超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

今回のお話は紡がれる絆の限界突破。

信じ合える仲間と共に、前に進むために…

それではお楽しみください、どうぞ!


XXstage,10 絆、限界突破

 

 

 

「……かがり……そんな……そんなはずは……!」

 

「いーすん、これって………」

 

『……私にも、わかりません……ですが、今、はっきりと目の前に……』

 

その場にいた誰もが、この状況に驚きを隠せなかった。

なにせ、今先程ブレイズが明かした、彼の娘……命を落としたはずの、彼のたった一人の娘、“かがり”が今まさに、クロス・ヴィクトリーを庇うようにブレイズの前に現れたのだから。

 

まるで淡い光の中から現れた蜃気楼のように、ゆらゆらと揺らめきながら両手を広げてじっとブレイズを見つめるかがり、死んだはずの人間がこうして姿を現すという謎の現象を前にしてブレイズは驚きを隠せず、撃ち出そうとした拳を止めて姿を現した我が子を見つめ続けた。

 

 

 

『………―――………』

 

「っ!」

 

 

 

すると、かがりの口が僅かに動いた。

だがその声は空間に響くことはなく、辺りには静寂が包み込むばかり………。

 

だが………。

 

 

「おい、宗谷……今……声が……」

 

「……あぁ、俺にも聞こえた……」

 

 

その声は、まるでその場にいた者達の脳裏に響くように伝わってきた、普通ならあり得ないこの現象を前にしているのに……彼らは全く恐怖は感じなかった。

静かな湖畔が水滴を受けて波紋を広げていくかのように、静かな安らぎの気持ちと、どこか暖かな気持ちが彼らを包み込むように、頭の中に響いてきた声は広がっていった。

 

「………なぜだ、かがり………俺は、お前を………」

 

ブレイズがかがりに向けて何かを伝えようとする、だがかがりは彼がそれを言う前に首を静かに左右に振ると、再びブレイズの事を見つめて………。

 

 

とても安らかな……純粋な優しさに満ち溢れているかのような、笑顔を浮かべた。

 

まるで、写真に写っているような……父であるブレイズと共に生きていた頃に浮かべていた笑顔と、同じように……。

 

 

「っ! かがり!」

 

 

次の瞬間、彼らの前に現れた少女は光の粒が散らばっていくかのようにして消えていった。

最後まで笑顔を浮かべていた娘に向けて、父親である業火の愚者が手を伸ばすが、その光に僅かに触れることしかできず、ブレイズは消えていく娘と散らばっていく光の粒をただ見送る様に立ち尽くすしかなかった。

 

立ち尽くしたままのブレイズは自分が伸ばした手を引き戻して、その手の平を見つめるかのように見下ろす。

 

自分の目の前に現れたかがりが“伝えた言葉”を思い浮かべるかのように、静かに……ただ黙って、見つめ続ける。

 

「………あんたも聞いただろ………あの子の、最後の言葉」

 

そんな彼にクロス・ヴィクトリーが声を掛ける。

 

「あれが、あの子の本当の気持ち……だったんじゃないのか? ……あんたに伝えたかった、最後の願い……」

 

「………あれが………かがりの………だが、俺は………俺は何も………父親として、あの子を救うことが………!」

 

酷く困惑した様子で呟いたブレイズは、強く拳を握りしめながらもその場に膝をつき体を震わせる。

自分は、何もできなかった無力な父親だ、そのことは決して変わりはしない……そう言った想いが今ブレイズの中で渦巻いているのを、震えるブレイズの姿を見てクロス・ヴィクトリーは見抜いていた。

 

 

 

やはり、この男も……自分と同じだったのだと……。

 

 

彼もまた、“誰かを守るために戦いたかったのだ”と……。

 

 

だが、それを失って、もう彼に残された道は限られてしまったのだ……その結果、このように争うしかなくなってしまった。

 

 

クロス・ヴィクトリー………いや、天条 宗谷は知っている。

大切な人を失った悲しみは、その者を長い間、下手をすれば一生苦しめることになる……自分は、失ったのは自分自身の愚かさのせいだと割り切って、自分の戒めとしてその苦痛を心のどこかに残し続けてきた。

 

 

「………ブレイズ」

 

 

そして、この男も……仮面ライダーストーム、メテオ・ソルヒートも知っている。

この力を手にし、多くの物を失い、あまつさえ彼はここに来る前…自分が元いた世界で、“母親を手に掛けた”…。

形はどうあれ、その事実には変わりない……例えそれが、自分が打ち倒すべき敵に利用されていたからだとしても、その体に込められた魂が歪められたものだとしても……自分は、破壊する道を選んだ。

 

ブレイズだけではない、彼らには失った者がたくさんあった……なんど心が俺、何度自分を見失い、何度迷いそうになったのかは数知れない。

 

 

 

ただ、それでも………“立ち止まり、迷ってばかりはいられない”。

 

 

 

「………立て、ブレイズ………」

 

 

 

そう言って手を出したのは、立ち上がりクロス・ヴィクトリーの横を通り過ぎて前に出た、ストームだった。

ブレイズに差し出されたその手を見て、ブレイズは微かに驚くような反応を見せるとストームの仮面に包まれた顔を見つめる。

 

「……何のつもりだ」

 

「……さぁな、ただ……見てられなくなった、あの子の言葉を聞いて……あんたにはこのままでいてほしくないって、なんとなく思えてきちまった……それだけだ」

 

「………同感だな」

 

そして、その言葉に同意しながら遅れて立ち上がったバニシングハートがストームと同じように、彼が立つ位置とは反対側の方に立つと手に持っていた剣を枝の地面に突き立てて、同じようにブレイズに手を差し伸べた。

 

「確かに、お前は強い……だがいくら強くても、道に迷った者を見捨てるほど……俺は人でなしではないつもりだ」

 

「……同情のつもりか?」

 

「いいや、違うさ……分かり合えるって思ったんだ……」

 

ブレイズの吐き捨てた言葉に、クロス・ヴィクトリーがすぐさま返してその場に膝をつきながら身を屈めてブレイズと目線を合わせる。

そして、握っていたブレイズとかがりが写った写真を彼に返すように差し出した。

 

「……例え大切な物を失っても、俺達はそれを受け入れて……まだ前に進めるんだ……俺達はそうしてきた……そして、それは……あんたにもきっとできる………あんたの娘も………かがりちゃんも、それを願ってる」

 

「………!」

 

 

 

その瞬間、ブレイズの脳裏に再びかがりの………最愛の娘が自分に最後で見せた微笑みが浮かび上がった。

 

彼女が伝えた思いも………“最後の言葉”も………。

 

 

 

 

 

―――………パパ………ありがとう………大好き………―――

 

 

 

 

 

恨んでなんかいなかった、むしろ彼女は最愛の父の事を一番に思っていた…。

あの微笑みと聞こえてきたこの言葉が、何よりの証明だった。

だからこそ彼女は、こうして姿を現したのかもしれない………最愛の父親がこれ以上苦しまないように………戦いの中で、業を背負わないように………彼が再び、立ち上がるのを願うように………。

