今回のお話はコラボステージ第八話!
集う鎧武・修羅達を前に異世界の戦士達が奮闘する!
そして、クロス・スカーレットは鎧武・修羅を救うことはできるのか!
それではお楽しみください、どうぞ!
火の粉の様な赤い光の粒子を周囲の空間に漂わせながら、姿を現した新戦士……。
背中に飛龍を思わせる鋭利なシルエットの機械の翼を左右に三つずつ携えたその戦士は、深紅の体に刻み込まれた燃え盛る炎のファイアーシンボルをきらりと輝かせながら、目前に立つ鎧武・修羅にそう言い放った。
突然目の前にいた相手の変化に、警戒した様子を見せる鎧武・修羅、それに対して赤き炎の刻印の戦士、クロス・スカーレットは右手で握り拳を作り、左の手の平にパシンと音を鳴らすように勢いよく叩きつける。
「さて、この変身は体力を維持するにはタイムリミットがあるからな…この際、手っ取り早くあんたの目を覚まさせてやるよ」
「………ゥゥゥゥゥウウ」
「いい加減、あんたもこんなのは嫌だろ? だから………オレがあんたの最後の切り札になってやる!」
クロス・スカーレットがそう言った瞬間、背中に備わっている機械の翼が躍動する。
左右に三枚、合計で六枚ある翼の内の四つが離れ、残った一つは形状を変化させ、横に平行に並んでいた二枚の翼は垂直になって連結し、背中に連結する。
そして、離れた四つの翼はそれぞれ二つずつが合体し、腕の部分に翼が付いた特殊な形状のガントレットの様な物へと変形し、それが勢いよく左右に開いたクロス・スカーレットの両腕に装着される。
クロス・スカーレットの専用武装となるガントレット型のグローブを装備し、彼は両拳を打ちあわせた。
六枚の翼が武器になり、スラスターのように変形したバックパックを背中に備え、身軽な印象を与える状態になったクロス・スカーレットは腰を落として、さながらボクサーの様な体制の構えを取った赤き炎の刻印の戦士。
それを見た鎧武・修羅は本能に刻み込まれた闘争心を彼に向けて、両手の武器を構えた。
「ヴァァアア!!」
叫びと共に、片手に持っていた無双セイバーのグリップを引き、弾丸をチャージした鎧武・修羅が獣の様な声と共にトリガーを引く。
撃ち出される光の銃弾、銃口から連続で放たれた凶弾がクロス・スカーレットに向かっていく。
しかし、それと同時にクロス・スカーレットは動いていた。
バックパックのスラスターから炎が噴き出し、それが推進力となってクロス・スカーレットの体を押し出す。
背中のスラスターの推進力を味方につけ、今までに見たこともない動きで進みだしたクロス・スカーレットはそのまま打ち出された弾丸の合間を縫うように回避しながらどんどん鎧武・修羅との距離を詰めていく。
「はぁぁぁああああ!」
四発目の銃弾を右腕のグローブで防ぎながらも前に進んだ彼は、無双セイバーの弾丸を弾いた際に勢い良く引いた右の拳をそのまま鎧武・修羅へと打ち出す。
その赤い装甲のグローブに包まれた拳は、鎧武・修羅の鎧に包まれた胴体に直撃し、その際に発生した火花と共に鎧武・修羅の体を震わせる。
「グゥッ…!」
「まだまだ行くぜ!」
「……グゥゥゥウウウウ!!」
クロス・スカーレットはさらに追い打ちをかけるべく、両腕を構え、ジャッブ、左フック、右ストレートなど軽い身のこなしと力強い拳の攻撃で鎧武・修羅へと攻撃を仕掛けていく。
だが、鎧武・修羅も負けじとクロス・スカーレットの攻撃を無双セイバーとソニックアローを使って迎え撃ち、二人の刃と拳、互いの左右の武器がぶつかり合い、火花を散らしながら激しい攻防を繰り広げる。
そして、斜めに振り下ろしたソニックアローの刃をクロス・スカーレットは右腕の甲で受け止め、勢い良く打ち上げたアッパーカットで反撃を仕掛ける。
しかし、鎧武・修羅はその反撃に素早く反応し、逆手に握り替えた無双セイバーの柄を拳に打ち付けて防御する。
反撃を防いだ鎧武・修羅はそのまま一瞬後ろに距離を開け、体を捻りながらソニックアローと無双セイバーを同時に横薙ぎに振るう。
だが、クロス・スカーレットはその攻撃を両腕を交差させて防いだ彼はその衝撃に身を任せて大きく後ろに後退する。
「やっぱ一筋縄じゃ行かないか……ならこっちももっと燃やしていくぜ!」
鎧武・修羅と一度距離を開けたクロス・スカーレット、するとその言葉に答えるようにクロス・スカーレットの両腕のガントレットが駆動音を上げる。
その瞬間両腕のガントレットに備わった翼の様なパーツから、激しく炎が噴き出す。
さながら竜の口から吐き出される炎の様な勢いで噴き出した炎、段階的に間を開けながら連続で噴き出す炎はクロス・ヴィクトリーの状態で発動するスキル 家庭教師ヒットマンリボーンのブーステッド・フィアンマの炎よりも勢いが強い。
「オーバーヒート! “ヒロナックル”!!」
ジェット機の様な炎と共にその力を解き放ったクロス・スカーレットの固有武装、“ヒロナックル”。
力強く拳を握りしめたクロス・スカーレットはそのまま大きく両腕を後ろに引き、両足を大きく開いて地面を踏みしめ、“衝撃に耐えるべく”自身の体を支える。
「紅蓮ッ! 滅却砲!!」
身構えた両腕のヒロナックルがチャージした強力なエネルギーを拳に集め、同時に揃えながら前に拳を突き出す、その瞬間手の甲に集まる深紅のエネルギーが炎となり、さながら噴火する火山の如く放たれる。
クロス・スカーレットが叫んだと同時に放たれた炎のエネルギー砲、“紅蓮滅却砲”が正面に立つ鎧武・修羅に向かっていく。
「ッ!」
『ソイヤ! ブラッドオレンジスパーキング! ジンバードラゴンフルーツスパーキング!』
「ウォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオ!!」
それに対し、鎧武・修羅は素早く戦極ドライバーのカッティングブレードを三回倒し、己の武器に力を集中させる。
そして、迫る炎の砲撃に対して二つの刃を交差させるように勢いよく振り下ろす。
ぶつかり合う炎と血のように赤黒いエネルギーを纏った刃がぶつかり合い、激しく火の粉を散らしながら押し合う。
