今回は宗谷がプラネテューヌに帰ります。
その帰り道では・・・何やら不穏な空気が?
それではお楽しみください、どうぞ
ノワールと友達になれた後日、俺はとりあえず一旦プラネテューヌに変えることにした。
三日間で発見したヒーローメモリーは一個だった。
三日目には二日目探索できなかった分、そこいらを探し回ったが・・・ベルトはうんともすんとも言わず、発見できなかった・・・でも、三日間で一個発見できただけでもいいとしよう、どこにあるのかもわからない状況だったんだし。
後はたまにこっちに来た時に探すことにして、俺は今の俺の居場所であるプラネテューヌへ帰るために荷物をまとめ、ノワールとユニちゃんに別れを告げる時が来た・・・。
今いるのはラステイション教会の正面、そこにはお世話になったノワールとユニちゃんのラステイション姉妹が俺を見送ってくれるために来てくれていた。
「なんやかんやありましたが・・・3日間、ありがとうございました」
俺はそう言って頭を下げると、ノワールもユニちゃんもどこか気恥かしそうな顔をしていた。
「そんなに改まらなくてもいいのに、もう私たちは・・・その・・・と・・・とも」
「・・・友達、か?」
「・・・」(こくり
あ、ヤバいこのノワール可愛い。
顔真っ赤にしてそっぽ向きながら何も言わずに頷くこのしぐさ可愛い・・・。
思えば、ノワールとはこの三日間でいろいろなことがあったな・・・。
最初はツンデレしてるノワールを見てはかわいいと思ってたのに・・・それがこの三日間で俺のエクスカリバーを見られるわ、ノワールの下着姿を見れたわ、ノワールのコスプレ姿見れるわ・・・いやはやハプニングはあったが、目の保養になりました、ごっそさんです。
「・・・ねえ、宗谷?しんみりするシーンのはずなのになんでいやらしいにやけ顔になってるのかしら?」
「はっ!?」
しまった、ついこの三日間でのメモリーを振り返ってたらつい顔に・・・
もうすっかりノワールにも俺の考えが読まれるようになっちゃったな、用心用心、と・・・
俺はその場を苦笑いで何とかごまかして、ユニちゃんに視線を移す。
「ユニちゃんも、頑張ってな」
「うん、宗谷さんの言われた通り・・・小さなことから、出来るだけ頑張ってみる」
「大変だぞ?俺だって相当苦労したからな」
「そんなの、私が本気を出せばすぐに終わらせちゃうんだから!・・・えへへ」
「はははっ・・・またな、ユニちゃん」
「またね、宗谷さん」
俺はそう言ってユニちゃんと拳を打ち合わせる。
ユニちゃんとも、この三日間で一気に打ち解けれた気がする。この国に来た時に見た悩んでた表情も、今ではそんなのを感じさせないほどに明るくなっている。
うん、やっぱりユニちゃんにはこういう元気な笑顔が似合う、本当、ぴったりだ・・・。
俺がユニちゃんとこう言うやり取りをしている最中、なぜかノワールはちょっと不機嫌な顔になっていた。あれ?どうかしたのかな?
「どうしたノワール、しかめっ面も萌え的にはなかなかいいけど・・・今はその表情はしてはいけないと思うんだが?」
「別に・・・ただ、ユニとはもうだいぶ仲良さそうねって思っただけよ」
あ~・・・なるほど、友達が自分よりも楽しそうに話すもんだからちょっとやきもちってわけか。全くノワールは友達のことになるとムキになって、可愛いなぁ・・・やっぱツンデレノワールはこうでないと!
