いろいろと詰め込んでしまって長くなってしまいましたが、宗谷がいろいろと大活躍してくれます。
そして、意外な一面も?
それではお楽しみください!どうぞ・・・
俺はアイエフとコンパさんの遺志を受け、ネプテューヌとネプギアを探すべく会場内を駆け回っている。
人ごみの間を縫って進み、ぶつからないように気をつけながらあたりの人に目を凝らし、ネプ姉妹が居ないかを確認するが・・・。
見つからないなぁ・・・。
一体どこにいやがんだ?あのサボリ魔め・・・
頭を右手でガシガシと掻いてかき乱しつつ、歩を進めて行くと、何やらうちのブース以上の人だかりを発見した。
ここはなんだ?たぶんどこかの国のブースだと思うんだが、かなり変わった造りだな。
透明な正方形の巨大な壁に囲われているのは分かるが・・・なんか展示でもしてるのかな?
人ごみから一歩離れたところで様子を窺っていると、俺の方を誰かがトントンと叩いてきた。振り返ってみると・・・
「べ、ベールさ、んぅっ!?」
「しー、気付かれないようにしたいのですから余り大声にならないでくださいまし」
驚いて彼女の名前・・・そう、リーンボックスの女神であるベールさんを呼びそうになったのを、彼女直々に俺の口を手でふさいでそう言って来た。
俺はとりあえず、刻々と頷くとベールさんはよろしい、と言って手を外し俺を手招きして人ごみからは見えない死角を抜けてブースの裏と思われるところに入り込んだ。
「・・・もしかしてここ、リーンボックスの?」
「はい、その通りですわ、ここは私がプロデュースした私の一押しブース、“ベールハウス”ですわ!」
余りにも自信満々に胸を張ってそう言ったベールさんに俺はあっけに取られ・・・と言うかむしろ胸を張ったことによりぽよんと揺れた彼女の禁断の果実に目を取られたのだが・・・まあ、似たようなリアクションしてたと思うしどっちでもいいだろう。
とにかく俺はぽかんとしてしまったというわけにしといてくれ、みんな。
・・・みんなって誰に言ってんだ俺?
「・・・失礼ですがベールさん?ベールハウスと言うのは・・・」
「よくぞ聞いてくれましたわ宗谷さん!ここは簡単に言うと。私の自室を再現した部屋を公開していますの」
「部屋を公開!?」
え、何それ超見たい・・・
だって要はあれでしょ?別に女の子と接点のないチェリー君でも無利益無出費で部屋を見れるって、ある意味男どもには夢の様な事じゃね?しかもベールさんの部屋って!そんなのもはやその辺のモブの部屋なんざ塵ほども見えない位じゃねぇか!モブの部屋は普通映んないけど!
「でも、大丈夫なんですか?そんなことしたら・・・変な輩が侵入してきたりとか・・・」
「そのための強化ガラス製の壁ですわ、防衛対策並びに防音対策も万全なため、もはやこの部屋で一日過ごせることも可能なくらいですわ」
ベールさん、あんたすげーよ!
女に植えた野獣どもに、あえて餌を与えるなんて・・・並みの女の子は危険どころかそうそうしてくれないであろうことをやってのけるなんて・・・そこに痺れる憧れるぅ!!
目の前の女神様をありがたやありがたやと拝んでいると、ふとあることが気になった。
「そう言えば・・・ベールさんはここで何を?」
「ええ、実はこの後このベールハウスでイベントをやりたいのですけど・・・手頃なゲストがいなくて困っていましたの・・・」
そう言ってしょんぼりとしたベールさん、ゲストか・・・あれかな、俺の世界で昼ごろやってる誰かさんの部屋みたいな感じかな?ベールさんのイメージ的には一緒に優雅な話しながら優雅に紅茶すすって優雅に笑ったりするのかな?
でも、そのゲストが居ないって・・・あらかじめ頼んだりとかしなかったのかな?
「そしたら、丁度!すぐそこに手頃なゲストさんがいらしたではありませんか!」
え?どこ?そのゲストってどこにいるの?
と言いたげに俺がそこらをきょろきょろしていると・・・
なぜかベールさんがめちゃくちゃいい笑顔で俺をじっと見つめてきてるじゃありませんか。
・・・え?何?
「じー」
・・・・・・何で俺をそんなに見るの?
「じーー」
・・・・・・・・・そんな熱い視線を何故俺に送るの?
「じーーー」
・・・・・・・・・・・・まさかとは思うけど・・・
「・・・俺ですか?」
「はい♪」
やっぱりか!!
え!?何で俺!?俺ゲストになるほどビックな男じゃないよ!?いーすんとのサイズ間で言うならビックな男かもしれないけども!
