リアルの事情がかなり立て込んで、なかなか執筆にとりかかれませんでしたが、なんとか最新話を書き上げることが出来ました!
というわけで、大型コラボ第7話!
見所は、予期せぬ助っ人と諦めない心!
それではお楽しみください、どうぞ!
プラネテューヌの街中にインべスが飛来し、この国はまるで戦場の様な騒がしさと阿鼻叫喚が巻き起こる場所となってしまった。
下級インべスが国民を襲い、上級インべスが街を破壊する。
所々から悲鳴が上がり、嫌悪感を与える衝撃音や爆音が鳴り響く中………この国、いや、この世界の平和と平穏と守るべく、戦士達は立ち上がり奮闘していた。
「オラ行くぜトカゲモドキ!」
上級インべスの中でも硬い表皮を持ち防御力に特化しているセイリュウインべスを相手にとった仮面ライダーナイツはセイリュウインべスが鋭い牙を生やした口を開いて繰り出す青い炎を強行突破していき、両拳を握ると懐に潜り込み、頑丈な鉄を何枚も並べたかのような強靭な皮膚に己の拳を叩きつけた。
だが、一発当てたくらいでセイリュウインべスの表皮はびくともしない。
「いくら硬かろうが関係ねぇ、ぶち抜いてやらぁ! ライダーパンチ………ラァァァァァァァッシュ!!」
しかし、ナイツは怯むことなくセイリュウインべスの懐にその漆黒の拳を何発も何発も、まるで連射されるガトリングの弾の如き勢いで連続で拳を叩きつけていく。
単純だが強力な威力を秘めた彼の持つ基本的な技であるライダーパンチ、それを休むことなく連続で叩きつける応用技、“ライダーパンチ・ラッシュ”を防御も許されずに浴び続けるセイリュウインべス。
やがて、その硬い表皮で包まれた胴体に、ぴしり、と嫌な音と共に亀裂が走った、その瞬間をナイツは見逃さなかった。
「てぇらぁぁぁぁああああ!!」
裂帛の気合いと共に力強い一発をその胴体の亀裂へと叩きこむ。
すると、ナイツの腕は鉄を砕いたかのような金属音と共に深々とセイリュウインべスの体に突き刺さった。
そしてその腕を引き抜いて後ろへと大きく飛んだ瞬間、セイリュウインべスは爆散した。
別の場所では仮面ライダーマッハもまた奮闘していた。
空気を切り裂くような軽い音と共に自分に向かってくる細長い触角、それを操るカミキリインべスの攻撃を軽やかな動きで回避していく。
「よっと、そんなんじゃ、あたしの速さに追いつけないよ! なんせあたしは……マッハだから!」
『ズーット マッハ!』
触角を振り回して攻撃してくるカミキリインべスにそう言い放ったマッハはマッハドライバーの上部に付いているボタンを連打し、走り出す。
すると目にも止まらないとはこのことか、マッハは次の瞬間超高速で移動し、一瞬にしてカミキリインべスの触角の攻撃の合間をすり抜け間合いを詰めその細身の体に強烈な跳び蹴りを叩きつけた。
「ほらほらほら!」
さらに追い打ちとばかりにゼンリンシューターを駆使した肉弾戦へと移行、音速の名に似合った超高速の打撃による連続攻撃を休むことなく浴びせ続ける。
「こいつで……決まり!!」
『ヒッサツ、フルスロットル!』
そして、とどめとばかりにドライバーから取り出したシグナルマッハをゼンリンシューターに装填し、エネルギーをゼンリンシューターへとチャージし、打撃として放つ必殺技、“ビートマッハー”を下から上へと跳ね上げるようにして打ち込んでカミキリインべスを真上へと殴り飛ばした。
しばらくして、カミキリインべスは甲高い断末魔の鳴き声と共に放物線を描きながら地面に落下し、爆発した。
離れた場所では白銀の嵐の異名を持つ異世界の仮面ライダー、仮面ライダーストームがビャッコインべスを相手に激闘を繰り広げていた。
翡翠色の体に強靭な爪を持つビャッコインべスはその風貌に見合った獣の様な声を上げながら接近し、両腕の爪を数回にわたり振るう。
しかし、ストームはその攻撃を冷静に見切り、最小限の動きで回避し続ける。
「ふっ、せらぁ!」
横合いから来た爪の一撃を右腕を立てて真正面から受け止め、カウンターの左の正拳突きをビャッコインべスに打ち込む。
さらに追撃に蹴り込みから回し蹴り、後ろ回し蹴りと繋げ、最後は右足を高く振り上げた蹴り上げでビャッコインべスの顎を打ち据える。
「おまけだ、取っておけ! エレクトロファイヤー!」
よろけて後退した所にもう一撃、改造された際に体に施された人工筋肉を細かに振動させて生み出す微量な電気を最大限にまで帯電し、電撃として両腕から発生させることで再現した、栄光の仮面ライダーの一人、“仮面ライダーストロンガー”が使った技である電撃を地面に流し込んでまっすぐに相手のいる場所へと走らせ、スパークさせる技“エレクトロファイヤー”を発動し、着実にダメージを与えていく。
地面から感電したビャッコインべスはその場に膝をつく、その瞬間をストームは見逃さない。
『マスター、今です! (`・ω・´)』
「とどめだ! トォッ!」
好機と見たストームは相棒の指示を受け、大きく膝を曲げて空高く跳躍すると空中で前に一回転し、素早く右足を前へと突き出す。
「ライダー、キィーーーーーーク!!」
同じ名を持つ歴代の勇士たちが、多くの敵を屠ってきた技の基本中の基本、仮面ライダーの代名詞でもある必殺技、“ライダーキック”を繰り出したストーム、空中から急降下し勢いをプラスさせた彼の跳び蹴りはビャッコインべスの体を弾き飛ばし、近くの建物の壁に激突させ、爆散させた。
そしてまた、異界から来た元勇者、ヒロムもまたコウモリインべスと対峙し、奮起していた。
「………シッ!」
