超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!
今回のお話は、前回教祖補佐見習いとして教会に加わったハルキとステマックス、そんな中教会の訪れたのはハルキとステマックスだけじゃなくて?

新たな展開を迎え始めるネプおばの物語、お楽しみください、どうぞ!


stage,88 俺と後輩と働かせてください

 

 

 

「………教祖補佐、見習い?」

 

俺は今先程自己紹介をした、小柄で一見すると女の子にしか見えないリアル男の娘、ハルキの口から出た聞き覚えのない言葉を復唱するようにして口に出した。

すると、ハルキはその言葉を肯定するかのようにこくりと頭の両側に垂らしたおさげのようなツインテールを揺らしながら頷く。

 

「はい、見習いです」

 

「………誰の?」

 

「教祖補佐である先輩のですよ」

 

「………誰が?」

 

「いや、だから先輩でしょ? プラネテューヌ教会の教祖であるイストワール様の補佐としてこの教会で働いてる、天条 宗谷先輩?」

 

あまりにも唐突すぎる発表と、俺を先輩と呼んできたハルキの言葉に若干困惑している俺にハルキは淡々と返答を返しながら説明する。

……え、いや、確かに俺はこの世界に迷い込んで間もなく住む場所も働き先もない故に、どうしたものかと迷っているといーすんの提案によってこの教会に住まわせてもらい、その代りただ飯を貰うのは割に合わないからというわけでいーすんに土下座して頼み込んでここに“教祖補佐”という形の役職として働かせてもらうことになったのだ。

 

でも、この仕事って……前に確認したら、“本来ある仕事じゃない”っていーすんから聞いたような……。

 

 

「……いーすん、確か前に教祖補佐って俺があまりにも頼み込んできた物だから急作ろいで用意した役職だって聞いた気がするんだけど……」

 

「あぁ、そう言えば以前には宗谷さんにはそう言っていましてましたね、そのことも踏まえてこれからハルキさんの事について説明させていただきます」

 

 

そう言うといーすんはこほんと咳ばらいを一つして、手を俺達の目の前にいるハルキとステマックスへと向けた。

 

「実は、宗谷さんには内緒にしていたのですがここ最近、このゲイムギョウ界で起きた騒動や、仕事が急増し始めましたので、それを踏まえてこの教会の働き手を少しでも多くするべく、新たに協会職員の募集をしたのです、まあ、あり大抵に言うと“求人”と言うことになりますね」

 

「え、教会にも求人ってあったの!?」

 

「そりゃそうよ、教会はいわば国の中枢、それが人手不足になったら国そのものが動かなくなるでしょ? ……特にうちの場合は、ネプ子が仕事しないってのもあるけど」

 

「ぎくっ………アイちゃん、さりげなく私をディスらないで………」

 

いや、事実だろ……。

 

と、アイエフの一言が図星だったのか、苦い顔をするネプテューヌに心の中でツッコミを入れておく。

でも、確かにそれは言えてるな……俺が本来いた世界、というか俺の母国、日本では国の中枢が国会だったように、ゲイムギョウ界の各国の中枢は女神が拠点としている教会ってことになるんだよな。

 

そして、その国のトップである女神をサポートするために教会があって、その教会職員がいなくなればこの国は首が回らなくなると………まあ、当然と言えば当然のサイクルだよな。

特にここ、プラネテューヌの場合はアイエフの言うようにネプテューヌが進んで仕事をしたがらないせいで教会職員が必死で働いているイメージが強い気がする。

ていうか、実際ここで働かされてる俺もその実感あったし……。

 

つまるところ、教会は今後以前に起きた数々の騒動に対応できるよう新たに職員を求める時期が来たってことなのか…。

 

 

 

………あれ? でも待って? 国の中枢であるこの教会って、求人に求める基準とかどうなってんだろ………。

 

 

 

「………それで、その求人を募集して、入ろうと思った人は誰でも入れるのか?」

 

「いいえ、それに関しましては当然の如く必要な能力や、知識も必要となります」

 

「………つまり、就職試験もあるってことか?」

 

「ええ、ありますよ? 筆記試験と面接、それと実技試験ですね」

 

 

 

……本格的な試験だな、おい……ていうか、実技試験ってなに?

何の実技を試すんだ?

