超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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めっちゃ長らくお待たせしてしまった。

約二年の時を超えて最新話です。
ひさしぶりだからみんなをうまく表現できてるかな……

とりあえず、どうぞ!


Stage,98 俺と深淵の策略

 

 

………あの子がわたくしの元に来てくれて数日、女神の傍で仕事をするという事実に慣れていなかったのか、あの子は良く空回りして失敗してばかりでしたわね。

その度に何度も何度も私に頭を下げてきて、わたくしが気にする必要はないと言ってもあの子はそれでもと謝り続けて………。

この子にとってこの仕事はとても重圧な仕事になっていないか、わたくしはとても心配でしたわ……。

 

だって、知っていたから……時折仕事中に彼女が苦しそうに胸を抑える姿を……見ていたから……。

 

聞いてみると彼女はどうやら、体が強い方ではなかったらしく、子供の頃から病気がちでそれが悩みでもあったらしいですわ。

それなのに彼女はこの仕事が受けたくて教会に来たと……体が弱いのを自覚していてなお、なぜこの教会に……。

日課のネトゲを熟していきながら女神としての仕事もついでにやっているため、なんとなく教祖としての仕事がどれくらいハードな物なのかはわたくしも理解しておりますわ。

 

え? ネトゲと女神の仕事の優先順位が逆ではないか? ……そんなことは些細なことですわ。

 

とにもかくにも、わたくしはそんな無理をしてまでこの教会に身を置き、教祖として働くことを決めたという彼女のことをすぐには理解できませんでした。

まあ、国民からの指示も集めていますし、その信仰心の一環として立候補したものなのかと最初こそは思っていましたが……私のその考え方は大きな間違いでした。

 

あの子は………あの子はそんな信仰心に突き動かされてここにきたのではなく……。

 

 

 

『アタクシは………ベール様の仕事が少しでも楽になれたらと思って、ここに来ましたの』

 

 

 

それは、とても小さな、小さな一歩から始まった……彼女なりの“頑張り”……だったのですわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………お前、今………なんて?」

 

俺はつい今しがたに言ったクロス・ジャスティスの言葉を理解することが出来なかった、理解が追い付かなかった。

近未来のシャープなシルエットに似合った仮面で表情を読み取ることが出来ないからか、あまりにも冷徹に、そしてストレートにあいつが言い放ったその言葉を、すぐには理解できなかった。

 

俺が再び問い返すようにそう呟くと、クロス・ジャスティスは横に切り払うように動かした親指をもう一度戻して再度同じ動きをしてみせる。

 

俺に理解させようと……それが何を意味するかを改めて理解させようとするために……。

 

「………ならわかりやすくいってやる………あの四天王の生き残りと、それについていったあの教祖……箱崎チカ、と言ったか……あの女も纏めて……排除するんだ」

 

……わざわざ、わかりやすくいってくれたおかげで俺は二回目はよく理解することが出来た……。

用はこいつは、俺にこう言いたいらしい……チカさんを“奴と一緒に倒せ”……と……。

 

「………なんで………なんでだよ、そんなことする必要がどこにあるんだ! チカさんは…チカさんはベールの大切な人なんだぞ!」

 

「………お前はなぜそこまで必死になる」

 

「………なにがだよ」

 

「自分にとっては特に当たり障りもない、貴様と一緒に居る教祖、イストワールと違って彼女は別国の、さらに言えば関わりも深くはない人間だ……それなのに、何を必死になる」

 

それはまるで問いかけるというよりも、さも当たり前のことを言い放っている様だった。

目の前にいる青い正義の戦士は、深い深海のように冷たい眼差しをマスク越しに俺に向けてそう告げる。

だが……俺はこいつの言っていることを真っ向から受け入れることはできなかった……受け入れるわけにはいかなかった。

 

「そんなの……そんなの当然だろ!! どんな理由があったとしても人を殺して……いいわけがない! そんなの、何の解決にもならない! ただ、ただ悲しみが生まれるだけだ!!」