「あの、理由は・・・?」
「だって宗谷さん、異世界から来た人じゃありませんか♪」
あ、そう言うことか!
確かにな!異世界人ってこれ以上ないスペシャルゲストだわな!
っていやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!!無理無理無理無理無理無理無理無理!!
俺そんな優雅に紅茶すすったり話とかできないよ?ジェントルマン風な立ち振る舞いとか、夢のまた夢だぞ!?無理に決まってんだろ!上がりまくってドすべりする未来しか見れないわ!!
「どうか・・・お願いできないでしょうか?」
ああ、やめて!!そんな、そんなお願いオーラを出して俺を求めないで!きらきらした目で俺を見ないで!俺なんかを誘っても何もいいことないよベールさん!!俺今でこそこんな落ち着いた男を演出できるけど本当はヘタレのくせに萌えのシチュエーションが好きなヒーロー好きなオタクだから!!
・・・ん?いや、待て俺・・・冷静になって考えろ?
ここでOKと言う→イベントに参加→ベールハウスにご招待→ベールさんとなんやかんや話す・・・
と言うことはこれすなわち・・・
間接的にベールさんの部屋に入れるってことじゃね?
「やります」
「まあ!ありがとうございますわ!」
何を臆病になっているんだ俺よ、どの道ベールさんには今後国の交友関係のため、どこかで関わる機会があるだろうに・・・ここはそのために俺が戦闘を切ってベールさんとお近づきになるしかないだろう!
別にやましいことなど一切考えてないぞ!一切!!
・・・ああ、ベールさんの部屋ってどんなかな?こう、めっちゃきれいな花とか飾ってたり、高価な額縁に入れられた絵画とかあるのかな?
全くベールさん、俺だからいいものを・・・少しは気をつけていただきたいなまったく。
え?俺?別に何もしないよ?ただ招待されただけだもん?
「では早速ベールハウスに・・・あ、その前に・・・一応一般からの参加と言うことで、顔は隠しておいてくださいな?」
「え?なぜ?」
「もしかしたら、嫉妬したお客さんの誰かが報復に来るかもしれないので・・・」
「・・・あ、なるほど」
ベールさん、ファン多そうだもんね。
しかし、だとするとどうしたものか・・・顔を隠せるものか・・・マスクとかは持ってないしな・・・うーん・・・
あ、あるじゃん、よく使ってるやつ
『はい、とゆう訳で第一回、“ベールハウスにゲスト呼んじゃった”のコーナー、ですわ!』
―――ワァァァァァァァアアア!!
『今回の栄えある一人目のゲストは、異世界から来た通りすがりのハローワーカー、“仮面ハローワーカー”さんですわ!』
『あ、どうも仮面ハローワーカーでーす』
―――ワァァァァァァァァアアアアアア!!
凄いなこの歓声・・・ベールさんのカリスマ性って奴か?
誰とも知れぬ奴がゲストって言うのにこの盛り上がり様は称賛にすら値するぞ?
えー、はい、ちなみに仮面ハローワーカーっていうのはご存じのとおり俺、天条宗谷なわけです。
何故仮面ハローワーカーという名前かと言うと、今の俺はブイホの変身アプリで頭だけ装甲を装着している状態だからだ。まさかこんな形で変身するなんて思ってもみなかった・・・
これだと完全に不良高校の仮面教師か溝ノ口の真っ赤な天体戦士みたいになるな・・・。
でも、やっぱりヘルメットのデザインがいいのかな?みんな盛り上がってくれてるし、これはこれで悪くないのかもしれないな。
・・・あれ?なんかベールさんの手元にリモコンみたいのあるんだけど?なんか歓声って書かれたボタンが見えたんだけど?
よく考えたら部屋のスピーカーから聞こえた気がするんですけど?今の歓声・・・
「仮面ハローワーカーさんは異世界から来たということでよろしいのかしら?」
「ええ、まあ、この世界に来て一カ月とちょっとくらいになりますかね?」
「あらあら、それは大変ですわね?・・・さて、自己紹介も済んだことですし」
「あ、もうおわりなんですね俺の自己紹介」
「結構巻いてますからね、時間が」
「ああ、なるほど・・・」
結構時間が押してるらしいので手っ取り早く自己紹介を済ませたベールさんはこっちこっちと手招きして俺を部屋の奥に案内してくれた。
それにしても・・・なんていうか・・・・・・ここってベールさんの部屋を再現したんだよね?
・・・なんかゲームしか置いてないんですが?
床はかわいい色合いのカーペットなのに、そこいらにゲームしか置いてないんですが?
いろんなジャンルの・・・ていうかほぼすべてのジャンルのゲームが置かれてるんですが?
