超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!
今回にお話は、なにやらリーンボックスに異変が?
そしてそこから始まる新たな事件!

さらにあとがきにてあるお知らせが……

それではお楽しみください、どうぞ!


突然の出張スタート! いざ再び、雄大なるリーンボックスへ! 編
Stage,92 俺と出張決定


……ゲイムギョウ界の南に位置する国、雄大なる緑の大地の名を持ち、その雄大なる自然豊かな大地を納めるのは緑の名を持つ守護女神、その名は女神 グリーンハート。

四か国の中でも特に豊かな土地と、温暖な気候に恵まれたこの国を治める彼女は、今漆黒の夜空に浮かび上がる月光の光の下、優雅な雰囲気を放つ鮮やかな緑の髪を一つ結びにした髪を揺らしながらこの国の街の様子を眺めていた。

「………今宵も出て来ると思いますか? チカ」

『今までの傾向を計算すれば、今夜も……おそらくは出て来るかと思います、お姉さま………』

「……そうですわね、ここ最近はひっきりなしに出て来るのですから……」

豊満な体つきをしたその体を白いプロセッサユニットで包み込んだ彼女は通信端末から聞こえてくる自身の教会の教祖である人物に皮肉気な言葉を言うと、月光に照らされるリーンボックスの街並みを見下ろす。

今彼女は……待っているのである。

この静かな夜の闇と、静寂に包まれたこの国に………“騒乱”を齎す者を………。

―――ドォォォォォォォオン!

そして、その静寂が轟音と、街の一角を僅かに照らし出す光によって遂に破られた。

「………来ましたわね」

光と轟音、それを目印としていたグリーンハートは足をつけていた地を蹴り、静寂だったはずのこのリーンボックスの夜空へと身を投げる。

今宵も、“また”起きてしまった、不可思議な事件を……追うために……。

リーンボックスの中心街に位置する街並みの一角、先程の轟音と光が発生した瞬間からこの街の一部である一軒の建物が無残な姿へと変わり果てていた。

先程までは形を保っていたのであろう、街並みから察するに何かのショップだったようだが、今はもうその形を保っておらず、まるで子供がブロックで出来た家を壊したかのように崩れ落ち、そこから轟々と炎が立ち上っている。

状況から察するに轟音はこの建物が倒壊する音、光はこの炎によるものだろう、この騒ぎを聞きつけ、夜中という時間帯ではあるが何人かの人間がちらほらと野次馬に集まり始めている。

そんな中、月が立ち上る夜空の中を駆け抜けるかのように一筋の緑の光が駆け、その現場の近くへと着地した。

「………これまた派手にやってくれましたわね………」

見晴らしのいい高層タワーの真上から街並みを見下ろしていたため、この騒ぎにいち早く気付いたグリーンハートが地面へと舞い降りると同時に無残な姿に変わり果てた建物を見てそう呟く。

すると、彼女が来たことによって再びざわめきだした数人の野次馬の間をすり抜けるようにして一人の少女がグリーンハートに近づいてきた。

「お姉さま、犯人の姿は!」

グリーンハートと同じ明るいミントグリーンの髪を一つに束ね、彼女に負けず劣らずの豊満な体つきをした、どこか高貴な印象を思わせる衣服に身を包んだ彼女、リーンボックス教会の教祖にして、グリーンハートの妹(変わり)を務めている箱崎 チカである。

彼女が来たことに気付いたグリーンハートは彼女にちらりと目を向ける。

「チカ、私も今先程来たばかりですの、だからまだ姿を見つけてはいませんわ……というか、案外近くのいましたのね?」

「お、お恥ずかしながらアタクシはここから数百メートル離れた位置に居ましたの……それなのに犯人の姿も見つけられず、お姉さまのお役に立てないなんて……」

「恥じることはありませんわ、まだ事件が起きてそれほど時間は立っていませんし……おそらく、それ程遠くには行っていないはず……」

心底から感じているのであろう悔しさと同時に申し訳なさが入り混じったような表情を浮かべるチカにグリーンハートはそう言ってフォローを入れると再び周囲へと目を向ける。

倒壊した建物の周囲には隣接するようにいくつかの建造物が存在している、もしかしたらその建物の陰に隠れているやもしれないと感じたグリーンハート最大限の注意を向けながら周囲へと目を凝らし、野次馬、建物の影、及び上など見落としがないように念入りに見回していく。

しかし、夜の闇は以外にも深く視界も良好とは言えないせいかあまり遠くまでは見渡すことが出来ない、また余程犯人も手慣れているせいなのか異質な気配を感じることもない。

このまま時間が過ぎれば、犯人もまたどこかへと逃げて行ってしまう……彼女はやがてそれを危惧し始めた。

すると………

―――Prrrrr! Prrrrr!