「………オレは信じてる、あんたの中にある心が灯す炎を………」
「ッ……」
互いの力をぶつけ合う最中、クロス・スカーレットは鎧武・修羅に突然そう言い放った。
「たとえそんな姿になったとしても、あんたの中にある大事な思いを…覚悟を…決意を! 誰にも消すことはできない! あんたが辿ってきた道を照らし出した、あんた自身の決意の炎を!」
クロス・スカーレットの言葉に呼応するかのように、ヒロナックルから放たれた紅蓮滅却砲の炎がさらに勢いを増す。
「紘汰さん、あんたは誓ったんだろ! ヘルヘイムの森が沢芽市だけじゃなく世界を飲み込もうとした時、それを防ぐために戦う中で……最後の戦いの中で、あんたはあの人に誓ったことがあったはずだ!」
自身の目前に立ち、猛威を振るうかつて世界を守るために戦った英雄……鎧武・修羅へと……いや、仮面ライダー鎧武、葛葉紘汰の意志に向かってクロス・スカーレットは呼びかける。
彼が辿った戦いの奇跡、その中で彼が最後の最後に見つけた………宗谷自身もそれを聞き、彼のようになりたいと思った……彼の決意の言葉、決意の意志……“ある男”が認めた、彼の弱さにして強さの表れ……彼のすべてを、クロス・スカーレットは脳裏に浮かべる。
「………守りたいという祈り………見捨ていないという誓い! あなたはそれを弱さと知り、何度辛いことがあっても……どんなに泣いても! 立ち止まらずに、進み続けるって!!」
「ウッ………!」
クロス・スカーレットが言い放ったその言葉に、鎧武・修羅が僅かに反応を示す。
その際に刃をぶつける炎の一撃を押し返し続けている鎧武・修羅の腕が僅かに震えた。
「それなのに今! あんたがこんなことしてどうする! あんたが……こんなことで、立ち止まってどうするんだ! 紘汰さん!!」
「………グルゥゥゥゥゥゥゥゥァァァァァァァアアアアア!!」
クロス・スカーレットの呼びかけに腕を振るわせながらも、鎧武・修羅は獣の様な唸り声を張り上げて、紅蓮滅却砲を押し返す腕にさらに力を籠め、一気に交差させるように両手の武器を振り抜き、紅蓮滅却砲を掻き消す。
だがその瞬間、クロス・スカーレットが背中のスラスターを起動させ、鎧武・修羅との距離を詰め拳を振るう。
それに対し、鎧武・修羅は己の腕で拳を受け止め、二人は至近距離で向かい合う。
「……これ以上、あんたの誓いを汚させない! たとえぶん殴ってでも……あんたを、取り戻す!!」
憧れたヒーローの大切な物を、これ以上好き勝手にさせないために固めたクロス・スカーレットの想い。
それを拳に乗せて、再び両者が激突する。
そして、その言葉を別の場所で聞いていた者がいた………龍玄と今現在戦いを繰り広げている、仮面ライダーストームである。
ストームは至近距離で龍玄と格闘による攻防を繰り広げながら、新たな変身を果たしたクロス・スカーレットを一瞥する。
「宗谷……ヒロム……あいつら……」
「こんな時に余所見なんて、ずいぶん余裕だね!」
「ぐっ!」
その際に生じた一瞬の隙をついてストームと距離を詰めて腕をぶつけ合い、押し合っていた龍玄はストームの腹部に横蹴りを見舞い、怯んだ所に後ろ回し蹴りを撃ち込んでストームを蹴り飛ばす。
地面に転がり、倒れ込むストーム……そんな彼に対して龍玄は右手に持ったブドウ龍砲の銃口をストームへと向ける。
「……メテオ、君は何のためにそこまで抵抗するんだ……君の運命はいずれ、君自身を滅ぼす……迷ってばかりで道を示すことが出来ない君では何も見いだせない……そんな無駄なことをしているよりも、いっそここですべて諦めれば君はもう迷わずに済むのに……」
「………」
「だからこそ僕は言ったんだ、君にこの戦いを勝ち残る資格はないって……そんな君では、何も成し遂げられない……残るのは絶望だけだ」
「………かもしれねぇな」
銃口を向け、淡々とストームに告げる龍玄、それに対してストームはそう返答を返した。
「………確かに、俺は迷ってばかりだ……迷ってばかりで、この先どうなるかなんて本当にわかんねぇ……お先真っ暗だ」
まるで龍玄の言葉を肯定するかのような言葉を淡々と告げながら、地面からゆっくりと起き上がったストーム、ゆっくりと両足を地につけて立ち上がり、視線を下に向けて俯いた彼は己の手を見つめる。
「お先真っ暗で何もわからない………でも………でもよ、ミッチ」
「………?」
だが、ストームは顔を上げてじっと龍玄を見据えた。
「何も見えなくて……わからないからこそ……今歩いてる道から……目の前で見えているものから目を反らしちゃいけないんだ……」
彼はここに至るまで、多くの戦いの中で様々なことに出会い、たくさんの悩み、辛さ、悲しみと直面してきた。
でも、その中で彼は同時に大切なことも同時に知った。
彼が大切な人と交わした、何があっても諦めず、目の前に阿智はだかる困難を共に乗り越えていくという、大切な“約束”…。
様々な出会いと共に彼が気づいてきた、“絆”の繋がり…。
そして、掛け替えのない仲間たちと培ってきた……大切な“思い出”……。
「……目の前が暗くて、ずっと先のことがわからなくて不安なのは本当だ……でもだからってここで立ち止まってたら迷ったままで何も変わらないだろ、なあ、ミッチ」
「……何が言いたいんだ」
「………前に教えてくれたよな、お前も昔、立ち止まったって……大切なことを見失ったって」
だからこそ彼は、立ち上がる。
「……だからこそ俺は迷ってその場で立ち止まるより、目の前にある道を進む方を選ぶ……今は今をしっかり見据えてな」
最後の最後まで諦めないために……彼は立ち止まりはしない、そう彼は一人の少女と約束したから。
どんなに不安なことがあっても、目の前が暗闇に閉ざされていたとしても、彼は進み続ける……足元を見ながら、暗中模索をしながらも前に進み続ける
再び立ち上がったストームはそう言うと、龍玄を見据えたままある物を取り出した。
それは彼がここに至るまでの道のりで手に入れた、絆の証。