 

「っ………かがり………! すまないっ………俺は………俺はぁっ……!」

 

写真を手にして、それを胸に抱きしめる様にしながら……ブレイズの嗚咽交じりの声が聞こえ始めた。

例え仮面が覆われていても、それはしっかりと伝わってくる……彼の今までの辛さが、苦しみが込められた涙が……形となって今、表に出ているのだということを……。

 

 

 

だがその時……。

 

 

 

「!? な、なんだ!」

 

 

 

突然、巨大な枝で出来た地面が大きく震え始めたのだ。

その揺れは徐々に大きくなり、立っているのすら困難なほどである。

このあまりにも突然の事態にその場にいた四人は動揺し、余りの揺れに咄嗟にその場に身を伏せる。

 

「こんなときに地震か!?」

 

「……いや、違う……この木が、天樹そのものが震えている……!」

 

そしてこの事態の最中、この天樹を芽生えさせた張本人であるブレイズがそう呟いた、ブレイズは天樹の幹の方へと目を向ける。

通常の木とは比べ物にならない程の巨大な幹、そこから横へと広がるようにして伸び、今まさに彼らが足をつけている巨大な枝の付け根、ブレイズがそこに目を向けると同時にクロス・ヴィクトリー達もそれに従い、その方向へと目を向けた。

 

そして、その視線の先にあったのは……まるで心臓の如く脈動する巨大な“種子”のような物だった。

それは眩い光を放ちながら、動き続け、徐々にだがその振動はこの天樹そのものを震わせ始めていた。

 

「っ! おい、あそこ! あそこに刺さっているのってもしかして……!」

 

するとここで、クロス・ヴィクトリーが何かに気付き、種子の方を指さした。

それに対して、ブレイズが頷いた。

 

「……あぁ、そうだ……あれは極ロックシード、俺が葛葉 紘汰から奪取したものだ」

 

「なに!? なんで紘汰兄さんの極ロックシードを…」

 

「この天樹を芽生えさせるためには十分な養分となりえる物が必要だった……だが、このサイズまで育てるにはそれに見合った相応の物が必要となる……そして、俺が選んだのは……世界を飲み込むほどの驚異的な力を宿す森、その中でも最も高い能力を秘めた力……つまり……」

 

「……“禁断の果実”……その力の一端を宿した、極ロックシードだったということか」

 

種子に刺さるようにして突き立てられた黄金の鍵、極ロックシード……この天樹はその極ロックシードから与えられた力を糧にしてここまで成長したのである。

ブレイズの説明に対して納得した様子で頷くバニシングハート、だがここでクロス・ヴィクトリーがあることに気付いた。

 

「あれ……でも、極ロックシードだけじゃない……あれって……」

 

『……間違いありません、あれは……シェアクリスタルです!』

 

黄金の輝きを放ちながら脈動を続ける種子、そしてその周囲には4つの光り輝くクリスタルが浮遊していた……シェアクリスタルである。

 

「……いかんせん極ロックシードの力は強大すぎる……そのため俺はその力を中和し、天樹が効率よく成長できるように、もう一つの養分を選んだ……それが、“古代女神のシェアクリスタル”だ」

 

「………古代女神?」

 

「……この世界をかつて納めていた女神の事だ……魔神とやらによって、その者達は消えたと伝えられているらしいがな……」

 

「っ! ……まさか、ルウィーでブランに教えてもらった……ゲイムギョウ界創世記の……」

 

ブレイズの説明を聞き、以前にルウィーを訪れた際に彼女から教えられたゲイムギョウ界の過去を思いだしたクロス・ヴィクトリー。

あのシェアクリスタルはその時代の女神が残した“遺産”だということを理解した、その瞬間ひときわ大きく天樹が大きく震えた。

 

「くっ………だが、いったいこれは………」

 

この現象は想定外だったのか、動揺を隠しきれない様子のブレイズ。

 

 

 

『………これこそが………この樹のあるべき役目だ』

 

 

 

その時、ブレイズの耳に……いや、まるで頭の中に響くかのように、突如として何者かの声が聞こえてきた。

まるで地の底から鳴り響くかのような底冷えのする感覚のする声、どこからともなく彼の中に響くようにして聞こえてきたその声に、ブレイズは聞き覚えがあった。

 

 

(……ダークネスの首領………“ゼ・オ”………!)

 

 

それは自分の人生を大きく狂わせ、最愛の娘の命を奪った組織……全次元の支配を企む組織、“ダーク・トゥ・ダークネス”を束ねる、根源にして元締め、“首領 ゼ・オ”の声そのものだった。

一度だけ、彼はゼ・オと出会ったことはあったからよく覚えている……首領のこの声が……絶対零度のプレッシャーを無条件に与えて来る、この声が……。

 

『……ダークネスを離反し、新たな戦いの狼煙を上げたようだが……ブレイズよ、貴様は所詮“創造の審判”の試練にはふさわしくなかったということだ……』

 

(……何だと?)

 

『……貴様が我が組織より持ち出した“苗”……それは我らが“ヘルヘイムの森”の植物を遺伝子操作によって変異させた物……その真の役目は……“無限怪人製造プラント”……』

 

(………!)

 

『ヘルヘイムの侵食と繁殖……それを元にしたこの樹木は、一度その力を発揮し……時が来ればその役目を実行する……その世界を飲み込むまで、無限にインべスを作り出すのだ……感謝するぞ、ブレイズ……貴様の離反によって“シャット”が宣戦布告を成したこの世界をその苗床とすることが出来る……いい“道化”を演じてくれたな……』

 

そう告げられた瞬間、彼の頭の中に響いていたゼ・オの声が途切れた。

 

(……すべて、奴の手の平の上で踊っていただけだというのか……ダークネスの書庫で“創造の審判”の存在を知り、離反したあの時から……奴は俺を、利用していたにすぎなかったのか……!)

 

屈辱と怒り、それらが入り混じった感情がブレイズの中に溢れ、反射的にブレイズは膝をついた状態のままその場に拳を叩きつけた。

だが、時はすでに遅い……天樹はその本来の役目を果たすべく動き始め、さらなる侵食を始めようとしていた。

 

「………このままでは、この世界がこの樹に飲み込まれる………」

 

「何だって!? ……おい、ブレイズ! ならどうしたらそれを止められる!」

 

「……この天樹のコアとなっているあの種……あそこにある極ロックシードをこの樹木から切り離せば……もしかしたら……」

 

「なら、いそいで極ロックシードを………っ!」

 

この事態を打開する方法をブレイズから聞き出したクロス・ヴィクトリー、彼はすぐさま種子に繋がっている極ロックシードを奪取しようと試みるが、その瞬間、まるでこの樹が抵抗するかのように何本もの蔦が蠢き、クロス・ヴィクトリーが進もうとしたその瞬間に、横合いからその蔦が数本纏まりながら、まるで巨大な鞭のようになり、クロス・ヴィクトリーを横薙ぎに弾き飛ばした。

