超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

最近学校のテストで執筆にとりかかれなかったのですが、ようやくコラボ第3話が書けました(汗

今回のお話の見所は……緋色の女神と非情な嵐の運命!

クロスオーバーバトルが展開される大コラボ企画第3話!

お楽しみください!


XXstage,3 修羅の道、認めたくない運命

 

 

勝ち気な笑みを浮かべて宗谷と目の前に屯するインべスの群れに向けてそう言い放ったヒロミ、突然前に出てきた自信満々の少女の言動に対して警戒を強めたのか、はたまた自分たちを舐めているかのような言動に苛立ちを感じたのかインべス達はより一層唸り声を強くしてヒロミに今にも向かっていきそうな雰囲気を放っている。

そんなインべス達を相手取ろうと宣言するヒロミに宗谷は慌てて駆け寄る。

 

「おいおいヒロミちゃん、相手は一応本物のインべスなんだぞ? いくらヒロミちゃんがもう一人のヒロムでもさすがにあの数を相手するのは…」

 

「心配性だね宗くんは、でも大丈夫! ここはお姉さんに任せなさい♪」

 

目の前にいる数十体のインべスに警戒という物を感じていないかのようににっこりと笑顔を浮かべて後ろにいる宗谷にそう言ったヒロミ。

それ程に自信があるのだろうか、宗谷がふと頭の中でそんな疑問を感じていると……。

 

 

「っ! ヒロミちゃんやばい! もう来てる!!」

 

 

宗谷の方に振り向くために後ろを向いたその僅かな隙を狙って、インべスの内の一体が鋭利な爪を振りかぶりヒロミに襲い掛かろうとしていたのだ。

この事態に宗谷はすぐさま赤剣を構えてヒロミを手助けしようと走り出そうとする。

 

 

 

だがしかし…。

 

 

 

「不意打ち……大歓迎!」

 

 

 

振りかぶった爪をインべスが振り下ろそうとしたまさにその瞬間、鈍い音と共にインべスの身体が僅かに揺れた。

というのも、インべスの体を揺らした原因というのは今ヒロミがインべスの腹部に打ち出した素早い肘鉄によるものだった。

不意打ちを先読みし、タイミングを合わせてカウンターを放ったのだ。

ヒロミのまさかの一撃に僅かにたじろいだインべス、そしてあまりにも素早いカウンターに一瞬何が起きたのか理解できなかった宗谷、だがそんな一人と一体の思考なぞ一切考えることなく、ヒロミは次の行動へと移った。

 

「ほらほらほらぁ!」

 

すぐさまインべスと向き直ったヒロミは右ストレートから左フック、ミドルキックと連撃を撃ち込み、とどめとばかりに鮮やかな跳び回し蹴りをインべスの頭部に打ち込んで不意打ちを仕掛けてきた下級インべスを返り討ちにしてしまった。

鮮やかな一蹴を受けて回転しながら地面に倒れ伏したインべスをぴょんと飛び越えるようにして乗り越えたヒロミは後続にいるインべス達を水晶のような瞳で見据える。

 

「さてさて、こんな卑怯なことをしちゃう悪い子ちゃんにはきっちりお仕置きしてあげないとね……」

 

ヒロミはインべス達に向けてそう言いながらゆっくりと右腕を差し出すように伸ばした。

そして、手首が翻ったと同時、彼女の右手の指がパチンという軽快な音を鳴らす。

するとフィンガースナップの音を合図にしたかのように、突如ヒロミの目の前に淡い光の輝きが集束しぽんと弾けた、その弾けた光の中からある物が姿を現した。

 

それは一つの結晶だった。

 

宗谷のベルトのマークと同じ、まるでパソコンの起動マークのような形をした結晶、淡い光を放ちながらヒロミの手の中で浮遊するその結晶を目の当たりにしたとき宗谷と、そしてさっきまで戦意喪失状態だったイストワールまでもが正気に戻り、その視線を一気にその結晶へと向けた。

 

 

「ヒロミちゃん、それって……!」

 

「………“シェアクリスタル”」

 

 

それは女神の力の源である結晶、“シェアクリスタル”そのものだった。

 

ヒロミは右手に浮かぶシェアクリスタルを一瞥した後、宗谷とイストワールの二人に向けてウィンクを一つして、右手に浮かべているシェアクリスタルに軽く口づけをした。

 

「さぁ、“逸れ女神”なれども暴れるよ!」

 

そう言い放ったヒロミは右手のシェアクリスタルを勢いよく、天高く掲げる。

 

そして……!

 

 

 

「変身!」

 

 

 

たくさんの変身ヒーローが言い放ってきたのであろうその一言と共にヒロミはシェアクリスタルを自身の胸に押し当てた。

その瞬間、彼女の身体が眩い光に包まれる。

まるで輝く太陽の如き激しい光に宗谷は咄嗟に目を覆う、まるで光と共に熱気が発生しているのではないかと思えるほどのエネルギーの流れ、それを肌で感じた後、光が収まったのを感じて宗谷が恐る恐る目を開けると……。

 

そこには、見たこともない“女神”の姿があった…。

 

火山の中で燃え盛るマグマのように赤く、それでいて美しい薔薇の様な鮮やかな長い緋色の髪を持ち、発育のいいその体をこれでもかと強調するような体のラインがはっきりとわかる近代的デザインのスーツに身を包み、まだ周りを光の粒子が漂っている中、その女神は静かに閉じていた目を開いた。

力強く、それでいて何物にも染まることのない赤の輝きを放つ宝石、ルビーの様な瞳の中央に浮かぶのはシェアクリスタルと同じ紋章……それは、ネプテューヌこと女神パープルハートやノワールこと女神ブラックハートにもある女神としての何よりの証。

 

宗谷とイストワールの前に姿を現した“緋色の女神”は口元に再び自信満々の笑みを浮かべるとその場でくるりとターンしてピースサインを右手で作るとそれを目元に宛がった。

 

 

 

「力と技の炎が燃える! 父よ母よ、ロリ妹にショタ弟よ! 異変の風に血が騒ぎ、力の限りぶち当たる! 豪華絢爛! 疾風怒濤!“逸れ女神”こと“スカーレットハート”! 見・参!!」