今、獣のように狂ってしまっている自分の兄貴分との戦いに身を投じている友と、この世界にいる最愛の人から受け取った、彼の持つ“絆の力”。
鮮やかな赤色が施された小さなスイッチ、その中央には黄色のVのシンボルが力強く描かれている。
ストームはそれを取り出すと、スイッチを目の前に突き出すように構える。
「だからまずは……あいつらみたいに出来ることをする」
『Victory!』
彼が取り出したのは、“ヴィクトリースイッチ”と呼ばれる物、これは以前に自分の世界で起きた二つの世界を巻き込んだ戦いの折に、彼が手にした赤き勇者の力が決勝となった物……つまりは、勇者クロス・ヴィクトリーの力を集めたスイッチなのだ。
彼はスイッチを起動させると、それをすぐさまベルトのソケットに装填し、スイッチをオンにする。
「ミッチ、俺はお前をそんな風にした元凶を……破壊する! そして、取り戻す! お前達を……元に戻す!!」
『Victory・ON♪』
スイッチがオンに切り替わった瞬間、ストームの装甲の色合いが輝かしいダイヤモンドの部分が深紅に変わり、アンダースーツが明るい黄色へと変化する。
そして、彼の顔を覆う仮面の額に備えられたVの字の特殊な形状のシンボル、それが刻まれた瞬間、ストームの両手にクロス・ヴィクトリーの武器である赤剣とガンコンシューターの二つがそれぞれ現れストームは迷うことなくそれを握り絞める。
「あいつが憧れた人を救うために戦うなら……ミッチ………いや、光実! お前をぶん殴ってでも目を覚まさせてやる!!」
「………うるさい!! たくさんの命を奪ったお前に、何も救えはしない! ……争いの力で、何が救えるっていうんだ!」
ヴィクトリースイッチを使用したことによって変身した赤き勝利の勇者の力を宿した特殊形態“ヴィクトリーフォーム”、その姿へと変わったストームに向けて龍玄はブドウ龍砲を構え、発砲する。
だが、それと同時にストームもまた右手のガンコンシューターを構えて発砲し、二人の間で激しく銃弾がぶつかりあった。
「確かにそうかもしれない……だけど! 目の前にいる友達を見捨てたら……それこそ、この先も……なにも出来ねぇ! それに!!」
叫び、ストームがガンコンシューターを構えながら走り出す、それに対し龍玄は近づいてくる彼に向かってブドウ龍砲の引き金を引き、弾丸を討ち続ける。
しかし、ストームはそれを物ともせずに足を止めずに走り続け、自分に直撃しかねない弾丸を回避しながら龍玄との距離を詰めると勢いよく赤剣を袈裟懸けに振り下ろし、龍玄を攻撃した。
「ぐっ!」
「俺の力をどう使うかは……俺が選ぶ!!」
一方、ナイツとマッハもまた同じくして衝突した歴戦の勇士であるナックルと斬月の二人と戦いを繰り広げていた。
激しくぶつかり合う拳と拳、駆け巡る刃と音速の打撃、一歩も譲らない攻防だが以前の時とは違っていた。
ナイツとマッハがナックルと斬月を押し始めていたのである、昨日戦った時とは違った力強い動きと共に二人はそれぞれの相手に攻撃を仕掛けていく。
「だらぁぁぁあ!」
「ぐはっ!?」
ナイツは繰り出されたナックルの拳をしゃがんで回避し、懐に拳を数発叩きこんで鋭いアッパーカットを打ち上げてナックルの顎を打ち据え…。
『ズーット! マッハ!』
「よい、しょぉぉぉおお!」
「っ……ちぃ!」
マッハは得意の高速移動を生かした動きで斬月の動きを翻弄し、すれ違いざまにゼンリンシューターを撃ち込んで斬月に付け入る隙を与えようとはしない。
ここにきて昨日苦戦していた二人を押し始めたナイツとマッハ、その二人に翻弄され苦戦し始めたナックルと斬月はそれでもと二人に追い縋る。
「へっ! 結構やるようになったじゃねぇか! 昨日のはまだ本気じゃなかったってか!」
「さあな! でも、あそこで戦ってるあいつらが本気なのに俺らが本気にならなくてどうすんだってな!」
よろめきながらも体勢を立て直したナックルがクルミボンバーを装備した両腕を振るってナックルを攻撃するが、ナックルはその拳を次々と防御し、反撃とばかりに肘鉄を見舞ってナックルを押し返す。
「それに! メテ兄があんた達を元に戻すっていうなら、あたし達もそうする! それが……一緒に戦うものとしての役目だから!」
「……たかがそれだけで、この短時間に……!」
高速移動状態に入ったマッハは斬月との距離を詰め、休むことなく拳と蹴りを繰り出し続け、斬月はそれを紙一重でメロンディフェンダーで防御しながら無双セイバーによる反撃を繰り出すが、マッハはそれを回避してさらに反撃へと繋げていく。
この短時間でなぜ彼らがここまで強くなったのか……それは、彼らがこの戦いに望む“意志”にあった。
戸惑いの心は体をも乱す、そして今の彼らにはその乱れがなかった……彼らなりに、この戦いに身を投じる決意を固めたのだ。
「ガラじゃねぇが、ここでやられっぱなしってのも筋じゃないんでな!」
「こうなったらとことんまで、マッハで付き合うまでだよ!」
そう言い放った二人の戦士が当時に蹴り込みを打ち、ナックルと斬月の二人を蹴り飛ばす。
地面を転がるナックルと斬月、そこに………。
「はあっ!」
「うあぁぁぁぁぁああああ!?」
ストームと戦っていたはずの龍玄がどこからか弾き飛ばされるように飛んできた。
ヴィクトリーフォームとなったストームが龍玄の身軽な動きを生かした蹴りを回避し、至近距離でガンコンシューターを打ち、連続で赤剣を振るい、龍玄を斬り飛ばしたのである。
龍玄はそのまま体を叩きつけるようにナックルと斬月の傍に落下する、すると同時に龍玄と戦いを繰り広げていたストームがナイツとマッハの元に合流し、並び立つ。
「……絵美、カズマ……力を貸してくれ」
「おうよ、いい加減こういうのも終わりにしないとな」
「あたし達で目を覚まさせてあげよう…!」
そして、三人は同時に頷くとストームはベルトに装填されたヴィクトリースイッチに手を添える。
(………頼む、シンシア………宗谷………お前達も、俺に力を貸してくれ………ミッチ達を救うために!)