 

「うあぁぁぁぁあああああああああああああああ!?」

 

「宗谷!! くっ……がぁあああああ!?」

 

「おのれ……! うあぁぁぁあああああああああ!!」

 

「ぐっ………!!」

 

そして、それは彼だけに留まらず、ストームやバニシングハート、さらにはブレイズにまで襲い掛かった。

その場にいた四人は纏めて吹き飛ばされ、そのまま樹木の枝から落下していく。

 

「くそっ……まだ……!」

 

何とか状態を立て直し、再び向かおうとするクロス・ヴィクトリー、だがそんな彼らの目の前に更に無数の蔦が強襲し、追い打ちを仕掛けてくる。

クロス・ヴィクトリーは咄嗟に赤剣でそれを薙ぎ払うが、無数の蔦は休みなく彼を襲い続ける。

 

「何が何でも行かせないつもりかよ!」

 

同じように無数の蔦の追い討ちを受けていたストームも、両手に二振りの剣を握りながら迫りくる蔦を切り裂き続ける。

だが、余りにも数が多い、体勢を立て直そうにもその余裕が見いだせない…。

落下のスピードは速まっていき、徐々にだが地面が近づいてくる…さすがにこの高度ではまともに落下してしまえばただでは済まない。

 

「このままでは、地面に落ちるぞ!」

 

「なんとか……何とか一瞬でも、隙が出来れば……!」

 

バニシングハートの警告を聞き、どうにかしてこの状態から抜け出そうと思考を巡らせるクロス・ヴィクトリー……。

だが、目前に迫る蔦の大軍を捌きながら体勢を立て直し、再び飛翔するのはあまりにも困難だ。

このままでは無数の蔦の攻撃の雪崩を受けながら、全員揃って地面に激突してしまう……。

 

 

 

一体どうすれば……彼が焦りを感じ始めた、まさにその時!

 

 

 

 

 

―――変身!!

 

 

 

 

 

空でも響く、勇ましさと決意に満ちた力強い声…。

 

クロス・ヴィクトリー達の耳に響いたその声はとても聞き覚えのある声でもあった…。

 

その声を聞き間違うはずはない……この声の主は……クロス・ヴィクトリーがその声が聞こえた方向に目を向けると……。

 

 

 

『オレンジアームズ! 花道・オン・ステージ!』

 

 

 

そこには、一人の“鎧武者”がこちらに向かって来ているのが見えた。

 

白と黄色のカラーリングが施された空を飛ぶ乗り物に跨りながら、姿を現したのは濃紺のボディスーツに鮮やかなオレンジの色合いの鋼鉄の鎧を身に着け、顔は半月型の単眼の仮面で覆った、“仮面の鎧武者”…。

 

そう、見間違うはずはない……あれこそ、彼が……天条 宗谷が心から憧れた、“ヒーロー”……その名は……。

 

 

 

「……仮面ライダー鎧武……葛葉……紘汰さん!!」

 

「待たせたな、みんな! ここからは………俺のステージだ!!」

 

『ソイヤッ! オレンジスカッシュ!』

 

 

 

彼らのピンチに駆けつけたのは、先程ブレイズによる洗脳を受け、修羅の道へと落ち、クロス・ヴィクトリー達の奮闘によって元の姿を取り戻した、“仮面ライダー鎧武”だった。

鎧武は戦極ドライバーのカッティングブレードを一回作動させると、クロス・ヴィクトリー達に向けて強襲を仕掛ける蔦の群れへと狙いを定めて、彼の固有アームズウェポン“大橙丸”を構える。

 

そして……

 

「はぁぁぁぁ………せいはぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!」

 

裂帛の気合いと共に振るわれた一撃、“大橙一刀”が蔦の群れを纏めて切り裂いた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、プラネテューヌではクロス・ヴィクトリー達三人を行かせるために殿を務めた者達がオーバーロードとの戦いを続けていた。

 

「こっの……こいつら、思った以上にやりやがる!」

 

目の前に立つ緑色の体色を持った女性型のオーバーロードと対峙したナイツは彼女が振るう槍の攻撃を回避し、時には防御しながらもオーバーロードの持つ実力に苦戦を強いられていた。

オーバーロードが槍を抱えるようにして攻撃を防いだナイツを強引に振り払い、横薙ぎの斬撃でナイツを薙ぎ払う。

 

「うおっ!?」

 

「どうしたんだい? もっとわたしをたのしませておくれよ……さぁ!」

 

「こっちは楽しくなんてないっての!」

 

緑色の体色に民族衣装の様な装飾を身に着け槍を手に持った女性型のオーバーロード、“レデュエ”がナイツをあざ笑うかのようにそう告げる。

するとレデュエの言った言葉に対し、同じくナイツと共にレデュエを相手取っていたマッハは苛立ちを感じたのかそう言い放つとゼンリンシューターを構えて向かっていった。

 

「………シャシャジュジャ………」

 

「っ! まずい!」

 

だが、その瞬間レデュエが何かを呟いた。

それを聞いたナイツは咄嗟にすぐさま立ち上がると、マッハを追いかけて走り出した。

 

「いい加減に!」

 

「………ッ!」

 

そして、ゼンリンシューターによる一撃をレデュエに叩きつけようとした瞬間、マッハに向けてレデュエが槍の矛先を向けた。

その瞬間、マッハの鼓膜に言い表せないような耳障りな音が大音量で響き渡る。

 

「っ!? うっ! ぁぁぁぁぁぁああああああああああああ!!」

 

「ククク……どうしたんだい? おまえはいきおいだけかい?」

 

頭が割れるかのような言い知れぬ不協和音、それがまるで脳内に直接送り込まれるかのような感覚にマッハは溜まらず頭を抱えてその場に膝をついた。

彼女が受けた見えざる攻撃、それはレデュエの得意とする戦法の一つの“超音波”による精神攻撃だった。

その人物にとってあまりにも耳障りと感じる音を大音量で直接鼓膜に響かせ、動いを止め、精神的にも追い詰めるというもの……それを受けてしまったマッハはその場に膝をついたまま苦しみ続ける。

 

「もうすこしたのしめるとおもったけど、きたいはずれだった……おまえはここでこわれろ!」

 

そして、動きを止めたマッハにレデュエにがとどめを刺すべく槍を構えてマッハに向かっていく、狙われたマッハは動くことすらできない。

大きく槍を引いたレデュエがマッハに向けて、槍先を突き出しにかかる……。

 

 

だが、その瞬間……。

 

 

 

「ちぃっ!! どけっ!!」

 

「うぅ……ぐぅっ! あっ!?」

 

 

 

苦しむマッハを横合いから突き飛ばすようにして入れ替わる様にナイツがレデュエの槍先に立った。

 

それにより、本来の目標を見失った槍はその先端をマッハではなく、ナイツへと向かって伸びていき、身代わりになるようにして割り込んだナイツの腰のあたりへとその刃を突き立てた。

 

「ぐあっ!! ……っくふ……っへへ……!」

 