 

「教会に勤める者として必要な知識、体力、そして戦闘技術、それらすべてを併せ持った人材を教会は求め、そして晴れて合格すれば各部署に希望する職に収まることが出来るんです」

 

「………ってことは、その試験ってめちゃくちゃ難しかったり?」

 

「そうですね………結構難しい、とは思います」

 

「えっと~……今回の求人では全体の半分、約5割が落ちたですね~」

 

それかなりレベル高いんじゃない!? 全体の半分でしょ!? え、今更だけど俺ってそんなすごいところに保護されて今まで仕事してた訳!? しかも住み込みで!?

 

いーすんに付け足すように説明したコンパさんの一言に驚愕してしまった俺、開いた口が塞がらない…。

どうしよ、今更なんだけど俺ここで働いてていいのかなって思えてきた……。

正直言うと、俺高校の頃あんまり勉強できるような奴じゃなかったんだよな……成績は中の下くらい、特に英語と数学は酷かった……。

 

「あの……そうなると俺って、ここで働いてていいのかな? 俺、試験とか何も受けてないし……あれ? 俺もしかして、クビ?」

 

「あぁ、いえいえ! それに関しては大丈夫です」

 

「……というと?」

 

「宗谷さんの場合は、以前にも言った通りあなたはこの教会で保護された身であり、同時に今まで積極的にクエストをしてくれたり、私や皆さんのサポートをしてくれました、よってその功績を踏まえて審議した結果皆さん満場一致で、宗谷さんを“教祖補佐”と言う形でこの教会に“スカウト”することにしたのです」

 

「え、なにそれ、初めて聞いた……」

 

「今言いました」

 

いーすん、なんか心臓に悪いからそう言うことは早く言ってよ……。

 

でも、なるほどな……俺がこの教会で働いている役職である“教祖補佐”ってのはそう言う形で出来たのか……。

しかも、俺をスカウトしたのがきっかけで……。

 

「……まあ、俺が教祖補佐としてここに働かせて貰ってる理由とか、求人の事とかはわかったよ……それで、その二人の事なんだけど……とどのつまり、この二人はその求人に応募して試験に受かってここに収まったってことなのか?」

 

「そうですね、大まかにいうとそうなります、ですがこのお二人はその中でもダントツの成績を残した最優秀のペアだったのです」

 

いーすんがそう説明すると、その隣でハルキがどこか照れくさそうに笑みを浮かべて頭を手で掻いた。

 

「えへへ……と言ってもボクたち二人合わせての合格だったのでそんなにすごい事じゃないんですけど、ボク実技試験は散々でしたし……」

 

「対するステマックスさんは実技試験は完璧でした」

 

「ステマックスは小さいころからボクと一緒に居てくれたので、とても頼りにしてるんです、面接のときにステマックスの事を放したら特別に一緒に雇ってくれることになったんです! 本当、イストワール様には感謝しています」

 

そう言うとハルキは天真爛漫といったイメージを感じさせる満面の笑みを浮かべていーすんにお辞儀をした。

すると、いーすんはいえいえと微笑みを浮かべながら手を振ってそのお辞儀に返答を返す.

 

「ハルキさんも初めてのお仕事なので頼りになれるコンビがいるのでしたらその方が安心できるでしょうしね、それに筆記試験オール満点の人材と、実技試験最優秀結果を残した人材を逃すのも惜しかったので」

 

「え、筆記試験満点と実技試験最優秀結果って……この二人がか?」

 

「えっと……恥ずかしながら、ボク、戦うのは苦手なんですけど勉強は得意で……デスクワークとかなら、いけるかなって……反対にステマックスはとっても強いのでそれぞれ得意分野で活躍できたって感じなんです」

 

……なるほど、要するに小さいころから一緒に居たからこそ、お互いの苦手なところをカバーしてきたって訳か、だから今回二人纏めて合格ってことになったんだな。

 

「なので、この二人の人材を逃す手はないという訳で、今回から新たに募集した“教祖補佐見習い”という役職に二人纏めて抜擢したのです」

 

「へぇ、ていうか今回からなんだな教祖補佐見習いって…」

 

「でも、実際……レベルが高すぎて応募したのがこの二人だけだったんですけど」

 

「………あ、そう」

 

ネプギアの後付けの説明にこの教会のレベルの高さに再び身震いする悪感のような物を感じながらも、俺は表情を真面目な物にすると、小さく深呼吸をして改めてハルキとステマックスの二人に向き直る。