俺はこの時点でベールさんに対するイメージが崩れかかっていた・・・。
『それではみなさんの待ちかね!“ゲームセンターRX in ベールハウス”のコーナーですわー!』
―――ワァァァァァァァァァアアアアアアア!!
そう言ってベールさんはマイク片手にもう片方の手にリモコン片手に盛大にタイトルコールをした。
歓声は部屋の内部のスピーカーから聞こえるが、部屋の外のお客さんたちのボルテージはまぎれもなく上がってるようなのは目に見えて明らかだ。むしろ俺の自己紹介よりも森がってるんじゃね?
『ルールは簡単、これから仮面ハローワーカーさんには私とゲームで対戦していただきますわ!もし、仮面ハローワーカーさんが勝利したら豪華景品をプレゼント!中身は何かは大人の事情でお教えできませんわ♪』
ということらしい、様はここにあるゲームでベールさんと対戦しろってことか・・・。
・・・だとしても、何かこの部屋がベールさんの部屋だと思うと・・・嫌な予感とかしかしないんだが・・・
ルール説明を終えたベールさんがどこからか何かのスイッチ的なものを取り出して俺の方に手渡してきた。
目の前のテレビゲームのモニターには、何やらルーレット的なものが表示される。
「さささ、これで対戦するゲームをルーレットで決めてくださいな?」
「あ、はい・・・よし」
まあ、ツッコミどころは多々あるが・・・ここは徹底的に楽しんでやる!なんだろうが知らないが豪華プレゼントもゲットだぜ!
俺はスイッチを一回押して、ルーレットをスタート、タイミングをはかって・・・・・・・今だ!!
スイッチを押してルーレットを止めると、表示されたのはガンシューティングのジャンルだった。
『対戦するゲームはガンシューティング!これは初戦にはうってつけのゲームですわね♪』
そうはいってくれるけどベールさん、俺はこれでもシューティングゲームは得意な方だぞ?
ゾンビが謳歌するあの有名なゾンビゲームでも連続ヘッドショットは得意だったからな?
これはいいカードを引き当てたと俺が優越感に浸っていると、ベールさんがあるものを手渡してくれた。
「はい、こちらがゲームのコントローラーになりますわ」
「これは、ガンコン、ですか?」
「ええ、その通りですわ」
ガンコンとはゲーセンとかでもよく見かけるおなじみの銃型のコントローラーのことだ。
俺はガンコンを手渡され、グリップを握り、トリガーに指をかけて構えて見せる。ゲーセンに行ってた時を思い出すな。
なんて思っていると、ベールハウスの中にどこからか二台目のテレビモニターが設置されていた。床からせり上がってきたみたいだけど・・・何気にハイテクすぎないか?この中・・・
どうやら二台目のモニターはベールさん用のモニターの様だ。俺は備え付けのモニターを使うことにして、画面の前に立つ。
「言っておきますけど、俺、結構自身ありますよ?」
「あら?得意分野でしたか?」
「まあ、はい」
「うふふ、それは楽しみですわ・・・」
ベールさんが楽しそうに笑った、そして・・・
「・・・・・・私に勝てるか」
目つきが変わった・・・。
薄々嫌な予感はしてたけど・・・まさか・・・ベールさんって・・・
そうこうしているうちにゲームがスタートした。
最初の一人プレイか、協力プレイの画面が表示され、俺は迷わず糸リプレイを選択した。
どうやらゲームは、結構ゲーセンにありがちなタイプの内容のもので、街を襲撃したテロリストをハンドガンで掃討せよ、とかそういう感じの内容らしい。
普通なら無茶な任務だよな・・・。
とにもかくにも、俺はモニターに次々と現れ始めた武装したテロリストの頭部に狙いを定め、ヘッドショットを狙う。
結構腕はなまっていないようで、次々と加点+ヘッドショットによるボーナスが加点されていく。始まって一分でそれなりの点数をはじき出した。
余裕が出たかと思って、ふと隣のベールさんを見て・・・・・・俺は絶句した。
「・・・」
―――ガガンッ!ガガンッ!ガガンッ!
「・・・うそーん・・・」
ベールさん・・・“二丁拳銃”って、ありなんすか?
ベールさんはちゃっかり協力プレイモードに設定していたようで、両手にガンコンを握り次々と画面のテロリストどもを無双していた・・・。
しかも、全部ヘッドショットで・・・。
既にベールさんと俺とでは点数差は二倍以上に膨れており、俺が慌てて画面に目線を戻してゲームを再開しても・・・。
明らかに向こうの方が早いんですけど?どんどんどんどんヘッドショットでキルってるんですけど!?
俺はこの時、確信した・・・。そう、ベールさんは・・・
―――GAME SET!
「・・・ま、こんなものですわね♪」
―――PERFECT!
