超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!   作:白宇宙

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先に言っておきます、今回めちゃくちゃ長いです!


なんというか、ストーリーの構成上めちゃくちゃ長くなってしまいまして…

でも、その分楽しんでくれたらな、と思います。

それではどうぞ…


stage,13 俺、合体!

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!?」

 

別にお腹を銃で撃たれて出血したから叫んでるわけでもないけど、とりあえず叫んでおきたかった。

理由はしごく単純、目の前に見えるあの巨大ロボットだ。

 

三角のピラミッド型の建物を四つ重ねたような装甲のそのロボットの中央には何か文字が刻み込まれている。

あれは…ビッグ☆サイトウ?

マハリク☆メッセと同じようにイベント用のスタジオで有名な建物の名前だ。

というかそれがなぜロボットに?

 

訳が分からないまま俺はぽかんとあのビッグ☆サイトウロボを見上げていると、後ろの正面ゲートからネプテューヌ、続いてネプギア、更に女神化したノワール、ブランさん、ベールさん女神の三人にユニちゃん、ロムちゃんラムちゃん姉妹も出てきた。

 

「あれ? ソウヤどうしたのこんなとこで…ていうかなんかボロボロだよ?」

 

ネプテューヌが今の俺の状態を見て真っ先にそう聞いてきた。

さっきの戦いであちこち泥だらけで、ちょっと怪我してるとこもあるからな、隠しきれないか。

 

 

「まあ、いろいろあって今は説明している暇はない、むしろこっちの説明プリーズ」

 

「うーん…まあ、いいか、実はカクカクしかじかで…」

 

「まるまるうまうま…なるほど、大体わかった!」

 

 

便利だね、この言葉!

 

 

要約すると、俺がエターナルとバトルしてる途中にシェアブースターが何者かによって偽物とすり替えられたのに気づいたネプテューヌ達は、他の女神と協力して捜索を開始、その結果なんとか犯人と思わしき人物である……マジェコングだかマザコングだかを発見、逃げたそいつを追いかけているうちにこのロボットがここに来た…と言うことらしい。

 

とすると、あのロボットもおそらくはその犯人が用意したものかもしれないな…

 

俺がそう予想していると、ロボットに取り付けられていたスピーカーから音声が聞こえてきた。

 

『ふっふっふ…』

 

「あれ?今の声は…」

 

「犯人の声か?」

 

「うん、たぶん…えっと…確か…あれ?何だっけ名前…マザコングだっけ?」

 

『マジェコンヌだ!!』

 

スピーカーから聞こえてきた大音量に俺達は思わず耳をふさぐ。

どうやら向こうはネプテューヌが名前を間違ったことにご立腹になったみたいだ。 良かった、俺声に出さなくて…

犯人、マジェコンヌと言うらしいが、奴はスピーカー越しにこほんと咳払いをした。

 

『アーアー…よし、マイクテストOK…さあ、女神の子娘ども、覚悟しな? このビッグ☆サイトウロボが来たからにはお前たちの敗北は決まったも同然、降伏するなら今のうちだぞ?』

 

というお決まりの降伏勧告が流れてきたが、俺はその内容よりもロボットの名前、ビッグ☆サイトウロボというネーミングセンスに軽く絶望した!

 

ロボットって言うのは男の子の夢と希望と愛とロマンが詰まってる大切な男の燃えマストアイテムなんだぞ!

それをそんな安直な名前をつけるなんて、世界が許しても俺が許さねぇ!

 

「いくらなんでも名前が安直すぎるだろ! ロボットのネーミングセンスなめんな!」

 

俺はたまらずマジェコンヌに抗議すると、一瞬だがビッグ☆サイトウロボの目が俺を見た気がした。

 

『ああん? 黙れ小僧!名前なんぞ二の次! 大事なのは使えるかどうかだ!』

 

ビッグ☆サイトウロボは右手ののこぎり型の武器を振り上げ、俺達めがけて振り下ろそうと高々と振り上げた。

その瞬間、俺の後ろにいたノワール、ブランさん、ベールさんの三人が前に出てそれぞれの武器を構えた。

 

「あの巨大ロボットは私たちが相手をするしかなさそうですわね」

 

「ああ、ネプテューヌはあいにく変身できねぇ状態だからな」

 

ベールさんとブランさんがネプテューヌを見てそう言った。

 

そうか、シェアブースターがないと磁場の影響が強いここでは女神は変身出来ないんだったな…

他の三人はシェアブースターを持ってるから変身出来たけど、奪われたネプテューヌは奏にもいかないってことか…

 

「あははー…面目ない…」

 

「…しゃあねぇな…」

 

俺は再びブイホを取り出し、変身アプリで装甲を身につける、もちろんおニューの胸の装甲も装備されている。

 

「変身出来ないお前の分は俺がカバーしてやる、お前は大人しくしてろ」

 

「…ソウヤ…」

 

俺は赤剣を握り、肩に担ぐようにして女神の三人に並ぶように立つ。

 

「私たちがあいつらの相手をしてるから、ユニたちは観客の避難誘導をお願い!」

 

「う、うん!」

 

ノワールがユニちゃんたちに支持を飛ばし、ユニちゃんたちはすぐさまマハリク☆メッセの避難誘導の方に行った。

ネプテューヌはそれにはついて行かず、その場にとどまるみたいだ、出来れば避難しといてほしいんだがな・・・

 

「ソウヤ!」

 

不意に名前を呼ばれ、俺は振りかえりネプテューヌを見る。

 

 

「…ありがと」

 

「…おう」

 

俺はそれだけ言うと、三人の女神と共にビッグ☆サイトウロボ目がけて走りだした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くらえええええ!!」

 

女神化したブランさんの戦斧の超努級の一撃が、ロボの装甲に直撃!

 

「てぇええええええ!!」

 

女神化したノワールの必殺の大剣の切っ先がロボを滅多切りに!

 

「はあああああああ!!」

 

女神化したベールさんの疾風怒濤の槍がロボを串刺しに!

 

 

しても、全く装甲に傷一つ付かないビッグ☆サイトウロボ。

いくらなんでも頑丈すぎるだろ…フェイズシフトでもそこまで頑丈じゃないと思うぞ?