おっと、でもさっきのこともあるし、ノワールとも一応友達らしい別れ方をしないとな。
「・・・また、来た時はよろしくな」
「・・・別に、待ってなんかないから・・・好きにすればいいじゃない」
「ツンデレ乙」
「だからツンデレ言うな!!」
「・・・・・はははっ」
「・・・・・うふふ」
もうお決まりになったこのやり取りに、俺達はどちらからともなく笑い出した。
最終的に二人同じ感じの別れ際になったな・・・。でも、似た者同士の二人には、こんな感じが丁度いいのかもな。
せっかくだ、別れの“あれ”もやっておこう。
俺はそのまま、ノワールとの距離を詰めると、その頭に手を置いた。
「ふぇっ!?ちょっ!何するのよ宗谷!」
「いいからいいから」
案の定顔を赤くするノワールだけど、ごめんな、これは俺なりの“別れの儀式”なんだ。
俺の施設では18歳になって独り立ちする時、施設にいたみんなはこうして施設に残っている奴らにこうして頭に手を乗っけてからバイバイするのが伝統なんだ・・・。
頑張ってな、ていう意味を込めた大事な儀式なんだ・・・。
「ユニちゃんも」
「え!あのそんな、あぅ・・・」
ノワールの隣のユニちゃんには反対側の手を乗っけてやる。
そして10秒くらい目を閉じて、念を送る・・・。
――――・・・二人とも、頑張れ
そう願いながら俺は彼女たちの頭に置いた手をゆっくりと戻した。
二人とも、若干顔が赤いまま頭を気にしてか自分の手で触ったりする。
「今のは何よ?急にされたからびっくりしたじゃない・・・」
「まじないだよ、また会いに来るって言うな」
「・・・・・・そう」
ノワールはただそれだけ言ってそれ以上は聞かなかった。ユニちゃんも同様だった。俺はそのままラステイションで買った荷物の入った鞄を肩にかけて、さながら滞在番組の最後のシーンみたいに手を振りながらその場を後にする。
ノワールもユニちゃんも最初は小さく手を振る程度だったけど、離れて行くにつれてその手の振り方は大きなっていった。
「宗谷~!あなたの部屋!残しておくから~!!プラネテューヌが嫌になったら別に来てもいいからね~!!」
最後にノワールのその言葉を受けて、俺のラステイションでの三日間は幕を閉じた・・・。
はい!なんかラストシーンっぽい下りはこのへんにして!
ここからは俺の帰宅シーンです!
え?どうでもいい?
バカ野郎!帰り道はフィールドだ!これもまた冒険の一つ!家に帰ってただいまと言うまでが遠足だ!おやつは300円以内です!・・・あ、関係ないわこれは・・・。
と言うわけで、俺は今なんとかラステイションの国境を越えてプラネテューヌの国境に入ったところだ。
後はこの山道を抜ければ、我が家の待つプラネテューヌはすぐそこ!・・・なんだけど・・・。
この山道、結構険しくてきついんだよね・・・モンスターもいるし・・・。
せめて誰かと一緒なら割かし速く進めるんだけどなぁ・・・。
一人でもんもんとちまちま進むのってなんかさびしいんだよね、俺たぶんソロプレイには向いてないと思う、うん、今実感した。
まあ、誰もいないし今さら文句言っても・・・
―――・・・・・・ぁぁぁぁぁぁあああああああ
ん?
なんだ?どこからか声が・・・
でもあたりを見渡しても誰もいない・・・
これは・・・まさか空耳!?知っているのか!?うん聞いたことがある!!
―――・・・ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!
いや、ネタしてる場合じゃねぇって・・・。
ていうかこれ空耳じゃないだろ、完全に人の声だし、どんどん近付いてきて・・・
ん?近づいて?
と言うより、これって・・・なんか上の方から聞こえない?
恐る恐る俺は首を上に向けると・・・
「あああああああああああ!!どいてぇぇぇえええええ!!ソウヤどいてぇぇぇぇぇえええええ!!」
「ネプテューヌ!?何でパラシュートもなしにスカイダイビングしてんの!!?」
親方!空からネプテューヌが!!
ってだからネタやってる場合じゃないんだって!!これマジでしゃれにならないって!結構なスピードで落ちてきてんだけど!?どうしよう!?
それになんか・・・このままいったら・・・
高確率で・・・
俺のとこに・・・
「ねぷぅぅぅぅぅぅうううううううう!!?」
「のぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおお!!?」
―――――ズドォォォォォォォオオオオオオン!!
もう少しさ・・・ゆっくり落ちてきてほしかったな・・・飛行石でも何でも使っていいからさ・・・。
でなきゃ、こんな事故・・・怒らなかったのに・・・
「いやぁ、ごめんねソウヤ!いーすんに起こされて迎えに行ってこーいって、朝早くに言われてさー、女神化して飛んでたら余りの眠たさについうたた寝しちゃって、気が付いたら・・・・・・」
「・・・女神化したお前はしっかりしてると思ってたのに・・・」
おかげでそこいらが痛くてしゃあないわ・・・。
ていうか、よくあんな高さから落ちてきたのに・・・何でネプテューヌは無傷で、俺はダメージ入ってんの?いくら俺の上に落下したからってそれはおかしいんじゃないかな?