その願いを込めて、スイッチを撫でた時だった……まるでその意志に答えるかのようにヴィクトリースイッチが一瞬、赤い光を放ったのである。
その瞬間、ストームとナイツ、そしてマッハの三人の脚に虹色に輝くエネルギーが集束し始める。
『Limit Break!』
この光、それは偶然にも以前にクロス・ヴィクトリーが新・犯罪神と激闘を繰り広げた際に、犯罪神の魂に包まれた異世界のネプギアを救うために彼が戦うのを決意し、最後の一撃を放つ際に発生した、あの暖かな光と全く同じものだった…。
彼らはその光を纏いながら跳躍する……救いたいという想い、取り戻したいという願いと共に……“想い”を乗せた一撃を、龍玄達に向けて放つ。
そして同時にクロス・スカーレットと鎧武・修羅の戦いにも大きな転機が訪れようとしていた。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
ヒロナックルに猛烈な炎を纏わせながら、クロス・スカーレットは次々に鎧武・修羅の体に拳を打ちこんでいく。
右ストレート、左ストレート、フック、アッパー、様々な拳による打撃のコンビネーションがまるで燃え盛る炎の如き勢いで繰り出され、鎧武・修羅に反撃の余裕すらも与えようとはしない。
やがて、防御に周っていた鎧武・修羅の体勢が崩れ、痛烈な拳による一撃が鎧武・修羅の鳩尾を捉え、その禍々しい鎧に包まれた体を大きく揺らした。
「ウオッ………ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛!」
だが鎧武・修羅は荒々しい叫びをあげると反撃しようと右手の無双セイバーを握りしめ、クロス・スカーレットに向けて鋭い刺突を繰り出してきた。
しかしそれをクロス・スカーレットは体捌きでやり過ごすと刺突を繰り出した鎧武・修羅の腕を抱える様にして捕縛し、体をゼロ距離まで寄せるとクロス・スカーレットは大きく頭を後ろに引いて…。
「ふん!」
「ガフッ!?」
勢いを乗せた頭突きを繰り出し、鎧武・修羅の仮面に己の額を打ち付けた。
よろけた鎧武・修羅、この隙をクロス・スカーレットは見逃さない…。
「………もう一発!」
クロス・スカーレットが拳を打ちあわせ、よろめいた鎧武・修羅の懐へと再び飛び込んでいく。
両腕のガントレットから激しい炎を噴き出しながらまっすぐに鎧武・修羅へと向かっていくクロス・スカーレット、それに対して鎧武・修羅は無双セイバーを逆手に握りながらソニックアローを構え、矢尻となっているトリガーに手を掛けてエネルギーの光矢を連続で放つ。
だが、それでもクロス・スカーレットは止まらない背中のスラスターとヒロナックルの翼から噴き出すブースターの様な推進力をフルに使い、飛んでくる光矢を回避しながらクロス・スカーレットは鎧武・修羅に接近していく。
今は戦闘本能の塊となっているからなのか、鎧武・修羅は迫りくる敵を討ち抜かんと攻撃の手を緩めようとはしない。
しかし、それでもクロス・スカーレットは止まることなく跳び続ける………彼を、救うために………。
地面を低空飛行するジェット機のように、凄まじいスピードで接近してくるクロス・スカーレット、それを前にして鎧武・修羅は遠距離戦では躱されれば意味がないと判断したのかソニックアローを握り直し、再び戦極ドライバーへと手を伸ばし……
「………ッ」
かけたところで、鎧武・修羅はその手を止めた…。
そして鎧武・修羅は迫りくるクロス・スカーレットをじっと見つめる、いったい彼が何を見ているのか、迫りくる敵を確実に消すために身構えているのかとクロス・スカーレットは思ったが、すぐに少し違和感を感じた。
小刻みにではあるが……鎧武・修羅の手が震えているのだ。
それを見て反射的にクロス・スカーレットは何かを感じ取った。
鎧武・修羅が、葛葉 紘汰が今何を思っているのかを………。
「……そうか、あんたも……戦ってるんだな」
彼もまた、“抗っていたのだ”。
この世界で戦いが起き、自分たちが戦っているまさにその最中でも、彼は抗い、戦おうとしているのだ……己自身の中で……己を包み込んだ根深い闇の中で、鎧武・修羅となってしまっても彼は……彼の意志は消えていない。
今もこうして少しでも抗おうとしている……己の中で、クロス・スカーレット……宗谷や、ヒロム、そしてメテオ達と同じように……。
手を小刻みに震わせていた鎧武・修羅、その震えが徐々にだが大きくなり始めている。
手から始まった震えはやがて腕、そして体全体へと徐々に大きくなっていき、鎧武自身の動きを鈍らせ始めた。
だがそれでも武器を構えようとする鎧武・修羅……彼は今、心の内側と外とで激しい戦いを繰り広げているのだ。
苦しく、そして辛く、激しい戦いを……。
「グゥゥゥッ……ウゥゥゥゥウウウ……!! グゥゥゥウウ!! ウッ……ッ!!」
「っ!」
すると、やがて鎧武・修羅は荒々しい動きではあるもののクロス・スカーレットをまっすぐに見つめると震える体を少しづつ動かしながら、大きくその両手を広げた。
まるで、すべてを受け入れるかのように……。
「………は……やく……っ…!!」
そして、聞こえた………鎧武・修羅の………紘汰自身の声が………終わらせろという声が………最後の一撃を撃てという、紘汰の思いの声が……はっきりと……。
それを聞いた瞬間、クロス・スカーレットは大きく頷きヒロナックルの拳に体の全力を注ぎ込むかのように拳を引き、身構える。
そして、彼は願う……届けと言う願いを……救いたいという想いを……。
(これに……この一発に全身全霊、全力全開! 注ぎ込むよ!)
(頼む、届いてくれ……俺達の想い!)
(もうこれ以上、紘汰さんを苦しめたくないんだ!!)