短く空気を吐きながら素早く横薙ぎにツインガンブレードを両方とも平行に並べたまま振るったヒロム、しかしコウモリインべスは空中戦を得意とする、そのためヒロムの一撃はコウモリインべスが腕のゴム質の羽を羽ばたかせて飛翔したことで回避されてしまった。
空中に逃れたコウモリインべスはそのまま急降下し、右手の鋭い鉤爪を振りかぶって襲い掛かってくる。
「………わざわざ真正面から来てくれて、ありがとよ!」
だが、ヒロムはタイミングを合わせて身を捻りながら跳躍すると自分に向かって飛来してきたコウモリインべスの真上を飛び越え、すれ違いざまに両手の刃を振るいコウモリインべスの両手の羽を切り裂いた。
跳ぶための翼を失ったコウモリインべスはそのまま地面に落下、身を翻して軽やかに地面に着地したヒロムは休む暇を与えないように、すぐさま体の向きを180度転換させると脱兎のごとく走り出す。
「斬艦スラッシュ! 吹き飛べぇぇぇええええ!!」
そしてツインガンブレードを連結し、大剣形態に切り替えるとその刃に眩く発光する七色のエネルギーを纏わせて、斜め上に跳ね上げる様にコウモリインべスを斬り飛ばす。
エネルギーブレード、“斬艦スラッシュ”を受けて上へと切り上げられたコウモリインべスは飛ぶことが出来ずに大きな隙を作った、そこにヒロムはとどめの一撃を放つべくその場に足を強く踏みしめて踏みとどまると、大剣形態にしたツインガンブレードの刃先を向ける。
「撃ち抜け、ディバイン………ブラスター!!」
刃の切っ先に発生した魔力エネルギーの塊が、ヒロムの声と共にコウモリインべスに向かって撃ち出される。
撃ち出された魔力砲、“ディバインブラスター”はコウモリインべスの体を飲み込み、次の瞬間、花火の如き爆炎をあげた。
『Skill Chain! Zeruda no densetu! Sword art online!』
「ガンガン行くぜ! いーすん!」
「はい!」
そして、二人で共に戦っているクロス・ヴィクトリーとイストワール、二刀流の戦闘スタイルへと移行するスキルチェインを発動させたクロス・ヴィクトリーが指示を出して走り出し、その後にモード・アクティブになったイストワールが続く。
「二人一緒なら……!」
先攻したクロス・ヴィクトリーが右手の赤剣と左手の二本目を巧みに駆使し、すれ違いざまに次々と下級インべス達を切り裂いていく。
合間を縫いながら、鮮やかな二本の剣線をインべスの群れに駆けさせていき、その体を斬りつけダメージを与えていく。
「切り抜けられる!」
そしてその後に続いたイストワールが手に握った白の細剣に灯らせた四色の魔法の光を空に向かって打ち上げる。
撃ち出された魔力は花開くように弾け、クロス・ヴィクトリーがダメージを与えたインべス達に追い打ちのように雨の如く降り注いだ。
魔法による追い打ちを受けたインべスの動きが鈍ったのを見逃さず、群れを挟むような立ち位置に立った二人が離れた位置でも互いを認識して同時に頷くとクロス・ヴィクトリーは左手の剣を消滅させて赤剣を両手で握って構え、イストワールも体の正中線に細剣を構える。
「どんな時でも!」
「どこまでも!」
そして、同時に地面を蹴り、クロス・ヴィクトリーが最大の一撃を放つアプリ、フィニッシュブレイクアプリをタップ、赤剣の深紅の刃に眩い光が灯り、同時にイストワールの細剣にも魔力の光が力強く迸る。
互いの刃に力を溜めたまま二人が群れの中に飛び込み、そのど真ん中で足を止めると……。
「これが私達の!」
「合体必殺技!」
「「“ラブレス・ソード・イグニッション”!!」」
同じタイミングで時計回りに回転し、周囲のインべス達を互いの剣にチャージしたエネルギーを強力な斬撃として開放し、一網打尽に切り裂いた。
クロス・ヴィクトリーとイストワールの二人、信頼し、深い絆を持っている二人だからこそできる合体必殺技、“ラブレス・ソード・イグニッション”によってインべスの群れは次々と爆散していった。
そして、爆炎が収まったのを確認してクロス・ヴィクトリーとイストワールが一度構えを解いて、互いを見る。
「うまくいきましたね?」
「ああ、さすがいーすんだぜ、タイミングぴったしだった……うし! この調子で残りも………っ!」
微笑む自身の愛する人に言葉を掛けるクロス・ヴィクトリー、だがその途中で彼はただならぬ気配を感じ、その気配がする方へと視線を向けた。
肌が泡立つような冷たい気配、“感じた覚えがある”感覚に真っ先に反応したクロス・ヴィクトリーがその方へと目を向けると……。
「………やっぱり来たのか」
「え? ……あれは!」
その視線の先には、右手に無骨な黒いシルエットをしたバックル、戦極ドライバーを握った四人の人影がクロス・ヴィクトリーとイストワールを見据えて立っていた。
「……これ以上、好きにはさせないよ……変身」
『ブドウ!』
そう、ブレイズの先兵となってしまったクロス・ヴィクトリー、宗谷の憧れでもあるヒーロー、仮面ライダー龍玄である呉島 光実を筆頭とした、貴虎、ザック、そして狂戦士と化し、黒い衣に身を纏った仮面ライダー鎧武、葛葉 紘汰の四人である。
冷酷な眼差しを向けて右手に持つロックシードを開錠した光実、そして戦極ドライバーを腰に装着したのと同じタイミングで紘汰達も戦極ドライバーを装着し、変身する体制になる。
「宗谷、こっちはあらかた……!」
「どうし……ミッチ! それに………紘汰兄さん………!」
「あれがメテオの兄貴分か? ……事情は知ってるが、えらくグレてんな……」
