大変お待たせいたしました……ノベルヒーロー大戦編最新話が書きあがりました!
学校が終盤に入ってさらに忙しくなって、終わったら終わったで年末年始で実家に帰省したり、Twitterに嵌ったり(←オイ)……。
まあ、それはそれとして!
ちまちま書いてようやくできた最新話!
今回の見所は……現れる異変と挑む者達!
それではお楽しみください、どうぞ!
それぞれに違う世界で、それぞれの絆を紡いだ者達が出会ったその日の夜、一つの世界に集結した彼らは一夜を教会で過ごすことになった、部屋に余裕はなかったがそこは男性陣の宗谷、ヒロム、メテオ、カズマが宗谷の部屋、女子である絵美はイストワールの部屋で休むということで事なきを得た。
まあ、男性陣の部屋は男四人がベッドと用意した布団で寝るというむさ苦しいことになったのだがそこは我慢して……異世界で出会った者達は、その日は深い眠りに付き、体を休めた。
だが、その翌日………異変の種が、芽吹いた。
その日の昼下がり…。
―――ゴゴゴゴゴ……
「な、なんだ!?」
「じ、地震か!?」
突然、プラネテューヌに響いた巨大な地鳴り、いや、もはや地震と言っても過言では二くらいの大地の揺らぎに何気ない日常を送っていた国民は、咄嗟に地面に伏せるもの、辺りを見回す者、叫び声を上げる者など反応は様々だがこの異変に驚いた。
そして、その地震は時間が経過するごとにどんどんと大きさを増していき、プラネテューヌどころかゲイムギョウ界の大陸そのものを揺るがすかのような物になり始めた時だった。
「な……なんだあれは!!」
国民の一人がある物に気付いた。
一人が声を上げて指さした先を、同じように戸惑っていた人々も目を向けた、そして最初に声を上げた人物が見たのが何だったのかを見た時、誰もが驚愕で目を見開き、言葉を失った。
プラネテューヌで最も高い建造物であるプラネテューヌ教会、それに勝るとも劣らない……いや、それを確実に上回る巨大な影がプラネテューヌの外側に姿を現したのだ。
地面から生えてくるかのように、地響きと共にどんどん大きくなっていくそれは人工物ではなかった。
「………“大樹”だ………」
誰かがそう呟いた、そう、その呟きの通り……突如、プラネテューヌの外に姿を現し、プラネテューヌを見下ろさんばかりに天に向かって伸びてきたのは……“あまりにも巨大な大木”。
そう、まさに“大樹”である。
地を裂き、天へと延びていくかのようにその幹を伸ばし続けた大樹は地響きが鳴りやむと同時にその成長を止め、横幅がプラネテューヌ全体の面積の半分はあろうかというその幹を猛々しく立ち上がらせ、その頂上に生い茂る普通の木ではありえないような、緑の絵の具に赤色の絵の具をぶちまけたかのような葉を揺らしながら、プラネテューヌの街を見下ろすようにその姿を露わにした…。
「………準備は整った」
その大樹の中で、最も太い一本の枝の上に立つ人物が一人…。
黒いコートに燃え盛る炎のような赤毛の男、ブレイズの人間としての姿である。
枝の上に立ち、プラネテューヌ全体を見据えるブレイズ………その後ろには光りを放ち、輝きながらまるで心臓のように胎動する植物の種の様な形をした巨大な何かがあった。
よく見ると胎動する種の中央には黄金の鍵に果実の絵柄が刻まれた、極ロックシードが突き刺さっており、その周囲には四個のシェアクリスタルが周囲を漂うかのように空中に浮かび上がっていた。
ブレイズは踵を返すと、胎動する巨大な種の前へと移動する。
そしてその中央に突き立っている極ロックシードに手をかざす。
「待っていろ………この戦いを勝ち抜き、俺は必ず………」
目を閉じて、祈る様に何かを呟いたブレイズ……しばらくするとその閉じていた目を力強く見開き、燃える業火のように激しい意志を宿した瞳にさらに力を籠めた。
「………さあ、戦いの時だ………!」
ブレイズが翳していたその手を極ロックシードに伸ばし、手に触れる。
その瞬間極ロックシードと四つのシェアクリスタルが強い輝きを放った。
そして、それを合図にしたかのように葉が生い茂る木の枝に果実のような物が実りはじめた………。
「何だったんだ今の揺れ!」
「わかりません、ただ何かがあったとしか……まだプラネテューヌの警備兵からは連絡も来てませんし」
プラネテューヌ教会では、突如として発生した謎の地響きにただならぬ嫌な予感を感じた宗谷達が揺れが収まるなりすぐさま外に飛び出した。
そして、教会から出た宗谷達はプラネテューヌの中心にあるこの教会の位置からでもわかるほど大きな大樹を目にし、国民達と同じように驚愕に目を見開くこととなった。
「あれは……!?」
「なんだあのバカでかい木……あんなの俺の世界でも見たことないぞ……」
「なんであんな木が……」
遠くからでもはっきりと見て取れるほどの大きさの大樹に、宗谷、ヒロム、メテオの三人は驚きを隠せず遠くにそびえ立つ大樹を見つめる。
