超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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どうも、白宇宙です!

気付けばかなり期間が開いてしまったネプおば……どうにかこうにか更新できました(汗

さてさて、今回のお話はリーンボックスの事件に立ち向かうチームメンバーと合流した宗谷達、そこで彼らは一人の幼女と出会う!少女じゃないよ、幼女だよ!

それではお楽しみください、どうぞ!


Stage,94 俺とリーンボックス教会の内情

 

 

 

「ということで今回リーンボックスで起きた事件に当たって、私に協力してくれている協力者の一人にして、天才メカニックにして現在の事件対策の知能を務めていただいている………“ステラ”ですわ♪」

 

俺は中庭の方でいろいろと荒ぶっていたチカさんをハルキと一緒に宥めながら押さえつけている中、しばらくしてベールの方から連絡があった。

今現在リーンボックスで起きている謎の破壊事件、その協力者の最後の一人を紹介させたいというので俺とハルキ、そしてステマックスは荒ぶるチカさんを何とか宥めてその場を後にし、ベールの待つリーンボックス教会のある部屋へと集まった。

 

その部屋は以前にネプテューヌ達とホームパーティーで食事をしたりゲームをしたりしたあの部屋だ。

そこに通された俺達はその場にいた“最後の協力者”の人を見て………いろんな意味で言葉を失った。

 

(………子ども、だな)

 

(……ええ、子どもですね)

 

そこにいたのは見た目的には完全に小学生の少女だった。

小さな体に着ているのはどこか高潔な印象を与えて来る白を基調としたゴスロリ系の服、幼い顔付きながらもどこか表情というか、意志を読み取るのが難しい無表情と綺麗なエメラルド色の目をしている。

何を考えているのかわからない無表情を浮かべているその少女はウェーブのかかったまるで白紙のキャンバスのような白髪を揺らしながらベールの紹介を受け、俺達の前に姿を現すと……。

 

 

 

「………」(ずずずずずず……

 

 

 

俺達そっちのけで持っていたジュースをストローで音を立てながら飲みながら、なにやら机の上に置かれているパソコンのディスプレイに目を向けて、空いている手でその前に置かれたキーボードを打ち込んでいた。

ディスプレイに映し出された何かを見つめるその目はなんというか……真剣、というよりもふてぶてしい、と言った感じに近い眠たげな目元と他を気にすることなく一点に集中するような真っ直ぐながらも何も寄せ付けないような冷たげな瞳……。

 

ここまでならまだ味方によってはいい感じの何も寄せ付けないクールな真面目系少女、というような解釈が出来るかもしれない。

でも、問題はその“態度”にあった…。

まず、机の上に肩ひじをついて頬杖を突き、子どもながらの細く白い足を組み、机の上に置いていたジュースを音を立てて飲む姿は外見こそ美少女だがふるまいの仕方はふてぶてしいことこの上ないザ・現代っ子のそれだ………。

 

………まあ、率直に言うとだ………。

 

(………態度悪ぃ………)

 

見かけは可愛いんだけど可愛げがない、そう言うのが目に見えて明らかだった。

 

「……あの、ベール……本当にこの子が協力者?」

 

「ええ、そうですわ、今回の事件に際して私が絶対の信頼を置ける知略を担当してもらっていますわ」

 

嫌そうは言うけどさ、ベールさん? その信頼を置いているその子、今あなたの後ろで人前でやるにしてはめちゃくちゃ無作法な態度を取っていますが!? たぶんだけどその子はその信頼に答えようとしていないように見えるのですが!? 人を寄せ付けないよ~的オーラがやばいんですが!?

 

「………ベール、ジュース、おかわり……氷、多め」

 

「あらあら、もう飲んでしまいましたの? あんまり飲みすぎるとお腹を壊してしまいますわよ?」

 

「………人、を酷使、しといて…そのいいよう、虐待、するの? ……私、の頭、は……オーバーヒート、寸前……」

 

「何をおっしゃいますの!? 私があなたにそんなひどいことをするはずありませんわ! 待っててくださいまし! すぐに用意をさせますわ!!」

 

「……クリーム、ソーダ、が……いいなー」

 

「リーンボックス製最高級メロンソーダと最上級アイスの準備を!!」

 

ベールさんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!!