「……みがわりかい? おもしろくないことを……」

 

「……うぅ……なに? ………え? か、カズマ!!」

 

「……俺としては……ガラにもねぇ事だけどよ……生憎、任されちまったんでね……後であのブラコンにどやされるのがめんどくせぇんだよ……くっ……!」

 

突き立てられた槍を掴みながら、そう口に出すナイツ。

膝をつき、その場で苦しそうに息を荒げながらもレデュエを仮面越しに睨み付けるがそれに対し、レデュエはそれを鼻で笑うと槍を持つ手にさらに力を籠める。

 

「…ばかなやつ……いいよ、ならおまえからさきに……しぬといい」

 

「ぐっ!? がぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!」

 

「カズマぁ!!」

 

「おまえはあとだ!」

 

さらに奥へと押し込まれる槍、体に走る激痛にナイツは溜まらず叫びをあげる。

このままではナイツが危ないと、身代わりとなった彼を助けるべく立ち上がるマッハ、だがレデュエはそれをいち早く察知し、左手をマッハに向けて再び超音波による攻撃を放とうとする。

 

 

 

「させるか!」

 

 

 

だがその一撃を遮るものがいた、力強いその声と共に何者かがレデュエに向けて飛び蹴りを撃ち込んだのだ。

何者かの攻撃を真正面から受けたレデュエ、僅かに気が逸れた所をすかさずマッハがゼンリンシューターのトリガーを引いて銃撃で追撃、たまらずレデュエは槍を持ったまま後退する。

 

「くっ………またじゃまか?」

 

「カズマ! ちょっと、しっかりしてよ!」

 

「あぁ……こんぐらい、大したことねぇよ……にしても、今のは……」

 

槍が抜けたが大ダメージを負ったナイツ、彼を心配してマッハがすぐさま駆け寄るがナイツは刺されたところを抑えながらもまだ戦えるということをマッハに伝える。

だが、今先程自分たちの所に割り込んだのは何者なのか、不思議に思ったナイツが顔を上げると……。

 

そこには、見覚えのある背中があった……。

 

「……お前は……」

 

「ごめん、いろいろ迷惑をかけて……でも、大丈夫……ここからは、僕達も戦う!」

 

ナイツとマッハを助けた人物、それは先程、自分たちの敵として目の前に立ちふさがり、ストームと戦いを繰り広げていた“彼の友”…。

ナイツたちの方に背を向けながら、今度は彼らを守るようにして立ち上がった彼は再び腰にベルトを巻き、戦うために錠前を握る……今度は、“守るために”。

 

「紘汰さんや、メテオが守るために戦う道を選んだように……僕も、今度こそ守ってみせるって決めたんだ!!」

 

『ブドウ!』

 

「変身!」

 

その掛け声とともに、彼は再びその身を鎧に包み込む…己が再び選んだ道を、本当に進むべき道を突き進むために…。

 

『ハイー! ブドウアームズ! 龍・砲! ハッハッハッ!』

 

仲間の危機、そしてこの戦いを終わらせるべく、再び目覚めた仮面の戦士………呉島 光実、仮面ライダー龍玄は変身するや否や、ブドウ龍砲を構えながらレデュエに向かっていく。

そしてそれを迎え撃つべくレデュエも槍を握り、龍玄が近づいてきた瞬間にその矛先を横薙ぎに振り払った。

 

だが、龍玄はその一撃を飛び越えるようにして回避するとレデュエの背中に鋭い後ろ回し蹴りを撃ち込み、立て続けに逆手に持ったブドウ龍砲で殴りつけ、流れるような連続攻撃でレデュエを攻める。

 

「っ! いちどこわれかけたおもちゃのぶんざいで……つまらないことをするようになったじゃないか?」

 

「もう、あの時の僕とは違う! 僕は……みんなのために戦うって、決めたんだ!」

 

突き出された槍の刺突を受け流しながらレデュエにそう言い放った龍玄は至近距離でブドウ龍砲を撃ち込んで一度距離を取る。

 

「だからこそ、僕の友達の仲間を……やらせはしない!」

 

「……どうやら、目が覚めたって感じだな……メテオの、ダチ公さんよ」

 

龍玄の様子と言葉から、彼が本来の姿に戻ったのだということを知ったナイツはマッハに支えられながらも立ち上がると彼に近づいてその横に並び立つ。

 

 

 

「なら、やってくれた分のお返しはきっちりしてもらわねぇとな……?」

 

「そうだね……僕も、メテオに謝らないといけないから……」

 

「だったら早く終わらせないとね? …一気に決めよう、アタシ達で!」

 

 

 

そして、目を覚ました龍玄がナイツとマッハに合流した頃、他の場所で戦っていた者達もまたこの戦いに転機を迎え始めていた。

 

「くっ……! このっ!」

 

孔雀型のオーバーロード、“デュデュオンシュ”の剣がパープルハートの刀の刃と交錯し、激しい火花を散らす。

しかし、今までの敵とは明らかに違う実力を見せるオーバーロードの力を前に、彼女は苦戦を強いられていた。

鍔迫り合いとなった状態のまま、互いに剣に体重をかけて押し返そうと必死になる、そしてその合間に視線を別の場所で戦っている仲間へとパープルハートは視線を向ける。

 

亀形のオーバーロード、“シンムグルン”と対峙したアイリスハート、そしてウシ型のオーバーロード、“グリンシャ”と戦うパープルシスターは両方とも連戦に次ぐ連戦、そしてこの激戦に疲労を見せ始め、それぞれに苦戦を強いられている様に見える。

 

このままでは押し切られてしまう……パープルハートがそれを危惧し始めた、まさにその時。

 

 

 

「変身……!」

 

『メロンエナジー…!』

 

 

 

聞きなれない電子音が響き渡り、何者かがこちらに近づいてきた。

走りながら何かを手にし、それを起動させたその人物は腰に巻かれた“ジューサーの様なベルト”へと右手に持っていた物を装填する。

そして、ベルトの右側にあるレバーを押し込むとベルトの中央に嵌め込まれた物……水色の透き通った縁取りが特徴的な“メロンのエンブレムが付いた錠前”が三方向に開く。

 

 

『ロック・オン……ソーダァ…! メロンエナジーアームズ!』

 

 

そしてそれを合図に、緑色の果実、メロンを模した所々に好き取った装飾が施された鋼鉄の鎧が降下し、その者の体に覆いかぶさる。

 

そして、姿を現したのは……白色のアンダースーツを覆うように開いた果実の鎧、右肩に装甲が集中するような形状のその鎧の肩の部分と、鋭いイメージを与える仮面のオレンジ色の複眼…。

優雅なたたずまいを感じさせながらも、どこか圧倒的な気迫を感じ察せる戦士へと変身したその男は右手に深紅の弓矢型の武装を握り絞めながら女神達の元に駆け付ける。

 

「はぁぁ………はっ!」

 