「あははははは・・・・は・・・ソウヤ怒ってる?」
「・・・むしろ謎が多すぎて怒る気力もない・・・」
「いやぁ、あはは・・・なんかごめんね?」
「・・・はぁ・・・もう慣れたよ」
全くこいつは・・・いつもなんかとんでもないことしてくれるよ。
クエストの時とかは結構頼りになるんだが・・・普段のこいつは仕事しない癖に妙に行動的だから、いつもいつも振り回される・・・。
本当、初めて会った時はもっとおしとやかな人だと思ったのに・・・。
・・・・・・でも、まあ、いーすんが言ったからとはいえ、迎えに来てくれたのは・・・ありがたいけどさ・・・。
今、俺とネプテューヌは二人並んで山道を歩いてる最中だ。
予想外すぎるダイナミック登場でいろいろと文句は山ほどあるが・・・この際それは我慢して、俺はネプテューヌと一緒に山道を進んでいる。
「ねえ、ソウヤ、ノワールのとこで何したの?やっぱりメモリー探し?」
「ん?まあ、主にそんなとこだ・・・後は個人的にやりたいことを、少しな」
ちなみに個人的にやるたいことというのは、ノワールとユニちゃんとの距離を縮めることだったりするのと・・・完全に予定にはなかったがコスプレもその一つだ・・・。
「え~?なに?やりたいことってな~に~?」
「うるさい教えない!これは男の秘密だ!」
「むー!いいじゃんソウヤのケチ!」
そう言って頬を子供のように膨らませるネプテューヌに、俺は小さなため息をひとつ返してこいつの頭をこつんと小突いてやる。
「あいたっ!?・・・またソウヤがぶったぁ!」
「とりあえず帰ったらプリン奢ってやるから、それ以上は聞くな」
「え、ほんと!?やたーーー♪ソウヤ太っ腹!よ、イケニート!!」
「だれがニートだ!今はちゃんと働いとるわ!!」
まったく、ネプテューヌとのやり取りは結構労力がいるんだよな・・・。
こういう風に隣に来ては俺をいじりながら駄弁って、遊んで、一緒にダンジョン回ったりして、たまにいーすんに怒られて・・・。
こっちに来てからというもの、こいつのおかげでいろいろ振り回されっぱなしだ。
・・・でも、なんだかそれがやけに楽しかったりするんだよな・・・。
おかげで暇することがないし、いーすんに怒られて落ち込んでもこいつといると自然と落ち込まなくなる・・・。
本当、こいつは・・・ネプテューヌはすごいよ・・・。
「・・・俺、お前が羨ましいわ」
「え?なんで?どうしたの急に」
「いや、別に・・・ただ、何となくそう思っただけだ」
「ふーん・・・でもさ」
ネプテューヌはそう言うと俺の前に出て、くるりとその場でターン、彼女ん吐いている短めのスカートが一瞬ふわりと舞う。・・・これはこれで・・・いいな、特にちらりと見える太ももとか・・・。
そして、俺の方を向くとじっと俺の顔を見つめる。
「ソウヤも、いつもいつも毎日楽しそうにいるから、私はそれも凄いなーって思うけどね?」
「・・・そうか?」
「うん!だっていーすんとおしゃべりしてる時とか、ネプギアとロボットの話してる時とか、あいちゃんと漫画の話してる時とか、こんぱとお料理作ってる時とか、私とゲームしてる時とか・・・それと・・・えっと・・・」
「ああ、もういい、分かった、少なくとも普段みんなとどう接しているのか改めて分かったから!」
これ以上言うと長くなりそうなので程よいところで彼女の口を止めておく。
確かにそれはよくみんなからも言われることだ、いーすんにも前に言われたことがあるしな。
でも、それでも、俺はネプテューヌの方が断然すごいと思うけどな。だって俺がこっちの世界に来てから、こいつが落ち込んでたりとかテンション低くなったりしてる姿を見たことがないからだ。
悩みの表情とか、一切見受けられない位に・・・。
自分で言うのもなんだけど、俺は結構人の表情を読み取るのにはすごい自身がある、施設の中でも一番そういう能力を持っていた。
そんな俺だからわかる、こいつには全く悩みの一つもないってことが・・・。
それが、俺にとっては羨ましい・・・。俺にだってたまに悩むことはあるからな、そこは俺から見ても羨ましいところだ。
「ま、今はゲイムギョウ界も平和だし、楽しく行こうよ!せっかくソウヤも異世界から来たんだしさ♪」
「・・・まあ、人生で一生ないくらいのイベントだしな、今はそうするか」
どうせ、戻れるかどうかも分からないんだしな。
ならいっそ、この状況を楽しむしか、ないじゃんか。
・・・さて!シリアスムードはこれくらいにして・・・
「うっし!じゃあどっちが早くこの山道を抜けれるか競争と行くか?」
「お!いいじゃんいいじゃん!さんせー!・・・で、私が勝ったら何くれるの?」
む・・・、そう来るか・・・
懐的にはだいぶ余裕があるからいいが・・・はてさてどうしたものか・・・
・・・よし決めた!