 

「………ならお前はそれを選んだゆえに、多くの犠牲を払っても………そんなことを言えるのか?」

 

「っ!?」

 

まるで俺の胸に、何かが突き立てられたかのような、鋭い言葉だった……。

 

「仲間だけでなく敵すらも情けを掛けたがために、それが油断を生み、最悪の結末を生むことになったとしても……お前はそんなことを言えるのか?」

 

俺の記憶の中にある、“思い出したくない記憶”……まるでそこを突かれたかのように……。

 

「………俺は………」

 

………大切な人を失いたくない………殺意に飲まれたくない………。

もし、そうなってしまえば生まれるのはつらいことだ………あの時のように誰かが命を落とし、多くを傷つけるだけだ………。

だから……だからこそ、チカさんも救う……そう考えていたのに……。

 

 

 

「………お前が最も守りたいと願う物………それとも、関わりの少ない他人の大切な物………どちらも選らぶなんていうことは不可能だ………最善の選択を選ぶんだな………でなければ………お前は身を滅ぼすことになる」

 

 

 

いつもなら俺はそれを真っ向から否定していたと思う……でも、こいつの言葉は……こいつの言っている言葉に秘められているかのようなその重さが、そうさせてはくれなかった。

目の前にいる戦士が放つ圧倒的な存在感と決意……それがありありと見えているようで……俺を真っ向から否定するような、圧倒的な壁を見せつけられているかのようで……俺は奴の言葉に反論することが出来なかった。

 

目の前にいる正義の勇者の決意の大きさに、口を出すことが出来なかった。

 

ジャスティスはそう俺に告げた後、俺の隣を通り過ぎるとそのまま一歩、また一歩と歩を進めていく。

あいつなりの正義という物を指し示すのであろう、あいつの道……そこに俺の入る余地が見いだせなかった。

ようやく俺が後ろを振り返った時にはもう、すでにジャスティスの姿はなかった。

 

襲撃を受け、所々が破壊されたリーンボックスの街並みの中で俺はただ……消えたあいつの言葉に対する答えを……最善の選択が意味する答えがなんなのか……。

夜の闇の静けさを感じながら、あいつの言葉をずっと頭の中でぐるぐると何度も駆け巡っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在リーンボックス教会では、チカの暴走によって被害を受けた国民が避難するべく集まっていた。

その数はかなりの物であったが、教会職員たちは女神であるベール不在の中落ち着いて対処していた。

怪我人は敷地内に設置した医療テントに、居住区が被害にあったものは設置された簡易テントへ、家族や親しいものとはぐれてしまったものは警備隊や近衛が中心となって結成された捜索隊が捜索願を請け負い行動を開始していた。

 

「怪我のひどい物から優先順位を決めて奥へ、応急処置で間に合う者は診察しその場で対処を!」

 

「お水と毛布こちらにありま~す、ひ、必要な方は列に並んでこちらに来てくださーい!」

 

「その願い、この私が請け負おう……なぁに、任せておけ、科学と魔術、双方をうまく使えば……この程度造作もない」

 

それぞれの持ち場で動くケイブ、鉄拳、MEGES.の三人。現在医療班の所にいるケイブが全体指揮を請け負いながら各方面で指示を飛ばしている。

本来先陣を切って指示を出すベールがいない状況下でこれほどの統率の取れた行動がとれているのは、先の混乱の中勇気をもって発言した少女……宗谷達についてきたシンシアの言い放った言葉が起因していた。

 

(……さっきの言葉でこんなにもみんなが落ち着いて動いてる……あの子の……さっきの言葉で)

 

簡易テントの近くで全体を見て、先程までの混乱から転じて落ち着いて統率の取れた動きを見せる教会職員たちの動きに驚く5pb.。

その視線を、今度は同じように簡易テントで誘導の手伝いを行なっているシンシアに向けた。

人見知りの彼女も何とか頑張って人々を誘導している……先程、国民を最優先にするように指示を出した彼女、そんな芯の強さはあまり見られない、彼女がここまで奮起するのは一体なぜなのか、5pb.はシンシアに初めて会った時のことも含めて彼女への疑問が尽きなかった。