そして、持っていた弓矢型の武器を持ち替え、矢尻の部分に取り付けられたトリガーを引きながら、矢頭の部分を空に向け、力いっぱいに引き絞ったトリガーを放す。

その瞬間、撃ち出された光の矢は空中へとまっすぐに延びていき、特定の高さで止まるとそれがまるでメロンを模したかのようなエネルギーの塊へと変化し、少ししてからそれは花火の様に弾け、女神と戦っているオーバーロードたちに向かって雨の如く降り注いだ。

 

突然の奇襲に溜まらず地面を転がる三体のオーバーロード、そして同時に援軍に駆け付けた戦士にパープルハートたちはいっせいに目を向ける。

 

「あなたは……味方、なの?」

 

「………先程までは事情があってな、敵としてお前達の仲間と戦っていた………だが今は違う、俺の本来やるべきことは……こういうことだ」

 

パープルハートの質問に対し、白い鎧の戦士はそう返答する。

そして、その言葉に秘められた意味を理解したのかパープルハートはこくりと頷くと、同じように目を向けていたアイリスハートとパープルシスターにも目を向ける。

 

「……つまり、そう言うことでしょ?」

 

「それがこの人たちの本来の役目だって、宗谷さんから聞いてますし……疑う必要はありません」

 

「……えぇ、そうね……手を貸してくれるかしら?」

 

「……あぁ」

 

本来、敵として立ちはだかった彼らが本来していたことが何かを宗谷から聞いていた彼女たちは、駆けつけた戦士を信じ、共に戦うことを決意した。

戦士に向けて協力してくれるかどうかを聞いたパープルハート、それに対して戦士は………呉島 貴虎が変身した、“仮面ライダー斬月・真”は頷きながら返答するとすぐさま視線を一度後退した三体のオーバーロードへと向ける。

 

「長引かせるとやっかいだ、一気に畳みかける!」

 

「えぇ、タイミングは私達が合わせる……頼りにしてるわ、仮面ライダー!」

 

チャンスは今しかないと判断した女神達と、斬月・真はそれぞれの武器を構えると最大の一撃を撃ち放つべく、身構える。

そして、自分たちに向かって再び向かって来ようとする四人の闘志に気付いたのかオーバーロードが素早く身構えるよりも早くに、四人は動き出した!

 

「さぁて……思い切りいくわよぉ!」

 

「切り込みます!」

 

先導するように地面を蹴り、低空飛行でオーバーロードたちへと向かっていくアイリスハートとパープルシスター、二人は互いの武器を構えながら左右に分かれる様に飛翔するとアイリスハートは得物である蛇腹剣に電撃を溜め、パープルシスターは銃剣にエネルギーをチャージする。

 

「痺れさせてあげるわぁ………そぉ、れぇ!!」

 

「マルチプルビームランチャー、オーバードライブ! いっけぇぇぇぇえええええ!!」

 

そしてそのままタイミングを合わせて左右から電撃を集合させた強烈な一撃と、銃剣のエネルギー砲による同時攻撃を放ち、オーバーロードたちを攻撃する。

降り注ぐ二つの攻撃にダメージを受けるオーバーロードたち、そこへ止めの一撃を放つべく、パープルハートと斬月・真が走り出す。

 

「切り込む……これで終わりだ!」

 

「この一撃に……すべてを賭ける!」

 

『メロンエナジースカッシュ!』

 

斬月・真は自身のベルト、“ゲネシスドライバー”の“シーボルコンポレッサー”と言う名のレバーを押し込み、エネルギーを自身の武器、ソニックアローへとチャージしながら…。

そして、パープルハートは両手で握る刀を構えながらどんどんとオーバーロードとの距離を縮めていく。

 

「「はぁぁぁああああああああ!!」」

 

両者の間合いが埋まったその瞬間に、パープルハートと斬月・真は互いの武器を思い切り振り抜き、シンムグルンとグリンシャの二体のオーバーロードを切り裂き、とどめとばかりに左右から袈裟懸けに刃を振り下ろして残っていたデュデュオンシュをVの字に斬り捨てる!

 

そして紫の緑の光の奇跡がVの字の残滓を残しながら、三体のオーバーロードは断末魔の悲鳴を上げて爆散した!

 

 

 

 

 

「ふっ! ……なるほど、街で狩ってきた雑魚とはやはり格が違うか」

 

「サルドモガ! マタコノオレヲタオセルト? ツケアガルナ!!」

 

また別の場所ではクロス・ヴィクトリーへと写真を手渡したクロス・ジャスティスが深紅の体に両刃の剣を持つ荒々しい雰囲気を放つオーバーロード、“デュムシェ”と激闘を繰り広げていた。

そして、それに加勢するかのように加わったアイエフが咄嗟に変身した仮面ライダー竜華も槍と剣をぶつけ合わせる両者の間を縫うように割り込みながらデュムシェに攻撃を加えるがいまいち決定打には至らずいる。

 

「さっきから私達をサル呼ばわり……いい加減腹が立ってくるわね」

 

「言わせておけ、弱い犬程よく吠える……そう言うだろ」

 

「ヨワイダト!? ヨワイノハキサマラダ!!」

 

クロス・ジャスティスの言葉に怒りを露わにしたデュムシェはそう言い放つと左手に力を籠め、破壊光弾を精製するとそれをクロス・ジャスティスと竜華に向かって発射する。

 

「井の中の蛙……」

 

『ライバルカード! リード! ドラゴンボール ベジータ!』

 

「……ハッ!!」

 

だがクロス・ジャスティスはそれを迎え撃つようにライバライデントにライバルカードをリードし、読み込ませると素早く左腕を引いてその腕を思い切り前へと突き出す。

それと同時に左腕に集められていたエネルギーの一撃が放たれ、デュムシェが放った光弾とぶつかり合い、まるで競りあうかのようにしてぶつかり合ったのち、どちらからともなく弾け、相殺された。

 

「チィ……コシャクナマネヲ!」

 

だがそれだけでもプライドの高いデュムシェには相当な屈辱だったのか、より怒りを募らせた様子で持っていた剣を握り絞める。

 

 

「おおおおおおぉぉぉぉぉおおおおお!! 変身!!」

 

『クルミ!』 『マロンエナジー!』

 

「ナニ? っ!!」

 

 

だがそこへ新たに駆けつけた者がいた。

その者は力強く叫びながら両手に二つの錠前を握り、同時に開錠するとそれを素早く腰に巻かれたベルト、戦極ドライバーの中央と左側に連結したユニットへとはめ込むと走りながら右側のカッティングブレードを倒す。

 

下ろされたカッティングブレードがロックシードのエンブレムを展開させ、その瞬間その人物の頭上に二つの鎧が姿を現す、一つは空に包まれたクルミ、そしてもう一つは栗が実る際にその身を覆う“毬栗”を模したかのような鎧。

それが一つに合わさると鎧の形状が無骨な黒の鎧へと姿を変える。

 

『クルミアームズ! ミスター、ナックルマン! ジンバーマロン! ハハーッ!』

 

「はっ! どらぁぁぁああ!!」

 