クロス・スカーレット……いや、彼を知っているヒロミ、ヒロム、宗谷の三人の思いが、赤き炎の戦士を突き動かす。
そして、彼らの思いに答えるかのようにヒロナックルの拳に、光が灯る…。
暖かな、透き通るような淡い輝きを放つがそれは消してか弱いわけではなく、力強く脈打つ鼓動のようにその存在を知らしている虹色の光…。
想いに答えるかの様に輝きだしたその拳を大きく引いたクロス・スカーレットは両手を広げている鎧武・修羅へと向けて、思い切り拳を突き出す。
二人の間合いの距離が埋まり、伸ばした拳がまっすぐに鎧武・修羅の戦極ドライバーへと向かっていき………ベルトに嵌っているブラッドオレンジロックシードに直撃する。
次の瞬間、拳に纏っていた光がまるで花火のように弾け……鎧武・修羅を包み込むのと、彼をこの姿へと変えたブラッドオレンジロックシードとドラゴンフルーツエナジーロックシードが黒い靄のような物を放ちながら砕けるのは、同時だった。
「………!」
プラネテューヌから離れた場所で雄々しく鎮座する巨大な樹木、その一本の巨大な枝の上に立っていた男、ブレイズが何かを感じ取ったのか片眉を上げてプラネテューヌの街がある方角へと目を向けた。
そこへ、彼と行動を共にしていたクロワールが現れて彼に近づいてくる。
「おいどうした? なにかあったのか?」
「………どうやら駒がやられたらしい………闘争心の気配が消えた」
「……は?」
ブレイズの言葉に訝しげな表情を浮かべたクロワールはその場でしばらく目を閉じて精神を研ぎ澄ませるかのように黙り込む。
すると、しばらくしてクロワールが目を開けた。
「………マジだ、確かにあいつらに賭けておいた力の反応が無くなってやがる………おいおい、なんだよ……もっと面白くなると思っていたのによ~」
まさか鎧武達に施した“力”が無くなるとは思いもしなかったのか、はたまたこの後さらに激しい戦いを彼らが起こすのを望んでいたのか、クロワールはその場で肩を落としながら大きくため息をつく。
それに対し、ブレイズはこれと言った反応を見せずにまっすぐにプラネテューヌの街並みを見つめる。
「……まあ、いい……すでに次の手は打ってある……」
そう言ってブレイズが視線を後ろに向ける。
彼のその言葉を聞いて、クロワールも気になったのか彼と同じ方向に目を向けると……。
「おっ!? なんだよこいつら! 今までの奴と似てるけど……なんかちげーぞ?」
「………斬り込み役がいなくなった今、歩兵にばかり任せてはおけん………なら、より高い力を持つ者を戦場に出すまでだ………」
ブレイズが新たに用意した者達を見つめる、そんな彼の前に立つ者達………それは、今まさにプラネテューヌを攻撃していたインべス達と似ている様ではあるが、どこか違う何かを感じさせる異質な者達だった……。
「………紘汰兄さん………ミッチ………貴虎さん………ザック………」
鎧武達との戦いを終え、変身が解けた光実、貴虎、ザックを運んできたストーム達は丁度時を同じくして勝負にケリをつけたクロス・スカーレットと合流した。
一時的な融合変身と言えど、相当な体力を消費するのを懸念しクロス・スカーレットは元の姿に戻った紘汰を抱えて彼らと合流するとその場で変身を解除し、クロス・ヴィクトリーとヒロムの姿へと戻った。
彼らは一度、変身が解け、気を失った彼らを安全なところまで運び、横になる様に四人を寝かす。
「………メテオ、分かってるよな………あと、俺達にできることは何か」
「……あぁ、言われなくてもわかってるよ」
ヒロムの問いかけにストームが頷いて返答を返す、そしてそれを見てクロス・ヴィクトリーも頷きながら視線をプラネテューヌの外に生える巨大な大樹へと向けた。
「………行こうぜ、あそこに………!」
クロス・ヴィクトリーの言葉に、ストームとヒロム、そしてマッハとナイツが大きく頷く。
これ以上、こんな戦いを広げるわけにはいかない……これ以上、奴らの好きにさせるわけにはいかない。
すべてに決着をつけようと覚悟を決めた一行はプラネテューヌの外でこちらを見下ろすかのように生えた巨大な大樹を見据える。
あそこにいるのは、強大な力を持った“神をも殺す”存在……だがそれでも、これ以上この暴挙を見過ごすわけにはいかない。
意を決した彼らは足を踏み出す、ブレイズの待つ………大樹へと………。
「……盛り上がっているところ悪いが、少しいいか?」
だがそこへ、突然どこからともなく声が聞こえてきた。
その声に反応した一行があたりを見回す、すると近くの建物の物陰から一人の人影が姿を現した。
近未来のデザインの装甲に身を包んだ、三叉の槍を携えた青い姿の戦士、その姿を見つけた瞬間クロス・ヴィクトリーは大きな反応を示した。
「お前……確か、ラステイションで盗撮犯を見つけた時の」
「知り合いか? 宗谷」
「あぁ、一応は……名前は確か、クロス・ジャスティスだったよな……」
見たこともない青い戦士を見て、ヒロムがクロス・ヴィクトリーに尋ねるとクロス・ヴィクトリーは以前の記憶を頼りに彼の名前を伝えた。
するとそれに対し、クロス・ジャスティスはちらりと彼らと同じように大樹を一瞥してから再び視線をクロス・ヴィクトリーたちの方へと向ける。
「………行くんだろ、あそこに………なら、勝利の勇者……お前に渡す物がある」
「渡す物?」
「そうだ………この騒ぎの中に隠されている………“本当の真実”を知らしめるもの」
静かにそう告げたクロス・ジャスティス、その言葉にクロス・ヴィクトリーはある言葉を気に止めた。
「本当の真実…? おい、どういう意味だよそれ」
「………まあ、勘が鋭いらしいお前に渡せばすぐに済みそうだが………今すぐにというのは、難しそうだな」
『宗谷さん! 気を付けてください!』
それが何を意味しているのかをクロス・ジャスティスに問おうとした矢先、突然クロス・ヴィクトリーと一体化しているイストワールが声を張り上げて何かを警告してきた、それを聞いたクロス・ヴィクトリーが何事かと戸惑っていると……。
「おい宗谷、何かこっちに来てるぞ!」
「インべス………いや、なにかが違う……」
「………まさか………おいおいおい嘘だろ、今度はあいつらまで出てきたのかよ……!」
先に何かに気付いたらしいナイツとストームの二人がクロス・ヴィクトリーに何かを指し示す。