 

「まあ、なんにせよ……これからよろしくな? ハルキ、ステマックス、あんまり先輩らしい事とかできないかもしんねーけど」

 

「いえいえ、こちらこそ、先輩、それに女神さま方もよろしくお願いします!」

 

ハルキは差し出した俺の手を握って明るくて、とても男とは思えない女の子のような笑顔を浮かべて丁寧に返事を返して、顔の両側より下に垂れるツインテールをゆらゆら揺らしながら再びお辞儀をする。

そして、ハルキは俺の手を放すと隣にいるステマックスの背中を押す。

 

「ほら、ステマックスもあいさつしなよ、これからの先輩になる人と女神さまの前なんだから」

 

「………」

 

ハルキがそう言うと、ステマックスはちらりとハルキを見てから少し間を開けて前に出てくる。

だけど、なんだか纏っている雰囲気は……何というか、読めない……ていうか、黙りこくってて何考えてるのかわからない。

 

 

「……………」

 

「え、えっと………よ、よろしく」

 

「うーん、さすが忍者、そう簡単には口を開かないんだね」

 

「試験の時もずーっと無言だったんだよ、だから相手をした私も動きが読めなくて……」

 

 

ネプギアが苦戦したほどの実力を持ってるのか? というか、ネプギアが実技試験の相手をしていたっていうのにも驚きだけど、ハードル高いだろ……たまにネプギアにも模技戦の相手とかしてもらうこともあってスキルなしとはいえ苦戦して勝てなかったしな……もしかして、俺より強いのかも……。

それに、会話すらしないという誓いを立ててるのか? やっぱり、忍者ってそう言うことに厳しいのかな……。

 

なんてことを俺が考えていると……。

 

「………ド、ド、ド………」

 

「……ん?」

 

「ねぷ?」

 

何か知らんが、突然ステマックスからよくわからない声が聞こえてきた……。

え、なに、ドって……なんかの呪文?

 

 

 

「ド………ドーモ、ハジメマシテ、メガミ=サン……ステマックスデス」

 

 

 

………なんか、どっかで聞き覚えがあるような片言の挨拶をしながらステマックスはカチコチとした動きでお辞儀をした。

 

そして、突然の子のぎこちないあいさつを目の当たりにした俺達はどうしていいのかわからずにその場できょとんと目を点にしてしまう。

 

「………ていうか、忍殺語………?」

 

「えっと、これって私達も返さなくちゃいけないのかな? でないと、トテモシツレイな気がするんだけど…」

 

「お姉ちゃん、なんで一部カタカナ読みだったの?」

 

「いや、なんとなく……でも、ここで返さないと、殺スベシ! とか言われそうな気がして……」

 

「お前ニンジャじゃないだろ、ていうかなんでお前そんなシンパシー感じれたの? 俺むしろそっちにびっくりしてんだけど?」

 

この事態にネプテューヌやネプギアと一緒にひそひそ声で混乱し、ミーティングをする俺達三人、さらにはその後ろにいたいーすんやアイエフ、コンパさんも似たような感じだ。

どうすればいんだろ、ここはやっぱりあいさつされたんだから返すべき? と言った感じの論争を三人でやり取りし続ける。

 

しかし、そんな中、ステマックスの後ろにいたハルキが小さくため息をつくとカチコチのお辞儀をしたままの体制で固まっているステマックスの隣に移動した。

 

そして………。

 

 

 

「………えい」

 

 

 

軽い一言と一緒に踵をステマックスの足の甲の辺りに落とした。

 

 

 

「アイエェェェェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!? ハルドノ! ハルドノナンデ!?」

 

「いやぁ!! 痛ぁ!?」

 

 

 

痛い、あれは絶対痛い、足の裏ではなく地味に硬い踵で一点集中した分余計に痛い。

しかも、足の甲の部分には何気に痛みがじんわりと広がるツボのような場所が存在するんだ……おそらく、今の一撃はそこを狙ったのだろう……実際、余りの事にステマックスは足を抑えながら飛び上がって痛がってるし……ていうかロボットなのに痛覚があるのか? もしかして、サイボーグってことなのか?

 

いや、でもステマックスがロボットなのかサイボーグなのかとかよりも……ハルキは何をしてんだ!?