「丼プリンの方を買ってやる」
「決まりだね!じゃあ早速はじめよう!よーい、ドン!!」
俺が賞品を提示した瞬間、ネプテューヌは一瞬でクラウチングスタートの体勢をとり勝手にスタートした。
って、うぉいっ!!
まだ俺が勝った時の賞品を提示してないだろうが!!
フライングフライング!今のノーカン、ノーカン!!
だからネプテューヌ!止まってぇぇぇぇぇぇえええええ!!カムバァァァァァァァック!!!
一体何がどうしてこうなった?
状況を整理しよう、俺はフライングしたネプテューヌを追って全力で走って追いかけ、なんとか追いつくのには成功した・・・。
でも、なぜか合流した時にはもう既にネプテューヌは呆然と立ち尽くしており、それが何かと視線を目の前に向けて見れば・・・。
目の前にはモンスターの群れが立ちふさがっておられましたとさ・・・
・・・どうしてこうなった?
どうやら群れをなしているモンスターは・・・“リザードマン”のようだ。
この世界で言うリザードマンは体が丸っこくて背中に羽が生えているから、特徴的すぎて覚えやすいわ、うん、シルエットで分かるキャラクターって大事。
あれ、でも前にいーすんに教えてもらった時は・・・こいつらここより上の山奥にいたよな・・・。
俺とネプテューヌが呆然と立ち尽くして3分、ここでブイホに着信が入った・・・おお、いーすんからだ。
俺は“いつでもいーすん”を起動、いつもの如くホログラムいーすんを呼びだす。
『あ、宗谷さん!今そちらにネプテューヌさんはいらっしゃいますか?』
「ああ、隣にいるよ?」
「私はここにいるよ~?」
『なら、合流できたんですね、良かった・・・実は一つ、ネプテューヌさんに言い忘れてたことがありまして・・・』
いーすんはそう言うと少し困り顔になって俺とネプテューヌを見上げる。
・・・なんだろう、嫌な予感しかしない・・・
『実は今、そちらの山道で山の奥にいるモンスターの群れが山道にまで降りてきていると報告されていたのですが・・・』
「・・・いーすん」
『はい?』
「・・・それってさ、こいつら?」
俺はそう言うと、丁度いーすんに俺達の正面の状況が見えるようにブイホを動かす。
今いーすんには、俺達の目の前の状況もありありと見えているはずだ。
『ああそうですそうです!リザードマンが・・・って、もしかして・・・遅かったですか?』
「「・・・うん」」
いーすんが若干ひきつった笑みで俺達の方を振り向くと、俺とネプテューヌは二人同時に首を縦に振る。
だってもう、向こうは完全にやる気満々だからね?見てよあの目、爬虫類の目に見えないけど明らかに俺達のこと敵視してるもん!手に持ってる斧めっちゃちらつかせてきてるもん!絶対俺達のこと殺る気満々じゃん!!
全くいーすんは変なとこでやらかしてくれるな・・・。調べ物の長くて三日はかかるし・・・。
『・・・すみません、私がもっと早く宗谷さんに連絡していれば・・・』
そう言って申し訳なさそうに肩をすぼめて謝るいーすん。
普段真面目できっちりしていそうないーすんがこういうリアクションをとると・・・なぜか妙にすべて許せてしまうのは俺だけだろうか?