そして、その方角を見て目を凝らしているヒロムは何かに気付いたのか苦虫を噛み潰したかのような嫌な顔を浮かべた。
クロス・ヴィクトリーが何事かと同じように目を凝らすと……視線の先、遠くの方ではあるが……複数の数を成した何かがこちらに来ているのが見えた。
「っ!! あいつらは!」
そしてその姿を確認した瞬間、クロス・ヴィクトリーは仮面の下で目を大きく見開いた。
「まさか………“オーバーロード”!?」
鎧武達本人、そしてインべスという物語の中で実際に見ていた彼だからこそ、すぐに理解が出来た。
こちらに向かってくる新たな異形の正体、それがいったい何なのかを……。
いくつかの動物の特徴を持ちあわせながらも、その体はどこか文明を思わせえる鎧や衣服のような物で身を包み、その手には明らかな武器を手にした……“知性”を感じさせるインべスと似てはいるが、非なる存在。
その名は“オーバーロード”……仮面ライダー鎧武の物語でインべスよりも上位の存在に位置する強敵である。
敵として紘汰達を差し向けてきたのに続いて、今度はオーバーロード……新たな敵の増援にクロス・ヴィクトリーは焦りを隠せず咄嗟に身構える。
だがしかし、それを青い装甲に包まれた一本の腕が遮った………クロス・ジャスティスの腕である。
「っ、お前何を……」
「お前には奴の元に行ってもらわなければならない………俺はそれを支援するように指示を受けたのでな………ここは俺が引き受ける」
そう言うとクロス・ジャスティスはクロス・ヴィクトリー達の前に出て手に持っていた三叉の槍、ライバランスを振るいながら身構えていつでも戦闘態勢に入れるようにする。
だが、オーバーロードは通常のインべスとはわけが違う強敵……彼一人で任せるには困難であるとクロス・ヴィクトリーはすぐに理解した。
「おい待てよ! お前ひとりで何とかなる相手じゃ…」
「なら、俺達も手を貸すぜ?」
「それじゃ……あたしも」
「なっ…カズマ…絵美ちゃん!?」
そこにどういう訳かナイツとマッハの二人がクロス・ジャスティスに加勢するかのように両隣に並び立つ。
二人のまさかの行動にクロス・ヴィクトリーは戸惑いを見せるが、二人はいたって冷静な様子でいつでも戦えるように臨戦態勢に入る。
「お前ら……」
「任せてよメテ兄、ヒロくん、道はあたしたちが開けて見せるから」
「そう言うことだから後は頼んだぜ……せいぜい俺らの分まで奴をぶん殴って来い」
拳をきつく握りしめながら背後にいる三人にそう告げるナイツ、そして同じくしてゼンリンシューターを構えるマッハ。
その二人の後姿を見せ、クロス・ヴィクトリーは何となくではあるが彼らの決意の強さを感じ取った。
この戦いを一刻も早く終わらせるために、三人を送り出すために、彼らはその道を切り開こうとしているのだ、それが自分たちにできることだと信じて…。
「………物好きな奴らだ」
「へっ、そう言うあんたも行かせるために一人で戦おうとするなんて、かなり物好きだと思うけどな」
「なら、その物好きに私達も加えて貰おうかしら?」
言葉を交わすクロス・ジャスティスとナイツ、するとそこに新たな声が聞こえてきた。
凛としたイメージを思わせる落ち着きのあるこの声は……聞き間違うはずもない、ここにいるメンバーがよく知る人物だ。
その声の主は身構えるクロス・ジャスティス達を背にしながらゆっくりと上から降りて来た。
「ネプテューヌ!」
「待たせてしまってごめんなさい、でもなんとか見送りには間に合った様ね」
右手に刀を握りしめつつ、迫りくるオーバーロードの軍団を前にしてパープルハートが呟く、そこに続くように彼女の両隣にさらに二人の人物が降り立った。
パープルシスターとアイリスハートの二人である。
「だけどぉ、その前にあのお邪魔虫さんたちを掃除しないといけないみたいねぇ……まったく、揃いも揃って滑稽ねぇ?」
「私達も手を貸します、だから宗谷さん、いーすんさん、ヒロムさん、メテオさん……皆さん、気にすることなく行って来て下さい」
クロス・ジャスティス達と同じく殿となる意志を見せるパープルシスター、そして彼女と反対側の位置に立つアイリスハートもやる気満々の様子で手に持った剣を構える。
彼女阿知も自分たちを行かせようとしてくれている、すべてに決着をつけるために自分たちの進む道を作ろうとしてくれているのだ、彼女たちの固い決意に満ちた気を感じながらクロス・ヴィクトリーはじっとその背中を見つめる。
すると……。
「そう言うことだから行ってきなさい、せっかくネプ子たちが後押ししてくれるんだから」
「え? だ、誰だあんた!?」
突然どこからか聞こえてきた声に反応し、咄嗟に後ろを見ると彼らの後ろから新たにもう一人の人物がこちらに歩み寄ってきていた、だがその人物は体を見たこともないアンダースーツと頑強な鎧に身を包んでおり、顔は仮面で隠している。
だが、なによりも目を引くのは腰に付いている戦極ドライバー、それを見た瞬間彼らはこの人物もまた仮面ライダーなのだということを理解する。
しかし、なら一体誰が? と三人が疑問を抱いていると……。
「ちょっと! 確かに顔は隠れてるけど声とかでわからないの? これでも宗谷、あんたとは長い付き合いのはずなんだけど?」
「え………ひょっとして、お前………アイエフか!?」
「なに!? アイエフ!? こ、この見たこともない女性ライダーが……あのアイエフか!?」
言葉の感じと雰囲気からなんとなくアイエフが思い浮かんだクロス・ヴィクトリー、その答えにじっと新たな戦士を見つめていたヒロムが驚きの声を上げる。
なにせ、自分も知っている人物が突然仮面ライダーになったのだから驚くのも無理はないだろう。
だが、そんな二人よりも驚いている人物が一人いた……。
「あ………アイエフ………そのベルト……それに、その戦極ドライバーって、もしかして………」
メテオである、そう彼女が使っている戦極ドライバーとロックシードは本来メテオがヴィクトリオンハートから授かった物である、故にそれが彼女の手に渡ったという事実だけでもメテオにとっては十分な驚愕に値するものだったのだ。
彼のその反応を見て、何かを察したのか彼女は少し間を開けてから小さく頷くとゆっくりとした足取りでクロス・ヴィクトリー達の間を縫うように割り込む。