グリーンハートの鼓膜を震わせる軽快な着信音、それを彼女は聞き取った瞬間自身の右耳に取り付けていた小型通信端末をオンにし、着信を送ってきた人物へと繋ぐ。

『………ポイント、G-27………ビンゴ』

「……さすがですわ、やはり私の目に狂いはありませんでしたわね」

通信端末から聞こえてきた声、そしてその声が示した内容を理解した瞬間、グリーンハートは口元に微笑みを浮かべた。

そしてすぐさま近場にいたチカへと向き直ると、自身のプロセッサユニットの背中のウィングを展開する。

「チカ、どうやら“あの子”がそれらしき反応をキャッチしたそうですわ」

「え!? ほ、本当なんですの!?」

「えぇ、なので私はその反応を追いますわ、既に警察と救急には連絡を送っていますので、この場はチカに任せます」

「……はえ? お、お姉さま!?」

「無理はしない程度に気を付けてくださいまし? それでは、後はお願いしますわ!」

「お姉さま~~~~~!?」

後の事を教祖である彼女に任せたグリーンハートはそう言い残すと、再び空へと舞い上がり暗闇に包まれる夜空を駆ける一筋の緑の流星となった。

別れの際にチカが何やら不満そうな表情を浮かべていたような気がするが、今はそれどころではないと割り切りながらグリーンハートはリーンボックスの空を走る。

通信端末から知らされたポイント、そこへと近づく最短ルートを使い、一気にショートカットしながらそのポイントへと急行するグリーンハート。

その手に自身が愛用し、女神としてこの国を守護する役割を担ったその日から使い続けてきた槍を握り絞める彼女の瞳には、一重に強い決意のような物が見て取れた。

(……私の国を無断で蹂躙し、あまつさえ私の夜のネトゲの時間を割かせた罪は重いですわよ……今日こそはその罪、私の槍を持ってして償わせて差し上げますわ)

守護女神としての役割をちゃんと担えているのはいいとして、後半はどこか自信の欲望に忠実すぎる気もするが……彼女にとってはそれらを踏まえてこの事件を引き起こした何者かに対する執念が強い様だ。

だが、それも当然と言えば当然と言えることだ、何しろこのような事件が起きたのは今回が初めてではない、既に似たような案件の事件がここ最近で頻繁に起きているのだ。

自身が住み、守護を務める国でこのような事件が起きるということは自分の家を土足で踏み荒らされるのと同格、さらに彼女風に言うならネトゲでの自分のアカウントを他人に勝手に書き換えられるくらいには不届き千万なことなのだ。

そんなこんなでこの事件に対し、いい加減イラつきを感じ始めていたグリーンハートは今日こそこの騒ぎに決着をつけるべく、強い決意を抱いていたのだ。

そして、その決意の元彼女は空を切り裂くジェット機が如く駆け抜け……遂に、その目に捕えた。

ビルが立ち並ぶ街中、今は時間もあって人も、乗り物も通っていない大通りを人並み外れたスピードで走り抜けていく、異様な影を……。

「遂に見つけましたわ……さあ、覚悟はよろしいこと? ………っ!!」

姿を捉えたその影に狙いを定め、グリーンハートはさらに接近するべくスピードを上げる。

そして、十分に距離が縮まったのを見計らって右手に握っていた槍を振るい、その影が駆け抜けようとする目の前に向けて力いっぱいに投擲。

「………!」

空から放たれた槍による一射は鋭角な角度を描きながら凄まじい勢いで大通りの中央へと降下、そのまま大通りを猛スピードで走り抜けていた怪しげな影から数十メートルほど離れた位置へとその矛先を突き立てた。

上空より近づいてきたこの一撃にいち早く気付いたのか、走り続けていたその影は直前に足を止め、自身の行く手を阻んだその一本の槍を凝視する。

そんな中、地面に突き立てた槍の真上から遅れて、ゆっくりと降下してくるグリーンハート……。

彼女はこの大通りを走り抜けていた怪しげな影へと目を向けながらその場に降り立つと、地面に突き立てた槍を引き抜き、その矛先を真正面へと突き出した。

「かくれんぼも鬼ごっこもここまでですわ……あなたが何者で、何を思ってあんなスピードでここを走り抜けていたのかは存じませんが……話くらいは聞かせてくれませんこと?」