 

俺はビッグ☆サイトウロボの足もとまで来ると、奴の脚の装甲に飛び移り、そのまま変身によって得た瞬発力を活かして下から上へとどんどんかけのぼっていった。

 

腰のあたりまで来たところで赤剣を振りかぶり、そのまま奴の装甲に叩きつけてみるが、これもまったく効いてないようだ。

女神の攻撃すらはじくこのロボの装甲、予想はしてたけど、どんだけだよ…

 

俺が軽くげんなりしていると、ロボが激しく動き始めた、右手に握ったのこぎりをぶんぶんと振り回し、そのゆれの反動で俺はたまらず振りおとされてしまった。

なんとか空中で体勢を立て直し、受け身をとって地面に着地した俺は歯噛みしながらビック☆サイトウロボを睨む。

 

「くっそ、硬すぎだろ!」

 

「生半可な攻撃じゃダメージは与えられないわ…宗谷、あんたの能力でなんとかならない?」

 

「…やってみる!」

 

ノワールが俺の横に降り立って大剣を構えつつそう言うと、俺は少し考えて一か八かスキルリンクを発動させることにした。

選んだのはスキル ウルトラマンだ。

 

『Skill Link! ULTRAMAN』

 

俺の両腕にスペシウムコネクターを装着し、すぐさま腕をクロスさせ光線をビック☆サイトウロボ目がけて発射!

 

光線はロボの胸に直撃したが、これもあまり効果は…ないようだ。

ロボが俺とノワールめがけてのこぎりを振り下ろす。

 

「やばっ…宗谷!」

 

「え? のぉおう!?」

 

ノワールが俺を羽交い絞めにしてすぐに飛び立ってくれたおかげで直撃は免れた。

ふと、今いた場所を見るとのこぎりによって地面は大きく抉られていた…

もしあそこで逃げ遅れていたらと考えたらぞっとするぜ…

 

「てんきゅ、ノワール…俺マジで今ノワールをリスペクトするわ…」

 

「ふざけたこと言ってないの! まだ来るわよ!」

 

ノワールの努号が響き、俺が慌てて視線を正面に向けると、ビッグ☆サイトウロボがのこぎりを再び大きく振り回し始めたのだ。

狙いはおそらく俺達…

横なぎに振られた攻撃をノワールが上昇して回避する。

続けざまに立て横斜めとビッグ☆サイトウロボが攻撃してきたが、それもすべてノワールが紙一重で回避してくれた。

 

俺を羽交い絞めにしてる状態でよくこんな回避が出来るもんだな…ノワールさんマジパネェ…

 

「ああもう邪魔ね! 宗谷、あんた一旦降りなさい! この状態じゃ反撃もできないし見えにくいのよ!」

 

「そうは言われても俺飛ぶ能力ないんだけど!?」

 

「そんなもん気合でなんとかしなさいよ!」

 

「無茶言うな!」

 

俺とノワールがそう言うやり取りをしているうちに、すかさずベールさんとブランさんがロボに攻撃、二人のコンビネーション攻撃がロボを少し足止めしてくれるがやはり決定打にはならない。 いくらなんでもあの装甲硬すぎだろ…

 

『はーはっはっは! 圧倒的ではないか、このロボは!』

 

犯人の高笑いがスピーカー越しに聞こえてくる。 典型的な悪党みたいなセリフ言いやがって…

 

俺達がロボと距離をとったところですぐに二人も後退、一旦距離をとって様子を見ることにする。

 

「…やはりおかしいですわ」

 

ふとベールさんが疑問を口にした。

 

「頑丈とは言え、いくらなんでも私たち女神の攻撃や宗谷さんのあの攻撃を受けても傷一つ付かないなんて、不自然にもほどがありますわ」

 

確かにそれは俺も感じていたことだ、さっきから奴の装甲の頑丈さにはチートか何かかと疑いたくなるほどのものを感じていたからな。

 

「でも、事実私たちの攻撃は通用しない…残りのシェアエナジーの残量を考えると、長引いたらまずいわ…」

 

ノワールも苦虫をつぶしたように不満を漏らす。

みんなも少なからずこの辺一帯の磁場の影響は受けているんだ…もともとの実力の半分かそこらが出ていいとこなのかもしれないな…

 

不利な状況は変わらないか…

 

…でも

 

 

「…それでも、何もしないよりかはましだ」

 

 

俺がぼそっと呟くと、周りにいたみんなは気付いたようで同時に俺の方を見ると、しばしあってみんなこくりと頷いた。

 

「確かに、その通りですわ」

 

「同感だ、要は攻撃が効かねぇなら、効くまでぶったたけばいい…だろ?」

 

「ブランの意見も一理あるけど、それじゃ効率が悪いわ、ここはシェアの残量を見つつ、攻撃が通用する算段を見つけないと…」

 

ノワールがそう言いつつ、一旦俺を地面に下ろすべく降下してくれた、ベールさんもブランさんも一緒に降りてきて、俺が地面に着地するころにはみんなさっきの不安そうな顔は消えていた。

今は戦うことに専念する踏ん切りがついたのかな、妙にしっかりとした目つきをしている。

 

「よし…行こう!」

 

俺達四人はそれぞれの武器を持ち、再び攻撃を仕掛けようとしているビッグ☆サイトウロボへと向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

う~ん……

やっぱりこんなとこでくすぶってるのって、私的にはどうかなって思うんだよね…

 

私も一応主人公の立ち位置だし、やっぱ主役が何もせずに突っ立っているのっておかしいと思うんだ!

みんなのねぷねぷは、ここぞという時に大活躍する、そう言うキャラでしょ!? あれ? 違う?

 

「あ~、でも変身もできないし…かといって私、避難誘導とかに向いてるタイプじゃないし…どうしよう…」

 

私の目の前では今、宗谷達四人が懸命にビッグ☆サイトウロボ相手に頑張ってくれている、でもみんなの攻撃は全然通用していないみたい…

すぐにでも駆けつけて一緒に戦いたいんだけど、シェアブースターを奪われちゃった私って、変身もできないから足手まといなんだよね…

 

うーん…でも、宗谷が変身出来ない私の分をカバーしてくれて戦っているって言うのに、むしろ私が何もしないなんて個人的に許せない!

自分で言うのもなんだけど、宗谷と私って結構コンビ組んでクエストこなしてたんだよ? あんまりそんな描写なかったけど。

 

だからかな、私がここでただ見ているだけって言うのが、なんか落ち着いていられない…出来ることなら協力したいんだけど…一体どうしたらいいんだろう…

 

 

もういっそのことこのままあのロボットに突撃しちゃおうかな、戦闘機か何かに乗り込んでどこかの中尉さんみたいにそのまま特攻! みたいな?