「事情は後で話すわ……それよりも、今はこれをさっさと終わらせましょう? そのためにも、力を貸すわ……この、ゲイムギョウ界に吹く一陣の風、アイエフ……仮面ライダー竜華が!」
そして、アイエフ………仮面ライダー竜華が腕に装着された固有武装の竜果激爪を構えながらそう告げる。
その時、それを皮切りにしたかのようにゆっくりとこちらに向かって来ていたオーバーロードたちの群れがこちらに向かって走り出した。
それを迎え撃つべくクロス・ジャスティス達もそれぞれの武器を身構えて走り出し、二つの勢力は互いに力強い声を張り上げながらその間をどんどんと詰めていき……遂に激突する。
パープルハートの刀が、緑色の孔雀の様なオーバーロードの剣とぶつかり合い。
アイリスハートの剣が、深緑の亀の様なオーバーロードの斧と衝突し…。
パープルシスターの銃剣が、白い牛の様なオーバーロードの鉈と激突し……
マッハとナイツ二人は咄嗟に前に現れた、深緑の体を持った女性型のオーバーロードと戦闘をはじめ…。
クロス・ジャスティスは竜華と共に徒党を組み、深紅の体を持った片手剣を持つ、まるで歴戦の勇士かの様な雰囲気を放つオーバーロードと対峙した。
それぞれの武器が交差し、けたたましい音を立てながらも彼らは作ろうとする……可能性を持つ三人を生かせるための、唯一の活路を……。
「行きなさい! ソウヤ! みんな!!」
「………ああ、わかった………頼んだぜみんな!」
パープルハートの声に答え、クロス・ヴィクトリーは地面を蹴って走り出す。
そしてそれに続くように、ストーム、ヒロムの二人が走り出し、彼女たちが作り出した道を進んでいく。
「カズマ! 絵美の事、しばらく頼んだぞ! 何かあったら承知しねぇからな!」
「へっ、柄にもねぇこと頼むんじゃねぇよ! そんなの、当然だろバカヤロー!」
道中、ストームがナイツに最愛の妹を託し、そのまま走り去っていく光景があった。
ストームが行ったあと、ナイツは目の前にいる女性型のオーバーロードをマッハと共に仮面越しに睨み付けながら身構える。
「………でも、ちょっとこいつは骨が折れそうか?」
「いかにもただ物じゃない、って感じだしね……」
女性型のオーバーロードの放つ異様な気配に警戒する二人、それを見て何を思ったのか女性型のオーバーロードは右手の槍の柄を地面に突き立てながら、小さく笑い始めた。
「ククク……さぁ、どいつからおもちゃにしてやろうか……わたしを、たのしませておくれ?」
そして一方、クロス・ヴィクトリーを先頭に、戦場の合間を進んでいく三人。
「正義の勇者!」
だがそこに、突然クロス・ジャスティスの声が聞こえてきた。
呼ばれたことに反応したクロス・ヴィクトリーは咄嗟に声が聞こえた方を見る、するとその瞬間クロス・ヴィクトリーに向かってクロス・ジャスティスが何かを投げてきたので、咄嗟にクロス・ヴィクトリーはそれを掴む。
クロス・ジャスティスが投げたのはまるでカードのような正方形をした、一枚の紙………クロス・ヴィクトリーはこれが何なのかを気にしながらも、それに目を向ける。
「………え………これって」
そして、それを目にしたとき………クロス・ヴィクトリーは驚きを隠せずにその場で一瞬、固まってしまった。
確かにそこには、この一連の事件の裏に隠された……“真実”が映し出されていた。
それを目の当たりにして、クロス・ヴィクトリーは大きく動揺を見せてしまった、この一連の大きな騒動、これがその裏に隠された真実だとするなら……。
大きな疑問と衝撃が彼の中を渦巻き始める…。
「………それを知って、お前がどうするか………後はお前の好きにしろ………!」
そう言うと、クロス・ジャスティスはクロス・ヴィクトリーに背を向けて、既に赤いオーバーロードと戦いを繰り広げている竜華に加勢するように戦いに戻っていった。
だが、その後もクロス・ヴィクトリーは驚きのあまり、その場に立ち尽くしてばかりだった。
「何してるんだ宗谷! 行くぞ!」
「え………あ、あぁ!」
追い越されて、いつの間にか先行していたストームがクロス・ヴィクトリーを呼んでいる。
その声にようやく気付いたクロス・ヴィクトリーはすぐさま背中の羽を広げて低空で飛行を始める。
胸に大きな疑問を抱きながら………。
(………これが………これが、あのブレイズの“目的”だとするなら………あいつは………まさか………)
天高くそびえる巨大な大木、誰が行ったかは知らないが……そのあまりの巨大な大きさと存在感を目の当たりにして、この木の事を……天樹と呼び始める者がいた。
それはあながち間違っていない、この木はこの苗を手にこの世界へと紛れ込んだブレイズの“目的”のために……天高くそびえ立つ、“野望の木”なのだから……。
天樹の中でも特に巨大で太い一本の枝の上、そこにひとり立っているのは萌えるような赤髪に黒いコートを身に纏った一人の男性。
腰に風車のついたベルトを装着した、ブレイズ本人だ……。
彼は今まさに戦いが激化しているプラネテューヌを見下ろしながら、何を思っているのか……いや、それを知るのは彼だけなのだろう。
“今”の時点では……。
「………ほう、思ったよりも来るのが早かったな………」
ブレイズが突然そう呟きながら、後ろを振り返る。
そこにはじっと彼を見据える、三人の人影があった。
クロス・ヴィクトリー、仮面ライダーストーム、ヒロムの三人である。
クロス・ヴィクトリー達はそれぞれに持つ飛行能力を駆使してこの天寿を飛びながら上へと昇っていき、ここまでたどり着いたのだ。
そして、遂に……この一連の事件の元凶であるブレイズと対峙した三人、彼らをじっと見据え、ブレイズがコートのポケットに入れていた手を出す。
「………もう少し、遅れて来るかと思ったのだがな………」
「悪いな、こっちも早くあんたに会いたかったんだよ」
「……すべてにケリを……決着をつけるためにな」
彼の言葉にヒロムと、ストームが返答を返し、一歩前に出る。
それに対してブレイズは鋭い眼差しを彼らに向けると、両手をきつく、ぐっと握り絞める。
「……そうか……なら、最初から全力で来ることだな……でなければ、もう……“俺の野望”は止められない……まあ、止めるつもりもないがな」
ブレイズはそう告げると、きつく握りしめた拳を顔の前に持っていき静かに目を閉じる……するとその瞬間、彼の腰に装着されていた風車が勢い良く回り出し、周囲に風が発生し始める。