「もー!いーすん!こう言うのはもっと私に早く言ってよ!!」
どうやら俺だけの様だ。なんだかんだでいーすんとの付き合いが一番長いせいかな?
いーすんはネプテューヌにそう言われた瞬間、むっ、とネプテューヌを見上げる。
『だってネプテューヌさんのNギアに連絡したのに出なかったじゃないですか!』
「あれ?・・・あ、教会に忘れてきちゃった・・・」
『・・・ネプギアさんが見つけました・・・リビングに忘れてたようです・・・』
・・・いるよね、肝心な時に家に携帯忘れてるやつ。大体そう言う奴は近場のコンビニとかに行ってるからどうせすぐ戻るし~、みたいな感覚で置いてくんだよな。
「・・・どっちもどっちだな・・・」
『「ごめんなさい・・・」』
とりあえず、今回は両方に非があると言うことで今はこの状況を何とかするのが先決な気がするんだが、さて、やれるかどうか・・・。
「けどまぁ、なんとかなるって!だって・・・」
ネプテューヌが俺の背中をポンとたたいたので、俺は彼女の方を向くとかわいらしいウィンクをしてきた。
何を言いたいのかはわからんが・・・とりあえずウィンクは萌えポイント高かったから良しとしよう。
「私とソウヤの二人が居るんだしね!」
ああ、なるほどね。
確かにそうだわ、その言葉が今一番いい・・・やる気が出る言葉だ。
確かに、今一人だったら絶対無理って思えてたかもしれない、けど、その言葉で安心できた・・・。
誰かと一緒に立ち向かう、それが俺を奮い立たせるのには十分すぎる特効薬だからな。
今も・・・昔も・・・。
俺はいーすんの頭をいつものようにちょいちょいとつつくしぐさをする。
つつかれた感覚は彼女には伝わらないはずだ、ホログラムをすり抜けるだけで特に何も感じないはずなのに、いーすんはそれに気付いてか俺の方を見上げた。
俺はただ笑顔を浮かべて、一言。
「ちょっと寄り道するけど、昼飯までには帰るから」
それを聞いていーすんはぼんやりとしていたが、すぐにいーすんはこくりと小さくうなずくと俺と同じように・・・
『早く帰ってこないと、お二人の分冷めちゃいますからね?』
そう言ってあの優しい笑顔を見せてくれた。
うん、やっぱりいーすんの笑顔は癒されるわ・・・。帰ったらいーすんとラステイションでの話でもしようかな?・・・俺のエクスカリバー事件は置いといて・・・。
俺はおう、と答えるとブイホのリンクを切り、すぐさま“変身アプリ”をタップする。
「そんじゃ、行きますか?ネプテューヌ」
「オッケー!それじゃ・・・」
ネプテューヌはそのまま光に包まれ、俺はブイホを握りしめる。
「リンク・オン!!」
赤い光の文字列、数式のサークルが俺の頭と両手、両足に集まる。
それはやがて装甲となり、俺を変身状態にしてくれる。
ネプテューヌも、俺が装甲を装着すると同時に変身が完了し、女神化した姿、パープルハートの姿になる。
女神化したネプテューヌは俺を見て何かに気づいたらしく、俺の足もとをじーっと見てきてる。
「あら?・・・ソウヤ、アーマーが増えたのね、修行の成果かしら?」
「そゆこと、そんじゃついでに見せてやるよ」
俺はネプさんにブイホをネプさんに見せて、右手で赤剣を呼びだし、握る。
「俺の新スキル」
俺がそう言った瞬間、痺れを切らしたリザードマンの群れが一斉に努号を上げてこちらに向かって来た。
おいおい、まだ決め台詞言ってないのに・・・がっつくと嫌われるぞ?
「今日は決め台詞はお預けかしらね?」
「冗談、これだけは絶対に言ってやるよちくしょー」
そんな俺の心境を知ってか知らずか、ネプテューヌはそう言って頬笑みを浮かべた。
・・・だからなんでこいつ一人でこんなに萌え属性に違いがあるわけ?一度で二度おいしいってこと?