 

もれなくステマックスがキャラ崩壊してるんだが!?

 

「そう言う緊張する癖、早く治しなよ……先輩も女神さまたちも困ってるんだしさー」

 

「し、しかしでござるなハル殿、拙者なにぶんこんな……こんな見目麗しい少女たちの前に立つなんて事、今まで経験したことがなかった故……それにハル殿は拙者の性格を知っているでござろう!?」

 

「ヘタレもいい加減にしないと、この先一生友達出来ないよ」

 

「うぐっ!? ハル殿の言葉のイントネーションが、棒読みでなく普通なので深々と突き刺さったでござる……」

 

………俺達は目の前の光景に再びぽかんと、してしまった。

 

だって、さっきまで寡黙ですっごく忍者って感じのクールさに包まれてたステマックスがいきなり流暢に話し始めたし、やけにあたふたしたりし始めたもんだから、さすがの俺達もどうしたことかと困惑してるんだ…。

 

「あ、あの、ハルキ? これってどういう……」

 

「あー、すみません………ステマックスは寡黙とか無口とかそう言うんじゃなくて、ただ“ヘタレ”なだけなんですよ」

 

「ハル殿! そんなズバッとヘタレとか言われると拙者余計にダメージが入るでござる!?」

 

「事実でしょ」

 

「………ぐうの音も出ないでござる」

 

ハルキの言葉にショックを受けた様子のステマックスだが、バッサリと斬り捨てる様に言い放ったハルキの一言にあっさりとその場で膝をついてしまった。

……なに、このシュールな光景……。

 

「はぁ……昔からこうなんですよね、ステマックスってどうにも女の子と接するのが苦手みたいで、それこそまさに思春期に突入したばかりの中学生男子のような感じで同性ならまだしも、相手が異性となると途端にヘタレになっちゃうんですよ……」

 

「は? てことは……今までネプギアが実技試験の相手をしたときとか、私達と会話もなかなかしなかったのって全部……」

 

「はい、単にどう会話していいのかわからなかっただけです」

 

………アイエフの質問に答えたハルキの言うことを聞いて、さっきまで寡黙なクールロボ忍者ってイメージを持っていたステマックスのイメージが一瞬で崩れた気がした。

ていうか、完璧に崩れた…。

まさか、無口なんじゃなくてただ女の子と接するのが苦手だったなんて……どんなギャップだよ……。

 

「……とにかく、ステマックス、挨拶し直して」

 

「うぬぬ……ハル殿が鬼進行でござる……」

 

ハルキに促がされてしぶしぶと言った様子で立ち上がったステマックスはさっきと同じようにハルキの前に出ると、今度は心なしか気を付けの体制になって俺達の方に向き直る。

 

「せ………拙者、す……ステ……ステマ……ステマックスと、申す……でござる……そ、それでその……今後、とも……よ、よ、よ、よろ…よろ…」

 

「………」(イライライライラ……

 

あ、やばい、やけに口ごもった喋り方をしてはっきりと物を言わないステマックスにアイエフがいつになくイライラしてる!?

前から思ってたけど、アイエフって学校のクラスで委員長とか務めそうなタイプだからこういうのが嫌いなんだきっと!

 

「ま、まあ! なんにせよ、無理なくゆっくりでいいからよ! とりあえず今は、名前だけでいいぜステマックス! な!」

 

ここはステマックスのメンタルを折らないように、咄嗟にフォローを入れておこう、何はともあれ今後後輩になるんだし、ここでメンタルがここで折れたら跡が気まずくなりそうだ。

 

「む、無理なく、でござるか……」

 

「あぁ、今からいきなりってのはお前もしんどいだろ? だからまずは慣れることから始めようぜ」

 

「て、天条殿………かたじけないでござる!!」

 

フォローを入れると余程安心したのか、ステマックスは俺の前にしゃがみ込んで俺の手を両手で持ってそう言ってきた。

余程きつかったんだろうな……ステマックスはメンタル面で注意しとかないと後後大変そうだ…。

 

「……な、何はともあれ、お二人ともこれから宗谷さんと一緒に教会のサポートをよろしくお願いしますね?」

 

「はい、誠心誠意、頑張ります!」

 

「は、ハル殿と共に……よろしくで、ござる……!」

 