 

あんた今の状況理解してる!? 女神であることをいいことにその権力をめちゃくちゃしょうもない形で利用されてるよ!? すごい都合のいい猫型ロボット状態だよ! ガキ大将ぶっ飛ばしてって頼んだら秘密道具出すよりも前にぶん殴りに行くぐらいの都合のよさだよ!? お前それでいいの!?

 

………やたらにこの子を溺愛しているのか、今のベールを完全に顎で使っている少女は表情を変えることなく今度は近くに乱雑に置いてあった雑誌の山から一冊を手に取って読みながら、器用なことに足でキーボードを操作し始めた、その際に偉そうに墳り返った体制で椅子に凭れ掛かりながら……。

 

(………ハルキ、どうしよう………俺この子と仲良くできる気がしない)

 

(………まあ、聞く限りこの子のおかげで事件の対策がかなりはかどっているのは事実みたいですし………所謂生暖かい目で見守りましょう)

 

(うわぁ打開策にしてはすごい投げやり………つか、お前も関わるの面倒なだけだろ?)

 

(………)

 

あ、こいつ目を反らしやがった……。

くそっ、真面目に仕事に取り組むハルキでも極力この子と関わりたくはないってのか……。

 

「………で、そこの、見ない顔、は何? 新しい、協力者………?」

 

って、まさかのここで向こうから声かけてきたぞ!? さっきまで俺らの事眼中にないって感じだったのに! 今も雑誌見ながらこっちに話しかけてる感じだけども!?

 

………い、いや、待て待て天条宗谷、人を見かけで判断してはいけないとどこかの偉い人が言っていたはずだ………誰かは知らんけど………。

何も話しかけずして協力関係なんて結べるはずもない、ここはいつも通りフレンドリーに対話を試みようじゃないか、大丈夫人類と宇宙金属生命体だって純粋種のイノベイターの力によって対話できたんだ、きっと俺とこの子もクアンタムバーストで分かり合えるはずだ、うん、きっとそうだ、前を進め俺、男は度胸!

 

 

 

「や、やあ、始めましてだよな? 俺は天条 宗谷、今回ベールの依頼でこの事件の解決に協力を」

 

「とりあえず、鬱陶しい、から……その、平凡、で面白み、のない顔をどこか、へやって……退屈、で死にそうになる」

 

 

 

……………。

 

 

 

―――………ぽきっ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ぐすっ………」

 

「………ハル殿、天条殿が今の一瞬で心が折れましたぞ、あそこまで暗いオーラを放つ隅っこ体育座りはなかなか見ないでござる」

 

「単純ながらもすごい棘のある言葉攻めだったね……あの子すごい素質の持ち主だよ」

 

「………平凡………まあ、うん、そうだよ………どうせ俺、学校に行ってた時のバレンタインで貰えたチョコ、施設の身内が主だったし………貰えても確実に義理チョコな奴だったし………でも退屈って………平凡だから退屈って何? 個性ってそんなに大事かな………?」

 

俺は今、思い切り胸に刺さった言葉のナイフの傷の痛みを感じている……今はなんというか、こういう風に体育座りでその胸の痛みを口にして出しておかないとどうにかなりそうだった……。

 

てか何あの子、歩み寄るどころか真正面から言葉で出来たナイフを突き刺してきたんだけど、確実に急所狙った刺突だったよ? おかげでダメージがすごいんだけど? あぁそうだよ、元を辿ればどうせ俺は雑食性のオタクでこれと言った個性もあまりない平凡な男だよそんなん自分がよくわかってるよ!!

 

「ちょ、ちょっといいですか! ベールさんが特に信頼を寄せる協力者と聞いていたから今まで黙っていましたが、さすがにもう見過ごせません! ステラさんといいましたね? そこに座りなさい!」

 

………あぁ、やめとけいーすん、たぶんその子一筋縄じゃ行かないから………。

 

俺は今背後から聞こえた彼女の声を聞き、ちらりと後ろを向くと先程まで俺達の近くで様子を見ていたいーすんがあの子に近づこうとしているのが見えた。

一方、話しかけられたステラという少女は物怖じひとつせずに雑誌のページをぺらぺらとめくり、キーボードのキーを足で叩いている。

 

「………もう、座っている」

 

「それが話を聞く態度ですか! いいですかステラさん、何に対してもまずは経緯と態度という物が……」

 

今まさにいーすんのお説教タイムが始まろうとしている………。

 

 

 

「……口うるさい、女、は……異性に好かれにくい、と、聞く……あんまり、うるさい、とだれから、ともなく愛想……つかされる……ただで、さえ、女性、としての魅力、が欠けている、のに………特、に、胸………あなた、本当、に大人?」

 

 

 

 

 

―――………ぶちっ!