「もうあの人たちが出てくるなんて……」
時を同じくして、自分が請け負った敵をあらかた片付けてきた他の面子も揃った。
彼らは目の前に現れた強敵を前にして、さらに警戒を強める。
『ハイ~! ブドウアームズ! 龍・砲 ハッハッハ!』
『ソイヤッ! メロンアームズ! 天・下・御・免!』
『クルミアームズ! ミスター、ナックルマン!』
『ミックス! ブラッドオレンジアームズ! 邪ノ道・オン・ステージ! ジンバードラゴンフルーツ!! ハハァー!』
それぞれのロックシードを開錠し、戦極ドライバーへと装着し、カッティングブレードを作動させ、仮面ライダーへと変身していく光実達、それと同時に身構えるクロス・ヴィクトリー達5人。
果実を模した鎧が花開き、その身に纏うことでその姿を完全な物にした彼らはそれぞれの武器を構えて5人を見据える。
「今度こそ、ここで息の根を止める……メテオ、そしてそこにいるお前達もな」
「貴虎さん………あんた達はこんなことをする人じゃ!」
自分達に向けて腰に備えていた無双セイバーを抜いて、その切っ先を向けてくる仮面ライダー斬月にクロス・ヴィクトリーがそう言い放つ。
だが……。
「ヴォォォォォォォォォァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「来るぞ!!」
突然聞こえた方向と共に、ヒロムが叫んだ。
その瞬間、紘汰の変身した禍々しい姿の仮面ライダー鎧武・修羅がソニックアローを引いて、光矢を打ち出した.
ヒロムがいち早く気付いて指示を出したために、一足早く気付いた5人は迫りくる矢が直撃する前に受け身を取って回避する。
そして、彼らのいた場所に矢が命中し、激しい爆発を起こしたのを合図に、身構えていた龍玄達が一斉に彼らに向かって走り出した。
「くっ……ミッチ!」
「はぁあ!」
受け身を取って体制を低くしたストームに向けて、勢いをつけた蹴りを放つ龍玄、ストームはそれを紙一重で受け返し、距離を取ると身構えた。
本当なら戦いたくない友である龍玄を相手にとったストーム、だが今は四の五の考えている暇はない。
「奴のせいでこんなことになったのはわかってる………でも、ブレイズを止めるのを邪魔をするってんなら………もう迷いはしねぇ!」
「それはこちらも同じだよ、僕は最初から君を倒すつもりだからね………何が何でも!!」
覚悟を決めたストームの拳と、龍玄の蹴りが交差する……。
そして、ナイツの前にはナックルが立ちふさがった。
先日の森の中でもナックルと対峙したナイツは、その時の事を思い出しながらナックルの攻撃をしっかりと見据え、繰り出されるクルミボンバーの拳を次々と避けていく。
「オルァ!」
「なんの!」
真っ直ぐに撃ち出された頑強な装甲に包まれた拳を、腕を交差させて防御したナイツ、腕に伝わる衝撃を感じながらもナックルの拳を力強く押し返す。
「……リベンジマッチだ、今度はあの時みたいにはいかねぇぜ?」
「へ、おもしれぇ……もう一度、今度は立ち上がれないくらいにぶっ飛ばしてやるよ!」
互いの意地とプライドを拳に乗せて、ナイツとナックルがその拳を衝突させる……。
マッハは回避し、受け身を取って体勢を立て直すとすぐさまゼンリンシューターを構えて銃口を斬月のいる方へと向け、トリガーを引いた。
「あの時はやられたけど、あたしも諦めが悪いから!」
「……なら、上には上がいるということを教えてやる!」
ゼンリンシューターから打ち出されるエネルギー弾を左手のメロンディフェンダーで防御しながら、斬月が右手に持った無双セイバーを振りかざして向かってくる。
高貴なる白の戦士が振り下ろした刃を音速の名を持つマッハが素早く回避し、反撃とばかりにゼンリンシューターを横薙ぎに振るう。
その一撃を斬月がメロンディフェンダーで防ぎ、二人の白い仮面の戦士が相対する。
「このぉ!」
「はぁぁぁ!」
そして、クロス・ヴィクトリーとイストワール、ヒロムの三人の前には鎧武・修羅が立ちはだかった。
禍々しい覇気を纏わせて、ゆっくりと歩をすすめて近づいてくる鎧武・修羅……左手にソニックアローを握り、歩きながら腰に携えた無双セイバーを右手で抜き放つのを見たクロス・ヴィクトリー達は警戒を強める。
「……紘汰さん……どうすれば……!」
だが同時に、クロス・ヴィクトリーの中には迷いがあった。
鎧武が今、ブレイズによってこのような姿に変えられたと言っても、本質では彼は宗谷が憧れたヒーローの一人、しかも、本物なのだ。
そんな人物を相手に、敵として戦うことなど正直、宗谷には気が引けることだった…。
「迷うな、宗谷……気持ちはわかるが、今のあの人には全力で挑むしかない……でなきゃ……」
迷いを見せ、彼の肩が強張っているのを見抜いたのか、ヒロムはクロス・ヴィクトリーにそう言うと、目線を再び鎧武・修羅へと向ける。
その瞬間、ゆっくりと近づいてきていた鎧武・修羅の足取りが早まり、強烈な殺気と共にその距離を一気に縮めてきたのである。
「こっちがやられる!」
そして、鎧武・修羅はその勢いを残したまま思い切り跳躍し、両手に持った二つの刃を振りかざして急降下し、三人に向かって思い切り振りおろした。
ヒロムの言葉でクロス・ヴィクトリーはその攻撃をイストワールと共に回避することはできた、だが今の鎧武・修羅はここで止まることはなかった。
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛!!」
