もしリゼロのヒロインがパンドラだったら   作:はかたマン

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※ある二次創作に影響を受けて、もしリゼロのメインヒロインが〇〇だったらという作品を見たくなって作りました。

繰り返しになりますが、前提として本作のヒロインの「パンドラ」は「本物の虚飾の魔女パンドラ」ではありません。

なので闇落ちスバル君を期待してた人には残念ですが、アヤマツルートにいったり、魔女教にはいったりは多分しないはずです。

この通称「コピーパンドラちゃん」は見た目と喋り方は本来のパンドラにうり二つですが、何百年か前に何かが起こった結果、本体から分離した劣化クローンみたいな感じで、パンドラが原作で引き起こした厄災とは無関係です。

ここら辺の設定は色々と考えていますが、もし作品が長続きすれば、どこかのタイミングで説明したいと思います。


一章
第一章 1話 虚飾な始まり


「どうしろって話だよ…てか初期装備が貧弱すぎだろマジで…」

 

ナツキスバルはこれといった特徴のない少年だ。短い黒髪に、高くも低くもない平均的な身長。体格は鍛えているのかやや筋肉質で、安物のグレーのジャージと相まってスポーツマン風ではある。ただし不登校なことはここだけの秘密だ。

 

そんな一般高校生?が異世界に来て所でやれることなんて街を徘徊することぐらいであり、とにかく小一時間そこら辺を歩いていた。

異世界ファンタジーの相場なら、この辺りでチート能力に気づくみたいな展開になりそうだが。

 

「てか食い物どうするよ…コンポタスナックとカップ麺だけじゃ、流石に健全な男子高校の腹は満たされない…てかお湯ないからカップ麺食えねぇ〜!」

 

残念ながら現実はそう都合よくはなく、スバルはうっかりして川に落ちて濡れた服を乾かしながら、リンガ屋の横で明日の食事を心配して途方に暮れていた、そんな時だった…

 

「――もし?こんな所で濡れられていて…どこかお具合でも悪いのでしょうか」

 

背後から、冷たくも優しい声がかかった。

 

スバルが振り向いた先にいたのは、月光を紡いだような白銀の髪と、透き通るような水色の瞳を持つ少女だった。

見た目だけならスバルより遥かに小さい少女にしか見えないが、不思議と幼子とは思えず、その微笑みは超自然的な物とさえ感じられた。

 

「……誰だ?」

 

「あなたの名を先に聞くのが、順序かと思います」

 

「あっ、あーごめん!コホン、俺の名前はナツキ・スバル!通りすがりの……いや、天下不滅の無一文!」

 

「……スバルさん、ですね。よく覚えました」

 

スバルの鉄板挨拶に対して、彼女は静かに微笑んだ。その笑みはどこか現実から浮いているような、達観すら感じられた。

 

「それで君の名前は?」

 

少しだけ間を置いて、彼女は静かに答えた。

 

「名は、ありません」

 

「名前が無い?」

 

「それを必要として来ませんでしたから」

 

その発言に少し困惑したスバルだったが、確か昔の日本では平民には名字が無かったらしい、江戸時代でそうなのだから、異世界では平民だと名前がなくてもおかしくは無いなどと、勝手に納得してしまった。

 

「ただもし、今あなたが名前をつけてくださるのなら、きっとそれがわたしの名前になるのだと思います」

 

「えっ、俺が…?」

 

まるで、絵本の中から抜け出してきたような言葉。

だが、その瞳は、まっすぐにスバルを見つめていた。当然困惑したスバルだが、謎の美少女の出現というイベントの発生に気分が高揚していたスバルは、またしてと異世界ファンタジーだからとそれら全ての疑問を納得してしまっていた。

 

「じゃあ、勝手につけちゃうぞ。えっと……」

 

スバルは考える。長く美しいの髪、水のような瞳、凛として儚げで、それでいて優しい。

中学の頃に読み込んだ神話の本にでてきた、有名なパンドラを彷彿とさせる――だが、スバルとっては異世界に転移させられてきたことこそが災いの箱であり、この街で最初の救いである彼女の存在は、さながら箱の隅に残った希望そのものだった。

 

「……パンドラ。って呼んでも、怒らないか?」

 

「……いい名ですね。始めて呼ばれるはずなのに、なぜだが呼ばれ慣れている気がします」

 

それは、おそらく悪辣なる“本物”が今も背負ってる名前。しかし彼女は、それを穏やかに受け入れた。

 

―――――――――――――――――――――

 

 

「んで結局、腹減ったまんまなわけだが……」

 

パンドラと別れたあと、スバルは一人街をさまよっていた。

別れ際に彼女は「お困りの様でしたら、街を案内しますよ」と申し出てくれたが、これをスバルは断った。

 