 

 

 

 

 

「実力行使に移らせてもらいますぅぅぅぅうううううううううううう!!」

 

「ハル殿今の一瞬でイストワール殿の何かが切れたでござる!! 焚ける烈火のごとき勢いで本の角を振り上げたでござる!!」

 

「比較的温厚なはずのイストワール様をこうも容易くブチギレさせるなんて……要点をついてるなぁ、あの子」

 

「感心してないで止めるの手伝ってほしいでござるぅぅぅぅぅぅぅぅぅううう!?」

 

………いーすんでも無理だったか………まあ、あそこまで罵倒されたらさすがのいーすんでもキレるわな………いいんだよ、いーすん、怒っていいんだよ? 俺がまだ傷を負っていなかったら一緒になって怒ってたと思うから………貧乳のなにがいけないのか、とか、ちょっと口うるさいくらいがむしろ心配してくれてる的な可愛さがあるのに、とか、いうことはあるから………。

だけど今は………その気力がないんだ、ごめんいーすん………。

 

俺はそう心の中で謝罪しながらものすごい勢いで本を振り上げて荒れるいーすんとそれを止めようと後ろから羽交い絞めにしているステマックスとなぜかステラに感心している様子のハルキを横目に再び心の傷の自然治癒に戻った……あぁ、平凡ってのが一番気楽なんじゃないかな?

 

部屋の中で巻き起こる阿鼻叫喚、余りにもカオスな状況の中で俺はこの事仲良くできる自信を完全になくしかけていた………。

 

 

 

そんな時だった……。

 

 

 

「……いじわるしちゃ、ダメだよ?」

 

「あ……」

 

 

 

不意にステラちゃんの背後に立っていた誰かがそう言って彼女の呼んでいた雑誌を取り上げた。

突然の事に動揺した様子のステラ、そしてこの惨劇を見て物怖じすることなく彼女にこのような行為を実行したの誰なのか、その場にいた俺達は咄嗟に彼女の方へと目を向けた。

 

「……返却、する、の……」

 

「自己紹介してから……ちゃんとしないとだめって、ヤエさんに言われてるよ?」

 

「……必要、ない……ベール、がやった」

 

「ダメ、ちゃんとしなきゃ……これから、一緒なんだから」

 

「し、シンシア……?」

 

驚くことにステラちゃんにそう言って注意したのはシンシアだった。

彼女は取り上げられた雑誌を取り返そうと手を伸ばすステラちゃんを制し、しっかりとステラちゃんを見つめて注意する姿は今まで見たこともない……なんというか、お姉さん染みた表情だった。

 

………いや、ちょっと待て………シンシアのこの表情、前にもどこかで………。

 

 

 

 

 

『………良かった』

 

 

 

 

 

………そうだ、確かあの表情は前に修行を兼ねたピクニックに行ったときに再会したときに見た………いーすんが無事だったのを確認した時に見せた表情にどこか似ているんだ。

 

あの………慈しみと、優しさ、そして芯の強さを感じさせる………なんというか………俺が“母親”みたいな雰囲気を感じた、あの表情と………。

 

「それに……謝らないとだめってことも言われてるよ?」

 

「……率直、な感想、を言ったにすぎ、ない……」

 

そんなどこかお姉さん染みた雰囲気を浮かべながら毒舌少女のステラに注意をするシンシア、すると彼女が言った言葉に対しシンシアは仕方がないと言いたげな雰囲気(何となくだが)を出し……。

 

「悪気はないかもだけど、それでもだめ………じゃないと………」

 

そのままステラちゃんの耳元まで口元を寄せて………何かを耳打ちした………。

 

すると………。

 

 

 

「っ………!!」(びっくーん!!