これも、ブレイズがこの世界に現れ、自分たちがこの世界に集まったことに関係があるのかと宗谷が考えていると……。
「……? ねえ、メテ兄、あれ!」
三人の後ろにいた絵美が何かに気付いたのか、大樹の方を指さして何かを知らせた。
三人がそれ促され、改めて大樹の方に目を向ける。
彼らが大木の方を見ると、そびえ立つ巨大な幹から伸びる何本もある太い枝、そこから光り輝く“何か”がぽつぽつと出来始めていたのだ。
まるで気に実った果実のように次々と現れる光、それが何なのか宗谷が目を凝らしていると………突然、その光が枝から離れた。
「っ! こちらに跳んできます!」
「教会に向けての集中攻撃か!」
「そんな、まだ中にはネプテューヌさんたちがいるんですよ!? プルルートさんが起きないから起こそうとして遅れてるだけですけど!」
「いや、落ち着けおっきイースン! 攻撃範囲が広い! 集中砲火じゃなくてたぶん範囲攻撃だ!」
枝から離れた光の果実はまるで砲台から放たれた砲弾のように、プラネテューヌ教会だけでなくプラネテューヌ全体に向けて攻撃するかのように飛んできた。
教会を狙った攻撃かと警戒するカズマにヒロムがそう言うと、飛んできた光の果実がとてつもない勢いで彼らの元に近づいていき、轟音と共に宗谷達の目の前に落ちた。
そして、さらにその周囲の地面にも果実が次々と落下していく、幸いにも直撃することはなかったがその衝撃はあまりにも強く、所々から轟音が鳴り響き、宗谷の鼓膜を揺らした。
衝撃と土煙で咄嗟に彼らが目を覆う、しばらくして収まったのを感じて恐る恐る目を開けると……。
地面に突き立つようにして飛来し、宗谷達の目の前に落ちた光の果実が、突然その姿を全く別の物へと変えたのだ。
それは二本の足で立つ、まるで昆虫の様な口角に身を包んだ灰色の生物……そう、数体のインべスだった。
しかも、それは彼らの目の前にある果実だけでなく、他の場所にも落ちてきた果実もその形を変え、次々と下級インべスへと姿を変えていった。
しかも、その中には進化した上級インべスの“ビャッコインべス”や“ヤギインべス”、“カミキリインべス”などの姿も見受けられる。
「インべスに変身しやがった…!?」
「これは………いったい………!?」
「………なるほど、あのバカでかい実は攻撃用の砲弾じゃなくて、兵士を送り込むためのポッドだったって訳かよ」
「どうする、この様子だとここだけじゃなくてプラネテューヌ全体がインべスだらけだぞ!」
「でも、そうなるとものすごい数ってことになるよ!?」
「ちっ………こいつぁ、厄介だな」
突然の敵の襲来に戸惑う一同、そんな彼らとは正反対にプラネテューヌの街に降り立ったインべス達は一斉に行動を開始、鋭利な爪や、牙、屈強な肉体、鋼の体などを駆使して一斉に街を攻撃し始める。
そして、それは宗谷達にも……。
「……来るぞ!」
ヒロムがそう言うと、現れたインべスの群れのうちの数体がまっすぐに宗谷達の方目がけて襲い掛かってきた。
しかも、十何体では利かない、数十体は軽く超えるであろう数だ。
ただでさえ厄介な敵がそんな数で攻めてきたことに宗谷は苦虫を噛み潰すような表情を浮かべるが、それでもと迎え撃つべくベルトから赤剣を取り出す。
「……こうなりゃ、徹底的に相手してやる!」
「どんな奴が来ても、纏めて撲滅だよ!」
するとそんな中、先に動いたのはカズマと絵美の二人だった。
カズマは拳を、絵美はゼンリンシューターを取り出すとそのまま向かってくるインべス達に向かって走り出した。
「どらぁぁぁあああああ!!」
接近して一番、カズマが群れの先頭の下級インべスに跳び膝蹴りを見舞った、とてつもない勢いと共に撃ち込まれたその一撃に溜まらず倒れたインべスの上を飛び越えて、受け身を取りながら着地したカズマは、さらに迫ってくる数体のインべスに拳を打ちこむ。
右、左、下から、様々な角度から打ち出した拳でインべスを攻撃し、とどめとばかりに横薙ぎに振るったフックでインべスを打ち倒していく。
「おっと、おらよ!」
反撃とばかりに下級インべスが背後から爪を振るって来るが、カズマはそれを身を屈めて回避するとカウンターのひじ打ちをインべスの横腹に打ち込み、怯んだ所にさらに追い打ちをかけるべく右足を高く振り上げ、勢いをつけた踵落しを決める。
そしてカズマはインべスによる爪の攻撃を躱してはカウンターの拳や蹴りを叩きこみ、生身で下級インべスを寄せ付けようとしない奮闘ぶりを見せる。
しかし、そこに厄介な敵が現れた。
「どうしたどうした、そんなもんか! ……っ!」
何かの気配を察知したカズマが慌てて横に受け身を取る、すると遅れてカズマが先程までたっていた場所に青い高熱の炎が吹きかけられた。
間一髪で回避に成功したカズマが炎が飛んできた方向に目を向けると、そこには光沢を放ち、まるで鋼鉄の様な質感を感じさせる強靭な体表に包まれた、東洋の龍を思わせる怪物、“セイリュウインべス”が立っていた。