凛とした雰囲気の中に感じる、一筋の剣誓が如き鋭い視線……それを目の前に立つ何者かへと向け、グリーンハートは忠告する。

しかし、それに対して謎の人物は答えるような素振りを見せず、夜の闇に紛れたまま彼女の事を見つめている様だった。

彼女の言葉に対する返答がないまま、その場にしばらくの間静寂が包みこむ……。

本来なら、夜はこのような静けさに包まれるはずだった物、しかし、この日は……いや、この日よりも前からこの国ではその夜の静寂を壊され始めていた。

そして、その犯人かもしれない人物が今まさに目の前にいる、故にグリーンハートは返答を出さないその何者かに対して強い執念のような物を感じていた。

「………」

「………だんまりですのね? ここまで騒がしくしたのに、弁解の一つもしないなんて少々、失礼ではなくて?」

その言葉と共にさらに強い意志を込めた眼差しを送り続けるグリーンハート。

しかし、この時もまた………静寂はあっけなく、そして唐突に破られることとなった……。

「………?」

夜の闇に包まれた街並みを、雲に隠れていた月が優しく照らし出す。

夜風と共に、遠くで聞こえる先程の騒ぎがあった場所の音、そして遠くの海から聞こえるさざ波、それらが聞こえてきそうなほどの静寂の中で……その月明かりが、グリーンハートの前に立つ者の姿を淡く照らし出した瞬間……。

「………っ!」

彼女は、その静寂を自らかなぐり捨て、驚愕のあまりに目を見開いた……。

その人物の姿を、彼女は忘れなかった……。

いや、忘れるはずもなかった……。

あれは、そう、以前プラネテューヌで起きた“こことは違うゲイムギョウ界から来た恐ろしい敵”に立ち向かったとき……。

自身が“一度、命を落とした戦い”の折に、グリーンハートの前に立ちふさがり、その槍を交えたことがあったのだから……。

「………まさか、またこうして会えるとは思いませんでしたわ………けど、そう言えばまだお名前を聞いていませんでしたわね?」

彼女は覚えている……屈強で頑強な印象を持つ黒光りする丸みのある鎧に身を包み、先端の丸い鉄球にイガイガと刺々しい棘を備えた槍型の武器、モーニングスター握ったその姿……。

チェスの“ビショップ”思わせる兜を被り、その兜の目元から覗く怪しげなエメラルドに光る眼光を見た時、彼女は自身の中にあった執念を、“因縁”へと変えた……。

そう、その謎の人物の正体は………。

「………排除………」

かつて彼女だけでなく、他国の女神と赤き勇者の前に立ちはだかった敵、“新・犯罪神”の傘下だった者達の一人………。

“新・犯罪神四天王”の、一人だったのだから………。

「シンシアちゃん、卵焼きはあんまり長く焼いちゃうと硬すぎてぱさぱさしちゃうですから手早く、一気にやるのがとろとろふんわりさせるコツですよ?」

「は、はい………とろとろ、ふんわり………」

台所の方からフライパンで何かを焼く音と、香ばしくもあり優しさを感じる匂いがする。

そして、時折聞こえてくる二人の話し声から察するにどうやら今はお昼ご飯のお手伝いを兼ねてシンシアがコンパさんから卵焼きの焼き方のレクチャーを受けている様だ。

基本的な料理だから簡単そうに思えるけど、さらにおいしく卵焼きを焼くのにはコツがいるらしい……料理うまい人が作る卵焼きは普通の人が作る卵焼きより断然おいしいからな、実際、俺が作った卵焼きとコンパさんが作った卵焼きを食べ比べた時は、軽くショックを受けるくらい差があった。

「シンシアさん、大丈夫でしょうか? やけどとかしないといいですけど…」

「心配しすぎだよ、シンシアは結構物覚えがいいし、コンパさんもいるし早々危ないことはしないはずだよ」

そんなシンシアを心配そうに見守るいーすんに俺はそう言い聞かせながら、俺は彼女の頑張っている姿を遠巻きに見つめる。

彼女がこの教会でメイドとして働き始めてしばらく、彼女もだいぶこの環境に慣れ始めてきたのか最近はどこか落ち着いた様子で仕事を熟しているように見える。

しかし、まあ、持ち前の者なのか転生の者なのか………。

「………あれ、シンシアちゃん、それお塩じゃなくてお砂糖さんじゃないですか?」

「え? ………あ………ま、間違え……!」

………ドジなところはまだ治ってないけどな?