「ぐっ!?」
後ろに跳んだクロス・ヴィクトリーに追い縋り、右手に持った無双セイバーを横薙ぎに振るって斬りかかった。
咄嗟にクロス・ヴィクトリーは赤剣で防御したものの、鎧武・修羅のパワーに押され、防御のために構えた赤剣は弾かれてしまった、そこに鎧武・修羅が追い打ちとばかりにもう片方の手に持っていたソニックアローで刺突を繰り出し、防御が崩されたクロス・ヴィクトリーは装甲にその一撃を受けてしまい、火花を上げながら数歩後ろに後退してしまう。
そして、後退したクロス・ヴィクトリーに鎧武・修羅はさらに追撃を仕掛けようとするが……。
「させません!」
その間にイストワールが割り込み、手に持った細剣を構え、白色の刃を振るって鎧武・修羅の攻撃の軌道を反らし、そのまま真っ直ぐ構えた細剣の刃に魔力を集中させ、超至近距離で魔法を発射しようとするが……。
「グラァアア!!」
「きゃっ!あぐっ!?」
「いーすん!! させるかよ!」
鎧武・修羅は細剣を無双セイバーで弾くと、イストワールの腹部に蹴り込みを撃ち込んで攻撃の機会すらも潰してきたのだ。
蹴り込みを受けたイストワールの体を、咄嗟にクロス・ヴィクトリーが支え、追い打ちとばかりに追い縋ってきた鎧武・修羅のソニックアローの振り下ろしを咄嗟に赤剣で受け止め、イストワールを守ろうとする。
しかし、その尋常ではないパワーを真正面から、片腕にイストワールを抱えながらではうまく押し返すことが出来ず次第にクロス・ヴィクトリーの腕で支えられている赤剣が押し込まれて行き、劣勢に立たされた。
「ぐ……! この、ままじゃ……!」
「らぁぁぁあああああああああああ!!」
だがそこにツインガンブレードを構えたヒロムが横合いから突撃を仕掛け、交差する赤剣とソニックアローの鍔迫り合いを下から跳ね上げた銀色の双剣の刃で無理矢理離し、二人から鎧武・修羅を放すべくその鎧に包まれた胴体に蹴りを入れて押し返した。
「本当ならこんな形で出会いたくなかったけど……今はそんな事、言ってられないからな……行くぜ、葛葉 紘汰さん!!」
「ヒロム、待て!!」
咄嗟に自分たちを助け、鎧武・修羅へと向かっていった同志を呼び止めるクロス・ヴィクトリーだがヒロムはそれを聞き入れるよりも早く鎧武・修羅へと距離を詰め、その手に握った銀色の剣を翻し、斬りかかった。
そして迎え撃つかのように鎧武・修羅も両手の武器を振るい、両者の持つ四つの剣閃が空間を切り裂き、ぶつかり合い、攻め、防ぎ、激しい攻防を繰り広げ始めた。
耐えずに鳴り響く刃と刃がぶつかり合う音、まさに互角の攻防………。
だが、それは長くは続かなかった。
二人の力は互角とは言えなかったがために………。
「ガア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!」
「ちっ……っ……あ!?」
獣の様な叫びと共にヒロムの両手の剣が弾かれてしまった。
自身の手を離れ、宙に舞う愛剣へと咄嗟に目を向けたヒロム、その隙を見逃さず鎧武・修羅がソニックアローを持った腕でヒロムを殴りつけ、強烈な回し蹴りを撃ち込みヒロムを蹴り飛ばす。
「ヒロム! 大丈夫か!」
「あ、あぁ………つぅ……やっぱ、一筋縄じゃいかねーってか……さすが、今は悪落ちしてても神様だな………あのブレイズって奴とやり合うために温存しておきたかったが………やっぱ“あれ”を使うしかないのか………」
自身の近くに転がってきたヒロムをクロス・ヴィクトリーが心配して呼びかける。
それに対して、ヒロムは腹部を抑えながらもよろりと立ち上がり何とか無事なのをアピールするが、ダメージは受けてしまっている様で苦悶の表情を浮かべている。
三人で勝負を挑んでこれほどまでに苦戦する、鎧武・修羅のパワーは自分達のポテンシャルを遥かに凌駕しているのを察したクロス・ヴィクトリーは鎧武・修羅への警戒を強める。
『ロック、オン………』
『ロックオン! イチ、ジュウ、ヒャク!』
「っ! まずい………避けろ!!」
すると、鎧武・修羅はドライバーにセットされていたロックシードを外し、ソニックアローにドラゴンフルーツエナジーロックシードを、無双セイバーにブラッドオレンジロックシードをセットした。
その瞬間、二つの武器の刃に禍々しい赤色のエネルギーが集中していく……それを見たクロス・ヴィクトリーは咄嗟に二人に回避するように促すが…。
「ウォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
『ドラゴンフルーツエナジー!!』
『ブラッドオレンジチャージ!!』
その直後に二つの刃を振るい、十字型に交差させた強烈な斬撃を飛ばした鎧武・修羅の一撃、“修羅血風無双斬”が放たれた。
そして、放たれた十字の赤き斬撃はクロス・ヴィクトリーたちへと迫り………
「うぁぁぁああああああああああああ!!」
「きゃぁぁあああああああああ!!」
「ぐぁぁぁあああああああああああああああああ!?」
次の瞬間、直撃と共に斬撃に込められたエネルギーが大爆発を起こして三人を吹き飛ばしてしまった。
そして、教会の方でも鎧武・修羅、そして龍玄、斬月、ナックルの参戦と時を同じくして劣勢に立たされている状態へと陥っていた。
彼らの参戦と共に再びどこからか湧いて出てきたインべス達が境界付近の防衛に当たっていたパープルハート達の元に集まり始めたのだ。
さすがに数が集まってきては彼女たちも次第に押されはじめ、状況は徐々にパープルハート達にとって不利になり始めていた。