とにもかくにも、いーすんの言葉もあって二人一緒に改めてそう言った。

今日からこの二人が、俺の後輩ねぇ………後輩とか、高校以来だな………今回は職場の先輩として、こいつらの事をサポートしてやらないとな……。

 

目の前にできた新しい後輩を前にして、俺は改めてそう胸に誓いながら二人の後輩に笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

「………ふわぁ~………おはよ~」

 

 

 

すると、俺達がいる部屋に突然間延びした気だるげでふわふわした声が聞こえてきた。

この独特の間延び具合と眠くなりそうなほわほわした感じの言葉……もう慣れたけど、この声の持ち主にはうちには一人しかいない。

 

「あ、ぷるるんやっと起きた」

 

「ぷるるとおこしてきたー!」

 

「ありがとうございます、ピーシェさん……プルルートさん、もうお昼前ですよ?」

 

「ほえ~……?」

 

以前から異世界からこの世界へとやってきた女神様、アイリスハートことプルルート。

ネプテューヌに続く、って訳でもないが蝶が付くほどののんびりマイペースな子でみんなよりも起きるのが遅い、学校とかなら寝坊の常習犯確定の女神様だ。

 

彼女を起こすために向かわせたのだろうぴぃにお礼を言いながら頭を撫でたいーすんは寝ぼけ眼でぽけーっとしているプルルートに注意するものの、プルルートは寝起きのせいではっきりとした返答をせずにふらふらとしている。

こいつ、まさかまだ寝たりないというのか……?

 

「プルルートさん、お客さんもいますしとりあえず挨拶をした方が…」

 

「ん~…? お客さん~……お客さんなら、さっき玄関にも来てたよ~?」

 

「………え? でも、ハルキさんたちはここに……」

 

寝ぼけているのかわけのわからないことを言い続けるプルルートにネプギアが戸惑う、だが実際ここにハルキがいるのだし大方寝ぼけてたせいで勘違いしてるんだろう。

俺はため息をつきながらプルルートに近づくと、彼女の頭に軽くチョップを落としてやる。

 

「あうっ……むー、そーくんがぶった~」

 

「痛くないだろこのくらい、とりあえずお前も挨拶しとけ、今度からここで働くことになったんだと」

 

「ほえ? ………あー、そこの二人~?」

 

ようやく気付いたのかプルルートは視線を俺の後ろにいたハルキとステマックスの方へと向けると、ほんわかした笑顔を浮かべてとてとてと二人の方へと向かった。

 

「はじめまして~、あたし~、プルルートっていうんだ~、ここのプラネテューヌの女神じゃないけど~、プラネテューヌの女神だよ~」

 

いや、その言い方わかりにくいだろ……結局どっちなんだよ、普通にこことは違う世界のプラネテューヌの女神っていえばいいだろ、それもそれでややこしいとは思うけどさ。

さすがのこの自己紹介には二人も困惑してるだろうと、それがハルキとステマックスの方へと視線を向けると……。

 

 

 

「………プル……ルート………」

 

「………」

 

 

 

………?

 

なんだ、なんか二人の雰囲気っていうか……表情が、何か変わってるような……なんだろう、どういっていいのかわからないけど、さっきまで感じてた二人の雰囲気が全くの正反対っていうか……やけにシリアスっていうか……。

 

「ほえ? ………どうかした~?」

 

「……ハルキさん? ステマックスさん?」

 

二人の変化にさすがに気づいたのか、いーすんとプルルートが二人に問いかける。

すると、ハルキがハッと我に返ったかのように表情を変えると苦笑いを浮かべながら両手を左右に振った。

 

「い、いえいえ、ね、ネプテューヌさまとネプギアさまは知ってたけど、プルルートさまって聞いたことがなかったので……ちょっとびっくりして」

 

「あぁ、そう言えばハルキさんにはまだ言ってませんでしたね、プルルートさんの事」

 

あー、そうか、そう言えばまだプルルートの事とかあんまり世間にはいってなかったんだっけな。

それならいきなり女神とかいう見知らぬ女の子が出てきたら驚くのも頷けるし、警戒しても仕方ないだろう。

ステマックスならまだしも、ハルキも多少なりともこの教会で働く意識が出来てるから怪しいやつとか思ったのかもしれないな……。

 