まあ、ヒロインの魅力的な意味合いではより磨きがかかるから、個人的にはそのままでも構わないけど。

「……今のドジは個人的にはセーフですね、ボク卵焼きは甘い方が好きなんで」

「え? 私しょっぱい方がいいかな~、ご飯が進むしね! ご飯が進むおかずと言ったらキムチとか梅干しとか、刺激がある方がいいんだよ!」

「私はどっちもいけるかも……あ、でも、あんまり極端なのはちょっと違う気がするかな……よく食べるコンパさんの卵焼きはおいしいですし」

そして、近くの方で後輩のハルキとネプテューヌとネプギアの二人が卵焼きはどういう味付けがいいのかを賛否両論で話し合っている。

ハルキもだいぶ馴染んだよな、あの二人とここまで気兼ねなく話せるようになるなんて……。

「………せ……拙者は…は、は、は、ハル、殿の…好みに合わせて……あ、甘くても……」

「ステマックスー、そんな遠くから言われても聞こえないよー?」

………部屋の端っこでぼそぼそと話しているあたり、ステマックスはまだまだ女の子馴れはしていないみたいだけど………。

「ぴぃ、たべる! おいしーのたべるー!」

「ピーシェちゃん、好き嫌いしないもんね~? えっと~、あたしは~……」

「ああ、そうだ先輩ちょっといいですか?」

「………あれ~?」

………と思ったら、まだハルキもそうはいかないのか?

なんか今のとかだけど、時折ハルキがプルルートを避けているような様子がよくみられるんだよな…。

人の得手不得手があるのは俺も理解はしてるけど、どうにもハルキが彼女を避けているように見える点だけは読めない…。

この前思い切って聞いてみようとしたけど……。

『先輩、今は個人的質問よりもこっち終わらせないとやばいですよー、これ残したら後がめんどくさそうですし』

………って、残ってた仕事のことを出されて強引に話を反らされたしなぁ………。

ハルキ、結構素直そうに見えてなかなか鋭いっていうか、よくわからない部分が時たま見えるんだよなぁ……まあ、悪い奴じゃないとは思うけど、よくぴぃと遊んでくれてるし、ネプテューヌ達とも気兼ねなく話せているし……。

………まあ、プルルートにもいずれ慣れてくれるだろう。

とまあ、それはさておいて軽くプルルートの事をスルーしたハルキは俺達の方へと近づいてきたので、俺はそっちに向き直る。

「先輩とイストワールさまに、今さっき連絡が入りまして、その時はたまたま僕一人だったんでボクが対応したんですけど、一応先に伝えて置こうって思って」

「連絡ですか? 相手はどなたから?」

「それがリーンボックスの女神さま、グリーンハートさまからでした」

「……ベールから? なんでまた急に……」

ハルキが受けた連絡の相手がベールからだったことを知った俺はいったいどうしたことかと首を傾げる。

そう言えば、ここ最近あっちも忙しくなってきたのかあんまり連絡とってなかったな……さらに言うとこっち側でもいろいろあったっていうのもあるけど……。

だとしても急にどうしたんだろう? 不思議に思って俺が首を傾げていると……。

「それが、伝えたいことがあるから一度こっちに来るって内容のメールが執務室の方に送られてきて、なんでなのかはボクにもさっぱり……」

唐突過ぎる上に目的も伏せてんのかよ……一体何がどうしたんだよベール……。

遊びの誘いになら俺のブイホに直接連絡を入れるか、あるいはネプテューヌに伝わる様に彼女のか、あるいはネプギアのNギアに連絡が行くはずだ、それなのにわざわざ仕事場である執務室にメールを送るなんて何が目的なんだ?

「みなさーん、ご飯出来たですよ~!」

っと、そうこう考えているうちに昼飯が出来たみたいだ、コンパさんの呼びかけを合図に部屋に集まっていた面々がテーブルへと座っていく。

どうやら今日の昼食は焼き魚に味噌汁、きゅうりと大根の和え物にさっきシンシアもチャレンジしていた卵焼きだ。

ちなみに卵焼きは大きな皿に乗せられていてちょっと不格好で焼き目も均一とは言えないが出来栄えとしてはまあまあのものだった。

シンシアなりの頑張りをみんなに採点してもらおうってことなのかな?