 

 

 

意気揚々と前口上を言って、名乗りを上げたヒロミ、いや“女神 スカーレットハート”…。

その姿を目の当たりにした宗谷は嫌が応にもその場で言葉を失い、呆然と彼女の事を見つめていた。

 

「まさか……本当に女神に変身するなんて……」

 

後ろの方で驚きを隠せないと言いたげなイストワールの呟きが聞こえる。

宗谷もイストワールも話しには聞いていたのだが、こうして実際に目にすると驚かずにはいられなかった。

なにせ、彼女の存在はネプテューヌやノワールたちと言った従来の女神とは一線を博した存在、目にしただけでもその圧倒的存在感を感じずにはいられなかった。

 

「むふふ♪ 驚いたかな、宗くんにおっきイースン? でも、まだまだ驚くのはこれからだよ」

 

目にしなくてもわかる二人の反応にスカーレットハートはそう言うと、女神専用のコンバットスーツ、プロセッサユニットに包まれた背中に彼女専用の武装を呼び出した。

背中に浮かび上がるようにして出現したのは、二振りの剣だった。

だが剣というにはデザインが近未来であり、この場合は“ショートブレード”と表現した方が適しているだろう。

スカーレットハートは背中のショートブレードの柄をそれぞれ片方ずつの手で握ると、勢いよく振り抜くように取り出し、白銀だった刀身を深紅に染め上げる。

 

「ご覧あれ、この私の日朝ヒーロータイムも顔負けな華麗なる戦いっぷりを!!」

 

専用武装、“高周波振動ブレード MVS”を起動させたスカーレットハートはそう言うと同時、得物に狙いを定めた狼の如くインべスの群れへと走り出した。

それを迎え撃つべく、インべスも一斉にスカーレットハートに向けて駆け出し、本格的な乱戦の火ぶたが切って落とされた。

 

「よっ、はっ! …てぇりゃ!」

 

先手を取ったのはスカーレットハートだった、自分に向かってきたインべスの群れの先頭に立っていた三体。

その内の一体をまずは跳び蹴りで蹴り飛ばし、その勢いのまま隣にいた二体目にも回し蹴りを撃ち込んで倒し、後続の三体目を着地したと同時に身を捻りながら放った後ろ回し蹴りで怯ませ、右手のMVSでジャンプしながら下から上へ切り上げるようにして攻撃したのだ。

 

溜まらず後ろ倒しに倒れるインべス達、だが数はまだまだいる。

スカーレットハートは空中に飛び上がった勢いをそのままに身を翻しながら群れの中に降下、着地と同時に二体のインべスを同時に斬り捨てる。

 

「おっとぉ!」

 

横合いから爪を横薙ぎに振るって攻撃してきた別のインべスの攻撃を回避し、身を捻りながら刃を振るって反撃し、さらに反対方向からも接近してきたインべスに後ろ回し蹴りを叩きこんでMVSを袈裟懸けに振り下ろして攻撃、インべスにとりつく暇を与えない。

 

だがそこに二体のインべスが背後から迫り、一瞬の隙をついて彼女を抑え込んだ。

下級とはいえ力強いインべスに動きを止められたスカーレットハート、今がチャンスとばかりに他のインべスが正面から襲いかかる。

 

しかし、この程度でスカーレットハートは止まらない。

 

「………スタート、マイ、エンジン!」

 

―――………ギュゥゥゥン!

 

彼女の言葉に呼応するかのように脚部を包んでいたプロセッサユニットが“ランドスピナー”が駆動音を響かせ始めた。

そして、スカーレットハートの脚に装着されていたローラーが回転し始め、まるでその場でドリフト回転するかの如く二体のインべスを巻き込みながら回転、そのまま二体を振り払い襲い掛かろうとしたインべス達にぶつける。

 

「ひとっ走り、行っちゃおうか!」

 

そのままランドスピナーのローラーで地を駆け抜けるスカーレットハート、MVSを振りかざし高速移動しながら次々と迫るインべスをすれ違いざまに切り付けていく。

赤い残像があたりを駆け回るかの如き高速移動、その速さは宗谷とイストワールも目で追うのがやっとなほどだ。

 

「ここからは纏めて無双で行くよ! “ダンシングオラージュ”!!」

 

スカーレットハートのスピードがさらに上がった。

まさに一陣の風、いや、吹き荒れる突風の如きスピードでインべスの群れの中を駆け抜け、刃の赤い残光が煌めく。

そして、彼女のあまりの速さに辺り一帯に強烈な風が巻き起こり始め、それはさながら竜巻の如き勢いをつけていった。

 

それはまるで緋色の風が吹き荒れる嵐、圧倒的スピードを誇るスカーレットハートの攻撃に下級インべス達は一体、また一体と溜まらず次々にダメージを受けて倒れていき、数を減らしていった。

そして約三体ほどが残った時、吹き荒れていた嵐が止まり、スカーレットハートが地面を軽く抉りながら動きを止めた。

 

その瞬間、有無を言わさず彼女が三体の内の二体に向けて両手のMVSを投擲した。

 

ヒュン、という音を立てて空中をまっすぐに滑空した二本のショートソードはそのまま二体のインべスの腹部に刃を突き立てて貫通し、二体ともそのまま仰向けに倒れた。

 

「さてさて、そろそろ決めちゃいますかね」

 

両手を開けたスカーレットハートは手をグッパッと握って開いた後、その場で腰を落として身構える。

仲間がやられもうやけになったのか、最後のインべスは金切り声を上げながらスカーレットハートに向かっていく。

そして、それを待ったいたかの如くスカーレットハートが再び口角を持ち上げた。

 

「行くよ! 密かにヒロムの記憶を覗いてイメージトレーニングを積んで編み出した、私の必殺技特別篇!」

 

そう言うと彼女は両手をバっ、と広げた後大きく膝を曲げて高く跳躍した。

上に飛び上がったスカーレットハートに驚き、インべスが咄嗟に上を向く。

 

そして、高く跳躍したスカーレットハートはそのまま体を前に回転させ、勢いよく右足を突き出した。

 

「スカーレットぉ……!」

 

落下の勢いを乗せた力強い跳び蹴りがインべスに炸裂、インべスを大きく後ろに後退させるがこれで終わりではなかった。

スカーレットハートはそのまま続けて反対の脚でインべスを蹴り、再度真上に跳んだのだ。

 

変則的な跳躍を見せたスカーレットハートはそのまま後ろに体を回転させながら再び高く舞い上がり……。

 

 

 

「リバース、キィィィィィィィィック!!」

 

 

 

そのままもう一度、落下の勢いをつけた跳び蹴りをインべスに叩きこんだ!