「ぷるるんはね、こことは別の世界のプラネテューヌから来た女神なんだよ? だからここの女神じゃないけど、プラネテューヌの女神ってわけ! あ、もちろんこの国を治めてるのは私だよ?」

 

「ほえ? プラネテューヌを作ったのはあたしだよ~?」

 

「いやいや、ぷるるん、それはぷるるんの世界のプラネテューヌだから、ここは私のとこのプラネテューヌだから」

 

プルルートの天然発言も交えながらそう説明するネプテューヌ、まあ、ややこしいよな……さっきも言ったけどさ……。

それを横にプルルートの事をじっと見つめるハルキとステマックス、その視線に気づいたのかプルルートは二人に説明するネプテューヌを他所にハルキに近づくとほんわかした笑みを浮かべる。

 

「……これからよろしくね~♪」

 

「………はい、よろしくお願いします………プルルートさま」

 

そんな彼女に対してまだハルキは戸惑い気味なのかどこかぎこちない口調で返事を返して、軽くお辞儀をする。

その横にいるステマックスも何も言わないまま軽く頭を下げるくらいだ。

 

「……まあ、なにはともあれこれで全員集合だな、ハルキ、ステマックス、これからはお互い頑張ってこうぜ?」

 

とりあえず全員の顔合わせも済んだことだし、いったんこれで締めに入ろうと判断した俺は二人にそう言いながら笑みを浮かべてサムズアップを見せる。

だが、その時に何やら俺のズボンにちょい、ちょい、と引っ張るような感覚が走った。

何事かと俺が視線を下に向けると、どうやらぴぃが俺のズボンのすそを持って引っ張っていたようだ。

なんだ? 何か言いたいことでもあるのか?

 

「ん? どうしたんだよ、ぴぃ」

 

「そーや、まだいたよ、外に」

 

「………え? まだって………」

 

「さっきぷるるとといっしょにドア、こんこんって音がしたの、ぴぃきいたよ?」

 

ぴぃが俺に教えてくれたことに俺は僅かに首を傾げながら困惑する、するとそれを聞いたのかプルルートも手をポンと打ち合わせて思い出したかのような反応を見せた。

 

「あ~、そうそう、さっきからドアをこんこんって誰かがノックしてたんだよ~」

 

「えぇ!? プルルートさん、そう言うことは早く行ってください!」

 

「だって~、そーくんがあいさつしろっていうから~」

 

俺が二人に挨拶するように急かしたことを若干根に持っているのか、不満げに屁理屈を言うプルルート。

いやだって、さっきまで寝ぼけてたし、何かの聞き間違いか見間違いかと思ったんだよ!

でも、実際ぴぃのいう通り誰か来てるんだったら、それはそれで大変だな…どのくらい前からいるのか知らないけど、だいぶ待ってるんじゃないのか?

 

「とりあえず、出迎えに行きましょうか」

 

「そうだな、あんまり待たせるのも悪いしな」

 

いーすんに促がされて俺達は慌てて来客用のドアへと向かうことにした。

それにしても不思議だな……この教会、インターホンもあるのになんでわざわざノックなんだ? その方が絶対分かりやすいのに……。

 

そんな疑問抱きながら、俺達はライ薬用のドアの前に来ると確かにぴぃやプルルートが言っていたように、小さな音ではあるがドアの向こうからこん、こんとノックする音が聞こえてきた。

 

「でも、一体誰でしょう? 今日はハルキさんとステマックスさん以外来客はないはずなのですが……」

 

そんな疑問を呟きながらいーすんが代表してドアの前に立ち、近代的なデザインのドアの横にある小さなボタンを指で押し込むと、軽快なぴっという音声と共にドアが横向きにスライドして開いた。

 

 

 

「ひにゃっ!?」

 

 

 

そして、それと同時に聞こえたなにやら子猫のような可愛らしい声。

それから遅れて聞こえた、こてん、という小さな音ととても小さな振動。

 

俺達はドアが開け放たれた瞬間に現れたドアの向こうの人物を目にして、咄嗟に驚きのあまりに言葉を失った。

 

「あうぅ………お尻、痛い………」

 

そう言って綺麗な空色のエプロンドレスのスカートに包まれたお尻を撫でながらその場に尻餅をついた体制で涙目になっていたのは、まるで夜空を流れる流れ星の光の尾のようなきれいな白髪に紫の花の髪飾りをした少女……。