 

「すごいでしょ~、シンシアちゃん」

 

「プルルートさん……」

 

そんな彼女の元にプルルートが近づいてきた、柔和でほんわかした笑みを浮かべながら同じようにシンシアの方を見つめる。

 

「恥ずかしがりやさんで~、泣き虫で~、人と話すのが苦手なんだけど~……いざって時には頑張れちゃう……不思議だよね~」

 

「……プルルートさんは、あの子の……シンシアの友達、なんだよね……それでもわからないことがあるの?」

 

「もちろんだよ~、あたし~、いーすんみたいになんでも知ってるわけじゃないし~、あ、でも~、シンシアちゃんにちょっといじわるするとかわいいのは知ってるよ~?」

 

さらりと何やら意味ありげな返答が見えたがそこはあまり聞かないように流して、5pb.はプルルートの言葉に耳を傾ける。

のほほんとした表情は変えずに、だがその眠たげな目をしっかりとシンシアに向けるプルルートは手に持っているぬいぐるみの手足を自分の話に合わせるような動きで両手で動かす。

 

「けど、まだまだわからないこといっぱいあるから~、だからこれからいっぱい知って行けば、も~っと仲良くなれると思うんだ~」

 

「……もしかして、さっきの簡単なことって」

 

彼女の言葉にこの混乱が起こる前にプルルートが言っていた、言葉を思い出した。

知ってるようで、知らない彼女、そんな彼女にどう接すればいいかわからない、そんな5pb.にプルルートが告げたアドバイスの様な一言。

結局その心意は聞けなかったが、今の言葉で少しその続きが分かった気がした。

 

そう、わからないならもっと彼女の事を……理解すればいいのだと。

 

自分から知りたいことを、もっと知って行けばいいのだと……。

 

「……5pb.ちゃんも~、シンシアちゃんと仲良くなりたいんでしょ~?」

 

プルルートの言葉に、彼女はじっとシンシアの事を見つめた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宗谷がクロス・ジャスティスと遭遇していた頃、イストワールは今、宗谷と別れて姿をくらませたチカの行方を探っていた。

半壊した街並みを自分の翼で空を飛びながら眺めるが、その痛々しい光景にイストワールは苦々しいな面持ちを浮かべずにはいられなかった。

同じ教祖という立場であるチカがこんな被害を生んだ、なまじ大きな力がこれほどの被害を生んでしまう……それを改めて実感させられた気分だった。

 

「………チカさん、なぜこんなことを………」

 

ベールを支えたいという気持ちは人一倍強かったチカ、そんな彼女が起こしたこの強行が未だに信じられない。

イストワールは周囲を見回しながら早くこの悲劇を終わらせるべく再び動く。

 

女神の力と似て非なる力、“深淵女神”となったチカの言葉、行動、それらを振り返りながらイストワールは彼女が次に何をするのか、思考を巡らせ始める。

こればかりは過去のデータを三日かけて再検索するよりも自分の思考を巡らせた方が早いと思ったが故だ。

 

彼女はすべてを壊すと言っていた。

 

単純な破壊なら今も尚どこかで暴れまわっていてもおかしくはないはず……だが彼女は

姿をくらませている……なぜ?

 

(力を蓄えている? それか、まだあの体に馴染めていない……いや、彼女だけじゃない、ジャッジ・ザ・ビショップ、あの方もなぜこの国であれほど暴動を……リーンボックスは軍事力が他の国よりも高い国、そんな国に単身でここまでするなんて無謀にも等しいのに……この国だからこそ一掃できる狙いがあるのでしょうか?)