 

スカーレットハートのトリッキーなキックを受けたインべスはそのまま吹き飛び、倒れていたインべス達の中に落下、そして同時にスカーレットハートも地面に着地し今先程蹴飛ばしたインべスに背を向け、両手でピースサインを作り、右腕を垂直に、左腕を横に倒したポーズを決めた。

 

その瞬間、倒れていたインべス達が一斉に爆散した。

 

 

「……決まった!」

 

 

ヒーローっぽい爆発を背にして満足げなドヤ顔を決めたスカーレットハート。

 

その姿を見て、宗谷はあることを思った。

 

 

 

(……今の技、“仮面ライダーV3”の“V3反転キック”だよな……どう見ても……)

 

 

 

ものすごく見覚えのあったスカーレットハートの必殺技、“スカーレット・リバースキック”。

 

それを目にした宗谷はこの時、一瞬だがスカーレットハートと彼が憧れるヒーローの代名詞である仮面ライダー三番目こと“仮面ライダーV3”の姿が重なって見えた気がしたという……。

 

というか、ポーズがまんまV3のポーズの時点で重なって見えて仕方がない。

しかし、技は何であれ……。

 

「す……すげぇな、ヒロミちゃん……最後の技にツッコむかどうかは別として……あの数を一人で倒すなんて」

 

「確かに、以前に見たヒロムさんの戦いぶりもでしたが……ヒロミさんもそれに負けず劣らずか……それ以上かもしれませんね」

 

「ふふん、まあ、それ程でもあるけどね♪」

 

数十体いたインべスをあっさりと撃破したことに驚きを隠せない宗谷とイストワールの言葉にスカーレットハートはどこか誇らしそうに胸を張って見せる。

溢れ出る自信は実力にも出ているのか、彼女の戦いぶりを前にして宗谷は前に出るのを忘れ、つい彼女の戦いぶりに見入ってしまうほどだった。

ただでさえ生身で相当な戦闘力を持っていたヒロムに女神の力が加わった、その結果は自分たちの予想を遥かに上をいっていた。

 

宗谷がそんなことを感じていると、表情を真剣な物へと変えた。

 

「けど、私の実力がちょーすごいってのは当たり前のことだからいいけど……問題はなんで鎧武のインべスがこっちのゲイムギョウ界にいるかだよね」

 

「あ……あぁ、確かにな……以前にも似たようなことがあったけど、あの数は普通じゃない……」

 

なぜあの数のインべスがこんな所に現れたのか、スカーレットハートの疑問は宗谷も感じていた。

以前に再び現れたマジェコンヌがどこかから手に入れたロックシードを使って宗谷達に挑戦を仕掛けてきたが、今回のは数からして尋常ではない。

何かおかしなことが起きているとしか思えないこの異変に、宗谷はどこか嫌な予感を感じていた。

 

すると、スカーレットハートが何かを呟いたのを宗谷は耳にした。

 

 

 

「………最近うちの世界でも、ブルーベリー色のあいつが現れたり、ドライブに似た仮面ライダーが悪だくみしてたりしてたし………まさか……」

 

「え? ……ヒロミちゃん、何か心当たりでも……」

 

スカーレットハートのふとした発言が気になった宗谷は彼女にそのことを聞こうとする。

 

 

 

その時……。

 

 

 

「………っ! ヒロミちゃん、下がって!!」

 

「おうっ!?」

 

 

 

何かを感じ取ったのか、宗谷は目の前にいるスカーレットハートの肩を持ち、自分の方に引き寄せ、立ち位置を入れ替える様に移動すると、既に取り出していた赤剣に素早くV.phoneを装填する。

 

「リンク・オン!! 間にあえ……っ!」

 

『Skill Link! Toaru majyutuno index』

 

その身に赤き装甲を纏い、勇者クロス・ヴィクトリーへと変身した宗谷はすぐさま赤剣に連結したV.phoneをタップし、スキルリンクを発動する。

 

次の瞬間、爆弾の様なとてつもない衝撃が三人がいた場所を襲った!

 

すぐ近くにミサイルでも撃ち込まれたのかと錯覚するほどの空気の激流があたりに生えていた木々を揺らし、枝に着けていた木の葉を吹き飛ばす。

すべての攻撃を一度だけ無効にすることが出来るスキル とある魔術の禁止目録の発動があと少し遅かったら、今の衝撃波で吹き飛ばされていたかもしれない。

 

「宗谷さん、今のは!?」

 

「わからない、でも何かが俺達を攻撃したのは確かだ!」

 

「いやこのパターンそうとしか言いようないよね、現に今も……なんかとんでもない殺気をビンビン感じるし!」

 

ドーム状に展開した不可視の障壁の中で、自分たちを襲った何かを警戒するクロス・ヴィクトリー達。

衝撃波の影響で辺りに砂煙が立ち込める中、クロス・ヴィクトリーとスカーレットハートが警戒してそれぞれの武器を構える。

 

「……宗くん、イースン、気を付けて……目の前、誰かいる」

 

徐々に砂煙が薄れていく中、スカーレットハートがいち早くその中に立つ何者かの影を見つけた。

彼女の言葉を聞き、警戒を強めるクロス・ヴィクトリーとイストワール。

 

だが、砂煙が晴れたその時、砂煙の中にいる影を睨み付けていた一同は驚愕のあまり目を見開いた。

 

 

 

「えっ……!」

 

「………うっそ………」

 

「あの人は………確か………」

 

 

 

クロス・ヴィクトリーはその影の正体を目にした瞬間、余りの衝撃に言葉を失い、スカーレットハートは信じられないと言った表情を浮かべ、イストワールはその人物の顔を見て見覚えと共に愕然とした…。

 