「………まったく、群れる蟻みたいに次から次へと………数だけは、一丁前ねぇ……?」
「でもこのままじゃ………ぷるるん、まだ行けそう?」
「誰に口をきいてるのかしらねぷちゃん? あたしなら、まだまだいけるわよ~……まあ、ちょっとくらいは休憩も欲しいんだけど……この子たちがこうもがっついてばかりで休む暇もないわ」
背中合わせになり、周囲を取り囲むインべスの群れを前にして武器を構えるパープルハートとアイリスハート。
背中に立つアイリスハートを気遣って、パープルハートがそう問いかけると珍しく彼女からそんな言葉が返ってきた。
弱音、というほどでもないがやはりこのままではまずいということはアイリスハートも薄々とは感じているらしい、だが負けず嫌いなのか右手に構えた剣を振りかざして強がって見せている……何とかこの状況を打開せねばとパープルハートが焦りを感じ始める、ふとパープルハートが上空を見上げると……。
「この! いい加減に……してぇ!」
上空にいるパープルシスターが次々と群がってくるインべスを銃剣で撃ち落していた。
だが、やはり数が多いためか少々疲労の色が見受けられる。
次々と湧いて出て来るインべス、宗谷や他の仲間たちは分断され、協力を求めるのは難しい…。
仮にラステイションにいるノワールや、他の女神達に救援を求めてもすぐに来れるかは難しい…。
このまま押し込まれるのは時間の問題か………。
「でも………まだ、諦めるわけにはいかない………」
「? ………ねぷちゃん?」
そんな状況の中で、パープルハートはまだ強い意志を女神のシンボルマークが浮かび上がる瞳に宿して、そう言い放った。
彼女はまだ諦めてはいない…。
「……ソウヤやいーすん達も頑張っているのに、私達がここで諦めるわけにはいかない……前も、そうしたから……諦めなかったから、今があるの……」
それは、以前に新・犯罪神となってこの世界に攻め入ってきた異世界のネプギアとの戦いのこと。
大切な仲間、そして妹を失い、一度は心を壊してしまったパープルハート………ネプテューヌは、宗谷の呼びかけによって自信を再び奮い立たせ、諦めずにもう一度戦うことを決意した。
そして、すべてを取り戻し……この国と、自分の大切な物を守ることが出来た……。
あの時と同じように、ここで諦めるわけにはいかない。
自分の守りたい物のため、この国のため、この世界を守るため、刀を握ったパープルハートが奮起する。
両手で刀を正中に構え直したパープルハートがインべスの群れを見据える。
「だから今も、諦めるわけにはいかない………諦めないって、ソウヤと約束したから………」
自身の闘志を漲らせて、パープルハートが再びインべスに立ち向かう意思を見せる。
そして、その声と言葉を背中で聞いていたアイリスハートは、妖艶な雰囲気を漂わせる風貌の顔に笑みを浮かべた。
「………ねぷちゃんもなかなか頑張りやさんね…そう言う子、いじめ甲斐がありそうであたしは好きよ?」
「……あなたが言うと本気に聞こえるから、少し自重してもらえるかしら? 今ぷるるんを敵に回すのはさすがに私も嫌なのだけど?」
「うふふ……心配しなくても、今すぐしたりしないわよぉ♪ ………今は、お邪魔虫たちを駆除しないといけないし……そうでしょう、ギアちゃん?」
「はい、お姉ちゃんが頑張ってるのに私が諦めるわけにはいきません!」
アイリスハートの問いかけに答えたパープルシスター、彼女達の意志を聞いたからか、強気な笑みを再度浮かべたアイリスハートが剣を左右に振り、武器を鞭状の形態へと変化させる。
三人人の女神が再び闘争心を漲らせインべスの群れを見据える、そしてそれに比例するかのようにインべス達も唸り声をさらに上げて威嚇してくる。
まだ、勝負が決まったわけではない……最後まで諦めず戦い抜く意思を三人が見せていると……。
『ライバルカード! リード! 仮面ライダー! シャドームーン!』
突然、電子音声と共にどこからともなく緑色の電撃が飛来し、次々とインべス達に直撃し、下級インべスを打倒していった。
「え!? ………今のって………」
横合いから放たれた電撃に驚くパープルハートだったが、その前に聞こえた電子音にどこか聞き覚えがあったパープルハートが電撃が放たれた方向へと目を向けた。
すると、そこには………。
「………この程度の相手に手こずるとはな………」
「あなたは、ラステイションの盗撮犯の時の………!」
右手に三叉の青い槍、ライバランスを握り左手を彼女たちに向けてまっすぐに突き出した体制で立つ、以前にラステイションの衛星がハッキングされ、思いも知らぬところでノワールの盗撮被害が発覚したアノネデスの事件の際に彼女が宗谷と共に遭遇した戦士がいた…。
近未来のようなSFチックな青い装甲に身を包んだ戦士、もう一人の勇者を名乗る“青き正義の勇者 クロス・ジャスティス”。
彼はそう呟きながらライバランスを両手で持ち直すと、横合いからの攻撃で注意がクロス・ジャスティスへと向いたインべス達を見据えた。
「………今回だけだ、あいつに手を貸すのは………次にあった時は………」
そして、なにやら小さな声で呟きながら走り出したクロス・ジャスティスは群がるインべスの群れへと突入し、鮮やかな動きでライバランスを振り回し、槍先に付いた三叉の刃で次々と下級インべスを斬り、突き刺し、打倒していった。
「ハイヤァ! ハッ! セェェエエエエッ!」