 

 

 

すっごい分かりやすいくらいの勢いで背筋を伸ばして、そのまま顔面を青ざめさせた。

と思ったら、今度は慌てて椅子から降りてシンシアの服の裾を掴み、涙目でぷるぷると首を左右に振り始めた。

 

「そ、それ、だけは……言いつける、のは……!」

 

「………ちゃんとみんなに自己紹介して、謝ったら………あの人には言わないであげる」

 

「する、今すぐ、する……!」

 

な、なんだ……いきなり態度が急変したぞ、あの子……。

何やらシンシアの言葉が相当に恐ろしい事だったかのように彼女から離れると慌てて俺達の方へと向き直った。

そして涙目で俺達を見るが………。

 

「………何、を言えば、いい?」

 

何を言っていいのかわからないのかシンシアにそう問いかけていた。

するとシンシアはステラの近くに近づいてさっそく何やら説明……というか、打ち合わせを始めた。

 

「えっと……まずはお名前……あと、さっきのこと謝って…よろしくお願いします、だよ?」

 

「……りょ、了承……」

 

こんな感じの打ち合わせを手早く済ませると、ステラちゃんはなにやらぎこちない動きで俺達へと向き直り、背後にシンシアをつけた状態で小さく口を動かし始めた。

 

 

 

「………す………ステラ………先程、のは……謝罪、する………どうか、よ、よろ………よろひ………ひくっ……うっ……うくっ……ふえぇ……!」

 

 

 

………けど、ものの数秒で何かの限界が来たのか、目に涙を浮かべて今にも泣き出しそうな感じになってしまった………それほどシンシアに言われたことが彼女にとっては恐怖だったのだろうか………。

 

「………大丈夫、頑張ったね………ロボちゃん」

 

「………うぅぅぅ………!」

 

彼女なりに努力したのであろうことを確認したのか、シンシアは微笑みながらそう言うとステラちゃんの頭を撫でて、ステラちゃんは本格的に泣き出すのを踏ん張っている様子で目元を手で拭っていた。

 

……さっきまで態度の悪かった幼女が年上の少女に諭されて頑張ってチャレンジしたけど我慢できずに泣き出しちゃった、と言う感時のなんか一気にさっきまでの雰囲気と違った和やかーな雰囲気が漂う中……そのあまりにも急な雰囲気の変化に俺達は付いていくことが出来ずにその場でぽかーんとその様子を見ることしかできなかった。

あの怒り狂っていたいーすんでさえもシンシアの意外な活躍に呆気にとられてしまった様だ。

 

ていうか、本当にどういうことなんだ? あのシンシアにあんな一面があるなんて思いもよらなかったんだけど?

 

「あらあら、これは驚きましたわ……ステラとシンシアは“幼馴染”と聞きましたが、まさかステラのこんなレアな表情も引き出してしまうなんて」

 

「………え!? 幼馴染!?」

 

呆気にとられているところに準備させていたクリームソーダを持ってきながらやってきたベールが言った言葉を聞いて俺は再び唖然とすることとなった。

あの二人が幼馴染!? 普通なら絶対に馴染めない感じの組み合わせなのに!?

 

「そ、それにしても………すごいですね、シンシアさん………私や宗谷さんでさえも苦戦していたのに………」

 

「………い、いえ………別に……たまたま……普段なら、泣かされる方は……わたしだし」

 

「あ、やっぱりそうなんだ」

 

「ハル殿、そこは心の内に秘めた言葉にしておくべきでござるよ」

 

………まあ、各々の思ったことはあるだろう、だが俺はそれよりも少し不思議なことを感じていた。

シンシアの交友関係………あの人見知りのシンシアにもこういう風に気兼ねなく接することが出来る友達がいたとは思いもしなかったな………最近は仕事の影響でその人見知りが改善され始めたとはいえ、あんな関わり方をする彼女は初めて見た気がする。

 

「………ロボちゃんは恥ずかしがり屋で………慣れてない人には、あんな感じになっちゃうから………」

 

「ところでシンシア、そのロボちゃんってのは?」

 

「あ……えと……ニックネーム、です……

 

何気にシンシアがニックネームをつけて呼ぶのはプルルート以外になかった……よほどこの子との関係が深いということなんだろうか……実際泣かせるくらいだし。

俺は意外なところで明らかになったシンシアの交友関係を目の当たりにし、シンシアに諭されたことによって泣き出してしまったステラちゃんとそれを宥めようと頭を撫でる彼女をしばし、じっと見つめていた……。

 

すると……。

 

 

 

「な、なんですって!? ステラにそんなニックネームがあるなんて私知りませんでしたわ!」

 

 

 