もしこれを言ってきたのがおっさんだったらあるいは甘えたかもしれないが、流石に自分より歳の低い美少女に頼りきるのは情けないと、どこかで意地を張ってしまったのだ。

 

(俺一人でなんとかする。とりあえず飯か……)

 

そう考えて、人気の少ない路地裏へと足を踏み入れたその時だった。

 

「……おい、お兄ちゃんよ。ちょっと、金目のもん持ってないか?」

 

路地の影から現れたのは、見るからにガラの悪いチビと大柄な男と、イケてないファッションをした銀髪という三人組のチンピラだった。

 

「やべぇ…強制イベント発生だ」

 

「い、いやぁ、あいにく財布すら持ってなくてだな……」

 

「だったら体で払ってもらおうじゃねぇか!」

 

「意味が違う意味が!」

 

冗談のつもりで返すが、奴らに笑う様子はない。

背後を塞がれ、逃げ道もなくなったことに気づいたとき、スバルは悟る。

 

(落ち着け、ナツキスバル…古来より異世界転生者にはチート能力が与えられると相場が決まっている)

 

(つまりこのチュートリアルでその能力が覚醒して、俺にとっての異世界ウハウハライフがスタートするって訳か!)

 

そうして戦うことを決意したスバルはまず大柄の男であるガストンへと殴りかかった。「ぐふっ!」スバルの攻撃をうけた大柄の男があっさりと倒れ込む

 

そしてその光景をみて、自分の能力は肉体強化系か!などと思ったスバルは小柄なカンバリーを蹴り飛ばした。

 

「ふっはっはっ!アドレナリンダバダバで負ける気がしねぇぜ!さあこれで最後の1人、お前もおれの経験値になれーーーー!」

 

そうしてスバルが銀髪の男であるラチンスに殴りかかる寸前、男は咄嗟に持っていたナイフを取り出し、飛びかかってきたスバルの胸へと突き刺した

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 

スバルの胸元が赤く染まる、この世の物とは思えない痛みに、倒れ込んでしまったスバルは、もうまともに言葉すら発することができない。

 

そんなスバルを見て、いつのまにかカンバリーとガストンも立ち上がっていた。

「おっ、おいやりすぎだぞ!」

「負けてたんだからしょうがねぇだろ!」

「どうでもいいから早く逃げるぞ!衛兵に見つかってバレたら俺達オリの中だ!」

 

そんな会話を横目に、スバルの意識はどんどんと消えてゆく、そして死ぬ事への実感を未だ持てていない彼の脳裏に最後に浮かんだのは、名前をつけて貰ったことに喜ぶ、ある少女の微笑みだった…

 

―――――――――――――――――――――

 

「もし?お困りの様でしたら、街を案内いたしますよ」

 

「は?」

 

気がついたら目の前にはあの時の少女が立っていて

しかも別れた時と同じ言葉を投げかけていた

 

「えっ?は?」

 

状況が全く飲み込めず、急に押し黙ったと思えば周りをキョロキョロと見回すスバルのことを、目の前の少女は不思議そうに見守っていた。

 

「もしかして…君が俺を助けてくれたのか?」

 

「助ける…?というよりも、今から助けさせて頂く所ですが…」

 

「いやでもさっき会ったばかりで、というかなんで目覚めたのに俺立ってて、てか胸の傷!」

 

慌てて胸を触って確かめるスバルだが、確かにチンピラに着けられたはずの傷は綺麗さっぱり無くなっていた

 

「まさか全部白昼夢だったのか?いや魔法かなんかの幻…?」

 

頭を悩ましたスバルは目の前のパンドラを疑念の目で見つめるが、彼女は変わらずきょとんとした表情スバルを見つめるだけで、何かを隠してるそぶりは見えない

 

「なあパンドラ?俺達って前にあった事あるよな」

 

「もし?何かの思い違いではないでしょうか…申し訳ありませんが、あなたと私は初対面のはずです」

 

「…っ!」

 

「どうかされましたか…?」

 

「いっ、いやいいんだ、それよりやっぱり街を案内してくれるか、腹も減ったし、何より始めての街だから右も左も分からなくて…」

 

「ええ…もとからそのつもりでしたし、構いませんよ…ではまずは食事にでも行きましょうか」

 

―――――――――――――――――――――

 

こうしてスバルはパンドラと共に街を歩きだした。

 

そこでスバルは彼女のおごりで現実のハンバーガーの様な食べ物を食べたり、ヨーロッパの都市を思わせる景色をパンドラの解説と共に見せられた。

その全てが現代日本出身のスバルにはキラキラと輝いて見えた。

 

最初にフラフラと小一時間歩いていた時にも景色は見てたはずだが、案内する人の説明があると無いのとではここまで変わる物かと、そういう意味での感心も大きかった。

 

だがそんなパンドラの横で常に笑顔なスバルの感情を常に支配していたのは

 

(この子がめっちゃ凄い回復魔法みたいなの持っていて、こっそり助けてくれたって線もあるにはあるが…仮にそうだったとしても、俺にその事実を隠す意味が分からないな)

 

というさっきの不可解な現象への止まらぬ疑念だった。

 

(やっぱり夢か魔法か、いや、もしかしらあの記憶そのものが俺が転生特典として授かった未来予知系の能力な可能性も…?)