まあ、それは置いといて・・・。
俺は赤剣の切っ先を迫るリザードマン達に向けて・・・すっかり俺のお気に入りになったあの言葉を放つ。
「さあ、ゲームスタートだ、コンティニューは効かないぜ?」
・・・うん、決まった!!
それからすぐさま、戦闘に入った。
俺とネプテューヌは二人背中を守るように戦っている。
後ろでは甲高い金属音が響き、俺は迫るリザードマンの斧を回避していき、隙あらば反撃を加えて行く。
しかし数が多いな・・・。
ちまちま攻撃してても埒が明かない・・・。
そろそろあれ、使うか。
俺はブイホをポケットから取り出し“スキルリンクアプリ”の一番最初のアイコンをタップ。スキルリンクを使用する。
もうこの際出し惜しみするつもりもないからな、さっきネプテューヌにも云った手前、今日は出血大サービス!見せてやるよ、俺が主人公たちからもらったスキルリンクを!!
『Skill link! Sword art online』
まずはキリトからもらったスキル、特に名称とかは考えていない。
なぜかというと、スキルリンクはその主人公たちの力の一部を一時的に接続する、そのため何が起きるかは俺にも未知数だ。スキルによってそれぞれ特徴が違うからな。
スキルによって能力が上がったり、技が使えたり、武装が出たりってとこだ。
“スキル ソードアート・オンライン”は前にエンシェントドラゴンに使ったように、剣による攻撃をさらに向上させる能力、“スキルアップ”の類だ。
おかげで、今の俺は赤剣をいつも以上に早く振るうことができるし、敵の急所に的確に剣撃を撃ち込むことができる。
「・・・シッ!」
目の前に飛びこんできたリザードマンの斧を赤剣で上にはじき、そのまま胴体に刃を斜めに振り下ろし、撃退!
いつもはやみくもに振るってる赤剣が自由自在に、より鮮明に俺の手元になじんでくる。
まだ、お前のことは使いこなせてないみたいだからな・・・いつか自分で扱える時が来るまで、その時まで待っててくれよ。
なんて言う念をこいつに送りながら、俺は目の目にいるリザードマンの盾に連続3連撃を叩きこみ、後ろにのけぞったところをとどめの刺突を繰り出して二体目を倒すと、一旦赤剣をベルトに戻す。
次は赤剣を使う必要はないスキルだからな。
俺はすぐさま次のアプリをタップ、起動する。
『Skill link! Street Fighter』
「っしゃあ!!」
次は“ストリートファイター”のリュウからもらったのスキル、“スキル ストリートファイター”。
このスキルはいたって単純、ある技を使用することができるようになる“スキルアビリティ”だ。
俺の拳に赤い光が収縮し、ひと際大きく輝いた瞬間気合を入れ両足を開き腰だめの体勢を取り・・・。
リザードマンのうちの一体が、俺の目の前に着た瞬間に・・・。
地面を思い切り蹴り、体中の力を右拳に集中させて、上へと突き上げる!!
「ドラゴンライジング!!」
―――バッッキィィィィン!
拳はリザードマンの顎にクリーンヒット。
とてつもない鈍い音と共にリザードマンはくるくると宙を舞ってそのまま光となって消滅!もし相手が人間なら確実に当分は流動食のお世話だな・・・うん
ちなみにドラゴンライジングはリュウの技の代名詞、“昇竜拳”にちなんでいる。
『Skill Link! ULTRAMAN』
はい、まだまだいるので次に行きます!だってお昼までに帰るって約束したから!
次のスキルリンクは“スキル ウルトラマン”。このスキルにもまた違う特徴がある。それは・・・。
―――ガシィンッ!
武装を呼びだせる、通称“スキルウエポン”。
今、俺の両腕には赤と銀の機械のガントレットが装備された状態だ。この武装は一応“スペシウムコネクター”と呼んでいる。
なぜ、スペシウムコネクターかと言うと・・・。
「発射ぁ!!」
腕の十字にクロスさせることで腕から光線を放つことができるからだ。まんま、ウルトラマンのスペシウム光線のように。
本物よりか威力は抑えられていると思うんだけど・・・それでも威力は抜群、次々とリザードマン達が光線に焼かれ消滅していく。
リザードマンを数匹纏めて無双、前の俺じゃ無理なことだったのになぁ・・・、頑張ってよかった修行。
―――ザシュ!