 

 

「お姉ちゃん、そっちはどう?」

 

割かしマジになってあたりに手頃な戦闘機がないか探していると、誘導を一段落させてきたネプギア達が戻ってきた。

 

「ちょっとやばいかも、みんなの攻撃が効いてないみたいなんだ…」

 

「そんな…宗谷さんの攻撃も効いてないの?」

 

「うん、そうみたい…」

 

ネプギアが心配そうにみんなの方を見た。

それにつられてユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃんも同じ方向を向く…みんなお姉ちゃんが心配なんだよね…うん、ネプギアと一緒でみんないい妹だよ。

 

って、そんなこと言ってる場合じゃなくて…

なんとか、私に何かできることはないか考えないと…

 

「大丈夫です、皆さん」

 

その時、私の耳にとても聞き覚えのある声が聞こえてきた。

後ろを振り返ると、ノワールたちが戦っている様子をこちらも心配そうに見つめるいーすんの姿があった。

 

「…たとえ今がどんなに不利でも、今の皆さんならきっと大丈夫です」

 

「いーすん…どうしてそう思うの?」

 

私がそう聞くと、いーすんはやさしい頬笑みを見せた。

 

 

「今の皆さんはもう、敵ではありません…少なくとも私は、そう思ってますから」

 

 

いーすんはそう言うとまた、みんなの戦いの様子を見守り始めた。

 

 

 

そうか…

そうだよね…

 

 

今の私たちは、もう敵同士じゃない…

 

みんないろいろ言ってるけど…友好条約を結んだ、仲間だもんね!

 

どこかの誰かも言ってた気がするよ! 女神は助け合いでしょって!

 

たとえ今がどんなに不利でも、みんなが力を合わせればどんなことでも乗り越えられる、きっと、きっとそうだよ!

 

よーし!

そうと決まったら、私も行動開始だよ! とりあえず先ずは戦闘機を…

 

「ねえ、お姉ちゃん?」

 

「ねぷ? どうしたのネプギア私今から特攻用に、戦闘機を…」

 

「あれ、あのロボットの足に付いてるのって…」

 

私がネプギアに言われて視線を、ビッグ☆サイトウロボの足に向けると、そこにはたぶん、非常口か何かのドアが付いているのが見えた。

 

何でドアが付いてるのかな?

私が疑問に思って首をかしげているとユニちゃんが何かを思い出したように手をぽんと叩いた。

 

「私、この前お姉ちゃんとビッグ☆サイトウに行った時に、今足になってるパーツの部分のビルに非常口があったの覚えてる!」

 

「じゃあ、もしあれが本当に非常口だとしたら…」

 

「「ロボットを壊せるかも!」」

 

ロムちゃんとラムちゃんが声を揃えてそう言うと、みんながどこかキリッとした目つきになった。

私もたぶん、これ以外に今の逆転する作戦はないと思うし一か八かこれにかけようと思う。

 

いーすんにその旨を伝えようとしたら、いーすんは何も言わず小さくうなずいてくれた。

 

「もしかしたら、あのロボットは本当にビッグ☆サイトウなのかもしれませんが…緊急事態ですからね…そのあたりの難しいことは私と、後、宗谷さんでなんとかします」

 

「いーすん……ありがとう」

 

「その代わり、しっかり作戦は成功させてくださいね?」

 

いーすんはそういってウィンクして、承諾してくれた。

よし、方向性は決まったね!

 

「よし、潜入開始だよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あららら…結構ピンチ見たいですね、女神様達…」

 

一方、避難のほとんどが完了したマハリク☆メッセの上では、白ジャージの女性トランスと白ゴスの少女ロボティックがビッグ☆サイトウロボと女神たちの戦いを文字通り高みの見物して、様子を窺っていた。

 

「あのロボ…動力にシェアエナジー、使ってる…」

 

「あ、だから異様に頑丈なんですね」

 

ロボティックが持ち前のパッド型のデバイスでロボを解析、分析してロボの異様に頑丈な装甲の秘密を割り出して、トランスが納得して様子でパッドの画面を覗き込む。

 

「それにしても分析早いですね~、遠隔で直接パッドと連動したわけでもないのによくここまで短時間で調べられましたね?」

 

「…こんなの…全然、余裕……?」

 

「ん? どうかしましたか?」

 

ロボティックが不自然に首をかしげたのでトランスがそう聞くと、何やらロボティックが遠く見据えて何かを凝視しているのが分かった。

 

しばしあって、ロボティックはトランスに片手を出して何かを要求するそぶりを見せる。

 

「ああ、はいはいはい…これですね」

 

トランスは一体いつの間にそんなとこに仕込んでいたのか、機械的なデザインをしたバイザーを胸の間から取り出すと、彼女に手渡した。

なんの反応も示すことなく、ロボティックはそれをかけるとじーっと何かを見つめる。

 

ちなみにこのバイザーはロボティックがよく使用する解析用メンテナンスバイザーである。

おまけで望遠機能も付いているので、おそらく今はそれを使っているのだろう。

 

「…何かありましたか?」

 

気になってトランスが聞くと、ロボティックは何も言わず、ただビッグ☆サイトウロボを指差した。

 

吊られてトランスがロボの様子を見ると、さっきとは状況が打って変わり始めていた。

 

 

「おや? 攻撃が…効いてるみたいですね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おおっ!」

 

俺は気合を込めて赤剣を縦に振り、ビッグ☆サイトウロボの膝の部分を攻撃する。

すると、さっきまで俺達の攻撃を弾きまくっていたあのチート装甲に傷がついたのだ。

 

なぜかは知らないが、急に俺達の攻撃がロボに通用するようになったみたいだ。

俺は攻撃で少し抉れた装甲に蹴りを入れて反動をつけそのまま後退、地面に着地する。

 

上の方、飛行が出来る女神の三人はそれぞれの武器で反撃の猛ラッシュを叩きこんでいるのが見えた。

特にブランさんは今までの鬱憤を晴らすかの如く、戦斧を凄い勢いで叩きつけまくっていた。

 

それにしても、何で急に攻撃が通るようになったんだ?

 

俺が疑問に思っていると…

 

 

―――ドカンッ!

 

 

何やらビッグ☆サイトウロボの装甲の一部が内側から一瞬ふくらみ、その中から小爆発と共に女神化したネプテューヌことパープルハートが飛び出してきた。

 

「ネプテューヌ!? お前どうして…」

 

ネプテューヌは俺の目の前に着地すると、右手に持った何かを俺に見せてきた。

 

「取り返してきたのよ、シェアブースターを」

 

彼女がそう言った後、ネプギア、ユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃんたちもビッグ☆サイトウロボの足から出てきた。

 

どうやら中に侵入する算段が見つかり、直接内部に侵入して取り返してきたようだ。

 

「無茶するなお前も…」

 

「あら? いつも危なっかしいっていーすんに言われているのは誰だったかしら?」

 

皮肉気に笑ったネプテューヌに、俺は苦笑いしか返せなかった。

 

「ネプテューヌ!」

 

そこへ、ネプテューヌが変身してロボの中から出てきたのに気づいたのか、さっきまで必殺技でごり押ししまくっていた女神の三人も一旦攻撃を中断して降りてきた。

 

「シェアブースターを取り戻せたのね」

 

「ええ、でも誰かさんたちがガンガン攻撃するもんだから、脱出する前にロボが爆発するんじゃいかって私もネプギア達もひやひやしたわ…」

 

あー、確かに攻撃が通用するようになった瞬間、俺達有無を言わさず攻撃しまくったからな…

でも、何も言わずに入ったネプテューヌもネプテューヌだと思うがな?