すると、やがてその風はブレイズの腰のベルトの風車が回転を速めていくにつれて徐々に熱を帯び始め、遂には熱風となって彼を包み込む。
「故に………俺は貴様らを砕く………この拳を持って、俺の邪魔をする貴様らを………完膚なきまでに………!」
そして、再びブレイズが目を開けると眼前に持って来ていた右の拳を左の拳と共にベルトの前で右腕を下に、左腕を上にするようにして交差させ、それを入れ替えながら胸の前まで持ってくる………。
「変………身………!」
その言葉と共にブレイズは右腕をそのまま右斜め上に伸ばし、左腕を左腰に添える構えを取る。
その瞬間、彼の体を猛烈な熱気を帯びた炎が包み込み彼の体を変えていく…。
体を包み込む赤いボディースーツ、オレンジ色の体、首に巻かれた深紅のマフラー……両手の燃え盛る炎の様な刻印が施された腕を握り絞めながら、その戦士はスズメバチを模したかのような仮面に包まれた顔を持ち上げて彼らを見据える…。
神殺し、“業火の愚者”………仮面ライダーブレイズとして………。
「………望むところだよ、こっちはあんたに受けた借りってのがあるんだ………」
変身したブレイズを前にして、ヒロムがそう言いながら手をスナップさせながら、目つきを鋭くしてブレイズを睨み付ける。
「……俺のダチの世界をこんなに荒らした上に……俺の中にいるもう一人を、散々いたぶってくれたみたいだからな……きっちりお礼はさせて貰うぜ? “逸れ者”とはいえ、やられた分はきっちり返すのが、俺の流儀って奴なんでな」
そう言うと、ヒロムもまた隠していた奥の手を持ち出す。
勢い良く手を振り上げ、それを目の前まで下ろす……その手の平には、さんさんと輝くパソコンの電源マークの様な形をしたクリスタル、シェアクリスタルが浮かび上がっていた。
彼はそれを握り絞めると迷うことなく、それを自身の胸へと押し当てる。
「レッツ………アクセス!!」
叫んだのは、起動の言葉……。
自身を“逸れ者”と呼んでいるヒロムがなぜ自分をそう呼ぶのか、それはこの力もまた大きく関係していた。
彼は本来、女性ではないがその身にシェアクリスタルの恩恵を宿した“異能”の持ち主、故に彼の中には新たな自分自身と言える、もう一人の存在が誕生し、女神に匹敵する力を得た。
だが、それはヒロムの力の一片に過ぎない、彼にはまだ戦う力は残されているのだ…。
すべてを打ち砕くための力、すべてを切り裂き、前へと進むための異能の力……。
この姿になった自身を、ヒロムはこう呼んでいる……“魔神”と……。
シェアクリスタルの光がヒロムを包み込み、彼の着ていた衣服の代わりに体に張り付くようなアンダースーツが体を覆い、その上に鮮やかな赤色の“プロセッサアーマー”、足、膝、腰、胸、腕、肩に装着されて行く。
そして最後に背中には巨大な一対の機械の翼が装着され………最後には己の顔を、四本の角を備えた装甲と同じ、赤色の仮面が覆う。
「………こちらも、最初から全力で行かせてもらおう………ここからはこの魔神………“バニシングハート”として、お相手しよう」
女神とは似て非なる物、しかし、それを自身の力に変えて己の守りたい物のために戦う戦士……。
その名を“魔神バニシングハート”………ヒロムが手に入れた、新たな力の一つである。
「ブレイズ………俺も同じだ……お前は、俺の大切な人達がいるこの世界を………宗谷達と、あの子がいるこの世界をめちゃくちゃにしようとしている………」
そしてまた、ストームも“選択”を始める……目の前の同じ力を持つ存在と対抗するべく、己の持つ最大の力を使うか否かを…。
だがすでに、彼の中で答えは決まっていた…。
「なら俺は、世界は違っていても………俺のやりたいようにする………俺の意志で、お前を………俺の大切な物を守るために、“破壊”する!」
『Destroy from…Awakening take off』
その意志に答えるように、彼の中で眠っていた究極にして、最強の“破壊”の力が目覚める。
その力はストームに宿された、すべてを破壊するための力……彼が“神殺し”と呼ばれるが故にその身に宿したとされる、最強にして最大の破壊の力……。
電子音が響き渡ると同時に、彼の身体から赤い光が溢れ出し、それが天高く昇る様に伸びていく……そして、その中で目覚め始める……破壊の力を宿した、ストームの最強の姿が……。
『Perfect Destroy……DEAD・END』
その電子音声が鳴り響いたまさにその瞬間、彼を包み込んでいた光が弾け飛ぶように消滅し、その中から姿を現したのは……まるで“悪魔”を思わせるストームの姿だった。
体全身に駆け巡る“デストロオーラ”と呼ばれる血管の様なライン、そして両肘と両足に装着された鋭い棘、すべてを貫くかのように凶悪なイメージを与えて来るその棘の名は“デストラッシャー”……首に巻かれていたマフラーは意志を持っているかのように逆立ち、仮面の赤い複眼はまるで血の様に染まりながら、まるで地獄の業火を思わせる形に変化し……口元のクラッシャー部分は、まるで笑う悪魔の口元を模したかのような形状へと変わっている。
さらに背中に備わった二振りの剣……悪魔の片翼を思わせる形状をした剣と魔獣の角のような形状をした剣。
そして、左手に無骨なシルエットを持つポンプ式の専用銃、“破壊銃 デトネイター”……。
すべてを破壊するかのような圧倒的存在感を放つこの姿こそ、すべてを破壊するストームの“究極の破壊”の姿……。
「さぁ………腹ぁ、括れよ………!」
その身をもって、自身の前に立つあらゆる物を破壊する、この姿こそ………ストームの持つ、究極の破壊の完全なる姿…。
その名を………“仮面ライダーストーム パーフェクト・デストロイヤー”………メテオの中に覚醒した最強の力である。
そして、最大の力を表に出した戦友の二人……だがその後ろでひとりクロス・ヴィクトリーは片手に愛剣の赤剣を握りながらじっとブレイズを見据える。
ある疑問を胸に抱きながら………。
「………ブレイズ………」
「………準備は出来たようだな………なら始めるか………どちらかが倒れ、滅びるまで続く………“死合”を!」
遂に、業火の愚者との決戦が………幕を開ける。
いかがでしたか?
次回は、遂にブレイズとの決戦へ!
そして、宗谷が見たこの戦いの裏に隠された”真実”とは……
次回もお楽しみに!