・・・・・・ガチ勢だ。
ガチのゲーマーだ、と・・・・・・。
「なかなか楽しめましたわ♪あなたも普通の人以上にはやりますわね?」
「・・・ええ、まあ・・・はい」
ベールハウスの裏にて、見事に完封された俺は早々にその場を退場して、ベールさんにそう言われているわけなんですが・・・なんでだろう、今までのベールさんのイメージが壊れたせいか・・・テンションが上がらない・・・。
ちなみに今はヘルメットは解除している。
「あら?あまり楽しそうではありませんわね?」
「いや、そうでもないです・・・むしろ驚きで胸がいっぱいです、はい」
「そう、ですの?・・・なにやら気になりますが・・・あ」
ベールさんが何かに気づいたようにそう言うと、なぜかにやけ顔になって俺を見てきた。
「な、なんでしょう?」
「もしかして、負けたから悔しい、のですわね?」
・・・まあ、外れではないけども・・・一応そうしておこう、今は突っ込む余裕がないし。
俺は適当に首を縦に振ると、ベールさんはいたずらっ子みたいな笑顔を浮かべて・・・
「結構、可愛いとこがあるのですわね♪」
俺の鼻先を、ちょん、と指先でつついた・・・。
あれ?なにこれ・・・普通にときめいてしまったんですが・・・あれ?俺これどうしたらいいの?
俺が困惑してその場で固まっていると、ベールさんがくるりとその場でターンしてベールハウスの方に向かって言った。
「また、よろしければお相手してくださいな?宗谷さん」
俺はつつかれた鼻先の感覚を感じながら、優雅に手を振ってやさしい笑顔でベールハウスに入っていくベールさんを見送った・・・。
・・・ゲーマーでも、きれいな人なら・・・関係ないか♪
ベールハウスこと、リーンボックスブースを後にして俺は再びネプテューヌ&ネプギア姉妹の捜索を再開したのだが・・・
いかんな・・・まだぽーっとしている。
大人の女性の魅力って、凄いな、俺あのままベールさんの我がまま爆弾ボディに包まれたかった・・・。まあ、無理だろうけど・・・。
俺は気合を入れるために自分の頬を叩いて気を引き締め、あたりを見渡しながら歩き続ける。
なにやら、また人ごみが多くなってきたな?
そう思って、上を見ると、そこにはでかでかとルウィーのブースを示す看板が見えた。
「ルウィーと言えば・・・ブランさんがいる国、だよな」
「そうよ」
「おぉぉぅふっ!!?」
突然自分の前から聞こえた声に驚いて、変な声を上げて後ろに飛びのいてしまった。
最初はだれもいないのかと思ったが、目線を下に向けると・・・そこにはあの小柄なルウィーの女神様、ブランさんが俺を見上げていた。
「あ、ど、どうもブランさん・・・」
「久しぶりね、こっちの生活にはもう慣れた?」
「ああ、その辺は大丈夫です・・・ただ・・・」
「・・・ただ?」
ブランさんが無表情なまま不思議そうに首を傾けた。
あ、ちょっとかわいい・・・ベールさんが大人の女性なら、ブランさんは癒し系の小動物みたいな・・・やばい、ブランさんの服、もこもこそうだからもふもふしたい、小さい体だから凄い癒されそう・・・。
と、雑念はいったんここで区切って、俺は真面目に答える。
「こっちにはキャラの濃い人がたくさんいて、驚いてばかりで・・・」
「・・・まあ、その辺は慣れるしかないわね・・・ネプテューヌとかもいることだし・・・ところで・・・」
ブランさんがそう言うと、その無表情ながらも何かを感じさせる大きな海のように青い瞳が俺の目をじっと見つめる。
え?俺、なにかした?
なんか、ちょっと怖いんだけど?
「・・・・・・今、変なこと考えなかった?」
「いえ全然全く持って何も考えておりません一切合切何もやましいことなんて考えておりません!」
何?いーすんといいノワールと言いブランさんと言い、最近の女の子は読心術の心得でも得てるの?
ブランさんの無表情ながらも目から放たれるプレッシャーに俺はきょどって上ずった声で答えてしまった。
「・・・」(じー
「・・・・・」
「・・・」(じーー
「・・・・・・・・・」
「・・・」(じーーーー
いつまで睨むんですかねぇ?もう俺涙目になってると思うんだけど!?と言うかすげー怖いんだけど!?何ブランさん初めてあっったときも感じてたけどめっちゃ怖いんだけど!?見た目はこんな小動物みたいな女の子なのに!!
