかける。

 

「い、いや、待て。確かに場の勢いでそういう関係は持ったが…、ほ、本当にか…?」

「アンタ以外とは関係ないんだから、アンタの子に決まってんでしょうが」

「………いやいやいやいや、オレにはマリーという心に決めた女が…」

「マリーならもう人妻だよ」

「ぐっ…」

 

横恋慕の自覚はあるが、こうも突いてくるか。

ルミナスのウルトラマンらしかぬ言葉の刃に裂かれ、呻くベリアル。

ルミナスは子が宿る体をさすり、ベリアルに鋭い視線を向けた。

 

「私としては、うだうだ言ってないで責任とって欲しいんだけど」

「い、いや、オレは更なる力を…」

「アンタがバカやらかしてこの子から父親がいなくなったら、私はどんな手を使ってでもアンタに報復するから。

なんなら、この子にアンタを倒させてもいいんだからね」

「ぬぐっ」

 

自分がやろうとしたことを全て見透かされているような気分になり、更に呻くベリアル。

ルミナスはトドメと言わんばかりに、ベリアルへと詰め寄った。

 

「式はしなくていいから、形だけでも籍入れてよ。お互い独り身だし、勝手知ってる仲だし、躊躇うこともないじゃん」

「………だぁあああっ!!わかった、わかったから!!そう詰めてくるな!!」

「詰めないとアンタ逃げるじゃん」

「ルミナスお前、オレのことなんだと思ってやがる!?」

「初恋とコンプレックス拗らせた挙句流れで同期と子供作っちゃったおっさん」

「その同期お前だろうが!!」

「それが?アンタが責任逃れできる言い訳になる?」

「………………」

 

もはやぐうの音も出なかった。

ベリアルはうなだれ、辿々しく言葉を繋ぐ。

 

「……ケンのような男ではないぞ」

「知ってる」

「マリーのことを未だ引きずってる男だぞ」

「知ってる」

「プラズマスパークに手を出そうかと考えてた男だぞ」

「気づいてた」

「…………っ、はぁあ………」

 

全て見透かされたが故だったか。

まさかこんな強引な手段を取るなんて、と思いつつ、ベリアルはルミナスが求めているであろう台詞を吐く。

 

「わかった、籍を入れよう」

「そうじゃないでしょ」

「……………結婚しよう、ルミナス」

「プロポーズ感ない。やり直し」

「ええいお前!!わがままが過ぎるぞ!?」

「アンタの不毛な恋愛相談受けてやってた分ですー!!今後言いふらされたくなかったら言うこと聞く!!」

「ぐ、ぐぅぅぅうう…っ!!!」

 

ありとあらゆる弱味を握られているベリアルに逆らう術はない。

ベリアルはさまざまな感情を噛み潰し、ルミナスの手を取った。

 

「………け、結婚、してください…ッ!!」

「やり直し」

「何故だッ!!??」

「プレゼントがない、ムードがない、不本意が顔に出てる」

「ちくしょうッ!!!!」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「………って感じで結婚した」

「……なんというか、旦那さんが可哀想になってくる詰め方だね…」

「いいのいいの、あのままだと星の歴史上初の犯罪者まっしぐらだったんだから。子持ち未亡人とか嫌だったし」

 

現代。ゲネガーグの強襲を受け、休養を余儀なくされた私が暮らす地球のアパートにて。

同僚である小林さん、そしてその同居人であるトールさんと酒盛りする中、様子を見に来ていた旦那…ベリアルが苦虫を噛み潰した顔で声を絞り出す。

 

「…る、ルミナス。その…、体は?」

「大丈夫だって。痛みはないから」

「しかしだな…」

「はいはい、大隊長補佐が嫁の大怪我程度で情けない顔しないの」

「聖さん、それ、程度じゃないからね。

私でも1週間有給取るレベルの惨事だからね」

「小林の言うとおりだぞ、ルミナス!

お前、もう少し自分に興味をだな…!」

「そう?デキ婚した嫁なんだし、あんまり気にすることないと思うけど」

「気にするわ!!!」

 

デキ婚だから愛情は薄いだろうし、そこまで気にかけることもないだろうに。

咆哮するベリアルを怪訝に思っていると、トールさんがため息混じりに口を開いた。

 

「そんなに心配なら、ここに留まればいいんじゃないですか?夫婦なんでしょう?」

「それだ!!!」

「いいよ、ややこしい」

「バカ言うな!ここで帰ったらオレが息子たちに白い目で見られるだろうが!!」

「並行同位体のアンタ見られてる時点で今更じゃない?」

「やかましい!!!」

 

そう繕わなくても、我が家の大黒柱に威厳はない。長男なんて、そうなる危険性があった頃を知ってる分、視線がかなり冷たい。末弟のジードも、紆余曲折あって並行同位体のベリアルを倒したせいか、要所要所の対応に哀れみが篭ってた。

なんなら、6人も子供を作った理由もケンへの対抗心なんじゃないかとか言われてるんだぞ。末弟と5人目の年齢が離れてる分、余計に。

そんな私の呆れも知らずか、「今の立場捨ててでもここに居座ってやるからな!」と宣告するベリアル。

荒れていた頃からは考えられないようなセリフにむず痒くなりながら、私は「働いてはもらうからね」と返した。

 

「……私もこの詰め方なら小林さんと…、うへ、うへへへ…」

「小林さんみたいにメンタル強い人には効果ないと思う」

「うへっ!?そ、そんなぁ…」

「おいお前!それだとオレが情緒不安定みたいに聞こえるだろうが!!」

「そうじゃん、拗らせおじさん」

「もう少し敬え!オレはお前の旦那だぞ!?」

「はいはいだんなさまのおーせのとーり」

「棒読み!!!!」

 

「そういう反応するから揶揄われるんじゃないかな」と小林さん。

私に食いつくので精一杯の旦那にその声は届かなかった。




闇堕ちしなかったウルトラマンベリアル…この世界では闇堕ち回避フラグが同期とのデキ婚だった情けねぇウルトラマン。ケンカップルのような仲に落ち着いた。6人の子供をもうけ、育て上げるくらいには家族愛が強い。この後、小林さんの職場に就職する。

小林さん…同僚が6人の子持ちと聞いてびっくり。独り身仲間だと思っていたため、旦那襲来にはそれなりにショックを受けた。

トール…「聖さんと同じ詰め方なら小林さんと一緒になれるかも」と期待したものの、見事に撃沈。このあと、たびたびルミナスに恋愛相談を持ちかける。

聖さん/ウルトラウーマンルミナス…この世界ではベリアルの闇堕ちを身を挺して(意味深)防いだ人。6人も子供産んでるのに「愛情は薄いんだろうなぁ」とか思ってるクソボケ。
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