 

でも、まあこれで形勢は逆転かな?

 

 

『は、早く反撃しろ!』

 

『分かってるっちゅ! でもさっきの攻撃でいろんなとこのフレームと回路がおじゃんになったっちゅ…』

 

『なんだと!? ええい、これだから急作りのロボは…』

 

『…さっき圧倒的、とか言ってたのは誰っちゅか?』

 

 

完全に負けフラグ丸出しのやり取りもスピーカーから聞こえてきたし…

そろそろ、この騒ぎも終わらせようかな。

俺達はとどめの一撃を撃ち込むべく再び武器を握る力を強めた…

 

 

 

 

その時だった…

 

 

 

あのロボに、妙な変化が起き始めたのは…

 

 

 

 

 

 

 

「あーらら…これはもう終わりですかね?」

 

トランスが遠巻きに様子を見つつ、既にボロボロのビッグ☆サイトウロボを見ながらそう呟いた。

一方のロボティックはバイザーをかけたまま何かを服の中からごそごそと取り出そうとしていた。

 

「シェアエナジーがなくちゃだめなんて…非、効率的……んっしょ…」

 

彼女はそう言うとやっとの思いで取り出したそれを両手で持ち、それをトランスに手渡した。

 

彼女が取り出したそれは重厚な雰囲気をありありとだす、バズーカの様な形をした何かだった。

先端には三つのアームのが折りたたまれた弾道が装備されており、普通のバズーカとは少し違うそれを、トランスはしぶしぶ受け取るとロボティックをちらりと一瞥する。

 

「…これをどうしろと?」

 

「ロボに撃って…私じゃ…発射、無理…」

 

「ああ、さいですか…ていうかじゃあ、何でこんなもの持ってるんですかねぇ? 不思議でなりませんよほんと…」

 

トランスはそう言うとバズーカを右肩に担いで、取りつけられたスコープに右目を当て照準を合わせる。

カーソルがビッグ☆サイトウロボの丁度頭の部分に合わさった時、トランスはちゅうちょせずにトリガーを引いた。

 

バシュ!

 

と言う空気の抜けるような音と共に先端の特殊な形状をした弾頭が発射され、放物線を描きながらその弾頭は見事にビッグ☆サイトウロボのこめかみ部分に命中した。

 

「あたりましたよ~?」

 

「ん…、アダプタ、こっちに…」

 

「ああ、はいはいこれですね」

 

ロボティックは片手を差し出し、トランスがバズーカの握り手部分から伸びる接続用アダプタを手渡す。

ロボティックはそのアダプタを自分のパッドにつなげる。

 

ロボティックはパッドの画面を切り替えると、画面にビッグ☆サイトウロボの内部構造を示した画面が映しだされる。

 

 

「右腕、左足、その他各フレーム損傷個所が20…メイン回路は…まだ正常、でもそれ以外の回路がショート、寸前…」

 

「結果…どうですか?」

 

 

トランスがバズーカを足もとに置くと、ロボティックは画面をじっと見つめながら指先をわき脇と動かし、静かに言った。

 

 

 

 

「…修復、可能…魔、改造…♪」

 

 

 

今までで一番、静かだが確実に楽しそうな声色でそう言った彼女は、目にもとまらぬ速さで指先を動かし、作業を開始した。

 

そう、彼女の言った言葉通り…

 

修復と改造を…

 

 

 

 

 

 

 

「ちゅ…?」

 

薄暗いビッグ☆サイトウロボのコクピット、その座席に座る小柄な人影が何かに気付き、コンソールを弄る。

それに気づいたもう一人の人型の人影が小柄な人影に詰め寄った。

 

「どうしたねずみ、まさかこれ以上にないほどの失態を重ねたのではあるまいな!?」

 

「いや…少なくともそうじゃないっちゅ…ただ…」

 

「ただ…なんだと言うのだ?」

 

 

彼らの正面のコンソールの画面上、危険を促すための表示された文字列が次々と尋常じゃないスピードで消えて行く。

 

 

「…なんか知らないけど…修理されてるっちゅ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は目を疑った。

一瞬、目の前のもういつ機能停止してもおかしくないほどにボロボロだったビッグ☆サイトウロボが急に立ち上がったと思ったら…とたんにロボの装甲が所々変化し、一体どういう仕組みなのか、両肩に赤い装甲が現れ、なぜかロボのおでこのあたりに赤い一本の角が出来たのだ。

 

そして、ロボはあの巨大のこぎりを大きく振り回す、するとさっきとは段違いのスピードで振られたことにより、あたりに強風が巻き起こった。

 

「ウソだろ? あの状態で……復活した!?」

 

俺は驚きのあまりその場で固まってしまった。

ネプテューヌ達も突然のことで驚いているようだった。

 

 

『な、何だかわからんが…まあいい! 今度こそ覚悟しろ、女神ども!』

 

 

犯人の声が響き、強化されたビッグ☆サイトウロボが振り上げたのこぎりを俺達めがけて振り下ろしてきた。

 

「みんな、避けて!!」

 

ネプテューヌの呼びかけで我に返った俺達は各方向に散開、攻撃を回避した…

 

でも…

 

 

―――ズガァァァアアアアア!!

 

 

「うおぉぉぉおおお!?」

 

「「「「きゃああああああ!?」」」」

 

 

ばらばらの方向に飛んだみんなと俺の声が重なった。

振り下ろされたのこぎりが地面を抉った瞬間、とてつもない衝撃波が俺達を襲ったのだ。

 

今までと比べ物にならないほどの力が体全身に響き、溜まらず俺は地面を転がった。

 

地面に倒れ、体に走る鈍い痛みに耐えながら周りを見ると、少し離れたところにブランさん、俺の後ろにノワール、隣にはネプテューヌとベールさんが並んで倒れ伏しており、みんなにも相当なダメージが入ったのが見て取れた。

 

「なん、なの…一体…」

 

「こんな……力が急に上がったなんて…」

 

ノワールとネプテューヌが毒づき、身を震わせながらもなんとか根性で体を動かし、立ち上がる。

俺も赤剣を地面に突き立てて膝立ちになりながらもなんとか立ち上がった。

 

 

『この力…この威力…素晴らしい…やはり、圧倒的ではないか! このロボは! はーっはっはっはっは!』

 

 

犯人の高笑いが俺達の耳に響く、まだダメージが残る体に鞭打ちなんとか体制を立て直して立ち上がった俺は再び赤剣を振り上げる。

 