そしてその鎧が覆いかぶさり、体を覆うと同時に変身が完了したその人物は横合いからデュムシェに跳びかかると毬栗の形をした武装を装備した右腕を撃ち込んで攻撃した。

横合いからの突然の奇襲に反応できず、デュムシェはまともに攻撃を受けると地面を転がる。

 

「えっ!? あ、あれ……」

 

「……ようやくか……」

 

地面に着地し、両手を毬栗型の手甲で武装した戦士は立ち上がると身構えると戦士はふとクロス・ジャスティスと竜華の二人が自分に目を向けていることに気付いた。

 

「手を貸すぜ? どうやらかなりめんどくさいことになってるみたいだしよ、それに……俺達の落とし前は俺達がなんとかする」

 

「……好きにしろ」

 

「……そうね、こんな状況だしこの際細かいことはどうでもいいわ、手を貸してくれるならね!」

 

「あぁ、任せとけ! こいつは俺が………チームバロンのリーダー、ザック! アーマードライダー、ナックルが片付ける!!」

 

そう言い放ったザック、いや……洗脳から目覚め、本来の彼を取り戻した仮面ライダーナックルは自身が手に入れた新たな力、“マロンエナジーロックシード”を使って強化変身した姿、“ジンバーマロンアームズ”を身に纏い、再び戦いに参戦した。

今度は、守るために戦う者として、その拳を振るうために……。

 

「……サルガ……フエタトコロデ!!」

 

「相手を見くびらないことだな……さぁ、覚悟しろ……ここからは俺の……ヒーロータイムだ」

 

「私達の、でしょ!」

 

勝負を決めるべくそう言ったクロス・ジャスティスに竜華がそう言い放つと、彼女が先手を斬って走り出す。

そしてそれに続くようにナックルが走り出すと、デュムシェは雄叫びを上げながら自身の剣を振り上げて迎え撃つ。

 

振り下ろされるデュムシェの剣、だが竜華はそれを受け身を取ながら回避すると後続のナックルが毬栗型の手甲、“マロンボンバー”で武装した拳を振るう。

デュムシェはすかさずその一撃を剣で受け止めるが、背後に周った竜華がすかさず両手の竜果撃爪で斬りつけて攻撃する。

 

「ムオッ!?」

 

「貰った!!」

 

『クルミスパーキング! ジンバーマロンスパーキング!』

 

その一撃を受けてできたデュムシェの隙を見逃さず、ナックルが素早くカッティングブレードを三回下ろし、鋭いアッパーカットをデュムシェの顎に打ち込んだ。

も会えあがるような炎のエネルギーを纏わせながら撃ち込まれたアッパーカット、それが直撃すると同時にマロンボンバーの毬栗の突起が弾けるようにして拡散し、その奥に控えていた一回り小さな手甲が追い打ちをかける様にデュムシェを打ち上げる。

 

「お前の魂……冥界に送り返してやるよ!」

 

『ハイーッ! ドラゴンフルーツオーレ!』

 

「烈火……死霊斬!!」

 

そして空中へと打ち上げられたデュムシェに向けて追い打ちをかけるべく竜華がカッティングブレードを二回作動させると、竜華撃爪に赤いエネルギーが灯り、それが二振りの刃を形成すると竜華は勢いよく跳躍すると打ち上げられたデュムシェに向かってそのエネルギーの刃で十字を描くように切り裂く!

 

「グオォォォォォォォォ!! バ……カナ……マタオレ、ハ…!」

 

「悟ったか……なら、決めるとするか……」

 

竜華の必殺技“烈火死霊斬”を受けたデュムシェ、ダメージを受け、もがく赤きオーバーロード、そこにクロス・ジャスティスがとどめを刺すべくライバライデントを構えながら言い放った。

 

『フィニッシュブレイク! オーバースロー!』

 

クロス・ジャスティスはライバライデントに連結したJデバイザーの液晶画面に表示されたアプリをタッチすると電子音が鳴り響き、クロス・ジャスティスはライバライデントを構えると空中にいるデュムシェに向けて狙いを定める。

 

「……終わりだ……!」

 

『ブレイクスロー・J!』

 

そして、大きく引いて力を込めたライバライデントを、まるで槍投げの如く大きく引いて、投擲する。

ライバライデントはその矛先に青色の光を纏いながら、まるで流れ星の如く空中を駆け抜け、空中に打ち上げられたデュムシェに向かっていき………。

 

 

 

「コノオレガ………マタ、サルゴトキニィィィィィィィィィィイイイイイ!!」

 

 

 

デュムシェの体を貫き、デュムシェは叫びと共に爆散した……。

 

 

 

 

 

そして、オーバーロード、レデュエに苦戦を強いられていたが龍玄が加わって戦況が変化したナイツとマッハの方もまた決着がつこうとしていた。

三人を相手取りながらも、得物の槍を振るって互角に渡り合うレデュエ、袈裟懸けに振るった槍先がマッハを斬りつけ、槍の柄が龍玄を打ち据える。

 

「あぐっ! ……まだ、まだぁ!!」

 

『シグナルバイクシフトカー!』

 

だが、負けじとマッハはマッハドライバーのパネルを跳ね上げると、それに入れ替える様に新たな力を装填する。

それは、サイドカー付きのバイクを模したかのような形状のミニカー、“シフトデッドヒート”であり、それをマッハドライバーにセットすることによってマッハはさらなる力をそのみに纏うことが出来る。

 

『ライダー! デッドヒート!』

 

「っしゃぁぁぁあああああああああ!!」

 

パネルを下ろし、電子音が鳴り響くとマッハの体を新たに赤色の装甲が包み込み、白いスーツに身を包んでいたマッハをさらに強力なパワーとスピードを引き出せる強化形態、“デッドヒートマッハ”へと変える。

デッドヒートマッハとなった彼女は、体から蒸気を噴き出しながら気合を迸らせて一気にレデュエに接近すると高速の連続攻撃を撃ち出してレデュエを攻め始める。

 

休むことなく撃ち出される、嵐の様な拳と蹴りの連撃、さすがのレデュエも徐々に守りがほころび始める。

 

「くっ! ……このていどで……!」

 

「やぁああ!!」

 

「なに! ぐあっ!?」

 

さらにそこへ龍玄のブドウ龍砲による銃撃が加わり、たまらずレデュエはそれを受けて大きく後退する。

そして、その一瞬の隙をついてナイツがマッハの攻撃に加わるかのように接近すると、タイミングを合わせ、マッハと同時にレデュエを殴り飛ばす。

 

「今だ、決めるぜ二人とも!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

『ヒッサツ! フルスロットル! デッドヒート!』

 

『ハイーッ! ブドウスカッシュ!』

 

連携による攻撃でレデュエを押し返した三人、チャンスは今しかないと判断したナイツはマッハと龍玄に呼びかけると三人はそれぞれに必殺技の体制に移る。

そして、それぞれの右足に力を籠め始め、それが一気に最大まで溜まったのを感じた瞬間に三人は思い切り跳躍し、空中で同時に前転宙返りを決め……。

 

 

 

「「「トリプル、キィィィィィィック!!」」」

 

 

 

三人は息を合わせ、同時に必殺キックを放ち、よろめくレデュエに止めの一撃を撃ちこみ、貫いた!