セイリュウインべスは口から青い火の粉を漏らしながら唸り声を上げてカズマを睨み付けている。
「………へぇ、お前さんはなかなかやりそうだな」
目の前に現れた龍の姿の怪物に他の下級インべスにはない気迫のような物を感じたカズマは打って変わって期待に満ちた笑みを浮かべる。
「なら、こっちも本気で行くぜ……!」
そして、彼はそう言うと来ていた上着を大きく開き、腰に巻かれている風車付きのベルトを露わにする。
決意に満ちた眼差しと共に、ベルトに手を掛けたカズマ……そして、彼は一度大きく息を吸い込むと、それを独特の呼吸法と共に吐き出した。
「………こふぉぉぉぉ………」
同時に右手にピースサインを作り、呼吸法に合わせてゆっくりと前へと突き出す。
この一連の動作と呼吸法は、彼が彼の中に眠る“漆黒の騎士団”の力を引き出すためのスイッチの役割を果たしているのだ。
己の中に刻み込まれたその力を、外へと解放し、その身に纏うためのプロセス……。
「変……身!!」
その声と共に、カズマは突き出した右腕を腰元まで引き、入れ替える様に左の拳を握り、正拳の突きの如く前に突き出すと、その突き出した左腕を垂直に曲げる。
その瞬間、カズマの腰のベルトの風車が急速に回転し始め、ベルトから“黒い光”が溢れ出し、それが彼の体を包み込む。
黒色をしているが、それはまるで黒真珠のような不思議な輝きを放っていて、一言に“闇”とは言い切れないような不思議な神々しさを纏っていた。
その黒い光の中でカズマの姿は変化を遂げていった。
漆黒の角が生えたコウモリを思わせる黄色の複眼を備えた仮面を顔に被り、赤いアンダースーツに黒の装甲が備わった体、そしてローブを巻かれた黒い下地の下半身…。
首に巻かれたマフラーが靡いたと同時、彼の体を包み込んでいた光が、弾けた。
そして、その中から姿を現したのは……カズマ・カスミのもう一つの姿だった。
“漆黒の騎士団”の二つ名を持ち、その身に秘められた力を惜しみなく発揮し、立ちふさがる敵をねじ伏せるその戦士の名は…。
「さぁて、お前さんが強いか、俺が強いか……いっちょ力比べと行きますか……先に行っておくが、“仮面ライダーナイツ”の名は……伊達じゃないぜ!!」
セイリュウインべスとその周りに集まるインべスに向けてそう言い放ったナイツは、力強く地面を蹴り、前へと走り出す、そして間合いが近づくのに合わせて拳を大きく引くと膝を曲げて高く跳躍し、降下するとともにその拳をセイリュウインべス目がけて振り下ろした。
そして、カズマと同時に早速群れに飛び込んだ絵美はというと、少女故の身軽さを生かした軽快な動きでインべスの間を潜り抜けてカズマにも負けない奮闘ぶりを見せていた。
「せぇのっ! とぉ!」
襲い来るインべスの爪の攻撃を軽快に身を屈めたり、捻ったりして回避し続け、勢いをつけた絵美は近くにいたインべスに周り蹴りを叩きこみ怯ませるとそのインべスに飛びつき両足でインべスの上半身をがっちりとホールドする。
そして、そのまま体を大きく後ろに倒して勢いをつけ、その勢いを利用してインべスを地面へと叩き伏せた。
それを見た仲間のインべスが絵美に襲い掛かろうとして近づくが、絵美はそれにいち早く気付くと右手に持ったゼンリンシューターをくるくると回して構えた。
「ふふん……それそれ!」
そして、近づいてくるインべスに容赦なく銃口を向けてトリガーを引き、エネルギー弾を直撃させて攻撃、インべス達を寄せ付けようとしない。
更に背後から近付いてきた二体には後ろ蹴りを浴びせかけて、さらに回し蹴りも織り交ぜた連続攻撃で退けると至近距離でゼンリンシューターを打ち込んでとどめを刺す。
「もう一発!」
調子をよくした絵美はそのまま奥の方にいる群れに目がけて、絵美がトリガーを引きエネルギー弾を発射する。
だが、それらの攻撃は横から飛んできた鞭の様なものに弾かれてしまった。
突如として自分の攻撃を遮ったのが何か、その何かの正体を掴むべく絵美が目を凝らすと、少し離れた位置に他の下級インべスとは違う青い体に細身のシルエットをしている、まるで昆虫の様な長い触角を頭に持ったインべスを見つけた。
どうやら、エネルギー弾を弾いたのはこのインべスの様だ、頭から生えた触覚をまるで鞭のように振り回している。
「……ちょっと厄介そうなのが出てきたかな……じゃあ、そろそろ!」
昆虫型上級インべスの“カミキリインべス”を前にした絵美は懐からバイクのマフラー部分を模した青色のバックル、“マッハドライバー炎”を取り出すとそれを腰に宛がい、ベルトを巻く。
そして、そのままマッハドライバーのバックルに備わっている“シグナルライディングパネル”を跳ね上げる。
だがそこに下級インべスが妨害するべく、絵美に向かってくる。
「っと! 変身中の不意打ちは禁止! みんな!!」
それに気づいた絵美はすぐさま何か指示を飛ばす。
すると、その指示を受けてどこからともなく色とりどりの小型のバイクのような物が飛んできて、絵美の周りを守るかのように飛び回り、近づくインべスに体当たりを仕掛ける。