 

………そこでふとイストワールの思考が一瞬止まった。

 

この国だからこそ、リーンボックスだからこそ可能と出来る……。

この国の特徴、それを振り返った時に彼女はあることに気付いた。

 

 

 

(………まさか、ジャッジ・ザ・ビショップとチカさんの次の狙いは………!)

 

 

 

その時だった。

 

「っ!?」

 

あることに気付いたイストワールが踵を返そうとしたまさにその瞬間、激しい轟音と共に彼女に向けてどこからともなく、火力と爆破の籠った恐ろしい兵器の代表格……砲撃が放たれた。

 

………イストワールの向ける視線の先にあったのは、半壊状態のリーンボックスの街、その陰からぞろぞろと進行してくる………“兵器の軍団”だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クロス・ジャスティスとの遭遇から少しして、複雑な表情を浮かべながらも宗谷はリーンボックスの街をマシンヴィクトラーで走り続けていた。

チカを止めるには、彼女を本気で排除するしかないというジャスティスの言葉がずっと頭から離れずにいた。

それもそうだろう、自分に対してあまりよくない印象は持っていた様だが悪い人じゃなかった。

病弱ながらも誰よりもベールの事を思っていたチカを、自分が排除するなんてこと出来るはずもない……いや、彼の場合はそんなことしたくもなかった。

 

「………俺はもう、あんな思いは御免なんだよ………」

 

苦虫を潰したような顔をヘルメットの下で浮かべながらアクセルを回す。

 

すると……。

 

「………ん?

 

ふと視線の先、崩れかけたビルの物陰に何かの影があることに気付いた。

走りながらそれに目を向ける、それは何やら妙に武骨なシルエットをして……四足の虫のような足を持って、大きな二つの筒状の物をこちらに向けた……。

 

 

「戦車ぁ!?」

 

 

気付くや否や、その戦車のような不気味な兵器はこちらに向けて轟音を響かせながら砲弾を発射した。

咄嗟にブレーキをかけて車体を横に倒し、ほぼほぼ転倒しながらも直撃コースを慌てて回避する。

自分の真上を空気の層を貫きながら飛んでいく砲弾、その勢いに吹き飛ばされそうになりながらもアスファルトの地面を転がりながら済んでのところで回避する。

 

直後背後の建物の壁に着弾、激しい爆音と衝撃を感じながらもなんとか体勢を立て直して立ち上がる。

 

「………おいおい、チカさんとか四天王だけでも大変だってのに………なんであんなのがあるわけ?」

 

視線を再度前に向ける。

四足式の独特のキャタピラと二つの砲門を持つ戦車はその照準をこちらに向けている。

なんでこんな所にこんなものが、なんで自分を狙っているのかはわからないが、ともかく危険であるということはすぐに理解した。

 

「………実はあんまり労力使いたくない派なんだよな俺って……リンク・オン!」

 

すぐさま赤剣をベルトから呼び出してV.phoneを連結、クロス・ヴィクトリーに変身すると構え、地を蹴って戦車に向かって駆け出す。

だが、今度は……。

 

―ズガガガガガガガガ!!

 

「なっ! がっ!?」

 

横合いから突如として響いてきたけたたましい銃撃音、気付いたときには放たれた銃弾の雨に巻き込まれた。

変身して防御力が上がり、即死こそしないが鈍く体を貫かんばかりの衝撃を受けながら地面を転がる。

 

「……ぅてぇ……戦車の次はロボットかよ……! 男のロマンの使い方もっと考えろっての」

 

クロス・ヴィクトリーを銃撃したのは両手に機銃を装備した二足歩行型のロボットだった。

モーター音を立てながら重い金属音を響かせるロボットがこちらに歩を進めて来る。

その数は……三機、いや……。

 

後ろにはもう二機……戦車も含めて六機である。

 

「こいつら一体どこから……」

 