「おろ?」
不意に俺の後ろで妙な音がしたので、振り返ると俺の後ろにはネプテューヌがあの機械じみた刀を振り下ろした姿勢で立っていた。
「背中ががら空きよ?」
「こりゃどうも」
どうやらいつの間にか背後にリザードマンが近づいていたようだ、それをネプテューヌが助けてくれたみたいだ。
いやぁ、油断大敵・・・全く俺もまだまだだな。
それにしてもきりがないな・・・。どんだけいるんだよこの群れ、火星で進化したじょうじばりにいる気がするんだけど。
「ソウヤ、あなたの新スキルは?私まだ見ていないのだけれど」
「お、そういやまだ使ってないな・・・それじゃ」
俺はブイホを取り出して新スキルアプリをタップ。
このスキルならかなり数を減らせるかもな。
『Skill Link! NARUTO』
“スキル ナルト”を使用した俺の体が赤く発行、そしてその光・・・いや、正確には俺の体そのものが分裂するかのように別れ、俺自身が5人ほどに増えた。
そう、所謂、影分身の術だ。
たぶんこれはスキルアビリティなんだろうな。
分身した俺は両端の二人が素手、中側の三人が赤剣を握っている状態だ。
「へぇ、なかなか面白い能力をもらったのね」
「まあな」
「でも、すごいのはここからだぜ?」
「ああ、あとネプテューヌは俺達の動きに合わせてくれ」
分身した俺達五人のうちの三人がネプテューヌにそう言うと、ネプテューヌはきょろきょろと俺達を見比べて少し困った顔になった。
「・・・ちなみにどれが本物なの?」
「「「「「俺」」」」」
「冗談はやめて頂戴・・・本当に」
「あ、ばれた?」
さすがにこの状態のネプテューヌには見透かされるか、そう、今のは冗談で言った。ちゃんと分身には分身としての自覚がある。本体の俺は真ん中の俺だけだ。
さて、冗談はこれくらいにして・・・。
「行くぞお前ら!!」
「「「「おう!」」」」
俺達は一斉に走り出し、リザードマンの群れに突っ込んだ。
素手の二人は正面にいるリザードマンの顔に正拳突きを見舞ったり、蹴り込んだり、頭突きしたり、地面に投げ飛ばしたりして次々となぎ払っていく。
三人の剣持ちの俺達のほうは互いをカバーしながら赤剣をふるいリザードマン達を切りつけて行った。
本体の俺が正面のリザードマンを横一文字に切り、横合いから飛び出してきたのは左側の俺が防御、右側の俺が背後に近づいた奴を切り捨て、すぐさま正面にいる本体の俺と横から来たやつにとどめを刺す。
と言ったコンビネーションで次々とリザードマンの群れを掻きわけながら進んでいく。
後ろにいたネプテューヌも剣持ちの俺達に続いていき、同じようにカバーしあいながらリザードマンを蹴散らしていった。
このままいけばそうそうやられることもないな・・・。
「ソウヤ、頭借りるわ!」
「え!ちょっふげっ!?」
「「「「俺ー!!?」」」」
お、俺を踏み台にしたぁ!?
突然ネプテューヌが俺の後頭部を踏んで跳躍した、そのせいで俺は前のめりになって転倒した。分身の俺達が俺を心配してくれて声を上げるのが聞こえる。
一体何なんだネプテューヌ・・・。
俺がそう思って頭を上げると、ネプテューヌは右手を天に掲げ、そのままその右手をリザードマンの群れめがけて振り下ろした。
「三十二式!エクスブレイド!!」
どこからか現れた光が集まり、たちまち形成された光の大剣が群れめがけて降下、直撃して光の柱を作り一気に敵の数を減らした。
「ふぅ・・・決まったわね」
「犠牲も多かったけどな・・・」
「え?・・・あら」
そう、このスキルの難点は本体の俺がちょっとでもダメージを追うと・・・すべての分身が消滅することにある・・・。
さっき踏み台にされて転んだせいで・・・俺の分身たちは全員消滅したわけで。
「ごめんなさい、知らなかったの・・・」
そうやってしゅんとなるネプテューヌ。
ああ、いいねその表情、こう、大人の女性のしゅんとなった表情ってグって来るね!