「あ!空から降ってきたお兄さんだー!」
「お姉ちゃんも・・・いる」
俺がビビりまくってそろそろ逃げ出そうかとも考えていた時、どこからか聞き覚えのある小さな女の子の声が聞こえてきた。
俺がとっさにその方を向くと、ブランさんの妹の双子姉妹、ロムちゃんラムちゃん姉妹がやってきた。
この状況に来てくれた彼女たちを救いの女神に感じた、ありがとう二人とも!
「こら、二人とも・・・まだブースの中にいなきゃだめって言ったでしょ?」
「えー、だってお姉ちゃん急にどっか行っちゃうんだもん!」
「急にいなくなったら・・・寂しい」(うるうる
二人はお姉さんのブランさんにひっついてそう言うと、ブランさんの表情が少し変わったのが見えた。
困った顔だな、これは・・・。
「もう・・・私は今彼と・・・」
「いいですよ、ブランさん別に」
「・・・え?」
俺はそう言うと、身をかがめてロムちゃんラムちゃんと視線を合わせる。小さな子供とはこうして目線を合わせてやるのが、一番いいんだ。
「二人はブランさんが大好きなんだな?」
「うん!だって、私たちのお姉ちゃんだもん!」
「・・・」(こくこく
ラムちゃんは元気よく答えてくれたが、ロムちゃんは少し警戒してるみたいだな、ブランさんの後ろに隠れながら顔だけ出して首を振るだけだ。
俺は笑顔を見せながらまた二人に話しかける。
「二人はここでどんなことをしてるのかな?」
「えっとね・・・ポシェモンの交換会!」
「・・・あと、バトルも・・・」
ポシェモン・・・たしか、ルウィーでブームになってる151万匹のモンスターを育てたり、戦わせたりするゲームだったか?
どっかで聞いたことあるが・・・まあ深く気にはしないでおこう・・・。
「そうか、なら、後で俺も見に行ってもいいかな?ちょっと興味あるんだ」
「ほんと?いいよー♪お兄ちゃんならあたしの伝説のモンスター見せてあげるー!」
「わ、私も・・・」
二人がそう言うと、俺はブランさんに視線を戻す。ブランさんは俺の意思を察してくれたのか二人を交互に見ると二人にやさしくこう言った。
「・・・私は彼と話があるから、もう少し待ってて・・・」
「は~い、行こ?ロムちゃん」
「うん・・・」
二人はとことことその場を後にし、ブースの方に戻って行った。俺は二人に手を振りながら見送ると、ブランさんが俺を見てふとつぶやいた。
「あなた、子どもの扱い・・・慣れてるのね?」
「ええ、まあ・・・いろいろあって慣れてまして」
主に施設で育ったために得たことなんだけどな。
結構年の離れた奴らとも関わってきたからもうこう言うのは慣れっこだ。
「・・・羨ましい・・・」
「え?」
ブランさんが何かつぶやいた気がするが・・・今度のは聞き取れなかった。
俺が聞き返そうとするが、ブランさんは何でもないと言ってブースの方に向かった。
俺もその後をついていき、ルウィーのブースで何をやっているのかチェックすることにした。
「ブランさんのところでは何をやってるんですか?」
「・・・よくぞ聞いてくれたわ」
あ、今一瞬ブランさんの目が輝いた気がした。
それほど自信があるものなのかな?
ブランさんはブースのとある場所で立ち止まると、エッヘンと言いたげに胸を張り・・・ないけども・・・自慢げに言って見せた。
「同人誌の即売会よ・・・」
「・・・同人誌、ですか?」
俺がブース内に目を向けると、そこには長机の上にずらりと陳列された薄い本・・・言っておくが薄い本とは言っても如何わしいものばかりではないからな?
まあ、様は同人誌が所狭しと並べられていた。
「同人誌もまた、文化の一つの形・・・それを発展させる為にうちではこれをメインに企画したの」
「なるほど・・・」
「・・・ちなみに、私のお勧めは・・・この本」
そう言ってブランさんがどこからか1冊の同人誌を取り出す。
表紙はまさに俺の様なバトル系ヒーローが好きな男の子が好きそうなイラスト、タイトルは・・・
・・・なるほど、ちょっと痛い感じのタイトルか・・・
でも、嫌いじゃない・・・決して、嫌いじゃないわ!なんてな・・・
俺はそれを受け取り、ぱらりと表紙をめくり内容を確認、どうやらこれは同人小説のようだ。
・・・ふむふむ・・・
・・・・・・なるほど・・・・・・
俺は序段の3ページほどを流し読みして、パタンと閉じる。
「・・・どう、だったかしら?」
ブランさんはじっと俺を見ながらそう聞いてくる。その表情は何かを期待しているような目に見える。
ここは素直な気持ちを言わせてもらおう、うん
「面白いですよ?」
俺がそう言うと、ブランさんの表情が、たぶん明るくなった。
「主人公の心理描写がうまくまとまっていますし、セリフの回し方もいいですね、文章構成もいいですし、俺結構好きですよ」
「・・・」
俺がそう言うと、ブランさんはきょとんとしたまま固まってしまった。
ん?なにこれ、どうしたの?俺何か変なこと言った?