 

会うのはこれが初めてではない、一目見たら忘れないであろう可憐で同時に触れてしまえば散ってしまいそうな儚げな印象を与える女の子……彼女の名前は……。

 

 

 

「し………シンシア?」

 

「どうしてシンシアさんがここに?」

 

「あ~! シンシアちゃんだ~♪」

 

「ふえ……あ、ぷるちゃ……ふにゃっ!?」

 

 

 

何の前触れもなく突然教会に姿を現したシンシアに驚く俺といーすん、そして彼女の姿を見るなり彼女に飛びついたプルルート。

あ、そう言えばこの二人いつの間にか友達になってたんだっけ?

 

「えへへ~、シンシアちゃんが遊びに来てくれたんだ~♪ 初めてだね~」

 

「あ、あのぷるひゃ…にゃう…く、くしゅぐった…ひっ…ん…!」

 

そんな俺達を他所にシンシアに抱き付いて、まるでお気に入りのぬいぐるみをモフモフするようにシンシアを愛で始めるプルルート、だけどそのせいでシンシアは後ろ倒しに倒れてプルルートは何の恥ずかしげもなくうつぶせになってシンシアに抱き付いたもんだから二人揃ってスカートの中身が見えてるんだが……どうしよう、これ眼福って感じてる暇じゃないかな?

 

「あ、あのプルルートさん! シンシアさんが困ってますので、仲良くするのは後で…」

 

「そうだぞ、見事に猫さんパンツと犬さんパンツが丸見えだぞー」

 

「……えい!」

 

「痛い! そしてお約束!!」

 

「む~……もっとしたかったのに~」

 

いけないいけない、俺としたことが萌えのアーティファクトである魅惑の三角形の性骸布が可愛らしいデザインが並んで見えた物だから油断してしまった……。

お約束のいーすんの本の角を後頭部に喰らいながら反省していると、一応聞いてくれてはいたのか物足りないと言いたげだがシンシアから離れてくれた。

突然の戯れに驚き、涙目で頬を赤くしたシンシアは若干息を乱しながらも体勢を立て直して、そのまま俺達の事を見上げる。

 

「えっと……シンシアさん、どうかしたのですか? ここに一人で来るなんて……」

 

「あ………そ、その………」

 

彼女を怖がらせないようにいーすんが目線を合わせてそう聞くと、シンシアは言いにくそうに口ごもりながら視線を右往左往に泳がせ始めた。

その際に俺はふと彼女の後ろへと目を向ける、するとそこには一つのキャリーケースが置かれてあった。

華奢なイメージのシンシアにぴったりの白いキャリーケース、これがシンシアと一緒にあるってことはこれは恐らく彼女のものとみて間違いないだろう。

 

でも、なんでそんな物を? 俺がそんな疑問を抱きながらシンシアへと再び視線を戻すと………。

 

 

 

「………くだ……さい……」

 

「………? なんですか? もう一度言ってもらっても、よろしいですか?」

 

 

 

シンシアがか細い、消え入るような声で俯きながら何かを呟いた。

聞き取れなかったために、いーすんが再び彼女に同じことを言ってもらおうとすると、シンシアは再び視線を上げて俺達の事を見ながら、恐る恐ると言った様子で口を開いた。

 

そして、次の瞬間彼女の言った言葉を聞いたとき、俺達は驚きのあまり再び言葉を失った。

 

 

 

 

 

「お、お願い、します………ここで、働かせて……ください………な、なんでも……します……から………!」

 

 

 

 

 

まだまだ小さい声だけど、はっきりと聞こえたその言葉……。

何やら切羽詰ったその言葉を聞いて、俺達は、今シンシアの身に何が起きているのか……気にならずにはいられなかった……。

 

 

 

 

 

「………なるほど………面倒見てほしい子って、こういうことか………」

 

 

 

 

 

何やら俺達の後ろでハルキが何かを呟いたように思えたが、それすらも聞き取る余裕はなかった……。

 

とにもかくにも……。

 

俺に後輩が出来たこの日、今度は教会に一人の女の子が働かせてくださいと面接に来ました………。

 




いかがでしたか?

次回、なぜシンシアは教会に来たのか?
なぜ働かせてくださいとお願いしたのか!
彼女の身に何があったのか!

次回をお楽しみに!
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