俺はさっと立ちあがりズボンの土を払い落すとポケットのブイホを取り出す。
「いいよいいよ、もうだいぶ数も減ったし!それじゃ、最後はこれで決めるかな?」
『Skill Link! One piece』
俺はそう言いながら五つ目のスキル、“スキル ワンピース”を起動すると俺の右手が一瞬赤く光る。でも何も装着されないまま光は消えた。
でもこれでいい、このスキルはある意味、スキルウェポンに近いからこれで武装したも同然なんだよな。
「うっし!頑張っちゃおっかな!!」
右手で赤剣を握ったまま大きく腕を横なぎに振るうと、真っ赤な、本当に真っ赤に輝く腕が俺の拳から伸び、それは赤剣と同じ形のエネルギーでできた剣を持ったまま群れを横なぎに切りつけた。
そう、これがこのスキルの力、さながらゴムのように伸縮自在なエネルギーの塊を形成し、それを鞭の如く振るうことで、離れた敵にも攻撃できるすぐれものだ。
予想外の攻撃に、隣にいたネプテューヌも関心めいた眼で俺を見ていた。
よし、このまま一気に押し切るか・・・と思ったら・・・。
「あら?・・・どうやらもう向こうに戦う気はないみたいね」
リザードマン達はこれ以上向かってくることもなく、次々と山の方へ逃げて行った。
どうやらこれ以上やってもやられるばかりだと判断して撤退したんだろう。
もうちょっとこのスキルを使いたかった気もするが・・・まあ、よしとしよう。
リザードマンが全部逃げて行ったのを確認すると、俺とネプテューヌは変身を解いて元の姿に戻る。
「すごいねソウヤ!少し見ない間にあんなのまで使えるようになって!」
「男子三日会わざれば括目せよ、ってな?・・・まあ、それまでがしんどかったんだけどな・・・」
本当、あの修行は鬼だった・・・。
今でも思い出すのでさえ嫌なほどだ、ナルトとルフィには悪いけど。
「それにしても、何で山にいるはずのモンスターがここまで降りて来たんだ?」
「さぁ、何でだろうね?・・・あれ?ソウヤあれって・・・」
ふとネプテューヌが指差した方向に、俺も視線を向けると・・・。何やらきらきら光るものが見える。気になって俺達が近づいてみると・・・。
「ヒーローメモリーだ!」
ラッキー!どうやらあいつらのうちのどれかがヒーローメモリーを持っていたようだ。逃げ去っていく途中で落としていったみたいだな。
このメモリーには5のマークと5つの星のマークが刻まれている。
「やったじゃんソウヤ!これでまたフルコンプまで近づいたよ!」
「おう!何個あるかは分からないけど!」
ついはしゃいで、ネプテューヌとハイタッチをかわした。
でもまあ、これもこいつのおかげだろうな・・・。たぶん俺一人だとあんなにうまくは戦えなかっただろうから。
やっぱこいつが居てくれると、どんなモンスターと戦うことになっても負ける気がしない。
こいつにはどこか、そういうものを感じる・・・。
「ん?どうかしたの、ソウヤ」
「別になんでもないよ・・・そんじゃ早速・・・」
「?」
俺はそう言ってヒーローメモリーを近くに置いておいた自前の鞄の中に入れて肩に担ぐと・・・。
トップスピードで走りだし、山道を走る!
「競争の勝者は俺だーーーーー!!」
「ええ!?ずるいー!!ソウヤ不意打はずるいよーーー!!」
フライングしたお前に言われる筋合いはねぇ!!
この勝負、なんとしても俺が勝つ!!
と、心に決めてはいたが・・・結局、俺の体力がつきて・・・競争はネプテューヌが買った。
変身してないとこんなに体力ないのな、俺・・・。
二人教会に帰るころには、俺はネプテューヌに肩を貸してもらっている状態で、まさに戦場から帰還した戦士の様だった・・・。そのせいでいーすんがかなり驚いていたのは・・・言うまでもない・・・。
とにもかくにも・・・
俺はこの日、プラネテューヌに帰ってきました。
いかがでしたか?
今回はスキルリンクを今持っている限りを出してみました。
といっても、まだ五つしかないんですけど・・・。
さて、次回・・・はネプテューヌのノベライズ版が舞台になります!ルウィー編はその後になります。
それではご期待ください、またお会いしましょう!