小型ながらなかなかの勢いを持ってぶつかってきた小型バイクにインべスたちは怯んで後ずさりする。
邪魔者がいなくなったところで絵美は自分を守ってくれた、“シグナルバイク”の中から白色の“シグナルマッハ”を掴むとそれをシグナルライディングパネルに装填し、パネルを押し込む。
『シグナルバイク! ライダー! マッハ!』
「レッツ、変身♪」
マッハドライバーから電子音が鳴り響き、体の左側に右腕を垂直に立て、左腕を水平に構えた絵美はぐるりとその両腕を回しながら反対側へ持っていきその掛け声を上げる。
同時にエンジンから炎が燃え盛るかのようにマッハドライバーに秘められた独自のエネルギーが噴き出し、それが形となって絵美の掛け声とともに周囲に展開され、絵美の体を純白の装甲が包み込んだ。
アメリカンなバイクスーツを模したかのような装甲と、フルフェイスタイプのヘルメットを被った戦士へと変身した絵美はまっすぐにカミキリインべス達を見据える。
「追跡、撲滅、世界も次元も! ぜ・ん・ぶ越えて、い~ず~れ~も~……マッハー! “仮面ライダー”……“マッハ”♪」
そのまま独特の動きと共に、最後は可愛らしく首を傾げて自身が変身した戦士の名を名乗った絵美、いや………“音速”の異名を持つ仮面の戦士、“仮面ライダーマッハ”はゼンリンシューターを再び構えて、その狙いをカミキリインべスに定めた。
一方、出遅れたメテオ、そしてヒロムの二人は先に敵の中に突っ込んだカズマと絵美を見て少々複雑な表情を浮かべていた。
「カズマのやつ、無鉄砲に突っ込みやがって……絵美も無茶しなければいいが……」
「絵美! 無理するなよ! お前だって昨日は大変だったんだろ!」
「なっ!? お前……!」
考えもなしに勢いに任せて敵の中に向かっていったカズマに呆れながら、妹の絵美を心配するメテオ、その隣でヒロムが絵美の事を心配してか声援を送った。
だが、それを聞いたメテオがヒロムに訝し気な表情を向ける。
「なんでお前が絵美の心配をするんだよ、お前には関係ないだろ!」
「はっ!? 今そんなこと言ってる場合か! こういう時こそ互いに助け合ってこそだろ! それなのになぁメテオ、お前はちょっとシスコンが過ぎると思うぞ!?」
「っんだとこの野郎!! 兄が妹を心配するのは当然だろうが!! 言っておくがな、いくら絵美がお前を気に入っても俺はお前を認めねぇ!! 絵美は絶対嫁にはやらん俺の妹だ!!」
「それ!! 後半のそれが重症すぎる! ていうか、誰も嫁がどうたらなんて言ってないだろ!! 少しは大人になれ! 孫には旅をさせてやれ! 何の旅なんかは知らんけども!」
この非常事態にもかかわらず何やら口喧嘩を始めたヒロムとメテオ、互いに向き合って言い合う二人は次第にヒートアップしていきこのままでは殴り合いにも発展しそうだ。
「あの、お二人とも今はそれどころでは…」
「そうだぞヒロム、メテオ、お前ら落ち着………っ!?」
そんな二人を落ち着けようと赤剣を手に取った宗谷とモードアクティブを展開したイストワールが仲裁に入ろうとした、その時…。
二人の間に入った宗谷の視界に、突如として飛び込んでくるものがあった。
空から、虫の翅の様な物を広げてこちらに向かって飛んでくる下級インべス、空からの奇襲攻撃だ。
口喧嘩に夢中になっている二人はけたたましい羽音を立てながら近づいてくるインべスに気付く様子はない、このままでは二人とも危ない、もう既にインべスは二人の近くまで迫ってきている。
「お前ら、危なっ!」
宗谷が慌てて二人を止めようとする、だが………。
「ぶんぶんぶんぶんうるせぇ!!」
「少し引っ込んでろ!!」
その前に、メテオとヒロムは近づいてくるインべスに向かって同時にパンチを撃ち込んだ。
メテオは左腕の、ヒロムは右腕の拳をインべスの顔面に叩きつけると、インべスはそのまま殴り飛ばされて後ろ倒しに地面に倒れる。
突然見せた二人の息ぴったりの同時攻撃に、宗谷とイストワールが呆然としているのを他所に二人は地面に倒れたインべスを両足で踏みつける。
「まったく……こうもうるさいとシスコン兄貴にろくな説教出来やしねぇ、こっちはこいつが暴走しないようにしてるのに必死だってのに……」
「それを言うならこっちもだ、絵美に纏わりつく邪魔な奴を払うことも出来ねぇ…」
「だからまずは………」
「こいつらを片付けるか………?」
二人は互いを見てそう言うと互いに頷き、ヒロムは両手に彼専用の白銀に煌めく双剣、“ツインガンブレード”を呼び出し、メテオは左腕に彼専用にカスタマイズされた特殊銃剣“エクシア”を呼び出して身構えた。
「……先にやられるんじゃねぇぞ、お兄さん?」
「お前こそ、俺がやる前に倒れるなよ……?」
「ふっ………行くぞ、メテオ!」
「おう、ヒロム!」
そして、そのまま二人はカズマと絵美に続いてインべスの群れへと突っ込んでいった。