そこに立っていたのは、彼らにとって見覚えのある人物だった…。

 

「なんで……なんであなたがいるんだ……」

 

 

 

 

 

「葛葉………紘汰、さん……!」

 

 

 

 

 

彼らの目の前に立っていた人物、それはクロス・ヴィクトリーにとって憧れのヒーローにして、以前にリーンボックスで遭遇した仮面ライダーのヒーローメモリーの異変の際にそのメモリーワールドで共に戦ったこともある、英雄、仮面ライダー…。

 

仮面ライダー鎧武、葛葉 紘汰が彼らに右手を向けて立っていたのだ。

 

しかし、その姿は彼らの知っている紘汰とは遠くかけ離れた姿をしていた。

 

「でも待ってください、なんだか……メモリーワールドの時と様子が違います」

 

「……私の知ってる限り、紘汰さんって少なくとも鎧武最終話でも、MOVIE大戦フルスロットルでもあんなカッコじゃなかったはずだよ」

 

今の紘汰の姿は白き衣に鎧を纏ったあの姿や今どきの若者のような服装ではなかった。

 

闇を思わせる漆黒の衣に鎧、背中に羽織っていた純白のマントが無くなり、金色だった髪も元の紘汰と同じ黒髪になっている。

そして、何よりも今の彼の放っている雰囲気がまるで別人の物であったことだ…。

右手を伸ばし、クロス・ヴィクトリー達を睨むその目はまさに闘争心や敵意に満ちた、まるで獣の様な凶暴さを秘めている様だった。

 

「本当にあれは……紘汰さんなのか……?」

 

目の前にいる彼にクロス・ヴィクトリーは咄嗟に自身のベルトを確認する。

彼のベルトが反応すればそれはヒーローメモリーの中にいるキャラが表に出てきた証だ。

しかし、ベルトは反応を見せていない……なら、似て非なる人物か? クロス・ヴィクトリーがそう思っていると…。

 

「いや、そいつはお前の知っている葛葉 紘汰本人だ……」

 

「っ!」

 

突如として聞こえてきた声にクロス・ヴィクトリーが再度警戒を強める。

 

すると、目の前にいる黒い紘汰の後ろから一人の人物がこちらに近づいて来ていた。

その人物は紘汰の一方後ろで足を止めると、身に着けていた黒のコートのポケットに手を突っ込み、燃える炎の様な赤髪の前髪の間から鋭い眼差しを彼らに向けてきた。

 

「………誰だ、あんた? それにどういう意味だ、この人が葛葉 紘汰さん本人って」

 

「そのままの意味だ、こいつはお前もよく知っている仮面ライダー鎧武、葛葉 紘汰だと言っているのさ……最も、今のこいつはお前の知っている葛葉 紘汰ではないがな」

 

「……あのさ、言っている意味がよく理解できないんだけど? 赤髪のおじさん」

 

要領を得ない赤髪の男の話に訝しげな目を向けるスカーレットハート、すると赤髪の男は口元に微笑みを浮かべるとちらりと紘汰の方に視線を送った。

 

 

「……見せてやれ、葛葉 紘汰……今のお前が、戦いのために得たお前の力を……」

 

 

男がそう呟くと、紘汰は徐に懐からある物を取り出した。

それは、彼が仮面ライダー鎧武へと変身するためのアイテムにして、彼の経てきた物語の中にいた者達が戦士の姿へと変身するために使ったベルト、“戦極ドライバー”だった。

しかも、戦極ドライバーの左側には本来、変身する戦士の仮面が描かれているはずの“フェイスプレート”ではなく特殊なユニット、“ゲネシスコア”が組み込まれていた。

 

紘汰はその戦極ドライバーを腰に装着し、ベルトを巻くと両手に二つのロックシードを取り出した。

 

 

 

「………変身………!」

 

『ブラッドオレンジ!』

 

『ドラゴンフルーツエナジー!』

 

 

 

紘汰が取り出したロックシード、一つはかつて紘汰が異世界で戦った謎の戦士、“武神鎧武”が使用していた血のような赤い色をした禍々しい蜜柑型のエンブレムが付いた錠前、“ブラッドオレンジロックシード”。

そして、もう一つは彼が地球を去った後に戦うことになった機械生命体“メガへクス”が先兵として蘇らせた戦極ドライバーの開発者、“戦極 凌馬”が“仮面ライダーデューク”へと変身する際に使用した“ドラゴンフルーツエナジーロックシード”だった。

 

取り出したそのロックシードを目にしたクロス・ヴィクトリーとスカーレットハートは再度驚くが、彼らのことなど気にする様子も見せず紘汰はそのロックシードを戦極ドライバーに装填し、施錠した。

 

『ロックオン!』

 

鳴り響く、法螺貝の音声。

そして、紘汰がドライバーの右側にあるカッティングブレードを作動させ、ロックシードのエンブレムを展開させる。

 

 

 

『ミックス! ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道・オン・ステージ! ジンバードラゴンフルーツ!! ハハァー!』

 

 

 

紘汰の頭上に突如として現れた二つの鎧、それが一つとなり彼の頭に覆いかぶさる。

そして、彼の身体がボディースーツで覆われた瞬間、鎧が開き、彼の姿を変えた…。

 

その姿は、彼の変身する仮面ライダー鎧武の姿とは似て非なる姿だった…。

 

身に纏った陣羽織を意識したような頑強な鎧は変わらないが、刻まれた絵柄は龍の鱗の様形をした皮を持った果実、ドラゴンフルーツの絵柄が刻まれ、その下のアンダースーツは本来濃紺であるはずの色が漆黒に染まり、その上まるで血が染み込んだ包帯が乾いたかのようなどす黒い赤色の布が所々に巻かれていた。

そして、彼の顔を包む仮面、その単眼の色もまるで血のように赤い輝きを放っている…。

 

「……“鎧武・闇”……!?」

 

その姿を目にしたときクロス・ヴィクトリーは、かつて紘汰が闇に呑まれ、鎧武へと変身した時の姿、“仮面ライダー鎧武・闇”の姿を思い浮かべた。

 

「………いや、違うな」

 

だがそれを、赤髪の男が否定する…。

 

 

 