なぜかニックネームという言葉に反応したベールが何やら深刻な事態に気付いたとでも言いたげな感じでステラちゃんに近づいてきた。

 

「もう、なんで言ってくれませんでしたの、ステラったら……ニックネームで呼ぶのは信頼の証という物、一緒に熱い夜を過ごした仲の私たちならもうそのくらい呼んでもいいはずですのに!」

 

「こ……これ、は……勝手、に呼んでる……だけ、で…認証、してるわけ…じゃない……それ、に、ベールと就寝を共、にした…のは……仕方、なくで……!」

 

「あぁん♪ 涙目で恥ずかしがるステラもかわいいですわ~! やっぱり私たちが出会ったのは、運命ですのね~!」

 

「………救出、を求める、の………!」

 

………本当に二人の間に何があったのか、まったくもって謎な二人のやり取りと共にシンシアに抱き付いていたステラちゃんを強引に引っぺがしたベールはその大きな胸でステラちゃんを受け止めてこれでもかと抱きしめていた。

………さすがに小さな体であんな大きな膨らみに埋もれたら窒息は不可避なのだろうか、ステラちゃんはすぐさま助けを求めてきた………この二人に何があったのか、個人的にものすごく気になるワンシーンだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなベールとステラによる二人がどのようにして仲良くなったのか気になるスキンシップを取っている様子を、宗谷達とは別で部屋の外からドアの隙間を除くようにして見つめる人物がいた。

 

「……あぁ……お姉さま……またあのような得体のしれない子どもの姿をした悪魔に、あんな熱い抱擁を……! アタクシにすらあのような抱擁をしたこともないのにぃ……!」

 

まるで一昔前にしていたドラマの嫉妬に燃える女性登場人物の如く持っていたハンカチの端を噛んで、きー! とでも言いたげに引っ張るのはこの教会の教祖を務める少女、チカだった。

彼女は知っている、ステラとベールがどのようにして知り合ったのかを………。

 

「思えばあの小娘はたまたまお姉さまが散歩に出かけた時に、たまたま行き先がなくふらふらしていたところを発見され、お姉さまのお優しい心によって両親がいないのか尋ねて、独り身でありネカフェで寝泊まりしていると聞くや否や、お姉さまのご厚意でこの教会に居候させてもらっているくせに! よそ者のくせにぃ………!」

 

ベールとステラの慣れ始めを思い出しながら嫉妬の炎をその身に纏うチカはそのまま視線をベールに絶賛抱き付かれているステラへと向ける。

 

「アタクシとお姉さまの関係に横入りして、あまつさえお姉さまのご厚意に甘え、あのように可愛がられて………本当は容赦なく人を見下し罵声を浴びせる悪魔のくせに!! なぜお姉さまはあのような子どもを庇うんですの!!」

 

実は彼女、ステラがこの教会に来たばかりの頃ベールの紹介で初めて彼女と自己紹介を交わした際に先程宗谷やイストワールも受けたステラによる毒舌の洗礼を受けたのだった。

彼女はその時に受けた彼女の言葉を思い出し、目元に涙を浮かべる……。

 

 

 

『……ごま、をすることしか……能のない、笑顔……本省、見え見えで面白み、がない……』

 

 

 

「あのような罵倒をお姉さまの前で!! アタクシに恥をかかせたあの子どもを!! なぜお姉さまはぁぁぁああああああああ!!」

 

嫉妬のあまりハンカチを思い切り引き裂いたチカは肩で息をするチカ、彼女は元々体が弱い、そのためあまり興奮しすぎたり激しい運動をしたりするとその影響をもろに受けてしまう。

なんとか落ち着けようと息を整えるチカ、すると今度は部屋の中にいるステラ以外の人物たちに目を向けた。

 

「………その上、今度はプラネテューヌで知り合ったというどこの馬の骨とも知らないあの男、天条 宗谷………そして一度お姉さまと一緒にお風呂に入り、忘れられない思い出を残したというプラネテューヌの教祖まで………!」

 

彼女の嫉妬は留まることを知らない、最近ステラがベールと共に行動を共にするようになってからはそれが頻繁に増えてきていた。

正直、今となってはベールの周りにいるすべての人物に強弱の差はあれど嫉妬を向けている……。

 

………というのも、それはすべて彼女がベールを思うからこそだった………。

 

 

 

「………なぜですの………なぜですの、お姉さま………! アタクシは………アタクシはこんなにも、お姉さまをお慕いしているというのに………!」

 

 

 

自分が体が弱いから? 女神を支援する教祖だから? 本当の妹ではないから?