 

 

 

「またあそべるはずだったのに……ぎゃぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!?」

 

 

 

三人の蹴りを受けて最後の叫びを上げながら倒れるレデュエ、それを背にしてナイツ、マッハ、龍玄の三人が並び立つ。

 

何とかオーバーロードの群れは撃破することが出来た、だがまだ残っているものがある……。

 

 

「後は、お前らだけだ……宗谷、メテオ、ヒロム……なるだけ、手っ取り早く頼むぜ……」

 

 

そう言ってプラネテューヌから離れたところに今もそびえ立ち、先程とは違う様子を見せ始めた天樹を見ながら呟いたナイツ…。

そんな彼の腰に巻かれたベルトには、僅かに……だがそれはまるで、徐々に広がる様に……亀裂が入り始めていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

無数の蔦による強襲を受け、あわや地面に押し流されるような形で激突する寸前だったクロス・ヴィクトリー達、しかし彼らの危機に目を覚まして本来の姿を取り戻して駆け付けた鎧武の救援によって一瞬の隙をついて体勢を立て直し、なんとか空中を飛翔して地面への激突は免れ、地面への着地に成功したクロス・ヴィクトリー達。

 

地面に降り立った彼らの元に助けに駆け付けた鎧武が飛行機能を持つ、“ロックビークル”と呼ばれる機体、“ダンデライナー”から飛び降りると彼らの元に駆け付ける。

 

「大丈夫か、お前ら?」

 

「はい! おかげで助かりました、紘汰さん」

 

「ヒーローは遅れてやってくる、ということか……あえて光栄だ、仮面ライダー鎧武」

 

「お、おぉ……なんだ? 二人とも、俺の事を知ってるのか?」

 

鎧武に対して尊敬の意志を込めたクロス・ヴィクトリーとバニシングハートの言葉、それを受けてどこか戸惑い気味に鎧武が答える。

それを聞いてクロス・ヴィクトリーはあることに、そして今更ながらそれを実感した。

 

彼は確かに仮面ライダー鎧武だ、以前に自分がメモリーワールドで出会った鎧武、葛葉 紘汰もある意味では本物に近いと言えるが、今目の前にいる彼はまさに本物の彼なのだ、そのため実際に出会うのは初めてではないが、彼にとっては初めてなのだということを…。

 

だがこうして、彼と……本当の鎧武と出会うことが出来た、それだけでもクロス・ヴィクトリーにとっては十分にうれしく感じることだった。

 

「……紘汰兄さん……」

 

「あ……心配かけちまったな、メテオ……久しぶりだな」

 

「………あぁ」

 

そして、同時に彼との出会いを嬉しく思う者がもう一人……。

 

鎧武の言葉に頷いて答えたストーム、鎧武はそれに答えるかのように彼の肩を数回たたくとストームは照れ隠しのように仮面の頬の部分を掻いた。

 

「……再会を喜ぶのは勝手だが……今はそれどころではないぞ……」

 

だが今はそれどころではない、そう警告したのはクロス・ヴィクトリーに抱えられながら地面に降りたブレイズだ。

ブレイズの言葉に反応した鎧武は彼の方を見ると、しばらく彼のことをじっと見続ける…。

 

「……みたいだな」

 

そして、そう言うと今度はさらなる成長を遂げようとする天樹へと目を向けた。

元々かなりの大きさを持っていた天樹はその本来の目的を果たすべく、まるで意志を持っているかのように蔦を振り回し、動き始めている。

 

このままでは、いつその目的が果たされる時が来てもおかしくない…。

 

「なあ、ブレイズ、何とか止める方法はないのか?」

 

唯一この場で天樹について知っていそうな人物であるブレイズへとクロス・ヴィクトリーが問いかける。

だが、ブレイズはその問いに対してしばらく間を置いてから首を左右に振った。

 

 

「……ああなった以上、もはや止められないだろう……可能な方法があるのだとしたら、それはこの樹を破壊する……それだけだ」

 

「……マジかよ」

 

 

その言葉にクロス・ヴィクトリーは反射的に肩を落とした。

というのも、このサイズの木を破壊するとなれば骨が折れるのは目に見えているからである、ただでさえこのサイズ、しかも意志を持つように自分たちを攻撃してきたのを見るあたり破壊するとなると反撃に出るのは目に見えているし、破壊には当然困難を有する。

そしてこの大きさだ、この場にいる全員が攻撃を仕掛けても難しい…下手をすれば不可能かもしれない…。

 

一体どうすればいいのか、クロス・ヴィクトリーが思考を巡らせていると……。

 

「………破壊できる方法はあるにはある……」

 

ブレイズがクロス・ヴィクトリーに向けてそう告げた。

その言葉にその場にいた全員が彼へと目を向ける。

 

「それは本当か? ……本当に可能なのか?」

 

「………あるとするなら、だ………だがもう、出来るとしたらそれだけだろう」

 

バニシングハートが問いかけると、ブレイズはそう言いながら今度はストームを見た後、続けてクロス・ヴィクトリーの方へと視線を向けた。

 

 

 

「……お前達二人の力と……俺の力を合わせれば……」

 

 

 

その言葉を聞いたとき、クロス・ヴィクトリーとストームの二人は驚きを隠せなかった。

この樹を破壊できる可能性を持つのが自分達二人であるというのもそうだが、それよりも……つい先ほどまで敵対していたブレイズが自分から力を合わせると言ったことが一番衝撃的だったのだ。

 

「ちょっと待てブレイズ……お前、力を合わせるって」

 

「………俺は、すべてを失った………残された唯一の道も、かがりに止められてしまった……だが、それでも……俺に何かできることがあるとするのなら……それは、この戦いを終わらせることだ………」

 

「………ブレイズ」

 

娘を生き返らせるため、そのために戦う道を選んだブレイズだが……自分の前に姿を現したかがりの想い、それを感じ取り、自分もダークネスの駒として弄ばれていたのだということを知った以上、彼にはもはや何もない……けど何もないからこそ、ブレイズは最後に自分が出来ることを見つけたのだ。

 

この戦いを終わらせるために、あの天樹を破壊するということを……。

 

その意志を知ったクロス・ヴィクトリーとストーム、そしてそれを聞いたバニシングハート、鎧武の四人は互いに視線を交わすと頷き合い、最後にブレイズの方を向くと同時に頷いた。

 

新たな仲間と、力を合わせることを決意したという意味を込めて……。

 

「……それで、方法は?」

 

「メテオ・ソルヒート、貴様が破壊の力を目覚めさせたのならわかるはずだ、お前の中に新たに加わった力を……絆を結んだ力を発揮する能力を」

 

「っ! ……そうか、“チェインリンク”か!」

 