さっき砂糖を入れてたみたいだけど、まあ、極端な量じゃなかったから大丈夫だとは思うけど…。

「おぉ、卵焼き大きいね! 最初は黒焦げになるのかなーって思ってたけど、ボリューム的にはいい感じだよ?」

「初めてなんですよね、シンシアさんが料理するのって、だったらすごく頑張ったのが伝わってくるなぁ…」

「で、でも………お塩とお砂糖間違えちゃったし………おいしいかどうか………」

シンシアの作った卵焼きに対して早速ネプ姉妹が反応して第一印象の感想を言っていく、だが当のシンシアはあんまり自信がないのか不安そうな表情を浮かべたままだ。

「何はともあれ、失敗は成功の基っていうし、どう判断するかは食べた後でもいいんじゃない?」

「だな、それにシンシアの頑張りを無駄にするつもりはないし、安心しろよ、な?」

「………ぅ、ぅぅ」

ハルキの言葉に付け加える様に俺も続いてそう言うが、それでもまだシンシアの不安は取り除かれていない様だ。

まあ、初めての事は誰しも不安だらけだものな…。

すると、ここでいーすんがシンシアの方へと視線を向けて微笑みを浮かべる。

「シンシアさん、そんなに不安に思わなくても私達はあなたを咎めはしませんし、叱ったりしませんよ? これはあなたが一生懸命頑張った証、それを無下にするのはむしろ失礼に値しますから」

「そうですわ、それに一番の問題は味そのものではなく、作り手が何を持ってしてその料理を仕上げるかですわ? だから、むしろ今は胸を張るのがよろしい事ですわよ?」(もぐもぐ…

「………ぁ」

うんうん、さすがいーすんとベールのフォローだ、なんというかしっかりしたお姉さん的雰囲気のある二人が言うとすごく説得力があるなぁ……聞いてるこっちとしても、そしてそれを言われたシンシアも安心感を感じずにはいられない。

いやぁ、本当、さすがはこの教会で頼りになるいーすんと女神の四人の中では比較的大人なベール………。

『……………』

………一瞬、空気が止まった………気がした。

「………やっぱり胸を張った方がよろしいですわ、だってこんなにも優しさを感じる味を引き出される人は早々居ませんもの………私はこの味、好きですわ♪」

「ふえ………あ、ありがとう………ございます………」

そして、なぜか微笑ましい光景を目にしている俺達の中には………。

「ふふふ、可愛らしいですわね? あなたが最近この教会で働くことになったというメイドですの?」

「っ………は………はい」

一つの疑問しか浮かばなかった………。

「まあ、やっぱりそうでしたのね! 初めて見ましたけど、なんとも言えない愛くるしさ……あぁ、宗谷? この子のお名前は?」

「いやそれよりかいつの間に紛れ込んでたんだよベールーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

………いや、本当、びっくりするよ、ベール………つい、みんなが思ったであろうことを俺が代弁して叫んじゃったもの………必要以上の声量で………。

「まったくいきなり叫ばれてびっくりしましたわ、私はあの子と親睦を深めようとしただけですのに、まだおさわ……こほん、スキンシップもしていないというのに」

「ベールさん、確かにそうかもしれませんけどさりげなく紛れ込んでいたのは私達も驚くしかありませんでしたから」

「そうだよ! それにその後もしれっと私達と一緒にご飯食べてたし!」

「もうなんというかフリーダムすぎて何が何だか………」

その後食事を終えた俺達は、本当にしれっと、同時にいつの間にかこの教会に紛れ込んでいてその流れで一緒に食事をとっていたベールにいろいろと質問も兼ねて、その後質疑応答の時間を設けていた。

まあ、唐突に登場したっていうのもあるけど連絡の内容を踏まえずに俺達へとメールを送ってきた内容も気になるからな…。

あ、ちなみにシンシアの作った卵焼きはコンパさんの程美味いってこともなく、俺と同じくらいに普通で甘みがある分ちょっと変わり種ではあった物の、確かにベールの言った通り優しい味がしてその後みんなでおいしく頂けました。