 

 

「いい加減、聞き飽きたんだよ! その笑い声!!」

 

 

 

俺は今持てる限りの力を足に集中させ、ロボ目がけてジャンプし一気に距離を詰める。

たとえ強化されていたとしても、さっきの様な飛んでもない頑丈さを見せる装甲までは復活していないはずだ、一か八か…奴に攻撃して少しでも活路を見出すために、俺は赤剣を振りかぶった。

 

 

「ソウヤ! 無茶よ!!」

 

 

ネプテューヌの制止を振り切り、俺は赤剣を握る手の力をより一層強める。

 

 

『小うるさい、蚊トンボめが!!』

 

 

「っ!? がああぁっ!!」

 

突然ロボの左拳が目の前いっぱいに広がった。

空中を自在に動くための能力がない俺は回避しようにもそのすべを知らず、なすがまま強化されたビッグサイトウロボの拳が俺を撃ちすえた。

 

硬い、鋼鉄の壁に思い切りぶち当たったように俺の体全身に重い、とてつもないダメージが打ち付けられた。

 

そのまま俺は後方に飛ばされ、すごい勢いで地面が迫るのが見えた…

 

 

あ、やばいな…

 

 

直感的にそう悟り、地面に激突する衝撃が体に来るのに耐えようとするも体がうまく動かない…本当にピンチだ…

 

 

 

「宗谷!!」

 

 

 

しかし、とっさにノワールが俺を受けとめてくれたことでなんとか地面への衝突は避けられた。

 

二人まとまって地面を転がり、徐々にスピードと断続的な衝撃が収まっていく。

完全に停止した時、俺の体はノワールと向かい合う形で受けとめられたせいで、俺が上になり、ノワールが下と言う体制になっていた。

ゆっくりと目を開けてノワールが俺を見つめ俺も彼女と目を合わせるべく頭を上げる。

 

「宗谷…大、丈夫?」

 

「あ…ああ……お前こそ、大丈夫か?」

 

「…女神がこんなことでやられると思う?」

 

ノワールが勝気な笑顔を見せてそう言ったが、少なからずとも今のでダメージが入ったのは分かっていた。

 

俺は両手を使ってなんとか地面から起き上がり、ノワールもそれに続いて起き上った。

 

「ソウヤ、ノワール!」

 

「おい、大丈夫か!?」

 

ネプテューヌとブランさん、遅れてベールさんが駆け寄ってきて俺達が無事かどうか確認する。

俺とノワールは首を縦に振って大丈夫ということをアピールすると、ネプテューヌはほっと胸をなでおろした。

 

「良かった…すごいスピードで転がって行ったから心配したのよ」

 

「心配せずとも、ノワールの体が柔らかかったから、いい感じにクッションになったよ」

 

「ちょっと?」

 

俺が余裕を見せるため冗談交じりにそう言うと、ノワールがジト目で俺を睨んだので俺は慌てていやいやと手を振って話をそらす。

 

「ま、まあ、それは別として……あいつだ」

 

俺はこちらに尚も接近するビッグ☆サイトウロボを睨む。

 

「さっきまでとは段違いの性能…これに対抗する手段は…」

 

俺はネプテューヌに視線を向け、そう聞くがネプテューヌはややあってから首を横に振った。

 

「…残念だけど、ないわ…残りのシェアエナジーのことを考えると…」

 

ここまで結構な技や攻撃を繰り出してきたほかの女神はもう既にエネルギーもギリギリだ。

かく言うネプテューヌも、もともとシェアが少ないためいつエネルギー切れしてもおかしくない…。

 

…万事休す…

 

逆転を更に逆転された…

 

 

 

 

 

 

「宗谷さん!!」

 

 

項垂れる俺の耳に、聞き覚えのある鈴の様な声が聞こえた。

その声がした方を向くと、離れてはいるがいーすんが俺達を見つめていた…ぐっと手を組み、祈るように俺達を見ていた。

 

「諦めないでください! あなたたちが諦めてしまったら…誰が、あれを止めるのですか!?」

 

叱咤するその声に、俺はある考えがよぎった…

今ここで俺達が折れたら…誰がここに来ていた人たちを守るんだ?

 

誰が…いーすんやネプギア、ユニちゃん、ロムちゃん、ラムちゃん、アイエフ。コンパさんを守るんだと…

 

 

そうだ…諦めちゃだめだ…

 

 

俺達は、守らなくちゃ…いけないんだ!!

 

 

少なくとも、俺にはまだ戦う力がある!

 

 

「…宗谷」

 

ネプテューヌが俺の名を呼んだ。

その目にはいまだに消えていない闘志の炎が見えるようにしっかりとした意思が宿っている。

他の三人もそうだ…まだみんな諦めていない…まだ俺達は戦える!

 

「みんな…みんなで戦いましょう?」

 

「……ああ」

 

俺が頷き、再び赤剣を握った…

 

その時だった……

 

 

 

『よく立ち上がった、宗谷くん!』

 

 

 

どこからか声が聞こえ、俺のジャケットの内側のポケットが赤く、力強く輝いた。

 

「これは!?」

 

俺は慌てて、ポケットの中に入れていたもの、光を放っていたものを取り出した。

それは、俺がプラネテューヌへと帰るときにネプテューヌと共にモンスターの群れを追い払って手に入れた、6つ目のヒーロークリスタルだった。

 

クリスタルは外に出した瞬間、さらに力強く輝き、ヒーローメモリから颯爽と何かが飛び出した。

 

 

「あ…あなたは…!」

 

 

飛び出してきたその人物は、体を赤いボディスーツで包み、背中には赤いマントを纏った戦士、顔を赤いマスクで被い、目の部分は青く横に伸びるアイマスク。

 

その戦士は俺達に対して背を向けて立っていたがくるりと体を反転させて、マントをばさりと翻し、俺を見つめると力強くうなずいた。

 

彼の名は“海城 剛”…

 

またの名を…

 

 

「アカレンジャー!!」

 

 

そう、あのスーパー戦隊の最初の戦隊…“秘密戦隊ゴレンジャー”の“アカレンジャー”だ!

俺が興奮気味に声を張り上げたのに対し、ネプテューヌ達は不思議そうに彼を見ている。

 

そう言えば、ネプテューヌ達は俺の世界のヒーローを見るのは初めてだったか?