“チェインリンク”、それはストームが破壊の力、パーフェクトデストロイを目覚めさせたことで獲得した、彼の特殊能力。

絆を結んだ相手と同調することによって、その力を最大限にまで発揮し、同調した相手の持つ技と自身の技を共有したり、コンビネーション技を発動したりすることが出来る能力である。

 

ブレイズはそれに目を付けたのだ、そして、それはストーム自身も理解していた。

個々の力で向って行っても難しいなら、複数の力を一つにすることで大きな力にすればあるいは、と……。

 

「だがお前の能力で、俺と天条 宗谷の二人と同調したとしてもあの天樹を破壊することは難しいだろう………だが、天条 宗谷………お前がいる」

 

「……俺?」

 

説明をするブレイズはそう言うと、クロス・ヴィクトリーの方を向きながらそう告げた。

 

「………お前の中にあるのは、“繋がりの力”………その力があれば一時的にではあるが、ストームのチェインリンクと同調し、その力を強化することが出来れば……それでこの場にいるそこの逸れ魔神、バニシングハートと葛葉 紘汰の二人とも同調することも可能かもかもしれない……」

 

「……確証は?」

 

「……ない、としか言えないが……今は、それに賭けるしかないだろう……」

 

成功するか否かはわからない……もしこれで失敗すれば、この世界はあの樹に飲み込まれ、新たなのヘルヘイムと化してしまう。

失敗すれば、すべてが終わる……だが、もはやこれ以外に手は残されていない……。

その場にいた全員に緊張が走る……。

 

 

 

「……やろう……」

 

 

 

だがその中で、その均衡を破った者がいた……クロス・ヴィクトリーである。

そして、それを聞いたのを合図にしたかのようにストーム、バニシングハート、そして鎧武も続けて首を縦に振る。

 

彼らにはわかっているのだ、例え方法がなくても……この世界を守るためなら、どんなことをしてでも抗ってあの樹に向かっていっただろうということを……この世界に集まった戦士たちの心中にあるのは、守りたい物のために戦いたいという気持ちなのだということを……。

 

それはもはや言葉もいらない、互いが互いを理解しているからこそ、分かり合えること……。

 

「……いいのか? 出来るかどうかはわからないままだぞ……」

 

そんな彼らに最後の確認を取るかのように、ブレイズがそう問いかける。

しかし、それに対しクロス・ヴィクトリーたちは迷う様子も見せずに返答する。

 

 

「たとえわからなくてもいい、このまま何もできないで後悔するより……何かしてた方が、何倍もな」

 

「そもそも、お前に戦いを挑んだ時から確証なんてなかった……けど、それでも戦えたのは……」

 

「それぞれの胸の内に秘めた思いのため……貫くべき、信念のためだ」

 

 

クロス・ヴィクトリー、ストーム、バニシングハートがそれぞれにそう言いながらブレイズへと目を向ける、そしてその後に続く形で鎧武もまたブレイズを見つめる。

 

「理由なんかなくたっていい……ただ譲れない物のためなら、俺達は前に進める」

 

その場にいた四人の想い、その思いを受け取ったブレイズはしばらくその場で口を閉ざすと、顔を上げて破壊するべき存在である天樹を見上げた。

 

 

 

 

これは彼にとって果たすべきこと、そして………自分にできる“最後の戦い”だと、決意して………。

 

 

 

 

「行くぞ!!」

 

 

 

ブレイズの言葉を合図に、彼を囲むように四人が並び立つ。

前にクロス・ヴィクトリーとストーム、その後ろにバニシングハートと鎧武という並びである。

彼らはそれぞれの場所に並び立つと、己の拳を握りしめてそれを自身の胸に押し当てる。

 

そして、彼らは思った……共に戦ってきた、仲間の事を……自分たちが守りたい物のことを……この戦いに捧げる、己の決意と信念そのものを……。

 

すると、ストームの身体から一本の光の線が現れる。

その光の線はまず、クロス・ヴィクトリーの身体へと繋がり、続けてブレイズへと繋がった。

それによって三人の間に光の線による繋がりが形成され、三角を描くような光の軌跡が描かれる。

 

 

 

(……メテオ……)

 

 

 

そしてこの時、クロス・ヴィクトリーは頭の中に思い浮かべた……。

 

 

 

(……ヒロム……)

 

 

 

この戦いを共に駆け抜けてきた、掛け替えのない友たちを……。

 

 

 

(……紘汰さん……)

 

 

 

救いたいと願い、同時に憧れを感じていた本物のヒーローを……。

 

 

 

(………そして、ブレイズ………)

 

 

 

最後に、激闘を繰り広げ最後にはその思いを知り、気持ちを通わせることが出来た強き戦士を……。

 

 

 

この戦いを通して、再会し、出会い、分かりあえた者達の事を……その決意を、覚悟を、想いを感じ取るようにして、クロス・ヴィクトリーの心の中に熱い何かが流れ込んできた。

その熱い何かは徐々に膨れ上がるように大きくなっていき、やがてクロス・ヴィクトリーの体を包み込むように外へと現れ、さらに5人の事を包み込むように広がっていった。

 

 

そして、その瞬間、光の線が新たに生成され、バニシングハートと鎧武の二人とも繋がった。

 

 

 

(………負けない………絶対に、負けはしない………)

 

 

 

この時、クロス・ヴィクトリーの中には……いや、彼らの中には不安などなかった。

 

 

 

(………ここにいるみんながいるから………共に戦ってくれた、仲間たちがいるから………)

 

 

 

あるのは絶対に負けないという強い想いと……。

 

 

 

(俺達は、立ち止まりはしない!!)

 

 

 

どんな困難をも乗り越えるという、強固な絆の鎖で出来た強く、固い、“覚悟”……。

 

 

 

『チェインパワー、最大出力! オーバードライブ!! いつでも行けます……宗谷さん……皆さん……あなた達に、絆の力を!!』

 

「これが………俺達の、ラストアタックだ!!」

 

 

 

その覚悟を拳に乗せて、彼らは前へと踏み出す…。

 

 

 

どんな困難も、強敵も、仲間と、絆を力に変えて、乗り越えられるということを信じて……。

 

 

 

 

 

「「「「「オーバードライブ!! “限界突破・超滅拳”!!」」」」」

 

 

 

 

 

その想いを拳に乗せて、絆という繋がりの力が5人の力を一つにして、絶対強固な最大の一撃として打ち出される。

 

 

 

その強大なパワーを感じ取ってか、天樹はそれを防ごうと蠢く蔦を5人に向けて強襲させる。

だが、それらの蔦はその一撃に阻まれ、彼らに届くことはなかった。

 

撃ち出された一撃はそのまま真っ直ぐに天樹へと向かって延びていき………。

 

 

 

次の瞬間、天樹の巨大な幹を貫き、轟音を上げた……。

 

 

 

 

 




いかがでしたか?

次回、遂にこのスーパーノベルヒーロー大戦編、完結……。

物語の終わり、その時に何が起こるのか……この戦いで得た物、それは終わりか、始まりか……。

次回を、お楽しみに!
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