まあ、それはこの際だからおいといて……それよりも今はベールについてだ。

「……それよりもだベール、お前なんで俺達に連絡したんだ? まずはその内容を聞かせてほしいんだけど」

「ああ、そう言えばそうでしたわね、ぶっちゃけ、こっちに来たらすぐに話すつもりだったのですけど、急いできたせいでお腹が減ってて忘れてましたわ」

「あー、だからご飯も一緒にってことだったんだね?」

「そう言うことですわ、だからお腹も満たしてくれ事ですし、早速要件について、本題に入らせてもらいますわ」

するとベールはこほんと咳ばらいを一つすると、目つきを柔和な物から何処か真剣さの伝わるものへと変えて俺達へと向き直った。

その表情の変化に、俺は反射的に真剣な表情を自身の顔に浮かべる、この空気に苦笑いとか浮かべながら聞くのは失礼に値するからな、臨機応変な対応は大事だ、うん。

「………実は今回あなた達に連絡をしてここに来たのは、少しこちら側の込み入った事情が関係しておりまして、協力をお願いしたくて参った次第ですの」

「込み入った事情?」

ベールの言葉に対していーすんが何やら気になった様子で返答する、するとそれに対してベールはこくりと頷いた。

「………ここ最近リーンボックスでは謎の“破壊工作事件”が相次いで発生していましたの」

「……そう言えば、この前こっちで起きた強盗事件と一緒で各国で最近いろんな事件が起きているっていってたような……」

「ええ、私の国ではこの事件がそれに値しますわ」

この場に同席していたハルキの言葉が指し示したいたように、ここ最近世間はやたらに物騒になっているらしい。

どうやらそれ絡みで今回ベールは俺達に協力を求めて来たみたいだ。

「最近までは私もチカやケイブと共に独自で動いて調査に当たっていたのですけど、その調査を進めていくにあたり、私たちの力だけでは持て余してしまうことが分かりましたの………そこで、あなた方に協力をお願いしたくて来ましたの」

そう言うとベールは俺といーすん、そしてネプテューヌへと目を向けるとぺこりとその場で頭を下げた。

「宗谷、イストワール、ネプテューヌ、どうか私に力を貸してはくれませんこと……この事件はあなた達の力が必要なんですの」

………頭を下げたベールの言葉、そしてその姿からひしひしと伝わってくる想い、それを通して俺達はベールが本気であることを感じ取った。

ベールが向き合っているこの事件、これは今彼女にとっては一人では持てあますような物になってきているんだ。

………こうして、わざわざこっちに顔を出して頼みに来たくらいだ、放っておくわけにもいかない………。

既に俺の中で、答えは決まっていた。

「………いーすん、俺が言いたい事わかる?」

「………ええ、分かった、ですよね?」

「……ああ、そう……正解だよ」

隣に座るいーすんに問いかける、するとさすがというかなんというか……俺の考えに気付いていたのか、微笑みを浮かべながらそう返してきた。

そして、同時にその隣に座っていたネプテューヌもまた笑みを浮かべている。

どうにもな、困っている人を前にして見過ごせないのは俺の信条というか、ポリシーっていうか………そのままにしておけないんだよな。

だから、俺はもう既に決めていた………ベールに協力することを………。

「……宗谷……イストワール……感謝しますわ」

「よーしっ! じゃあさっそく私達でリーンボックスに駆け込み!」

「の前に、少々の問題があります………」

だが、ノリノリになっているネプテューヌやほっと、安心したような表情を浮かべるベールを前にしていーすんは待ったを掛けた。

一体どうしたのかと二人がその場で押し留まると、いーすんは何やら難し気な表情を浮かべた。

「協力するのはやぶさかではないですし、こちらとしても見過ごせないのはわかっているのですけど……いかんせん突然の事なので、今すぐにこの教会を開けることが出来ないのです、何せ仕事が最近多くなってきましたので……それを何とかするためにも……」

「あぁ、そうか………この前リーンボックスに行ったときは教会の仕事を事前に終わらせてから行ったもんな」

確かに国の中枢である教会を運営するものとして、それを担ういーすんと中心人物であるネプテューヌがいきなり同時にいなくなるのは国を運用するうえで結構な痛手になりえる。