「あ・・・ありがとうございます・・・」
「ど、どういたしまして?」
何でお礼を言われたのか分からないが、ブランさんが頭を下げたので、俺も釣られてお辞儀をして見せる。
自分のお勧めを気に入ってくれたからかな?と思いながら俺はその同人誌をブランさんに見せる。
「あの、これいくらですか?この原作知らないんですけど、ちょっと読んで見たいので」
「え・・・ええ、レジはこっち・・・」
ブランさんがそう言って俺をレジに案内してくれた。値段はそれなりにしたが、幸い懐はあったかいので余裕で買えた。
「・・・宗谷、でよかったのね・・・お買い上げありがとう・・・」
「はい、また、お勧めの本があれば教えてくださいね?」
「・・・分かったわ、また、会ったときにでも・・・ね」
俺はブランさんとそう言って別れた後、俺はラムちゃんロムちゃん姉妹の方に向かってポシェモンコーナーを見せてもらい、ルウィーブースを後にした。
最後、ブランさんの顔が妙に呆けてたけど、何かあったのかな?
ルウィーブースを回って、今度は直感的にラステイションのブースに行くことにした。二つのブースのどこにもいないとなると、後はラステイションくらいしかいないはずだ。
と、言うわけでラステイションのブースに来たわけなのだが・・・
「・・・人多っ!?」
さすが現トップの女神、ノワールが納めるラステイション・・・、どこを見ても・・・人、人、人のオンパレード。ここに来るまでもいくつものブースの人ごみをかき分けてきたわけだが、ここは特に人の密集度が多い気がする。人とぶつからないようにしないと・・・。
俺が細心の注意を払いつつ前へ進んでいると、どこからか軽快な音楽が聞こえてきた。
どうやら近くにあったステージで何やらコンサートだかライブだかがあったようだ。
余りアイドルとかそっち方面には興味はないが、いい歌声と共に熱狂したファンの歓声も聞こえてくる。
すると、観客の後ろの方に・・・
「アイッ!アイッ!アイッ!アイッ!アイッ!アイッ!ローマーンス!!」
・・・めちゃくちゃ見たことある白いジャージ姿の白い長髪のお姉さんがめっちゃくちゃキレのいいヲタ芸をしていた。
正直、見ないことにしておきたかったけど・・・
無理です、男である俺には・・・だってあの人、ペンライト持ってロマンスするたびにあの爆乳がとんでもない勢いで爆発寸前までに暴走しているんだもの。
ちなみにロマンスとは両手で左右交互に三日月を描くように両手でペンライトを振る、最近のヲタゲイでも基本中の基本の技である。
なんにせよ、男ならあの揺れを見て見ない方がおかしいというものだろう・・・。
「オラオラー!!声張れ野郎どもーーー!!」
―――おおおおおぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!
しかも後ろに数人のヲタ芸集団を引き連れてキレキレのあのヲタ芸を披露してるし・・・
あの人本当に一体なんなんだ?
俺がついじーっと彼女を見つめていると、白ジャージさんは俺に気付いたようで、急にロマンスを中断して俺の方に走ってきた。
「やあやあ、あなたはいつぞやのウブ少年くんじゃないですか」
「ウブ少年はやめてくれ、ていうかあんた何してんの?」
「見ての通りヲタ芸ですが何か?」
え、何言ってんのこいつ?見たいな感じのむかつく目で俺にそう言って来たジャージさん・・・。
・・・この人普通にしてて服装もまともだったらいい人なのに・・・何をどうしたらこうなったんだ・・・本当・・・。
俺はとりあえず適当に済ませてその場を後にしたかったんだが、なぜかこの人は俺をじっと見たまま帰ろうともしない。
「・・・あの、何か?」
「いや~、もしかして・・・興味あります?ヲタ芸に」
と、今度はいたずらっ子みたいな笑顔で俺にそう言って来た。
この人、表情がころころ変わるな本当に・・・
それに、興味・・・だと?
・・・興味なんかじゃない・・・
俺は何も言わず、彼女の両手に持っているペンライトをひったくるように奪うと、少し距離を置いてジャケットを脱ぎ棄て、両足を大きく開く・・・。
「・・・ほほう?」
俺は大きく一呼吸、今流れてる曲が・・・サビと思われるフレーズに入った時に、一気に両手を動かす!
甘く見るなよ!俺だって一アニメ、漫画、ラノベファンなんだ!イベントやスペシャルライブのためにヲタ芸を身につけていないとでも思ったか!!