機械兵器の包囲網に囲まれてしまったクロス・ヴィクトリーは立ち上がりながら敵を冷静に観察する。

こちらを攻撃してきたということはジャッジ・ザ・ビショップの手の物と考えが付くが……。

しかし、そんな思考の余裕すら与えんとばかりに兵器たちは機銃を再度掃射してきた。

 

『Skill Link! Hidan no Aria!』

 

スキル 緋弾のアリアを発動し、自身の感覚を上げ、放たれた機銃の雨の中から回避ルートを算出、すぐさまその感覚が残っている内に射線の雨霰の中を掻い潜り、こちらに向けて砲身を向けている戦車に肉薄、クロス・ヴィクトリーは砲撃が放たれる前にしたから扇状に赤剣の刃を振るって砲身を両断、その勢いのまま身を回転させて戦車の前輪当たる二足を斬り捨てる。

 

すぐさまロボットたちがこちらに再度狙いを定めて機銃を放ってくるが戦車を盾にして隠れて回避すると、すぐさま次のスキルを発動させる。

 

『Skill Link! GARO!』

 

「ソウガ、反対側を頼んだ!!」

 

―バウ!!

 

新たな相棒、ソウガを召喚し、反対側の二機を任せて自身は三機の方へと突撃する。

機銃に当たらないようにとにかく動き続け、接近していく。

 

『Skill Chain! Doragon Ball! Street Fighter!』

 

「ドラゴンブレイザー!!」

 

格闘スキルの組みあわせを発動させて両手を前に突き出して放つエネルギー波で迎え撃つ。

戦闘に立っていたロボットが弾幕を張るが、それを突破していくエネルギー派が直撃、爆散する。

残るは二機。

 

隣にいたロボットが足を振り上げて踏み潰さんと下ろす。

横に転がって受け身を取って踏み潰されるのを回避したクロス・ヴィクトリーは振り下ろした足を横薙ぎに赤剣を振り抜いて関節部を切断、そのまま体勢が崩れて倒れ込んだロボットの上に飛び乗って頭目がけて赤剣を突き下ろす!

中枢回路がそこにあったのか、ロボットはそのまま停止、これで二機目、残りは一機となった。

 

頭に刃を突き立てて動きが一瞬止まった、見逃さないというかのように残りの一機が機能を停止したもう一基もろとも機銃で撃ち抜かんと弾丸を掃射する。

隙をつかれたクロス・ヴィクトリー、咄嗟に腕を交差させて防御の体制を取るが絶え間なく放たれる弾丸の雨に晒されて膝をつく。

 

「くっ………この……ぐぅぅぅぅ!」

 

やがて弾丸がロボットのオイルにでも引火したか、クロス・ヴィクトリーが乗っていた機能停止したロボットが爆発、クロス・ヴィクトリーが爆炎の中に飲み込まれる。

それを見たロボットは仕留めたかというように腕を下ろす……。

 

 

 

―Skill Chein! Infinit Storatos! GYABAN!

 

 

 

刹那、爆炎から飛び出した一閃の閃き。

ロボットの思考回路に表示されているカメラ越しの映像が……“二つに分かれた”。

 

クロス・ヴィクトリーは三機目のロボットの背後に立っていた。

発動したのは瞬間的な機動力を獲得できるインフィニット・ストラトスのスキルと強力な斬撃を放つことが出来るギャバンのスキル。

電光石火の斬撃、それを爆炎の中から飛び出しながらロボットに決めての一撃を放ったのだ。

 

「………“刹那斬り”、なんてな」

 

盾に真っ二つにに斬り捨てられたロボット、スパークしながらそのまま地に倒れ込む鋼の体を背に、クロス・ヴィクトリーは深く息を吐いてその場に膝をつく。

生き物とは違い、目標を排除することをプログラムされたロボットは隙が生まれにくい。

予想外の苦戦を強いられてダメージを負った彼は残りの二機を任せたソウガの方を見る。

 

 

 

―ガウゥゥゥゥ!!