まあ、普段からネプテューヌは仕事をしていないのだけど……いないよりかはマシ、という物なのかもしれないな……言い方は悪いけど、必要な部分もあるってことだ。

女神候補生であるネプギアに任せるっていう考え方もあるけど、さすがにいきなりすべてを彼女に押し付けるのはネプギアへと負担が大きいし……さてどうしたものか……。

「じゃあさ~、ネプちゃんの代わりにあたしが言ったらだめ~?」

すると頭を悩ませる俺達の耳に、妙に間延びしたほんわかボイスが聞こえてきた。

その声に反応して俺達が咄嗟に声が聞こえた方向へと目を向けると………。

「え、ぷるるん!?」

「えへへ~、聞いちゃってました~、ごめんね~?」

緊張感、という言葉が似合わないようなほんわかぽわぽわした雰囲気を纏った笑顔を浮かべるプルルートがそう言ってこちらに近づいて来た。

彼女が唐突に言った言葉に驚いた様子のネプテューヌにプルルートは軽く謝ると、イストワールへと視線を向けた。

「あたし~、プラネテューヌの女神だけど~、こっちのプラネテューヌの女神はネプちゃんだから~、代わりにあたしが行けばそんなに困らないんじゃないかな~?」

「………あぁ、そうですね! 確かにプルルートさんは違う次元の女神様ですし、それほど影響はないです!」

「あれ!? あっさり採用!? 私の出番帳消し!?」

「………つーかお前、これで合法的にサボれる、とか考えてたんじゃないのか?」

「ギクっ………そ、ソンナコトナイヨー?」

………この反応は図星だな。

まあ、でもプルルートが来てくれるならある意味では安心だ、国の中枢はネプテューヌに任せられるし、何よりプルルートは………変身したらすごいしな、味方になってくれるかも怪しいけど………。

問題としてはネプテューヌが仕事をさぼらないかどうかだけど………。

「ネプ子のお守りは私達に任せておきなさい、こういうことはじめてじゃなかったし、宗谷とイストワール様がいない分はバッチリカバーするわ?」

「だから二人とも安心して行ってくるです♪」

「アイエフ………コンパさん………」

その心配はなさそうだ、頼りになるサポーターが二人付いてる……本当、いつも頼りになるよ、アイエフとコンパさんは……。

「お姉ちゃんのサポートは任せてください、お二人がいない分しっかり頑張ります!」

「ぴいも! ぴいもねぷてぬのおてつだいするー!」

「ネプギアさん………ピーシェさんも………」

………ネプギアもいるならさらに心強い、しっかりしてるし何より仕事中はしっかり支えてくれる。

ぴぃは……まあ、物理的な力の抑止力にはなりそうだな……ぴぃのパンチ、めっちゃ効くし……やりすぎないように見張りも頼まなくちゃだけど……。

「だから、安心して行ってきてください、その間教会は私達が何とかしますから」

「………わかりました、ではお願いしますね、ネプギアさん? ネプテューヌさんも」

「ねぷっ!? さりげなく私の意見もスルーされてお留守番決定した!?」

ネプテューヌのサボり計画を事前に封殺してネプギアに微笑みを浮かべながらそう言ったいーすん、これでまあ、当面の問題はクリアかな。

さて、俺の方もそれに合わせて準備するとしますかね…。

と、俺が座っていたソファから腰を上げた時……。

「あ、あの………わたしも………」

突然、プルルートの後ろに隠れていた様子のシンシアが恐る恐ると顔を出して、小声でそう言った。

「え? シンシア、どうかしたのか?」

「わ、わたし………ついていき、たいです………」

「………え?」

唐突なシンシアのそのお願いに、俺だけでなくその場にいた全員が驚いたような表情を浮かべた。

あまり行動派ではないはずのシンシアが、付いていきたいと自分から言い出すことなんてまずなかったはずなのに……一体どうしたんだ?

「……わたし……もっと……たくさんのものが見たい……今のゲイムギョウ界が………見たい………もっと、たくさんのこと……知りたい……だから………」

ぽつりぽつりと、恐る恐るそう説明するシンシア、でも引っ込み思案だったはずの彼女がここまで言うとはな……でも、どうしたものか……。

「………要するに彼女は社会勉強の一環で他の国にも行って、もっと一人前になりたいようですよ、先輩?」

すると、その様子を見ていたハルキが俺達にそう付け加える様に説明した。

ソファの後ろに立っていたハルキはシンシアのすぐそばまで寄ると彼女の手を握ってプルルートの後ろから引っ張り出すとこちらへと視線を向ける。

「今の自分じゃまだまだ、だからたくさんの者を見て学びたい……彼女はそう思っているようです」

「……まあ、その意見には別に反対しないけど……ちょっと心配なんだよな」

「そうですね、今回はどちらかというと危ない事件ですし……」

ベールが先程説明したのを聞く限りでも、今回の事件がかなり危ない事なのが見て取れる。

そんな状況でシンシアを連れていくのは少々不安が残る…。

しかし、ハルキは大丈夫というかのように開いている方の手をひらひらと振ると、いやいや、と言って話を続ける。

「さすがに彼女を矢面に出して危ない目に合うような仕事を一緒にやろうっていってるわけじゃないんです、ボクたちが行くついでにシンシアちゃんはそうですね……リーンボックス教会でメイドとして出張するとかどうですか?」