「……こいつは今や闘争心の塊、目の前の物を倒すことにのみに生きる狂戦士……それはまさに……“修羅”」

 

 

 

 

 

「“仮面ライダー鎧武・修羅”だ……」

 

 

 

 

 

謎の男が紘汰が変身した凶悪な姿をした鎧武をそう呼んだ。

 

そして次の瞬間……。

 

 

 

「………ァ˝ァ˝ァ˝ァ˝ァ˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝ア˝!!」

 

 

 

紘汰……いや、“仮面ライダー鎧武・修羅”は荒々しく腰に下げていた日本刀型の武装、無双セイバーと深紅の弓矢型の武装、ソニックアローを手にクロス・ヴィクトリーとスカーレットハート、そしてイストワールの三人に向かって襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、ミッチ……どういうことだよ」

 

ストームは目の前の親友が発した言葉の意味を理解することが出来なかった。

かつて共に笑いあい、共に時間を過ごした彼が何を言ってるのか、すぐには理解できなかった。

そんな彼の思いを理解吸うような様子も見せず、光実は腰に手に持っていた特殊な形状のバックル、戦極ドライバーを装着する。

 

「どういうことも何も……そのまんまの意味だよ、君を倒す、ただそれだけさ……変身」

 

『ブドウ!』

 

そう言って彼は葡萄のエンブレムが施された錠前、“ブドウロックシード”を取り出し、開錠するとそれを握る右手と反対の左腕を大きく円を描くように回してロックシードを前に突き出し、戦極ドライバーの中央へと嵌め、施錠する。

 

『ロックオン! ハイ~! ブドウアームズ! 龍・砲 ハッハッハ!』

 

ドライバーのカッティングブレードを作動させ、彼が変身する仮面ライダー、龍玄へと姿を変えた光実は葡萄の様な色合いの紫の複眼をストームに向け、右手に持つアームズウェポン、ブドウ龍砲を構えた。

 

 

「なんでだよ……俺達が戦う理由なんか……!」

 

「お前になくても、俺達にはあるんだよ……メテオ」

 

 

今にも引き金を引きかねない様子の龍玄に戸惑うストーム、そこに新たに現れた何者かがそう言い放つ。

 

「お前………ザック………!」

 

どこかアメリカンなイメージを与える黒と赤の色合いの上着をした青年、ザック。

彼もまたメテオの友にして、光実と同じく仮面ライダーの力を持った者だった。

予期せぬ再会と共に、様子がおかしい友たちの言動に驚くストームを他所にザックもまた光実と同じく戦極ドライバーを取り出した。

 

そして、彼に続くように光実の後ろにいたもう一人が姿を現し、ストームへと視線を向ける。

 

「そう………俺達は、お前を倒さねばならない……」

 

「貴虎さんまで……!」

 

その人物もまた、メテオにとってはゆかりのある人物だった…。

ビジネススーツに身を包んだ彼は仮面ライダー龍玄、呉島 光実の兄にして仮面ライダー斬月へと変身する男、呉島 貴虎。

メテオ自身が世話になった恩人の一人でもある…。

 

そんな二人の言葉に戸惑うストームに対して貴虎とザックは迷いのない動作で手に持った戦極ドライバーを腰に装着する。

 

「変身!」

 

『クルミ!』

 

「変身…」

 

『メロン!』

 

ザックはクルミのエンブレムが施された“クルミロックシード”を、貴虎はメロンのエンブレムが施された“メロンロックシード”をそれぞれ開錠すると戦極ドライバーにセットし、施錠する。

 

『クルミアームズ! ミスター、ナックルマン!』

 

そして、ザックはカッティングブレードを跳ね上げる様に作動させてクルミ型の鎧を呼び出し、彼が変身する仮面ライダー、仮面ライダーナックルへと変身し…。

 

『ソイヤッ! メロンアームズ! 天・下・御・免!』

 

貴虎はメロン型の鎧を身に纏った、仮面ライダー斬月へと変身した。

 

それぞれの姿へと変身した三人はそれぞれの武器を構えて、一斉に狙いをストームへと絞る。

向けられる銃口、刃、拳を前にしたストームは戸惑うばかりで戦う姿勢を見せない。

だが、それもそうだろう……かつての友や仲間を簡単に切り捨てられるほど、彼の心は非常に徹してはいない。

むしろこの状況でストームはなぜ彼らが自分に敵意を向けるのかを必死に考えていた…。

 

やがて、その中で彼はある心当たりを見つけた……。

 

 

 

―――“ストームの呪い”

 

 

 

(………まさか………ミッチ達は……いや、でも……そんな……“バグーン”の言っていたことが本当なんて確証はまだ………!)

 

以前にストームが激闘を繰り広げ、ようやく倒すことが出来た“ダークネス四天王”の一人、彼が言っていた言葉が頭を横切ったが、ストームはすぐさまに頭を振ってその考えを振り払う。

 

だが、以前に自分が見たあのヴィジョン…。

時折見る様になってしまった悪夢…。

もしそれがこれらを裏付けるものだとするなら……。

 

次第にストームの心中にそこのない恐怖と不安が募っていく。

 

 

 

「何ボーっとしてやがんだメテオ!!」

 

「メテ兄危ない!!」

 

「っ!?」

 

 

 

呆然とし始めたストーム、その隙をついて彼に狙いを定めていたナックルと斬月が位xt気に彼に接近しそれぞれの武器を振るおうと迫ってきていた。

咄嗟の事で対応が遅れたストームは回避することも出来ず、防御も間に合わない距離にまで二人の仮面ライダーの接近を許してしまった。

 

頑強なグローブに包まれたナックルの拳と、斬月の輝く刃の一閃がストームを討とうと迫る。

 

 

「させるかよ!!」

 

 

だが、二人の攻撃が直撃する寸前、ストームの前に通常形態に戻ったナイツとマッハが割り込み、ナックルと斬月の攻撃を迎え撃った。

ナイツはナックルの拳を真正面から受け止め、マッハは斬月の無双セイバーの刃にゼンリンシューターをぶつけて受け止めた。

 

「カズマ……絵美……!」

 

「何があったかしらねぇが、今はこいつらを迎え撃つのが先だ! しっかりしやがれ!」

 

「でも……」

 