 

 

 

雄叫びと共に高速で回転し、爪による斬撃で容易にロボットのボディを切り裂き、その牙で頭をかみ砕く。

こちらはこちらで思考が獣のそれのためか高い反射神経と判断でロボットの動きを翻弄し、見事に打ち取って見せた。

 

地面に降り立ち、自分の主人の元に駆け寄るソウガ、クロス・ヴィクトリーが近づいてきたソウガを労い、頭を撫でる。

 

「てんきゅな……にしても、こいつらどこから……」

 

四散したロボットたちの断片を眺めながら疑問を口にする。

すると、ふと先程両断したロボットのボディ、そこの一部分が彼の目に留まった。

 

「………あれ? このマークって」

 

見覚えがあるマークだったのだ、近づいてそれを確認する。

ローマ字、具体的には“Xが四角で囲われたかのようなマーク”………。

 

 

「………リーンボックスのマーク? てことはこれって、“リーンボックス製”!?」

 

 

マスクの下で驚愕の表情を浮かべる。

なぜこの国で作られた兵器がこちらを攻撃してくるのか、そもそも警備体制にしてもあまりにも物騒すぎやしないか、いくつもの疑問と動揺が彼の中で目まぐるしく駆け巡る。

そもそもこの国のトップであるベールが意識を失っている今、こんなことを許すはずもない、街中に兵器なんか投入したら被害が広がるのは火を見るより明らかだからだ。 それは教会職員、並びにリーンボックス軍もわかっているはずである。

なら、何故?

 

その時、彼はあることに気付いた。

 

遠くの方で先程まで耳元をつんざかんばかりに響いた砲撃の轟音と機銃の発砲音が鳴り響いていることに……。

 

 

 

「………リーンボックスの兵器が、リーンボックスを攻撃してるのか………!?」

 

 

 

最悪のシナリオが頭に浮かぶ、この事態になぜこんなことに……その疑問は落ち着いて考えれば自ずと答えが導き出された。

この事態を引き起こす、リーンボックスを攻撃することを今もっとも願うのは……。

 

「まずい………いーすん! 大変だ、いーすん!!」

 

気付くや否や、イストワールに通信を送る。

だが……返答が来ない、聞こえるのは嫌なノイズの音……。

 

そう言えば、先程轟音が鳴り響いた方角、そちらには確か……。

 

クロス・ヴィクトリーの背筋に冷たい悪寒が駆け抜けた……。

 

 

「………くっそぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 何だってんだ畜生ぉ!!」

 

 

半ばやけくそ気味の叫びをあげ、彼は愛する人がいるであろう場所へと駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ステマックスは対策室に残り、現状をその目で確認し、自身の主と捜索に出ている宗谷達に伝えようとモニターとそれぞれの職員が忙しなく飛び交わせる言葉と喧騒に耳を傾けていた。

無駄に動かず、冷静に状況を把握して伝える、忍者である自分にこれ以上にない仕事だと実感する。

 

(ハル殿……拙者、今ものすごく忍者しているでござるよ)

 

すると、そこにリーンボックスの協力者にしてこの世界の命運の鍵を知る者の一人であるステラが入ってきた。

それに気づいたステマックスは視線をそちらに向けながらも彼女の動きも観察する。

 

(傍から見たらいけないことをしてる気分になってしまうでござる……いやいや、拙者が進むのは金髪巨乳道であるからして)

 

「ロリ、コン……として通報、されたい、の?」

 

「おやめくだされ!? というか、気付いていらしたでござるか!」

 

ステラの言葉に驚きながらも弁解を図るステマックス、そんなことはお構いなしとばかりにステラは冷哲なまでに視線を対策室のモニターに向ける。

すると、まるでそれを見計らったと言わんばかりにその部屋に切羽詰った声でとある一方が伝えられた。

 

「き、緊急事態です!!」

 

「何事だ、今は国民を最優先だ、非常事態は国の警備に当たっている軍に連絡しろと」

 

「そ、その軍からの緊急通信です!」

 

「なに!?」

 