 

「ソウヤ…一体、彼は…?」

 

「俺の、憧れたヒーローの一人だ!」

 

ネプテューヌの問いに対し、俺がそう言うと、アカレンジャーが俺の詰めよってきた。

 

『君のその、諦めない心、内に秘めた魂…しかと見せてもらった』

 

アカレンジャーはそう言うと、俺の右手を両手で包みこむようにしっかりと握った。

その手から赤く力強い、太陽にも負けない位の光が灯り、それは徐々に大きくなっていった。

 

 

『受け取ってくれ、私たちスーパー戦隊のスキルだ』

 

 

アカレンジャーはそう言うと霧のように消えて行った。

そして…

 

赤い光が今まで以上に大きく光り、その光は俺だけでなく、ネプテューヌ、ノワール、ブランさん、ベールさんまで包み込むほど大きく膨れ上がった!

 

 

『Skill Link! Super sentai』

 

 

 

ふわっと、一瞬体が浮かび上がるような感覚を体に感じ、次の瞬間には俺は…俺達はとんでもない光景を目にしていた。

俺達を包み、膨れ上がった光は柱のように空へと伸び、俺達の頭上に何かが集まってきた。

 

それは5方向から飛んできた五機の戦闘機だった。

 

それぞれ、赤、紫、黒、白、緑とカラーリングされており、まるで俺達のパーソナルカラーを尊重したよう彩られた五機の機体は、旋回し、俺達の頭上に集まる。

 

『な、なんだ一体!?』

 

犯人の声が聞こえたが、それすらも耳に入らず俺達はそれに見入っていた。

 

 

一点に集まった戦闘機が、一つになろうと合体し始めたのだ!

 

 

紫の戦闘機が変形し、黒と白の二機が翼を折りたたみシャープなフォルムへと変形すると紫の機体のボディに連結!

 

更に緑の機体が変形、コクピットと思われる部分を上にして、機体が二股に分かれ、紫の機体の下部分に合体し、全体的に人型のフォルムにまとまり始めた。

 

仕上げに赤の機体が背中と思われる部分に連結、コクピット部分がロボットの頭部を形成し、勇ましい銀色の顔が現れ、黄色に輝く二つの目が強く、意志を宿したように光る!

 

完全にその姿を人型へと変えたロボットは、ビッグ☆サイトウロボに比べると細身で身軽そうな外観をしているが、力強い輝きを放つ機械の腕や脚はそう簡単に壊れなさそうに鈍く輝き、頭の大きく釣り上がったV字角が赤く、燃える炎の様な輝きを放っている。

 

合体したロボットは呆然とする俺達に胸の部分から出した光線をあてる。

すると、一瞬にして俺の見ていた風景が変わった。

目の前には正面、左右を見渡せる三つのデジタルモニターといくつものボタンやレバーがついたいかにも近未来的な座席が視界いっぱいに広がる。

 

おそらくここは操縦席だろう、俺は直感的にそう感じていた。

 

「こ…これって…」

 

「どういうことなの?」

 

「もう何が何だか…わからなくなって来たぜ…」

 

「同感ですわ…」

 

ネプテューヌ達が俺の後ろで驚きの声を上げるが、俺はいたって冷静なまま、目の前の座席に座る。

 

 

「要は…これが対抗手段って訳だよな…アカレンジャー!」

 

 

 

 

「完成! ビクトリーネプテューン!!」

 

 

俺は高々に頭に浮かんだロボの名を呼び…ロボ、“ビクトリーネプテューン”が地面に着地し構えをとる。

 

目の前のモニター越しに見えるビッグ☆サイトウロボは驚いたように数歩後退した。

これで、状況は五分五分、ロボ対ロボなら勝機はあるかもしれない、俺はレバーを強く握り気合を入れる…。

 

うし…反撃開始だ!

 

 

 

 

 

……で

 

 

 

「……どうやって動かすの?」

 

 

 

「「「「…は?」」」」

 

俺の後ろ、正確には操縦席の後ろに設けれた四人の座席に座っていたネプテューヌ達が同時に声を上げた。

 

……よくよく考えたら、俺、ロボットはおろか車も運転したことなかったんだけど…

 

ややあって、ネプテューヌとノワールが席を立ち俺の座る操縦席に詰め寄ってきた。

 

「そ、ソウヤ? あなた操縦できないの?」

 

「…俺、ゲームは説明書読んでからする派だから…」

 

「じゃあなんなのよ! さっきの自信満々のセリフは!!」

 

「ろ、ロボットが完成したらああいうのが普通だろ!?」

 

だって、毎回スーパー戦隊ってロボットが完成したたびに「完成!」って言うんだもん!俺だって言いたかったんだよ! 悪いか!?

 

二人に続いてブランさんとベールさんまで近寄ってきた。

 

「とりあえず適当に何か押せ! そうすれば何かしら攻撃できるだろ!」

 

「山勘でも、今はやるしかありませんわ! さ、早く!」

 

二人がせかすように俺にそう言って来たので、俺は恐る恐る手に持っていたレバーを動かす。

すると…

 

―――ウィーン、ガシィイン!

 

ロボットらしいモーター音を響かせてビクトリーネプテューンが最初に取った行動は…

 

 

 

……正座だった。

 

 

「何呑気に座ってんだよ!? 目の前に敵がいんだぞ!!」

 

「と言われても、俺にもわかりませんよ! ていうか何で正座!?」

 

ブランさんが声を張り上げて座席をガンガン叩いて講義してきた、ちょっ、結構強い!?

座席が揺れる! 座席だけがガンガン揺れてる!

 

ていうか、俺何をどう動かしたら正座にできたんだ!? なんか自分でも分かんないんだけど!?

 

「ともかく早く起き上ってくださいまし! ほら!」

 

「あ、ちょ!」

 

ベールさんが手を伸ばして俺の片腕のレバーを引いた、するとビクトリーネプテューンがゆっくりと動き出し…

 

 

 

…ヨガとかで有名な猫のポーズになった。

 

 

「準備体操してんじゃねぇか!! お前まず立たせろよ!」

 

「そ、そうは言われましても…私も巨大ロボットは動かした経験がないもので…」

 

「じゃあ、何で動かしたんですか!?」

 

「あー! もうじれったい! とにかく動かせば立ち上がるだろ!!」

 

 

今度はブランさんが荒っぽくレバーをガチャガチャと操作する。

すると、ビクトリーネプテューンがゆっくりと立ち上がり…

 

 

 

…一昔前に流行ったギャグ、『命』のポーズをとった。

 

 

「あなたも何ふざけてるのよ!?」

 

「ふ、ふざけてねぇ!! なんか動かしたらこうなったんだよ!!」

 

「うわー……なんか懐かしい…」

 

 

なんか、ウルトラマンマックスにこんなシーンがあったな…

俺がそんなことを思い出していると…

 

「ああもう! 貸しなさい! レバーじゃなくてボタンか何かを押せばミサイルの一発くらい出るでしょ!!」

 

ノワールがそう言って近場にあった手頃なボタンを指で押しこんだ。

すると…

 

 

 

―――ピカァァァァ…

 

 

なぜか、ビクトリーネプテューンがライトアップされた…

 

……赤色がきれいだな…クリスマスとかに生えそう…

 

「…じゃなくて、ノワールも何してんの!?」

 

「う、うるさいわね! 私だって分からないのよ!!」

 

いまだにまともな行動すらできていないビクトリーネプテューン…

命のポーズしたままライトアップって…どんな状況だよ!