「すっごい不愉快だけど、今回ばかりは屑マに同意! メテ兄、今はこの人たちと戦うのに専念して! でないとやられちゃうよ!」

 

迷いを見せるストームにナイツとマッハが必死に呼びかける。

そして、そのままナイツはナックルと、マッハは斬月を相手にしてストームから距離を離し、真っ向勝負に出た。

 

「ちぃ……オッラぁ!!」

 

「おっと!」

 

ナックルの横薙ぎの拳を、身を屈めて躱したナイツは一旦間合いを放して身構える。

 

「……お前が仮面ライダーナイツ、カズマ・カスミってやつか?」

 

「あ? なんだ? ………もしかして、俺って結構有名人?」

 

「……いいや……お前も倒す……あいつと一緒にな!」

 

「……まあ、そんなこったろうと思ったぜ!」

 

ナックルの問いかけにナイツが答えるや否や、ナックルは狙いを彼に切り替えて拳を構えて向かってきた。

それに対し、ナイツも迎え撃つべく身構えてまっすぐに撃ち出されたナックルの鋼鉄のグローブ、クルミボンバーを回避してカウンターのパンチを打つ。

だが、ナックルは反対の拳でその攻撃を受け止めると鋭いアッパーカットを打ち出してナイツの顎を打ち上げた。

 

「ぉっ………つぅ……や、やるじゃねぇか……あんた」

 

「……伊達に、“チームバロン”の名を守ってきたわけじゃねぇからな!」

 

アッパーカットを受けてよろけたナイツにナックルは追い打ちをかけるべく、再び仕掛けた…。

 

 

 

一方、斬月との対決となったマッハは素早い連続攻撃を打ち出して斬月を迎え撃つ。

 

「てぇぇぇぇぇぇええええええええ! どっらぁ!」

 

ゼンリンシューターを持つ右腕と握り拳にした左腕を連続で撃ち出して斬月を攻め、さらに追い打ちで蹴り込みを打ち出すマッハだがそれらすべての攻撃を斬月は左腕に持つ盾型アームズウェポン、メロンディフェンダーで受け止める。

 

「このっ……固っ……!」

 

「ふん………ハァっ!」

 

一向に突破することのできない、斬月の鉄壁の防御。

そこに斬月の無双セイバーの反撃が加わり、マッハはダメージを負ってしまった。

袈裟懸けに振り下ろされた刃を受け、装甲から火花を散らしたマッハ、さらにそこへ斬月がメロンディフェンダーによる打撃を加えて徹底的にマッハを追い詰める。

 

「あぐっ…!?」

 

「……闇雲に突っ込むだけか……ならその分、付け入る隙も見つけやすい」

 

「こいつ……強い……」

 

斬月の無駄のない動きとその佇まいに、マッハは反撃する機会を見つけられず身構え、斬月は無双セイバーの切っ先を向けたまま睨みあう。

 

 

 

一方、乱入したナイツとマッハがかつての仲間であったナックルと斬月と戦っている姿を見つめるストームは咄嗟にソルジャーフォームを解除して、二人に呼びかけようと前に出る。

 

「絵美……カズマ……待ってくれ、その人達は!」

 

しかし、彼らを止めようとストームが呼びかけようとした瞬間…。

 

「っ……うあっ!?」

 

鈍い痛みと共に強烈な衝撃が彼の体を駆け抜けた。

体から火花が散り衝撃のあまりに数歩後ずさるストーム、そこへ…。

 

「やあっ!」

 

「くっ…!」

 

ブドウ龍砲を右手に持った龍玄が一気にストームに接近し、彼に向けて鮮やかな跳び回し蹴りを放ってきた。

咄嗟にストームはその場で受け身を取り、地面を転がって回避するが逃がすまいと龍玄がさらに姿勢を低くした足払い、そこから後ろ回し蹴りと攻撃をつなげてストームを追い詰める。

 

「やめろミッチ! 俺とお前がなんで戦わなくちゃいけないんだ!?」

 

「そう言う運命だからだよ、僕と君が戦う、今はそれだけで十分だ!」

 

「なんのために!? そんなの理由になってねぇ! いったいどうしたんだよミッチ!」

 

必死に龍玄に呼びかけるストームだが龍玄は一向に耳を貸さずにストームを攻撃し続ける。

ブドウ龍砲を逆手に握り直して、所謂トンファーの様に扱って打撃攻撃を仕掛ける龍玄、その攻撃をストームは紙一重で防御し続ける。

だが、迷いを見せるストームは攻撃に転ずることが出来ず龍玄の積極的な攻撃にいつまでも耐えることが出来なかった…。

 

「はっ! てぇぇ!!」

 

「ぐっ……ぁぁぁああああああ!?」

 

ミドルキックを横腹に受けたストームが僅かに身じろぎ、そこへさらに龍玄がブドウ龍砲のトリガーを引いて追撃を仕掛ける。

至近距離で強烈な銃撃を受けたストームはそのまま大きく吹き飛び、地面をごろごろと転がる。

大きく地面を転がり、ストームは切り立った崖の傍まで吹き飛んだものの何とかぎりぎりで押し留まり落ちることはなかった。

下は囂々と流れる川、落ちたら一溜りもないだろう…。

 

だが、落ちなかったからと言って危機が去ったわけではない…。

 

「く………なんで………なんでなんだよ、ミッチ……ザック……貴虎さん……!」

 

かつて信じた仲間が容赦なく自分に襲い掛かってきている、目の前で起きている出来事を受け入れることが出来ずにストームは仮面の奥で強く歯ぎしりをした。

 

―――まさか、本当に彼らは………自分の事を、殺しに来たのか………?