―――バッ!バッ!ブンブンブン!ババッ!
「・・・やりますね・・・」
白ジャージさんは何かを呟いたと思ったら、俺の隣に立ち、別のペンライトに光をつけて構えた。色は両方ともオレンジ、動画とかだと終盤の盛り上がるところでつける色だ・・・。
そしてそこからは、俺と白ジャージさんの一進一退のヲタ芸合戦になった・・・。
――――ワアアアアァァァァァァ!!
歌が終わるころ、観客の熱狂の声が響く・・・。
その後ろでは、俺と白ジャージさんが肩で息をしながら互いを見合わせていた。
白ジャージさんのつれと思われる集団はアイドルの方に夢中の様だ。別にこの人がリーダーってわけじゃないのね・・・。
とにもかくにも、俺達は互いの顔を見合わせ、一歩二歩と距離を縮め・・・
「いい、サンダースネークでした・・・」
「あんたのドラグーンスピア、最高だったよ・・・」
がっちりと硬い握手をして、お互いをたたえ合う俺達はさながら和解したスポーツ漫画の主人公とライバルの様だった。
ちなみに俺達が今行ったのはヲタ芸の技名だと言うことをお忘れなく。
「やはりあなたのことはお気に入りにして正解でした、また機会があれば、一緒に打ちましょうね?」
その時見せた彼女の爽やかな笑顔は、本当に、本当に素直にきゅん、と来てしまうほどの笑顔だった・・・。
ああ、本当、普通なら・・・いい人なのに・・・
「・・・それでは私は次のブースに向かわねばならないので!しからばこれにて御免!!」
「ええっ!?って早っ!!」
こんなに激しく動いといてあの人はまだ動けるのかよ!?
ていうかもう見えないし、この人ごみをどうやってすり抜けて行ったんだあの人・・・。
本当に不思議で、掴みどころのない人だ・・・。
ていうか、あの人ただのオタクとは思えない何かを感じるんだよなぁ・・・。それが何なのかは分からないけど・・・。
それに、あの人が昨日行ったあの言葉・・・
『あなたのこと、見ていますからね?』
・・・あの言葉の意味が今でも気になって仕方ない・・・
あの人は一体何がしたいんだ?
まったくもってわからん・・・。
「何やってるの?宗谷」
「おろ?」
聞き覚えのある声が突然聞こえ、後ろを向くと、そこにはこの前お世話になって友達にも慣れた黒髪ツインテールのノワールが居た。
隣にはユニちゃんも一緒だ。
「ノワールか、別に何でもない、ただヲタ芸に力が入っただけだ」
「あんたヲタ芸出来たの?」
「まあ、そこそこにな」
俺はそう言ってジャケットを拾って着る。
あ、そう言えばノワールに聞けばネプテューヌが居るかどうかわかるんじゃね?そうだ、最初っからそうすればよかったんだ。
判断したら即実行が主義の俺は早速聞くことにした。
「ノワール、ネプテューヌかネプギア見なかった?」
「ネプテューヌ?まだあってないわよ?・・・ユニは?」
「ううん、私もまだネプギアにあってない」
「そうか・・・本当どこ行ったんだ?あのサボり魔め」
俺が毒づいて頭をかきむしると、ノワールもユニちゃんも同乗のまなざしを俺に送ってきた。
「本当、大変そうね?あなたもイストワールも」
「・・・もう慣れたけどな?」
俺はそう言って笑顔を見せると、ノワールも笑顔で返してきた。
「そう言えば、ラステイションはライブとかが中心なのか?さっきからすごい熱気なんだが・・・」
「いいえ、それは違うわ・・・ユニ」
「うん、お姉ちゃん・・・宗谷さん、こっちへ」
そう言われて俺はユニちゃんに導かれてライブ会場とは離れた別のコーナーにやってきた。
なにやら白い何もない部屋に来てしまったが・・・ここは何の部屋だ?家具も窓もない殺風景過ぎる部屋に俺は足を踏み入れる。
「ここは、ラステイションで開発した、ライブプロジェクションを体験できるブースなの」
「らいぶ・・・ぷろじぇくしょん?」
「ざっくり言うと、3D映像ってことよ、あなたの端末のホログラムと似たようなものね」
ユニちゃんから出てきた聞きなれぬ単語に俺は小首をかしげると。ノワールが付け足して説明してくれた。
なるほど、それは分かりやすいな。
ということは、この部屋ではそのライブプロジェクションが見れるってことか・・・。
「これを発展させて、最終的にはリアルな立体映像で楽しむゲームや、戦闘訓練にも用いるつもりよ?」
え、なにそれ・・・もしかして、ノワールたちっていずれナーブギアとか作ってしまうんじゃないのかと思えてしまった。だとしたらすごいけど・・・。
「特別に、あなたには私が用意したスペシャルコンテンツを見せてあげるわ」