 

そんな感じでずっと裏では頭を悩ましていたスバルだったが、それでも美少女に街を案内して貰ってるのがデートの様だの思って嬉しかったのも事実であり、途中に迷子の女の子を2人で助ける展開なんかもありつつも、その後も約数時間に渡ってパンドラとのデート?は続くことになった

 

―――――――――――――――――――――

 

「あちらが貧民街、それとこっちが貴族街です」

 

「おぉ…すっげぇ景色」

 

「ありがとうございます…お気に召してもらえたようで光栄です」

 

スバルは街の外れにある高台にパンドラと登っていた、そこからみた景色はまさにこの世の物とは思えないほどの絶景に思えた

 

「パンドラ、ほんとにありがとうな…俺この街で1人ぼっちだったから、マジで不安だったんだよ、君に会えてよかった」

 

「いえ…お互い様ですよ。私もこの世界でひとりぼっちの様な物ですから…」

 

確かに街を案内してくれてた割には、スバルは一度として彼女の知り合いという人には会わなかった、まあそれはただの偶然かもしれないのだが、なにより彼女の儚げで神秘的な姿は、街から少し浮いている様に感じた

 

「そうなのか…家族とかは、この街にはいないのか?」

 

「家族は…おりません、産まれてからずっとそうでした……」

 

「…悪いこと聞いたな、ごめん、忘れてくれ」

 

デリカシーの無い発言を反省するスバルだったが

 

「でも、それなら俺とお揃いだな」

 

「お揃い…よい響きですね…」

 

彼女の笑みを見て、スバルは心の底から安心するのだった。

 

しかしそんな話をしてるうちに夕焼けだった空はすっかり暗くなり、すっかり忘れていた現実的な問題にスバルは直面することなった。

 

(てか今日の宿どうするよ…流石にこの子の家に泊めて貰うのはちょっと図々しすぎるっていうか…でも今この子と離れたら、なんかあの夢みたいにすぐ死にそうだしなあ…)

 

そんな風にスバルが思い始めた時のこと、突然空から白い何かが降り出してきた

 

「雪…?てかさっきまで別に冬ってほど寒くなかったのに、なんで突然…?」

 

そしてそんな疑問も束の間、スバルが見ていた景色のある場所、ついさっきパンドラに貧民街という説明を受けた場所のある建物から、突然超巨大な白い何がが出現した。

 

そしてその存在にあっけにとられた直後、スバル達のいた高台に、凍える様な猛吹雪が襲来した。

 

「くっ、やばい…!めっちゃくちゃ寒い」

 

「なんだかよくわかんないけどここから離れなきゃまずいらしいぜ、パンドラ…っておいパンドラ!」

 

彼女はスバルが振り向いたと同時に、パンドラは降り積もった夢の中に倒れこんでしまっていた。慌てたスバルはすぐに彼女を抱きかかえる。

 

「おいパンドラ!しっかりしろ!パンドラ!」

 

「すばる…さん…、なまえを頂けて…ほん、とうに…うれし…」

 

「パンドラ…!パンドらぁぁぁ!!!」

 

彼女はその場で意識を失ってしまう、それをみたスバルは取り乱しつつも彼女を抱えると

 

「どこか暖かくて早く安全な場所、はやく屋内へ…」

 

しかしそんなスバルの身体も数歩歩いた所でもう限界だった、凍りゆく身体が徐々にに動かなくなっていく彼は、その命が終わりゆく直前、最後の意地である言葉を絞り出した

 

「待ってろ…おれが、かならず、きみを…」

 

しかしそれを言い終えることは叶わず、その後数分かけて彼の意識は遠のいていった。

 

―――――――――――――――――――――

 

「もし?お困りの様でしたら、街を案内いたしますよ」

 

「は?」

 

気づいた時には彼はまたしても、彼女に声をかけられたあの場所、あの時間へと戻っていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書くのはかなり先になりますが
どうしても書きたいシーンが4章にあります。
どうかそれまで気長にお待ちください。
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