「出張、メイド……ってことか? ……ていうか、今お前さりげなくボクたちってお前行ったか……?」

ハルキの言葉に首を傾げる俺達に、ハルキはこくりと頷いて今度はベールの方へと視線を向ける。

「ベールさま、ボクも教会補佐見習いとしてこの教会で働くうえで先輩の姿を見て、今後に生かして学びたいと思っています……この子も一緒で早く一人前になりたいと思っているんです……なので、お願いします、この子の事はボクとボクの仲間、ステマックスがしっかりと見守りますから、ボクたちも同行させてはもらえないでしょうか?」

「え!? は、ハルキとステマックスも付いてくるつもりなのか!?」

「えぇ、先輩が行くなら後輩のボクも見て学ぶために行きたいですし……ベールさまがだめっていうなら、諦めますけど」

さりげなく強引に押し切られた気がする中、ハルキがそう言ってベールに確認を取ると、ベールは何やら少し間を開けてからにっこりと…心の底から微笑ましそうな笑顔を浮かべると……。

「ええ、もちろんですわ、協力してくれるのならこちらとしてはありがたいですし、なによりこんな可愛らしい方が一緒で私も満足ですし♪」

「いいのかよベール!?」

「しょ、少々、寛大すぎる気がするのですが……」

ていうか、ハルキはあの見た目だけど男なんだけど……まあ、それをこの引けあいに出してもベールはあんまり気にしなさそうだけど……。

「大丈夫です、その分シンシアちゃんと宗谷の後輩らしきあの子のことは私の教会がしっかりと面倒を見させてもらいますわ、なので宗谷、イストワール、ここはひとつ……あなたの後輩たちの育成もかねて、如何ですこと?」

そう言って、ベールは俺に柔和な微笑みを浮かべながら問いかけてきた…。

さっきの話と、ハルキとシンシアの言葉を聞いてすっかり連れていく気になっているベール、こりゃ、ダメだと言ったらいろいろ言われそうな気もするけどな……。

………うーむ。

「………しかたありませんかね? 別に悪い事ではないと思いますし」

「………だな、勉強の一環と考えれば………」

しばらくいーすんと見つめあった結果、俺といーすんはハルキとステマックス、そしてシンシアがついてくることを良しとした。

それを聞いた瞬間、ハルキ、シンシアの二人は安心したような表情を浮かべ、その近くにいたプルルートもうれしそうな表情を浮かべた。

「良かったね~、シンシアちゃん~、ハルくん~♪」

「………うん」

「………よろしくお願いします、ベールさま」

「えぇ、任されましたわ」

どこか嬉しそうな一行の様子を見ながら、ベールも少し楽し気な雰囲気でハルキの言葉に答える。

…こりゃまた、結構変わった組み合わせになったもんだな…。

でも今回のリーンボックスでの事件……任された以上、しっかりと解決しなくちゃな。

まあ、何はともあれ………。

「………さて、それじゃ、みんな準備だ! リーンボックスに出張するぞ!」

この日、俺達はリーンボックスへと出張することになりました。

けど、そんな中………。

「………」

「………ほえ? ハルくん、どうしたの~? あたしの顔に何かついてる~?」

「………いえ、なんでも」

なにやら、ハルキがプルルートに対して妙な雰囲気を放っていたことに、この時の俺はまだ気づかなかった………。




いかがでしたか? さて、次回はリーンボックスへ出張することとなった宗谷たち、そこで待ち受ける異変とは…!

そして、さらにここで告知です!


今現在、ハーメルンで活動中も くらげζさんが執筆中の作品

『超次元ゲイムネプテューヌ ビーストガーディアンズ』

と、ネプおばがコラボを展開しております!
再び異世界に迷い込んだ宗谷とイストワール、その活躍が気になった方は是非!

次回もお楽しみに!
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