「お、マジで?」
「ええ、そこで待ってなさい、ユニ、こっち来て・・・」
二人はそう言うと部屋の外に出て行って扉を閉めた。
一体どんなものが映るのかな?素直に期待が膨らむな・・・。
「よし、これで準備OKっと・・・」
「でも、お姉ちゃん本当にいいの?これ、一般には公開しないやつなんじゃ・・・」
部屋の外に出た私とユニはコンソールの前に立ちシステムを操作する。
このイベントで披露しているライブプロジェクションは、子供でも遊べるスパイゲームの類なんだけど・・・
今私がコンソールをいじって選んだのは、開発段階で出来た別コンテンツ、その名も“ホーンテッドTGS 呪いの液晶に映る霊”と言う名の和風ホラーの内容。
なぜ、ホーンテッドと名がついたのかは知らないけど・・・ともかくそれなりに怖いとのこと。
でもさすがに子供には見せられないからお蔵入りにするはずだったんだけど・・・。
「いいのよ、あいつには一回仕返しがしたいのよ、個人的に」
この前あいつが家の教会に来た時・・・
最初は普通な奴かと思ってたけど・・・初日に・・・あ、あんなものを見せられて・・・
・・・・・・・
あああああぁぁぁぁぁ!?ダメ!思い出しちゃだめよ私!!
と、とにかくその後も宗谷のせいでいろいろ見せたくないものも見せられたんだし・・・あの時の仕返しを込めて、ちょっと使わせてもらうことにしたって訳なの。
「じゃあ、い、行くよ?お姉ちゃん」
「ええ、お願い・・・」
ユニがそう言ってコンソールのスタートのキーを押した。
さあ、思う存分びっくりしてもらおうかしら?宗谷
開始から1分・・・
―――ぎゃああああああああああああああああ!?
早速あいつの叫び声が聞こえてきた。
よしよし、まずは好調な滑り出しね♪あの時は私も散々恥ずかしい目にあったんだから、あなたもそれに等しいものを感じてもらわないと、フェアじゃないでしょ?
開始から3分・・・
―――おわあああああああああああああああああ!!?
さっきよりも叫び方がすごくなってきたわね?それほどいい出来なのかしら?
でも、テストで開発チームの一人が体験したとき、これほど叫んでたかしら?
開始から5分・・・
―――あ、ああああああ!!?来るな!!来るな来るな来るなぁぁぁぁああああああああ!!!?俺に触るなああああああぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁあああ!!!!
・・・なんか、どんどんひどくなっていってるような気がするのだけれど・・・
これって、大丈夫なのかしら・・・こんなの聞いてたらさすがに心配になってくるわね・・・
開始から7分・・・
―――だ、出してくれぇぇえええええ!!お願いここから出してぇぇえええ!!!ノワール助けてぇぇぇぇええええええ!!・・・あ、ああああっ!!?本当にすんませんした!!謝るから!!とりあえず謝るから出してくれ!!お願い出してくださいぃぃぃぃいいいいいいい!!!
・・・・・・これ、大丈夫とかそんなレベルじゃないような気がしてきたのだけれど・・・
ここまでの叫び声を上げることはさすがにテストのときはなかったのだけれど・・・内容も全く変わっていないはずなのに・・・ここまで叫ぶかしら?
「お、お姉ちゃん・・・もしかして宗谷さん・・・」
「・・・・・何?」
「・・・・・お化けとかの類、苦手なんじゃ?」
私はユニのその言葉に、最初はまさかとも思ったのだけれど・・・
さっきから部屋の向こう側でバンバンと壁を叩く音と共に聞こえる彼の阿鼻叫喚の前に、私はそう信じざるを得なくなってしまった・・・。
―――も、もうやめっ・・・来ないでくれっ!!頼む!!頼む許してくれ!殺したいのか?そんない俺を呪い殺したいのか!?ああもういいさ、好きにしろ!!もういっそ俺を呪い殺して楽にしてくれよ!!あはは、あはははははははははははははははは!!・・はっ・・・・はは・・・・・・
・・・・・・・・
何も聞こえなくなった?
・・・・・・
さすがにもう出してあげた方がいいかしら?
私はユニにライブプロジェクションを強制終了させて部屋の扉を開け中に飛びこむ・・・
そこにいたのは・・・
「・・・そ、宗谷――――――!!」
白目を向いて完全に失神している宗谷の姿だった・・・。
私はこの日・・・宗谷の弱点を知ってしまった・・・・。
いかがでしたか?
宗谷君の嫌いなもの・・・それはもう、分かりましたよね?
それでは次回、またお会いしましょう!