ライバランスの柄でインべスの体を打ち据え、追撃で槍先で横薙ぎに切り裂いて打倒し、さらに側宙などの動きを織り交ぜながら大振りにライバランスを振り回して周囲のインべスを牽制していく。
そして、近場のインべスの体にライバランスの刃を突き立ててすぐさま引き抜き、そのまま身を翻しながら背後のインべスに回し蹴りを叩きこむ。
「……やっぱり、強い……」
「………」
無駄も隙もない洗礼された動き、その一連の動作にパープルハートとアイリスハートは無意識の内に見入ってしまっていた。
「ねぷ子!! プルルートさま!!」
「? アイちゃん!」
「あら……さらに助っ人ってことかしら? 何か持ってるみたいだし…」
するとそこへ、別の場所の防衛に当たっていたアイエフがパープルハート達がいる場所へと駆けつけた。
そう言ってアイリスハートが見た視線の先、アイエフの手には無骨なシルエットをしたベルトのバックルのような物と錠前のような物が握られていた。
それは、先程アイエフが偶然見つけたヴィクトリオン・ハートがメテオに預けた物、未使用の戦極ドライバーとロックシードだった。
それを手に今現在女神が苦戦しているという情報を得て、駆けつけたアイエフだが想像以上に溢れかえるインべスに反射的にたじろいでしまう。
「……これ、想像以上にきついかも……」
アイエフが反射的に苦虫を噛み潰したかのような表情を浮かべる、だが……
「フッ………? お前、なぜそれを持っている…それは…メテオとかいう奴に渡したものだぞ」
「え? こ、これってあんたがあげた物なの?」
アイエフが持っていた物を見て、それが自分がメテオを助けた際に同じ場所にいた古代女神の一人である少女が彼に渡した物だと理解していたクロス・ジャスティスはそれを持っていたアイエフにそう言うが、彼女はこれを渡した人物に出会えるとは思っていなかったためか驚きの表情を見せる。
だが、それを見てクロス・ジャスティスは仮面の下で何かを考え付いたのか、じっと彼女を見つめる。
「……予想とは違うが……まあ、これもある意味では好都合か……おいそこのお前、そのベルトを使って“変身”しろ」
「………はっ!? 変身!?」
まさかの発言に呆気にとられた声を上げた、まさかそんなことを言われるとは思ってなかったアイエフが動揺するが、クロス・ジャスティスはお構いなしにライバランスでインべスを打倒しながら、彼女の近くまで接近する。
「今は四の五の言っている場合じゃない、使える力はとにかく出し惜しみをするな……そうでなければ、ここで全員やられるだけだ」
「だからって、急に言われても………」
アイエフにそう促すクロス・ジャスティス、彼女はその言葉にまだ迷いを見せる。
しかし、彼女は目の前にいるインべスの群れ、そしてその中で奮闘するパープルシスターや戦う意思を見せているパープルハートとアイリスハートの姿を見つけた、この危機的状況ではいつ彼女たちが倒れるかわからない…。
もしここで目の前の仲間を失うくらいなら……。
もしここで何もできずに後で後悔するくらいなら……。
もしここで自分にできることがあるなら……。
「………あー! もう、分かったわよ!! やってやるわよ!! ここで見てるよりかは幾分かマシってやつだからね!!」
意を決したアイエフはそう言うと、右手に持った戦極ドライバーを天高く振り上げた。
そして、それを腰に宛がう、すると腰の中央に装着された戦極ドライバーが作動し、アイエフの腰に黄色のベルトが巻かれる。
その瞬間、ドライバーの左側のライダーインジケータと呼ばれる無地のパネルに仮面のような絵柄が刻まれた。
「………えっと………確か、宗谷はこうするって言ってたわね」
そして、もう片方の手で持っていたロックシードを以前に宗谷から聞いた話を思い出しながら開錠する。
『ドラゴンフルーツ!』
アイエフが開錠され、起動した証としてアイエフの頭上に円形の次元の裂け目が発生する。
ロックシードによって召喚されたのは、南国に生息するフルーツの一つ、ドラゴンフルーツの形をした鎧“ドラゴンフルーツアームズ”。
そう、アイエフが今開錠したロックシード、それは“L.S.-E.X ドラゴンフルーツロックシード”だ。
それが現れたのを確認したアイエフは宗谷から教えてもらった話を頼りにドラゴンフルーツロックシードを戦極ドライバーに装着し、施錠する。
『ロックオン!』
その瞬間、アイエフが装着した戦極ドライバーから龍玄と同じ銅鑼を使った中華テイストの音楽が鳴り響く。
音楽が鳴り響き始めたのを確認したアイエフは深く深呼吸をすると、大きく息を吐きながら決意に満ちた瞳を見開く。
「せっかくだから名前を………そうね………よし、決めたわ」
自身が変身する戦士の名を決めたアイエフはそう言った瞬間、彼女は両腕を目の前でクロスさせ、その両腕で円を描くように腕を回し顔の左側に構えた右腕を素早く右側に伸ばす。
「………変身!!」
そして、まさか自分が言うとは思わなかったその言葉と共に、アイエフは戦極ドライバーのカッティングブレードを作動! ドラゴンフルーツロックシードを斬り、シンボルを展開させる。
『ハイ~! ドラゴンフルーツアームズ! 竜・爪! ハイーヤッ!』
鳴り響く電子音と共に、アイエフの頭上に召喚された果実の鎧が降下し、彼女に覆いかぶさる。
その瞬間、アイエフの体を光沢感のあるパールホワイトのアンダースーツが包み込み、遅れて彼女の頭に覆いかぶさった果実の鎧が展開、彼女の体を覆い、鎧へと姿を変えた。
アイエフが姿を変えた、見たこともない仮面の戦士の姿……。