 

さすがに向こうも痺れを切らしたのか、それとも、ふざけ切っているとしか見えないこの様子に腹を立てたのか、のこぎりを構えてこちらに向かって来た。

 

『驚きはしたが…攻撃しないのならこっちから行くぞ!!』

 

「やべぇ!? 来た!!」

 

「は、早く防御しろ! 防御!」

 

「ソウヤ! 早く!!」

 

ブランさんとネプテューヌがせかして俺の肩を揺さぶる。

ていうかそんなに揺らされたらレバーを動かすのもまともにできないって!

 

心の中でそう突っ込むがもういろいろいっぱいいっぱいで声に出す余裕すらなかった。

 

ていうか、スーパー戦隊ってよくこんなロボット操縦できるな?

初めて乗った時とかどう操縦してるんだろう、せめてその方法も教えてほしかったぜアカレンジャー!

 

そうこうしているうちにビッグ☆サイトウロボとビクトリーネプテューンとの距離がだいぶ縮まってしまった。

横に振りかぶられたのこぎりがビクトリーネプテューンに肉薄する。

 

 

 

俺達を襲うであろう強い衝撃を覚悟し、全員が見身構えた、その時…

 

 

 

とっさに俺の背後から伸びた誰かの手がレバーを動かした。

 

その瞬間、ビクトリーネプテューンがさっきの命のポーズをやめてライトアップも消え、その場に体勢を低くしてしゃがみこみビッグ☆サイトウロボの攻撃を回避した。

 

「え?」

 

俺は起きたことが理解できずに座ったまま固まっていると、右手で握っているレバーを何者かが俺の腕ごと操作して次の行動を起こした。

 

ビクトリーネプテューンは低くなった体勢から真上に向かい、ばねの如く飛びあがりビッグ☆サイトウロボの頭部に膝蹴りを撃ち込んだ。

 

『ぬおおおっ!?』

 

溜まらず後退したビッグ☆サイトウロボ、対してビクトリーネプテューンは華麗に着地してファイティングポーズをとる。

 

 

「宗谷さん、変わってもらってもいいですか?」

 

 

俺の背後から聞こえた声、幼さの残る、それでいてしっかり者のイメージがする良く通った声の主はさっきまで俺の手ごと握っていたレバーを離し、静かにそう言った。

 

 

 

「ロボットなら……私の得意分野です!」

 

 

 

「「ネプギア!?」」

 

ネプテューヌよりか明るい髪の色をした彼女の妹、ネプギアが拳をぐっと握り、やる気満々とアピールして俺達の後ろに立っていたのだ。

俺とネプテューヌが突然の乱入者に驚き、声を揃えて彼女の名前を呼ぶとそれに続いてネプギアの後ろからいーすんまでひょっこり現れた。

 

 

「私が連れてきたんです、さっきの戦いを見る限りおそらく皆さん…ロボットの操縦が得意と言うわけではなさそうだったので」

 

「「「「うぐっ…」」」」

 

いーすんの言葉が俺とノワール、ブランさんにベールさんを貫いた…

 

はい、全くその通りです…

 

「でも、ネプギアさんはその辺りの知識が女神様の中でも一番豊富ですし、もしかしたらと思いまして…」

 

「それに関しては俺も納得せざるを得ないけどさ…」

 

確かにネプギアは普段からロボットとかそう言うのが大好きで暇な時間を見つけてはそれ関連の本を読んだりとか、機械いじりをしたりとかしてるの見たことはあったし…

 

でも、それ以前に二人ともどうやって中に入ったのだろうか…

 

ビッグ☆サイトウロボと言い、最近のロボって案外簡単に出入りできる仕組みになってるのか?

 

「お姉ちゃんたちは後ろの座席に座っておいてください、宗谷さんは私と操縦を交代してください」

 

「え、でも…一応このロボ、俺のスキルで…」

 

「早く後退してください!」

 

「はい!」

 

ネプギアにせかされ俺は慌てて席を立ち、ネプギアが入れ替わるように座席に座る。

ネプテューヌ達もそれを見て、いそいそと座席に座るのを確認したネプギアがコクピットのレバーやらボタンやらを見渡し、ぐっとレバーを握った。

 

「…やれそうです!」

 

「マジか!?」

 

今一瞬、ネプギアの目がキラン、と光った気がしたけど…

何より一瞬見ただけで構造を理解できたことに驚きを隠せなかった。

 

「それじゃあ、行きますよ! 宗谷さんはどこかにしっかりつかまってください!」

 

ネプギアはそう言うとレバーを思い切り倒しビクトリーネプテューンの操縦を開始した。

 

ていうか、まだ俺どこにもつかまってないんだけど!?

 

 

「ギアンダム、行きまーす!」

 

「名前勝手に変えないでっ!?」

 

 

ビクトリーネプテューンは思い切り地面を蹴り、ビッグ☆サイトウロボに接近する。

対してビッグ☆サイトウロボはのこぎりを再び振りかぶり反撃の体勢に出た。

 

『小癪な! 一発攻撃が成功したからって…いい気になるな!!』

 

犯人がそう言ってのこぎりを再び大ぶりに振るが、ビクトリーネプテューンはそれを左手の装甲で軽く受け止めてしまった。

見た目に反し、結構防御力が高かったようだ。

 

「このロボットは各部分を構成するパーツごとに違った特徴を持っているんです! 左手になっている白い機体は防御力が高いので、防御にはうってつけです!」

 

「いつの間に調べたのかしら…」

 

ネプギアの説明を聞いていた俺の代わりにネプテューヌが静かに突っ込みを入れた…まさにその通りである…。

ネプギアはその突っ込みを返すこともなく、レバーを操作、反撃に出る。

 

―――ガシンッ!!

 

『ぐあっ!?』

 

開いている右腕でビッグ☆サイトウロボの胸部を一撃!

派手な火花が上がり、ビッグ☆サイトウロボが大きく後ずさった。

休む隙すら与える気もないのか…ネプギアは次々と次の行動をビクトリーネプテューンに伝えるべく、レバーを忙しく動かす。

 

それに突き動かされ、ビクトリーネプテューンがビッグ☆サイトウロボに次々と攻撃を撃ち込んでいく。

 

重い衝撃がこちらにも伝わるような左ストレート、正確に括鋭い右のコークスクリューを撃ち込み、素早く右足と左足を使った連続キックがどんどんビッグ☆サイトウロボを押していく。

 

 

「行きます! ビクトリーハンマー!!」

 

 

ネプギアが高々に叫び、右腕から放たれた力強い右フックがビッグ☆サイトウロボを撃ちすえる。

ていうか、技まで考えたのかネプギア?