 

彼女がベールを慕う心、それは紛れもない本当の想い、初めてこの教会に来た時に彼女から向けられたあの笑みに答えようと誓った、あの日から芽生えた純粋な重い……。

 

 

 

 

 

『これから、共に頑張りましょう? チカ……』

 

 

 

 

 

あの笑顔に答えるために自分は頑張ってきた、役に立とうと努力してきた、あの笑顔をもう一度見たいと情熱を注いだ………それでも自分は足りないというのか………彼女を支えるに至らない存在だというのか………。

 

 

 

もし………。

 

 

 

………もし自分が、ベールの本当の“妹”だったら………。

 

 

 

自分が………“女神候補生”だったなら………少しは違ったのだろうか………。

 

 

 

行き場のない蟠りを胸に抱くチカ、やがて嫉妬を宿した目にはどことない悔しさの色をにじませた涙が溢れ………彼女の頬を伝った………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ~、みんなどこかな~?」

 

その頃、また別の場所では宗谷達と行動を共にしていたプルルートが教会の中を右往左往と迷っていた。

あたりをきょろきょろと見回し、とてとてと歩く彼女は今現在、絶賛迷子中である。

というのも旅の疲れもあってシンシアたちが荷物を部屋に入れたと同時にその部屋に入ると同時に昼寝をしてしまい、そのまま寝過ごしてしまった結果宗谷達が今どこにいるのかわからなくなり今に至る。

 

夕暮れ時が過ぎ、窓の外が暗くなり始めたころ教会内を歩き回るプルルート、すると………。

 

「………ほえ?」

 

不意にプルルートの視線が何者かを捉えた。

彼女が見つめる視線の先にあるのは大きな階段の踊り場に座り、何やら黄昏れている様子の少女だった。

正面に大きな扉のあるエントランスホールとも呼べる場所にある階段の踊り場で何やら物思いにふけるようにしている少女に、プルルートはなんとなしに近づく。

 

「………あの~、ちょっといいかな~?」

 

「ひゃぁぁぁぁぁああああああああああああ!?」

 

「ふわぁ~~~~!?」

 

声を掛けてみるや否や、物思いにふけっていたサファイアブルーの髪の少女は驚きの声を上げて飛びあがった。

その反応にプルルートも驚き、その場にどてっと尻餅をついてしまった。

 

「あう~……びっくりした~、お尻ぶつけちゃったよ~」

 

「あ、あ、あ、あの、ご、ご、ごめんなさい……! い、いきなり話しかけてくるから……そ、その、ぼ、ボク……な、慣れてなくて……!」

 

「あ、いいよ~、別に大したことじゃないから~、それに似たような子と友達だし、慣れてるんだ~」

 

驚かせてしまったことを申し訳なく思っているのか、サファイアブルーの髪にヘッドフォンをつけた少女はおろおろとした様子で尻餅をついたプルルートを心配するが、彼女はどうとでもないことをアピールしてそのままゆるゆると立ち上がった。

 

「慣れている………そのお友達も、ボクみたいに人見知りなのかな……」

 

「うん~、その子も最初恥ずかしがり屋さんで~、人と話すと苦手だったんだ~、でも今ではすっかり仲良しさんなんだよ~」

 

間延びした声でそう言うプルルート、すると青髪の少女は少々の戸惑いを見せながらもその話を聞くためかその場に再度座った、それにつられるようにしてプルルートもまたその隣に腰を下ろす

 

「あの~、それはそれとして……あなたは何でこんな所にいたの~?」

 

プルルートの問いかけに少女は何やら苦笑いを浮かべると、自身の耳に宛てているヘッドホンに手を当ててどこか寂しげな表情を浮かべた。

 

「………なんていうのかな………失敗したなーって」

 

「………?」

 

少女はそう言いながら耳に宛てているヘッドホンを数回手で撫でながら言葉をつづける。

 

「……今日、ずっと……ずっと会いたかった人に会えたんだ、でも……」

 

少女……5pb.は思い出す、数刻前に自分が体験した、思いもしないな再会という出来事を……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………し、知らない………」

 

