「シィィイーーーァアーーーッ!!」
雄叫びが響き、オーブダークとキムンカムイを爆炎が弾き飛ばす。
その炎から現れたのは、赤、青、銀の色が複雑に混じり合う、女らしい体格の巨人。
巨人は後頭部から伸びる髪を剣へと変貌させ、その鋒をオーブダークらに向けた。
『今のはウルトラダイナマイト…、いや、爆発してないからそのパクリ技…?
やい、そこのお前!先輩の必殺技はもっとこう、リスペクト込みでギリギリまで頑張ってかぁだぁっ!?』
オーブダークの忠告を無視し、蛇腹剣による連撃を叩き込む巨人。
心なしか、「お前が言うな」と言いたげな苛立ちがこもっているような気がする。
カンナは蛇腹剣を一振りで元に戻す巨人を見上げ、首を傾げた。
「…………聖?」
その声が聞こえたのだろう、巨人…ウルトラウーマンルミナスが頷く。
思わぬ反撃に仰け反ったオーブダークにもその声が聞こえていたのか、彼はワナワナと震えた。
『あのモドキどもの知り合いとは聞いていたが、まさかウルトラマンとは…!
いや、さっきのウルトラダイナマイトモドキといい、あのモドキどもと同類だな!?
先達へのリスペクトもない空っぽなうわべだけの薄っぺらいウルトラマンめ!よくも…』
『お前が言うなーーーーーーーーッ!!!』
ばっつん、と血管が切れたような音と共に、オーブダークのカラータイマーに炎纏う斬撃を叩き込むルミナス。
批評の隙を突かれたオーブダークはその場にうずくまり、更なる批評を浴びせた。
『お、ぉぉおおおーー………!!
い、いまの、ひきょう、今のは卑怯…!!
お前、ウルトラマンとしての誇りはないのかっ!?』
『おあいにく様!!
こちとら正真正銘光の国出身15万年宇宙科学技術局勤務のウルトラウーマンだわ!!』
『嘘はよくないよ?』
『お前が言うなっつってんだろうが!!!』
『あがぁっ!?』
発言全てが自分に返ってくることも自覚せず、失言を繰り返すオーブダーク。
ルミナスが押しているように見えるが、相手は動揺から隙が大きくなっているだけ。
その動揺が薄れたのだろう、オーブダークは起きざまに剣の円を回し、その下に位置する「岩」に似た光を宿す。
『オーブダークロックカリバー!!』
「…………なんか、ださい」
オーブダークが剣を地面に突き刺し、地中でエネルギーによる爆発を起こす。
その一連の動作が滑稽に映ったのだろう、カンナが苦言をこぼしたものの、それは爆発で舞い上がった岩石の雨霰に打ち消される。
襲いかかる岩石を、展開した蛇腹剣で切り落とすルミナス。
が、一部はそれをすり抜け、ルミナスの体に突き刺さった。
「シィ…ッ」
『はいっ、隙ありー!!』
がばっ、とキムンカムイが顎門を開き、廃城を簡単に飲み込むほどの光芒を放つ。
その射線上にはカンナがいる。
ルミナスはそれに気付き、蛇腹剣を盾にしながらブレスを受けた。
「…………ッ」
細身の剣でそれを受け切れるはずもなく、ほとんどを体で受けるルミナス。
急所は守り切ったものの、消耗が激しかったのか、胸に位置するカラータイマーが点滅を始めた。
『おいおい、もうカラータイマー鳴ってるよ?あの兄弟の方がまだ頑張れていたぞ〜?』
「……シィアッ!!」
L字に手を組み、溜めることなく光線を放つルミナス。
オーブダークはそれを前に剣を放り、エネルギーを溜めた。
『まだまだ頑張れるだろうに光線技を使うとは!このやる気なし子のウルトラマンめ!