 

そんな考えがストームの脳裏に浮かび上がる。

強く拳を握りながら何とか身を起き上がらせるストーム、そこに龍玄がゆっくりと迫りブドウ龍砲の銃口を向ける。

 

「……反撃しないと、このままじゃ君はやられる一方だよ?」

 

龍玄がストームに問いかける、しかしストームはその問いに対して強く頭を振ってみせた。

 

「ミッチ………俺は………俺はお前と戦いたくなんかない! なあ、なんで……なんでミッチはこんなことしてるんだよ! お前、こんなことするような奴じゃなかっただろ!」

 

必死に龍玄に呼びかけ、まるで叫ぶように言い放ったストーム。

 

彼が……メテオがかつて光実と共に過ごした時、彼とは同じ“弟分”という境遇故に意気投合し、笑いあい、時には励まし合って、銃の手ほどきもしてもらった。

その時に彼が感じた光実の人柄を、彼は知っている…。

少なくとも彼は、こんなことをするような人間とは思えなかった……。

 

ストームは彼の心の内を信じて必死に呼びかける。

 

「………」

 

そして、その言葉を受けて龍玄がブドウ龍砲を持っていた手をゆっくりと下ろした…。

 

その姿にストームは一瞬、彼が目を覚ましてくれたのかと思った…。

 

 

 

「………形はどうあれ、一億人もの人間を殺した君が……何を迷うのさ」

 

「なっ………!?」

 

 

 

しかし、帰ってきたのは予想だにしない言葉だった。

それは、彼が今住む世界、ゲイムギョウ界に迷い込む以前の話……とある理由から、彼が自身の力を強く恐れるきっかけとなった“事件”の話だった。

 

龍玄の口から出た言葉に衝撃を隠せないストームに龍玄が再び銃口を向ける。

 

「それほどの力を持っておきながら、何を君は迷う……その力を受け入れれば、こんなざまにはならなかっただろうに」

 

「………やめろ………やめてくれミッチ……俺は……俺はこの力であんなことをもう繰り返すわけには…!」

 

「力ってのはね、利用の仕方をうまく考えなくちゃ使う意味も価値も……それを手にした人の意味すら失くすんだよ」

 

龍玄の言う言葉を受けて、次第にストームは己の身体から力が抜けていくのを感じた…。

代わりに感じたのは、震える己の体…。

 

脳裏に浮かび上がる多くの怪人の死体の上に立つ己の姿と………夢で何度も見た、仲間を惨殺する自分の姿………。

 

「俺は……俺は……!」

 

『マスター! 気を確かに持ってください!』

 

無意識の内に体を震わせるストームに彼のベルトであるストームドライバーことデスティニーが呼び掛けるがその声が彼に届いているようには見えない。

そこに……。

 

「ぐはぁぁあああ!?」

 

「ああああっ!?」

 

ナックルと斬月、それぞれの相手と戦っていたナイツとマッハの二人が大きく吹き飛びながらストームのすぐ傍にまで転がってきた。

ナックルと斬月の持つ実力に二人は苦戦を強いられ、強烈な一撃を受けてここまで吹き飛ばされたのである。

 

「カズマ……絵美……」

 

「その力を受け入れず、迷ってばかりじゃ……なにも守ることもできない……」

 

ダメージを受けて苦しむ二人にストームが咄嗟に近寄るが、龍玄はストームに向けて言葉を続け戦極ドライバーのカッティングブレードに手を添える。

 

 

 

「犠牲なんて些細なことさ………迷うくらいなら、邪魔な奴から消していけばいい! 例えそれが仲間であっても! ただそれだけだ! ………それが出来ない君が、“この戦い”を勝ち残る資格はない………」

 

『ハイ~! ブドウスカッシュ!』

 

 

 

冷酷な言葉と共に、龍玄はカッティングブレードを作動させて右足に紫のエネルギーを集中させ始める。

そして、彼が大きく腰を落とすと彼の両隣にいた斬月とナックルも同じようにドライバーのカッティングブレードを倒し、エネルギーを右足に集中させ始める。

 

「弱い奴に戦いを勝ち抜く資格はない、お前はここで終わりだ!」

 

「恨むなら、決意することが出来なかった己自身を恨むんだな……メテオ」

 

『クルミスカッシュ!』

 

『ソイヤッ! メロンスカッシュ!』

 

彼らの言葉を受け、もはや言葉を返すこともできないのかストームは彼らを見つめたまま呆然とその場に座り込むだけだった…。

 

………ダークネスとの戦い……一億人殺し……巻き込んでしまった女神達……失ってきたたくさんのもの……そして、理由はどうあれ……この手で討つことになった、“母親”だったあの人……。

 

そして、今のこの現状…。

 

もしこれが、すべて己自身の運命が招いた結果だというのなら……?

 

いずれこれ以上に辛く、悲しい未来が待っているというのなら……?

 

 

 

(俺は一体………どうすればいいんだ………何のために………ここにいるんだ………!)

 

 

 

自問するストームが次に聞いたのは、己の名を呼ぶ同じ境遇の仲間と、最愛のたった一人の妹の声だった。

 

そして、次の瞬間……ストームの目の前には自分達に向かって飛び蹴りを放つ龍玄達の姿があった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………っ」

 

ぼやける意識の中、ふと目を覚ましたメテオが感じたのは冷たさと、濡れた衣服の感触だった。

次いで、所々に痛みが走るがその痛みに反応するほどの余裕は既に彼には残されていなかった…。

あの戦いの末、龍玄の必殺技“龍玄脚”をまともに受けた彼は斬月とナックルの強烈なキックを同じく受けた他の二人と共に背後にあった崖に転落、そのまま荒れる川の中に落ちたのだ。

 

どうやら今、自分はその川に流されて下流の方まで流されてきたらしい……。

 

絵美とカズマは無事だろうか…?

同じく川に落ちた二人の事を心配し、身を起こそうとするが体にうまく力が入らず身動きが取れない。

しだいにまた意識が遠のいていくのを感じる…。

 

すると薄れていく意識の中で彼の目が何かを捉えた…。

 

 

「………?」

 

 

何かがこちらに向かって来ている。

 

あれは………運の悪いことにそれはインべスだった。

どうやら森の中に他にも潜んでいたらしい、先程よりも数は少ないが数体がまっすぐにこちらに向かって来ている。

すでに自分の身体には戦う力は残されていない……。

 

(俺は………ここで………死ぬ、のか………?)