その言葉に場の空気が一斉に静まり返る。

ただでさえの緊急事態にこれ以上に何があるというのか……。

 

 

 

「軍に配備されていた自立軌道型の兵器が暴走! リーンボックス国内で破壊活動を開始したとのこと!!」

 

 

 

伝えられたのは最悪の事態。

この国の警備は国内生産された軍事技術によって賄われている、自立起動兵器はこの国の防衛ラインの最先端を行くものである。

それがこんな時に暴走なんてしたら哭愛の防衛は総崩れになってしまうからだ。

 

「何故だ!! こんな時に兵器の不備など!!」

 

「………不備、違う」

 

職員の怒号にステラの物静かな言葉が割り込んだ。

視線が一気に彼女に集まる、ベールが一目を置く彼女、機械に対するその腕は確かだということは職員内でも伝わっていたがその言葉に焦りを隠せない職員が問い詰めて来る。

 

「どういうことだ、何故そんなことがわかるのです!」

 

「ただで、さえ、軍事力が高い、リーンボックス……外からの攻撃は、苦労、を要する……ならば、それ、を、逆手に取れば、向こう、は……優位に立つ」

 

その言葉を聞いて、ステマックスはあることに気付いた。

戦略において外から攻めるばかりが戦いではない、内側から攻めるという策略もあってしかる戦略の一つである。

つまり、敵の狙いはただでさえ軍事配備の高いこの国の破壊……ならば労することなくそれを成しえる方法と言えば……。

 

「ステラ殿………ならば、新・犯罪神四天王とチカ殿は………」

 

その言葉にステラは小さく頷く。

 

 

 

「………“ハッキング”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リーンボックスの軍兵器が置かれているリーンボックス軍格納庫、ほとんどの人員が前線に出ている中、最低限の軍の警備を任されている人員たちは……あまりにも静かに、そこいらに倒れ伏していた。

それを成しえたのは……今起きているリーンボックスの騒乱を起こした張本人である、ジャッジ・ザ・ビショップ。

 

彼はその漆黒の鎧の隙間から覗く目を格納庫から出て来る兵器たちに向ける。

 

ビショップ、その役目は“僧侶”。

本来は人々を導く役目である意味を込めたその役職が割り振られた駒、チェスにおけるその駒を荒々しかった彼になぜ与えられたのか、今ならはっきりわかる。

それ故に手に入れたのは、恐ろしいまでに冷静な“導く力”。

 

彼は導いたのだ、物言わぬ、使われるままの戦うための力を一つの個として、集団として導く役目を与えられたのだ。

彼はそのために必要な歯車を手に入れた、この鉄の軍団を手に入れるための……最高にして重要な歯車を……それが彼女であった。

 

「………お待ちください、お姉さま、アタクシが、このアタクシがすべてを更地に変えて消毒して差し上げますわ………お姉さまを狂わせるものを、不必要なものを、全部、全部、全部!!」

 

“深淵女神(ディープ・ハード)”となったチカがその体から伸ばした無数のコードをリーンボックスの軍事兵器に接続してシステムを片っ端から書き換えて行っている。

既に全体の7割が彼女の手の内になりつつあった……。

 

 

 

「これで、これですべてが、アタクシとお姉さまのもの……二人だけの楽園を……一から!!………はははは、はははははははは!! あはははははははははははははははははははははははははははははは!!」

 

 

 

狂乱に満ちた笑いをBGMに、ジャッジ・ザ・ビショップはその目を格納庫の奥にひっそりと佇んでいる巨大な影に向ける。

あまりにも大きな巨体と、恐ろしいまでの迫力を持つキャタピラ、そして巨大なレールキャノンを携えたリーンボックスの長火力戦車………。

 

 

 

「………最終段階、開始………」

 

 

 

………リーンボックスの機械の反乱………。

 

それが今まさに、始まろうとしていた。

 




如何でしたか?

いつになるやら次回、首を長くしてお待ちください。
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