私の愛の鞭を喰らえいっ!ダークオリジウム光線ッ!!』
オーブダークが放つ光線とルミナスの光線が拮抗し、周囲に衝撃を撒き散らす。
タロウ一家の力を宿している分、威力を誇るものの、能力の低さが足を引っ張っているのだろう。
ルミナスの光線が徐々にオーブダークのものに押され始める。
「ひじり…っ!」
カンナが助けに入ろうとするも、衝突による余波で近づけない。
せめて声援を、と声を絞るカンナ。
が、しかし。そんな声援を嘲笑うように、キムンカムイの顎門が開いた。
「やめて、お父さん!!」
カンナの声は届かず、ルミナスの体に再びキムンカムイのブレスが突き刺さる。
それに怯んだルミナスが光線を切り上げてしまったことで、ダークオリジウム光線もまたその体を貫いた。
「ぅ、ア…」
激痛に耐えかね、その場に崩れるルミナス。
それでも堪えているのだろう、胸にあるカラータイマーの点滅の速度が彼女の消耗ぶりを伝える。
オーブダークはそれを尻目に鼻を鳴らし、空を見上げた。
『負け犬の上目遣い。
さーて、時間も惜しいし、そろそろ…』
ルミナスから目を逸らし、空に開く次元ゲートを見上げるオーブダーク。
それに呼応するように、キムンカムイ、果てはそれをはじめとするドラゴンが飛び立った。
『あばよ』
キザに吐き捨て、そのまま次元ゲートへ飛ぼうとするオーブダーク。
もうキムンカムイを、オーブダークを止める術はない。
次元ゲート周りにはエルマ、ファフニールの反応があるが、オーブダークらを止めるほどの力を割く余裕はないだろう。
「わたしが…!」
負傷中で療養が必要だった聖が、自分のために無理を通した。もう、動けるのは自分だけ。
カンナがそう己を奮い立たせ、ドラゴンに戻ろうとしたその時だった。
次元ゲートが唐突に歪み始めたのは。
『…………………えっ?』
『あーあーあー…、やらかしたねぇ…』
オーブダークにとっては予想外のことだったのだろう、呆けた声が漏れる。
その焦りを感じ取ったのか、近場にいたドラゴンたちが速度を上げて次元ゲートに向かうも、トールたちに撃ち落とされた。
『だ、誰だか知らんが、わかってるのか!?
アレを変に閉じたらやばいんだぞ!?』
『アンタだよ』
『へっ?』
狼狽えるオーブダークに冷水を浴びせるルミナス。
彼女は遠慮することなく、淡々と絶望に満ちた結論を導き出した。
『カンナちゃんのお父さん含む多数のドラゴンを操って、オーブダークに変身して、必殺技を多用してたよね、アンタ…?
それでブルトンの力に注ぎ込むエネルギーが減ったから閉じてるんじゃないかな…?』
『………………………………あ゛っ!?!?』
指摘され、気づいたオーブダーク。
彼が慌てて次元ゲートにエネルギーを注ごうとするも遅く、完全に閉じてしまう。
と。そこを中心に歪みが生じ、怪しげな影を作り始めた。
『まさかドラゴンの操作がエネルギーの消耗を伴うものだったなんてね…。トールさんにできる限り聞いとくんだった…』
笑い声が幾重にも重なる。
影が周囲のドラゴンを飲み込みながら膨らみ、人に近い形へと変わる。
虚空怪獣グリーザ。「存在しない絶望」が、笑い声をルミナスたちに向けた。
聖さん/ウルトラウーマンルミナス…「はい詰んだー」と頭を抱えた。カンナを守るために取った行動が結果的にグリーザ降臨の引き金を引いたことに責任を感じている。なお、オーブダークの作戦を敢行させた場合、オーブダークのヒーローショー中に降臨してたことに彼女は気付いてない。
虚空怪獣グリーザ…ドラゴンたちを取り込んで魔法を覚えたみんなのトラウマ。お腹ぺこぺこ。満たされることはないけど。
ドラゴンたち…ほとんどがグリーザに取り込まれた。ちょろゴンはいち早く退避したので無事。
ウルトラマンオーブダークノワールブラックシュバルツ…とんでもなくやらかしたアホ。グリーザにロックオンされた。