 

迫るのは己の死、そう感じたメテオの脳裏にある人物の姿が横切った…。

 

一人は自分が厄介になっていた教会で出会い、長い時間を共にした紫の女神の少女…。

 

そして、もう一人……それは異世界で出会った儚い印象を持つ白い少女の姿だった。

 

 

 

(………ネプテューヌ………シンシア………)

 

 

 

頭の中で二人の少女の名を思い浮かべる中、遂にインべス達が自分の目の前まで迫ってきた。

不気味な唸り声と、ぼやける視界に写るインべスの影がもう間近まで迫っている…。

 

 

 

(いよいよここまでか……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだ、眠るには早い…」

 

 

 

抵抗できずに、メテオがすべてを受け入れ目を閉じようとしたその時だった。

 

「トオォッ!!」

 

彼の耳に聞き覚えのない何者かの声が響いたと思ったら、次の瞬間何者かがメテオの上を飛び越えて目の前に迫っていたインべスを思い切り蹴り飛ばした。

 

自分の目の前に立ち、インべスと向かい合うように立ちふさがった何者かの姿…。

メテオはなんとか視線を上に持ち上げてその者の姿を目にする。

 

(………仮面ライダー………? ………でも、あんな仮面ライダー……見たことがない)

 

そこに立っていたのは飾り気のないシンプルなシルエットに三本の金色のラインが施されたの黒のボディスーツに緑がかった青の装甲とメテオが変身した姿と同じ、バッタを模した仮面に黄色の複眼を持っていた。

首に巻いた金色のマフラーと、両手の引きちぎられた鎖のついた手枷、腰に巻く風車が付いたベルト…。

 

その姿は、どこか彼が尊敬する伝説の戦士、すべての原点にして始まりの戦士である“仮面ライダー1号”と“仮面ライダー2号”のかつての姿を連想させた…。

 

「……まだ死なれては困る、お前には伝えなければいけないことがあるんでな」

 

謎の仮面ライダーはそう言うと、目の前にいるインべス達を前に身構え、そのまま脱兎のごとく駆け出した。

空いていた距離をすぐに埋め、強烈な回し蹴りを先頭の一体に叩きこみ、後続のインべス達にも連続で拳や手刀、さらに組み着いて投げ飛ばしたりなど、あらゆる攻撃を使いこなし数体の下級インべスを圧倒していく。

 

「ふん………トォッ!」

 

そして、謎の仮面ライダーは手枷が巻かれた右腕に左手を添え、大きく膝を曲げ、天高く跳躍した。

空中で身を翻し、しなやかな動きと共に鋭い跳び蹴りをインべス達に向けて打ち出す。

 

 

 

「ライダー、キック!!」

 

 

 

流星の如き跳び蹴りはそのままインべスの群れに直撃、纏めて数体のインべスを貫いてその場で次々と爆散させてしまった。

謎の仮面ライダーは着地した袋瀬をしばらく続けたあと、ゆっくりと立ち上がる。

風邪で靡く金色のマフラー、そのマフラーを巻いた後姿はより一層1号と2号の後姿を訪仏とさせた。

 

「あ……ん………た………は……?」

 

その謎の仮面ライダーにメテオがようやくの思いで声を出して、何者かと問いかける。

するとその声に気付いた謎の仮面ライダーは一度彼をちらりと見た後、すぐに視線を前に戻した。

 

 

 

「………この姿を試すのは初めてだが、一応名前は知っている………歴史の闇に埋もれた、幻の仮面ライダー………“仮面ライダー3号”、だそうだ」

 

 

 

その言葉を最後に、メテオの意識は途切れ目の前の視界が暗闇に閉ざされることとなった…。

 

 

 

 

 

 

 

「気を失ったか……」

 

メテオの前に現れ、彼の危機を救った仮面ライダー3号。

3号は彼が気を失ったのを確認すると、その場で深く深呼吸をして体の力を抜くように肩を落とした。

 

すると、突然3号の身体が光のノイズの様なものに包まれ始めた。

そして、しばらくしてからその中から姿を現したのは……腰まで伸びた白髪が特徴的な白いジャージ姿の女性だった。

 

「とにかくなんとか無事……とは言い切れませんが、保護は出来そうですね……そっちはどうですか?」

 

その女性がまた別の場所へと視線を移すと、そこには小柄な人影と忍者のような姿をした何者かが二人の人物を抱えて立っていた。

ハルキとステマックスの二人である。

 

「こっちも何とか無事だよ、まあ怪我はしてるから治療はしないとだけど」

 

「そりゃあそうでしょうね……とにかく、その二人を彼と共に運びましょう……そっちのお二人は任せましたよ、ツインテールの少年くん?」

 

「………まあ、頼まれた仕事だしね」

 

ジャージの女性に言われ、ハルキは渋々と言った様子で抱えていた少女を運び始め、それに続くようにステマックスも背負っていた青年を運び始めた。

そして、ジャージの女性は目の前で気を失っているメテオに近づいた。

 

「………さてと、まずは安全な場所で治療しないといけませんね……ほら、あなたも見てないで手伝ってください……あなたが惚れた男なんでしょう?」

 

 

 

 

 

「シンシア」

 

 

 

 

 

白いジャージに身を包んだ女性、トランスのコードネームを持つ古代女神の一人、ライラがそう言って向けた視線の先には、気を失っているメテオを心配そうに見つめるはかなげな一輪の花の様な雰囲気を持つ少女がいた。

 

彼女、シンシアはライラに呼ばれてすぐさま小さく頷いて彼女の元まで来ると気を失っているメテオに寄り添うように近づいて、そっと傷つき、意識を失った彼の頬に手を添わせた。

 

 

 

「………メテオ………」

 

 

 

予期せぬ再会は、宗谷とヒロムの二人だけでなくメテオの身にも起きていたのだった…。

 




いかがでしたか?

うーむ、うまくメテオ君の心境を再現できたかな? そしてスカーレットハートの戦いぶりもうまく書けたかな?
なにせ、このお話で初めてのドシリアスだったので…(汗

さてさて、次回は…。

突如として異質な姿、鎧武・修羅へと変身した紘汰がヒロミちゃんと宗谷の襲い掛かる中、メテオくんは予期せぬ再会を果たすこととなった…。

果たして鎧武・修羅との戦いの行先は…! メテオくんはどうなってしまうのか…!


波乱の道に動き始めた三つの世界が交わったこの物語は………まだ始まったばかり……。


それでは次回でお会いしましょう…。
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