「………あいつら本当は仲がいいだろ」
「………たぶん、そうですね」
ヒロムと共に敵に向かっていったメテオは折り畳んでいたエクシアの刃を起こし、左右に切り払うとそのまま跳躍し、その刃を大きく上に振り上げた。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!」
裂帛の気合いと共にインべス達に向けてメテオはエクシアの刃を振り下ろし、まずは目の前にいた下級インべスの一体を切り付ける。
そしてそのまま右の後ろ回し蹴りで近くにいたインべスを蹴飛ばし、エクシアの刃を再度折り畳んで銃モードに切り替えるとくるりと反対側に向き直り、トリガーを引き、エネルギー弾を打つ。
銃口からまっすぐに放たれたエネルギー弾は数体のインべスに命中、たまらずインべス達が倒れるのを確認したメテオは再びエクシアを剣モードに切り替える。
『マスター、上空から三体が接近中!(; ・`д・´)』
「おう!」
腰の“ストームドライバー”に搭載された人工AI、デスティニーの指示を受けて上を見上げたメテオは、デスティニーの指示通りに三体のインべスが接近してるのを確認する。
そして、メテオは昨日の怪我なんてどこ吹く風と言った様子で目の前で爪を振り上げて接近するインべスの攻撃を回避して、カウンターの蹴り込を撃ち込み、怯ませるとそのインべスを踏み台にして高く跳躍した。
「まとめて、落とす!」
空中に飛び出したメテオはそのまま身を翻してエクシアを振るい、接近する三体の内の一体を横薙ぎに切り付け、その勢いを殺さずにもう一体を蹴ると体の正中線を軸に竜巻の如く回転し、その勢いを乗せたままエクシアを振り下ろして最後の一体に斬撃を見舞う。
メテオの空中連続攻撃を受けたインべス達はそのまま地面に落下していき、メテオは軽やかに着地してみせる。
『マスター油断しないでください、前方から高エネルギー反応! Σ(゚Д゚;)』
「っ!」
再度飛んできたデスティニーの指示にメテオは顔を上げるとすぐさま後ろにバックステップを踏んで距離を取り、回避する。
すると、遅れてメテオがいた場所に緑色の光線のような物が降りかかってた、メテオは上から降り注いでくる緑の光線を身を捻りながら後ろに跳躍して回避する。
そして、着地したメテオがすぐさま顔を上げると、彼の目の前に虎を思わせる深緑の体に巨大な爪を持ったインべスが獰猛な唸り声を上げていた。
「あいつは……ビャッコインべスか……」
『先程の攻撃は奴によるものの様です、マスター? そろそろ思いっきりやっちゃいましょう(`・ω・´)』
「それもそうだな……」
自分を狙っているらしいビャッコインべスを見据えたメテオはデスティニーの指示に頷くと左腕のエクシアを粒子状にして解除し、両腕をだらんと下に下げた。
そして一度深呼吸をすると、左腕をくの字に曲げて振りかぶり、その腕を素早く反対側へと突き出し、同時に右腕を交差させるとそのまま拳を握りしめて瞼を閉じ……黙祷する……。
顔を俯かせ…精神を研ぎ澄ませるメテオ……それは、まるで風の吹かない湖畔の様な静けさで……。
だが、静かに黙祷するメテオという名の湖畔に、次第に風が吹きつけ……やがてそれが、“嵐”となった。
「ライダー………変身!!」
そして、嵐が彼の声と共に彼へと力を与える…。
左腕を右斜め上へと伸ばし、叫ぶと同時に両手を腰の位置で開くような構えを取った瞬間、周囲に吹いていた風が、彼の体を包み込み、彼をもう一つの姿へと変えていく。
オレンジの複眼を持ったバッタを模した仮面を被り、純白の下地のスーツの上を防御するかのように備えられたクリスタルの様に煌めく装甲、下半身の脛に連なるいくつものプレートに腰に巻かれた機械的なベルト……首に巻かれたマフラーを風になびかせて、その嵐の中から姿を現したのは……“神殺し”の異名を持つ、“白銀の嵐”。
「さあ、腹ぁ括れよ? ………ここからは俺が……“仮面ライダーストーム”が相手だ!」
ビャッコインべスにそう言い放った、仮面ライダーストームは身構え、拳に力強い闘志を纏わせる。
そして、その言葉を受けたビャッコインべスが強靭な爪を構えて走り出すのと、ストームが跳躍して跳び蹴りを放つのは……同時だった。
そして、メテオと同時に駆け出したヒロムはツインガンブレードを左右の手に握りながら、群れの上へと跳躍して飛び出すと、まるで独楽のように体を回転させながら急降下し、そのまま群れの中へと突っ込んでいった。
「迅……旋風ッ!!」
まるでちょっとした竜巻のようにその身を回転させたまま、ツインガンブレードを握りしめたヒロムがインべスの群れの中に降下し、下級インべスを数体巻き込んで斬りとばす。
そして、着地した際に繰り出した斬撃の勢いをそのままにヒロムは足を振り上げると近場にいたもう一体を側宙の様な動きで蹴り飛ばすと、着地したと同時に体を、ぎゅるん、と回転させて両手の双剣でさらに二体のインべスを斬る!