「………え?」

 

5pb.の問いかけにイストワールの後ろに隠れていたシンシアは小さな声でそう言った。

その返答に呆気にとられたような表情を浮かべる5pb.だがこの時の彼女は見間違うはずもなかった。

自身が歌の道を進もうと決意したきっかけとなった、あの日に出会った湖の畔の人物、その人物の姿と今目の前にいるシンシアの姿は……見間違うはずもないと思うほど、瓜二つだったのだから。

 

だが帰ってきたのは否定の言葉、その言葉に5pb.は戸惑いを隠せずにはいられなかったのだ。

 

「あ、あなたにとっては覚えてないことかもしれない……でも、でもボクは覚えてます、あなたの歌の事! あなたの歌があったから今のボクが……!」

 

「し……知らない……知らないの……!」

 

もし忘れているのなら、何とか思い出してもらおうとするが……シンシアは一向にして首を左右に振り続ける。

その様子を一体どういう訳なのかと見ていたイストワールが手に持っていた荷物をその場において仲介に入った。

 

「あ、あの、5pb.さん……彼女は本当に知らないようですし……もしかしたら人違いをされているのでは……」

 

「人違いなんかじゃ! ……ない……」

 

否定……仕切ることはできなかった。

冷静に考えれば、あの時自分が小さかったのに対し今目の前にいるシンシアが自分の記憶にあるその人なら彼女も多少なりとも成長するはずだ、だが彼女の姿はあの時のまま……さすがにそんなことは冷静に考えたらあり得ない事だった。

 

「……ぅ……」

 

イストワールの後ろで申し訳なさそうに目を背けるシンシア、その姿を見た時5pb.はきっと彼女は今、困っているのだと感じた……。

 

そして、こう判断した……自分は早とちりをしてしまったのだと……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほえ~、そうなんだ~」

 

「……あはは……お礼を言いたかったあまりに、人違いをしちゃうなんて……」

 

バツが悪そうに苦笑いを浮かべる5pb.だがその後すぐにどこか寂しそうな表情を浮かべると静かにその場に俯いた。

 

 

 

「……でも、本当にそっくりだったんだ……まるで……まるで本当にあの時のあの人が、そこにいたみたいで……」

 

 

 

ずっとお礼を言いたかった人……ずっと会いたかった人……ずっといろんな話をしてみたかった人……。

憧れにも近いその人に、やっと会えた……だけどその人は自分の記憶にあるその人とは違ってて……でも、その人はそうとは思えない程そっくりで……。

 

「………人違いならそれでいいのかもしれない……でも、ずっと頭の中がもやもやして……ボクはどうしたいのかなって………あの子とどうしたいのかなって………」

 

考えれば考えるほど頭の中が混濁する、聞けばあの少女は宗谷と共にこの教会での対策班として参加することになったメンバーの一人だという、それを知ったうえで彼女は迷っていたのだ。

自分はどうしたいのか……今日で会ったあの少女とどのように接したらいいのかわからなくなってくるのだ。

 

「………あたしは簡単なことだと思うな~」

 

だが、悩む彼女を前にしてプルルートはあっさりとそう言った。

 

「………え?」

 

「あたしは難しく考えるの苦手だから~……だからこういうのは、もっと簡単でいいと思うんだ~」

 

「………もっと、簡単? それって、どんな………」

 

それがどういうことなのか、5pb.が彼女に問いかけようとする。

 

 

 

だが、その時………。

 

 

 

―――ビー! ビー! ビー!

 

 

 

先程まで静寂を保っていた教会内に、突如としてけたたましいサイレンの音が鳴り響き始めた。

その事態に驚いた二人は咄嗟に立ち上がると何事かと警戒を始める。

 

「な、なに!?」

 

「どうかしたのかな~?」

 

そして、そのサイレンに警報に交じって………。

 

 

 

どこからか何かが爆発するかのような衝撃音が聞こえてきていることに、二人は気づいた………。

 




いかがでしたか?

結構毒舌なステラ、今回はフルスロットルでした……しかし、以外とステラは子どもらしい一面もあるのですよ、特に………あることに対しては、ね?

そんなことより、なにやらいろいろとややこしいことになってるリーンボックス教会、そんな最中異変は突如としてやってくる!

次回のネプおばは……再び奴がやってくる!

それでは次回でお会いしましょう……。
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