どことなく、女性用のチャイナ服を意識してデザインしたかのようなパールホワイトのアンダースーツ、そして丸みを帯びたシルエットながら龍の鱗の様な装甲で包まれた深紅のグラデーションが鮮やかな鎧。
そして、顔を覆う丸みのある複眼が特徴的な仮面に被さるのは一本の腰まで伸びたポニーテールの様な装飾が付いた兜。
アイエフが変身した戦士は、その姿に変身したと同時に両腕に装着された龍の鉤爪の様な籠手を構える。
「名前は、“竜華”………さぁ、こうなったらとことん押していくわよ!」
アイエフが変身した新たな戦士、“仮面ライダー竜華”が名乗りをあげる。
高々と名乗りを上げた竜華は両手に構えた鉤爪、専用のアームズウェポン“竜果撃爪”を構えると近くにいるクロス・ジャスティスの横を通り過ぎながら真っ先にパープルハートとアイリスハートのいるインべスの群れへと立ち向かっていった。
『ハイ~! ドラゴンフルーツスカッシュ!』
真っ直ぐに走りながら、竜華は戦極ドライバーのカッティングブレードを一回作動させ、そして膝を大きく曲げて身を屈めるとそのまま勢いをつけて跳躍する。
そのまま両腕の竜果撃爪を揃えるように構えるとそのまま体を竜巻のように高速回転させ、群れへと突撃を開始する。
「はぁぁぁああああああああああ!!」
ドラゴンフルーツの残像を纏いながら、さながらドリルのように穿孔しながらインべスの群れへと突撃する竜華、彼女が繰り出したその凄まじい攻撃はインべスの群れを次々と撃破していく。
「アイちゃん!? これっていったい……」
「えっ!? お、お姉ちゃん! 今の人ってアイエフさんなの!?」
まさかの助っ人の突然の変身と奮闘に、驚きを隠せないパープルハートとパープルシスター、だがこれで少しは希望が見えてきたという物には変わりないだろう。
「……まあ、ちょっとおいたが過ぎたこの子たちにはいい薬なんじゃないの? ここから……あたしもまた攻めさせてもらおうかしら」
運が向いてきたと感じたのか、アイリスハートがそう呟く。
実際に彼女の言う通り、竜華は繰り出した技で次々に下級インべスを打倒していく、そして縦横無尽に体を回転させながら辺りを駆け巡り、竜華はそのまま空中で華麗に身を翻し、パープルハートの近くへと着地する。
「……すごい……これなら、いけるわ! ネプ子!」
「……何はともあれ、今は乗るしかないみたいね……この流れに!」
二人はそう叱咤しあうと同時に走り出し、インべスの群れへと飛び込んでいく。
竜華は竜果撃爪でインべスを切り裂き、軽やかな身のこなしを生かした蹴り技を主体にした戦法を繰り出し、パープルハートもまた持ち前の刀による斬撃を繰り出して群がるインべスを打倒していく。
教会で奮闘するパープルハート達に、予期せぬ援軍が現れ、流れが彼女たちに向いてきた。
そして、その様子を見届けたクロス・ジャスティスは……。
「……誰が使えとも言っていないからな……別に、これでも構わないだろう……さて、もう一人のいる方に行くか」
そう呟きながら、その場を援軍に来た竜華に任せ、その場とは別の場所へと向かった。
彼が向かった方角、それは宗谷達が鎧武・修羅達と激闘を繰り広げている方角だった………。
発生した凄まじい爆炎によってあたりに煙が漂う中、それによって強大なダメージを受けたクロス・ヴィクトリー、イストワール、ヒロムの三人は煙が漂うその場に蹲っていた。
余程のダメージがあったのか、小刻みに身を震わせながらその場に倒れ込む三人を禍々しい気配を宿した狂戦士と化した鎧武・修羅が見据えている。
「………ゥゥゥゥ………」
「く……そっ……」
「なんて……威力……」
「………ぐっ」
苦悶の表情を浮かべる三人、それを前にして鎧武・修羅は武器を振りかざしながらじっと様子を窺うかのように見つめている。
そして、鎧武・修羅を前にして地に倒れ伏したクロス・ヴィクトリーは……。
「……今のままじゃ、ダメだ……」
そう呟きながら、身を震わせながらも体を奮い立たせ、膝を伝い状態ではあるが再び身を起き上がらせた。
仮面の下で自分たちをじっと見つめている鎧武・修羅を前にしてクロス・ヴィクトリーはある想いを胸にし始めていた。
禍々しい気配を漂わせながらも、そこにいるのは紛れもない……宗谷の憧れたヒーローの一人……。
「………倒すとか、そんな考えじゃダメなんだ……やっぱり」
「……宗谷?」
例え今、目の前にいる彼がどんな姿で、どんな状態であっても、それには変わりはない。
それ故に、宗谷は虚しさと………怒りを感じていた。
「………紘汰さん、あんたはこんなことをする人じゃない………あなたは……あなたは! 自分の信じた道を進み、たくさんの人を救うために戦い続けた……俺はそれを見て、スゲーって心の底から思った……!」
彼は見ていた、目の前にいる戦士……鎧武が、紘汰がどれほど辛い思いをして長い戦いに身を投じてきた。
その姿を見てきたからこそ、宗谷は今の鎧武の姿に激しい怒りを燃やしていたのだ。
いや、正確に言えば、彼を今の姿にさせたままにしている……今の自分自身に……。
「………だからこそ、これ以上あなたの名を汚させはしない………! 俺が“一番憧れたヒーロー”………仮面ライダー鎧武の名を………汚させたりしない! あなたを絶対に元に戻す!」
自身の決意を言葉にしながら、クロス・ヴィクトリーは再び立ち上がった、仮面の下に宿る宗谷の瞳に、強い意志を宿しながら。
その意志を糧に、クロス・ヴィクトリーは目の前にいる憧れの存在を救うために自分を奮い立たせた。
その時!