「っ……だらぁ!」
背後から近付いてきたインべスを後ろ蹴りで蹴り、それを土台にして再び跳躍してヒロムは空中で身を翻して鮮やかに降下、着地と同時にさらに二体を上から振り下ろした刃で切り裂き、二つの剣を連結させ、双剣モードから大剣モードへと切り替えるとツインガンブレードを大きく振り回して空に向かって突きあげる。
「纏めて喰らいな! シューティングブレード!」
その言葉と共に突き上げられたツインガンブレードの先端から白色の光が放たれ、それは一直線に空へと駆け上り、やがて数メートルの高さで……弾けた。
弾けた光は放物線を描くようにヒロムの周りに向かって落ちていき、その形をただのひかりから剣型へと変えていく、姿を変えた魔法剣の雨はそのままヒロムの周囲を取り囲むインべスに雨の如く降り注ぐ。
上から降り注いでくる魔力の刃の雨に、インべス達は溜まらずその場に倒れ込んでいきます。
ヒロムは空に向かって掲げたツインガンブレードを軽々と振り回し、刃を下へ下げる。
すると、突然横合いからヒロムに向かって何かが飛び掛かってきた。
「っ、ちぃ!」
それにいち早く気付いたヒロムはツインガンブレードを振るって飛び掛かってきた何かの攻撃を遮る。
攻撃してきたのは、右手に鉤爪を持った赤いコウモリの様な見た目のインべス、“コウモリインべス”である。
「野郎!」
ヒロムはコウモリインべスの攻撃をツインガンブレードで受け流すと、反撃の蹴り込みを撃ち込んで距離を取る。
反撃を受けて空中で僅かによろめきながらも、地面に降りたコウモリインべスは金切り声を上げて再び鉤爪を構える。
「なるほど……俺の相手はお前って訳か……なら……」
自分の目の前に立ちはだかった敵にヒロムが闘志を漲らせると連結していたツインガンブレードを再び双剣に変えて、身構えた。
「……後の事を考えて温存しておくが、俺だって“元勇者”だ……だから、か~な~り! 強いぜ?」
挑発染みた言葉と共にツインガンブレードを構えたヒロムにコウモリインべスが再び飛び掛かってくる。
それを見据えて、かつて魔王を激戦の末に討滅し、世界を救った“元勇者”である……ヒロムは、両足を開いて双剣を構えた。
他のメンバーがインべス達と戦いを繰り広げ始めた中、宗谷とイストワールの二人は二人並びながらその様子を見守っていた。
突如として現れたインべス達、それらから教会を、街を守るために奮闘する仲間たちの姿を見て、宗谷ももういてもたってもいられなかった。
「…いーすん、俺達も!」
「ですが、宗谷さん……あなたはまだ、昨日のダメージが……」
「もうかなり回復したって……それに、いーすんもいるだろ?」
「え………」
昨日のブレイズとの戦いで大ダメージを負った宗谷を心配してイストワールがそう言うが、宗谷は彼女に笑みを見せて大丈夫なのをアピールすると、唐突にそんなことを言い出した。
驚くイストワールを他所に、宗谷が彼女の一歩前へと出ると赤剣を肩に担ぐ様に構える。
「……背中を預けていいか、イストワール」
信頼している愛する人にその背中を任せてもいかと、問いかけながら…。
「っ……はい!」
それに対して、イストワールが強く頷いて答えた。
彼女は、もう既に誓っていたから……愛する人と共に生き、共に立ち向かい、共に守ることを……。
彼女の返事を聞いた宗谷は再び口元に笑みを浮かべると深く腰を落として赤剣を構えた、そして、イストワールもまたモード・アクティブを起動すると、宗谷の横に並び立ち、向かってくるインべス達を二人揃って見据える。
こちらに向かってくるインべス達の群れ……。
決して油断は許されない……やるからには、全力で挑まなければいけない。
「……行くぜ、いーすん」
「いつでも行けます……宗谷さん」
二人が互いの顔を見て、タイミングを再確認するように頷き合う。
そして、いよいよインべス達が彼らのすぐ間近まで迫ってきたとき、宗谷とイストワールは同時に走り出そうと地面を強く―――
「ファイティング、ヴァイパー!」
「えっ!?」
蹴ろうとしたその時、インべスの群れは宗谷達に襲い掛かる前に強烈な一撃と共に、大きく後退することとなった。
突然の事態に宗谷とイストワールは足を止めて突然後ろから蛇の様な動きと共にインべス達に向けて飛来した、無数に並んだ刃を一瞥した。
それが彼らに迫るインべス達を次々に攻撃し、大きく後退させていったのだ。
その特殊な形状をした刃に、宗谷は何処か見覚えがあった。
確か以前にも、あんな武器を使っていた女神が一人いたはず……。
「今のは………」
「うっふふふ……なんだか騒がしいと思って出てみれば、面白そうなことになってるじゃない」
背後から聞こえてくるどこか妖艶さを感じさせながらも強烈な寒気を無条件で与えてくるかのような独特の声色………。
それが聞こえた瞬間、咄嗟に宗谷とイストワールの二人が背後を振り返った……。
「あたしも、混ぜて貰おうかしら♪」
「ぷ、プルルート!?」
「ど、どうしていきなり変身を!?」
そこには、すでに女神化したプルルートこと、アイリスハートが鞭の様な攻撃もできる特殊な剣をその手に持って、にやり、と妖艶な冷たい笑みを浮かべていた。
まさかの突然の彼女の登場に宗谷とイストワールが反射的に身震いして、数歩後ずさる。
すると、遅れてその両隣に同じく女神化したネプテューヌとネプギア、パープルハートとパープルシスターが並び立った。