こうなってくると、最初に座っていた俺の立場が…

 

『な、何なんだこの力は!? こちらの機体をはるかに凌駕しているだと!?』

 

ビクトリーハンマ―なる技を食らったビッグ☆サイトウロボは先程よりも少しばかり動きが鈍くなり始めていた。

敵も弱り始めているしそろそろ、交代してくれてもいいんじゃないかな?

俺はネプギアの肩をトントンと叩く。

 

「あの、ネプギアそろそろ交代…」

 

「ネプテューンスマッシュ!!」

 

「あの…ネプギアさん?」

 

「ビクトリーレイザー!!」

 

「………」

 

変わってくれる気配なし……

 

今もなお、ネプギアはのりのりで技名を叫び、強力で俊足の回し蹴りや、目からレーザー光線を放ったりと大忙し、その様子はめちゃくちゃ楽しそうにしていて、いつも以上に…

 

「はつらつとしてるわね…」

 

「ネプギアちゃん、好きなものを目にするとこうなるのですね、いいことを知りましたわ♪」

 

ネプテューヌは少し落ち着きながらも意外そうにつぶやき、ベールさんは嬉しそうに頬を高揚させている。

 

俺はとりあえず、呼びかけるのを中断し座席の後ろに再び待機することにした。

 

「…宗谷さん」

 

「……何?」

 

「……次までに操縦法を覚えればいいんですよ」

 

「………うん」

 

まるでおもちゃを取られた子供を諭す親の如く、いーすんは俺の頭に手をやって励ましてくれるが…それが余計につらく感じるのは何でだろうか…

 

 

『くっ…まさか、これほどまでの力とは…っ!』

 

「これでとどめです!」

 

 

ネプギアはとどめを刺すべく、操縦席の正面にあるコンソールを操作し何かの表示をタップする。

 

すると、ビクトリーネプテューンの胸の大きなVのマークに5色の光がチャージされる。

そして、コンソールに映し出されたメーターがMaxを示した時…

 

 

「ビクトリーネプテューン! ビクトリー・レイジングフラッシャー!!」

 

 

胸からV字型に光り輝く光線が放たれ、ビッグ☆サイトウロボに寸分たがわず命中、今までで一番激しい火花を上げてビッグ☆サイトウロボは大爆発を起こし、木っ端みじんに砕け散った。

 

『覚えていろ~~~~~~!!』

 

 

犯人の負け惜しみの叫びを背にビクトリーネプテューンは右手を高々と振り上げた…。

 

 

 

 

 

一部始終を終始眺めていたトランスとロボティックの二人、トランスがビッグ☆サイトウロボの爆発を見届ける。

 

「あ~らら、強化してあげたのに負けちゃいましたね」

 

「…操縦者の技術の、問題…性能はこっちが、上…」

 

ロボティックはそう言うと、パッドを服の中にしまいこみ、どういう原理かは知らないが修理するために使ったバスーカまでも服の中にしまい込んだ。

 

「そんなに強化したんですか? あまりそんな風には見えませんでしたけど?」

 

「…赤い角は三倍、の印…」

 

「……それはむしろ赤い彗星の印では?」

 

トランスは最後ロボティックにそう突っ込むが、ロボティックは特に返答もせずに彼女のジャージの裾を掴むと、くいくいと引っ張る。

それに気付いたトランスはやれやれと言いたげにため息を漏らし軽くフィンガースナップを鳴らすと、二人の体を淡い光が包み込んだ。

 

「さあ、帰って私と一緒にお風呂に入りましょうね♪」

 

「…生理的に、無理…」

 

相変わらずの冷たい態度はいつものことなので受け流し、トランスは最後、ビクトリーネプテューンに乗っているであろう、あの青年を思い浮かべる。

 

(……もうしばらくは、観察に回りましょうかね…彼、見ていて飽きませんし)

 

次の瞬間には二人の姿は跡形もなく消えていた……。

 

 

 

 

「……あの宗谷さん、ごめんなさい、私つい夢中で…」

 

「………」

 

あの戦いの後、俺達はビクトリーネプテューンを降り、戦いの疲れをいやすべくホテルに戻った。

 

俺達を降りると、ビクトリーネプテューンは光と共に消え、俺のブイホには新たに“スキル スーパー戦隊”を示すスキルリンクアプリが追加された。

 

そして、現在、俺の部屋にてビクトリーネプテューンを駆り、大活躍したネプギアが部屋のベッドの上で三角座りしている俺に謝ってきているわけなんだが…

 

なんというか…、今はそっとしておいてほしいんだよな…。

 

めっちゃ自信満々にスキル使っといて、操縦法も知らずにあの体たらく…

自分で自分が恥ずかしくなるよ…

 

と言うことなので…

 

「ネプギア……しばらく、一人にさせてくれ……」

 

「ほ、本当にごめんなさいぃぃぃ……」

 

この後、俺の落ち込みようを見て自己嫌悪に陥ったネプギアが泣き出しそうになったので、今度は俺が謝る側になったのは…言うまでもないだろう…

 

 

 

まあ、とにもかくにも…

 

 

 

この日、TGSは…無事に終わりを迎えられた。

 




いかがでしたか?


実はこのビクトリーネプテューンの登場を一番やりたくて、このTGS編を思いついたわけなんですよね。
長々と付き合ってくれてありがとうございました…



そして…


宗谷「みなさん、遅くなりましたが…」

いーすん「メリークリスマス!」



宗谷「本当なら俺達もクリスマス編、とかやりたかったんだけど、作者がちんたらしていたせいで間に合いそうにない…」

いーすん「と、言うわけで代表して私たちがクリスマスのお祝いをさせていただきます!」

宗谷「ちなみに今いーすんはミニスカサンタコス」

いーすん「宗谷さん! 余計なことは言わないでください!」


はい、というわけで…
みなさん、クリスマスはどうお過ごしでしたか?

私はもちろん今年も家族とクリスマスでしたが・・・
皆さんには幸せなクリスマスは訪れましたか?

宗谷「少なくとも俺は教会のみんなが居るからサビシマスではない!」

はい宗谷くん、あなたは一旦引っ込んどいて…


とにもかくにも、皆さん、今後も超絶次元ゲイムネプテューヌ おーばーどらいぶ!をよろしくお願いします!

宗谷「みんなー、集合ー!」

ネプ「と言うわけで~!!」


全員『せ~のっ』



――――――メリークリスマス!



それでは、次回で会いましょう!
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