「っ!」
「え………宗谷さん、これは!」
クロス・ヴィクトリーとイストワールの腕に巻かれた絆の証、リンク・コネクターブレスが輝きだしたのだ。
しかも、今までになかった色、鮮やかな輝きを放ちながら燃え盛る炎の様な、赤色に……。
そしてこの時、同時にもう一人にもある変化が起きていた。
「……こいつは……」
「ヒロムさんまで!」
そう、ヒロムにもある異変が起きていたのだ。
突然彼の身体が深紅の光に包まれ始めたのである、リンク・コネクターブレスと同じ輝きを体に纏ったヒロムは戸惑いながら自分の身体を見るが……。
「なっ!?」
光が急激に強くなり、彼の体を包み込んだ。
そして光が晴れると………。
「………ふふっ♪ ヒロミちゃん、再びオンエアー!」
「ヒロミちゃん!? なんでこっちに…」
そこにはヒロムのもう一つの姿である、女性としての彼……いや、女神としての人格であるヒロミの姿があったのだ。
天真爛漫な笑みを浮かべてヒロムと入れ替わり、表へと出てきた彼女に驚きを隠せないクロス・ヴィクトリー、だがそんな彼とは裏腹にヒロミは何やら自信に満ちた様子でクロス・ヴィクトリーとイストワールの二人へと向き直った。
「なんだかわからないけど、呼ばれたんだよ、宗くんのそれに」
そう言うとヒロミはクロス・ヴィクトリーの腕に巻かれ、赤く光り輝いているリンク・コネクターブレスを指さした。
「え、こいつに……?」
「うん………宗くんの、熱いその思いに答えるために力を貸してくれって………なんか、そう言われた気がしてね」
「力を………それって………宗谷さん、もしかしたら!」
その言葉を聞いて、イストワールが何かを思いついたのかクロス・ヴィクトリーに呼びかけるとクロス・ヴィクトリー何かに気付いたのか、マスクに包まれた頭を縦に振った。
「………あぁ、たぶん、そう言うことだよな! うしっ、一か八か………やってみるぞ、いーすん、ヒロミちゃん!!」
「はい!」
「任せといて!」
クロス・ヴィクトリーの言葉に返答を返したイストワールとヒロミ、そしてその瞬間クロス・ヴィクトリーのリンク・コネクターブレスの光がさらに強く輝き始めた。
すると、イストワールの身体が光に包まれクロス・ヴィクトリーと一体化し、クロス・ヴィクトリーは強化形態であるフォーチュンリンクへと変身した。
そして、同時にヒロミの姿も通常の姿から女神としての姿、深紅のプロセッサユニットを身に纏った姿、スカーレットハートへと変身しクロス・ヴィクトリー フォーチュンリンクとなった彼と視線を交わらせると互いの準備が出来たことを確認するかのように頷くと、クロス・ヴィクトリーは右腕を、スカーレットハートは左腕を伸ばし、Xを描くかのように互いの腕を交差させる。
「さあ行くよ! 最高に熱い超絶変身!!」
「これで、あんたを救ってみせる!!」
『ヒロミさん、宗谷さん、コールを!!』
そして、二人は叫ぶ………時空を超えた、新たな戦士へと変身するために………。
「「フォーチュン・リンク!! スカーレットハート!!」」
『Cross over!! Scarlet Heart Active!!』
高らかに叫んだ二人、その瞬間新たな戦士へと変身するべく、光の中で二つの力が一つになりはじめた。
スカーレットハートとクロス・ヴィクトリーの身体が眩い光に包まれはじめ、スカーレットハートの身体が光に包まれながら徐々に変化していき、3対の鋭利なデザインの赤い機械の翼になり、それがクロス・ヴィクトリーの背に本来備わっていた翼と入れ替わる様に装着される。
その瞬間、クロス・ヴィクトリーの両腕、両足、胸の部分を包む赤い装甲に燃え盛る炎の刻印が刻まれて行き、同時に両肩には機械的な形状をした特殊な装甲が装着され、首に巻かれた赤いマフラーにも炎の刻印が刻まれた。
赤と銀の装甲に燃え盛る炎の刻印、今までにない姿の戦士へと変化していくクロス・ヴィクトリー。
燃え盛る炎の様な赤い光の中で、赤き炎の刻印を宿した戦士がその光を薙ぎ払うかのように両腕を振り、その姿を露わにする……。
辺りに火の粉の様な光の粒子を漂わせながら、凛とその場に立つ、新たな姿へと変身した戦士を前に、鎧武・修羅が警戒を強める。
そして、それに対して赤き炎の刻印の戦士は物怖じひとつすることなく、鎧武・修羅を見据える……。
逸れ女神にして異界の女神であるスカーレットハート、そして無限の繋がりを力に変えて戦うクロス・ヴィクトリー、この二人が融合したことで誕生した新たな戦士………その名は………。
「フォーチュンリンク・スカーレットハート! またの名を、“クロス・スカーレット”………さあ、熱いショータイムの始まりだ!」
いかがでしたか?
次回、新たな変身を果たした戦士、クロス・スカーレットが鎧武・修羅と激突する!!
次回でお会いしましょう、それでは……