「な、なんとかプルルートさんを起こせたんですけど……プルルートさん、寝起きで機嫌が悪くて、その勢いでいきなり変身しちゃって……」
「だってぇ、あたしだってまだまだ寝たりないんですもの、それを邪魔されたらいやでもあたし、いい気分にはならないもの」
「……おかげで私達も女神化して必死にぷるるんを説得することになってしまったの……まさか、こんなスタートを切ることになるなんて、思いもよらなかったわ……」
「さ、さいでっか………」
疲れ切った声と様子でそう言ったパープルハートに自分たちの知らない所でとんでもないことが来ていたんだろうなと、思ってしまう宗谷。
だが、そんなことよりも今はこの街の事態が先決だ。
「あ、宗谷さん、また来ます!」
「っ! まだまだやる気って訳かよ!」
先程の攻撃を受けながらも再び立ち上がったインべスが唸り声を上げて再びこちらに向かって来ようとしている。
それに気づいた宗谷とイストワールが再度迎え撃とうと身構える。
だが、その前に二人の上をふわりと浮かびながら飛び越えてきたアイリスハートが二人の前へと着地し、彼らの緊張を遮った。
「ぷ、プルルー……ト?」
「あたしぃ、まだねぷちゃんたちにたたき起こされたせいで若干虫の居所がねぇ………だ・か・ら………代わりにあなた達を好きにさせて貰うわぁ!」
向ってくるインべス達に剣の切っ先を向けてそう言ったアイリスハートが地面を蹴ってインべス達に向かっていった。
目まぐるしいスピードで地面を蹴りながら跳躍するように前進したアイリスハートは持っていた剣を構えると、そのまま勢いよく振り下ろした。
「ほらほら、存分に泣きなさい!」
振り下ろされた刃がその勢いで離れ、再び意志を持った蛇の様な動きでインべス達を切り裂いていく。
その姿はまさしく無双……唸り声を上げる異形の怪物たちの中に飛び込んだアイリスハートは妖艶を通り越して、もはや狂喜乱舞という言葉を思わせるような笑みを浮かべながら右手に握る剣を振るい、次々とインべス達を切り付けていく。
まるで舞うように、されど全てを切り裂かんばかりに、笑い、攻撃を続ける彼女の姿は味方だから良かった物の絶対に敵に回したくないと感じさせるには十分な物だった。
「……いつにも増して過激ね、ぷるるんは……でも、彼女ばかりに任せるわけにはいかないわ、ネプギア?」
「う、うん、私達も!」
そして、アイリスハートの戦いに少々威圧感を感じながらも、パープルハートとパープルシスターの二人も覚悟を決めると彼女に続いてインべス達の群れへと向かっていった。
「行きます!!」
パープルシスターは得物の銃剣を高く振り上げると空高く舞い上がり、上空に飛び回る羽根付きのインべスに狙いを定め、トリガーを引き、銃口から鮮やかな桃色をした閃光を放つ。
パープルシスターの射撃を真正面から受けたインべスは空中で爆散、続けざまにパープルシスターはもう一体、もう一体と次々に狙いを定めては撃ちぬいていく。
「この国を……この世界を、これ以上好きにさせません!」
そして、銃剣の刃を振りかざし、空中を滑るように滑空したネプギアは果敢にインべスをすれ違いざまに銃剣に灯る閃光の刃を振るって切り裂いていく。
まるで一筋の流れ星の如く、空を駆け巡る明るく、鮮やかな紫の光と剣閃、それらが空中のインべス達を撃破していく。
同時にパープルシスターが空中のインべス達を請け負う中、地上では女神の三人の中で先陣を切ったアイリスハートに続いてパープルハートもまた奮闘していた。
「せぇい!」
気合いと共に振るわれたパープルハートの刀が下級インべスの胴体を横薙ぎに切り裂いた、さらに彼女は近場にいた下級インべスを蹴り、その反動を利用して飛び上がると身を軽やかに回転させ、その勢いを乗せて刀を振り上から強襲しようとしてきたインべスの翅を両断する。
「私の動きに付いてこれるかしら? ……はぁぁぁああああああ!!」
鮮やかにバク宙を決めながら着地したパープルハートは勢いを止めずに走り出すとインべス達の間をすり抜ける様に素早い動きで駆け抜け、同時に横、斜め、縦と刀を振るい、さらに回し蹴りなどの肉弾戦を織り交ぜた連続攻撃を次々と仕掛けていく。
華麗に、美しく、隙すら見せずに次々と目標を斬撃で倒していくパープルハート
最後には目の前にいたインべスに足払いを掛けて地面に倒したパープルハートはそのインべスの胸に刀の刃を突き立てて止めを刺す。
「この国には、私たち女神もいることを忘れない事ね」
この国を守る守護女神の力を舐めるなと言わんばかりの獅子奮迅ぶり、こことは違う世界から来た偉業を相手にしても女神達は物怖じひとつ見せず立ち向かっている。
そして、その姿を目にした宗谷もまた、こうしてはいられないとポケットからV.phoneを取り出すとすぐさまイストワールに呼びかけた。
「っと、いけねぇ、完全に出遅れちまった! 行くぜいーすん!」
「え?あ、はい!」
ようやくと言った感じに最後に走り出した宗谷とイストワールの二人は、並んで地面を蹴りインべスの群れへと一直線に駆け抜けていく。
そして、宗谷は赤剣を、イストワールは白い細剣を振りかぶると全く同時のタイミングで目の前にいた下級インべスを同時に切り裂き、戦いに参戦した。
「おらぁあああ!!」
宗谷はさらにそこから近場のもう一体をドロップキックで蹴り飛ばし、地面に自身の体が落ちるのを受け身を取ってカバーすると、身を低くした状態で赤剣を振り回して群がってきたインべスを牽制、そこへ……
「吹きすさびなさい、嵐ノ記憶!」
宗谷の周囲をとてつもない風圧の旋風が発生し、インべス達を吹き飛ばす。
そして、身を低くかがめて赤剣を振り切った体制でいる宗谷の背後にモード・アクティブの状態となったイストワールがゆっくりと降りてくる。
「てんきゅ、いーすん、ナイスフォロー!」
「宗谷さんがいきなり飛ばしすぎなんです……まったく、あなたという人は……」
「悪いな、でも……これが俺の戦い方だから」
「……なら私も、それに合わせましょう」
背中合わせの状態でそう言った宗谷とイストワールは周囲にいるインべス達を見据えながらそうやり取りを交わすと、宗谷は赤剣とV.phoneを構える。
背中にいる自分の最も信頼する人と共に、突如として始まったこの戦いに挑むために、己の力を解放するべく、宗谷は二つのアイテムを一つにする。
「リンク・オン!!」
赤剣の刃にV.phoneが連結すると、宗谷の周囲に光が浮かびあがり、彼の体を包み込むとそれが装甲へと変化していく。
白地に鮮やかな黄色のラインのアンダースーツに包まれた彼の、両手、両腕、両足、胸、そして頭に装甲が装着され、首には深紅のマフラーが巻かれる。
この姿こそ、宗谷の“勇者”としての姿……。
赤き仮面に刻まれる特殊なVのマークを携えた彼の名は……。
“赤き勝利の勇者 クロス・ヴィクトリー”。
「頼むぜいーすん………こっからは俺もガチで行くぜ!」
「なら私も本気で挑みます……だから思い切り、ぶっ飛ばしてしまいましょう!」
彼が愛した史書と共に、勇者はゲイムギョウ界の守護女神、そして異界の仲間と共にこの激戦に挑む。
「奴らも動き出したか……」
プラネテューヌの街を見下ろす大樹の枝の上でブレイズはそう呟いた。
この戦いは己の運命をも決める重要な物、それに仇なす宗谷達の存在は彼にとって邪魔でしかない…。
そのために、彼は次の一手を打つ…。
「龍玄、お前達も向かえ……俺の邪魔者を、今度こそ……」
背後に視線を向けたブレイズ、その先には戦極ドライバーを右手に持った光実、貴虎、ザック、そして紘汰の四人の姿があった。
「……ええ、今度こそ……メテオ達の息の根を止めてきますよ……それが、いずれ全世界のためになるなら……」
「………そのために俺達は戦う」
「ああ、たとえあいつが俺達の仲間であっても……必ず倒す」
「………ゥゥ………!」
今となっては彼らの中に眠る闘争本能が、彼らの意志を捻じ曲げた。
彼らは目標となる存在を消すために戦う、ブレイズの先兵……。
彼らはブレイズの言葉を受けると、踵を返して大樹を降りていく。
かつて、宗谷が憧れた英雄たちもまた……プラネテューヌの街へと向かっていく……。
その頃、教会の近くの宗谷達がいる場所とは別の場所で、戦う者がいた。
「このぉ!」
大きめの袖から覗かせるカタールと呼ばれる武器の刃を振り、インべスを切り裂く青いコートの少女、アイエフだ。
彼女は持ち前の身軽な動きでインべス達を牽制していく。
「アイちゃん、無理しちゃだめですよ!」
「分かってる、私の方は大丈夫だからコンパは逃げ遅れた人の救助を…!」
彼女の事を心配するコンパにそう言いながらアイエフはさらに右手で抜いた拳銃を構えて引き金を数回引き絞る。
しかし、インべスの固い表皮には効果が薄いのか、弾道は跳弾し明後日の方向へと飛んでいく。
「ちっ、やっぱりこういうのは効かないのね、まあ、お約束って奴なんだろうけど……ん?」
するとその時、アイエフはある物に気が付いた。
先程撃った自身の拳銃の弾が跳弾し、偶然にも彼女の近場に置いてあった一台の白いバイクのスタンドに当たったのかスタンド外してしまい、また別の肩をした白のバイクと黒いバイクと一緒においてあったその白いバイクが横倒しになっていたのだ。
「あちゃ~…こういうときに……しかもこれ、あのメテオってやつのバイクだったかしら? ……壊してなければいいけ……ど?」
アイエフが何となしにそのバイクに近づいたとき、ふと彼女はそのバイクの近くにある物が置かれていることに気付いた。
真っ黒なアタッシュケース、それはメテオがシンシアから預かったものだった。
持ち歩くには大きめのアタッシュケースは彼のバイクに紐か何かで括りつけられるように固定されていて、倒れた時にそれが外れたのであろう。
地面に転がったそれを見つけたアイエフはそのアタッシュケースを手に取ると、ふと気になってそれを開けてみた。
そして、その中身を見た時………アイエフはそれに見覚えを感じた。
「………あれ? これって………前に宗谷が教えてくれた………」
以前に宗谷と何気ない会話をしていた時に、彼に教えてもらった“ヒーローに変身するための道具”…。
それなりにうまかった彼の絵で、すでに形状を知っていた彼女はそれが何なのかをうっすらと覚えていた。
彼女が目にしたメテオのアタッシュケースに入っていた物、それは……。
「確か………“戦極ドライバー”と、“ロックシード”………よね?」
左側には本来使用者が登録された証である絵柄が刻まれる“ライダーインジケータ”が真黒なままの“未使用の戦極ドライバー”と、銀色の縁取りに赤と紫のグラデーションが鮮やかな“L.S-E.X”と刻まれた一つのロックシードだった……。
いかがでしたか?
次回は、乱戦状態のプラネテューヌで、再びブレイズの先兵と化した彼らが!
そして、まさかの援軍も!?
次回もお楽しみに!